2011年06月13日

James "D-Train" Williams『In Your Eyes』

80年代後半のアーバン・テイストを楽しみましょう!☆James "D-Train" Williams『In Your Eyes』
In Your Eyes
発表年:1988年
ez的ジャンル:N.Y.系ダンサブル・アーバン・コンテンポラリー
気分は... :『告白』は凄かった!

昨晩、WOWOWで今年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀監督賞を受賞した映画『告白』を観ました。少年犯罪を題材に人間の心の闇を見事に映像化した凄い作品でした。観終わった後、寒気で背中がスースーしてきました。

それまでの作品で鮮やかな映像が印象深かった中島哲也監督でしたが、本作では従来の作品とは異なる心をえぐる映像にヤラれました。

主演の松たか子の演技には震え上がってしまいました。これを観ると、彼女に日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を獲らせてあげたかった気もしますね。

今回はD-Trainとして80年代に活躍したJames "D-Train" Williamsのソロ作『In Your Eyes』(1988年)です。

D-Trainは、ヴォーカリストJames "D-Train" Williamsとマルチ奏者Hubert Eaves IIIのデュオ。

Hubert Eaves IIIは、Gary Bartz Ntu TroopMtumeでも活動し、ソロ・アルバム『Esoteric Funk』(1979年)もリリースしています。

D-Trainは、Preludeから『You're The One For Me』(1982年)、『Music』(1983年)、『Something's On Your Mind』(1984年)といった3枚のアルバムをリリースし、N.Y.らしいダンス・サウンドで人気を博しました。

Columbiaに移籍後は、Hubert Eaves IIIは裏方に専念し、James "D-Train" Williamsのソロとして『Miracles of the Heart』(1986年)、『In Your Eyes』(1988年)をリリースしています。

本作『In Your Eyes』は、某有名ソウル・ガイド本にも取り上げられていることでも知られている1枚ですね。僕の場合、今年のタワレコのクリアランス・セールで290円にてゲットしました。

良くも悪くも80年代らしいサウンドです。数曲ビミョーなものもありますが、総じて言えば、80年代後半のアーバン・コンテンポラリー感を楽しめる1枚だと思います。

プロデュースはJames "D-Train" Williams/Hubert Eaves III。ソングライティングも大半が二人の共作によるものです。

レコーディングには、Hubert Eaves IIIの息子Hubert Eaves IV(b)やDoc Powell(g)等が参加しています。また、Curtis King、Cindy Mizell、Genobia Jeter、Lisa Fischer、Audrey Wheeler、B.J. Nelson、Will Downingというバック・コーラス陣が充実しています。

D-Train作品って、ジャケがいまいちなのが多いですが、男の哀愁漂う本作はなかなかいいのでは?

全曲紹介しときやす。

「In Your Eyes」
タイトル曲は洗練されたファンク・チューン。何処かJam & Lewisっぽい雰囲気もありますね。曲作りにも参加しているHubert Eaves IIIの息子Hubert Eaves IVのベース・プレイが秀逸!息子に負けじとHubert Eaves IIIも小粋なピアノ・ソロを聴かせてくれます。Genobia Jeter、Lisa Fischer、B.J. Nelsonの女性コーラス隊もチャーミング!
http://www.youtube.com/watch?v=Ahy_xEIcieA

「Order In The House」
迫力あるアップ・チューンですが、僕の好みではありません。
http://www.youtube.com/watch?v=W0p4G2ue0xI

「With All My Heart」
同じアップ・チューンでもこちらは僕の好み。Alexander O'Nealあたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=WoZJ4AdAhFk

「If You Know What I Know」
Paul Johnson/Johnny Hodges作。落ち着いたアーバン・ミッド・グルーヴ。演奏にも参加している作者二人の色が出ているのか、他の楽曲とサウンド面で少し異なる印象を受けます。
http://www.youtube.com/watch?v=4BubUlobJnE

「Shadow Of Another Love」
なかなか雰囲気のあるミディアム・スロウ。D-Trainの熱唱とアーバン・サウンドがよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=7TnWUJMh7Sg

「Runner」
シングルにもなったアーバン・ダンサー。作者としてHubert Eaves IIIと共にMiles Jayeの名がクレジットされています。そう言われれば、このアーバンなダンサブル感は、当ブログでも紹介したMiles Jayeのアルバム『Miles』(1987年)と同じ香りがしますね。
http://www.youtube.com/watch?v=1Vd0w1oP_UY

「Curious」
胸にジーンとくつ素敵なバラード。Cindy Mizelle、Audrey Wheeler、Will Downingのコーラス隊もグッド!Hubert Eaves IIIによるサウンド・メイクやLenny Pickettのアルト・サックス・ソロもアーバン・ムードを盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=UcvR_3c_Dj4

「Child Of Love」
80年代ブラコンらしい打ち込みサウンドのピコピコ感が印象的なミディアム・スロウ。チープですがこういうの嫌いじゃありません(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=4N2EspCpdvE

「Diamond In The Night」
軽くラテン・フレイヴァーの効いたダンサブル・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=7OPj9KdK3vQ

「My Friend」
Hubert Eaves IIIの美しいエレピをバックに、じっくり聴かせる感動バラード。
http://www.youtube.com/watch?v=dR9WOjtPxtg

「Smile」
ラストはラテン・フレイヴァーのダンサブル・チューン。このB級感はビミョーです(笑)。Ed "Tree" Mooreがギターで参加し、気の利いたカッティング・ギターを聴かせてくれます。。
http://www.youtube.com/watch?v=b4Gq5ng5Sqg

僕の所有CDにはボーナス・トラックとして「Runner」のダブ・ミックスが収録されています。

他のD-Train作品もチェックを!

『You're The One For Me』(1982年)
You're the One for Me

『Music』(1983年)
Music

『Something's On Your Mind』(1984年)
Something's on Your Mind

『Miracles of the Heart』(1986年)
Miracles of the Heart
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2011年06月12日

Roman Andren『Lovin' You』

日本独自企画のカヴァー集。でも侮れませんよ!☆Roman Andren『Lovin' You』
ラヴィン・ユー
発表年:2011年
ez的ジャンル:北欧系ブラジリアン・グルーヴ
気分は... :十人十色

僕の場合、自分のブログを書くのに精一杯で、なかなか他の音楽ブロガーの方の記事を拝見することができていません。それでもたまに拝見すると、当ブログでも紹介した作品について、自分とはかなり異なる印象・評価の場合もあり、興味深く記事を読ませてもらいます。

自分が大絶賛した作品なのに他の方の評価は芳しくない、あるいは他の方が大絶賛でも自分の印象はいまいち・・・といったことは、よくあることです。当ブログの場合、"お気に入り作品を紹介するブログ"なので、いまいちな印象の作品であれば記事にすることはありませんが。

同じ作品について、さまざまな見解があるのは当たり前だと思いますし、そのどれもが妥当なものだと思います。音楽の聴き方なんて自由ですからね。そういった個人の嗜好が自由に反映されるからこそ音楽ブログは楽しいと思っています。

今回は"北欧のDeodato"ことRoman Andrenの新作『Lovin' You』です。

北欧らしいスタイリッシュなブラジリアン・グルーヴで日本でも大人気のスウェーデン出身のキーボード奏者、Roman Andrenの紹介は『Juanita』(2007年)、『Color Green』(2010年)に続き3回目となります。

本作は日本独自企画のカヴァー集であり、タワーレコードのみでの先行発売でしたが、6月になってそれ以外での発売も解禁となりました。僕はタワレコで発売直後に購入し愛聴していました。

いわゆる"女子ジャズ"系企画のカヴァー集です。
ベタな選曲が多いのは、そういった"女子ジャズ"ニーズに対応するため、日本の企画サイドからの意向が反映されているものと思われます。

本来、僕はこういう企画モノを毛嫌いするタイプなのですが、Roman Andren作品ということで目をつぶって購入しました。

ただし、そこはRoman Andren!安易なカヴァー演奏になっておらず、有名曲を敢えてカヴァーする意味合いを考え、よく練られた演奏を楽しむことができます。

レコーディング・メンバーはRoman Andren(p、vo)以下、Zoltan Csorsz jr.(ds)、Johnny Aman(b)、Joselo Orellana(per)、Magnus Lindeberg(g)、Ingrid Thulin(violin)、Diana Scarpati(viola)、Gosta Andren(tp)、Ingela Jansson(vo)、Harold Rolle(vo)、Deana Ekberg Nannskog(vo)、Inge Petersson-Lindback(fl、sax)といった構成です。当ブログでもソロ作『All These Choices』(2009年)を紹介したスウェーデン出身のシンガー・ソングライターIngela Janssonの参加が嬉しいですね。

"女子ジャズ"と敬遠せずに聴いてみて下さい。

全曲紹介しときやす。

「Happy Sad」
日本企画盤らしく、オープニングはピチカート・ファイヴ「ハッピー・サッド」をカヴァー。渋谷系大好きだった僕はオリジナル自体が大好きなので大歓迎です。実際、購入以来最も多く聴いている曲です。オリジナルの持つキュート&キャッチー感に、Roman Andrenらしい軽快なブラリジアン・フレイヴァーが加わり、実に魅力的なカヴァーに仕上がっています。

これを機会にオリジナルも再チェックを!
Pizzicato Five「Happy Sad」(1994年)
 http://www.youtube.com/watch?v=AeZUZaLt0Fw

「Crickets Sing For Anamaria」
Marcos Valle作品をカヴァー。当ブログでも『Samba '68』のMarcosヴァージョンを紹介済みです。ここではIngela(Ingela Jansson)をフィーチャーした男女ヴォーカルで、ファンキー&へヴィ&リズミックなジャズ・サンバに仕上げています。
http://www.youtube.com/watch?v=d5dW3S6gj2U

「Lovin’You」
タイトル曲はMinnie Ripertonの永遠の名曲をカヴァー。女子ジャズ企画らしいベタな選曲ですが、それでも感動してしまう素晴らしいカヴァーに仕上がっています。Minnie RipertonのラブリーなメロディとRoman Andrenのライト&メロウなサウンド・センスがよくマッチしています。

「My Cherie Amour」
Stevie Wonderの名曲カヴァー。オリジナルとは一味異なる軽快なボッサ・テイストが心地好いインスト・カヴァーです。Roman Andrenの小粋なピアノタッチにグッときます。

「Let's Stay Together」
Al Greenの大ヒット・シングルをカヴァー。そう言えば、今年になってスウェーデン人女性ヴォーカリストCaroline Ekstromによるジャズ・プロジェクトThe Moleskinsによるボッサ・テイストの小粋なジャズ・カヴァーを紹介しましたね。Roman Andrenヴァージョンもかなり工夫された気の利いた秀逸カヴァーに仕上がっています。本カヴァーを聴けば、本作が安易な有名曲カヴァー集ではないと実感できるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=UMTgedsBgo0

「Wave」
Antonio Carlos Jobimの名曲カヴァー。前半は正攻法なカヴァーですが、中盤以降はラテンのエッセンスを散りばめてアクセントをつけています。

「Hymn A'Lamour」
Edith Piafの名唱で知られるシャンソン名曲「愛の讃歌」のカヴァー。少し意外な選曲ですが、シャンソン名曲をエレガントかつ小粋なブラジリアン・グルーヴに生まれ変わらせました。

「Rock With You」
Michael Jacksonの大ヒット曲カヴァー。「Happy Sad」に続き、聴く頻度が多いのが本曲です。オリジナルとは異なる雰囲気の軽快かつエレガントな演奏が新鮮な印象を与えてくれるグッド・カヴァーに仕上がっています。Roman Andrenのセンスの良さを実感できます。

