2011年05月11日

Stacey Kent『Breakfast On The Morning Tram』

Blue Noteレーベル第1弾アルバム。グラミー・ノミネート作品☆Stacey Kent『Breakfast On The Morning Tram』
Breakfast on the Morning Tram
発表年:2007年
ez的ジャンル:爽快!女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :男と女のサンバ!

今回は女性ジャズ・ヴォーカリストStacey Kent『Breakfast On The Morning Tram』(2007年)です。

アメリカ生まれ、現在はイギリスを拠点に音楽活動を続けているStacey Kentの紹介は、『Raconte Moi』 (2010年)に続き2回目です。

『市街電車で朝食を』という邦題の本作は、名門Blue Noteレーベルからの第1弾アルバムであり、グラミー賞にノミネートされるなど高い評価を得た作品です。

これまでも公私のパートナーとなるサックス奏者Jim Tomlinsonとの二人三脚で作品を制作してきたStaceyですが、本作『Breakfast On The Morning Tram』でも夫Jim Tomlinsonがプロデュース&アレンジを手掛けています。

レコーディング・メンバーはStacey Kent(vo)、Jim Tomlinson(ts、as、ss、fl)、John Parricelli(g)、Graham Harvay(p)、Dave Chamberlain(b)、Matt Skelton(ds、per)。

次作『Raconte Moi』 (2010年)では全曲フランス語ヴォーカルを披露したStaceyでしたが、それを予感させるように本作では3曲でフレンチ・ヴォーカルに挑戦しています。

そのうちの1曲が『Un Homme Et Une Femme(邦題:男と女)』の中でPierre Barouhが歌った名曲「Samba Saravah(邦題:男と女のサンバ)」です。

実は昨日たまたまですが映画『男と女』を観ることができ、その影響で気分が「Samba Saravah」モードです。そこで「Samba Saravah」のカヴァーが収録されている本作が聴きたくなった次第です。

アルバムの構成は、フレンチ・ヴォーカルのカヴァーが3曲、オリジナルが4曲、スタンダード・カヴァーが1曲、Fleetwood Macのカヴァーが1曲という全12曲です。

どうしてもフレンチ・ヴォーカル3曲が目立ちますが、オリジナルの4曲が結構良かったりします。オリジナルは全て作詞Kazuo Ishiguro/作曲Jim Tomlinsonによるものです。作詞のKazuo Ishiguroとは長崎県出身で現在はロンドン在住のイギリス人作家である石黒一雄氏のことです。

小粋な女性ジャズ・ヴォーカルで素敵なモーニングを!

全曲紹介しときやす。

「The Ice Hotel」
Jim Tomlinson/Kazuo Ishiguro作。実に爽快なオープニング。小粋なバックも含めて、僕が期待するStacey Kentワールドを存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=ysA5GogtBl8

「Landslide」
Fleetwood Macのカヴァー(Stevie Nicks作)。ここではJohn ParricelliのギターとGraham Harvayのピアノを中心にしっとりとした仕上がりで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=jITguAOkRsQ

「Ces Petits Riens」
Serge Gainsbourg作品のカヴァー1曲目。雰囲気のあるフレンチ・ヴォーカルにグッときます。パリの街角で聴くとピッタリといった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=PaOaGZ9MRik

「I Wish I Could Go Travelling Again」
Jim Tomlinson/Kazuo Ishiguro作。僕の一番のお気に入り曲。ロマンティックなボッサ・ジャズに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=0askup0c3JY

「So Many Stars」
Sergio Mendes/Alan Bergman/Marilyn Bergman作。Sergio Mendesのオリジナルは『Look Around 』(1968年)に収録されています。ここではジャズ・スタンダード風の仕上がりで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=3Qly-5LpnHc

「Samba Saravah」
名曲「男と女のサンバ」のカヴァー。Baden Powell/Vinicius De Moraes/Pierre Barouh作。当ブログでは『Un Homme Et Une Femme(男と女)』ヴァージョン以外にBebel Gilbertoのカヴァーも紹介済みです。『Un Homme Et Une Femme』ヴァージョンがお好きな人であれば、フレンチ・ヴォーカルの本ヴァージョンも気に入ると思います。前述のように昨日『男と女』を観たばかりの僕の気分にジャスト・フィットです。
http://www.youtube.com/watch?v=eHeR50NQctE

「Breakfast on the Morning Tram」
Jim Tomlinson/Kazuo Ishiguro作。タイトル曲はJim Tomlinsonのアレンジ・センスが冴えた小粋なジャズ・チューンに仕上がっています。

「Never Let Me Go」
Jay Livingston/Ray Evans作のスタンダード。当ブログではBill Evans『Alone』のヴァージョンを紹介済みです。Graham Harvayのピアノに導かれ、Staceyが切ないヴォーカルで語りかけてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=P9HjfBy8Jbo

「So Romantic」
Jim Tomlinson/Kazuo Ishiguro作。Staceyのキュートなヴォーカルにグッとくるロマンティック・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=RDxqXYCJw_A

「Hard Hearted Hannah」
Bob Bigelow/Charles Bates/Jack Yellen/Milton Ager作のスタンダード。スタンダード気分たっぷりのヴォーカル&バッキングがいい感じです。Staceyもかなりノッています。

「La Saison des Pluies」
Serge Gainsbourg作品のカヴァー2曲目(Elek Bacsik/Serge Gainsbourg作)。John Parricelliの美しいギターをバックに、優しくキュートなフレンチ・ヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=iTkLvAuFZQ4

「What a Wonderful World」
George Douglas/George David Weiss/Bob Thiele作。Louis Armstrongの歌でお馴染みのスタンダード。子守唄のように囁くStaceyのヴォーカルが優しく包み込んでくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=fPLnqICFlqo

他のStacey Kent作品もチェックを!

『Close Your Eyes』(1997年)
Close Your Eyes

『Love Is...The Tender Trap』(1998年)
Love Is...The Tender Trap

『Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire』(2000年)
Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire

『Dreamsville』(2000年)
Dreamsville

『In Love Again: The Music of Richard Rodgers 』(2002年)
In Love Again

『The Boy Next Door』(2003年)
The Boy Next Door

Jim Tomlinson Feat. Stacey Kent『The Lyric』(2005年)
The Lyric featuring Stacey Kent

『Raconte Moi』 (2010年)
パリの詩
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2011年05月10日

Everything But The Girl『Temperamental』

前作に続きクラブ/ダンス路線のEBTG☆Everything But The Girl『Temperamental』
Temperamental
発表年:1999年
ez的ジャンル:脱ネオアコ系ハウス/ドラムンベース
気分は... :こんな状態が長く続くと...

GWが過ぎてもバタバタ状態は変わらず・・・
暇よりも忙しい方が有難いですが、こんな状態が長く続くと心身共にヤバそう・・・

こんな時は美しくも儚いダンス・ミュージックでも聴きたい気分・・・

Ben WattTracey ThornのユニットEverything But the Girl(EBTG)が1999年にリリースした『Temperamental』(1999年)です。

まさにこのジャケの表情は、僕の心の叫びです(笑)

これまで当ブログで紹介したEBTGは以下の4枚(発売順)。

 『Eden』(1984年)
 『Love Not Money』(1985年)
 『Idlewild』(1988年)
 『Walking Wounded』(1996年)

『Temperamental』(1999年)は現時点でEBTGが最後にリリースしたアルバムです。

『Amplified Heart』(1994年)からのシングル「Missing (Todd Terry Club Mix)」の大ヒットで、大きくクラブ/ダンス路線へ大きく舵を切り、『Walking Wounded』(1996年)で"21世紀のボサノヴァ"としてのドラムンベースを堂々と披露したEBTGでしたが、ファンの反応は賛否両論でしたね。

僕の場合、たまたまハウス/ドラムンベースを日常的に聴いていたので違和感なく『Walking Wounded』を聴くことができましたが、初期EBTGがお気に入りの方にとっては『Walking Wounded』はもはやEBTG作品とは呼べなかったのかもしれませんね。

本作『Temperamental』は、さらにクラブ/ダンス路線を推し進めたアルバムに仕上がっています。

正直、2011年の現在において決して評価の高い作品ではありませんが、Ben Wattが生み出すクール&ダークなダンス・サウンドとTracey Thornのクール・ヴォーカルの組み合わせは、EBTGならではのダンス・ミュージックを満喫できるはずです。

醜いジャケを見て遠ざけないで下さいね(笑)

全曲紹介しときやす。

「Five Fathoms」
ハウス・ビートと共にアルバムはスタート。華やかで無機質な低音ハウス・サウンドがTraceyのヴォーカルとシンクロしています。
http://www.youtube.com/watch?v=PlbV-TaLaeo

「Low Tide Of The Night」
ジャジーな雰囲気のミッド・グルーヴ。ハウス/ドラムン・ベース・サウンドに拒否反応を示すEBTGファンでも本曲ならば許容してくれるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=yaMRafOHr-I

「Blame」
シングルにもドラムン・ベース・チューン。聴き手も前作で慣れたせいか全く違和感を感じません。様々なミックスがありますね。

「Hatfield 1980」
アブストラクトHip-Hop風のトラックが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=9E4GoAq_zh8

「Temperamental」
タイトル曲もダンス・ヒットしました。DJ Spen & Karizma Mixをはじめ様々なリミックスも人気です。個人的には素直な歌モノ・ハウスのアルバム・ヴァージョンが好きです。YouTubeにアルバム・ヴァージョンが無いのでライブ・ヴァージョンを紹介しておきます。
「Temperamental(Live)」
http://www.youtube.com/watch?v=oc9hOfTENOI

「Compression」
シャープなリズムが心地好いドラムン・ベース・チューン。これはこれで悪くありませんが、Traceyのヴォーカルが殆ど無いので何の情報もなく聴くと、EBTGの楽曲だと気付かない人も多いのでは?

「Downhill Racer」
アルバムの中では最もメロディアスな楽曲。Sadeあたりと一緒に聴くのも良いかも?

「Lullaby Of Clubland」
ディープなハウス・チューン。本作にはこのタイプの楽曲が多いですが、個人的には本曲が一番好きです。一番EBTGらしいハウス・チューンって感じがします。
http://www.youtube.com/watch?v=zrxnbB-FvXc

「No Difference」
Traceyの気だるいヴォーカルが印象的な哀愁チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=7AxdcVKWArc

「The Future Of The Future (Stay Gold)」
ラストはDeep Dishとの共演曲。Deep Dishはイラン出身のAli Shiraziniaと Sharam TayebiによるDJ/プロデューサー・ユニット。シングルとしてダンス・ヒットしました。ディープなハウス・サウンドとTraceyのクール・ヴォーカルが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=oi3BUIB8hk0

EBTGの過去記事もご参照下さい。

Tracey Thorn『A Distant Shore』(1982年)
遠い渚~ディスタント・ショア

『Eden』(1984年)
エデン(紙ジャケット仕様)

『Love Not Money』(1985年)
Love Not Money

『Idlewild』(1988年)
アイドルワイルド(紙ジャケット仕様)

『Walking Wounded』(1996年)
Title: Walking Wounded
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2011年05月09日

Milton Nascimento『Milton』

Som Imaginarioをバックにスケール・アップしたMiltonワールド☆Milton Nascimento『Milton』
ミルトン
発表年:1970年
ez的ジャンル:ミナス系MPB
気分は... :アルセお見事!

