2011年02月06日

Janelle Monae『The ArchAndroid』

近未来ディーヴァによるハイパーR&B☆Janelle Monae『The ArchAndroid』
The Archandroid
発表年:2010年
ez的ジャンル:近未来ディーヴァ系ハイパーR&B
気分は... :沈黙は金なり・・・

6日(日本時間7日)はNFLスーパーボウル、13日(日本時間14日)はグラミー賞と週末に大きなイベントが続きますね。

スーパーボウルについては明日のエントリーで直前予想したいと思います。

一方のグラミー賞ですが、最近は「誰が受賞するのか」といったこと自体には殆ど関心がなく、「どんなアーティストがパフォーマンスするか」を楽しみにしています。

そんな中、ざっと各部門のノミネート作品を眺めていたら、Best Contemporary R&B AlbumにノミネートされているJanelle Monaeのデビュー・アルバム『The ArchAndroid』(2010年)を、当ブログで未紹介であったことを思い出し、慌てて紹介することにしました。

当ブログで紹介した作品で言えば、B.o.B『B.o.B Presents: The Adventures Of Bobby Ray』(2010年)にも参加しているので、そちらで名前をご存知の方もいるのでは?

本当はもっと早く紹介しておくべき作品だったのですが、何となく機会を逸していたのでグラミーを前に紹介しておきたいと思います。

Janelle Monaeは1985年カンザスシティ生まれ。

OutkastのBig Boiに見出され、Big Boi Presents Purple Ribbon Allstars『Got Purp? Vol. II』(2005年)、OutKast『Idlewild』(2006年)などでフィーチャーされたことで、Janelle Monaeの名前が徐々に知られるようになります。

2008年にはDiddyのBad Boy EntertainmentからEP『Metropolis: The Chase Suite』をリリースし、グラミー賞にノミネートされるなど各方面で高い評価を受けました。そして、自信を深めたJanelleが満を持してBad Boy Entertainmentからリリースしたデビュー・アルバムが本作『The ArchAndroid』(2010年)です。

EP『Metropolis: The Chase Suite』の続編と呼べるアルバムであり、2719年生まれの主人公(Janelle Monae)がある事 件に巻き込まれ21世紀に連れてこられたが、28世紀にいるJanelleのDNAを受け継いだアンドロイドCindi Mayweatherが秘密組織からメトロポリスに住む人々を解放するという、SFストーリーを持った作品に仕上がっています。

アルバム・ジャケは、SFワールドの近未来アンドロイド・ディーヴァといった趣ですが、普段はリーゼントにスーツ・スタイルという個性的なファッションで注目されています。

肝心のサウンド面も実に個性的でハイパーです。R&B/ソウル/ファンク、ロック、ジャズ、クラシック、映画音楽、テクノ、ワールド等さまざまな音楽のエッセンスを近未来的なセンスで融合ししたハイパー・ミュージックとして見事にまとめ上げています。

Sean "Diddy" CombsBig Boiという大御所二人がエグゼクティヴ・プロデューサーとして名を連ね、実質的なプロデュースはJanelle本人、Nate "Rocket" Wonder、Chuck Lightningらが務めています。

おそらく本作がBest Contemporary R&B Albumを受賞する可能性は低いと思いますが、2010年を代表する女性R&B作品としてゲットしておくべき1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Suite II Overture」
大作映画を観ているかのような壮大なプロローグ。

「Dance Or Die」
Saul Williamsをフィーチャー。本作らしい近未来のハイパー感が支配するアフロ・ビートなアッパー・チューン。Saul Williamsに合わせるように、Janelleのヴォーカルもポエトリー・リーディング風です。
http://www.youtube.com/watch?v=9dyxNx5NEPU

「Faster」
「Dance Or Die」からシームレスに続くファンキーなアッパー・チューン。エレクトロ・サウンドとアフリカン・リズムも上手く融合させています。
http://www.youtube.com/watch?v=AM2Ha7-NxFc

