2011年06月08日

Jim Capaldi『Short Cut Draw Blood』

ヒット曲「Love Hurts」収録の3rdソロ☆Jim Capaldi『Oh How We Danced』
Short Cut Draw Blood
発表年:1975年
ez的ジャンル:ブルー・アイド・ソウル系ブリティッシュ・ロック
気分は... :気力・体力ともに減退気味・・・

今週に入ってから気力・体力ともに減退気味・・・
エントリーもサボってしまいました。

こんな時にはロック系の作品がいいかも?
久々にセレクトしたロック・アルバムは、Jim Capaldi『Short Cut Draw Blood』(1975年)です。

Trafficのドラマーである故Jim Capaldi(1944-2005年)の紹介は、初ソロ・アルバム『Oh How We Danced』(1972年)に続き2回目となります。

Traffic『When the Eagle Flies』(1974年)を最後に解散しましたが、Capaldiはソロ・アーティストとしての地位を確立し、その後もコンスタントにアルバムをリリースすることになります。

数あるCapaldiのソロの中でも最も人気の高い1枚が本作『Short Cut Draw Blood』だと思います。本作からはシングル「Love Hurts」がUKシングル・チャートのTop5に入るヒットとなっています。これはCapaldiにとっての最大のヒット曲となりました。

本作『Short Cut Draw Blood』『Oh How We Danced』(1972年)、『Whale Meat Again』(1974年)と同様に、アラバマのマッスル・ショールズとロンドンでレコーディングが行われています。

Jim Capaldi(ds、key、vo)以下、レコーディング・メンバーも充実しています。

マッスル・ショールズ勢からは、Pete Carr(g)、Jimmy Johnson(g)、David Hood(b)、Roger Hawkins(ds)、Muscle Shoals Horns(horn)が参加しています。David HoodRoger Hawkins(ds)、Barry Beckett(p)は一時期Trafficメンバーとしても活動していました。

Traffic勢からは、Steve Winwood(b、g、key)、Chris Wood(fl)、 Rebop Kwaku Baah(per)、Rosko Gee(b)も参加しています。

それ以外にもFreeのPaul Kossof(g)、Peter, Paul and MaryのPeter Yarrow(g)、スカ.レゲエ・ファンにお馴染みのRico Rodriguez(tb)をはじめ、Chris Spedding(g)、Jess Roden(g)、John "Rabbit" Bundrick(key)、Phil Chen(b)、Gerry Conway(ds)、Remi Kabaka(per)、Jean Roussel(b、key)、Ray Allen(sax)が参加しています。

プロデューサーとして、Jim Capaldi本人とSteve Smith、Chris Blackwellがクレジットされています。

以前に書いたかもしれませんが、僕の中ではマッスル・ショールズ録音のきっかけとなった『Oh How We Danced』(1972年)、マッスル・ショールズ勢がTrafficメンバーとして加入したTraffic『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)、それまでの集大成的な本作『Short Cut Draw Blood』(1975年)という3枚をセットで聴きたくなることが多いですね。

きっと僕がJim Capaldiのソロに惹かれるのは、ブルー・アイド・ソウルの香りだと思います。同じTrafficメンバーでもSteve Winwoodのような圧倒的なソウルフル感ではなく、いぶし銀の枯れたブルー・アイド・ソウル感にグッとくるのかもしれません。

なお、本作『Short Cut Draw Blood』については『The Contender』(1978年)との2in1CDが近日発売されるようです。

『Short Cut Draw Blood/The Contender』
Short Cut Draw Blood/the Contender (Da

全曲紹介しときやす。

「Goodbye Love」
オープニングは、リズム・ボックスにSteve Winwoodのハモンド・オルガンが絡むソウルフル・チューン。Timmy Thomas「Why Can't We Live Together」がお好きな方ならば気に入るはず!

「It's All Up To You」
アルバムからの1stシングル。味わい深いブルー・アイド・ソウルです。Capaldiのヴォーカリストとしての魅力を堪能できます。Harry Robinsonのストリングス・アレンジも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=sRBZ8LzrNWo

「Love Hurts」
前述の大ヒット・シングル。Boudleaux Bryant作品。本作と同じ1975年にNazarethもヒットさせています(オリジナルはThe Everly Brothers)。いかにもロック・バラードなNazarethに対して、Capaldiヴァージョンはフィリー・ソウル・テイストの仕上がりです。ヒットしたのも頷けますね。
http://www.youtube.com/watch?v=4ZdTcN_taio

「Johnny Too Bad」
「Love Hurts」に続くカヴァー曲。ジャマイカのロック・ステディ/レゲエ・グループThe Slickersの名曲をカヴァーしています。オリジナルはレゲエ・ファンにはお馴染みの映画『The Harder They Come』のサントラにも収録されていました。当ブログではTaj Mahalのカヴァーも紹介しています。Capaldiヴァージョンも淡々としながらも味わい深い仕上がりです。マッスル・ショールズ勢に加え、PP&MのPeter Yarrowが参加しているのが興味深いです。

「Short Cut Draw Blood」
タイトル曲は僕の一番のお気に入り。マッスル・ショールズ録音らしいグルーヴを満喫できます。Pete Carrが素晴らしいギターで魅了してくれます。歌の内容は環境問題に言及した社会派ソングです。
http://www.youtube.com/watch?v=ifdDtesOCVQ

「Living on a Marble」
本曲も社会へ警鐘を鳴らすメッセージ・ソングです。メッセージは辛辣ですが、演奏自体は徐々に高揚感たっぷりでエキサイティングです。
http://www.youtube.com/watch?v=0LYB7xodVBo

「Boy With A Problem」
張り詰めた緊張感が漂うブルー・アイド・ソウル。Harry Robinsonのストリングス・アレンジによる不穏な雰囲気の演出がグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=8082Vs12NKQ

「Keep On Trying」
スタジオでのジャム・セッションをそのまま録音した感じのラフな仕上がり。個人的にはRebop Kwaku BaahとRemi Kabakaのアフリカンなリズム隊にグッときます。また、Rico Rodriguezによるご機嫌なトロンボーンもグッド!

「Seagull」
ラストは落ち着いたバラードで静かにアルバムの幕は閉じます。Steve Winwoodがギター、メロトロン、ハープシコードと大活躍です。
http://www.youtube.com/watch?v=kbXDJYud3uQ

『Oh How We Danced』(1972年)
Oh How We Danced

『Whale Meat Again』(1974年)
Whale Meat Again

Traffic『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)
Shoot Out at the Fantasy Factory
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2011年06月06日

Quarteto Novo『Quarteto Novo』

伝説のブラジリアン・ジャズ・グループ、唯一のアルバム☆Quarteto Novo『Quarteto Novo』
Quarteto Novo
発表年:1967年
ez的ジャンル:伝説のブラジリアン・ジャズ
気分は... :エクセレント!

この週末は、かなり散らかった部屋を掃除しながら久々にマッタリ過ごしました。この数ヶ月こういった時間を過ごせることは皆無だったので、昨日紹介したNicola Conte『Love & Revolution』をはじめ、新作CDをあれこれ聴きながら、リフレッシュしていました。

今回は伝説のブラジリアン・ジャズ・グループQuarteto Novoの唯一のアルバム『Quarteto Novo』(1967年)です。

Quarteto Novoは、Hermeto Pascoal(fl、p、acd)、Heraldo do Monte(g)、Theo de Barros(b、g)、Airto Moreira(per)の4人がサンパウロで結成したグループ。

唯一のアルバム『Quarteto Novo』(1967年)は、ブラジル音楽にヨーロピアン・ジャズのテイストをモダンな感覚で取り入れたブラジリアン・ジャズ作品として、今日も高い評価を得ています。

Hermeto PascoalAirto Moreiraといったメンバーが参加していたことでも話題になるQuarteto Novoですが、室内楽的な雰囲気が漂うエレガントさが、同時期のブラジル音楽作品とは多少質感の異なる印象を与えてくれます。

ジャケ同様、決して派手な作品ではありませんが、センスは抜群です。

全曲紹介しときやす。

「O Ovo」
Geraldo Vandre/Hermeto Pascoal作。フルートとギターが軽やかに響き渡るオープニング。室内楽的なエレガントさがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=lQGhzRkyBIU

「Fica Mal Com Deus」
Geraldo Vandre作。Pascoalのフルートが涼しげなライト・グルーヴィーな仕上がり。品のある疾走感がいいですね。『世界の車窓から』のBGMなんかピッタリの1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=pqaO1JnUpaQ

「Canto Geral」
Geraldo Vandre/Hermeto Pascoal作。ブラジル北東部の香りが漂う味わい深い1曲。ミステリアスな感じも好きです。

「Algodao」
Luiz Gonzaga/Ze Dantas作。7分を超える大作。ブラジルの伝統音楽を室内楽的なテイストで聴かせてしまうセンスが素晴らしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=GpR1rSp-YRQ

「Canta Maria」
Geraldo Vandre作。サウダージ感のある演奏にグッときます。このグループの持つセンスの良さを実感できる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=lSoRd_IYMKU

「Sintese」
Heraldo do Monte作。ヨーロピアン・テイストのエレガントさを上手く取り入れているところが好きです。

「Misturada」
Geraldo Vandre/Airto Moreira作。本作のハイライトとなる変拍子サンバ。Sergio Mendesも『Sergio Mendes & Brasil'88』(1978年)でカヴァーしていました。Airtoの叩き出すリズムの中をPascoalのフルートが軽やかに漂うグルーヴィー・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=MVAtp9FLf6U

「Vim De Santana」
Theo De Barros作。個人的には一番のお気に入り。小粋な前半からギア・チェンジで一気に加速する後半への流れにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=nnxnbN0xQ-g

サッカーでは日本代表の3-4-3システムが話題になっていますね。
個人的には、攻撃的オプションとしての3-4-3のはずが、5バック気味の守備的システムに成り下がる可能性があるのが心配です。また、3バックの一人は4バック時の守備的MFもしくはSBが入らないと4バックからの攻撃的オプションにならない気がするのですが・・・
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2011年06月05日

Nicola Conte『Love & Revolution』

クラブジャズ界のマエストロ、待望の新作は「愛と革命」を問う!☆Nicola Conte『Love & Revolution』
ラヴ&レヴォリューション
発表年:2011年
ez的ジャンル:マエストロ系クラブジャズ
気分は... :愛が欲しい!

今回はクラブジャズのマエストロNicola Conteの最新作『Love & Revolution』です。いやぁ、期待を裏切らない充実の内容です。さすがマエストロ!

イタリアを代表するクラブジャズ・プロデューサー/アーティストNicola Conteの紹介は、『Rituals』(2008年)、『Other Directions』(2004年)に続き3回目となります。

『Rituals』(2008年)以来、約2年半ぶりとなる新作です。タイトルの通り、"愛と変革"がアルバムのテーマになっています。ジャケにも60年代テイストのラブ&ピース感が漂っています。

レコーディングにはNicola Conte(g)以下、High FiveFabrizio Bosso(tp)、LTCのPietro Lussu(p)をはじめ、フィンランドの人気グループThe Five Corners QuintetのメンバーTeppo Makynen(ds)、Timo Lassy(bs、fl)、"Chet Bakerの再来"ととして人気のドイツ人トランペット奏者Till Bronner、"The Five Corners Quintetに対するスウェーデンからの回答"と呼ばれるThe Quiet Nights OrchestraのメンバーPeter Fredriksson(tb)、Smell Trioのメンバー Paolo Benedettini(b)といったメンバーが名を連ねます。

それ以外にもMichael Pinto(vibe)、Logan Richardson(as)、Magnum Lindgren(ts、fl)、Tim Warfield(ts)、Gaetano Partipilo(as、fl)、Nicolas Folmer(tp)、Flavio Boltro(tp)、Pierpaolo Bisogno(congas、per)、Andrea Santoro(electronics)、Moufadhel Adhoum(luth)、Bert Cornelis(sitar)が参加しています。

特にスウェーデン人サックス奏者Magnum Lindgrenはアレンジも担当しており、本作への貢献は大です。

ヴォーカル陣も多彩です。Jose JamesAlice Ricciardiという前作からのメンバーに加え、Harcsa VeronikaNailah PorterMelanie CharlesGregory PorterGhalia Benali、Bridgette Amofahが新たに参加しています。ハンガリー人女性ヴォーカリストHarcsa Veronika(クレジットにはVeronika Harcsaと表記)については、昨年彼女が参加しているTrip Hop/Nu-JazzユニットBin-Jipのアルバムを当ブログで紹介しています。

こうした多彩なヴォーカル陣からも想像できるように、前作『Rituals』同様、全17曲(ボーナス・トラック含む)のち、14曲がヴォーカル入りという歌モノ重視の内容になっています。

あとはカヴァー曲が多いのが目立ちますね。新たな歌詞をつけたリメイク曲も含めて、全17曲中9曲がカヴァー曲です。

そんなカヴァー曲も含めて、ソウル。テイストの演奏やスピリチュアルでブラックジャズ的な演奏が目立ちます。アルバム・タイトルも含めて、音楽と社会の関わりや、音楽が秘めたパワーといったものを意識した作品に仕上がっていると思います。

どうしても「Nicola Conte=オシャレな音楽」という印象が強いですが、もっと内面的なものに迫るスピリチュアルなNicola Conteワールドに出会える1枚になっています。

マエストロが示した愛と変革のクラブジャズを満喫しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Do You Feel Like I Feel」
Nicola Conte作。Gregory Porterのヴォーカルをフィーチャー。ソウルフルかつスウィンギーな雰囲気が大人のクラブジャズといった感じでグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=UGIo-_G62w4

「Love From The Sun」
Roy AyersNorman Connors feat. Dee Dee Bridgewaterのヴァージョンでお馴染みの曲をカヴァー(Carl Clay/Wayne Garfield作)。ここではJose JamesとNailah Porterのヴォーカルをフィーチャーし、クラブジャズらしい疾走感とNicola Conte作品らしい小粋なセンスを堪能できるグッド・カヴァーに仕上がっています。

「Here」
ブラジリアン・ヴォーカル好きにはお馴染み、奇跡の男女デュオDave Mackay & Vicky Hamiltonをカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Dave Mackay & Vicky Hamilton』(1969年)に収録されています。オリジナルの美しくロマンティックなボッサ・バラードも大好きですが、ここではJose Jamesのヴォーカルをフィーチャーし、落ち着きのあるエレガントなジャジー・チューンに仕上げています。Till Bronnerのトランペット・ソロもキマっています。

「Black Spirits」
Nicola Conte作。Nailah Porterのヴォーカルをフィーチャー。Gilles Petersonのイチオシの新進女性シンガーNailah Porterの地を這うようなヴォーカルとマッチした、スピリチュアルなブラック・ジャズ・チューンに仕上がっています。本作のアフロ・ジャズ/スピリチュアル・ジャズのテイストがよく反映された演奏だと思います。

「Mystery of You」
Nicola Conte作。Melanie Charlesのヴォーカルをフィーチャー。Nicola Conteに"Sarah Vaughanをイメージさせる"と形容させたMelanieのヴォーカルを満喫できるミディアム・スロウのバラードです。気だるい哀愁ムードがいい感じ!

「Shiva」
Nicola Conte作。Melanie Charlesのヴォーカルをフィーチャー。ノスタルジックかつミステリアスな雰囲気に惹かれてしまいます。迷宮をさまよっている気分になります?

「Ghana」
Jackie McLean作「Appointment In Ghana」にNicola Conteが新たな歌詞を加えたもの。Gregory Porterのヴォーカルをフィーチャーし、いかにもアフロ・ジャズなタイトルですが、ここではクラブジャズらしいクールな演奏で酔わせてくれます。Pietro Lussu(p)とFabrizio Bosso(tp)が伊達男の国らしい小粋なソロを披露すると、それに負けじとTeppo Makynenが超格好よいドラム・ソロで応酬します。

「Quiet Dawn」
当ブログでも紹介したArchie Shepp『Attica Blues』のヴァージョンでお馴染みのCal Massey作品をカヴァー。ここではMelanie Charlesのヴォーカルをフィーチャーし、エレガントかつ妖艶な「Quiet Dawn」を聴かせてくれます。

「Scarborough Fair」
お馴染みSimon & Garfunkelの名曲をカヴァー。Alice Ricciardiのヴォーカルをフィーチャー。正直S&Gのオリジナルは苦手なのですが、ここではBert Cornelisのシタールも入ったサイケでミステリアスなワルツ調カヴァーに仕上がっています。Alice Ricciardiのクールなヴォーカルもグッド!前作にも参加していたイタリア人女性シンガーAlice Ricciardiはソロ・アルバムも本作で紹介しようと思っていたところです。

「Love and Revolution」
Nicola Conte作。Melanie Charlesのヴォーカルをフィーチャー。タイトル曲はパンチの効いたMelanie Charlesのソウルフル・ヴォーカルにグッときます。確信犯的ノスタルジック・ムードが心憎いですな。Magnus Lindgrenの涼しげなフルートもグッド!

「Bantu」
Nicola Conte/Andrea Santoro作。ここで初めてのインスト曲。Andrea Santoroがプログラミングで参加したハウス・チューンです。この曲のみアルバムの中で浮いていますが、個人的にはこの手の曲があと1、2曲あってもいい位です。

「All Praises to Allah」
Bubbha Thomas率いるLightmen Plus Oneのヴァージョンでお馴染み、Ed Rose作のスピリチュアル・ジャズ・チューンをカヴァー。Nailah Porterのヴォーカルをフィーチャーし、なかなか緊張感のあるブラック・ジャズ・チューンに仕上がっています。Magnus Lindgren、Logan Richardson、Timo Lassy、Nicolas Folmer、Gaetano Partipilo、Peter Fredrikssonのホーン隊が素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれます。

