発表年:1973年
ez的ジャンル:ブラジリアン・オルガン・グルーヴ
気分は... :やっぱりSkyscrapersでしょ!
今回はEumir Deodatoが1973年にリリースした『Os Catedraticos 73』です。
ブラジルが誇る天才アレンジャー/プロデューサー/コンポーザー/キーボード奏者Eumir Deodatoの紹介は『Love Island』(1978年)に続き2回目となります。
この時期のEumir Deodatoと言えば、CTIでの『Prelude』(1972年)、『Deodato 2』(1973年)が有名ですが、Deodato好き、ブラジリアン・グルーヴ好きの人であれば、前述の2作品以上に『Os Catedraticos 73』をイチオシする人が多いのではないかと思います。僕もそんな一人です。
当事のDeodatoはN.Y.を拠点に活動していましたが、本作『Os Catedraticos 73』はブラジル録音です(ホーン・セクションはN.Y.録音)。
レコーディングにはDurval Ferreira(g)、Ze Menezes(g)、Sergio Barrozo(b)、Orlandivo(per)、Tamba TrioのHelcio Milito(per)、Bebeto Castilho(congas)、AzymuthのIvan "Mamao" Conti(ds)といったブラジル人ミュージシャンが参加しています。
今日、本作の人気が高いのはこうしたブラジル人ミュージシャンの参加により、CTI作品以上にブラジル色が強く出ているためだと思います。
アルバム・タイトルにはある"Os Catedraticos"は、『Impuls O!(邦題:衝撃)』(1964年)で初めて使われた彼のグループ名("大学教授"という意味)です。『Impuls O!』はオルガンにトゥンバドール(コンが)を組み合わせ、オルガン・グルーヴの新たな可能性を示した作品でした。その後Os Catedraticos名義で『Tremendao』(1964年)、『Ataque』(1965年)といった作品をレコーディングしています。
『Impuls O!』から9年、発展したブラジリアン・オルガン・グルーヴの姿を提示してくれたのが本作『Os Catedraticos 73』だと思います。
何と言っても、本作のハイライトは人気曲「Skyscrapers」のオリジナル・ヴァージョンですね。この1曲のために本作を入手しても損しないと思います。ただし、それ以外にも素晴らしいオルガン・グルーヴが多数収録されており、アルバム通して楽しめる1枚になっています。
本作は『Skyscrapers』のタイトルでもリリースされています(収録内容は『Os Catedraticos 73』と同じ)。
『Skyscrapers』
ヒットしたCTI作品や、フュージョン色を強めていくその後の作品も良いですが、Deodato本来のブラジル人ミュージシャンのDNAを感じたいのであれば、最適な1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Arranha Ceu (Skyscrapers) 」
邦題「摩天楼」。Eumir Deodato作。『Deodato 2』にも収録されている人気曲「Skyscrapers」のオリジナル・ヴァージョンです。Deodato好き、ブラジリアン・グルーヴ好きの人であれば、圧倒的に本作ヴァージョンの方が好き!という方が多いのでは?20年先のクラブ・ミュージックを予見していたかのようなグルーヴィー・サウンドの疾走感がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=Hzm8ua_ts08
「Flap」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。ラテン・フレイヴァーの小粋なオルガン・グルーヴです。
「Rodando Por Ai (Rudy's) 」
邦題「巡り歩いて」。Eumir Deodato作。 Jimmy Smithあたりに通じるファンキーな味わいのオルガン・ジャズです。
「O Jogo (Soccer Game) 」
邦題「サッカーゲーム」。Pacífico Mascarenhas作。出だしのブレイクにグッとくる1曲。楽しく華やかな雰囲気もグッド!
「Atire A 1a Pedra」
邦題「最初の石を投げろ」。Ataulfo Alves / Mario Lago作。「Arranha Ceu (Skyscrapers) 」 に次ぐ僕のお気に入り。楽園モードのメロウなオルガン・グルーヴに仕上がっています。
「Puma Branco (The White Puma) 」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。 ゆっくり寛いだムードがいい感じ。
「Passarinho Diferente (The Bird) 」
邦題「変わった小鳥」。Eumir Deodato作。ライトタッチの爽快メロウ・チューン。短い曲ですがDeodatoのオルガン・プレイも冴えています。
「Extremo Norte (The Gap) 」
邦題「極北」。Eumir Deodato作。荘厳な序盤から一気に加速し、疾走するパーカッシヴなブラジリアン・グルーヴへと展開します。壮大なスケール感がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=4DPL_uy1NAQ
「To Fazendo Nada (Down The Hill) 」
邦題「なにもしてないんだ」。Eumir Deodato作。メロウな雰囲気の中でファンキー&ソウルフルなオルガンのフレーズが引き立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=0f2Wlfw6dvc
「Menina (Boy Meets Girl) 」
邦題「少女」。Eumir Deodato作。哀愁モードとアップテンポのコントラストで盛り上がります。ホーン・セクションの巧みは配し方に グッときます。
「Carlota & Carolina (Carly & Carole) 」
Eumir Deodato作。『Prelude』にも収録されています。ラストは少し謎めいた雰囲気を持ったエレガント・チューンで締め括られます。
http://www.youtube.com/watch?v=chgZG-xB9GQ
『Love Island』(1978年)
Os Catedraticos名義の60年代作品もチェックを!
Os Catedraticos『Impuls O!』(1964年)
Os Catedraticos『Tremendao』(1964年)
Os Catedraticos『Ataque』(1965年)