「Locked Inside」
当ブログのタイトルにもなっているStevie Wonder『Music Of My Mind』のアルバム・ジャケのサングラスにインスパイアされた楽曲なのだとか。そう言われれば、部分的にStevie風のメロディが聴こえるかも???全体的にはシングル向きのポップなダンス・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Y60ldycdsVY

「Sir Greendown」
ディズニーとサルバトーレ・ダリからインスパイアされた楽曲。確かにドリーミー&アーティスティックな雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=sE_LFrmvZ_s

「Cold War」
アルバムからの2ndシングル。ハイパーなクロスオーヴァー感にOutkast風のスパイスが効いたアッパー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=lqmORiHNtN4

「Tightrope」
アルバムからのリード・シングル。後見人Big Boiがフィーチャーされています。近未来ノーザン・ダンサーといった雰囲気の小気味良さが魅力ですね。いかにもBig Boiの秘蔵っ子って雰囲気が漂う勢いのある1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=pwnefUaKCbc

アルバムには未収録ですが、B.o.BLupe Fiascoが参加のリミックス(Wondamix)も話題になりました。

「Tightrope (Wondamix)」
http://www.youtube.com/watch?v=_GlpeFqMLZI

「Neon Gumbo」
インタールード的な小曲。

「Oh, Maker」
それまでのムードとはガラっと変わった近未来フォーキー・チューン。ハイパー感の中にアコースティック・サウンドを上手く溶け込ませています。
http://www.youtube.com/watch?v=azd3xD_1h-c

「Come Alive (The War Of The Roses)」
ハイパー・ロカビリーといった趣のロック色の強い1曲。Janelleの奇抜なヘア・スタイルにぴったりな1曲(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=mxvEn9wNkBQ

「Mushrooms & Roses」
エフェクトをかけたアンドロイドのようなリード・ヴォーカルが本作らしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=lV2-VyTyWVg

「Suite III Overture」
映画音楽のような繋ぎの小曲。

「Neon Valley Street」
美しいメロディ&アレンジとしっとりとしたJanelleのヴォーカルが印象的なミディアム・スロウ。
http://www.youtube.com/watch?v=bZhrBB0FNQ4

「Make The Bus」
インディー・ロック・バンドOf Montrealをフィーチャー。本作らしいミクスチャー感が反映された1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=6LzIoqUfOBI

「Wondaland」
ハイパーなドリーミー感が心地好い1曲。宇宙旅行しながら聴きたい(?)1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Xlo4oYaF4YE

「57821」
Deep Cottonをフィーチャー。ワルツ調の美しいアコースティック・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=4yQgciCLaWU

「Say You'll Go」
美しい音世界に魅了される1曲。エンディングが近いことを予感させます。
http://www.youtube.com/watch?v=AhcOiIll3BM

「BabopbyeYa」
ラストは映画サントラとハイパー・サウンドが合体したかのようなスケールの大きな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=z6QyGq982tQ

興味のある方はEP『Metropolis: The Chase Suite』(2008年)もどうぞ!

『Metropolis: The Chase Suite』(2008年)
Metropolis: The Chase Suite (Spec)
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月05日

Georgie Fame『Going Home』

芳醇な味わいが加わったグルーヴィー・ポップ☆Georgie Fame『Going Home』
ゴーイング・ホーム(紙ジャケット仕様)
発表年:1971年
ez的ジャンル:ブリティッシュ・グルーヴィー・ポップ
気分は... :家に帰れば・・・

仕事の忙しさに体調不良が加わり、ここ1〜2週間は記事を書くのにアップアップ状態です。セルフ・マネジメントに四苦八苦するようでは個人事業者として失格ですね。言い訳せずに頑張りマ〜ス!

今回はサバービア好きに人気の1枚Georgie Fame『Going Home』(1971年)です。

ジャケの雰囲気からして、今の時期に聴きたい1枚ですね。

Georgie Fame(本名:Clive Powell)は1943年イギリス、ランカシャー生まれのキーボード奏者/シンガー。

16歳のときにEddie Cochran、Gene VincentのUKツアーのピアニストに抜擢され、さらにはBilly FuryのバックバンドThe Blue Flamesに参加します。その後、The Blue Flamesを自身のバンドとして発展させ、Georgie Fame & The Blue Flamesとしてロンドンのフラミンゴ・クラブを中心に勢力的なライヴ活動を展開します。

当初はピアノを演奏していたFameでしたが、Jimmy Smith、Booker T. & the M.G.'s等の影響でオルガンを演奏するようになります。1965年にはシングル「Yeh Yeh」をUKチャートNo.1へ送り込み、オルガンをフィーチャーしたグルーヴィー&ヒップなR&Bサウンドでロンドンを熱狂させました。

「Yeh Yeh」
http://www.youtube.com/watch?v=CQ9nvljscEk

その後も「Getaway」「The Ballad of Bonnie and Clyde」といったUKチャートNo.1ヒットを生み出し、スウィンギング・ロンドンの狂騒の中で高い人気を誇りました。

70年代、80年代は不遇の時代が続きましたが、90年代にはVan MorrisonBen Sidranらとの交流を深めていきます。

どうしても大ヒット曲「Yeh Yeh」をはじめとする、スウィンギング・ロンドンの人気アーティストというイメージが強い人ですよね。実際、彼の活動のピークは1967年頃までであり、その後は不遇の時代を過ごしています。

今日紹介する『Going Home』(1971年)もそんな不遇時代の1枚ですが、人気コンピCafe Apres-midiに本作収録の「Happiness」が収録されたことでアルバム自体も注目されるようになりました。

ジャケの雰囲気そのままに、スウィンギング・ロンドン時代のグルーヴィー・ポップに芳醇な味わいが加わった印象の1枚です。

「Happiness」以外に、「Peaceful」(Kenny Rankinのカヴァー)、「Stormy」(Classics IVのカヴァー)あたりもグッとくるはずですよ!

プロデュースはKeith Mansfield/Martin Clarke。

円熟したブリティッシュ・グルーヴィー・ポップを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「I Believe In Love」
オープニングはピースフルなヤング・ソウル・チューン。小粋なエレピの音色とパーカッシヴなリズムとストリングスが印象的です。Scott English/Rosetta Hightower作。

「It Won't Hurt To Try It」
K. Allen作。優しくもちょっぴり切ないヴォーカル&サウンドにグッとくる1曲。

「Going Home」
タイトル曲はギリス人シンガー・ソングライターGary Bensonの作品。Gary Bensonは、Olivia Newton-John、Andy Gibb、The Shadows等数多くのアーティストがカヴァーした名曲「Don't Throw It All Away」で有名ですね。Gary Benson自身のヴァージョンは正規発売されなかった幻の1stアルバム『Reunion』(1970年)に収録されています。本ヴァージョンは大人のビターな味わいが隠し味の爽快ドリーミー・ポップ・チューンといったところでしょうか。

「Easy Lovin', Easy Livin'」
Valerie Avon/Harold Spiro作。元The Avonsのメンバー Valerie Avon作による王道ポップといった感じです。

「Sister Jane」
Roger earl Okin作。クラシカルなストリングスの効いた英国ポップらしい仕上がり。

「Peaceful」
Kenny Rankinの名曲カヴァー。美しいKenny Rankinヴァージョンも素晴らしいですが、よりリズミックな本ヴァージョンもキャッチーで魅力的です。
http://www.youtube.com/watch?v=v995yRJzWVQ

「Happiness」
今日的には本作のハイライトなのでは?前述のとおり、Cafe Apres-midiのコンピにも収録された人気曲。Little Anthony and the Imperials等への楽曲提供で知られるTeddy RandazzoとVictoria Pikeの共作。ポジティヴな雰囲気に溢れた躍動感にグッとくるグルーヴィー・ポップ!♪ハッピィ〜ネェ〜エス♪イェ・イェ・イェ〜イ♪

「Children Of My Mind」
Elton Johnへの一連の楽曲提供で有名なGary Osborneの作品。味わい深い1曲に仕上がっています。

「Lay Me Down」
P. Pickett作。ピアノとオルガンの織り成す荘厳な雰囲気にグッとくる感動バラード。

「Pass It Around」
Kenny Young作。リラックスした雰囲気とパーカッシヴなリズムが心地好い1曲。

「Foolish Child」
Gary Osborneの作品の2曲目。2曲ともChildがテーマになっているのが興味深いですね。派手さはありませんが、伝わってきます!

「Stormy」
ラストはClassics IVの名曲カヴァー(Buddy Buie/J.R. Cobb作)。当ブログではCafe Apres-midiのコンピにも収録されているThird Waveのドリーミー・カヴァーやReuben Wilsonのカヴァーも紹介済みです。本ヴァージョンもメロウなグルーヴ感にグッとくる好カヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=IoEzGtKJF4c

興味のある方は他のGeorgie Fame作品もチェックを!

『Rhythm and Blues at the Flamingo』(1964年)
リズム・アンド・ブルース・アット・ザ・フラミンゴ+10(紙ジャケット仕様)

『Fame at Last』(1965年)
フェイム・アット・ラスト+9(紙ジャケット仕様)

『Sweet Things』(1966年)
スウィート・シング+10(紙ジャケット仕様)

『The Two Faces of Fame』(1967年)
Two Faces of Fame

『The Third Face of Fame』(1968年)
ザ・サード・フェイス・オブ・フェイム(紙ジャケット仕様)

『Seventh Son』(1969年)
セヴンス・サン(紙ジャケット仕様)

『Shorty Featuring Georgie Fame』(1970年)
ショーティ・フィーチャリング・ジョージィ・フェイム(紙ジャケット仕様)

Fame and Price, Price and Fame『Together!』(1971年)
※Alan Priceとの共演作
Together

『Georgie Fame』(1974年)
ジョージィ・フェイム(紙ジャケット仕様)

コンパクトなベスト盤『20 Beat Classics』も便利だと思います。僕も長い間、愛聴しています。

『20 Beat Classics』
20 ビート・クラシックス
posted by ez at 13:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月04日

Dexter Gordon『Doin' Allright』

完全復活を遂げたDexのBlue Note第一弾アルバム☆Dexter Gordon『Doin' Allright』
ドゥーイン・オールライト+2
録音年:1961年
ez的ジャンル:男気ハードバップ
気分は... :体が資本です!

昨日は昨年末から感じていた体調に異変を診てもらうために病院へ・・・
幸い何の問題もないようで一安心です。

でも、根っからの病院嫌いで5年に一度くらいしか健康診断も受診しない性分なので、これを機会に胃カメラ等の検査も行うことにしました。

今日は"偉大なるワン・アンド・オンリー"テナー・サックス奏者Dexter Gordonです。

これまで当ブログで紹介したDexter Gordon作品は以下の5枚。

 『Dexter Calling...』(1961年)
 『Go』(1962年)
 『Our Man In Paris』(1963年)
 『One Flight Up』(1964年)
 『Gettin' Around』(1965年)

6枚目に紹介するのは『Doin' Allright』(1961年)です。

これまで紹介してきた作品リストを見ればわかるとおり、僕が取り上げるDex作品は全てBlue Note時代の作品です。何故だかBlue Note時代のDex作品を聴くと、とてもリラックスできます。

特別なことをしている訳ではないのに、マイペースな存在感があるというあたりが気に入っているのだと思います。

『Doin' Allright』(1961年)は、DexのBlue Note第一弾アルバムであり、麻薬中毒のため引退同然の状態だったDexが復調を示した1枚です。

レコーディング・メンバーはDexter Gordon(ts)、Freddie Hubbard(tp)、Horace Parlan(p)、 George Tucker(b)、Al Harewood(ds)。Horace Parlanの名盤『Us Three』のピアノ・トリオに、新進気鋭のトランペット奏者Freddie Hubbardが加わった布陣です。

大らかなスケール感が支配するDexらしい1枚に仕上がっています。

あくまでもDexの盛り上げ役に徹し、少し控えめなHubbard、小粋なプレイでアクセントを加えてくれるParlan、Tucker & Harewoodのずっしり重いリズム隊、といったDexの完全復活を支えるバック陣も素晴らしいです。

完全復活を遂げたDexの豪快なフレーズを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「I Was Doing Allright」
タイトル曲はIra Gershwin/George Gershwin作によるスタンダード。オリジナルは映画『The Goldwyn Follies』のために作られたものです。リラックス・ムードの中でDexが偉大なるワン・アンド・オンリーの存在感を示してくれます。Hubbardもそんな偉大な先輩に敬意を払ってか、少し控えめのソロといった感じです(笑)。Dex作品らしいムードを満喫できる小粋なオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=KIGbWrwV3NQ

「You've Changed」
Carl Fischer/Bill Carey作のスタンダード。個人的には本作のハイライト。Dexのテナーが切々と男心を奏でる感動のバラードです。Dexワールド全開です!
http://www.youtube.com/watch?v=zb7PnP6s5U8

「For Regulars Only」
Dexのオリジナル。DexとHubbardの二管によるテーマが印象的なハードバップ・チューン。続くDexのソロも聴き応え十分です。George TuckerとAl Harewoodのリズム隊がしっかりと全体を支えています。

「Society Red」
Dexのオリジナル。ブルージー&ファンキーな演奏が印象的です。ここではHubbardが先発でソロを演奏します。本作ではDexの盛り立て役の印象が強いHubbardですが、ここではらしいソロを聴かせてくれます。続くDexのブルージーなソロもグッときます。重く引きずるリズム隊もグッド!

「It's You Or No One」
ラストはJule Styne/Sammy Cahn作のスタンダード。Harewoodの歯切れの良いハイアットとTuckerのウォーキング・ベースが先導する格好良いアップ・チューンに仕上がっています。DexもHubbardを飛ばしまくりのフレーズを聴かせてくれます。Parlanのピアノ・ソロも実に小粋です。

CDには「For Regulars Only (Alternate Take)」「I Want More」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

Dexter Gordonの過去記事もご参照下さい。

『Dexter Calling...』(1961年)
Dexter Calling...

『Go』(1962年)
Go

『Our Man In Paris』(1963年)
Our Man in Paris

『One Flight Up』(1964年)
One Flight Up

『Gettin' Around』(1965年)
ゲッティン・アラウンド
posted by ez at 06:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月02日

The Aluminum Group『Pelo』

Tortoiseのメンバーが大挙参加の4thアルバム☆The Aluminum Group『Pelo』
ペロ
発表年:2000年
ez的ジャンル:シカゴ系ヒューマン・エクスペリメンタル・ポップ
気分は... :長友やったれ!

サッカーアジア杯決勝から数日が経ちますが、まだ盛り上がっていますね。

まさか長友がインテルへ移籍するとは思いませんでした。いくらアジア杯での大活躍があったとはいえ、移籍はシーズン終了もしくはユーヴェあたりへの移籍だと思っていたのですが・・・かなりサプライズでした。インテルでどの程度出場機会に恵まれるのかはビミョーですが、監督がレオナルドというのはラッキーかもしれませんね。

W杯後一気に海外でプレーする日本人選手が増え、気づけば海外プレー選手のみで代表先発メンバーが組める状況ですよね。その意味ではザック監督が要望するように、欧州で代表合宿を行い、強豪国とお互い良いコンディションで対戦するというは現実的な強化策という気がします。

W杯直前の日本代表の状況を思い出すと、約半年でよくここまで状況が好転したなぁ、という気がしますよね。

さて、今回はFrank & JohnのNavin兄弟を中心にしたシカゴのエクスペリメンタルなポップ・グループThe Aluminum Groupの4thアルバム『Pelo』です。

The Aluminum Groupの紹介は、3rdアルバム『Pedals』(1999年)
5thアルバム『Happyness』(2002年)に続き2回目となります。

『Pelo』は、レーベルを従来のMinty FreshからHefty Recordsへ移籍してのリリースとなった作品です。

シカゴ音響派の最重要人物Jim O'Rourkeがプロデュースした前作『Pedals』で、シカゴ音響派へグッと近づいたThe Aluminum Groupですが、本作は同じくシカゴ音響派を代表するグループTortoiseのメンバーが大挙参加しています。

その意味ではThe Aluminum GroupTortoiseのコラボ作品といった色合いが強いのかもしれません。

Tortoise/Isotope 217のJohn Herndonがプロデュースし、
Tortoise/The Sea And CakeJohn McEntireが共同プロデュースで加わっています。さらにTortoise/BrokebackDoug McCombs、TortoiseのJeff Parkerが参加しています。それ以外にも前作に続きChicago Underground Orchestra/Chicago Underground DuoのRob Mazurekも参加しています。

当時は共同プロデューサーのJohn McEntireばかりに注目していましたが、サウンドの鍵を握っていたのはプロデューサーJohn Herndonです。

前作以上にポストロック感は強まりましたが、The Aluminum Groupならではの美しいメロディも健在です。その意味では、The Aluminum Groupらしいヒューマンな温かさと、Tortoiseらしいポストロックなエクスペリメンタル感をうまく融合することに成功していると思います。

彼らの持つヒューマンでドリーミーだけどエクスペリメンタルでシニカルなポップ・ワールドは一度ハマると病みつきになります。

全曲紹介しときやす。

「Pussycat」
オススメその1。ノスタルジックなメロディとアコースティックな響きとエレクトロなリズムが 相俟って、近未来感とノスタルジー感が同居する独特のドリーミー・ポップを聴かせてくれます。エクスペリメンタルなんだけど聴きやすいのがThe Aluminum Groupの心憎いところですね。

「If You've Got A Lover, You've Got A Life」
哀愁サウンドが立体的な音空間を縦横無尽に駆け巡ります。本作の特徴である立体的なサウンドを存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=aWju01BOnUo

「Goodbye Goldfish, Hi Piranha」
ノスタルジックな哀愁サウンドは映画のサントラのようです。
http://www.youtube.com/watch?v=kLIphGoahYo

「Worrying Kind」
オススメその2。The Aluminum Groupらしいヴォーカル&メロディ全開の1曲。The Aluminum Groupの魅力をJohn Herndonが上手く引き出している1曲だと思います。

「Satellite」
オススメその3。人力ドラムン・ベースのリズムをバックに、The Aluminum Groupならではの美しいメロディが見事に融合した1曲。クラブ・ミュージック好きの人は興味深く聴くことができるのでは?

「Cannot Make You Out」
オススメその4。女性ヴォーカルをフィーチャーしたドリーミー・ポップ。爽やかな疾走感の中に隠し味程度にポストロック感があるのがいいですね。 きっと欧州の女性ジャジー・ポップが好きな人は気に入ると思います。

「Tom Of Finland (An Homage)」
この曲は エクスペリメンタル感を前面に出した仕上がりです。こうしたヒネくれた曲がないとThe Aluminum Groupらしくないですよね。

「Pussy Reprise」
インタールード的な1曲。フランス映画のサントラとかにありそう。

「Geraldine」
ヴァイヴの響きが落ち着くなんて思って聴いていると、次第にエレクトロ・ワールドへ・・・マッタリ感が魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=x4IGNztQL6c

「Sermon To The Frogs」
淡々とした中にもヒューマンな温もりを感じます。

国内盤には「If You've Got A Lover, You've Got A Life' (Stewart Walker Remix)」「If You've Got A Lover, You've Got A Life' (Slicker Remix)」「Next Time (Slicker Meets The Aluminum Group)」の3曲がボーナス・トラックとして収録されています。よりクラブ仕様のサウンドを楽しみたい方は国内盤をどうぞ!

