発表年:1972年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系レディ・ソウル
気分は... :パワーを与えてくれる歌力!
今回は女性シンガーAlice Clarkの唯一のアルバム『Alice Clark』(1972年)です。
90年代のレア・グルーヴ/フリーソウル・シーンで再評価が高まった1枚ですね。
彼女のバイオグラフィについては全く知りません。
1968年にデビュー・シングル「You Got A Deal/Say You'll Never Leave Me」、1969年にシングル「You Hit Me (Right Where It Hurt Me)/ Heaven's Will (Must Be Obeyed)」をリリースしています。そして、1972年に今日紹介する唯一のアルバム『Alice Clark』をジャズ・ファンクの名門Mainstream Recordsからリリースしています。
僕も多くの人と同様にフリーソウルのコンピ『Free Soul Moon』に収録された「Never Did I Stop Loving You」、「Don't You Care」の2曲でAlice Clarkのことを知りました。
アルバム・ジャケだけ眺めると、厳かでスピリチュアルな雰囲気が漂いますが、実にパワフルでエモーショナルなソウル・アルバムに仕上がっています。
聴いているだけでパワーをもらえる"歌力"に充ちたアルバムです。
また、Aliceの歌力を盛り上げるバックの演奏も素晴らしいの一言です。
クレジットはありませんが、名だたるミュージシャン達が参加しているとの噂もありましたね。真偽のほどはわからないので、ここでは具体的なメンバーを挙げるのは控えておきます。
プロデュースはBobby Shad。本作と同じMainstream RecordsからリリースされたBobby Shad And The Bad Men名義の「I Want You Back」(Jackson 5のカヴァー)が人気ですね。
Bobby Shad And The Bad Men「I Want You Back」
http://www.youtube.com/watch?v=8d3jmzssnnA
レア・グルーヴ/フリーソウル好きには、「Never Did I Stop Loving You」、「Don't You Care」、「Hard Hard Promises」、「Hey Girl」あたりがハイライトだと思いますが、その他の曲でも素晴らしいAliceの歌声に感動するはずです。
収録曲のうち、「Don't You Care」、「Hard Hard Promises」をはじめとする3曲が、名曲「Sunny」でお馴染みのBobby Hebb作品です。
全曲紹介しときやす。
「I Keep It Hid」
オープニングはJimmy Webbのカヴァー。The Supremes、Linda Ronstadt等もカヴァーしていますね。Alice Clarkというシンガーの"歌力"を実感できるエモーショナルな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=yqLrRoSa_5g
「Looking At Life」
イギリスの大物女性シンガーPetula Clarkのカヴァー。ジワジワと心に沁みてくる味わい深いソウル・チューン。オルガンとトランペットがAliceの熱唱を盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=NokM3iOate4
「Don't Wonder Why」
Leonard Caston作品。Stevie Wonderヴァージョンで知られている曲ですね。厳かな雰囲気のStevieヴァージョンに対して、こちらのヴァージョンはよりソウルフルでコクのある仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=RahSynm8Zao
Stevie Wonder「Don't Wonder Why」
http://www.youtube.com/watch?v=3mOsYh5u_qk
「Maybe This Time」
Liza Minnelliを一躍スターにした名作ミュージカル映画『Cabaret』の挿入歌(Fred Ebb/John Kander作)。ミュージカル名曲がエモーショナルなソウル・チューンに生まれ変わっています。
「Never Did I Stop Loving You」
前述のようにフリーソウルの人気曲(Juanita Fleming作)。フリーソウル好きにとってはど真ん中な、込み上げヤング・ソウルな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=r4fMlKrBZQ8
「Charms Of The Arms Of Love」
Bobby Hebb作品1曲目。ホーン&フルートに先導され、Aliceが魂のヴォーカルを聴かせてくれます。
「Don't You Care」
Bobby Hebb作品2曲目。本作のハイライトとなるレア・グルーヴ/フリーソウル・クラシック。躍動するAliceのヴォーカルとバックの演奏が一体となりミラクルなエナジーを発しています。聴いているだけでパワーが漲ってくる、全てが完璧な1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=EmcYSMChw4k
「It Takes Too Long To Learn To Live Alone」
Leon Carr/Robert Allen作。Peggy Lee、Eydie Gorme、Mel Torme等のヴァージョンでも知られるスタンダード。ソウルフルな味わいとスタンダード風な佇まいが上手く融合していると思います。
「Hard Hard Promises」
Bobby Hebb作品3曲目。この曲もフリーソウル好きには外せない1曲。個人的には「Don't You Care」に次いでお気に入りの曲です。豪快なホーン・セクションがパンチの効いたAliceのヴォーカルを盛り上げてくれます。これでハイ・テンションにならないはずがありません!
http://www.youtube.com/watch?v=Y25Syx4JJlQ
「Hey Girl」
Donny Hathaway『Live』でお馴染みの1曲。その『Live』にも参加していた名うてのパーカッション奏者Earl DeRouenの作品です。軽快なテンポの「Hey Girl」を聴くことができます。
本作にシングル曲や未発表曲を追加した『The Complete Studio Recordings 1968-1972』も発売されています。
『The Complete Studio Recordings 1968-1972』
これを機会にMainstream Recordsの他作品もチェックしてみては?
Maxine Weldon『Right On』(1970年)
「Make It With You」
http://www.youtube.com/watch?v=g001lZba2Xg
Maxine Weldon『Chilly Wind』(1971年)
「Ain't Got Nobody」
http://www.youtube.com/watch?v=4Rf4a1B9RT0
Ellerine Harding『Ellerine』(1972年)
Blue Mitchell『The Last Tango=Blues』(1973年)
「The Message」
http://www.youtube.com/watch?v=PFsxbMYs3fQ
Frank Foster『The Loud Minority』(1974年)
「The Loud Minority」
http://www.youtube.com/watch?v=0u3ELUm0IGo