発表年:1994年
ez的ジャンル:MPBの歌姫
気分は... :ローズの香り・・・
MPBの歌姫Marisa Monteの3rdアルバム『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(英題:Rose and Charcoal)』(1994年)です。
これまで当ブログで紹介したMarisa Monte作品は以下の3枚。
『Marisa Monte(MM)』(1989年)
『Mais』(1991年)
『Universo Ao Meu Redor』(2006
少し前に書いたDadi『Dadi』のエントリー時から、Marisa Monteが聴きたくなり、ここ5日間毎日聴いているのが本作『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(Rose and Charcoal)』です。
Arto Lindsayがプロデュースした2ndアルバム『Mais』(1991年)で世界中の音楽ファンにその名を知らしめたMarisa Monteでしたが、多くのファンの期待の中で制作された3rdアルバムが本作です。
前作『Mais』に続きArto Lindsayがプロデュースし、Marisa Monte自身も共同プロデューサーとしてクレジットされています。
『Mais』はMark Ribot、Melvin Gibbs、John Zorn、坂本龍一といったArto Lindsay人脈のミュージシャンも参加し、アヴァンギャルドなテイストも入ったArto Lindsay色の出たアルバムに仕上がっていました。
一方、本作『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(Rose and Charcoal)』はそうしたアヴァンギャルドな色合いは薄まり、よりMPBらしいアルバムに仕上がっています。しかも、伝統的なブラジル音楽とモダンなMPBを見事に融合させた"開かれた"ブラジル音楽作品という印象を受けます。
レコーディングには、Marisa Monte(vo)、Nando Reis(g)、Arthur Maia(b)、Jorginho Gomes(ds)、Marcos Suzano(per)Carlinhos Brown(per)といったメンバーを中心に、Bernie Worrell(key)、Gilberto Gil(g)、Paulinho da Viola(g)、Celso Fonseca(g)、Romero Lubambo(g)、Nana Vasconcelos(per)、Laurie Anderson(vo)、ショーロ名門バンドEpoca de Ouro、老舗サンバ・グループVelha Guarda da Portela、Philip Glass(brass & strings arr)等が参加しています。
Marisa自身と後にTribalistasをMarisaと組むCarlinhos Brown、Arnaldo Antunesの二人、さらにはNando Reisがソングライティングに参加しています。
MPBの持つさまざまな魅力を色彩豊かに伝えてくれるのがいいですね。
ブラジル音楽好き以外は勿論のこと、普段あまりブラジル音楽を聴かない人でも楽しめるはずです。
捨て曲ナシ、全曲オススメです!
全曲紹介しときやす。
「Maria De Verdade」
Carlinhos Brown作。ノスタルジックな雰囲気の中でCarlinhos Brownらしいパーカッシヴなテイストがいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=DXQLpfmdIBI
「Na Estrada」
Marisa Monte/Nando Reis/Carlinhos Brown作。アルバムで一番のお気に入り!Marisaの爽快かつ凛とした歌声にグッときます。Bernie Worrellのオルガンがいい味出しています。ブラジル音楽好き以外の人でも感動できる普遍的な魅力を持つ1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Yz56KkYVCYQ
「Ao Meu Redor」
Nando Reis作。現代音楽をリードする音楽家Philip Glassによるホーン&ストリングス・アレンジが印象的な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=O0vqdG47iMw
「Segue O Seco」
Carlinhos Brown作。Marcos Suzanoによるビリンバウをはじめとする民族色を強く押し出した演奏とMarisaの歌声がマッチした味わい深い1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=n69dzNKFZYE
「Pale Blue Eyes」
The Velvet Undergroundのカヴァー(Lou Reed作)。オリジナルは『The Velvet Underground』(1969年)に収録されています。Romero Lubamboのギター、Nana Vasconcelosのパーカッションのみというシンプルな演奏をバックに、オリジナルの持つ寂しい雰囲気を残しつつもMarisaらしい瑞々しさも上手く引き出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=dJtr1o4XXGQ
脱線しますが、てっきり『The Velvet Underground』(1969年)を当ブログで紹介済みだと思っていましたが、確認したら未紹介でした。近々取り上げたいと思います。
「Danca Da Solidao」
Paulinho da Viola作品のカヴァー。Paulinho da Violaのオリジナルは『A Danca da Solidao』(1972年)に収録されています。ブラジル音楽好きならば相当グッとくる絶品カヴァーに仕上がっています。Gilberto Gilがアコースティック・ギター&コーラス、Celso Fonsecaがエレクトリック・ギターで参加しています。バス・クラリネットのNed Rothenberg、パーカッションのMarcos Suzano等も含めた素晴らしい演奏と気だるく艶やかなMarisaのヴォーカルが一体化したパーフェクトな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=3SZg0-lhWCA
「De Mais Ninguem」
Marisa Monte/Arnaldo Antunes作。ショーロ名門バンドEpoca de Ouroが参加したシブい味わいにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=QmrSDpfdVMM
「Alta Noite」
Arnaldo Antunes作。「Na Estrada」と並ぶ僕のお気に入り。美しいメロディとMarisaの歌声が優しく包み込んでくれる極上の癒しです。Romero Lubamboのギターも素晴らしい!
http://www.youtube.com/watch?v=k1XY1DBU1D4
「O Ceu」
Nando Reis/Marisa Monte作。リズミックな仕上がりが印象的です。
「Bem Leve」
Marisa Monte/Arnaldo Antunes作。淡々とした中で哀愁モードの気だるい歌声にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=udHofgHt9Ik
「Balanca Pema」
Jorge Benの名曲カヴァー。Jorge Benのオリジナルは『Samba Esquema Novo』(1963年)に収録されています。ここではセクシーな絶品サンバ・チューンで聴かせてくれます。このサンバ・チューンを盛り上げているのがBernie Worrellのオルガンというのが面白いですね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=7QtQi3bL6RI
「Enquanto Isso」
Marisa Monte/Nando Reis作。Laurie Andersonがヴォーカルで参加しています。Marisa MonteとLaurie Andersonの組み合わせは全くピンと来ませんが、Arto Lindsayが間に入ると妙に納得してしまいます(笑)。モダンかつロマンティックな仕上がりがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=jE8P3oN1D_I
「Esta Melodia」
Bubu da Portela/Jamelao作。サンバ・シンガーJamelaoによるオリジナルは1959年に録音されています。老舗サンバ・グループVelha Guarda da Portelaが参加し、ラストは感動的なサンバで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=5LmysZMD--0
Marisa Monte作品の過去記事もご参照下さい。
『Marisa Monte(MM)』(1989年)
『Mais』(1991年)
『Universo Ao Meu Redor』(2006年)