『Pedals』(1999年)
ペダルス

『Happyness』(2002年)
Happyness
posted by ez at 02:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月01日

Alyson Williams『Raw』

元High Fashionの女性R&Bシンガーのソロ・デビュー・アルバム☆Alyson Williams『Raw』
Raw
発表年:1989年
ez的ジャンル:Def Jam系オーセンティックR&B
気分は... :体調回復せず・・・

風邪が直らず、仕事の生産性が上がらない低空飛行状態のここ2日間です。処理案件が溜まるばかりでマズイ状態かも?こんな時、個人事業者は辛いですねぇ(泣)

今回は元High Fashionの女性R&BシンガーAlyson Williamsのソロ・デビュー・アルバム『Raw』(1989年)です。

Alyson Williamsは1962年N.Y.生まれのR&Bシンガー。

父親はトランペット奏者Bobby Bookerという音楽家系で育ったAlysonは、1980年代にEric McClintonMeli'sa MorganHigh Fashionを結成し、『Feelin' Lucky』(1982年)、『Make Up Your Mind』(1983年)という2枚のアルバムをリリースしています(Meli'sa Morganは1983年に脱退し、代わりにMarcella Allenが加入)。

また、バック・ヴォーカルとして数多くのレコーディングに参加し、Melba Moore、The B.B. & Q. Band、 Unlimited Touch、Kurtis Blow、Fat Boys、Curtis Hairston、Tashan、Cashflow等の作品でAlyson Williamsの名を確認することができます。

そして、1985年にソロ・デビューした元同僚のMeli'sa Morganの後を追うように、1986年に1stソロ・シングル「Yes We Can Can」(Pointer Sistersのカヴァー)をリリースします。

1987年にはRussell Simmonsらが率いるDef Jamと契約し、1989年に1stソロ・アルバム『Raw』をリリースします。『Raw』は評論家やR&Bファンから高い評価を受け、R&BシンガーAlyson Williamsの名を広く知らしめました。

その後、1992年に2ndアルバム『Alyson Williams』、2004年に3rdアルバム『It's About Time』をリリースしています。日本人には久保田利伸とのデュエットで記憶されている方もいるかもしれませんね。

当時R&Bをお聴きの方であれば、本作『Raw』に鮮烈な印象をお持ちだった方も多いのでは?僕もそんな一人であり、個人的には1989年のベストR&B作品として愛聴していた記憶があります。

そもそもHip-Hopレーベルのイメージが強いDef Jamからこうした正統派の女性R&Bシンガーのアルバムがリリースされたことがサプライズですね。まぁ、アルバム前半のオーセンティックな作りに対して、後半は80年代後半らしい打ち込みアップ・チューン中心であり、アルバム全体で見れば必ずしも正統派とは言えない面もありますが・・・

それでもアルバム前半の6曲とCDのみ収録の最後の2曲の素晴らしさは格別です。

レーベル・メイトのOran 'Juice' JonesChuck Stanleyをはじめ、Ted Mills(Blue Magic)、女性ラッパーNikki Dがゲスト参加しています。また、Def Jamの総帥Russell Simmonsをはじめ、Vincent Bell、Alvin Moody、Denzil Miller、Ted Mills、Abdul Kalig、Trevor Bernard、Maurice Wingate、Bill Stephney、Eric Sadler、Hank Shockleeといった多彩なメンバーがプロダクションに関わっています。

オープニング曲「Just Call My Name」を聴けば、本作が名盤との評価を受ける理由がわかると思います。

全曲紹介しときやす。

「Just Call My Name」
アルバムで一番のお気に入りの極上ミディアム・スロウ。シングルとして全米R&Bチャート第4位となりました。男性バック・ヴォーカルのPhillip Ingram(James Ingramの弟、元Switch、元Deco)との絡みが大人のムードを高めてくれます。また、スムース・ジャズ・ファンにはお馴染みNajeeのサックスも効果的です。ちなみにドラムはOmar Hakim。
http://www.youtube.com/watch?v=paV1-ntPthM

「We're Gonna Make It」
Blue MagicのTed Millsをフィーチャー。バック・ヴォーカルもBlue Magicが務めています。プロデューサーのVincent Bell & Alvin Moodyが本作同じ1989年にリリースされたBlue Magicのアルバム『From Out Of The Blue』をプロデュースした関係で共演が実現したのだと思います。実にオーセンティックなソウル・チューンに仕上がっています。

「I Looked Into Your Eyes」
曲自体が今イチですが、その分Alysonのヴォーカリストとしての実力を認識できる1曲です。バック・コーラスはJocelyn Brown、Lisa Fischerが務めています。

「Not On The Outside」
The Momentsのデビュー・シングルにしてスウィート・ソウル名曲をカヴァー。シングルとして全米R&Bチャート第35位となりました。クワイエット・ストームな仕上がりがこの時代らしいですね。Jocelyn Brown、Chuck Stanleyらのバック・コーラス陣もいい仕事しています。

「Masquerade」
個人的には「Just Call My Name」、「How To Love Again」と並ぶお気に入り。美しいメロディとAlysonの素晴らしいヴォーカルを堪能できる感動のミディアム・スロウです。

「I'm So Glad」
レーベル・メイトChuck Stanleyをフィーチャーゴスペル調の荘厳な仕上がりが印象的です。

「My Love Is So Raw」
Nikki DのラップをフィーチャーしたNJSチューン。シングルとして全米R&Bチャート第12位となりました。それまでのスロウ〜ミディアム中心の展開から一転してしまうのがこの時代らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ZOdnIAhU-rw

「On The Rocks」
打ち込みサウンドによるダンス・チューン。今聴くとチープな音ですが、そのレトロ感が逆に面白かったりします。

「Still My No.1」
この曲も打ち込みサウンドによるダンス・チューン。この曲だけは昔も今もスキップしがちなのですが(笑)

「I Need Your Lovin'」
シングルとしてR&Bチャート第5位となりました。落ち着いた雰囲気にグッとくるアーバンなミディアム・スロウです。
http://www.youtube.com/watch?v=tlKrxqzR-5M

「Sleep Talk」
アルバムからの1stシングルとなったダンス・チューン。全米R&Bチャート第3位のヒットとなりました。Alysonにこういった楽曲が必要なのか?という点では疑問も感じますが、パンチの効いたアップ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=vIbnn7UDoiU

アナログ盤はここまでの10曲構成ですが、CDには「Make You Mine Tonight」「How To Love Again」の2曲が追加収録されています。この2曲の追加でアルバム全体の魅力がグッとアップしていると思います。

「Make You Mine Tonight」
1987年にChuck Stanleyとのデュエットでシングル・リリースした楽曲。しっとりとした大人のラブ・バラードに仕上がっています。

「How To Love Again」
「Just Call My Name」、「Masquerade」と並ぶお気に入り曲。レーベル・メイトOran 'Juice' Jonesのアルバム『G.T.O. Gangsters Takin' Over』(1987年)でAlysonがゲスト参加した楽曲。何の変哲もない楽曲なのですが、Oran 'Juice' Jonesのへナへナ・ファルセット・ヴォーカルとAlysonのエモーショナル・ヴォーカルが化学反応を起こして不思議な魅力を醸し出します。

ご興味のある方はAlyson Williamsの他のアルバムやHigh Fashionのアルバムもどうぞ!

『It's About Time』(2004年)
It's About Time

High Fashion『Feelin' Lucky』(1982年)
フィーリン・ラッキー

High Fashion『Make Up Your Mind』(1983年)
メイク・アップ・ユア・マインド
posted by ez at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする