発表年:1969年
ez的ジャンル:独創系女性SSW
気分は... :人生を両側から眺めてみる・・・
独創的で研ぎ澄まされた感性を持つ女性シンガー・ソングライターJoni Mitchellの6回目の登場です。
これまで当ブログ紹介してきたJoni作品は以下の5枚(発売順)。
『Blue』(1971年)
『For The Roses』(1972年)
『Court and Spark』(1974年)
『Hejira』(1976年)
『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)
今回は2ndアルバム『Clouds(邦題:青春の光と影)』(1969年)です。
何といっても名曲「Both Sides, Now(邦題:青春の光と影)」が収録されていることでお馴染みのアルバムですね。
時代を超えた普遍性を持つ名曲だと思います。
美しいメロディが老若男女を問わず感動させるのは勿論のこと、本曲の「人生を両側から眺める」という視点が多くの人に何かを強く訴えるのだと思います。
自分の立場しか考慮していない一方的な正義や、目先ばかりで本質を見落とす近視眼的な物の眺め方が良くないことはわかっていても、いざ自分のこととなるとそれを実践できないのが人間ですからね。
現在のような苦境の中で大きな決断をせねばならない時代においては、本曲の持つメッセージが心に刺さります。今、改めてじっくり向き合うべき名曲だと思います。
さて、アルバム『Clouds』(1969年)の話に戻すと、本作はデビュー・アルバム『Song to a Seagull』(1968年)に続く2ndアルバムです。
殆どの曲がギターの弾き語りであり、Joniの全作品の中でも最もシンプルな演奏で占められたフォーク・アルバムです。L.A.でレコーディングされた作品ですが、東海岸の雰囲気が漂います。
収録曲にはstrong>「Both Sides Now」以外にも、「Chelsea Morning」、「I Don't Know Where I Stand」、「Songs to Aging Children Come」等の名曲も収録されています。
本作は1970年グラミーのBest Folk Performanceを受賞しています。また、Judy Collinsヴァージョンの「Both Sides Now」が1969年のグラミーBest Folk Performanceを受賞しています。
研ぎ澄まされた感性のJoniの歌の向こうに、人生において大切なものが見えてくる・・・
全曲紹介しときやす。
「Tin Angel」
グリニッチ・ヴィレッジの有名な通りブリーカー・ストリートのカフェで見つけた、(ブリキでできた天使のような)悲しい瞳の愛しい人について歌ったもの。新しい恋なのに全くバラ色ではないのがJoniらしくていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=4FOHCJvcSME
フォーク・シンガーTom Rushがアルバム『The Circle Game』(1968年)の中で取り上げています。同作には「Urge for Going」、「The Circle Game」といったJoni作品も収録されています。
Tom Rush「Tin Angel」
http://www.youtube.com/watch?v=KMK5lYTYEMk
「Chelsea Morning」
「Both Sides, Now」と並ぶ本作のハイライト曲。Judy Collinsがカヴァー・シングルをリリースし、Joni自身もシングル化しています。Fairport Convention 等もカヴァーしていますね。一聴すると、何の変哲もないフォーク・ソングに聴こえますが、歌詞にはJoniらしい世界観が存分に描かれています。カーテンを開けていれば、チェルシーの朝のように虹が差し込むかも・・・
http://www.youtube.com/watch?v=c5DYLYHlKvk
Judy Collins「Chelsea Morning」
http://www.youtube.com/watch?v=v5-NlLLes1c
「I Don't Know Where I Stand」
僕のお気に入り曲。美しく澄み切ったメロディとJoniらしい歌いまわしがマッチした名曲だと思います。Fairport Convention、Barbra Streisand等もカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=78GCasX3_A4
Fairport Convention「I Don't Know Where I Stand」
http://www.youtube.com/watch?v=g-1hH0rqeRA
Barbra Streisand「I Don't Know Where I Stand」
http://www.youtube.com/watch?v=sxnAC4KgIqc
「That Song About the Midway」
味わい深いフォーキー・チューン。本曲に関して、個人的には『Streetlights』(1974年)に収録されたBonnie Raittのカヴァーが格好良いと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=2zzNyIFst8Q
Bonnie Raitt「That Song About The Midway」
http://www.youtube.com/watch?v=F7eqsCml48I
「Roses Blue」
マンドリンの音色も加わったメランコリック・モードの仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=aZiBUcZZvAY
「The Gallery」
画家でもあるJoniらしい視点の歌です。曲&ヴォーカルもJoniらしくていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=QZ5cqtnb8Ws
「I Think I Understand」
本作らしい(良い意味での)青臭さを堪能できます。ギター一本の弾き語りですが、静かな語り口の中に漲るパワーを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=9NWUJoik-MA
「Songs to Aging Children Come」
名曲の佇まいがあります。美しくもミステリアスなJoniワールドへ誘われていきます。Arthur Penn監督の映画『Alice's Restaurant(邦題:アリスのレストラン)』でも曲が使われていました。
http://www.youtube.com/watch?v=PElvpNvh6n8
「The Fiddle and the Drum」
感動的なア・カペラ。Joni Mitchellの出身地アルバータのバレエ団がJoniの音楽に振付けたバレエの演目タイトルにもなりました。また、アメリカのロック・グループA Perfect Circleがカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=RezVPRHV5n8
「Both Sides, Now」
ラストは本作のハイライト「青春の光と影」。誰もが胸打たれる説明不要の名曲です。Joni自身のヴァージョンに先駆け、Judy Collinsのヴァージョンが1968年に映画『Changes(邦題:青春の光と影)』の挿入歌として全米シングル・チャート第8位のヒットとなっています。その後も数多くのアーティストがカヴァーしています。日本では一時期JTの喫煙マナーCMで使われていましたね。先に書いたように本曲のメッセージは、無意識のうちに僕の思考・行動に影響を与えているのかもしれません。聴いていると、冷静に自分を振り返ることができる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=tbNWJ9Ed82g
本曲を有名にしたポップなJudy CollinsヴァージョンはJoniヴァージョンとは異なる本曲の魅力を伝えてくれます。
Judy Collins「Both Sides Now」
http://www.youtube.com/watch?v=z8jGFu7ys64
Joni Mitchellの過去記事もご参照下さい。
『Blue』(1971年)
『For The Roses』(1972年)
『Court and Spark』(1974年)
『Hejira』(1976年)
『Don Juan's Reckless Daughter』(1977年)