2011年07月20日

Jorge Ben『Forca Bruta』

Trio Mocotoをバックに従えたファンキー・サンバ☆Jorge Ben『Forca Bruta』
Forca Bruta
発表年:1970年
ez的ジャンル:ファンキー・サンバ
気分は... :なでしこの奇跡!コパ・アメリカの衝撃・・・

この2日間は、なでしこジャパンの奇跡に興奮しすぎて音楽どころじゃありませんでした(笑)

なでしこへの賞賛は一言で言い表すことは難しいですが、涙ではなく笑顔の金メダルというあたりが、なでしこの魅力であり、強さという気がしました。

真の実力という意味では、アメリカの方がやはり1枚上という印象を受けました。ただし、そんな強国に二度もリードされながら追いついたわけですから、なでしこの粘り強さ、メンタリティには脱帽です。

そんな女子W杯の盛り上がりで忘れがちですが、地球の裏側で開催されているコパ・アメリカでとんでもない事態が起きていますね。開催国アルゼンチン、王国ブラジルという南米の2大強国がベスト8止まりで敗れ、予選リーグで素晴らしいサッカーを見せたコロンビア、チリも敗れ去り、ベスト4に残ったのは、ペルー、パラグアイ、ウルグアイ、エクアドルの4ヵ国。僕の決勝トーナメント1回戦の予想は4試合全て外れました(泣)

この事態は女子W杯の日本初優勝と同じ位の衝撃なのでは?
南米サッカーの勢力図がどうなのか、さっぱりわかりません。

特に、ブラジルはネイマール、パト、ガンソといった若手スターが決勝トーナメントで輝く予感がしていたので残念です。

今後のブラジルの奮起を期待して、今回はブラジルを代表する男性シンガー・ソングライターJorge Ben(Jorge Ben Jor)の3回目の登場です。

『Africa Brasil』(1976年)、『A Banda Do Ze Pretinho』(1978年)に続いて紹介するのは、1970年リリースの『Forca Bruta』です。

今日的に最も人気のあるJorge Ben作品の1枚かもしれませんね。

『Forca Bruta』はJorge Benの70年代の幕開けを飾った1枚です。
本作では70年代に活躍したファンキー・サンバ・グループTrio Mocotoがバックを務めています。

Trio Mocotoは1968年にサンパウロで結成されたグループ。メンバーはJoao Parahyba(ds、timba)、Nereu Gargalo(pandeiro)、Fritz Escovao(cuica)の3名。70年代に『Muita Zorra! ...Sao Coisas que Glorificam a Sensibilidade Atual』(1971年)、『Trio Mocoto』(1973年)、『Trio Mocoto』(1977年)といったアルバムをリリースしています。

そんなTrio Mocotoを従えた本作『Forca Bruta』は、強烈なサンバ・リズムを前面に押し出したファンキー・アルバムに仕上がっています。サンバのリズム・シャワーには躍動感と生命感が溢れています。

特に、ブラジル版「Tighten Up」として今日でも大人気のフロア・キラー「Forca Bruta」には、かなりグッときます。「Tighten Up」好きの人は歓喜する1曲なのでは?オープニングを飾る「Oba La Vem Ela」もそちら方面からの人気が高い曲ですね。

それ以外にもアルバム全編を通じて心地好いサンバのリズムを満喫できます。

本作で聴かれる心地好いファンキー・サンバのような、歯切れ良いリズム感のあるサッカーをブラジル代表に期待したいものです。

全曲紹介しときやす。

「Oba La Vem Ela」
オープニングはコンピ・アルバムでもお馴染みの人気曲。雄大なメロディとファンキー・リズムが織り成すスケール感の大きな1曲。特に終盤のハイ・テンション・ヴォーカルにパッションを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=tvScd-m2sBw

「Ze Canjica」
ギターのアコースティック感と出過ぎない程好いリズム感のバランスが絶妙。その分曲自体の良さやJorge Benのヴォーカルを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=JgbtMPSNh0E

「Domenica Domingava Num Domingo Toda De Branco」
実に長いタイトルですね。アルバム中最もメロウな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=HcLFDswoj7E

「Charles Jr.」
6分超の長尺ですが、壮大な流れの随所にアクセントが効いていて楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=30KtAUtr9KQ

「Pulo, Pulo」
Trio Mocotoによるリズム・シャワーを満喫できる1曲。聴いていると元気になります。もっと長尺で聴きたい!
http://www.youtube.com/watch?v=5olPL7Dc7NA

「Apareceu Aparecida」
軽快なリズムの中にも男の哀愁を感じるサンバ・ロック。Trio Mocotoの奏でるサンバ・リズムには生命力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=DoqARBl8eVg

「O Telefone Tocou Novamente」
ボッサなギターと小気味良いリズムの生み出すアコースティックな躍動感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=edxHiD-p5nE

「Mulher Brasileira」
美しいブラジル・ワールドを満喫できる感動曲。素敵なオーケストレーションで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=AhdB1yIiWn8

「Terezinha」
リラックス(しすぎ?)の鼻づまりヴォーカルが印象的です。ラスト・スパートに向けたリラックス・タイム!

「Forca Bruta」
前述のようにタイトル曲はブラジル版「Tighten Up」として大人気のファンキー・サンバ。これは盛り上がるしかないでしょ!これぞJorge Benワールド!
http://www.youtube.com/watch?v=uVjR30c-AYE

Jorge Benの過去記事もご参照下さい。

『Africa Brasil』(1976年)
アフリカ・ブラジル

『A Banda Do Ze Pretinho』(1978年)
A Banda Do Ze Pretinho

また、本作に大活躍のTrio Mocotoのアルバムもチェックを!

Trio Mocoto『Muita Zorra! ...Sao Coisas que Glorificam a Sensibilidade Atual』(1971年)
ムイタ・ゾーハ

Trio Mocoto『Trio Mocoto』(1973年)
トリオ・モコトー
posted by ez at 02:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月18日

Gary McFarland & Co.『Does the Sun Really Shine on the Moon』

Skye Recordsからの第1弾アルバムは紅色のラウンジ・ポップス☆Gary McFarland『Does the Sun Really Shine on the Moon』
ダズ・ザ・サン・リアリー・シャイン・オン・ザ・ムーン?(紙ジャケット仕様)
録音年:1968年
ez的ジャンル:名アレンジャー系ラウンジ・ポップス
気分は... :なでしこ奇跡を起こせ!

いよいよサッカー女子W杯決勝「日本対アメリカ」のキック・オフが数時間後に迫ってきました。

チャレンジャーの気持ちを忘れずに、王者アメリカに挑んで欲しいですね。
早い時間で失点せずにアメリカをイライラさせる展開に持ち込めば、かなりいい勝負になると思うのですが・・・

おそらくアメリカは日本の攻撃の起点となる澤、宮間の両選手を徹底マークすると思うので、逆に阪口、大野といった選手の動きが重要になると思います。あとは両サイドの攻防で、日本とアメリカどちらが主導権をとるかが試合のカギになる気がします。また、GK海堀選手には確実に大変な1日になると思いますが、何とか凌いで欲しいですね。

さて、今回は名アレンジャー/ヴァイヴ奏者Gary McFarland『Does the Sun Really Shine on the Moon』(1968年)です。

Gary McFarlandの紹介は、『Soft Samba』(1964年)に続き2回目です。

本作『Does the Sun Really Shine on the Moon』は、美しいジャケも含めてサバービア好きの人にはお馴染みの1枚ですね。

1968年にはヴァイヴ奏者のCal Tjader、ギタリストのGabor Szaboと共にSkye Recordsを設立したGary McFarlandですが、『Does the Sun Really Shine on the Moon』はMcFarlandのSkye第1弾アルバムです(Skye全体としてはCal Tjader『Solar Heat』に続く2作目)。

当ブログでは他にもSkye Records作品として、Cal Tjader『Sounds Out Burt Bacharach』Wendy & Bonnie『Genesis』を紹介済みです。

本作のレコーディング・メンバーは、Gary McFarland(vibe)、Jerome Richardson(ss、fl)、Marvin Stamm(flh)、Sam Brown(g)、Richard Davis(b)、Chuck Rainey(el-b)、Donald MacDonald(ds)、Grady Tate(ds)、Warren Bernhardt(org)という編成です。

アルバム全体としてはSkye Recordsというレーベルを象徴するジャズ+ソフト・ボッサ+ラウンジ・ポップスなサウンドを満喫できます。とにかくMcFarlandのアレンジャーとしての才能を存分に満喫できる1枚です。

お馴染みのロック/ポップスの名曲カヴァーも多いので、聴きやすいし、McFarlandのアレンジ・センスもよくわかると思います。

ジャケにグッときた方はぜひゲットして下さい!

全曲紹介しときやす。

「God Only Knows」
オススメその1。The Beach Boysの名曲カヴァー(Brian Wilson/Tony Asher作)。Warren Bernhardtのオルガンが先導し、極上のラウンジ・ポップスが奏でられます。McFarlandのアレンジ・センスが光るオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=oV-wHjn2_T4

「By the Time I Get to Phoenix」
Glen Campbellのヒットで知られるJimmy Webb作品。口笛と共にスタートするサンセット・モードのロマンティックな演奏です。ジャケのイメージそのままの紅色の演奏です。

「Sunday Will Never Be the Same」
オススメその2。Spanky & Our Gang、1967年のヒット曲をカヴァー(Terry Cashman/Gene Pistilli作)。グルーヴィーな演奏はかなりグッときます。

「Lady Jane」
オススメその3。The Rolling Stonesの名バラードをカヴァー(Mick Jagger/Keith Richards作)。オリジナルの持つ哀愁メロディを上手く生かした極上の紅色ラウンジ・ポップスに仕上がっています。

「Flamingo」
オススメその4。Edmund Anderson/Ted Grouya作。ボッサ・テイストの素敵なアレンジにグッときます。

「Flea Market」
オススメその5。本作唯一のGary McFarlandによるオリジナル。しかしながら、ビートの効いたアルバムで最もキャッチーな演奏を楽しむことができます。McFarlandの本領発揮といったアレンジ・センスに脱帽です。

「Here, There and Everywhere」
The Beatlesの名曲カヴァー。少し寂しげなスキャットと控えめな演奏が逆にいいですね。

「Three Years Ago」
レコーディングにも参加しているChuck Rainey作品。アルバム中、最もジャズを感じる演奏です。

「O Morro」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲。当ブログではLennie Dale/Sambalanco TrioSambalanco TrioTamba 4Paul Winter With Carlos Lyraのカヴァーも紹介済みです。ここでは実に美しく品のあるソフト・ボッサを満喫できます。

「Melancholy Baby」
オススメその6。George Norton/Ernie Burnett作のスタンダード。ラブ・コメディ映画のサントラあたりにピッタリの小粋な演奏を満喫できます。Warren Bernhardtのオルガンがいい感じです。

「Up, Up and Away」
オススメその7。ラストはThe 5th Dimensionでお馴染みのJimmy Webb作品「ビートでジャンプ」をカヴァー。当ブログではRoman AndrenBossa Rioのカヴァーも紹介済みです。ボッサ・テイストがお好きな人にはイチオシです。鼻歌のようなスキャットもマッチしています。

Gary McFarlandおよびSkye Records作品の過去記事もご参照下さい。

『Soft Samba』(1964年)
ソフト・サンバ

Cal Tjader『Sounds Out Burt Bacharach』(1968年)
サウンズ・アウト・バート・バカラック(紙ジャケット仕様)

Wendy & Bonnie『Genesis』(1969年)
Genesis
posted by ez at 00:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月17日

Dego『A Wha' Him Deh Pon?』

Dego名義の初ソロはネクスト・レベルのハイブリッド・ソウル☆Dego『A Wha' Him Deh Pon?』
A Wha Him Deh Pon ?
発表年:2011年
ez的ジャンル:UKクラブ・ミュージックの鬼才
気分は... :意外にも・・・

今回はクラブ・ミュージック好き注目の新作、4HeroDegoによるソロ・アルバム『A Wha' Him Deh Pon?』です。

4Heroでの活動と並行して、さまざまなユニットで作品をリリースしているDegoですが、当ブログで紹介したDego関連の作品は以下の3枚です。

 4Hero『Parallel Universe』(1994年)
 Tek 9『Simply』(1999年)
 2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)

UKクラブ・ミュージックを牽引する鬼才Degoですが、Dego名義でのアルバムは初めてになります。意外な気もしますね。勿論、Degoのレーベル2000Blackからのリリースです。

アルバムはSharlene Hector、Georgia Anne Muldrow、Obenewa、Nia Andrews、Tosin Tao等多彩なヴォーカリストをフィーチャーしており、全20曲のうち約半数がヴォーカル入りです。

また、ユニット2000Blackのもう一人のメンバーであった盟友Kaidi TathamやKaidiと同じくBugz In The AtticのメンバーであるMatt Lord(Lordamercy)がサウンド面で貢献しています。

全体としてはDegoらしいハイブリッドなフューチャー・ソウル/クロスオーヴァー作品に仕上がっています。特別なインパクトがあるわけではありませんが、Degoらしいフューチャー・サウンドを満喫できると思います。

少し気になったのは、全体として曲が短いことです。
全20曲中、5分超のものは3曲のみです。
個人的には曲数少なくてもいいから、もっと長尺で聴きたい気分が・・・

とりあえず、Dego関連作品がお好きな人であれば、楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Start A New」
オープニングはSharlene Hectorの女性ヴォーカルをフィーチャー。彼女はReel Peopleの人気曲「The Rain」で彼女のヴォーカルをお聴きの方も多いのでは?そんなSharlene Hectorの生き生きとしたソウルフル・ヴォーカルの魅力を上手く引き出したDegoらしいハイブリッド・ソウルに仕上がっています。

「Sparkling Minds」
「Love & Hate You」と並ぶ僕のお気に入り曲。当ブログでも紹介したデトロイト出身の女性R&Bシンガー/ソングライター/プロデューサーGeorgia Anne Muldrowをフィーチャー。デトロイトの才女とロンドンの鬼才の顔合わせは、Georgia Anne Muldrowのミステリアスな雰囲気にマッチしたダンサブルなフューチャー・ソウルに仕上がっています。

「Da Fuzz」
Matt Lord(Lordamercy)が活躍するインスト。疾走するフューチャー・サウンドとトライバルなリズムが心地好いです。

「All That She Knows」
Obenewaの女性ヴォーカルをフィーチャーしたエレクトリック・ソウル。艶やかなObenewaのヴォーカルにグッときます。

「We Are Virgo」
Dego、Kaidi Tatham、Matt Lord(Lordamercy)という強力トリオが生み出すフューチャー・サウンドにグッときます。

「They Never Know」
Sarina Leahの女性ヴォーカルをフィーチャー。ヴォーカル、サウンドともに実にクールです。程好くメロウな雰囲気がいいですね。

「Until It's Done」
Nia Andrewsの女性ヴォーカルをフィーチャー。レイジーなNia Andrewsのヴォーカルとへヴィなビート織り成すダンサブル・チューン。

「Whatever (Instrumental)」
フューチャー・ジャズ・ファンクといった趣のスペイシー・サウンドを満喫できます。

「Interlude」
Bobby McFerrinの息子Taylor McFerrinが参加しているインタールード。不思議な音世界へ引き込まれます。

「Love & Hate You」
「Sparkling Minds」と並ぶ僕のお気に入り。Obenewaの女性ヴォーカルをフィーチャーしたメロディアスなフューチャー・ファンクです。大音量&長尺で聴きたい1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=KlPIDhKbV4Q

「Monday Blues」
この曲はDego一人で創り上げています。これが未来のブルースなのでしょうか(笑)

「It's Nothing」
Nadine Charlesの女性ヴォーカルをフィーチャー。彼女は2000Black『A Next Set A Rockers』 にも参加していました。ハイブリッド・アーバン・メロウといった雰囲気がいいですね。

「Pushing You To Begin」
Ferrazの女性ヴォーカルをフィーチャー。彼女も2000Black『A Next Set A Rockers』 にも参加していました。哀愁モードのフューチャー・ソウルといった感じです。

「Wispa Bar」
フューチャー・ジャズ・ファンクって感じの小曲。

「No Bother Talk It」
Dego、Kaidi Tatham、Matt Lord(Lordamercy)という強力トリオによるクロスオーヴァー・チューン。Dego自らがヴォーカルをとっています。アフリカンなリズムが僕好み。

「Right From Wrong」
Tosin Taoの男性ヴォーカルをフィーチャー。女性ヴォーカル曲が多いので、男性ヴォーカルはいいアクセントになります。男の色気漂うセクシー&メロウなフューチャー・ソウルです。

「Not In My Disco」
Dego & Kaidi Tathamが創り出したコズミックな疾走感が心地好いクロスオーヴァー・チューン。

「Dego's Dancehall Cry」
ちょっと1曲遊んでみました!って感じのインスト。

「Late Night Fright」
パワフルに躍動するダビーなクロスオーヴァー・チューン。

「The Monarch」
ラストはフューチャー・メロウなインストで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=wLm-Ul5xeEM

全20曲はコメントするのが大変です(泣)

Dego関連の過去記事もご参照下さい。

4Hero『Parallel Universe』(1994年)
Parallel Universe

Tek 9『Simply』(1999年)
Simply (+ Bonus Tracks)

2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
ア・ネクスト・セット・ア・ロッカーズ
posted by ez at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月16日

Gary Bartz『Music Is My Sanctuary』

Mizell Brothersプロデュースのアーバン・メロウ作品☆Gary Bartz『Music Is My Sanctuary』
Music Is My Sanctuary
発表年:1977年
ez的ジャンル:スカイ・ハイ系レア・グルーヴ
気分は... :追悼Fonce Mizell

TVでゴルフの全英オープンを観ています。サッカー女子W杯なでしこの快挙の後なので、日本人選手の活躍を期待してしまいますが・・・

さて、弟Larryと共にSky High Productionを設立し、70年代音楽シーンに大きな軌跡を残したプロデュース・チームMizell Brothersの一人Fonce Mizell(Alphonso "Fonce" Mizell )が去る7月5日にL.A.で亡くなりました。

今回はFonce Mizellを追悼する意味でMizell BrothersがプロデュースしたGary Bartz『Music Is My Sanctuary』(1977年)を取り上げたいと思います。

クラブ系リスナーにも人気のサックス奏者Gary Bartzの紹介は、Gary Bartz Ntu Troop『Juju Street Songs/Follow The Medicine Man』(1972年、2in1CD)に続き2回目となります。

僕の中でのGary Bartzは、Ntu Troop名義の『Taifa』(1970年)、『Uhuru』(1971年)、『Juju Street Songs』(1972年)、『Follow The Medicine Man』(1973年)といったアフリカ回帰のブラック・ミュージック的アルバムの印象が強いですね。

そんなGary Bartzですが、70年中盤以降はMizell Brothersプロデュースの『The Shadow Do』(1975年)、『Music Is My Sanctuary』(1977年)、James Mtume/Reggie Lucasプロデュースの『Bartz』(1980年)といった作品もリリースしています。

本作『Music Is My Sanctuary』(1977年)は、Mizell Brothersプロデュースの第2弾アルバムであり、レコーディングには、David T. Walker(g)、Wah-Wah Watson(g)、James Gadson(ds)、Bill Summers(per)、James Mtume(per)、Syreeta Wright(vo)、Sigidi(vo)、Eddie Henderson(tp)、Ray Brown(tp)等が参加しています。Syreetaのキュートなヴォーカルが目立っています。

全体としては、アーバン・メロウなソウル/フュージョン作品に仕上がっています。
ただし、スカイ・ハイ色がそれ程前面に出ているわけでもありません。

タイトル曲がハイライトですが、「Carnaval De L'Esprit」「Love Ballad」「Swing Thing」あたりも聴きモノです。

全曲紹介しときやす。

「Music Is My Sanctuary」
タイトル曲はアルバムのハイライト(Gary Bartz/Sigidi作)。Syreetaのキュートなヴォーカルをフィーチャーしたスピリチュアル・アーバン・メロウ。アーバン・メロウな中にもスピリチュアルなテイストがあるのがGary Bartzらしいのでは?当ブログでも紹介したWarren G「If We Give You a Chance」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=DGLw7GmoIo4

「Carnaval De L'Esprit」
Gary Bartz作。僕の一番のお気に入り曲。ミステリアスかつ爽快なサンバ・フュージョンです。ブラジリアン・フュージョン好きの人であれば、相当グッとくるはずです。サンバのリズム、軽快なサックス、カラフル・コーラス全てが躍動しています。
http://www.youtube.com/watch?v=S3luimH7gpc

「Love Ballad」
L.T.D.のヒット曲をカヴァー(Skip Scarborough作)。L.T.D.のオリジナルはMizell Brothersプロデュースの『Love To The World』に収録されています。George Bensonのカヴァーでもお馴染みの曲ですね。ここでSyreetaのヴォーカルをフィーチャーしたフュージョン・メロウ・ソウルに仕上がっています。Syreetaの透き通ったヴォーカル、Gary Bartzのメロウ・サックス、David T. Walkerのツボを押さえたギターが素敵なサンセット・モードへと誘ってくれます。

「Swing Thing」
Larry Mizell/Fonce Mizell作。改めて聴くと、この曲がアルバムで一番凄いですね。スウィング・ジャズ+フュージョン+ファンク+ガラージ+スカイ・ハイといった雰囲気のグルーヴの洪水が押し寄せてきます。この迫力はなかなか無いち思います。
http://www.youtube.com/watch?v=DINpdSS-YuA

「Ooo Baby Baby」
ご存知The Miraclesの名曲カヴァー(Smokey Robinson/Pete Moore作)。濃密な「Swing Thing」の後で軽くコーヒー・ブレイクって感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=tbqrZ0PckeA

「Macaroni」
Gary Bartz作。ラストは素晴らしいアレンジのストリングスと共にスタートします。本編はGary Bartzのサックスを満喫できる心地好いメロウ・フュージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=utOvOMk7rUM

同じくMizell Brothersがプロデュースした『The Shadow Do』もどうぞ!

『The Shadow Do』(1975年)
ザ・シャドウ・ドゥ

Gary BartzおよびMizell Brothersプロデュース作の過去記事もご参照下さい。

Gary Bartz Ntu Troop『Juju Street Songs/Follow The Medicine Man』(1972年)
Juju Street Songs

Donald Byrd『Black Byrd』(1972年)
Black Byrd

Donald Byrd『Street Lady』(1973年)
Street Lady

Donald Byrd『Places and Spaces』(1975年)
Places and Spaces

Johnny Hammond『Gears』(1975年)
Gears
posted by ez at 00:14| Comment(6) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月15日

Alive!『City Life』

大人気クラシック「Skindo Le Le」収録☆Alive!『City Life』
City Life
発表年:1983年
ez的ジャンル:女性ジャズ/フュージョン・グループ
気分は... :なでしこ快挙!

サッカー女子W杯では、なでしこジャパンが快挙を成し遂げましたね。
僕も早朝からTVの前で雄叫びを上げてしまいました。

小柄ななでしこイレブンが、ドイツ、スウェーデンといった大柄な選手を擁する強豪国を破っていく姿が、柔道の無差別級で軽量級の選手が重量級の選手を投げ飛ばすような痛快さがありますね。なでしこ最大の難関アメリカを決勝で負かすことができれば、こんなドラマティックなフィナーレはないですね。アメリカが相手であれば、日本はチャレンジャーの立場で思い切り戦うことができるので、逆にチャンスがあるかもしれませんね。

今回は女性ジャズ/フュージョン・グループAlive!の3rdアルバム『City Life』(1983年)です。

Rhiannon(vo)、Susanne Vincenza(b)、Carolyn Brandy(per)、Janet Small(key)、Barbara Borden(ds)の5名によりサンフランシスコで結成されたグループ、Alive!の紹介は『Call It Jazz』(1981年)に続き2回目となります。

Alive!の代名詞と言えば、90年代のクラブ・シーンで大人気となったブラジリアン・フュージョン「Skindo Le Le」ですよね。オリジナルは当ブログでも紹介したアメリカ在住ブラジル人フュージョン・グループViva Brasilですが、人気に火を付けたのはAlive!ヴァージョンです。

僕の中ではViva Brasilのオリジナル、今日紹介するAlive!ヴァージョン、そして以前に紹介したスウェーデン出身のジャズ・ユニットA Bossa Eletricaのカヴァー(2004年)が三大「Skindo Le Le」です(笑)。A Bossa Eletricaの代わりに、阿川泰子さんのカヴァーを推す方も多いと思いますが・・・

話を戻すと、Alive!ヴァージョンの「Skindo Le Le」が収録されたアルバムが本作『City Life』(1983年)です。Alive!にとっては、『Alive!』(1979年)、『Call It Jazz』(1981年)に続く3rdアルバムであり、結局グループのラスト・アルバムとなった作品です。

どうしても「Skindo Le Le」が気になってしまいますが、ストレートなブラジリアン・フュージョンはこの1曲のみです。アルバム全体としては、"フュージョン・アルバム"というよりも"ジャズ・アルバム"という形容の方がマッチするスウィンギーな楽曲が目立ちます。

まぁ、何はともあれ「Skindo Le Le」ですが(笑)

全曲紹介しときやす。

「City Life」
タイトル曲はヴォーカリーズ・スタイル。Rhiannonのヴォーカルの魅力を満喫できます。テンポの良い演奏もなかなかスリリングです。Larry Kefauver/Rhiannon作。
http://www.youtube.com/watch?v=SDOPrhxVvJg

「Diamonds Are Where You Find Them」
ワルツあり、ブラジリアン・フュージョンあり、ジャズ・ロックありと目まぐるしく曲の表情が変化します。Carolyn Brandy作。
http://www.youtube.com/watch?v=4YNGa6o4Vf0

「Happy Ending」
静けさの中にミステリアスな雰囲気が漂います。Susanne Vincenzaの優雅なチェロが印象的です。Janet Small作。

「Afreaka」
ジャズ・ピアニストCedar Waltonの作品。ボッサ・ジャズ調のインストです。ゲスト参加のMary Fettigのサックスが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=eDTeLPTLFa4

「Skindo Le Le」
前述のように本作のハイライトとなるブラジリアン・フュージョン。サビの♪スキンド・スキンド・スキンド・スキンド・ド・レ・レ〜♪の部分を聴くと、一発で元気になりますね。強力なサンバのリズムが眠っている心を覚醒させます。Claudio Amaral/Jay Wagner作。
http://www.youtube.com/watch?v=ztkF9GL02n0

前述のように本ヴァージョン、Viva Brasilのオリジナル、A Bossa Eletricaのカヴァーが、僕にとっての三大「Skindo Le Le」です。ぜひ3曲セットで聴いてみてください。

Viva Brasil「Skindo Le Le」
 http://www.youtube.com/watch?v=dT3-libuPa8
A Bossa Eletrica「Skindo Le Le」
 http://www.youtube.com/watch?v=z6sowAMxnBs

「Anouman/Lazy Afternoon」
Barbara Higbie/Django Reinhardt作「Anouman」とJerome Moross/John Latouche作「Lazy Afternoon」のメドレー。Rhiannonが憂いを帯びたヴォーカルでしっとりと聴かせます。

「What Is Life」
スウィンギーな4ビート・ジャズ。小粋な演奏はなかなかオシャレです。Janet Small作。

「Four」
ラストはJon Hendricks/Miles Davis作品。ラストはスウィンギーなヴォーカリーズ・スタイルで締め括ってくれます。

『Alive!』(1979年)
Alive!

『Call It Jazz』(1981年)
Call It Jazz
posted by ez at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする