2011年07月08日

Taj Mahal『Taj Mahal』

ブルース・リヴァイバリストTaj Mahalの1stアルバム☆Taj Mahal『Taj Mahal』
Taj Mahal
発表年:1968年
ez的ジャンル:黒人ブルース・リヴァイバリスト
気分は... :激シブ・ブルースが心に沁みる!

今日は60年代作品にしようと決め、とりあえずソフトロックの名盤を数枚CD棚から引っぱり出し聴いてみましたが、どうも今の気分ではありません・・・続いて映画サントラ、ロック、ソウルから候補をチョイスしたものの、これもしっくりきません。困ったときはジャズかブラジルというのが最近の僕のパターンですが、一昨日にブラジル/クラブジャズ作品Rosalia De Souza『Garota Moderna』を紹介したばかりなので避けたい気分・・・

そんなモヤモヤ気分を一気に落ち着かせてくれたのが今日紹介する作品、Taj Mahal『Taj Mahal』(1968年)です。

コレだ!今日はブルースがしっくりくる!

黒人ブルース・リヴァイバリストTaj Mahalの紹介は、『The Natch'l Blues』(1968年)、『Mo Roots』(1974年)に続き3回目となります。

前回紹介した『Mo Roots』のような汎カリブ・アプローチ的な作品も魅力的ですが、本作『Taj Mahal』『The Natch'l Blues』のような激シブ・ブルース作品にも捨て難い魅力がありますね。

今日紹介する『Taj Mahal』は、伝説のグループRising Sonsを解散させた後、ソロ名義で活動するようになったTaj Mahalの記念すべき1stアルバムになります。

レコーディング・メンバーは、Taj Mahal(vo、g、harp)以下、Jesse Ed Davis(lead g)、Ry Cooder(rhythm g、mandolin)、Bill Boatman(rhythm g)、James Thomas(b)、Gary Gilmore(b)、Sanford Konikoff(ds)、Charles Blackwell(ds)という構成です。

やはり、Jesse Ed DavisRy Cooderの参加が目玉ですね。

収録曲はオリジナル1曲を除き、ブルース作品のカヴァーです。まさに"ブルース・リヴァイバリスト"に相応しい内容のデビュー作になっています。

本作の収録曲がRolling Stonesの幻のTVスペシャル『Rock And Roll Circus』(1968年)で演奏されたり(本編ではカットされていますが)、Ry Cooderが後に『Let It Bleed』のレコーディングに参加したことを踏まえると、Rolling Stonesファンも注目のアルバムと言えますね。

また、Duane Allmanが本作を聴きまくり、The Allman Brothers Band「Statesboro Blues」を取り上げたことを踏まえると、 Allmansファンも外せない1枚ですね。

特にブルース好きでもない僕ですが、たまにブルースを聴くのであれば、こんな1枚がいいですね。

ブルースを聴くと酒が飲みたくなります(笑)

全曲紹介しときやす。

「Leaving Trunk」
Sleepy John Estes作品のカヴァー。『Rock And Roll Circus』で演奏された曲の1つです。Tajの激シブ・ヴォーカル&ブルースハープに先導され、推進力のあるブルースを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=VYfbxlAcbUQ

「Statesboro Blues」
Blind Willie McTell作。前述のようにThe Allman Brothers Bandのカヴァーでお馴染みの1曲です。Allmansヴァージョンを聴き慣れていると、非常にコンパクトな印象ですが魅力的です。Jesse Ed Davisのギターを堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=fQMU1S8FhKg

「Checkin' Up on My Baby」
Sonny Boy Williamson作品のカヴァー。本曲も『Rock And Roll Circus』で演奏されました。いかにもブルース・カヴァーって雰囲気ですが、テンポの良い演奏はなかなかグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=mzhZND4Rxng

「Everybody's Got to Change Sometime」
Sleepy John Estes作品のカヴァー2曲目。リズミックな演奏に思わず身体が揺れてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=c79T3TCkOpI

「EZ Rider」
タイトルからして、僕にピッタリ(笑)。そんなこともあって僕に一番のお気に入り曲。ブルース嫌いの人でも惹かれる格好良さを持った演奏です。本曲を聴けば、Stonesが彼を『Rock And Roll Circus』に招聘した理由が納得できるのでは?本作唯一のTaj Mahalによるオリジナル作品です。
http://www.youtube.com/watch?v=uwv8Je1z808

「Dust My Broom」
伝説のブルースマンRobert Johnsonのカヴァー。ブルース・リヴァイバリストの本領発揮といったところでしょうか。ブルースの世界にどっぷり浸れます。
http://www.youtube.com/watch?v=lcBzPl_Wxno

「Diving Duck Blues」
Sleepy John Estes作品のカヴァー3曲目。「EZ Rider」と並ぶ僕のお気に入り。Eric Claptonやブルース・ロック好きの人あたりはかなりツボなのでは?タイトルの通り、ドライヴ感のある演奏はただただ格好良いの一言です。
http://www.youtube.com/watch?v=AZZwELray8k

「The Celebrated Walkin' Blues」
ラストは激シブのトラディショナル・ブルース。ここではRy Cooderがマンドリンを弾いています。
http://www.youtube.com/watch?v=7K3qCtxfIDQ

Taj Mahalの過去記事もご参照下さい。

『The Natch'l Blues』(1968年)
The Natch'l Blues

『Mo Roots』(1974年)
Mo Roots

サッカー男子のロンドン五輪アジア最終予選の組み合わせが決まりましたね。

日本はバーレーン、シリア、マレーシアと同じC組に入りました。
油断は禁物ですが、日本にとってはかなりラッキーな組み合わせですね。
これで予選突破できないようではダメでしょう。

一方、コパ・アメリカではアルゼンチンがコロンビア相手にまたもドロー。
まぁ、今大会のコロンビアはかなり強いですからね。

前にも書きましたが、何故ディ・マリアを先発で使わないんですかね。
個人的には左からディ・マリア、テベス、ラベッシの3トップ。トップ下メッシの布陣が見てみたいですね。
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2011年07月06日

Rosalia De Souza『Garota Moderna』

Nicola Conte全面バックアップによるSchemaの歌姫のデビュー作☆Rosalia De Souza『Garota Moderna』
Garota Moderna
発表年:2003年
ez的ジャンル:Schema系ブラジリアン・クラブジャズ
気分は... :お肌スッキリ!

Schemaの歌姫Rosalia De Souzaのデビュー・アルバム『Garota Moderna』(2003年)です。

クラブジャズ・マイスターNicola Conteの秘蔵っ子であるブラジルのリオ・デ・ジャネイロ生まれの女性シンガーRosalia De Souzaの紹介は、3rdアルバム『D'Improvviso』(2009年)に続き2回目となります。

前回紹介した3rd『D'Improvviso』も僕の中ではど真ん中でしたが、やはり1st『Garota Moderna』の印象は鮮烈ですね。

Quintetto X 『Novo Esquema Da Bossa』(1995年)でリード・ヴォーカルに抜擢され注目されたRosalia De Souzaでしたが、それから8年、満を持してのデビュー・アルバムとなりました。もちろん、プロデュース&アレンジはNicola Conteが務めており、ある意味二人のコラボ作品といった印象も受けます。

Pietro Lussu(p)、Pietro Ciancaglini(b)、Lorenzo Tucci(ds)といったLTCのメンバーをはじめ、Gaetano Partipilo(as、fl)、Pasquale Bardaro(vib)、Enrico Bracco(g)、Alberto Parmegiani(g)、Guido Di Leone(g)、Fabrizio Bosso(tp)、Gianluca Petrella (key)、Davide Penta(b)、Tarek Abou Chanab(per)、Sam Paglia(org)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

Nicola Conteらしいクラブジャズのセンスで、21世紀ボッサ・ジャズのかたちを提示した1枚といった印象ですね。オリジナルとボッサ名曲カヴァーが半々という構成も気に入っています。

キュートなRosalia De Souzaのヴォーカルと小粋なNicola Conteのセンスが合体した、極上のブラジリアン・クラブジャズを満喫しましょう。

聴き終わった後はジャケのRosaliaのようにお肌スッキリ!かもしれません。

全曲紹介しときやす。

「Maria Moita」
オススメその1。Carlos Lyra/Vinícius de Moraes作。Nara LeaoSergio Mendesのヴァージョンでも知られるボッサ名曲をクラブジャズ meets ドラムン・ベースといった雰囲気で聴かせてくれます。この1曲目でつかみはOKといったところでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=KH0ynbnognA

「Bossa 31」
オススメその2。Nicola Conte/Pietro Lussu作。Rosaliaのキュートなヴォーカルが引き立つ、スタイリッシュなボッサ・グルーヴ。Nicola Conteらしい小粋なセンスに溢れています。
http://www.youtube.com/watch?v=y2uY3eR5G4E

「Adriana」
Roberto Menescal/Luiz Fernando Freire作。当ブログではWanda Sa(Wanda De Sah)のヴァージョンも紹介済みです。ここではオーソドックスなクール・ボッサ・チューンで聴かせてくれます。

「Tempo Futuro」
オススメその3。Nicola Conte/Rosalia De Souza作。浮遊感漂うイントロに続き、スタイリッシュな哀愁ボッサが展開されます。これぞSchema流ボッサという感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=JFfQvapZi9M

「Saudosismo」
Caetano Veloso作品のカヴァー。Gal Costaヴァージョンでもお馴染みの曲ですね。哀愁モードの中にもエレガントな雰囲気が漂います。一人物思いにふけながら聴きたい気分の曲です。

「Canto De Ossanha」
オススメその4。Vinicius de Moraes/Baden Powell作品のカヴァー。当ブログではTamba 4Quarteto Em CyLill LindforsElis ReginaToots Thielemans & Elis ReginaAgustin Pereyra Lucenaのカヴァーを紹介済みなのでお馴染みの曲かもしれませんね。ここではこの曲の持つミステリアスな雰囲気を受け継いだクール&エレガントな仕上がりで聴かせてくれます。Sam PagliaのオルガンとPasquale Bardaroのヴァイヴがアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=AAj0Y68R26c

「Fica Mal Com Deus」
Geraldo Vandre作。当ブログではQuarteto Novoのカヴァーを紹介済みです。ミステリアスな疾走感が印象的な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=jfmtSSsRgYc

「Mais」
Nicola Conte/Rosalia De Souza作。少し抑えたキュートな歌声の哀愁メロウにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=cHHD42IXPbY

「As Gotas」
オススメその5。Nicola Conte/Rosalia De Souza作。Nicola Conteのアレンジ・センスが光る1曲。メロウ&エレガントなNicola Conteワールドを満喫しましょう。Fabrizio Bossoのトランペット・ソロもクール!

「Mar Azul」
オススメその6。Joao Vitorio/Francis Hime作。当ブログではWanda Sa(Wanda De Sah)のヴァージョンも紹介済みです。大人の雰囲気のセクシー・ボッサは僕好みの仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=kEcne6b8PGc

「Ipanema」
オススメその7。Roberto Menescal/Luiz Fernando Freire作品のカヴァー。アルバムでも屈指のメロウ・チューン。バカンス・モードにはぴったりの1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=pljIaMqUVlM

「Zona Sul」
オススメその8。Nicola Conte/Rosalia De Souza作。Schemaらしい踊れるボッサ・ジャズに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=lylkjMtRyhA

「Samba Novo」
オススメその9。Nicola Conte/Pietro Lussu/Pietro Ciancaglini作。ラストはクラブ仕様のアッパーなブラジリアン・クロスオーヴァー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=ZI0Y94bI1_0

本作のリミックス・アルバム『Garota Diferente』

『Garota Diferente』(2004年)もリリースされています。
Rosalia De Souza: Garota Diferente

他のRosalia De Souza作品もチェックを!

Quintetto X『Novo Esquema Da Bossa』(1995年)
Novo Esquema Da Bossa

『Brasil Precisa Balancar』(2005年)
ブラジル・プレシーザ・バランサール

『D'Improvviso』(2009年)
D'improvviso
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2011年07月05日

Sapo『Sapo』

幻のラテン・ロック・グループ唯一のアルバム☆Sapo『Sapo』
サポ
発表年:1974年
ez的ジャンル:西海岸系ラテン・ロック
気分は... :逆さまじゃありません(笑)

今回はベイ・エリアのラテン・ロック・グループSapo唯一のアルバム『Sapo』(1974年)です。

Sapoは、リーダーRichard Bean(vo、timbales)を中心に結成されたグループ。AztecaMalo、El Chicanoらと並び西海岸のラテン・ロック/チカーノ・ロックを代表するグループの1つです。

メンバーは、Richard Bean(vo、timbales)、Jose Simon(b、vo)、Bobby Gaviola(ds、vo)、Raul Rekow(congas、vo)、Kincaid Miller(p、key、vo)、Oscar Estrella(g、vo)。さらにホーン・セクションとして、Bill Atwood(tp、flh)、 Joe Ellis(tp、flh)、Jules Rowell(tb)、Wayne Wallace(tb)、David Liebman(ts)、Jack Schroer(ts)、Dave Poe(fl)が参加しています。

リーダーRichard Beanは、僕の超お気に入り曲であり、当ブログでも紹介したMaloの名曲「Suavecito」のリード・ヴォーカル&ソングライティングでも知られていますね。また、Jorge Santana『Jorge Santana』>(1978年)でも、2週間前に『今の気分は...2011年6月22日編』のエントリーで紹介した名曲「Sandy」をはじめ、素晴らしいヴォーカルを披露してくれています。

Malo「Suavecito」
 http://www.youtube.com/watch?v=qmTNKNcGOQU
Jorge Santana「Sandy」
 http://www.youtube.com/watch?v=MD29-irK1Yg

また、コンガのRaul Rekowは元Maloのメンバー。であり、その後Santanaに加入しています。

さて、本作『Sapo』ですが、とにかくアルバム全編を通じてテンション高いです。ラテン+ロック+ファンクのハイブリッド・サウンドが絶妙です。また、ホーン隊が充実していることもあって、ラテン・ロック好きのみならず、ラテン好きの方も楽しめる1枚になっています。

猛暑の日に涼むのもいいですが、テンション高いラテン・サウンドで思い切り汗を出すのも気持ちいいのでは?

ちなみにジャケは、これが正しいものです。逆さまではありません(笑)

全曲紹介しときやす。

「Been Had」
オススメその1。本作のハイライト。ハード・ドライヴィンなラテン・ファンク・チューン。Bobby Gaviolaのドラム・ブレイク、Raul Rekowのパーカッションと押しよせるラテン・リズムに大興奮の1曲。カッチョ良いブレイクはDJ Shadow「Number Song」、Jurassic 5「Lesson 6 (The Lecture)」でサンプリングされています。ホーン隊も盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=--OqrIgcRGs

「Can't Make It」
オススメその2。Richard Beanの甘いヴォーカルの魅力を堪能できる1曲。Malo「Suavecito」のメロウネスにパーカッシヴなスパイスが加わったような仕上がりが僕好み。ベイエリア・ラテン・ロックの魅力に溢れた名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=N1JKTdEh9M8

「Ritmo Del Corazon」
NYラテンの帝王Tito Puenteの「Ritmo En El Corazon」をカヴァー。後半のハードでアッパーな展開はテンション上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=byV7s4oUR_w

「Get It On」
オススメその3。マンボのリズムがスリリングなアッパー・チューン。ベイ・エリアらしくラテン+ロック+ファンクがいい感じでクロスオーヴァーしています。Richard Beanのヴォーカルもキマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=cBsa9dyZzPo

「Nina」
オススメその4。ラテン・ロックの持つメロウな魅力を満喫できる1曲。夏にピッタリのメロウ・グルーヴに仕上がっています。後半はクロスオーヴァーな演奏を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=9Jm60InLt0A

「It's The Music」
スリリングなラテン・ファンク・チューン。とにかくハイ・テンションで飛ばします!
http://www.youtube.com/watch?v=5aVTsCKDGDI

「Sapo's Montuno」
オススメその5。ラテン・ロック好きというよりもラテン音楽好きの人が気に入るであろう1曲。アルバムの中で最も本格的なラテン・チューンを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=8U2F6ywMdfk

「Wishbone」
ラストはアッパーに疾走します。ティンバレスのRichard Bean、コンガのRaul Rekowというリズム隊が大活躍します。ハイ・テンションでアドレナリン出まくりのままエンディングへ
http://www.youtube.com/watch?v=l8V8t_edNYo

他の西海岸ラテン・ロック/ラテン・ソウルの過去記事もご参照下さい。

Azteca『Azteca』(1972年)
アステカ

Malo『Malo』(1972年)
Malo

Coke Escovedo『Coke』(1975年)
Coke

Jorge Santana『Jorge Santana』(1978年)
ホルヘ・サンタナ

『Santana』(1969年)
Santana

Santana『Santana III』(1971年)
Santana III

『Borboletta』(1974年)
Borboletta

『Festival』(1976年)
Festival
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2011年07月04日

The Spinners『Can't Shake This Feelin'』

James Mtume/Reggie Lucasプロデュース作☆The Spinners『Can't Shake This Feelin'』
Can’t Shake This Feelin’
発表年:1981年
ez的ジャンル:名門男性ソウル・グループ
気分は... :主人公よりも仕掛人に注目ですが・・・

今回は名門ソウル・グループThe Spinnersが、1981年にリリースしたアルバム『Can't Shake This Feelin'』です。

60年代から長きに渡り活躍するデトロイト出身のソウル・グループThe Spinnersの紹介は、今回が初めてになります。

本来、最初に紹介するThe Spinners作品としては、『2nd Time Around』(1970年)、『Spinners』(1973年)、『Mighty Love』(1974年)、『New and Improved』(1974年)、『Pick of the Litter』(1975年)、『Happiness Is Being With the Spinners』(1976年)といったG.C.Cameron(1967-72年)、Philippe Wynne(1972-77年)が在籍していた時代のアルバムが相応しいのかもしれませんね。

本作におけるSpinnersメンバーは、John EdwardsHenry FambroughBilly HendersonPervis JacksonBobbie Smithの5名。Sam CookeフォロワーJohn Edwardsを中心にディスコ全盛時代へアジャストしようとしていた時期です。
そんな新たなスタイルを模索していたSpinnersが本作『Can't Shake This Feelin'』で新たにプロデューサーとして迎えたのが、洗練されたアーバン・ファンク・サウンドで注目されていたJames Mtume/Reggie LucasというMtumeコンビでした。

僕が本作を気に入っているのもThe Spinners自体への興味よりも、James Mtume/Reggie Lucasプロデュース作への関心からです。

レコーディングでは、Tawatha(back vo)、Hubert Eaves III(key)、Ed "Tree" Moore(g)、Basil Fearrington(b)、Howard King(ds)といったMtumeメンバーが全面バックアップしています。Hubert Eaves IIIは以前に紹介したD-Trainでの活躍でもお馴染みですね。

それ以外にもMarcus Miller(b)、Dean Gant(key)、Harry Whitaker(key)、Luther Vandross(back vo)、Norma Jean Wright(back vo)、Ullanda McCullough(back vo)、Bernie Worrell(syn)等がレコーディングに参加しています。

また、アレンジャーにはAl McKay、Paul Laurence、Dunn Pearson Jr.等も起用されています。

正直、商業的には不発に終わった本作ですが、James Mtume/Reggie LucasらしいN.Y.アーバン・サウンドを満喫できるという点で魅力的な1枚だと思います。

主人公であるThe Spinnersについては殆ど触れていませんが、本作に限って言えば、Mtume/Lucasによるサウンドを楽しめば良いと思います。

全曲紹介しときやす。

「Can't Shake This Feelin'」
オススメその1。James Mtume/Reggie Lucas作。タイトル曲はMtume/LucasらしいN.Y.アーバン・ファンク・サウンドを堪能できる軽快なダンス・チューン。Dunn Pearson Jr.のアレンジによるホーン・セクションも盛り上げてくれます。

「Knack For Me」
Paul Lawerence作。キーボード中心のサウンド作りが後のMtumeを予感させる1曲。

「You Go Your Way (I'll Go Mine)」
Tawatha作。シングルにもなったアーバン・メロウなバラード。シングル向きの曲だとは思いませんが、悪くはないと思います。

「Love Connection (Raise The Window Down)」
James Mtume/Reggie Lucas作。この曲もシングルになりました。P-Funk的なノリも感じられるファンク・チューンに仕上がっています。

「Never Thought I'd Fall In Love」
この曲もシングルになりました。ファルセット・ヴォーカルとポップ&メロウなファンク・サウンドの組み合わせがキャッチーです。

「Didn't I Blow Your Mind」
The Delfonicsのヒット曲をカヴァー(Thom Bell/William Hart作)。悪くはないですが、こうしたカヴァーを本作でやる意味があったんですかね。

「Send A Little Love」
オススメその2。Al McKay/David Bryant/Tony Haynes作。Al McKayがソングライティング/アレンジを手掛けています。軽快なアーバン・ダンサーは本作らしい狙いがよく反映された1曲に仕上がっています。

「Love Is Such A Crazy Feeling」
オススメその3。Dean Gant作。軽快なギター・カッティングが心地好いアーバン・メロウなダンス・チューン。爽快な疾走感がたまりません。

「Got To Be Love」
オススメその4。James Mtume/Reggie Lucas作。本曲をハイライトに挙げる人は多いのでは?Mtume/LucasらしいN.Y.アーバン・ファンクで締め括ってくれます。

主人公が脇のままの記事になってしまいましたが、次回The Spinnersを取り上げる時には、もっとSpinners自体にフォーカスします(笑)

興味がある方は、他のJames Mtume/Reggie Lucasプロデュース作品もチェックを!

Phyllis Hyman『You Know How To Love Me』(1979年)
You Know How to Love Me

Stephanie Mills『What Cha Gonna Do With My Lovin'』(1979年)
ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・ウィズ・ラヴィン

Stephanie Mills『Sweet Sensation』(1980年)
Sweet Sensation + 1

Stephanie Mills『Stephanie』(1981年)
ステファニー

Sadane『One Way Love Affair』(1981年)
ワン・ウェイ・ラヴ・アフェア

Marc Sadane『Exciting』(1982年)
エキサイティング

Sunfire『Sunfire』(1982年)
サンファイア(+1)
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2011年07月03日

Akua Allrich『A Peace of Mine』

多様なヴォーカル・スタイルを楽しめるジャジー・ポップ作品☆Akua Allrich『A Peace of Mine』
Peace of Mine
発表年:2011年
ez的ジャンル:ジャジー・ポップ系女性ヴォーカル
気分は... :諸刃の剣?

今回はワシントンDC出身の女性ヴォーカリストAkua Allrichのデビュー・アルバム『A Peace of Mine』です。

彼女の詳しいプロフィールは不明ですが、名門ハワード大学でジャズ・ヴォーカルを学び、英語を含むポルトガル語、フランス語、スペイン語など6ヵ国語を話すマルチリンガルという才女のようです。名前やルックスからもアフリカ系のルーツを強く感じさせます。

Musiq Soulchildを手掛けたこともあるJermaine Mobleyがプロデューサーに起用されたデビュー・アルバム『A Peace of Mine』ですが、彼女の持つ音楽性の多様さを楽しめる1枚に仕上がっています。

基本はジャズ・ヴォーカルですが、曲によってキュートなポップ・ヴォーカル、魂のソウル・ヴォーカルを器用に使い分けているのが素晴らしいですね。サウンド面でもジャズを中心に、ジャジー・ポップ、ソウル/R&B、レゲエ、ブラジル音楽、アフリカ音楽といったさまざまなジャンルのエッセンスが散りばめられています。

試聴する前は、ジャジー・ソウル/ジャジー・ポップな作品をイメージしていましたが、実際に聴いてみるとヴォーカル・スタイルの多様さと、レゲエ、ブラジル音楽、アフリカ音楽まで取り入れたサウンドの多様さに魅了されました。

こういったジャンルレスの女性アーティストって商業的には売り出し方が難しいかもしれませんが、内容的にはかなり面白いと思います。

全曲紹介しときやす。

「Hard To Get」
オープニングはボッサ・テイストのジャジー・ソウル。ネオ・ソウル/ネオ・フィリー系の音が好きな人は気に入るであろう1曲。キュート女性ヴォーカル+ボッサ・テイスト+ジャジー・ソウルという組み合わせがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=j0GrFvdDzCg

「Sweet Dreams Man」
個人的には一番のお気に入り。オーガニック感が心地好いジャジー・ポップ。Giovancaあたりと一緒に聴きたくなる晴れモードの1曲。アフリカン・リズムのパーカッシヴ感も僕好み。

「Gypsy Lover」
レゲエ調サウンドに気だるいヴォーカルが絡む1曲。モロにレゲエじゃなくてレゲエ調ジャジー・ソウルといった趣がいい感じ。

「If I Had a Chance」
Akua Allrichの基本はジャズなのだ!と実感させてくれる感動ジャズ・バラード。オープニングの「Hard To Get」のキュートな歌声と同一人物なのか?と思いたくなる本格派ヴォーカルで堂々と歌い上げます。

「All The Things You Are」
スタンダード・カヴァー1曲目。Oscar Hammerstein II作詞、Jerome Kern作曲。1939年のミュージカル『Very Warm for May』のために書かれた楽曲です。当ブログではJohn Lewis & Sacha Distelのカヴァーを紹介済みです。ここではピアノ・トリオをバックに表情豊かなヴォーカルを披露してくれます。

「Too Hard」
Aretha Franklinあたりへのリスペクトを感じるソウルフル・バラード。ゴスペル調のコーラス&サウンドをバックに魂のヴォーカルを聴かせてくれます。前曲のジャズ・ヴォーカルと全く異なるスタイルのソウル・ヴォーカルを難なくこなしてしまうAkuaに脱帽です。

「Just Wait」
前曲に続き、ソウルフルな味わいの仕上がり。ブルージーな雰囲気がグッド!

「Fire」
アフリカン・テイストを前面に打ち出した1曲。Akuaの中にあるアフリカンなDNAをしっかり感じ取ることができます。

「Sweet」
再びレゲエ・チューン。ここではダビーなレゲエ・サウンドでディープに迫ってきます。

「I'm not Crazy」
レゲエ調のジャジー・ポップ。Akuaの持つ無国籍な雰囲気にマッチした仕上がりです。

「You Make Me Crazy」
ノスタルジックな雰囲気のジャズ・チューン。即興で1曲やってみました!的なリラックスした雰囲気が伝わってきます。

「Black Orpheus」
スタンダード・カヴァー2曲目。Luiz Bonfa作の名曲「カーニバルの朝(「Manha De Carnaval」)」です。当ブログではDexter GordonGerry MulliganBalancoAstrud GilbertoJack Marshall & Shelly ManneSteen Rasmussen Feat. Josefine CronholmOscar Petersonのカヴァーを紹介済みの超定番曲ですね。前半は気だるいボッサ・モードですが、中盤以降はエレクトロな雰囲気も加わったブラジリアン・グルーヴが展開されます。

「Guess Who I Saw Today」
スタンダード・カヴァー3曲目。Elisse Boyd作詞、Murray Grand作曲。ブロードウェイ・ミュージカル『New Faces of 1952』の挿入歌です。当ブログではElsie Bianchi Trioのカヴァーを紹介済みです。ラストは味わい深いジャズ・バラードでジャズ・アルバム(?)らしく、しっとりと締め括ってくれます。

サッカーのコパ・アメリカ「ボリビア対アルゼンチン」は、地元アルゼンチンがまさかの引き分けスタートでした。

後半のメッシ、テベス、アグエロ、ディ・マリアという布陣は豪華でしたね。
一方でメッシというエースをどう生かすのか?
アルゼンチンは(今大会に限らず)当面この課題に悩まされそうですね。

バルサ・ファン、メッシ大好きの僕ですが、アルゼンチン代表を考えるとメッシに固執しすぎない方がいい気もします。絶対的エースの存在が諸刃の剣とならぬことを願うばかりです。

個人的には左ディ・マリア、右ラベッシの攻撃力を重視して欲しいですね。そうなると中央に配するFWは誰がベストなのか?
posted by ez at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする