発表年:2011年
ez的ジャンル:UK出身大人の女性R&B
気分は... :決死のミッション遂行に感謝!
原発危機は、大量放水の実施と電源復旧に向けた工事が進み、少しは事態が好転し始めてきましたね。国民のために決死のミッションを全うするハイパーレスキュー隊の方々の使命感と勇気に感謝!感謝!感謝!です。隊長の会見を観ていたら涙が溢れてきました。
今回は元FloetryのMarsha Ambrosiusによる初のソロ・アルバム『Late Nights & Early Mornings』です。
Marsha "Songtress" Ambrosiusは1977年イギリス、リヴァプール生まれの女性シンガー。1997年にロンドンでNatalie "Floacist" Stewart(MC)と女性R&BデュオFloetryを結成し、2000年にアメリカ、フィラデルフィアに拠点を移し、Jazzy Jeff率いるプロダクションA Touch Of Jazz(ATOJ)の一員に加わります。
MarshaがMichael Jacksonのシングル「Butterflies」(2001年)のソングライティングを手掛けたことで注目を集め、2002年にはFloetryとしてのデビュー・アルバム『Floetic』をリリースします。同作は2003年のグラミー賞3部門にノミネートされるなどネオ・フィリー期待のアーティストと目されていました。
こうして順調なスタートを切ったFloetryでしたが、2ndアルバム『Flo'Ology』(2005年)をリリースした後、2007年に解散してしまいます。
その後も多くのアーティストの楽曲に客演し、2008年にはDr. Dre.のAftermathと契約するなどコンスタントに活動していたMarshaでしたが、断片的にしか情報が伝わってこず、日本からは近況がわかりづらい状況でした。
Common feat. Marsha Ambrosius「The Light '08」
http://www.youtube.com/watch?v=4MDLCbjbJdA
しかし、2010年にJ Recordsと契約したことで、ソロ・アルバム・リリースの体制が整い、発売延期という紆余曲折があったものの、遂にアルバム・リリースとなりました。
アルバムは見事に全米アルバム・チャート第2位、同R&Bアルバム・チャート第1位に輝き、Marsha Ambrosiusの名が再び注目されています。
『Floetic』、『Flo'Ology』という2枚のアルバムを紹介済みであるように、個人的にはFloetryは大好きなグループでした。それだけにMarsha Ambrosiusのソロ・アルバムに対する期待もかなり高かったですが、期待を裏切らない素晴らしい内容の作品に仕上がっています。
アルバム・タイトルは朝早かったり、夜遅かったりするミュージシャンのライフスタイルを表しているのだとか。不規則な生活を送る僕にもグッとくるタイトルです。
ミディアム〜スロウを中心に、Floetry時代以上に大人のシンガーとして成熟してきた印象を受けるアルバムです。そのあたりは、アルバム・ジャケにも反映されていますね。Floetry時代を知る人は、こんなにセクシーなイメージだったっけ?と思われる方も多いのでは。
奇しくも、昨年末にもう一人のFloetry、Natalie "The Floacist" Stewartも初ソロ・アルバム『Floetic Soul』をリリースしています。ネオ・フィリー仲間のMusiq Soulchildがゲスト参加しています。
Natalie "The Floacist" Stewart『Floetic Soul』
Natalie "The Floacist" Stewart feat. Musiq Soulchild「Forever」
http://www.youtube.com/watch?v=LqCDGjo4p9A
Floetryを知っている人も知らない人も満喫できる大人の女性R&Bアルバムです。
全曲紹介しときやす。
「Anticipation (Intro)」
アルバムのイントロ。
「With You」
J Recordsのレーベル・メイトAlicia Keysとの共作。当初、Aliciaの『As I Am』のために用意した曲のようです。美しいピアノをバックに官能的なMarshaのヴォーカルが映えます。
http://www.youtube.com/watch?v=o0xG_H_bw80
「Late Nights & Early Mornings」
タイトル曲はAmerie等でお馴染みRich Harrisonプロデュース。ソングライティングもMarshaとRich Harrisonの共作です。哀愁メロディと切々としたMarshaのヴォーカルにグッとくる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=FIpo3I5fLn0
「Hope She Cheats On You (With A Basketball Player)」
アルバムに先駆けて昨年リリースされたシングル曲。切ないメロディにグッとくるミッド・グルーヴですが、歌詞は「彼女がイケメンでお金持ちのバスケットボール選手と浮気したら・・・」というユーモラスな恋愛ソングになっています。Marsha Ambrosius/Canei Finchプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=Q0qd3qeC3Ms
「Far Away」
アルバムからの2ndシングル。MarshaとSterling Simms等の共作。Just Blazeプロデュース。普通のラブ・ソングのようにも聴こえますが、PVを観てもわかるように同性愛者への差別やいじめについて言及したメッセージ・ソングです。さり気にヴォコーダー部分は「You Keep Me Hanging On」ネタです。
http://www.youtube.com/watch?v=ofsib2eu02o
「Lose Myself」
Marshaが敬愛するLauryn Hillのカヴァー。映画『Surf's Up』のサントラに収録されたLauryn Hillの中でもマイナーな楽曲ですが、その歌詞にMarshaが共感したようです。アップテンポのオリジナルをイメージすると、同じ楽曲だと気付かないかもしれない感動バラードに仕上がっています。正直、オリジナルを聴いてもさほど特別な曲だと思いませんでしたが、本カヴァーは素晴らしいの一言に尽きます。Canei Finchプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=DudoLQG8ur4
思えば、Floetryのシンガー&MCというスタイルは、明らかにLauryn Hillを意識したものでしたからね。Marshaが彼女に憧れるのはわかりますね。
「Your Hands」
Floetry時代からの付き合いとなるDre & Vidalプロデュース。シンプルながらも厳かでスケール感の大きなバラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=JxbYxX-ykbM
「I Want You To Stay」
僕の一番のお気に入り曲。ちょっぴり切ない美メロのミッド・グルーヴです。Marsha Ambrosius自身がセルフプロデュースしており、曲良し、歌良し、サウンド良しとMarshaのトータルな才能が凝縮された1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=oDz1n7sglFw
「Sour Times」
UKのトリップ・ホップ・グループPortisheadの代表曲をカヴァー。ネオ・ソウル・シンガーのMarshaがPortisheadのようなダウナーな楽曲を取り上げることを意外に感じる方もいるかもしれませんが、彼女がUK出身であることを思えば納得できるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=YdJu5GV0ikg
「Tears」
Rose Royce「Crying」ネタのイナたいメロディにグッとくるソウル・バラード。Marshaのソウル・シンガーとしての実力を認識できる1曲です。Focusプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=FIpo3I5fLn0
「Chasing Clouds」
Mary J. BligeおよびNe-Yo作品でグラミーを獲得しているSyience(Reggie Perry)プロデュース。僕好みの軽快かつドリーミーな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=x55UAzfHG0Y
「The Break Up Song」
ラストは真摯で誠実な思いが伝わってくるバラード。Marshaのセルフプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=c7WR8Lj0U1w
「Butterflies(Remix)」
ボーナス・トラックとして名曲「Butterflies」のリミックスが収録されています。「Butterflies」のセルフカヴァー自体は『Floetic』(2002年)にも収録されていましたが、今回はより華やかに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=VjQn1DTDFUA
Floetryの2枚のアルバムもチェックを!
『Floetic』(2002年)
『Flo'Ology』(2005年)