発表年:1971年
ez的ジャンル:国民的歌手系MPB
気分は... :日常を取り戻すために・・・
今日から通常の記事エントリーに戻りたいと思います。
被災地や原発危機の状況を思うと、まだまだ複雑な気分であることは事実です。
また、自分自身も"輪番制"計画停電に振り回され、仕事にならないこの一週間でした。
そんな中で、まずは日常を取り戻すことが大事だと思っています。
仕事や生活面で日常を取り戻せるかは不透明なので、せめてブログぐらいはいつも通り戻したいと思います。
この一週間、もし通常の記事投稿に戻ったならば、一発目はElis Reginaにしようと決めていました。彼女の生命力のある歌声は、聴く者に生きる勇気とパワーを与えてくれますからね。
ということで、ブラジルの国民的歌手Elis Reginaが1971年にリリースしたアルバム『Ela』です。
これまで当ブログで紹介してきたElis Regina作品は以下の6枚。
『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
『Aquarela Do Brasil』(1969年) ※Toots Thielemansとの共演
『Elis Regina in London』(1969年)
『Em Pleno Verao』(1970年)
『Elis』(1974年)
『Essa Mulher』(1978年)
最初はボサノヴァの巨匠Antonio Carlos Jobim(Tom Jobim)との夢の共演盤『Elis & Tom』(1974年)あたりにしようと思いましたが、落ち着きのある『Elis & Tom』よりも、パワフルな『Ela』の方が、日常を取り戻すことができると思いセレクトしました。
Elis Regina好き以外の人にとって、『Ela』はあまり馴染みのないアルバムかもしれません。ジャケも地味ですし・・・でも地味なジャケからは想像できないほど、内容はソウル、ロックの影響が強いファンキーな内容です。
次作『Elis』(1972年)からは公私にわたり新しいパートナーとなるCesar Camargo Marianoがサウンド・プロダクションを手掛け、新たな方向性を打ち出していきます。その意味では、60年代後半からの弾けた"グルーヴ時代"のElisの集大成的アルバムが本作『Ela』ということになるのでは?
若手の才能あるアーティストの作品を積極的に取り上げる、"才能発掘の名人"Elisですが、本作ではIvan Linsという才能を発掘しています。本作に収録された「Ih! Meu Deus do Ceu」、「Madalena」というIvan Lins作品は、アルバムの中でも一際輝く2曲だと思います。
プロデュースはNelson Motta、サウンド・ディレクションはRoberto Menescalが務めています。
Elisを聴いて元気を取り戻そう!
全曲紹介しときやす。
「Ih! Meu Deus do Ceu」
邦題「ああ!神様」。Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。オープニングを飾るのはファンキーMPB。聴いているだけで元気になる1曲!クラブ系でも重宝する1曲なのでは?
「Black is Beautiful」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。Marcos自身のヴァージョンはアルバム『Garra』(1971年)に収録されています。ソウルフルな黒人賛歌です。Elisの魂のヴォーカルを堪能できる感動的な仕上がりです。作者MarcosもこのElisヴァージョンを相当気に入っているみたいです。
http://www.youtube.com/watch?v=BzrGDTUQ_KE
「Cinema Olympia」
Caetano Veloso作品。サイケ調のGal Costaヴァージョン(アルバム『Gal』収録)でお馴染みの楽曲です。Elisヴァージョンはファンキー・ロックな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=ghcAoyoq0eQ
「Golden Slumbers」
ご存知The Beatles『Abbey Road』収録の名曲カヴァー。実際には「Golden Slumbers〜Carry That Weight」のメドレーになっています。BeatlesファンにElis Reginaの素晴らしさを実感してもらえる熱唱です。
http://www.youtube.com/watch?v=qeOzNxh2TEU
「Falei e Disse」
Baden Powell/Paulo Cesar Pinheiro作。5曲目にして、ようやくジャズ・サンバ調の楽曲です。このあたりは貫禄の歌いっぷりです。
http://www.youtube.com/watch?v=eZE3HUlvJcU
「Aviso aos Navegantes」
この曲もBaden Powell/Paulo Cesar Pinheiro作。エレガントなアレンジとElisの表情豊かなヴォーカルがマッチした小粋なボッサ・チューン。
「Mundo Deserto」
Roberto Carlos/Erasmo Carlos作。パンチの効いたヴォーカル&演奏が素晴らしいファンキー・チューンですね。密かに好きな1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=6KMcFnGzMXQ
「Ela」
Cesar Costa Filho/Aldir Blanc作。タイトル曲は優しい歌声で聴く者の心を包み込んでくれます。パワフルなElisも大好きですが、抑えたElisも絶品です。
http://www.youtube.com/watch?v=FF6kHcB8q-U
「Madalena」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。本作のハイライトとも呼ぶべきIvan Lins作の名曲。軽快なジャズ・サンバをElisが自由自在を操ります。
http://www.youtube.com/watch?v=AQIcSPdMqWI
「Os Argonautas」
Caetano Veloso作品。
Caetanoのオリジナルは以前に紹介した『Caetano Veloso』(1969年)に収録されています。ファド・テイストのメランコリック・ムードの楽曲ですが、Elisヴァージョンは気品溢れるヴォーカルに魅了されます。
「Estrada do Sol」
Antonio Carlos Jobim/Dolores Duran作品。ラストはパーカッシヴなファンキー・チューンでアルバムを締め括ってくれます。
Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。
『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
『Aquarela Do Brasil』(1969年)
『Elis Regina in London』(1969年)
『Em Pleno Verao』(1970年)
『Elis』(1974年)
『Essa Mulher』(1978年)