発表年:1974年
ez的ジャンル:Johnny Bristol系ソウル
気分は... :多面的に捉えないとね!
昨晩の地震は3/11以降、最も嫌な感覚でしたね。
幸い今まで大きな被害は出ていない模様なので何よりです。
特に原発の被害が懸念されたので少し安堵です。
せっかく復興ムードが高まりつつあるので、これ以上大きな余震が起きないこと願うばかりです。
さて、今回はJimi HendrixのBand Of Gypsysで知られる黒人ミュージシャンBuddy Milesが1974年にリリースしたソウル・アルバム『All The Faces Of Buddy Miles』です。
Buddy Miles(本名:George Allen Miles, Jr.)(1947-2008年)は、ネブラスカ州オマハ出身のドラマー/シンガー。
幼少期から音楽に慣れ親しんでいたMilesはWilson Pickettのバックバンドのドラマーなどを経て、1967年にMike Bloomfieldが結成したブルース・ロック・グループThe Electric Flagに参加します。
その後、自らのグループBuddy Miles Expressを率いて『Expressway To Your Skull』(1968年)
『Electric Church』(1969年)という2枚のアルバムをレコーディングしています。特に『Electric Church』では約半数の曲をJimi Hendrixがプロデュースしており、これが縁でMilesはJimi、Billy Coxと共に新バンドBand Of Gypsysを結成することになります。
Band Of GypsysはJimiの契約問題を解決するための急場凌ぎのライブ盤『Band Of Gypsys』(1970年)をリリースしますが、内部分裂によりスタジオ録音作をリリースすることなくグループは短命に終わってしまいます。
70年代ソロ作をコンスタントにリリースしています。また、Carlos Santanaとの共演ライブ・アルバム『Live!』(1972年)もリリースしています。80年代後半にはソウル色の強いグループThe California Raisinsを率いてアルバムをリリースしています。
2008年2月に死去。享年60歳。
どうしてもJimi Hendrix絡みのBand Of GypsysやCarlos Santanaとの共演から、"ロック系"黒人ミュージシャンという固定観念で捉えられやすい人ですね。僕も長い間、そんな印象が強かったです。
僕のBuddy Milesに対する印象が大きく変わったのは、フリーソウルのコンピで今日紹介する『All The Faces Of Buddy Miles』からの2曲「I'm Just A Kiss Away」、「Got To Find Ms. Right」を聴いてからです。"この人、こんなにグルーヴィーな楽曲もやるんんだ!"
その意味では、今日紹介する『All The Faces Of Buddy Miles』(1974年)は、ロックなイメージのBuddy Milesとは対極にあるソウル・アルバムに仕上がっています。アルバム・タイトルに"一面的に自分の音楽を捉えないで欲しい"というMilesの思いが込められているのでは?
プロデュースはJohnny Bristol。半分以上の楽曲も提供しています。
レコーディングにはEd Greene(ds)、James Jamerson(b)、Melvin Ragin("Wah Wah" Watson)(g)、Ray Parker Jr.(g)、Clarence McDonald(key)、Jerry Peters(key)、Joe Clayton(per)、Ernie Watts(s)等腕利きミュージシャンが多数参加しています。
Johnny Bristolのプロデュース手腕が一番目立つアルバムですが、主役のBuddy Milesも魅惑のソウルフル・ヴォーカルで頑張っています。
アルバム1枚を通じて、楽しめる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Pull Yourself Together」
S. Anderson作。シングルにもなったソウルフル・チューン。Milesが優れたソウル・シンガーであることを実感できる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=-1_jkVz4_r8
「We Got Love」
Johnny Bristol作。エモーショナルな高揚感がたまらない濃い口のソウルフル・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=C-4A1nCJgc4
「All The Faces」
アルバム・タイトル曲は以前に当ブログで紹介したプエルトリコ出身のセッション・ミュージシャン/ソングライターJorge Calderonが女性シンガーソングライターJudi Pulverとの共作で書いた作品。Calderon自身のヴァージョンはアルバム『City Music』(1975年)に収録されています。メロウな味わいのCalderonヴァージョンが大好きで聴き慣れているせいか、よりスウィート・ソウルな本ヴァージョンを最初に聴いた時は新鮮でした。
http://www.youtube.com/watch?v=91hwbFo2LYQ
「I'm Just A Kiss Away」
本作のハイライトその1。Johnny Bristol作。前述のようにフリーソウル・クラシックとして大人気のソフト・シャッフル・チューン。Johnny Bristolの本領発揮な1曲なのでは?聴いていると心はウキウキ&ハッピー・モードです。ソウル・ファンのみならずStyle Council好きの人ならばグッとくるはずですよ。
http://www.youtube.com/watch?v=0dGoPig_6kM
「It's Only The Good Times」
Lee Pockriss/Peter Udell作。ブルージーな味わいにグッとくるソウル・チューン。
「Got To Find Ms. Right」
本作のハイライトその2。Johnny Bristol作。本曲もフリーソウル・クラシックです。この曲もJohnny Bristolマジックが炸裂するグルーヴィー・チューンです。この胸にグッとくる高揚感がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=6IJW3_bcoN4
「Pain」
本作のハイライトその3。Johnny Bristol作。ソウル好きの人であれば、フリーソウル・クラシック2曲以上にこの絶品バラードにグッとくるのでは?実に味わい深いですね。
Johnny Bristol作。
http://www.youtube.com/watch?v=7F7z5ap1_5o
Murs「The Pain」でサンプリングされています。
Murs「The Pain」
http://www.youtube.com/watch?v=9k0RIaJrdS8
「Kiss And Run」
本曲も『City Music』に収録されているJorge Calderon作品。ファンキー&ソウルフルなCalderonヴァージョン自体が大好きなので、よりファンキーなパンチに効いた本ヴァージョンも大好きです。
「Wants And Needs (The Earth Song) 」
Johnny Bristol作。派手さはありませんが、さり気にアルバムで一番格好良い演奏という気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=9SwXTfjGxmY
「Baby Don't Stop (Sit On The Rock) 」
ラストはMilesとBristolの共作。ファンキー&グルーヴィーなインスト。なかなかエキサイティングな演奏でいですよ。
http://www.youtube.com/watch?v=LtgJ9wM-Kng
他のBuddy Miles関連作品もチェックを!
Buddy Miles Express『Expressway to Your Soul』(1968年)
Buddy Miles Express『Electric Church』(1968年)
Jimi Hendrix『Band Of Gypsys』(1970年)
『Them Changes』(1970年)
『Live』(1971年)
Carlos Santana & Buddy Miles『Live!』(1972年)
『Chapter VII』(1973年)
The California Raisins『The California Raisins Sing the Hit Songs』(1987年)
The California Raisins『Meet the Raisins!』(1988年)
Buddy Miles Express『Hell & Back』(1994年)