発表年:1980年
ez的ジャンル:女性フロント系ディスコ/ソウル
気分は... :上を向いて歩こう!
今回は大ヒット「Boogie Oogie Oogie」でお馴染みのディスコ/ソウル・グループA Taste of Honeyの3rdアルバム『Twice As Sweet』(1980年)です。
A Taste of Honeyは1971年にPerry Kibble(key)、Donald Johnson(ds)、Janice Marie Johnson(vo、b)らがL.A.で結成したグループ。1976年にHazel Payne(g、vo)が加わり、Janice、Hazelの女性2人、Perry、Donaldの男性2人というデビュー・アルバム時のラインナップが揃います。
1978年にリリースしたデビュー・アルバム『A Taste of Honey』からのディスコ・チューン「Boogie Oogie Oogie」が、シングルとして全米チャート及び同R&Bチャート第1位となり、一躍人気グループとなりました。
しかし、『A Taste of Honey』のジャケに写っていたのがJanice、Hazelの女性メンバー2名のみであったため、女性2人組ユニットといったイメージが定着してしまいます。そのため、男性メンバーは縁の下の力持ち的な存在でしたが、3rdアルバム『Twice As Sweet』(1980年)からはメンバーのクレジットからも外されてしまい、名実ともにJanice、Hazelの女性ユニットとなりました。
整理すると、アルバムとしては『A Taste of Honey』(1978年)、『Another Taste』(1979年)、『Twice As Sweet』(1980年)、『Ladies of the Eighties』(1982年)の4枚をリリースしています。1st、2ndはMizell Brothers、3rdはGeorge Duke、4thはAl McKayがプロデュースしています。
個人的には名曲「I Love You」収録のSky High Productions作品である2nd『Another Taste』(1979年)がイチオシなのですが、今の日本の状況や季節を考えると、「Boogie Oogie Oogie」に次ぐグループの大ヒット・シングル「Sukiyaki」を聴くべきだと思い、同曲が収録された3rd『Twice As Sweet』(1980年)をセレクトしました。
ご存知のとおり、「Sukiyaki」は坂本九の全米No.1ヒット「上を向いて歩こう(英題:Sukiyaki)」の英語カヴァーです。
前向きなメッセージに美しいメロディ・・・今の日本に必要なものがぎっしりと詰まった名曲が「上を向いて歩こう」だと思います。
そんな名曲の英語カヴァーですが、ヒットしていた当時は映画の間違った日本人像を観ているのと同じ感覚で正直あまり好きになれませんでした。でも今このような状況で聴くと、英語であっても和の心が伝わり、しみじみ胸に沁みてきます。昔はわざとらしいと感じていた琴の音色も、(花見のできない)桜の季節に聴くと感慨深いものがあります。
「Sukiyaki」を抜きにしても、本作は十分に楽しめるディスコ/ソウル作品です。むしろ、「Sukiyaki」は異質な曲であり、残りはGeorge Dukeプロデュースらしい、サウンド・プロダクションを満喫できます。
特にダンス・クラシック「Rescue Me」は今でも人気の高い1曲ですね。アルバム全体の構成にもメリハリがあって楽しめると思います。
♪上を向いて歩こう
♪涙がこぼれないように・・・
全曲紹介しときやす。
「Ain't Nothin' But A Party」
オススメその1。オープニングはいかにもGeorge Dukeプロデュースらしい軽快な80年代ディスコ・ファンクです。聴いているだけで気分が高揚してきます!なぜ、この曲がシングルにならなかったのか?と思うくらいキャッチーな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=2ypl05BaMV0
「Rescue Me」
オススメその2。本作のハイライト。ダンス・クラシック/フリーソウル・クラシック/定番サンプリング・ソースとして大人気のダンス・チューン。シングルとして全米R&Bチャート第16位のヒット。イントロを聴いただけで胸トキメキます。ビート良し、メロディ良し、サウンド良し!全てが完璧ですね。この曲聴いていると、セットでB.T. Express「Have Some Fun」を聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=8yKUHb38liY
本曲を有名にしたFunky 4+1「That's the Joint」をはじめ、Nice & Nasty 3「The Ultimate Rap」、Positive K「I Got A Man」、Two Kings In A Cipher「Movin' on 'Em (The Resurrection) 」、Carboo「You Are the One」等のサンプリング・ネタになっています。
Funky 4+1「That's the Joint」
http://www.youtube.com/watch?v=rno1xupfhVs
Nice & Nasty 3「The Ultimate Rap」
http://www.youtube.com/watch?v=ZYiwSFT5xJ8
Positive K「I Got A Man」
http://www.youtube.com/watch?v=VvYIpa1Ulvw
「Superstar Superman」
オススメその3。Janiceのキュートなヴォーカルと爽快サウンドで気持ちが晴れやかになります。前の2曲のインパクトが強すぎて若干損をしていますが、素晴らしい出来栄えの1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Xdw67TbriRc
「I'm Talkin' 'Bout You」
この曲もシングルになりました。ベースがブリブリ響き渡るダンス・チューンです。この時代らしいと言えば、らしい音ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=v7AymYbDW5c
「She's A Dancer」
哀愁メロディから一気にテンポ・アップするダンス・チューン。僕好みの楽曲ではありませんが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=JCYmOKJ_HOM
「Don't You Lead Me On」
オススメその4。思わせぶりのJaniceのヴォーカルが印象的なメロウ・ダンサー。サビの♪Don't You Lead Me On〜♪部分はかなりグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=JjU4S7KxIzs
「Good-Bye Baby」
オススメその5。胸キュンのスロウ。AOR好きの人であればかなりグッとくるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=9x9NTyR9oFI
「Say That You'll Stay」
セクシーなミディアム・スロウでジワジワと高揚させた後、一気にテンポアップして終盤になだれ込みます。
http://www.youtube.com/watch?v=V8FgVpJraME
「Sukiyaki」
オススメその6。前述のように坂本九の名曲「上を向いて歩こう」のカヴァー。シングルとして全米チャート第3位、同R&Bチャート第1位の大ヒットとなりました。印象的な琴の音色は日系3世バンドHiroshimaのメンバーによるもの。Slick Rick & Doug E. Fresh 「La Di Da Di」、Mary J. Blige「Everything」等でも引用されていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=xqFkUNqBwMw
A Taste of Honeyの他作品もチェックを!
『A Taste of Honey』(1978年)
『Another Taste』(1979年)
『Ladies of the Eighties』(1982年)