発表年:2006年
ez的ジャンル:新世代アコースティック・ボッサ
気分は... :ゆったりと過ごすために・・・
間もなく、「バルセロナ対レアル・マドリー」のクラシコ4連戦の最終戦(CLセミ・ファイナル2ndレグ)です。
1stレグの状況を踏まえれば、バルサのCLファイナル進出は間違いないと思いますが、それとは関係なく両雄のプライドを賭けた熱戦を期待したいものです。個人的には11対11の状態でバルサに完勝して欲しいです!
さて、今回はブラジル人女性シンガーClara Morenoの4thアルバム『Meu Samba Torto』(2006年)です。
人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceの娘であるClara Morenoの紹介は、『Miss Balanco』(2009年)、『Morena Bossa Nova』(2004年)に続き3回目となります。
前作となる『Morena Bossa Nova』(2004年)は、プログラミングやサンプリングも取り入れたクラブ感覚のブラジル音楽/ボサノヴァでクラブ・シーンから熱い支持を集めました。
それに対して、4thアルバムとなる本作ではCelso Fonseca(g、vo)を大きくフィーチャーし、一転してアコースティック色を前面に打ち出した作品に仕上げています。
レコーディングにはCelso Fonseca(g、vo)以外に、母Joyce(g)、Tutty Moreno(ds、per)、Diego Figueiredo(g)、Rodolfo Stroeter(b)、Ricardo Mosca(ds、per)といったミュージシャンが参加しています。Celso Fonsecaに加えて、サンパウロで活躍する新鋭ギタリストDiego Figueiredoの貢献も大きいです。
プロジェクト・コンセプトとして、Joyceの名がクレジットされています。また、プロデュースはRodolfo Stroeterらが手掛けています。
アコースティックなボッサ作品の場合、アルバム1枚通して聴くとメリハリに欠けて単調な印象を受ける作品も少なくありませんが、本作は大きく、Clara自身の個性を際立たせた楽曲、ClaraとCelso Fonsecaの共演を楽しめる楽曲、Diego Figueiredoの素晴らしいギターとClaraのヴォーカルの絶妙のコンビネーションを聴かせる楽曲の3タイプから構成されており、その意味で飽きることなくアルバム1枚を満喫することができます。
優雅な休日を過ごすのにピッタリな1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Litoranea」
Celso Fonseca/Rodolfo Stroeter作。本作の魅力が凝縮されたオープニングです。Fonsecaの小粋なギターと優しい歌声がアルバム全体の空気感を象徴しています。それに合わせてClaraも実に自然体でいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=jWSo-nrOC6g
「Sabe Quem?」
Ze Renato/Joyce作。母Joyceの軽やかなギターをバックに、娘Claraが雰囲気たっぷりの無邪気なヴォーカルを披露してくれます。母Joyceのヴァーションは、夫婦アルバムJoyce & Tutty Moreno『Samba-Jazz & Outras Bossas』(2007年)に収録されています。
Joyce & Tutty Moreno「Sabe Quem?」
http://www.youtube.com/watch?v=p2LQNo5xMWc
「Sei La」
Claraの実父Nelson Angeloの作品。邦題「知るもんですか」。Diego Figueiredoの歯切れの良い良いギターに合わせ、Claraがクールなヴォーカルで「知ったこっちゃないわ」と吐き捨てます!
「Moca Flor」
Bebeto Castilho/Durval Ferreira作。当ブログではTamba Trio、Tamba 4のカヴァーも紹介済みです。Fonsecaのソフト・ヴォイスとClaraのクール・ヴォイスの組み合わせが実にいいですね。空気がゆっくり流れていく感じがサイコー!
「Bahia Com H」
Denis Brean作。Joao Gilbertoのレパートリーとしてお馴染みの1曲。Fonsecaのギターの心地好い響きをバックに、語りかけるように歌うClaraのヴォーカルが印象的です。
「Morena Boca De Ouro」
偉大なブラジル人作曲家Ary Barrosoの作品。Diego Figueiredoの雰囲気のあるギターがロマンティックでいいですね。囁くようなClaraのヴォーカルにもグッときます。
「Mon Menage A Moi」
Edith Piafでお馴染みのシャンソン曲のカヴァー(Glanzberg/Jean Constantin作)。Claraのセクシー・フレンチ・ヴォーカルに悩殺されてしまいます。現在の父Tutty Morenoの口笛もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=lZPpV_1Hfis
「Rosa De Ouro」
Elton Medeiros/Hermínio Bello de Carvalho作。Fonsecaの素晴らしいギターとジェントル・ヴォーカルがここでも冴え渡ります。そよ風を感じる1曲。
「Copacabana」
Joao de Barro/Alberto Ribeiro作。Diego Figueiredoのギターをバックに、Claraが情感たっぷりのヴォーカルで聴かせてくれます。夕暮れが似合う1曲。
「Se Acaso Voce Chegasse」
Lupicínio Rodrigues作。1分半にも満たない曲ですが、Ricardo Moscaの素晴らしいドラムなど楽しめます。
「Meu Samba Torto」
タイトル曲はCelso Fonseca作。Fonseca自身のヴァージョンは当ブログでも紹介した『Natural』(2003年)に収録されています。プログラミングしたリズムが用いられていたオリジナルに対して、本ヴァージョンはアコースティックな透明感に溢れた小気味良い仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=qKAt40Dk3xQ
Celso Fonseca「Meu Samba Torto」
http://www.youtube.com/watch?v=41yIJo70ZHM
「Vem Morena Vem」
Jorge Ben作。小粋なバックがいい感じです。
「Ela Vai Pro Mar」
Celso Fonseca/Ronaldo Bastos作の名曲。オリジナルは当ブログで紹介したCelso Fonseca & Ronaldo Bastos『Paradiso』(1997年)に収録されています。個人的にはオープニングの「Litoranea」と並ぶ本作のハイライトだと思います。至極の時間を過ごせる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=rVO2PRpERQk
「Tenderly」
Walter Gross/Jack Lawrence作のスタンダード。母Joyceも『Delirios De Orfeu』(1994年)でカヴァーしていました。Diego Figueiredoの小粋なジャジー・ギターをバックに、スタンダード感溢れるヴォーカルを聴かせてくれます。
『Clara Moreno』(1996年)
『Mutante』(1998年)
『Morena Bossa Nova』(2004年)
『Miss Balanco』(2009年)