2011年03月11日

The Velvet Underground『The Velvet Underground』

John Caleが抜け、Lou Reedの個性が色濃く出た3rd☆The Velvet Underground『The Velvet Underground』
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドIII(紙ジャケット仕様)
発表年:1969年
ez的ジャンル:伝説のバンド系贖罪ロック
気分は... :災い転じて福となす

The Velvet Undergroundの3rdアルバム『The Velvet Underground』(1969年)です。

一昨日のエントリーMarisa Monte『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(Rose and Charcoal)』の中でThe Velvet Undergroundのカヴァー「Pale Blue Eyes」を紹介しましたが、その際にオリジナルが収録されていた『The Velvet Underground』(1969年)を未紹介であったことに気付きました。

僕の記憶の中では数年前位に記事にしたつもりでいたのですが・・・そんな訳でここ数日『The Velvet Underground』(1969年)のことが気になっていたので、再び忘却してしまわないうちにエントリーすることにしました。

The Velvet Underground(VU)の紹介はデビュー作『The Velvet Underground & Nico』(1967、2ndアルバム『White Light/White Heat』(1968年)に続き3回目となります。

衝撃的な1st『The Velvet Underground & Nico』、ノイジーでアヴァンギャルドな『White Light/White Heat』と比較すると、穏やかで刺激の少ない印象もあるのが3rd『The Velvet Underground』かもしれません。

前作『White Light/White Heat』を最後に、Lou Reedと並ぶグループの中心John Caleが脱退してしまったことも、本作の評価に影響を及ぼしているかもしれませんね。

一方で、この穏やかでフォーキーな演奏が多く含まれるアルバムをVUの最高傑作に挙げる人も数多くいますね。特にLou Reed好きの人にとっては、John Caleが抜けた分、Lou Reedの個性が色濃く出ている点に魅力を感じるアルバムが本作『The Velvet Underground』ではないでしょうか。

John Caleに代わりDoug Yuleが参加し、Lou ReedSterling MorrisonMaureen TuckerDoug Yuleというのは本作におけるVUのラインナップです。

個人的には穏やかなヴォーカル&演奏の先にある美しくも儚い雰囲気がたまらなく好きです。また、贖罪を意識させる歌詞が多いのも僕を本作に惹きつける理由です。

本作は彼らの拠点であったN.Y.ではなくL.A.で行われましたが、L.A.の空港で機材一式を盗まれてしまうというトラブルに見舞われます。しかし、そのトラブルが結果的に穏やかでフォーキーな味わいのアルバムを生み出すきっかけとなったようです。"災い転じて福となす"といった名盤かもしれませんね。

楽曲は全てLou Reedのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Candy Says」
Andy Warholとの交友で知られるトランスセクシャル女優Candy Darling (1944-1974年)について歌ったオープニング。新加入のDoug Yuleによるソフトタッチのヴォーカルと穏やかな演奏が美しくも儚い世界を見事に表現しています。その先に安息の地はあるのか・・・
http://www.youtube.com/watch?v=CEVyf6y_-Y4

「What Goes On」
シンプルに疾走するロックンロール。シングルにもなりました。VUの楽曲の中でも屈指の格好良さを持った1曲ですね。キャッチーなのに生々しい感じが大好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=vtntDoDoEbQ

「Some Kinda Love」
Lou Reedらしいヴォーカル&メロディを満喫できるシンプルなロック・チューン。この節回しがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=Fh-GNnCwHj4

「Pale Blue Eyes」
前述のようにアルバム屈指の名曲。とは言っても不倫ソングですが(笑)。Louの寂しげヴォーカルと美しいメロディが胸に迫ってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=Nir4BnNIFmg

「Jesus」
美しいメロディを持つフォーキーな贖罪ソング。デモテープのような演奏が逆に好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=a2FNI0SJnP0

「Beginning to See the Light」
「What Goes On」と並ぶ疾走感を持つロック・チューン。目を閉じて聴いていると目蓋の中で閃光が走ります。
http://www.youtube.com/watch?v=J3gWi9bBkHQ

「I'm Set Free」
淡々とした中にも力強い手応えを感じる1曲。自由に解き放たれて何処へ向かうのだろう・・・
http://www.youtube.com/watch?v=wfzoyDOXfzY

「That's the Story of My Life」
アルバム中唯一苦手な1曲(笑)。このイモ臭いホンワカ加減だけはどうしても・・・

「The Murder Mystery」
邦題「殺人ミステリー」。穏やかなムードが漂うアルバムの中で、狂気とアヴァンギャルド感が支配する1曲。メンバー全員がヴォーカルを担当しています。アートな展開の終盤も印象的です。個人的にはDoorsあたりと一緒に聴きたくります。
http://www.youtube.com/watch?v=ReshXo9AJ_Q

「After Hours」
ラストはMaureen Tuckerのリード・ヴォーカルをとるフォーキー・チューンで穏やかにアルバムの幕は閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=tE8KBWgUZxw

VUのスタジオ作4枚は、いずれも今でも色褪せないマスト・アイテムですね。

『The Velvet Underground & Nico』(1967年)
The Velvet Underground & Nico

『White Light/White Heat』(1968年)
White Light/White Heat

Loaded(1970年) ※Fully Loaded Edition
Loaded (Fully Loaded Edition)
posted by ez at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする