発表年:1984年
ez的ジャンル:レジェンドHip-Hop
気分は... :プリミティヴな魅力
今回はHip-Hopをメイン・ストリームへ押し上げた立役者Run-D.M.C.のデビュー・アルバム『Run-D.M.C.』(1984年)です。
Run-D.M.C.は、DJのJam-Master Jay、Run(Darryl McDaniels )、D.M.C.(Joseph Simmons)という2MCからなるN.Y.出身の3人組Hip-Hopグループ。D.M.C.はDef Jam創設者であるRussell Simmonsの弟です。
1980年代前半から活動を開始していた3人は、1982年にRun-D.M.C.を名乗るようになり、1983年にデビュー・シングル「It's Like That」でデビューします。1984年には今日紹介するデビュー・アルバム『Run-D.M.C.』をリリースし、ゴールドディスクを獲得する大ヒットとなりました。
1985年に入ると、2ndアルバム『King Of Rock』をリリースすると同時に、主演映画『Krush Groove』も大ヒットし、
1986年にはAerosmith「Walk This Way」ネタ(サンプリングではなく、Steven TylerとJoe Perry自身が演奏に参加)の大ヒット・シングル「Walk This Way」を含む3rdアルバム『Raising Hell』が大ヒットし、世界中でその人気を不動のものにしました。
2002年にJam-Master Jayが射殺される悲劇が起こり、グループは活動を休止しました。
音楽のみならず、アディダスのスニーカーなどのファッションも含めて、Hip-Hopカルチャーを世界中に広めた功績は大きいですね。
Hip-Hopがアンダーグラウンドな音楽ではなく、メジャーなものであると印象づけてくれたのが、Run-D.M.C.『Rising Hell』(1986年)、Beastie Boys『Licensed to Ill』(1986年)の2枚でした。特にRun-D.M.C.のシングル「Walk This Way」のインパクトは大でした。
僕もこれらの作品でHip-Hopに対する認識がかなり変わりました。ただし、僕が本格的にHip-Hopを聴くきっかけになったのは、De La Soul『3 Feet High And Rising』(1989年)だったので、Run-D.M.C.は何となくスルーしたままの状態でした。
なので、Run-D.M.C.作品が我が家のCDコレクションに加わったのは、かなり後年のことです。
今日紹介するデビュー・アルバム『Run-D.M.C.』(1984年)は、The Source誌でマイク5本を獲得した名盤ですが、今の耳で聴くと、リズムマシーンとターンテーブル中心のスカスカなトラックは少し物足りなさを感じるかもしれません。それでもHip-Hopの持つプリミティヴな魅力が詰まっており、捨て難いものがあります。
プロデュースはRussell SimmonsとLarry Smithが務めています。
全曲紹介しときやす。
「Hard Times」
「It's like That」に続く2ndシングルとして全米R&Bチャート第11位のヒットとなりました。Kurtis Blowのカヴァーであり、オリジナルは『Kurtis Blow』(1980年)に収録されています。ファンキーなオリジナルとは異なる雰囲気で、まさにハード・タイムス感がでたカヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=5DMyz1KvWYU
Kurtis Blow「Hard Times」
http://www.youtube.com/watch?v=euj32zH-qQc
「Rock Box」
本曲もシングルになりました。Eddie Martinezによるハードなロッキン・ギターをバックに、RunとD.M.C.が息の合ったフロウを叩きつけます。
http://www.youtube.com/watch?v=WA-zaE6aevs
本曲はChris Rock「Champagne」、Jay-Z「Justify My Thug」、The Pharcyde「Runnin'」のサンプリング・ソースにもなっています。
Chris Rock「Champagne」
http://www.youtube.com/watch?v=pVjsllqa5Ko
「Jam-Master Jay」
タイトルの通り、Jam-Master Jayのスクラッチを満喫できます。Magic Disco Machine「Scratchin'」をサンプリング。Slick Rick「Let's Get Crazy」、Nas「You Know My Style」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=TP8zFBryUqU
「Hollis Crew (Krush-Groove 2)」
本作らしいシンプルなトラックが、逆にRunとD.M.C.のフロウを印象付けてくれます。Mariah Carey「It's Like That」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=wvfD_sCcp9c
「Sucker M.C.'s (Krush-Groove 1)」
Lovebug Starski「Live at the Disco Fever」をサンプリング。リズムと一体化したフロウを満喫しましょう。
「It's like That」
記念すべき彼らのデビュー・シングル。全米R&Bチャート第15位のヒットとなりました。今聴くとスカスカな音ですが、それでもインパクト十分の何かがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=_hN1SKVx31s
「Wake Up」
♪Wake up ♪Get up♪ という低音ヴォーカルが不気味に響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=44ksjkEMABs
「30 Days」
4thシングルとして全米R&Bチャート第16位のヒットとなりました。チープなキーワードの上モノがいい雰囲気を醸し出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=V2G_zDWJuBk
「Jay's Game」
ラストはJam-Master Jayのスクラッチで幕を閉じます。
最近のCDにはボーナス・トラックとして、「Rock Box (B-Boy Mix)」、「Here We Go (Live at the Funhouse)」、「Sucker M.C.'s (Live at Graffiti Rock)」、「Russell & Larry Running at the Mouth」の4曲が追加収録です。特に「Here We Go (Live at the Funhouse)」が聴きモノですね。
残念ながら僕の所有CDにはボーナス・トラック未収録ですが、購入するのであればボーナス・トラック入りをオススメします。
『King of Rock』(1985年)
『Raising Hell』(1986年)
『Tougher Than Leather』(1988年)
『Back from Hell』(1990年)
『Down with the King』(1993年)
『Crown Royal』(2001年)