発表年:1976年
ez的ジャンル:超絶テクニック系男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :テクニックのみならずハートも大事!
人気男性ジャズ・シンガーAl Jarreauの2ndアルバム『Glow』(1976年)です。
Al Jarreauは1940年ミルウォーキー生まれ。
L.A.のジャズ・クラブで本格的な活動を開始し、1975年にデビュー・アルバム『We Got By』をリリース。その後、『Look to the Rainbow』(1977年)、『All Fly Home』(1978年)でグラミーを受賞しています。卓越したテクニックと伸びやかなハイトーン・ヴォーカルで人気シンガーとしての地位を確立し、コンスタントに作品をリリースしています。
僕がリアルタイムでAl Jarreauの曲を初めて聴いたのは、『Jarreau』(1983年)からのシングル「Mornin'」だったような気がします。上手いシンガーだとは思いましたが、当時10代だった僕にとって特別気になるアーティストではありませんでした。10代でジャズ・ヴォーカルにハマるほど大人びていなかったもので(笑)
AOR/フュージョン系ファンには、Jay Graydonプロデュースの『This Time』(1980年)、『Breakin' Away』(1981年)、『Jarreau』(1983年)、『High Crime』(1984年)あたりが人気かもしれませんが、フリーソウル好きには人気曲「Rainbow In Your Eyes」が収録された本作『Glow』(1976年)がグッときますよね。
『Glow』は、デビュー・アルバム『We Got By』、グラミー受賞作『Look to the Rainbow』(1977年)、『All Fly Home』(1978年)の間に挟まれ分が悪い気もしますが、Al Jarreauというシンガーの歌心が上手くパッケージされたシティ・ソウル作品に仕上がっていると思います。
プロデュースはAl Schmitt/Tommy LiPuma。
レコーディングにはLarry Carlton(g)、Joe Sample(key)、Wilton Felder(b)、Tom Canning(el-p)、Larry Nash(syn)、Willie Weeks(b)、Paul Stallworth(b)、Joe Correro(ds)、Ralph MacDonald(per)、Steve Forman(per)等が参加しています。これらのメンバーが奏でる都会的なサウンドも本作を魅力的なものにしています。
前述のフリーソウル人気曲「Rainbow In Your Eyes」(Leon Russell)をはじめ、「Agua De Beber」(Antonio Carlos Jobim)、「Your Song」(Elton John)、「Fire And Rain」(James Taylor)、「Somebody's Watching You」(Sly & The Family Stone)といったカヴァーが聴きものです。有名曲にAl Jarreauがどのようなヴォーカルの魔法をかけてくれるのか堪能しましょう。
また、目立ちませんがオリジナル作品もなかなか味わい深いですよ。
基本的にはジャズ・シンガーですが、AOR好きやソウル好きの人が聴いても楽しめる1枚だと思います。
微笑むジャケのように、人柄の良さが滲み出ているのも魅力です。
全曲紹介しときやす。
「Rainbow In Your Eyes」
本作のハイライト。フリーソウル・クラシックとして人気のLeon Russellの名曲カヴァー。当ブログではLeon & Mary Russellのオリジナル、Judy Robertsのカヴァーに続いての紹介となります。本ヴァージョンはメロウなエレピ・サウンドにのって、Al Jarreauが爽快なヴォーカルを聴かせてくれる至極のシティ・ソウルに仕上がっています。いつ聴いても晴れモードになれます。ヴォーカル・アレンジはNick DeCaro。
https://www.youtube.com/watch?v=zzQoFVE9FCc
オリジナル、Judy Robertsヴァージョン、Al Jarreauヴァージョンとくれば、次はDoug Parkinson & The Southern Star Bandのヴァージョンですね(アルバム『I'll Be Around』収録)。CD化されないかなぁ・・・
Doug Parkinson & The Southern Star Band「Rainbow In Your Eyes」
http://www.youtube.com/watch?v=cFciE42AzpQ
「Your Song」
Elton Johnのお馴染みの名曲(Bernie Taupin/Elton John作)をカヴァー。オリジナルは聴き飽きたという人も満喫できる感動的な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=9tmsOJyRR94
「Agua De Beber」
Antonio Carlos Jobimの名曲「おいしい水」のカヴァー。当ブログで本曲を取り上げるのは、Sergio Mendes & Brasil'66、Wanda Sa(Wanda De Sah)、Diane Denoir/Eduardo Mateoのヴァージョンに続き4回目となります。スキャットの魔術師の本領発揮!Al Jarreauの素晴らしいヴォーカルを満喫できる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=6-MB5_ju8-Q
「Have You Seen The Child」
Al Jarreauのオリジナル。なかなか味わい深いソウルフルな仕上がり。どうしても高度なテクニックが注目されがちですが、こういう曲を聴くと彼の歌心がよく伝わってきます。
「Hold On Me」
多重録音によるア・カペラ。やはりこういうのが無いとAl Jarreauらしくありませんね(笑)
「Fire And Rain」
James Taylorの名曲をカヴァー。Larry Carltonのギターをはじめとする小粋なバック陣とAl Jarreauのヴォーカルがマッチした秀逸カヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=rOLgtBDteuQ
「Somebody's Watching You」
名盤『Stand!』(1969年)収録のSly & The Family Stone作品をカヴァー。高度なヴォーカル・テクニックと歌心を併せ持つAl Jarreauの歌世界を満喫できる完成度の高いカヴァーです。
「Milwaukee」
Al Jarreauのオリジナル。どうしてもカヴァー曲が目立ってしまうアルバムですが、オリジナル作品もなかなかです。ソウルフルな仕上がりの本作もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=ndfs9qe9vPM
「Glow」
タイトル曲はAl Jarreauのオリジナル。エレピのサウンドにグッとくるメロウ・チューンでアルバムを締め括ってくれます。
『We Got By』(1975年)
『Look to the Rainbow』(1977年)
『All Fly Home』(1978年)
『This Time』(1980年)
『Breakin' Away』(1981年)
『Jarreau』(1983年)
『High Crime』(1984年)
『L is for Lover』(1986年)
『Heart's Horizon』(1988年)
『Heaven and Earth』(1992年)
『Tomorrow Today』(2000年)
『All I Got』(2002年)
『Accentuate the Positive 』(2004年)
George Benson & Al Jarreau『Givin It Up』(2006年)