2011年03月19日

Elis Regina『Ela』

ソウル、ロックの影響が強いファンキー作品☆Elis Regina『Ela』
エラ 1971
発表年:1971年
ez的ジャンル:国民的歌手系MPB
気分は... :日常を取り戻すために・・・

今日から通常の記事エントリーに戻りたいと思います。

被災地や原発危機の状況を思うと、まだまだ複雑な気分であることは事実です。
また、自分自身も"輪番制"計画停電に振り回され、仕事にならないこの一週間でした。

そんな中で、まずは日常を取り戻すことが大事だと思っています。
仕事や生活面で日常を取り戻せるかは不透明なので、せめてブログぐらいはいつも通り戻したいと思います。

この一週間、もし通常の記事投稿に戻ったならば、一発目はElis Reginaにしようと決めていました。彼女の生命力のある歌声は、聴く者に生きる勇気とパワーを与えてくれますからね。

ということで、ブラジルの国民的歌手Elis Reginaが1971年にリリースしたアルバム『Ela』です。

これまで当ブログで紹介してきたElis Regina作品は以下の6枚。

 『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
 『Aquarela Do Brasil』(1969年) ※Toots Thielemansとの共演
 『Elis Regina in London』(1969年)
 『Em Pleno Verao』(1970年)
 『Elis』(1974年)
 『Essa Mulher』(1978年)

最初はボサノヴァの巨匠Antonio Carlos Jobim(Tom Jobim)との夢の共演盤『Elis & Tom』(1974年)あたりにしようと思いましたが、落ち着きのある『Elis & Tom』よりも、パワフルな『Ela』の方が、日常を取り戻すことができると思いセレクトしました。

Elis Regina好き以外の人にとって、『Ela』はあまり馴染みのないアルバムかもしれません。ジャケも地味ですし・・・でも地味なジャケからは想像できないほど、内容はソウル、ロックの影響が強いファンキーな内容です。

次作『Elis』(1972年)からは公私にわたり新しいパートナーとなるCesar Camargo Marianoがサウンド・プロダクションを手掛け、新たな方向性を打ち出していきます。その意味では、60年代後半からの弾けた"グルーヴ時代"のElisの集大成的アルバムが本作『Ela』ということになるのでは?

若手の才能あるアーティストの作品を積極的に取り上げる、"才能発掘の名人"Elisですが、本作ではIvan Linsという才能を発掘しています。本作に収録された「Ih! Meu Deus do Ceu」「Madalena」というIvan Lins作品は、アルバムの中でも一際輝く2曲だと思います。

プロデュースはNelson Motta、サウンド・ディレクションはRoberto Menescalが務めています。

Elisを聴いて元気を取り戻そう!

全曲紹介しときやす。

「Ih! Meu Deus do Ceu」
邦題「ああ!神様」。Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。オープニングを飾るのはファンキーMPB。聴いているだけで元気になる1曲!クラブ系でも重宝する1曲なのでは?

「Black is Beautiful」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。Marcos自身のヴァージョンはアルバム『Garra』(1971年)に収録されています。ソウルフルな黒人賛歌です。Elisの魂のヴォーカルを堪能できる感動的な仕上がりです。作者MarcosもこのElisヴァージョンを相当気に入っているみたいです。
http://www.youtube.com/watch?v=BzrGDTUQ_KE

「Cinema Olympia」
Caetano Veloso作品。サイケ調のGal Costaヴァージョン(アルバム『Gal』収録)でお馴染みの楽曲です。Elisヴァージョンはファンキー・ロックな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=ghcAoyoq0eQ

「Golden Slumbers」
ご存知The Beatles『Abbey Road』収録の名曲カヴァー。実際には「Golden Slumbers〜Carry That Weight」のメドレーになっています。BeatlesファンにElis Reginaの素晴らしさを実感してもらえる熱唱です。
http://www.youtube.com/watch?v=qeOzNxh2TEU

「Falei e Disse」
Baden Powell/Paulo Cesar Pinheiro作。5曲目にして、ようやくジャズ・サンバ調の楽曲です。このあたりは貫禄の歌いっぷりです。
http://www.youtube.com/watch?v=eZE3HUlvJcU

「Aviso aos Navegantes」
この曲もBaden Powell/Paulo Cesar Pinheiro作。エレガントなアレンジとElisの表情豊かなヴォーカルがマッチした小粋なボッサ・チューン。

「Mundo Deserto」
Roberto Carlos/Erasmo Carlos作。パンチの効いたヴォーカル&演奏が素晴らしいファンキー・チューンですね。密かに好きな1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=6KMcFnGzMXQ

「Ela」
Cesar Costa Filho/Aldir Blanc作。タイトル曲は優しい歌声で聴く者の心を包み込んでくれます。パワフルなElisも大好きですが、抑えたElisも絶品です。
http://www.youtube.com/watch?v=FF6kHcB8q-U

「Madalena」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。本作のハイライトとも呼ぶべきIvan Lins作の名曲。軽快なジャズ・サンバをElisが自由自在を操ります。
http://www.youtube.com/watch?v=AQIcSPdMqWI

「Os Argonautas」
Caetano Veloso作品。
Caetanoのオリジナルは以前に紹介した『Caetano Veloso』(1969年)に収録されています。ファド・テイストのメランコリック・ムードの楽曲ですが、Elisヴァージョンは気品溢れるヴォーカルに魅了されます。

「Estrada do Sol」
Antonio Carlos Jobim/Dolores Duran作品。ラストはパーカッシヴなファンキー・チューンでアルバムを締め括ってくれます。

Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。

『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
コモ・イ・ポルケ+4

『Aquarela Do Brasil』(1969年)
ブラジルの水彩画

『Elis Regina in London』(1969年)
イン・ロンドン

『Em Pleno Verao』(1970年)
エン・プレノ・ヴァラオン

『Elis』(1974年)
人生のバトゥカーダ

『Essa Mulher』(1978年)
或る女(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 06:01| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする