2011年07月14日

Omar『Sing (If You Want It)』

Stevie Wonder、Angie Stone、Commonも参加の6thアルバム☆Omar『Sing (If You Want It)』
Sing (If You Want It)
発表年:2006年
ez的ジャンル:ミステリアスUKソウル
気分は... :なでしこ歴史をつくれ!

まもなくサッカー女性W杯の準決勝「日本対スウェーデン」のキックオフです。

なでしこらしいサッカーでドイツ戦に続き世界を驚かせて欲しいですね。

今回はアシッド・ジャズ期から活躍するUKソウルの男性シンガーOmarの6thアルバム『Sing (If You Want It)』(2006年)です。

Omar(Omar Lye-Fook)の紹介は、デビュー・アルバム『There's Nothing Like This』(1990年)に続き2回目となります。

前回『There's Nothing Like This』を紹介した時点では、1st『There's Nothing Like This』から2nd『Music』(1992年)、3rd『For Pleasure』(1994年)、4th『This Is Not a Love Song』(1997年)までしか所有していませんでしたが、その後5th『Best By Far』(2001年)、6th『Sing (If You Want It)』(2006年)もゲットし、何気に全アルバム揃ってしまいました(笑)
今日紹介する6th『Sing (If You Want It)』(2006年)は、現時点での最新アルバムということになります。

本作にはAngie StoneCommonStevie WonderEstelleといった豪華ゲスト陣が参加しています。

アフリカ、ラテン、ブラジル、ジャズ、ファンクなどのエッセンスを取り入れたミステリアスなUKソウルは本作でも健在です。相変わらず独特の音世界を展開してくれます。ネオ・ソウルやNu Jazz/クロスオーヴァー寄りの楽曲もあり、さらに音楽性の幅が広がっている印象を受けます。

90年代アーティストという印象が強いOmarですが、本作を聴くと21世紀に入っても進化し続けていることを確認できます。

なかなか侮れないUKソウル作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Lift Off」
ミステリアスなインストでアルバムは幕を開けます。

「Sing (If You Want It) 」
Omarらしい独特の音空間を満喫できるUKソウル・チューン。Omar作品を聴いているなぁ!という気分になる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=w1bv6zsnaGU

「Be A Man」
オススメその1。J.C. Bentleyの女性ヴォーカルをフィーチャー。ひと捻り効かせたラテン・フレイヴァーがいい感じです。

「Kiss It Right」
ジャジー・ソウルな中にOmarらしいスパイスが効いています。 Omar自身が弾くベースラインが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=bd5P40OqAr4

「Get It Together」
オススメその2。モロに僕好みのメロウ・ボッサ・ソウル。ブラジリアン・フレイヴァーも昔からOmarの得意技ですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=aH-k13Z-owo

「Your Mess」
Omar流ファンク・チューン。グイグイと推進力のあるファンク・サウンドで突き進みます。ホーン隊も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=00z1NyVkHGY

「All For Me」
Angie Stone参加の1曲目。ネオ・ソウルな仕上がりはAngie姐さんにもマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=33nC3JFhQiA

「It's So....」
オススメその3。Nu Jazz/クロスオーヴァー好きの人がグッてくるであろう1曲。アフロ・ファンク・テイストのパーカッシヴな疾走感が僕好みです。ホーン隊も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=qYLxZdBLz-I

「Gimme Sum」
オススメその4。Common参加曲。他にもAshman、Canitbe、Rodney Pのラップがフィーチャーされています。Herbie Hancockにインスパイアされたというブリブリのシンセ・ベースが唸るジャズ・ファンクなトラックをバックに、Commonがらしいフロウを聴かせてくれます。

「Feeling You」
オススメその5。Stevie Wonder参加曲(vo、key)。ライトタッチな疾走感が心地好いキャッチーなソウル・チューン。Glen Nightingaleのギターも印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=wuFZYD8O1iQ

「Lay It Down」
オススメその6。当ブログでも紹介した期待のUK女性R&Bシンガー/ラッパーEstelleをフィーチャー。哀愁モードのソウル・チューンにEstelleのラップが絡みます。
http://www.youtube.com/watch?v=rMFImq-YkRI

「I Want It」
シンプルながらもスペイシーな音空間に魅了される1曲。

「Stylin'」
Angie Stone参加の2曲目。黒いグルーヴでゴリゴリ押してきます。
http://www.youtube.com/watch?v=jf-ADMu1THQ

「Ghana Emotion」
オススメその7。ラストはリズミックなメロウ・チューン。アフロな中にもメロウな味わいが漂うのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DmWeGXMCrHE

僕が保有するのは輸入盤CDですが、国内盤CDには「Gimme Sum」の別ヴァージョン(Commonのラップをフィーチャーしたもの)が収録されています。

『There's Nothing Like This』(1990年)
There's Nothing Like This
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2011年07月13日

Marcos Valle『Marcos Valle(1970)』

ベッド・マルコスはやはり夏がよく似合う!☆Marcos Valle『Marcos Valle(1970)』
marcos valle 1970.jpg
発表年:1970年
ez的ジャンル:ブラジル最高のメロディ・メーカー
気分は... :夏はベッド・マルコス!

サッカーのコパ・アメリカは遂にアルゼンチンが爆発しましたね。
やはり、アルゼンチン代表においてメッシはトップよりもトップ下がフィットすると思います。

そのメッシを輝かせたのが、イグアイン、ディ・マリア、ガゴのレアル・マドリー勢というのが皮肉ですね。あとはメッシとアグエロの組み合わせもハマっていました。個人的にはアグエロのポジションはラベッシを起用して欲しいのですが、ボリビア戦の先発メンバーが次戦も継続されるでしょうね。

アルゼンチンが爆発したならば、ブラジルにもエンジン全開になって欲しいですね。

今回はブラジルを代表するシンガー・ソングライターMarcos Valle『Marcos Valle(1970)』(1970年)です。

当ブログでこれまで紹介したMarcos Valle作品は以下の6枚。

 『Samba '68』(1968年)
 『Vento Sul』(1972年)
 『Previsao Do Tempo』(1973年)
 『Vontade De Rever Voce』(1981年)
 『Pagina Central』(2009年) ※Celso Fonsecaとの共演作
 『Esphera』(2010年)

本作『Marcos Valle(1970)』"ベッド・マルコス"の愛称で知られるように、ベッドに入ったMarcosの写るジャケが印象的な作品です。やはり、夏がよく似合うMarcos作品と言えば、本作ですよね。

70年代に入り、意欲作を続々とリリースするMarcosですが、『Marcos Valle(1970)』は、その70年代の幕開けを飾るアルバムです。

本作では、Milton Nascimentoバック・バンドであると同時にプログレッシヴ・ロック・グループとしても知られるSom Imaginarioのメンバーがレコーディングに参加しています。ただし、バンド・メンバーが全員参加しているわけではないようです。

アルバム全体としては、メロディ・メーカーMarcosらしいポップな楽曲あり、グルーヴィー&スキャットな楽曲あり、官能的な楽曲あり、サイケ&プログレな楽曲あり、となかなかバラエティに富んだ構成で楽しめます。

夏はベッドに入ってベッド・マルコスを聴きましょう!

全曲紹介しときやす。

「Quarentao Simpatico」
邦題「気のいい四十男」。気のいい四十男(?)の僕としてはグッとくるオープニング(笑)。シングル・カットもされました。メロディ・メーカーMarcosらしいポップな味わいを満喫できます。Umas e Outrasや本作参加のGolden Boysもカヴァーしています。Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。
http://www.youtube.com/watch?v=bP9F8BbNlHs

「Ele e Ela」
邦題「彼と彼女」。ワルツのリズムにのった甘いスキャットに魅了される1曲。途中、接吻の音も聴こえてくる官能的な曲ですが、女性ヴォーカルの相手は妹Angela。兄妹のデュエットで接吻の音はさすがにマズいでしょ(笑)。Marcos Valle作。
http://www.youtube.com/watch?v=_hwR3ZuNeoA

「Dez Leis(Is That Law)」
邦題「十法」。本作唯一の英語歌詞(後半はポルトガル語)。壮大なロック・オペラでも聴いている雰囲気の仕上がりです。Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。

「Pigmaliao」
この曲もUmas e Outrasが歌っていますね。Marcos Valle自身のヴァーションは効果音を強調したミュージカル仕立ての演奏が印象的です。Marcos Valle/Paulo Sergio Valle/Novelli作。
http://www.youtube.com/watch?v=vwqd3dT-2a0

Umas e Outras「Pigmaliao」
 http://www.youtube.com/watch?v=Z3TyXQdD0bU

「Que Eu Canse e Descanse」
邦題「疲れ、休むために」。美しいバラード。抑えたストリングス・アレンジが素晴らしいですね。Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。

「Esperando o Messias」
邦題「メシアの到来」。男性ヴォーカル・グループGolden Boysとの共演曲。Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。軽快なヴォーカルの掛け合いと小粋なサウンド・アレンジ、それにリコーダーの音色が印象的です。

「Freio Aerodinamico」
邦題「空気力学的ブレーキ」。アルバムで一番のお気に入り。Os 3 Moraisのヴァージョンもお馴染みの名曲です。疾走感のあるグルーヴィー・サウンドと妹Angelaのスキャットが織り成す素晴らしい演奏を満喫できます。途中のブレイクも格好良くてグッド!Marcos Valle作。
http://www.youtube.com/watch?v=lOgCfjHEZJI

Os 3 Morais「Freio Aerodinamico」
 http://www.youtube.com/watch?v=PdEPE84yqKk

「Os Grilos」
邦題「こおろぎ」。1967年のシングルの再レコーディングです。当ブログではWalter Wanderleyのカヴァーも紹介済みです。ボーナス・トラックで収録されているオリジナル・ヴァージョンと比較して、ボッサ&ポップな仕上がりになっています。Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。
http://www.youtube.com/watch?v=9DFs2Dm0mKg
 
「Suite Imaginaria」
邦題「想像組曲」。ラストは「Cancao」「Corrente」「Toada」「Danca」
の4パートから成る組曲です。本曲はSom Imaginarioとの共演らしいサウンドです。『Vento Sul』あたりでも聴かれるサイケでプログレな音世界が展開されます。美しくもストレンジな雰囲気でアルバムは幕を閉じます。

CDにはボーナス・トラックとして、Eumir Deodatoがアレンジを担当した「Os Grilos」のオリジナル・ヴァージョン(1967年)が収録されています。

Marcos Valleの過去記事もご参照下さい。

『Samba '68』(1968年)
サンバ’68

『Vento Sul』(1972年)
ヴェント・スル

『Previsao Do Tempo』(1973年)
Previsao Do Tempo

『Vontade De Rever Voce』(1981年)
ヴォンタージ・ジ・レヴェール・ヴォセ

『Pagina Central』(2009年)
パジナ・セントラウ [ボーナス・トラック付]

『Esphera』(2010年)
ESPHERA
posted by ez at 00:33| Comment(4) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月12日

The Wooten Brothers『Put Love to Work』

3兄弟による息の合ったR&B/NJS作品☆The Wooten Brothers『Put Love to Work』
Put Love to Work
発表年:1993年
ez的ジャンル:3兄弟R&B/NJS
気分は... :歴史的勝利!

かなり書くタイミングが遅れてしまいましたが、サッカー女子W杯のなでしこジャパンは素晴らしかったですね。

3連覇を目指す地元ドイツを相手に粘り強く戦い、カウンター一発で歴史的勝利!これしかない!という勝ち方でしたね。

かなりの体格差の不利を乗り越えた、攻守の切り替えの速さ、積極的な前線からのプレス、プレッシャーに負けない落ち着いたパス回しは、男女問わず日本のサッカーに明確な方向性を示してくれたような気がします。

特に攻守の要で主将の澤選手の頑張りは素晴らしいですね。昔は攻撃的な選手というイメージが強かったのですが、今大会では献身的な守備での貢献も目立ちます。男子代表でも澤選手のような攻撃の起点となり、得点力もあり、守備力も高い中盤の選手が欲しいですよね。

さて、今回は90年代R&B作品からThe Wooten Brothersの2ndアルバム『Put Love to Work』(1993年)です。

The Wooten Brothersは、George、Gary、LouisのWooten兄弟によって結成されたグループ。

『Try My Love』(1990年)、『Put Love to Work』(1993年)という2枚のアルバムをリリースしています。

多分、リアルタイムで聴いていた人以外には馴染みが薄いグループだと思いますが、一部のR&B好きの人からは評価の高かったグループだったと記憶しています。

基本的にはNJS系のグループですが、ヴォーカル・グループとしても魅力的でミディアム〜スロウ系で息の合ったヴォーカル&コーラスを聴かせてくれます。

今日紹介する2nd『Put Love to Work』(1993年)は、よりグループとしての成熟ぶりを感じます。

George(vo)、Gary(vo、b)、Louis(key、back vo、programming、sax)の3人でプロデュース、ソングライティング、ヴォーカル&演奏の殆どを手掛けています。その他にBunny Siglerがプロデュース&ソングライティングで2曲を手掛け、さらに元BreakwaterのKae Williams Jr.が1曲プロデュースしています。また、元StetsasonicDaddy-Oも1曲でプロダクションに名を連ねています。

NJS好きの人も、メロディアスなミディアム〜スロウ好きの人も楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Nothing Is Stronger (Than True Love) 」
NJSなオープニング。1stに比べて格段に洗練された印象を受けるアップ・チューン。今聴いても心地好い大人のNJSチューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=dHV-NrMojxI

「It's What You Don't Do」
ミッドナイト・モードのNJS。ラップ入りのNJSって1993年時点でどうなのよ?って気もしますが、グループの成熟を感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=6IqxDTKH1MQ

「I.O.U. Love」
The Wooten Brothersの魅力である美しいメロディと息の合った兄弟ヴォーカルを堪能できるミディアム。

「Prove It Tonite」
アーバン・テイストな美メロのミディアム・スロウ。Garyのサックスもロマンティック・ムードを盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Tw3nieOvP-A

「Put Love To Work」
タイトル曲はロマンティックなスロウです。Georgeのスウィートなリード・ヴォーカルがいいですね。

「One Little Kiss」
Bunny Siglerプロデュース&ソングライティングの1曲目。ヴォーカル・グループとしての素晴らしさを堪能できる正統派バラードです。さすがはBunny Sigler、いい仕事ぶりです。

「Happy」
重くうねるリズム・トラックが印象的なダンス・チューン。プロダクションには元StetsasonicDaddy-Oの名もクレジットされています。
http://www.youtube.com/watch?v=bE5stDOxO94

「Why You Wanna Play Me」
爽快アップ・チューン。派手さはありませんが結構好きな1曲。ガンガン突っ込みすぎないのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=LF5GUi-7pBE

「Hasty Decisions」
Bunny Siglerプロデュース&ソングライティングの2曲目。個人的にはアルバムで一番のお気に入りの絶品ミディアム・スロウ。実に雰囲気のある作りにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=NXNLXF0OHpo

「Do It For Your Love」
素敵なロマンティック・バラード。Louis & Georgeの素晴らしいヴォーカルを満喫できます。この曲も大好き!
http://www.youtube.com/watch?v=PXCuVaxJNjY

「Save The Best For Last」
BreakwaterのKae Williams Jr.プロデュース。ラストも感動的なバラードで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=DMgpRGJ71Ks

女子サッカーに続く歴史的勝利を期待してしまった、女子ゴルフの全米女子オープンは残念な結果でした。それでも小さな身体で世界に挑むダブル宮里のプレーに勇気をもらいました。二人とも精神的にタフですよね。
posted by ez at 00:19| Comment(0) | TrackBack(1) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月10日

Tatiana Parra & Andres Beeuwsaert『Aqui』

ブラジルとアルゼンチンの才能によるデュオ・アルバム☆Tatiana Parra & Andres Beeuwsaert『Aqui』
aqui.jpg
発表年:2011年
ez的ジャンル:印象派MPB+アルゼンチン・ネオ・フォルクローレ
気分は... :渓谷の音楽・・・

サッカーのコパ・アメリカでは地元アルゼンチンが2試合連続で引き分けとなり、主力メッシをはじめ監督・選手が地元メディアからバッシングを受けています。

でも、アルゼンチンと並ぶサッカー大国ブラジルも初戦は引き分けでしたし、出場国の実力差は以前に比べてかなり縮まってる印象を受けます。特にチリは実に素晴らしいサッカーを展開していますね。したがって、アルゼンチン、ブラジルと言えども、チームとしての完成度・結束力がなければ簡単に勝つことできないのでしょう。

この大会に日本が出場していれば・・・そう思わずにはいられません。

今回はアルゼンチン、ブラジル、サッカー大国の意地を見せよ!ということでブラジル人の女性ヴォーカリストTatiana Parraとアルゼンチン・ネオ・フォルクローレ注目のアーティストAndres Beeuwsaertによるデュオ作品『Aqui』

サンパウロ出身の女性ヴォーカリストTatiana Parraについては、昨年彼女のデビュー・アルバム『Inteira』を紹介済みです。

その『Inteira』にも参加していたアルゼンチン人アーティストAndres Beeuwsaertは、アルゼンチン・ネオ・フォルクローレ・シーンの重要グループAca Seca Trioのメンバーです。

Aca Seca Trioは1999年にブエノスアイレスでJuan QuinteroAndres BeeuwsaertMariano Canteroの三人により結成されました。これまで『Aca Seca Trio』(2003年)、『Avenido』(2006年)、『Ventanas』(2009年)という3枚のアルバムをリリースしています。また、Andres Beeuwsaertはソロ・アルバム『Dos Rios』(2009年)をリリースしています。TatianaはAca Seca TrioやAndresのソロ作にゲスト参加しています。

Tatianaのデビュー作『Inteira』は、アルゼンチン人アーティストとの交流を交えて創った印象派MPBとしてブラジル音楽/南米音楽ファンから高い支持を得ました。僕も『Inteira』に魅了された一人です。

その『Inteira』でも多大な貢献を果たしたのがAndres Beeuwsaertです。TatianaとAndresはプライベートでも公認の仲らしいですね。

そんな二人の息の合ったデュオ作品が『Aqui』です。

基本はTatianaのヴォーカル/スキャットとAndresのピアノ。あとはフルート、チェロ、ギターが加わる程度のシンプルな編成です。しかしながら、Tatianaのヴォーカル/スキャットとAndresのピアノのみで素晴らしく美しい音世界を創り出します。これには正直驚きました。Andres Beeuwsaertの音楽的才能とTatiana Parraの豊かな表現力を再認識した次第です。

この澄み切った美しさは、海辺の音楽というよりも渓谷の音楽といった雰囲気ですね。

サッカー選手のみのらず、音楽でも素晴らしい才能を輩出するアルゼンチンに注目です!

全曲紹介しときやす。

「Sonora」
Andres Beeuwsaert作。AndresのピアノとTatianaのスキャットが織り成す美しいオープニング。静寂の中の美しさといった雰囲気がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=fBcmKk2lD14

「Brincando com Theo」
本作にフルートで参加しているLea Freireの作品。生命力のある演奏にグッときます。躍動するAndresのピアノとそれに呼応するTatianaのスキャットのコンビネーションが抜群です。

「Ventania」
Andres Beeuwsaert作。Lea Freireのフルートが加わった演奏です。Andresの美しいピアノに魅了される1曲です。まさに心が洗われる渓谷の音楽といった感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=BVeS9RGcmjs

「Luzes da Ribalta」
Charles Chaplin/Braguinha(Joao de Barro)/Antonio Almeida作。英語タイトルではないのでわかりづらいですが、チャップリンの名作映画『Limelight(ポルトガル語タイトル:Luzes da Ribalta)』の主題歌「Terry's Theme」のカヴァーです。Tatianaの美しい歌声を堪能しましょう。

「Estrela da Terra」
Dorival Caymmi/Paulo Cesar Pinheiro作。チェロも入った感動的な演奏です。何よりTatianaが素晴らしいヴォーカリストであることを実感できます。

「Vento Bom」
Sergio Santos/Andre Mehmari作品。本曲は『Inteira』でも歌われていました。アコーディオンの音色とライトなリズムが印象的であった『Inteira』ヴァージョンと比較すると、Andresのピアノのみのシンプルな演奏はピュアな魅力に溢れています。Tatianaのヴォーカルも生き生きとしていてグッド!人気ブラジル人ジャズ・ピアニストAndre Mehmariの作品であることを考えれば、こうしたピアノ演奏が本来の姿なのかもしれませんね。

「Jardim」
ギターで参加のConrado Goysの作品。ギターが加わることで、それまでの楽曲とは異なる印象を受けます。アルバムの中でいいアクセントになっていますね。

「Salida」
Andres Beeuwsaert作。Andresの創りだす素晴らしい音世界に惹き込まれます。7分半近くの大作にも関わらず、リピートして何度も聴いてしまう至極の演奏です。

「Carinhoso」
Pixinguinha/Joao De Barro作。ショーロの名曲をカヴァー。昨年紹介したアルゼンチン出身の女性シンガー/ギタリストMariana Meleroのデビュー・アルバム『Beira Mar』でも取り上げられていました。本ヴァージョンはTatianaのヴォーカルの表現力に魅力されます。
http://www.youtube.com/watch?v=rIER3mDROQ8

「Cueca de Agua」
Javier Cornejo作。ここでのAndresはピアノのみならずヴォーカルも披露してくれます。二人の息の合ったデュエットを堪能しましょう。

「Milonga Gris」
現代アルゼンチン音楽の最重要アーティストCarlos Aguirreの作品。アルゼンチン音楽好きにはグッとくる1曲かもしれませんね。AndresのピアノとTatianaのスキャットが生み出すアーティスティックな音世界を満喫しましょう。

「Tankas」
Pedro Aznar/Jorge Luis Borges作。Pedro AznarはPat Metheny Groupでの天使の歌声でお馴染みですね。Andresの美しいピアノとTatianaの包み込むような歌声に心が洗われます。

「Corrida de Jangada」
ラストはCapinan/Edu Lobo作。Elis Reginaでお馴染みの1曲ですね。当ブログでも『Elis Regina in London』および『Aquarela Do Brasil』のヴァージョンを紹介済みです。Elisのイメージが強い曲ですが、本ヴァージョンもElis同様の躍動感に充ちています。ただし、この躍動感をTatianaのヴォーカルとAndresのピアノのみで創り出してしまうところが驚きです。

Tatiana Parra『Inteira』(2010年)
インテイラ

Aca Seca Trio『Aca Seca Trio』(2003年)
Aca Seca Trio

Aca Seca Trio『Avenido』(2006年)
アベニード
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2011年07月09日

Niteflyte『Niteflyte』

フリーソウル・クラシック「If You Want It」収録☆Niteflyte『Niteflyte』
ナイトフライトI
発表年:1979年
ez的ジャンル:マイアミ系アーバン・ソウル/AOR
気分は... :この気だるさは・・・

昨日少し飲みすぎたせいか、気だるい朝を迎えています。
そんな気だるい気分を吹き飛ばすためにメロウな音が聴きたい気分・・・

今回はNiteflyteのデビュー・アルバム『Niteflyte』(1979年)です。

キューバ出身の白人ギタリストSandy Toranoと黒人シンガーHoward Johnsonの2人がマイアミで結成したユニットの紹介は、2ndアルバム『Niteflyte II』(1981年)に続いて2回目になります。

やはり本作と言えば、フリーソウル・クラシックとしてあまりにも有名な「If You Want It」ということになりますよね。僕がこの曲をはじめて聴いたのは、フリーソウル
のコンピ『Free Soul Impressions』でしたが、一発で虜になってしまいました。山下達郎や角松敏生あたりがお好きな人はかなりグッとくる日本人好みの1曲ですよね。

それ以外では「All About Love」「I Wonder」あたりが注目曲だと思います。多くの人がNiteflyteに期待しているのはメロウな楽曲だと思いますが、アルバム全体としてはファンキー・グルーヴやレゲエなども収録されています。

レコーディングには、Average White BandHamish Stuart(g、back vo)、Stephen Ferrone(ds)や、Phyllis Hyman(back vo)、David Sanborn(as)、Michael Brecker(ts)、Randy Brecker(tp)等が参加しています。

まぁ、何はともあれ「If You Want It」ですが、それを思い切り堪能したうえで、それ以外の曲も楽しんで下さい。

全曲紹介しときやす。

「All About Love」
オススメその1。Sandy Torano作。「If You Want It」に続く人気曲かもしれませんね。軽快なノリの爽快メロウ・ダンサーはシングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=xVS-Lkf57as

「If You Want It」
オススメその2。Sandy Torano/Howard Johnson作。本作のハイライト曲。前述のようにフリーソウル・クラシックです。シングル・カットされ全米チャート第37位、同R&Bチャート第21位になっています。夏の浜辺がよく似合う至極のメロウ・フローター。山下達郎「Sparkle」の元ネタ(?)としてもお馴染みのイントロのギターだけでグッときますよね。
http://www.youtube.com/watch?v=1me5p-Bd6Rk

「Sunshine」
Larry Alexander作。スピーディーなファンキー・グルーヴ。疾走するカッティング・ギターがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=SMkoevPoyiY

「Make It Right」
Larry Alexander作。ロマンティックなバラード。いかにも!な感じですが、惹かれてしまいます(笑)

「Get On The Fun」
Howard Johnson作。Brecker兄弟がホーンで盛り上げてくれるファンク・チューン。僕のイメージするNiteflyteとはかなりギャップがある1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=vhhavR5div8

「Tryin' To Find」
Larry Alexander作。Sandy Toranoらしいギター・カッティングが心地好い1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=5sXXYXwHw6g

「I Wonder」
オススメその3。Sandy Torano作。AORファンにはグッとくるリラックスした雰囲気のメロウ・チューン。David Sanbornのアルト・サックスが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=4lhMwWIhAmg

「Easy Come」
Lamont Johnson作。AOR仕立ての感動的なバラード。最近は仰々しいバラードが苦手なのですが、本曲はその一歩手前で抑えているのでOKです。
http://www.youtube.com/watch?v=_uZ52vHwF8o

「No Two Alike」
Sandy Torano作。ラストはレゲエ・チューン。個人的にはレゲエをやるのであれば、思い切りラテンな曲を1つ入れて欲しかったなぁ・・・なんて思ってしまいます。

『Niteflyte II』(1981年)
ナイトフライトII(紙ジャケット仕様)

Howard Johnson『Doin' It My Way』(1983年)
DOIN' IT MY WAY

Howard Johnson『The Vision』(1985年)
THE VISION
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