昨日はボクシングのスーパー・ファイト「マニー・パッキャオ対シェーン・モズリー」に注目していましたが、パッキャオが大差の判定勝ちで完勝しました。

3Rにダウンを喫したモズリーは、パックマンの脅威に怯えたまま防御一辺倒で試合終了。正直つまらない試合になってしまいましたね。

むしろ、前座のSバンタム世界タイトル戦「バスケスJr.対アルセ」の方が大興奮のファイトでした。大逆転で挑戦者アルセがバスケスJr.を下し、メキシコ人初の4階級制覇を成し遂げました。僕も観ていて「いつバスケスJr.が止めを刺すのだろう」と思っていたので、終盤一気に形勢逆転させたアルセの粘りにはかなり驚きました。おそらく、年間ベスト・マッチ候補になるでしょうね。

さて、今回はブラジルものからMilton Nascimento『Milton』(1970年)です。

ミナスを代表するアーティストMilton Nascimentoの紹介は、『Minas』(1975年)に続き2回目となります。

本当はLo Borgesと共演した歴史的名盤『Clube Da Esquina』(1972年)を紹介しようと思ったのですが、全21曲を紹介するにはそれなりにパワーが要るので今回は断念しました(笑)

今日紹介する『Milton』(1970年)は、『Milton Nascimento(Travessia)』(1967年)、『Courage』(1968年)、『Milton Nascimento』(1969年)に続く4thアルバムになります。

本作ではWagner Tiso率いるSom Imaginarioが初めてMiltonのバックを務めています。

Miltonのバック・バンドであると同時にプログレッシヴ・ロック・グループとしても知られるSom ImaginarioWagner Tiso(p、org、vo)、Ze Rodrix(org、fl、per、vo)、Tavito(g、b、vo)、Frederyko(g、vo)、Luiz Alves(b)、Robertinho Silva(ds)というメンバーが生み出すロック・サウンドが、Miltonを新たな音世界へ導いてくれます。

それ以外にNana VasconcelosLo Borgesがゲスト参加しています。

Som Imaginarioという強力バッキングを得て一段とスケール・アップしたMiltonワールドを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Para Lennon E McCartney」
邦題「レノン&マッカートニーに捧ぐ」。Lo Borges/Marcio Borges/Fernando Brant作。タイトルからわかる通り、Beatlesへの想いが込められたオープニング。Beatles風のメロディとブラジルらしいロック・サウンドに思わずニンマリ。Beatlesの影響力の大きさ再認識できる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=e9-c8b76OMk

「Amigo, Amiga」
邦題「友人」。Milton Nascimento/Ronaldo Bastos作。Miltonらしい少し憂いのある音世界を堪能できます。ミナスの神秘といった雰囲気が漂うのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Odne45Avnoo

「Maria Tres Filhos」
邦題「マリアと三人の子どもたち」。Milton Nascimento/Fernando Brant作。小気味良いバッキングにグッときます。オルガンが利いていますね!

「Clube da Esquina」
邦題「街角クラブ」。Milton Nascimento/Lo Borges/Marcio Borges作。前述の歴史的名盤『Clube Da Esquina』(1972年)にはNo.2が収録されていますが、本曲はそのNo.1ということになります(2曲は全く別の曲ですが)。本曲もMiltonらしい味わい深い哀愁メロディを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=Ji5eVpru_e0

「Canto Latino」
Milton Nascimento/Ruy Guerra作。憂いのある前半、明るく希望に満ちた中盤、美しい終盤とドラマチックに変化していくのがいいですね。Som Imaginarioが表情豊かなサウンドで盛り上げてくれます。

「Durango Kid」
Toninho Horta/Fernando Brant作。Toninho Hortaらしい美しいメロディで感動に包まれます。Toninho Horta好きの人は間違いなくハマる1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=xFhqzqnc7Ns

「Pai Grande」
邦題「偉大なる父」。Milton Nascimento作。名曲の誉れ高い1曲ですね。ミナスの大地のような壮大なスケール感を持った偉大な楽曲だと思います。Som ImaginarioのバッキングがMiltonワールドと見事にシンクロしています。

「Alunar」
Lo Borges/Marcio Borges作。本曲ではDori Caymmiがアレンジを担当。美しくドラマチックなブラジル・ロックに仕上がっています。本作ならではのダイナミックなロック・サウンドを堪能できます。個人的にはアルバムで一番面白い曲だと思います。特にロック・ファンはグッとくると思います。

「A Felicidade」
Antonio Carlos Jobim/Vinícius de Moraes作。ラストはサウダージ・モードのJobim作品で締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZPs0VbGKX6g

CDには「Tema de Tostao」「O Homem Da Sucursal」「Aqui E Pais Do Futebol」「O Jogo」の4曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。本編とは雰囲気が異なりますが、サッカー好きにはリラックスした「Aqui E Pais Do Futebol」「O Jogo」の2曲にグッときます。

他の初期Milton Nascimento作品もチェックを!

『Milton Nascimento(Travessia)』(1967年)
トラヴェシア

『Courage』(1968年)
Courage

『Milton Nascimento』(1969年)
Milton Nascimento

Milton Nascimento & Lo Borges『Clube Da Esquina』(1972年)
Clube da Esquina
posted by ez at 01:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月08日

Raphael Saadiq『Stone Rollin'』

ルーツ探求の旅は続きます!☆Raphael Saadiq『Stone Rollin'』
Stone Rollin'
発表年:2011年
ez的ジャンル:ルーツ探求系R&B/ソウル
気分は... :コレはコレで楽しみます!

今回はRaphael Saadiqの新作『Stone Rollin'』です。

これまで当ブログで紹介したRaphael Saadiqのソロ作品は以下の3枚。

 『Instant Vintage』(2002年)
 『Ray Ray』(2004年)
 『The Way I See It』(2008年)

Tony! Toni! Tone!のメンバーであり、人気プロデューサーでもあるRaphael Saadiqは、トニーズ時代から僕の定番お気に入りアーティストの一人です。

『Stone Rollin'』は前作『The Way I See It』から約2年半ぶりとなる新作です。

前作『The Way I See It』はSam Cooke、Smokey Robinson & The Miracles、Marvin Gaye、The Temptations、The Stylistics等60年代、70年代ソウルへの想いが詰まったアルバムでした。

本作『Stone Rollin'』でもRaphaelの黒人音楽のルーツ探求は続きます。ただし、本作はソウルに止まらず黒人音楽全般を意識したヴィンテージ・サウンドを展開しています。

具体的には、Bo Diddley、Chuck Berry調のロックン・ロール、シカゴ・ブルース調のリズム・アンド・ブルース、Sly & The Family Stone調のファンク等を満喫できます。

目立ったゲストはいませんが、Robert Randolph(steel g)、Wa Wa Watson(g)、Larry Dunn(p、moog)、Paul Riser(strings & horn arr)あたりの参加が嬉しいですね。

そろそろコンテンポラリー・サウンドの新作も期待してしまう僕ですが、まぁコレはコレで楽しみたいと思います。

全曲紹介しときやす。

「Heart Attack」
RaphaelのアイドルSly & The Family Stoneの「Dance to the Music」、「M'Lady」からインスパイアされたであろうオープニング。激しく疾走するビートで突き抜けます。コーラスの感じも含めてRaphaelのSly好きを実感できます。
http://www.youtube.com/watch?v=dfJe_Cl6CpU

「Go to Hell」
RaphaelとTaura Stinsonの共作。ゴスペル・テイストの女性コーラスが盛り上げてくれるソウル・チューン。ストリングス&ホーンのアレンジが素晴らしいと思い、クレジットを確認したらPaul Riserのアレンジでビックリ!1週間前のJohnny Bristol『Feeling The Magic』(1975年)のエントリーでも彼の素晴らしい仕事を紹介したばかりでしたが、まだまだ健在のようですね。
http://www.youtube.com/watch?v=RwBS4ALhPys

「Radio」
アルバムからの1stシングル。Ray Charles風のメロディ&コーラスとChuck Berry風のロックン・ロール・サウンドが融合したようなキャッチーさがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=ZXHs0t5VQM4

「Over You」
本曲では全ての楽器をRaphaelが演奏しています。特にメロトロン・サウンドが印象であり、そのせいか60年代後半のUKロックを意識したように聴こえてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=InL2InyDO2c

「Stone Rollin'」
タイトル曲はシカゴ・ブルースからの影響が窺えます。Darrell Mansfieldのブルースハープがいい感じです。3rdシングルにもなりました。ウィスキーが似合う1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=wHyalVRUXrA

「Day Dreams」
Bo Diddley風にシャッフルしています。ゲスト参加のRobert Randolphのスティール・ギターもいい味出しています。

「Movin' Down the Line」
さり気ないですが、大好きな1曲。リラックスした雰囲気の中にもソウルを感じます。ギターにWa Wa Watson、ピアノにLarry Dunnが参加しています。ここでもPaul Riserによる美しいストリングスが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Qo8ozTHO1ho

「Just Don't」
RaphaelとTaura Stinsonの共作。父は日本人のスウェーデン人女性ヴォーカリストYukimi Naganoをフィーチャー。軽くサイケデリック・ファンクしているのがいい感じです。Larry Dunnによるムーグも活躍しています。
http://www.youtube.com/watch?v=WtfOQ4thwJQ

「Good Man」
RaphaelとTaura Stinsonの共作。Taura Stinsonもヴォーカルで参加しています。アルバムからの2ndシングル。R&B/ソウル好きの方が一番フツーに聴ける曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=ZeKaHBMKows

「The Answer」
ラストはRaphaelの様々な思いが詰まった9分半の大作。Raphaelが導いたアンサーは・・・
http://www.youtube.com/watch?v=oz5PeA1sXS0

Raphael SaadiqTony! Toni! Tone!の過去記事もご参照下さい。

『Instant Vintage』(2002年)
Instant Vintage

『Ray Ray』(2004年)
Ray Ray

『The Way I See It』(2008年)
The Way I See It

Tony! Toni! Tone!『Sons of Soul』(1993年)
Sons of Soul

Tony! Toni! Tone!『House Of Music』(1996年)
House of Music
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2011年05月07日

The Kenny Clarke-Francy Boland Big Band『Latin Kaleidoscope』

ジャズDJのマスト・アイテム。ヨーロピアン・ビッグ・バンドによるラテン・ジャズ☆The Kenny Clarke-Francy Boland Big Band『Latin Kaleidoscope』
Latin Kaleidoscope/Cub
録音年:1968年
ez的ジャンル:ヨーロピアン・ビッグ・バンド系ラテン・ジャズ
気分は... :嬉しいCD化!

今回はThe Kenny Clarke-Francy Boland Big Band『Latin Kaleidoscope』(1968年)です。

ジャズDJのマスト・アイテムとしてお馴染みのヨーロピアン・ビッグ・バンドによるラテン・ジャズ作品です。
最近CD化が実現し、一般の音楽好きも楽しめるようになりました。

The Kenny Clarke-Francy Boland Big Bandは、元Modern Jazz QuartetのドラマーKenny Clarkeとベルギー出身のコンポーザー/ピアニストFrancy Bolandを双頭リーダーとしたヨーロッパのビッグ・バンド。1961年から1972年まで活動し、エレガントなヨーロピアン・ビッグ・バンド作品を数多く残しています。

今回紹介する『Latin Kaleidoscope』(1968年)は、タイトルからもわかるようにラテンへアプローチした作品です。ラテンのリズムとエレガントなヨーロピアン・ジャズの組み合わせが魅力の1枚です。

内容はオリジナルLPのA面、B面がそれぞれ組曲風の構成になっています。

A面は「Gary McFarland's "Latin Kaleidoscope」と題されたGary McFarland作品、B面は「Francy Boland's "Cuban Fever"」と題されたFrancy Boland作品で構成されています。

Kenny Clarke(ds、per)、Francy Boland(p、arr)という双頭リーダーを中心に、Benny Bailey(tp)、Idrees Sulieman(tp)、Jimmy Deuchar(tp)、Dusko Gojkovic(tp)、Milo Pavlovic(tp)、Åke Persson(tb)、Nat Peck(tb)、Eric Van Lier(tb)、Derek Humble(as)、Phil Woods(as)、Johnny Griffin(ts)、Tony Coe(ts)、Ronnie Scott(ts)、Sahib Shihab(bs、fl)、Jean Warland(b)、Jimmy Woode(b)、Kenny Clare(per)、Shake Keane(per)、Tootie Heath(per)、Tony Inzalaco(per)、Sabu Martinez(per)といったメンバーがレコーディングに参加しています。

Dusko Gojkovic(tp)、Phil Woods(as)、Johnny Griffin(ts)、Sahib Shihab(bs、fl)、Sabu Martinez(per)あたりが有名どころでしょうか。。

人気曲「Un Graso De Areia」をはじめ、「Ramo De Flores」「Strano Sueno」等、今聴いても鮮度抜群のラテン・ジャズが満載です。

全曲紹介しときやす。

まずは「Gary McFarland's "Latin Kaleidoscope」と題されたGary McFarland作品(「Uma Fita De Tres Cores」を除く)。

「Un Graso De Areia」
本作のハイライト。クラブ・クラシックとなっている人気曲。Sahib Shihabのフルート、Dusko Gojkovicのトランペットがフィーチャーされています。クラブジャズを予見していたかのようなパーカッシヴなリズムにのって、ホーン隊も快調かつ軽やかなプレイを聴かせてくれます。この格好良いオープニングだけでも本作をゲットする価値があるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=uHWDa3P9RpY

「Duas Rosas」
映画のサントラのようなムーディーな雰囲気です。

「A Rosa Negra」
キューバン・ジャズらしいラテン乗りを満喫できます。ヨーロピアン・ビッグ・バンドならではのセンスを感じるアンサンブルも楽しめます。

「Uma Fita De Tres Cores」
この曲はFrancy Boland作。エレガントなヨーロピアン・ジャズに上手くラテンのエッセンスを取り入れた1曲。素晴らしいアレンジに魅了されます。

「Olhos Negros」
ソフトな演奏でロマンティック・ムードを演出してくれます。トロンボーンのÅke Persson、テナー・サックスのRonnie Scottがそれぞれ雰囲気のあるソロを聴かせてくれます。

「Ramo De Flores」
クラブジャズ好きにはグッとくるであろう高速サンバ・チューンです。ビッグ・バンドらしい華やかさで盛り上げてくれます。

ここからは「Francy Boland's "Cuban Fever"」と題されたFrancy Boland作品。

「Fiebre Cuban」
ドラマティックな出だしに続き、スリリングなラテン・ジャズが展開されます。

「Mambo De Las Brujas」
パーカッシヴなリズムと歯切れの良いホーンにグッときます。Sahib Shihabがフルート・ソロで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=tL_B3d3mJW8

「Strano Sueno」
エレガントなホーン・アンサンブルがセンス抜群のラテン・ジャズ。アルト・サックスのPhil Woods、テナー・サックスのTony Coeのソロを堪能できます。

「Cara Bruja」
熱く疾走する前半と優雅に舞う後半のコントラストが素晴らしい1曲。

「Crespusculo Y Aurora」
ラストはエレガントに締め括ってくれるのかと思いきや、中盤から一転してラテン・リズムでスピーディーに駆け抜けます。カッコイイ!

興味がある方は他のThe Kenny Clarke-Francy Boland Big Bandもチェックを!

『Now Hear Our Meanin'』(1963年)
Now Hear Our Meanin

『Swing Waltz Swing』(1966年)
Swing Waltz Swing

『Sax No End』(1967年)
Sax No End

『Faces』(1968年)
Faces

『Fellini 712』(1968年)
Fellini 712

『All Smiles』(1968年)
All Smiles

『All Blues』(1968年)
Clarke / Boland Big Band : All Blues (German Import)

『More Smiles』(1969年)
More Smiles

『Off Limits』(1970年)
Off Limits
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