「I Won't Last A Day Without You」
Carpentersのヒットで知られるPaul Williams/Roger Nichols作品。宇多田ヒカル&椎名林檎もカヴァーしていますね。Roman Andren自身はAndy Williamsヴァージョンの影響が大きいようです。ここではピアノを中心としたロマンティックなインスト・チューンで聴かせてくれます。

「I Want You」
Marvin Gayeの名曲カヴァー。オリジナルのセクシーな雰囲気とRoman Andrenらしいジャズ&ブラジリアン・フレイヴァーを上手く融合させています。

「Up, Up And Away」
The 5th Dimensionでお馴染みの「ビートでジャンプ」をカヴァー(Jimmy Webb作)。ソフト・ロック・テイストのさり気ない仕上がりが涼しげです。

「Den Jag Alskar Heter Orjan」
Jojje Wadenius作。この曲に関してはスウェーデンの子供向けの歌のようですがよくわかりません。Roman Andrenの優しさが反映された演奏なのでは?

「My Foolish Heart」
作詞Ned Washinton、作曲Victor Youngによるスタンダード。映画『My Foolish Heart』(1949年)の主題歌です。個人的には当ブログでも紹介したBill Evans Trio『Waltz For Debby』のヴァージョンの印象が強いですね。Roman Andrenヴァージョンは小粋なボッサ・チューンに仕上がっています。

「Moon River」
ラストは映画『ティファニーで朝食を』の主題歌としてお馴染みのHenry Mancini作品。Roman Andre自身は『ティファニーで朝食を』を観たことがないのだとか。美しくロマンティックな演奏でラストを締め括ってくれます。

『Juanita』(2007年)
ファニータ

『Juanita And Beyond: Live Studio Sessions』(2008年)
ファニータ・アンド・ビヨンド:ライヴ・スタジオ・セッションズ

『Color Green』(2010年)
カラー・グリーン
posted by ez at 10:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月11日

Silvetti『Spring Rain』

アルゼンチン人ピアニストがサルソウルに残したダンス・アルバム☆Silvetti『Spring Rain』
スプリング・レイン(紙ジャケット仕様)
発表年:1977年
ez的ジャンル:サルソウル系ダンス・ミュージック
気分は... :U−22日本代表について・・・

ロンドン五輪2次予選クウェート戦を戦うU−22日本代表のメンバーが10日発表されましたが、宇佐美、宮市は外れましたね。いろいろ意見はあると思いますが、個人的には五輪予選はコンビネーションを作りやすい国内組で戦い、五輪本番で香川、宇佐美、宮市、指宿といったプラスαを加えることで、チームを進化させるというのが理想という気がします。

(海外移籍を前提に)宇佐美、宮市に関してガ、五輪予選で所属チームを離れるよりも、所属チームでのプレーに専念し、そこで自分のポジションを確立すると同時に、少しでも多くの経験を積む方が、本人および日本代表にとってプラスになるのでは?というのが僕の意見です。

まぁ、香川、宇佐美、宮市らが不在でも五輪予選を勝ち抜くことができることが大前提での話ですが・・・

今日は梅雨の時期にピッタリなダンス・アルバムSilvetti『Spring Rain』(1977年)です。
ジャケからして梅雨な感じがいいですよね。

Bebu Silvetti(1944-2003年)はアルゼンチン、ブエノスアイレス出身のピアニスト/プロデューサー。

6歳の頃からピアノを習い始め、10代でバンドを組んでいたSilvettiは、21歳の時にスペインへ移住します。その後70年代に入るとメキシコに渡り、作曲とアレンジについて本格的に勉強したようです。

再びスペインへ戻ったSilvettiは、遂に1stアルバム『World Without Words』を制作します。コンテンポラリーなダンス・アルバムと仕上がった同作は、N.Y.の人気ダンス・レーベルSalsoul Recordsから1976年にリリースされました。同作からシングル・カットされた「Spring Rain」は、ディスコから火がつき全米チャート第39位のヒットとなりました。

このヒットを受けて、「Spring Rain」のロング・ヴァージョンを収録し、制作されたのが今日紹介する2ndアルバム『Spring Rain』(1977年)です。

『Spring Rain』を最後にSalsoulを離れますが、1978年に3rdアルバム『Concert From the Stars』、1980年に4thアルバム『I Love You』をリリースしています。70年代末にメキシコへ移住し、か2003年亡くなるまでラテン音楽業界で活躍しました。

今日紹介する2ndアルバム『Spring Rain』(1977年)ですが、やはり目玉はダンス・クラシックのタイトル曲ということになりますね。ディスコ・クラシックであり、フリーソウル・クラシックであり、電気グルーヴの大ヒット・シングル「Shangri-La」の元ネタとしてもお馴染みですね。

全体的には、ピアノ&スキャット&ストリングスが絡むイージー・リスニング的なダンス・アルバムといった印象ですかね。決して「Spring Rain」のみのアルバムではなく、それ以外にも「A Smile At Dawn」「Two Cups Of Coffee」「Voyage Of No Return」など素敵なダンス・チューン、メロウ・グルーヴが収録されています。

さらにサルソウル作品らしくTom Moultonがシグマ・サウンドでミックスを担当し、迫力あるダンス・サウンドへグレード・アップさせているのも魅力です。

ガツんとくるダンス・ミュージックではありませんが、イージー・リスニングらしい柔らかさを兼ね備えたダンス・ミュージックもいいですよ!

ジャケに惹かれた方はぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Spring Rain」
オススメその1。タイトル曲は、前述のように本作のハイライトとなるダンス・クラシック。美しいピアノの響きと、めくるめくストリングス、ディスコのリズム、そして女性スキャットが絡み、ロマンティックかつちょっぴり切ないダンス・サウンドを聴かせてくれます。ガラージ・ディスコのようにガツんとくるのではなく、ジワジワくる感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=u6Q4d2t9lyk

「Primitive Man」
サルソウルらしいダンス・サウンドとSilvettiならではのイージー・リスニング的サウンドがうまくミックスしたディスコ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=TFrXoUgo-jw

「A Smile At Dawn」
オススメその2。小粋なピアノ・タッチとセクシーな女性スキャットにグッとくるブレジリアン・フレイヴァーのメロウ・チューン。ブラジリアン・フュージョンと一緒に聴きたい1曲。Silvettiらしいセンスを感じる1曲です。

「Two Cups Of Coffee」
オススメその3。Silvettiのメロウで柔らかいエレピ・サウンドにグッとくるロマンティック・チューン。プロデューサーを務めるRafael Trabucchelliの作品です。タイトルの通り、カフェ・ミュージックとしてもジャスト・フィットする1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=bnO3ZjIPAXI

「Voyage Of No Return」
オススメその4。エレガントかつ爽快なディスコ・チューンである本曲が、アルバム中一番サルソウルらしさを満喫できるのでは?The Salsoul Orchestraあたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=sKNZWwOohfQ

「Coconut Rain」
ラテン・フレイヴァーの効いた1曲。梅雨を通りすぎて気分は夏のバカンスといったところでしょうか・・・
http://www.youtube.com/watch?v=m7sTmm55Dw8

「Fortune Teller」
サックスをフューチャーしたムーディーなイージーリスニング。

「Contigo」
この曲も「Spring Rain」同様、1stアルバム『World Without Words』に収録されたいた楽曲の再演です(『World Without Words』でのタイトルは「With You 」)。美しいアレンジに魅了されるブラジリアン・フュージョン風の仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=m7uERVXyu9o

『World Without Words』(1976年)
World Without Words
posted by ez at 00:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月10日

Innerzone Orchestra『Programmed』

Carl Craigによる歴史的名盤☆Innerzone Orchestra『Programmed』
Programmed
発表年:1999年
ez的ジャンル:デトロイト・テクノ系フューチャー・ジャズ/ブラック・ミュージック
気分は... :レブロン復調なるか?

今回はCarl CraigのユニットInnerzone Orchestraによる唯一のアルバム『Programmed』(1999年)です。デトロイト・テクノの新たな可能性を示した歴史的名盤として評価が高い1枚ですね。

Innerzone Orchestraはデトロイト・テクノを牽引するCarl Craigが、Francisco Mora(ds)、Craig Taborn(p)というジャズ・ミュージシャンと結成したユニットです。

Innerzone Orchestraの中心人物であるCarl Craigは1969年デトロイト生まれ。10代の時にデトロイト・テクノのオリジネーターDerrick Mayに見出され、頭角を現すようになります。その後はデトロイト・テクノ第二世代のリーダーとしてシーンを牽引し続けています。また、自身のレーベルPlanet E Communicationsを運営し、数多くの作品をシーンへ送り込んでいます。当ブログで紹介した作品で言えば、Moodymann『Silentintroduction』(1997年)もPlanet Eからのリリースです。

Moodymann『Silentintroduction』の記事でも書きましたが、デトロイト・テクノには決して明るくありません。Derrick May、Juan Atkins、Kevin Saundersonといったデトロイト・テクノのオリジネーターはスルー状態で、第二世代で言えば、Underground Resistance『Revolution For Change』(1992年)や今日紹介するInnerzone Orchestra『Programmed』(1999年)を持っているくらいです。

今日紹介するInnerzone Orchestra『Programmed』は、"デトロイト・テクノ"というよりも"フューチャー・ジャズ"や"ブラック・ミュージック"という言葉が相応しい1枚です。

The Stylistics、Warのカヴァーや70年代ブラック・ムーヴィーからインスパイアされた楽曲、70年代ジャズ・ファンクの影響を受けた楽曲、Hip-Hopテイストな楽曲などもあり、ハウス/テクノ、ジャズ、Hip-Hop、ソウルなど様々なブラック・ミュージックのエッセンスが1枚に凝縮されています。その意味では、アルバム全体にメリハリがあって全14曲を飽きることなく楽しめると思います。

また、『Programmed』というタイトルですが、プログラミング・サウンドと生演奏による即興的なサウンドを巧みに融合させているのも本作の特徴です。

多分、Nu Jazz/クロスオーヴァー系のサウンドが好きな人は聴くと一番ハマる作品という気がします。

久々に1枚通して聴きましたが、改めて歴史的名盤という評価に納得してしまいました。

全曲紹介しときやす。

「Wrong Number」
間違い電話に気付かない男が一方的にメッセージを吹き込むというアルバムのイントロ。

「Manufactured Memories」
トライバルでコズミックなフューチャー・ジャズ・ファンク。♪Miles (Davis),(Art) Blakey,(John) Coltrane・・・♪と偉大なジャズ・ジャイアントの名前が読み上げられます。

「The Beginning Of The End」
デトロイトのラッパーLacksi-Daisy-Calをフィーチャー。ミレニアム感(?)が漂う不穏な雰囲気が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=LeCu3-2iYIU

「Programmed」
アブストラクトHip-Hopテイストな近未来的サウンドが印象的なタイトル曲。

「Eruption」
近未来のバイクのエンジン音といった雰囲気のサウンドと共にスタートします。全体的にはインプロ感たっぷりのフューチャー・ジャズといった仕上がりです。デトロイト・テクノとジャズの接点を実感できるところが好きです。

「Monsters」
ここではFrancisco MoraではなくGreg Tylerのドラムを大きくフィーチャー。近未来のブラック・ムーヴィー・サントラといった雰囲気がいいですね。

「Blakula」
1972年公開のブラック・ムーヴィー『Blakula』(音楽担当はGene Page)にインスパイアされて作られた曲。元の映画やサントラを知らないので、どのあたりがBlakulaなのか理解できませんが、バイオリンを大きくフィーチャーした美しくも切ないサウンドが印象的です。終盤になって高揚してくるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=CkJEYslrKq0

「People Make The World Go Round」
The Stylisticsのカヴァー。オリジナルは『The Stylistics』(1971年)に収録されています。ここではPaul Randolphのヴォーカルをフィーチャーし、オリジナルの雰囲気を受け継いだカヴァーに仕上がっています。Alan Barnesのフルートがいいアクセントになっています。Hip-Hopファンは故J Dillaのリミックスでお聴きになった方も多いのでは?

Innerzone Orchestra「People Make The World Go Round (J88 Remix) 」
http://www.youtube.com/watch?v=9s6q49haFfo

「Architecture」
Richie Hawtinがプログラミングで参加。コズミック&スピリチュアルな雰囲気が漂います。
http://www.youtube.com/watch?v=cTjQ_RMBgZc

「Basic Math」
70年代ジャズ・ファンク/クロスオーヴァーからの影響を感じる1曲。本曲を聴いてデトロイト・テクノをイメージする人はいないでしょう。Craig Tabornのフェンダー・ローズの音色が妖しく響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=l-w2G4C7Hpo

「Timing」
クロスオーヴァー感が心地好い1曲。当時の僕がイメージしていたフューチャー・ジャズって、こんな感じでした。

「Galaxy」
Warのカヴァー。Warのオリジナルは『Galaxy』(1977年)に収録されています。オリジナルはスペイシーなファンキー・チューンでしたが、ここではパーカッシヴ&コズミックなハウス・チューンとして聴かせてくれます。Craig Tabornの美しくも儚いピアノにグッときます。

「At Les」
1993年リリースの名曲をリメイク。Craig Tabornのピアノの美しい響きを生かしたスピリチュアルな仕上がりが感動的です。

「Bug In The Bass Bin」
ラストはデトロイト・テクノ経由のフューチャー・ジャズ感がよく出ています。Francisco Moraのドラミングが冴え渡ります。
http://www.youtube.com/watch?v=C6dhbpI3Gl8

僕が所有する国内盤CDにはボーナス・トラックとして「Architecture (10" Edit)」が収録されています。

「マイアミ・ヒート対ダラス・マーベリックス」のNBAファイルは両者2勝2敗の五分であり、今日の第5戦の勝者が大きなアドバンテージを得ることになりますね。接戦の連続で見応えのあるファイナルになっていますが、個人的にはヒートが取りこぼしている印象が強いですね。特にレブロンの調子が今一つなのが心配ですね。残り3戦での復調を期待しましょう!
posted by ez at 03:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月09日

Jazzyfatnastees『The Tortoise & The Hare』

才能溢れる女性R&Bデュオの第2弾☆Jazzyfatnastees『The Tortoise & The Hare』
Tortoise & Hare
発表年:2002年
ez的ジャンル:ネオ・ソウル系女性R&Bデュオ
気分は... :セピア色のネオ・ソウル...

今回は女性R&BデュオJazzyfatnasteesの2ndアルバム『The Tortoise & The Hare』(2002年)です。

Tracey MooreMercedes Martinezの2人から成る女性R&BデュオJazzyfatnasteesの紹介は、デビュー・アルバム『The Once and Future』(1999年)に続き2回目となります。

前作『The Once and Future』は、The Rootsの設立したレーベルMotiveからリリースされました。

しかしながら、本作『The Tortoise & The Hare』『The Once and Future』でもメイン・プロデューサーを務め、Mercedesの夫でもあるRichard Nicholsの自主レーベルからのリリースとなりました。TraceyとMercedesの2人が自分たちのやりたい音楽を自由に追求できる環境を求めたようです。

そうした事情から?uestloveの参加はなく、The Roots色が薄まった印象は否めません。

それでもRichard NicholsAnthony TiddKamal GrayMel "Chaos" LewisといったThe Grand WizzardsのメンバーやBen KenneyAdam Blackstoneといった面々がプロデュースを務めており、その意味ではThe Roots色も残っています。また、Scott StorchLarry Goldも前作に続き参加し、Hip-HopプロデューサーJ-Swiftも3曲を手掛けています。TraceyとMercedesのメンバー2人もプロデュースに関与しています。

Jazzyfatnasteesの場合、Tracey MooreMercedes Martinezがそれぞれリード・ヴォーカルのみならず、ソングライティング、プロデュース、ヴォーカル・アレンジを手掛ける才能を持っているので、1枚のアルバムで2人の女性ソロ・アーティストの作品を満喫できる気分になるのがいいですね。一方で、2人の一体感を楽しめる楽曲もあり、デュオならではの魅力も保たれています。

特に、本作『The Tortoise & The Hare』では、前作『The Once and Future』以上に彼女たちがやりたい音楽がネオ・ソウルとして表現できているのでは?

JazzyfatnasteesFloetryといったネオ・ソウル系女性R&Bデュオは、今聴いても全く色褪せないジャジー&メロウなグルーヴ感にかなりグッときますね。

大人のジャジー・ソウルを求めている方はぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Something In The Way」
オススメその1。このオープニングに本作の魅力が凝縮されています。Traceyのキュートなヴォーカルと洗練されたバック陣が織り成す、大人のしっとりジャジー・ソウル。Tracey Moore/Richard Nichols/Ben Kenney/Adam Blackstone/Curtis Chambers/Aaron Draperプロデュース。James Poyserもキーボードで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=G5vR3feMKT8

「El Medio」
Larry Gold/Richard Nichols/Kamal Gray/Mel "Chaos" Lewisプロデュース。Mercedesが哀愁ヴォーカルで妖しげに迫ります。
http://www.youtube.com/watch?v=mHhHyXBdRY4

「All Up In My Face」
オススメその2。シングルにもなりました。Anthony Tiddプロデュースによるラテン・フレイヴァーのネオ・ソウル・チューン。ラテンの灼熱感とジャジー・ソウルのクール感が上手く調和しているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=oxU-1fA1H5s

「Four Lives」
オススメその3。Richard Nichols/Mercedes Martinezプロデュース。Mercedesの哀愁ヴォーカルとネオ・ソウルらしい浮遊感のある音世界を堪能できます。オートチューン使いのコーラスもいい感じです。

「Adolescent Blues」
Anthony Tiddプロデュース。ストリングスとドラム・プログラミングで一味違ったブルージー・チューンを堪能できます。特に後半の二人のコーラスワークがいい感じです。

「Compelled」
Scott Storch/Tracey Moore/Richard Nichols/Ben Kenneyプロデュース。ダークな味わい、かつロッキン&ディスコなバックが印象的です。

「Tumbling」
オススメその4。Scott Storch/Mercedes Martinez/Richard Nicholsプロデュース。僕の一番のお気に入り。Jazzyfatnasteesに興味がある人の多くは、こういう大人のジャジー&メロウ・グルーヴを期待しているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=VDx0WRFtQRI

「Show Your Face」
Richard Nichols/Mercedes Martinez/J-Swiftプロデュース。The Pharcydeなどでお馴染みのHip-HopプロデューサーJ-Swiftが加わった1曲。哀愁トラックをバックにMercedes & Traceyが息の合ったヴォーカルを聴かせてくれます。イントロで一瞬Lynyrd Skynyrd「Sweet Home Alabama」を思い浮かべたのは僕でしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=QJjeNREPfFA

「Tortoise And The Hare」
タイトル曲もJ-Swiftプロデュース。前曲に続き哀愁モードです。Mercedesによるヴォーカル・アレンジが素晴らしいです。

「Give A Dog A Bone」
オススメその5。ラストもJ-Swiftプロデュース。エレクトロニカ+Hip-Hop+ドラムン・ベースといった雰囲気のトラックにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=tMQg3e4Iwn8

本作の後、3rdアルバム『The World Is Coming』が制作され、ダウンロード配信なども行われましたが、未だ幻のアルバムとなったままです。

『The Once and Future』(1999年)
ジ・ワンス・アンド・フューチャー
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