「Ra in Egypt」
エジプトの民謡をモチーフにした楽曲。妖しげなエスニック・ムードの漂うインスト・チューン。

「Temple of Far East」
Mal Waldronの名曲「Quiet Temple(All Alone)」をベースに、Nicola Conteが新たな歌詞を加えたものです。Jose Jamesのヴォーカルをフィーチャーした哀愁バラードに仕上がっています。

「I'm The Air」
Nicola Conte作。Veronika Harcsaのヴォーカルをフィーチャー。Veronika Harcsaのキュートなヴォーカルが引き立つ感動的なバラードに仕上がっています。

ここからは国内盤のボーナス・トラック2曲です。

「Freedom Day」
Max Roach『We Insist!』(1960年)の演奏でお馴染みのMax Roach/Oscar Brown Jr.作品をカヴァー。ここではNailah Porterのヴォーカルをフィーチャーしています。 個人的にはアルバムで一番でお気に入り曲です。Nailah Porterのブルージー・ヴォーカルと呼応したスリリングな演奏にグッときます。Tim Warfield、Fabrizio Bossoも快調なソロを聴かせてくれます。

「The Black Apostoles」
Horace Tapscott作。ホーン隊のエキサイティングな演奏を満喫できるインストでアルバムは幕を閉じます。

全17曲はコメントするのが大変です(笑)

未聴の方はNicola Conteの他作品もチェックを!

『Jet Sounds』(2000年)
Jet Sounds

『Bossa Per Due』(2001年)
Bossa Per Due

『Jet Sounds Revisited』(2001年)
Jet Sounds Revisited

『Other Directions』(2004年)
Other Directions

『Rituals』(2008年)
リチュアルズ
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2011年06月04日

Minnie Riperton『Adventures In Paradise』

フュージョン・サウンドをバックにした天使の歌声☆Minnie Riperton『Adventures In Paradise』
ミニーの楽園
発表年:1975年
ez的ジャンル:天使の歌声系女性ソウル
気分は... :楽園は何処に・・・

今回は5オクターブの声域を持つ「天使の歌声」で人々を魅了したMinnie Ripertonが1975年にリリースしたアルバム『Adventures In Paradise(邦題:ミニーの楽園)』です。

Minnie Riperton(1947-1979年)はシカゴ生まれの女性ソウル・シンガー。

1961年にコーラス・グループThe Gemsへ加入し、1963年から1966年の間に7枚のシングルをリリースしています。The Gemsを脱退したMinnieは、1966年にAndrea Davisの名でソロ・デビューしますが不発に終わります。

その後、サイケデリック・ソウル・グループRotary Connectionにリード・ヴォーカルとして加入し、6枚のアルバムのレコーディングに参加しました。Rotary Connectionには、Sidney Barnes、Phil Upchurch等が参加し、Charles Stepneyがプロデュース&アレンジを手掛けていました。また、Rotary Connection時代にプロデューサーのRichard Rudolphと結婚しました。

Rotary Connection解散後、ソロ活動を再開し、Charles StepneyプロデュースでMinnie Riperton名義での1stアルバム『Come to My Garden』をレコーディングします。

1971年、シカゴからフロリダへ移住したMinnieに大きな転機が訪れます。Stevie Wonderとの出会いです。Rotary Connectionの作品を通じてMinnieのファンであったStevieは、彼女をバック・コーラス・グループWonderloveのメンバーに迎えます。

1973年にEpicとソロ契約を結ぶことに成功したMinnieは、1974年にStevieも楽曲提供&演奏&プロデュースで参加したアルバム『Perfect Angel』をリリースします。同アルバムからシングル・カットされた「Lovin' You」が全米チャートNo.1の大ヒットとなり、一躍Minnie Ripertonは注目の女性シンガーとなりました。

しかし、Minnieに不運が襲います。1976年に入り、悪性の腫瘍が胸部に発見され、Minnieは病魔と闘いながらのアーティスト活動を余儀なくされます。その間にアルバム『Adventures in Paradise』(1975年)、『Stay in Love』(1977年)をリリースしました。しかし、『Stay in Love』を最後にEpicとの契約を解消しました。

手術で一度は病魔を追い払ったかに思えましたが、1978年に癌の転移が発見されます。Minnieに残された時間は僅かでした。

1979年4月には移籍第一弾アルバム『Minnie』をリリースしますが、7月12日に永眠します(享年31歳)。前日にStevie Wonderが見舞いに訪れたばかりでした。

1980年に最後のオリジナル・アルバム『Love Lives Forever』がリリースされています。

どうしても「Lovin' You」のイメージが強い人ですが、それに囚われすぎると本当のMinnie Ripertonの姿が見えてこないかもしれませんね。僕の中でそんな思いが強いせいか、『Perfect Angel』をCD棚から手にする機会は意外に少ないです。

その代わりCD棚から手にする機会が多いMinnie Riperton作品が、今日紹介する『Adventures in Paradise』(1975年)です。

プロデュースはMinnie Riperton自身と夫Richard Rudolph、そしてCrusaders作品等を手掛けたStewart Levineの3人が務めています。

レコーディングにはJoe Sample、Larry Carlton(g)、Dean Parks(g)、Ed Brown(b)、Jim Gordon(ds、per)、Jim Horn(sax)、Tom Scot(sax)、Dorothy Ashby(harp)等が参加しています。Larry Carltonはアレンジとコンダクターも務めています。

Stewart Levineをプロデューサーに起用し、Joe Sample、Larry CarltonといったCrusadersメンバーが参加していることからもわかるように、本作ではフュージョン・テイストのソウルを志向しています。きっと、Minnieの天使の歌声とメロウなフュージョン・サウンドの組み合わせが僕の嗜好にマッチしているのだと思います。

ソングライティングにはMinnie Riperton/Richard Rudolphの夫婦作が基本ですが、3曲でLeon Wareが、1曲でJoe Sampleが作者にクレジットされています。特にLeon Wareが関与した3曲は要チェックです!

「Lovin' You」のようなヒット曲はありませんが、「Inside My Love」をはじめ、素敵なメロウ・チューンが揃っています。また、「Inside My Love」「Baby, This Love I Have」等サンプリング・ソースの定番曲も多数収録されています。

フュージョン・サウンドをバックにした天使の歌声を満喫しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Baby, This Love I Have」
Minnie Riperton/Leon Ware/Richard Rudolph作。Leon Ware関与の1曲目。Minnieの天使の歌声と、Leon Wareらしいメロウネスと、フュージョン・テイストのサウンドがマッチしたメロウ・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=glteDQ_oCpQ

本曲はサンプリング・ソースとしてもお馴染みですね。A Tribe Called Quest「Check The Rhime」Black Star「K. O. S. (Determination) 」Common「I Want You」 という当ブログで紹介済みの曲をはじめ、Pete Rock「Play Dis Only At Night」、Soul For Real「Candy Rain」、Xzibit「Rimz & Tires」、
Alfonzo Hunter「Blacka Da Berry」等のサンプリング・ソースになっています。

A Tribe Called Quest「Check The Rhime」
 http://www.youtube.com/watch?v=6thhevsenOE
Black Star「K. O. S. (Determination) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=-SA7sD4A25c
Common「I Want You」
 http://www.youtube.com/watch?v=QRfTS8bd05o
Pete Rock「Play Dis Only At Night」
 http://www.youtube.com/watch?v=739sGJ7w3MI
Soul For Real「Candy Rain」
 http://www.youtube.com/watch?v=Cx0xzO73Amo

「Feelin' That Your Feelin's Right」
Minnie Riperton/Leon Ware/Richard Rudolph作。Leon Ware関与の2曲目。ソウル・ファン以上にフュージョン・ファンがグッときそうなロマンティック・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=G57ovfzZy-4

「When It Comes Down to It」
Minnie Riperton/Richard Rudolph作。ファンキー・テイストの仕上がり。ここでのMinnieは雰囲気たっぷりにソウルフルなテイストで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=6wMPEetKP4U

「Minnie's Lament」
Minnie Riperton/Richard Rudolph作。ミステリアスな雰囲気の中で憂いを帯びたMinnieのヴォーカルが切なく響きます・・・。Xzibit「Eyes May Shine」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=0Og9UZUQy-U

「Love and Its Glory」
Minnie Riperton/Ed Brown/Richard Rudolph作。Dorothy Ashbyのハープが印象的です。楽園モードのリラックス感がいい感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=sss95IO_8us

「Adventures in Paradise」
Minnie Riperton/Joe Sample/Richard Rudolph作。タイトル曲はJoe Sampleが曲作り参加しています。ファンキーな味わいがグッド!シングルにもなりました。Eminem「Any Man」、Rasco「Back on the scene」でサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=ViYcOsdL8ao

「Inside My Love」
Minnie Riperton/Leon Ware/Richard Rudolph作。Leon Ware関与の3曲目。本作のハイライト曲と呼べる憂いを帯びたメロウ・チューン。アルバムからの1stシングルにもなりました。Leon Ware自身のヴァージョン「Inside Your Love」は、当ブログで紹介した『Inside Is Love』(1979年)に収録されています。個人的にはLeon Wareヴァージョンよりも、Minnieヴァージョンの方が好きですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ZiGKumYBLLE

本曲はサンプリング・ソースとしても定番ですね。A Tribe Called Quest「Lyrics to Go」、Kenny Dope「Get On Down」、Intelligent Hoodlum「Street Life」、2Pac「Me Against The World」、Sounds of Blackness「Everything is Gonna Be Alright」 、Busta Rhymes「You Can't Hold The Torch」、J88 (Slum Village)「The Look of Love」Lightheaded「Suprise Cypher 2」をはじめ数多くの楽曲のサンプリング・ソースになっています。

A Tribe Called Quest「Lyrics to Go」
 http://www.youtube.com/watch?v=onGtPe4XCtU
Kenny Dope「Get On Down」
 http://www.youtube.com/watch?v=GWE5v3mwg_s
Lightheaded「Suprise Cypher 2」
 http://www.youtube.com/watch?v=gkdFi1LJuf0

「Alone in Brewster Bay」
Minnie Riperton/Richard Rudolph作。実はアルバムで一番好きな曲。アコースティック・ギターの音色とストリングスがMinnieの歌声が一体化して切なく美しい音世界へと誘ってくれます。一人で物思いに耽りたい時にはピッタリです!
http://www.youtube.com/watch?v=pOUOBSYwbUI

The Pharcyde「Feeling Freaky」、Buddha Brand「ブッダの休日」のサンプリング・ソースにもなっています。

The Pharcyde「Feeling Freaky」
 http://www.youtube.com/watch?v=_aW_wtLpMFQ
Buddha Brand「ブッダの休日」
 http://www.youtube.com/watch?v=F-Dy2wgrDME

「Simple Things」
Minnie Riperton/Richard Rudolph作。アルバムからの2ndシングル。この曲も僕のお気に入り。Minnieのキュートな魅力が詰まったメロウ・チューン。Linda Lewisあたりと一緒に聴きたくなる1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=9T42s_DR_4Y

「Don't Let Anyone Bring You Down」
Minnie Riperton/Richard Rudolph作。ラストは感動的なバラードで締め括ってくれます。Minnieらしい高音ヴォーカルも堪能できます。

Minnie Ripertonの他作品もどうぞ!

『Come to My Garden』(1970年)
Come to My Garden

『Perfect Angel』(1974年)
Perfect Angel

『Stay in Love』(1977年) ※ジャケは『Minnie』との2in1CD
Stay in Love / Minnie

『Minnie』(1979年)
ミニー(ミニーと出会ったら)

『Love Lives Forever』(1980年)
Love Lives Forever (Reis)
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2011年06月03日

Run-D.M.C.『Run-D.M.C.』

Hip-Hopをメイン・ストリームへ押し上げた立役者のデビュー作☆Run-D.M.C.『Run-D.M.C.』
Run Dmc
発表年:1984年
ez的ジャンル:レジェンドHip-Hop
気分は... :プリミティヴな魅力

今回はHip-Hopをメイン・ストリームへ押し上げた立役者Run-D.M.C.のデビュー・アルバム『Run-D.M.C.』(1984年)です。

Run-D.M.C.は、DJのJam-Master JayRun(Darryl McDaniels )D.M.C.(Joseph Simmons)という2MCからなるN.Y.出身の3人組Hip-Hopグループ。D.M.C.はDef Jam創設者であるRussell Simmonsの弟です。

1980年代前半から活動を開始していた3人は、1982年にRun-D.M.C.を名乗るようになり、1983年にデビュー・シングル「It's Like That」でデビューします。1984年には今日紹介するデビュー・アルバム『Run-D.M.C.』をリリースし、ゴールドディスクを獲得する大ヒットとなりました。

1985年に入ると、2ndアルバム『King Of Rock』をリリースすると同時に、主演映画『Krush Groove』も大ヒットし、

1986年にはAerosmith「Walk This Way」ネタ(サンプリングではなく、Steven TylerとJoe Perry自身が演奏に参加)の大ヒット・シングル「Walk This Way」を含む3rdアルバム『Raising Hell』が大ヒットし、世界中でその人気を不動のものにしました。

2002年にJam-Master Jayが射殺される悲劇が起こり、グループは活動を休止しました。

音楽のみならず、アディダスのスニーカーなどのファッションも含めて、Hip-Hopカルチャーを世界中に広めた功績は大きいですね。

Hip-Hopがアンダーグラウンドな音楽ではなく、メジャーなものであると印象づけてくれたのが、Run-D.M.C.『Rising Hell』(1986年)、Beastie Boys『Licensed to Ill』(1986年)の2枚でした。特にRun-D.M.C.のシングル「Walk This Way」のインパクトは大でした。

僕もこれらの作品でHip-Hopに対する認識がかなり変わりました。ただし、僕が本格的にHip-Hopを聴くきっかけになったのは、De La Soul『3 Feet High And Rising』(1989年)だったので、Run-D.M.C.は何となくスルーしたままの状態でした。

なので、Run-D.M.C.作品が我が家のCDコレクションに加わったのは、かなり後年のことです。

今日紹介するデビュー・アルバム『Run-D.M.C.』(1984年)は、The Source誌でマイク5本を獲得した名盤ですが、今の耳で聴くと、リズムマシーンとターンテーブル中心のスカスカなトラックは少し物足りなさを感じるかもしれません。それでもHip-Hopの持つプリミティヴな魅力が詰まっており、捨て難いものがあります。

プロデュースはRussell SimmonsとLarry Smithが務めています。

全曲紹介しときやす。

「Hard Times」
「It's like That」に続く2ndシングルとして全米R&Bチャート第11位のヒットとなりました。Kurtis Blowのカヴァーであり、オリジナルは『Kurtis Blow』(1980年)に収録されています。ファンキーなオリジナルとは異なる雰囲気で、まさにハード・タイムス感がでたカヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=5DMyz1KvWYU

Kurtis Blow「Hard Times」
 http://www.youtube.com/watch?v=euj32zH-qQc

「Rock Box」
本曲もシングルになりました。Eddie Martinezによるハードなロッキン・ギターをバックに、RunとD.M.C.が息の合ったフロウを叩きつけます。
http://www.youtube.com/watch?v=WA-zaE6aevs

本曲はChris Rock「Champagne」、Jay-Z「Justify My Thug」、The Pharcyde「Runnin'」のサンプリング・ソースにもなっています。

Chris Rock「Champagne」
 http://www.youtube.com/watch?v=pVjsllqa5Ko

「Jam-Master Jay」
タイトルの通り、Jam-Master Jayのスクラッチを満喫できます。Magic Disco Machine「Scratchin'」をサンプリング。Slick Rick「Let's Get Crazy」Nas「You Know My Style」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=TP8zFBryUqU

「Hollis Crew (Krush-Groove 2)」
本作らしいシンプルなトラックが、逆にRunとD.M.C.のフロウを印象付けてくれます。Mariah Carey「It's Like That」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=wvfD_sCcp9c

「Sucker M.C.'s (Krush-Groove 1)」
Lovebug Starski「Live at the Disco Fever」をサンプリング。リズムと一体化したフロウを満喫しましょう。

「It's like That」
記念すべき彼らのデビュー・シングル。全米R&Bチャート第15位のヒットとなりました。今聴くとスカスカな音ですが、それでもインパクト十分の何かがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=_hN1SKVx31s

「Wake Up」
♪Wake up ♪Get up♪ という低音ヴォーカルが不気味に響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=44ksjkEMABs

「30 Days」
4thシングルとして全米R&Bチャート第16位のヒットとなりました。チープなキーワードの上モノがいい雰囲気を醸し出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=V2G_zDWJuBk

「Jay's Game」
ラストはJam-Master Jayのスクラッチで幕を閉じます。

最近のCDにはボーナス・トラックとして、「Rock Box (B-Boy Mix)」「Here We Go (Live at the Funhouse)」「Sucker M.C.'s (Live at Graffiti Rock)」「Russell & Larry Running at the Mouth」の4曲が追加収録です。特に「Here We Go (Live at the Funhouse)」が聴きモノですね。

残念ながら僕の所有CDにはボーナス・トラック未収録ですが、購入するのであればボーナス・トラック入りをオススメします。

『King of Rock』(1985年)
キング・オブ・ロック

『Raising Hell』(1986年)
Raising Hell (Dlx) (Dig)

『Tougher Than Leather』(1988年)
タファー・ザン・レザー

『Back from Hell』(1990年)
バック・フロム・ヘル

『Down with the King』(1993年)
ダウン・ウィズ・ザ・キング

『Crown Royal』(2001年)
Crown Royal
posted by ez at 12:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする