発表年:1975年
ez的ジャンル:ブルー・アイド・ソウル系ブリティッシュ・ロック
気分は... :気力・体力ともに減退気味・・・
今週に入ってから気力・体力ともに減退気味・・・
エントリーもサボってしまいました。
こんな時にはロック系の作品がいいかも?
久々にセレクトしたロック・アルバムは、Jim Capaldi『Short Cut Draw Blood』(1975年)です。
元Trafficのドラマーである故Jim Capaldi(1944-2005年)の紹介は、初ソロ・アルバム『Oh How We Danced』(1972年)に続き2回目となります。
Trafficは『When the Eagle Flies』(1974年)を最後に解散しましたが、Capaldiはソロ・アーティストとしての地位を確立し、その後もコンスタントにアルバムをリリースすることになります。
数あるCapaldiのソロの中でも最も人気の高い1枚が本作『Short Cut Draw Blood』だと思います。本作からはシングル「Love Hurts」がUKシングル・チャートのTop5に入るヒットとなっています。これはCapaldiにとっての最大のヒット曲となりました。
本作『Short Cut Draw Blood』も『Oh How We Danced』(1972年)、『Whale Meat Again』(1974年)と同様に、アラバマのマッスル・ショールズとロンドンでレコーディングが行われています。
Jim Capaldi(ds、key、vo)以下、レコーディング・メンバーも充実しています。
マッスル・ショールズ勢からは、Pete Carr(g)、Jimmy Johnson(g)、David Hood(b)、Roger Hawkins(ds)、Muscle Shoals Horns(horn)が参加しています。David Hood、Roger Hawkins(ds)、Barry Beckett(p)は一時期Trafficメンバーとしても活動していました。
Traffic勢からは、Steve Winwood(b、g、key)、Chris Wood(fl)、 Rebop Kwaku Baah(per)、Rosko Gee(b)も参加しています。
それ以外にもFreeのPaul Kossof(g)、Peter, Paul and MaryのPeter Yarrow(g)、スカ.レゲエ・ファンにお馴染みのRico Rodriguez(tb)をはじめ、Chris Spedding(g)、Jess Roden(g)、John "Rabbit" Bundrick(key)、Phil Chen(b)、Gerry Conway(ds)、Remi Kabaka(per)、Jean Roussel(b、key)、Ray Allen(sax)が参加しています。
プロデューサーとして、Jim Capaldi本人とSteve Smith、Chris Blackwellがクレジットされています。
以前に書いたかもしれませんが、僕の中ではマッスル・ショールズ録音のきっかけとなった『Oh How We Danced』(1972年)、マッスル・ショールズ勢がTrafficメンバーとして加入したTraffic『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)、それまでの集大成的な本作『Short Cut Draw Blood』(1975年)という3枚をセットで聴きたくなることが多いですね。
きっと僕がJim Capaldiのソロに惹かれるのは、ブルー・アイド・ソウルの香りだと思います。同じTrafficメンバーでもSteve Winwoodのような圧倒的なソウルフル感ではなく、いぶし銀の枯れたブルー・アイド・ソウル感にグッとくるのかもしれません。
なお、本作『Short Cut Draw Blood』については『The Contender』(1978年)との2in1CDが近日発売されるようです。
『Short Cut Draw Blood/The Contender』
全曲紹介しときやす。
「Goodbye Love」
オープニングは、リズム・ボックスにSteve Winwoodのハモンド・オルガンが絡むソウルフル・チューン。Timmy Thomas「Why Can't We Live Together」がお好きな方ならば気に入るはず!
「It's All Up To You」
アルバムからの1stシングル。味わい深いブルー・アイド・ソウルです。Capaldiのヴォーカリストとしての魅力を堪能できます。Harry Robinsonのストリングス・アレンジも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=sRBZ8LzrNWo
「Love Hurts」
前述の大ヒット・シングル。Boudleaux Bryant作品。本作と同じ1975年にNazarethもヒットさせています(オリジナルはThe Everly Brothers)。いかにもロック・バラードなNazarethに対して、Capaldiヴァージョンはフィリー・ソウル・テイストの仕上がりです。ヒットしたのも頷けますね。
http://www.youtube.com/watch?v=4ZdTcN_taio
「Johnny Too Bad」
「Love Hurts」に続くカヴァー曲。ジャマイカのロック・ステディ/レゲエ・グループThe Slickersの名曲をカヴァーしています。オリジナルはレゲエ・ファンにはお馴染みの映画『The Harder They Come』のサントラにも収録されていました。当ブログではTaj Mahalのカヴァーも紹介しています。Capaldiヴァージョンも淡々としながらも味わい深い仕上がりです。マッスル・ショールズ勢に加え、PP&MのPeter Yarrowが参加しているのが興味深いです。
「Short Cut Draw Blood」
タイトル曲は僕の一番のお気に入り。マッスル・ショールズ録音らしいグルーヴを満喫できます。Pete Carrが素晴らしいギターで魅了してくれます。歌の内容は環境問題に言及した社会派ソングです。
http://www.youtube.com/watch?v=ifdDtesOCVQ
「Living on a Marble」
本曲も社会へ警鐘を鳴らすメッセージ・ソングです。メッセージは辛辣ですが、演奏自体は徐々に高揚感たっぷりでエキサイティングです。
http://www.youtube.com/watch?v=0LYB7xodVBo
「Boy With A Problem」
張り詰めた緊張感が漂うブルー・アイド・ソウル。Harry Robinsonのストリングス・アレンジによる不穏な雰囲気の演出がグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=8082Vs12NKQ
「Keep On Trying」
スタジオでのジャム・セッションをそのまま録音した感じのラフな仕上がり。個人的にはRebop Kwaku BaahとRemi Kabakaのアフリカンなリズム隊にグッときます。また、Rico Rodriguezによるご機嫌なトロンボーンもグッド!
「Seagull」
ラストは落ち着いたバラードで静かにアルバムの幕は閉じます。Steve Winwoodがギター、メロトロン、ハープシコードと大活躍です。
http://www.youtube.com/watch?v=kbXDJYud3uQ
『Oh How We Danced』(1972年)
『Whale Meat Again』(1974年)
Traffic『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)