2011年08月19日

Tania Maria『Olha Quem Chega』

若き日のTaniaのピュアな歌声が爽快に躍動するサウダージ・グルーヴ!☆Tania Maria『Olha Quem Chega』
Olha Quem Chega
発表年:1971年
ez的ジャンル:ブラジル人女性ジャズ・ヴォーカル/ピアノ
気分は... :ステップアップ

サッカーのスペイン・スーペルコパ第2戦はバルサがレアル・マドリーにホームで3対2で勝利しました。第1戦も含めてなかなか見応えのあるクラシコ2連戦でした。今季のレアル・マドリーは昨季以上に手強い印象です。

バルサ・ファンとしては、新加入のFWサンチェスはバルサという特別なチームに短期間でフィットしそうな期待が高まりました。しかし、ガナーズ・ファンでもある僕としては、やはりセスクの加入は複雑ですね。セスクがレギュラーになるためには、シャビ、イニエスタ、ブスケスのいずれからかポジションを奪わなければならないという厳しい現実が待ち構えています。セスク加入でバルサの選手層が厚くなったこと自体は喜ばしいですが、セスク個人のことを思うと・・・

一方、セスクを失い、ナスリも移籍濃厚で戦力ダウンが否めないガナーズですが、日本人としては宮市の出場機会が増えそうなのは嬉しいですね。残念だったのは、バイエルンでホロ苦デビューした宇佐美がCLプレーオフではベンチ外だったことですね。バイエルンのような強豪で生き残るためには、すぐに結果を残さねばならず難しいですよね。

やはり、日本人選手が欧州リーグへチャレンジする際には、いきなり強豪リーグのビッグクラブへ挑戦するのではなく、強豪リーグの中堅以下のクラブや中堅リーグの強豪チームのように、ある程度コンスタントに出場機会を与えられるクラブからスタートし、そこからステップアップするのが良いように思えます。コンスタントに出場できるのであれば2部リーグからのスタートも決して回り道ではないような気がします。

今回はブラジルを代表する女性ジャズ・シンガー/ピアニストTania Mariaの人気作『Olha Quem Chega』(1971年)です。

Tania Mariaの紹介は『Via Brasil vol.1』(1975年)に続き2回目になります。

今の時期にフィットするブラジリアン・ジャズ/フュージョン作品『Forbidden Colors』(1988年)あたりも超オススメなのですが、人気作である『Olha Quem Chega』(1971年)をセレクトしました。

ジャズ/フュージョンとブラジル音楽が自然なかたちで融合しているのがTania Mariaの魅力ですが、初期の作品である本作『Olha Quem Chega』(1971年)は、よりブラジル音楽色が強く出たサウダージ・グルーヴ作品に仕上がっています。

「Madalena」「Hey Voce」というIvan Lins作品2曲をはじめ、ピュアでナチュラルなブラジル音楽の魅力を存分に満喫できます。

全曲紹介しときやす。

「Bobeou, Nao Vai Entender」
オススメその1。Toquinho/Gianfrancesco Guarnieri作。軽快なジャズ・サンバでアルバムは幕を開けます。1分半強の曲ですが、もっと長尺で聴きたいです。
http://www.youtube.com/watch?v=W6z1O11bU8E

「Madalena」
オススメその2。Ivan Lins/Ronaldo Monteiro de Souza作。Elis Reginaヴァージョンでも知られるIvan Linsの名曲です。ここでは軽やかな「Madalena」を聴かせてくれます。グルーヴィーなオルガン・サウンドがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=W1GN_3-Yytw

「Olha Quem Chega」
オススメその3。Eduardo Gudin/Paulo Cesar Pinheiro作。タイトル曲は哀愁モードのボッサ・チューンです。憂いのあるTaniaのヴォーカルにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=_7cztLf7zwM

「Mais Um Adeus」
Toquinho/Vinicius de Moraes作。サウダージ気分に浸れる哀愁チューン。クールダウンにもピッタリな1曲。

「Ai! Que Saudades De Amelia」
Ataulfo Alves/Mario Lago作。華やかなホーン&ストリングスが入ったサウンドが印象的です。

「Garota Da Minha Cidade」
Johnny Alf作。軽やかで開放的なサウンドが心地好いです。

「Ruas Do Rio」
オススメその4。Abllio Manoel作。リオの眩しい陽射しの中で、ゆったりとした時間を過ごせそうなメロウ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=93qFPwWXf5w

「Hey Voce」
オススメその5。Sidney Matos/Ivan Lins/Robaldo Monteiro De Souza作。コンピ・アルバム『Free Soul Flight To Brazil』にも収録されていた人気曲。個人的にもアルバムで一番のお気に入り曲です。グルーヴィーな躍動感がポジティヴな気分にさせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=rvCHkZfpJ48

「Carinhoso」
Pixinguinha (Alfredo Vianna) /Joao De Barro作。壮大なオーケストレーションをバックに堂々と歌い上げます。サウンドの表情が次々と変化するのが楽しいです。

「De Frente」
オススメその6。Lauro Benevides/Anselmo Mazzoni作。なかなか味わい深いヴォーカルと小粋なサウンドがエレガントな雰囲気を醸し出します。

「Vireivolta」
Chico Feitosa/Marcello Silva作。ラストは軽快なエレガントな雰囲気がいいですね。Taniaのヴォーカルも余裕たっぷりです。
http://www.youtube.com/watch?v=JRZ_qCSdZ8E

『Via Brasil vol.1』(1975年)
ヴィア・ブラジル

『Via Brasil vol.2』(1975年)
Via Brasil, Vol. 2

『Brazil With My Soul』(1978年)
Brazil with My Soul

『Come With Me 』(1982年)、
Come with Me
posted by ez at 00:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月17日

The Rebirth『This Journey In』

クロスオーヴァー感覚のネオ・ソウル/ジャズ・ファンク☆The Rebirth『This Journey In』
This Journey in
発表年:2005年
ez的ジャンル:L.A.ネオ・ソウル/ジャズ・ファンク
気分は... :てっきりUKものかと・・・

今回はクロスオーヴァー感覚のネオ・ソウル/ジャズ・ファンク作品The Rebirth『This Journey In』(2005年)です。

The RebirthはL.A.で結成された7人組。

グループのリーダーCarlos "Loslito" Guaico(key、vo)は、同じくL.A.で90年代から活躍するファンク・グループBreakestraのメンバーでもありました。それ以外の6名は紅一点のヴォーカリストNoelle Scaggs(vo)、70年代に活躍したソウル/ファンク・グループThe New BirthのメンバーLeroy Taylorを父に持つChris "C-Quest" Taylor(ds、vo)をはじめ、Patrick Bailey(g)、Greg Malone(b)、Raul "Lil Big Fat" Gonzalez(per)、Mark Cross(key、vo)という編成です。

2002年にデビュー・シングル「This Journey In」をリリース。さらに2004年にリリースされたUbiquity Recordsの人気コンピ『Rewind! 4』「Evil Vibration」が収録されました。

「Evil Vibration」は当ブログでも紹介したMighty Ryedersによるダンス・クラシックです。De La Soul「A Roller Skating Jam Named "Saturdays"」ネタとしても知られていますね。

「This Journey In」「Evil Vibration」で注目されたグループが満を持してリリースしたデビュー・アルバムが本作『This Journey In』(2005年)です。結局、グループ唯一のアルバムになってしまいましたが・・・

何の予備知識もなく聴くと、90年代のUKアシッド・ジャズのアルバムと錯覚しそうです。その意味でThe Brand New HeaviesIncognito好きの人にはオススメです。

クロスオーヴァー感覚のネオ・ソウル/ジャズ・ファンクはUSソウル好きというよりも、UKソウルやクラブミュージック好きの人向けですね。また、70年代ソウル/レア・グルーヴへのオマージュを感じる曲も多く、レア・グルーヴ好きの人が聴いても楽しめると思います。

上記ジャケはAmazonの輸入盤へのリンクですが、前述の人気カヴァー「Evil Vibration」がボーナス・トラックで収録されている国内盤がお得だと思います。

洗練されたサウンド・センスに脱帽の1枚です。

全曲紹介しときやす。

「This Journey In」
オススメその1。デビュー・シングルにもなったタイトル曲。数々のコンピ・アルバムでセレクトされた人気曲です。ダンサブル&スペイシーなジャズ・ファンク・サウンドが実に気持ちいいですね。彼らの持つクロスオーヴァーな魅力が凝縮されています。
http://www.youtube.com/watch?v=CBaWq8LF1m4

「Stray Away」
軽やかなジャズ・ファンク・サウンドとNoelle Scaggsの艶やかなヴォーカルが心地好いです。
http://www.youtube.com/watch?v=E64WNu5t42o

「Mark Of His Ways」
オススメその2。アーバン・メロウなネオ・ソウル・チューン。こうしたネオ・ソウルな曲でもUKっぽいのがThe Rebirthらしいのかもしれません。

「Shake It (Feel The Same)」
オススメその3。メロウ&グルーヴィーなソウル・チューンに自然と身体が揺れます。70年代好きの人もグッとくる心地好さだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=60jKcsQpcrg

「Common Ends」
オススメその4。Noelle Scaggsのソウルフル・ヴォーカルを満喫できるアーバン・テイストのネオ・ソウル。
http://www.youtube.com/watch?v=B-V_-vlN5yI

「Talking Me Down」
オススメその5。ブラジリアン・フレイヴァーのメロウ・フュージョン。クラブジャズ好きの人も楽しめる1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Xpotrb_ke1s

「Sinkin'」
Noelle Scaggsのキュートな歌声とメロウ・サウンドが優しく包み込んでくれます。

「Walk Talkin' Mizell (Until We Meet Again)」
タイトルからしてMizell BrothersやSky High Productionsへ捧げられた曲だと思います。レア・グルーヴ好きの人がグッときそうな爽快ライト・グルーヴを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=oU58GX_HftM

「Got Your Madness」
ミステリアスな雰囲気が印象的です。メロウネスとマッドネスが表裏一体になっている感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=eSvG-CCd7uU

「Every Body Say Yeah」
オススメその6。スタイリッシュな躍動感がたまらないメロウ・グルーヴ。アシッド・ジャズ好きの人はかなりグッとくると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=V-Wm56cUFB0

「Revolving Door」
オススメその7。ドラマチックな展開の1曲。静寂の前半からエキサイティングな展開の中盤へ・・・最後は感動的にフィナーレを迎えます。
http://www.youtube.com/watch?v=8Yo2oIsktX8

前述のように国内盤には「Shades」「Evil Vibration」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。この2曲が絶品です。

「Shades」
オススメその8。明記されていませんが、本曲は西ロンドンの歌姫Vanessa Freemanのシングル「Shades」をThe RebirthがリミックスしたVanessa Freeman「Shades (The Rebirth Remix)」だと思います。ブラジリアン・フレイヴァーが心地好いグルーヴィー・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=5NoryNan3CE

「Evil Vibration」
オススメその9。前述の通り、Mighty Ryedersのダンス・クラシック・カヴァー。オリジナルの魅力を受け継ぎつつ、The Rebirthらしい躍動感のある「Evil Vibration」を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=pR8Mc2P0Vd8

絶対ボーナス・トラック入りの国内盤をゲットすべきと思います。

本作の流れでリーダーCarlos "Loslito" Guaicoが在籍していたBreakestraを聴いてみるのも楽しいのでは?

Breakestra『Hit the Floor』(2005年)
Hit the Floor

Breakestra『Dusk Till Dawn』(2009年)
DUSK 'TIL DAWN
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月16日

Cal Tjader『Soul Sauce』

モダン・ラテン・ヴァイヴの最高峰☆Cal Tjader『Soul Sauce』
Soul Sauce
録音年:1964年
ez的ジャンル:ラテン・ジャズ系ヴァイヴ
気分は... :夏にピッタリのソースは"ラテン・ジャズ"

今回は人気ヴァイブ奏者Cal Tjader(1925-1982年)の4回目の登場です。

 『The Prophet』(1968年)
 『Sounds Out Burt Bacharach』(1968年)
 『Amazonas』(1976年)

4枚目に紹介するのは『Soul Sauce』(1964年)です。

モダン・ラテン・ヴァイヴの最高峰として再評価の高まったアルバムですね。
ジャケからして、スパイシーなラテンの香りがしてきますね(笑)

レコーディングは、2曲目の「Afro-Blue」のみ、Cal Tjader(vib)、Donald Byrd(tp)、Jimmy Heath(ts)、Kenny Burrell(g)、Bob Bushnell(b)、 Richard Davis(b)、Grady Tate(ds)、Armando Peraza(per)、 Alberto Valdes(per)というメンバーです。

それ以外の楽曲はCal Tjader(vib)、Lonnie Hewitt(p)、 John Hilliard(b)、Armando Peraza(per)、Alberto Valdes(per)、Johnny Rae(ds)というメンバーです。タイトル曲「Soul Sauce (Guachi Guaro)」のみWillie Bobo(vo、per)も参加しています。

特にLonnie HewittのピアノとTjader<のヴァイヴの相性が抜群ですね。

プロデューサーはCreed Taylor、エンジニアにはPhil Ramone、Rudy Van Gelderの名がクレジットされています。

ラテン・リズムにのったTjaderの軽やかなヴァイヴの響きが実に心地好い作品です。
人によっては、ラテン音楽に野暮ったい印象をお持ちの方もいるかもしれませんが、本作は1964年録音というのが信じられないほどエレガントかつスタイリッシュなラテンです。

ラテン名曲のカヴァー、ジャズ・スタンダードのカヴァー、カフェ・アプレミディのコンピ収録曲、定番サンプリング・ソース、Joao Gilbertoに捧げたボッサ・チューン等が収めれており、ラテン/ジャズ好きのみならず、さまざまな角度から楽しめるラテン・ジャズ作品です。

ジャケはスパイシーですが、サウンドはマイルドですよ(笑)

全曲紹介しときやす。

「Soul Sauce (Guachi Guaro)」
Chano Pozo/Dizzy Gillespie作。タイトル曲はDizzy Gillespieのカヴァー。ラテンのリズムに合わせて、軽やかに響くヴァイヴの音色にグッときます。Grand Puba「Back Stabbers」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=T-M1teNsDT4

Grand Puba「Back Stabbers」
 http://www.youtube.com/watch?v=sJp1kyaqrqg

「Afro-Blue」
ラテン・ファンにはお馴染みMongo Santamariaの名曲をカヴァー。前述のように、本曲のみDonald Byrd(tp)、Kenny Burrell(g)等が参加しています。その意味でByrdやBurrellのプレイとTjaderのヴァイヴの絡みを楽しみましょう。エレガントに疾走する感じがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=xCu5MLTN-Hw

「Pantano」
Lonnie Hewitt作。Tjaderのヴァイヴがエレピのように心地好いメロウ・グルーヴィーなラテン・ジャズです。実にセンスの良いアレンジですね。

「Somewhere In The Night」
Billy May/Milton Raskin作。ロマンティック・ムードのボレロ。こうした曲にはヴァイヴの響きがマッチしますね。
http://www.youtube.com/watch?v=-THrfIr9hhI

「Maramoor Mambo」
Armando Peraza作。カフェ・アプレミディのコンピ『Cafe Apres-midi Fume』にも収録されていたセンス抜群のエレガント・ラテン・グルーヴ!

「Tanya」
Lonnie Hewitt作。個人的には一番のお気に入り。1964年でこのセンスの良さは反則ですね(笑)。疾走するラテン・リズムにのって、Tjaderのヴァイヴと作者Lonnie Hewittのピアノが小粋に響き渡ります。

「Leyte」
Cal Tjader/Lonnie Hewitt作。Hip-Hop好きには定番サンプリング・ソースとお馴染みの本曲がハイライトかもしれませんね。演奏自体は実にエレガントで、Tjaderのヴァイヴのメロウな響きにグッときます。

当ブログでも紹介した
Asheru & Blue Black Of The Unspoken Heard「Truly Unique」Camp Lo「Sparkle」をはじめ、Complete Unit「What It Mean」 、InI「To Each His Own」等のサンプリング・ネタです。

Asheru & Blue Black Of The Unspoken Heard「Truly Unique」
 http://www.youtube.com/watch?v=rwSDYRqLVuY
Camp Lo「Sparkle」
 http://www.youtube.com/watch?v=qhxazsQ6UiM
Complete Unit「What It Mean」
 http://www.youtube.com/watch?v=7kTEzglHjdg
InI「To Each His Own」
 http://www.youtube.com/watch?v=8FxTcvTGdk0

「Spring Is Here」
Lorenz Hartz作詞、Richard Rodgers作曲のスタンダードをカヴァー。当ブログではBill Evans TrioCarly Simonのカヴァーを紹介済みです。個人的にはCarly Simonヴァージョンの影響で昔から大好きな曲なのですが、ラテン・アレンジで聴く「Spring Is Here」も悪くありませんね。

「Joao」
Clare Fischer作。ラストはタイトルの通りJoao Gilbertoに捧げられたボサノヴァで締め括っています。

CDにはボーナス・トラックとして、「Soul Sauce (Guachi Guaro) (Rough Mix)」「Monkey Beams」 「Ming」「Mamblues」の4曲が追加収録されています。

Cal Tjaderの過去記事のご参照下さい。

『The Prophet』(1968年)
ザ・プロフェット

『Sounds Out Burt Bacharach』(1968年)
サウンズ・アウト・バート・バカラック(紙ジャケット仕様)

『Amazonas』(1976年)
Amazonas
posted by ez at 00:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月15日

Cyrus Faryar『Islands』

気分は島モード!優しい風に包まれるアイランド・アルバム☆Cyrus Faryar『Islands』
アイランズ
発表年:1973年
ez的ジャンル:アイランド系フォーキー
気分は... :ゆっくりと時間が流れていく

今回はお盆モードで聴きたい1枚Cyrus Faryar『Islands』(1973年)です。

Cyrus Faryarは193年イラン、テヘラン生まれの男性シンガー・ソングライター。

外交官の父の仕事の関係で世界各地を転々としていたようです。そうした中でCyrusの安住の地となったのがハワイ。ハワイにコーヒーショップをオープンし、この店でフォーク・ミュージシャンを志す仲間と交流するようになります。

そして、1962年にホノルルで伝説のフォーク・グループThe Modern Folk Quartet(MFQ)を結成します。

結成メンバーは、Cyrus FaryarChip DouglasHenry Diltz Jerry Yesterの4名です。MFQはフォーク・リヴァイバルの中で注目を浴びますが、『The Modern Folk Quartet』(1963年)、『Changes』(1964年)という2枚のアルバムをリリースして解散してしまいます。

MFQ解散後も勢力的に活動を続け、70年代に入ると『Cyrus』(1971年)、『Islands』(1973年)という2枚のソロ・アルバムをリリースしています。

今日紹介する2ndアルバム『Islands』(1973年)は、トロピカルな雰囲気のジャケからしていいですね。

内容は、ジャケのようなハワイのトロピカル感とミステリアスな雰囲気が交錯します。ゆっくりと時間が流れていく感じがたまりません。

John Simonがプロデュースが務めており、彼の素晴らしい仕事ぶりでも知られている作品です。

決してポップではないシブめの作品ですが、聴けば聴くほど味わいが増してきます。

全曲紹介しときやす。

「Bright Island & So We Sailed」
オープニングは「Bright Island」(Bill Martin作)、「So We Sailed」(Cyrus Faryar作)、「On The Sea」(Richard Rosmini作)という3曲のメドレーであり、9分超の大作です。海の雄大さと神秘に満ちています。少しアシッドな雰囲気があるのがいいですね。

「Dolphins」
Fred Neilのカヴァー。味わい深く、落ち着きのあるフォーキー・チューンに仕上がっています。小粋なエレピの音色もグッド!

「Good Feeling」
Cyrus Faryar作。フリーソウル好きの人が喜ぶ、まさにグッド・フィーリングな1曲。僕も一番のお気に入り曲です。口笛も入ったセンス抜群のグルーヴィー・サウンドに魅了されます。

「Livin' In A Land O' Sunshine」
John Simon作。John Simon自身のヴァージョンはアルバム『Journey』で聴くことができます。ジャズ・フィーリングのアレンジにグッときます。特にギア・チェンジして加速する中盤は盛り上がりますね。

「Ghosts」
Cyrusの奥方Renaisの作品です。彼女がピアノ、ヴォーカルでも参加しており、夫婦デュエットを聴くことができます。海の精霊について歌ったミステリアスな仕上がりです。

「Paradise」
Harry Nilsson作。The Ronettesもレコーディングしたことがある楽曲です。スティール・ドラムも入ったトロピカル・ムードも満喫できるドリーミーな仕上がりです。

「At Sunset」
Cyrus Faryar作。まさにサンセット・モードの仕上がり。大自然の神秘に身を委ねている気分になります。
http://www.youtube.com/watch?v=xZ9NArcPuFU

1st『Cyrus』(1971年)も大好きな作品です。セットでゲットしましょう!

『Cyrus』(1971年)
Cyrus
posted by ez at 02:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月14日

Adam Dunning『Sunset Monkeys』

豪州出身SSWがリオで録音した至極のボッサ・アルバム☆Adam Dunning『Sunset Monkeys』
サンセット・モンキーズ
発表年:2011年
ez的ジャンル:オージー系メロウ・ボサノヴァ
気分は... :日本人好みのボッサ!

今回はこの夏イチオシのボサノヴァ新作Adam Dunning『Sunset Monkeys』です。

Adam Dunningはオーストラリア・メルボルン出身の男性シンガー・ソングライター。詳しいプロフィールはわかりませんが、本場ブラジルへ渡り、様々なミュージシャンと交流しながらブラジル音楽を本格的に習得してきた人のようです。

(多分)1stアルバムとなる本作にはRoberto MenescalJoao Donatoといったブラジル音楽界の大御所も参加しており、Adamに対する期待の大きさが窺えます。

アルバムにはRoberto MenescalJoao DonatoCarlos LyraAntonio Carlos Jobimといった大物のカヴァーも収録されていますが、それ以上にオリジナルがなかなか充実しています。

基本的にはロマンティック/メロウなボサノヴァですが、ブラジル人アーティストの作品では聴けないポップな感性でボサノヴァを聴かせてくれます。彼自身の甘いヴォーカルも魅力です。

プロデュースはAdam Dunning本人と彼の盟友Ronaldo Cotrimが務めています。

本作の音源が全くYouTubeにないので、2009年にリリースされたコンピ・アルバム『Michael Jackson In Bossa Vol. 2』に収録されていた「The Girl Is Mine」(MJとPaul McCartneyがデュエットしたヒット曲)のカヴァーを紹介しておきます。

Adam Dunning「The Girl Is Mine」
 http://www.youtube.com/watch?v=THN0EdQdWoQ

このカヴァーが気に入った方は、ぜひ本作『Sunset Monkeys』もチェックしてみて下さい。

ボサノヴァ・ファン以外の方が聴いても楽しめるアコースティック作品ですよ。
日本人好みの1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Leblon」
Adam Dunning作。爽快メロウ・ボッサなオープニングでKOされてしまいます!Adamの甘いヴォーカルにCarol Futuroによる女声バック・コーラスも加わり、ロマンティック・モードを高めてくれます。

「We And The Sea (Nos E O Mar)」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作の名曲「二人と海」のカヴァー。当ブログではRoberto Menescal本人のヴァージョンに加え、Tamba 4Sambalanco Trioのカヴァーも紹介済みです。ここではRoberto Menescal本人もヴォーカル&ギターで参加しています。英語ヴァージョンの「We And The Sea」もロマンティックでいいですよ!

「Sunset Monkeys」
Adam Dunning作。タイトル曲はサンセット・モードの素敵なボサノヴです。ヴォーカル、メロディ、コーラス、演奏全てがスウィートでたまりません!

「Jungle Flower (Flor do Mato)」
Joao Donato作品をカヴァー。Joao Donato本人がピアノ&ヴォーカルで参加しています。リラックスした雰囲気の寛げるカヴァーに仕上がっています。

「Mount Eliza」
Adam Dunning作。哀愁モードのボッサ・チューン。シンプルながらも味わい深い仕上がり。

「Green」
Adam Dunning作。Rodrigo Shaのフルートをフィーチャー。フルートが先導するジャズ・サンバ・チューン。哀愁モードの疾走感が印象的です。

「E Preciso Perdoar (One Must Forgive)」
Carlos Coqueijo/Alcivando Luz作。Joao Gilbertoのヴァージョンがお馴染みですね。当ブログではAmbitious Loversのカヴァーも紹介済みです。Cris Delannoのヴォーカルをフィーチャーし、大人のボッサ・デュエットに仕上がっています。

「Song of the Lagoon (Cancao da Lagoa)」
Adam Dunning作。アルバムの中でも特に美しいメロディを持った1曲。Adamのスキャットもいい感じです。

「You and Me (Voce e Eu)」
Carlos Lyra/Vinicius de Moraes作の名曲。当ブログではNara LeaoRoberto Menescal
Paul Winter With Carlos Lyraのヴァージョンを紹介済みです。この曲自体が大好きなので嬉しいカヴァーです。小粋なアレンジがグッド!

Paul Winter With Carlos Lyra「Voce E Eu (You And I)」
http://www.youtube.com/watch?v=jMW6HmQUfpk

「Summer Things」
Ronaldo Cotrim/Adam Dunning作。美しいストリングスと共に始まるロマンティック・ボッサ。途中で入る波音も含めて夏気分のどっぷり浸れます。

「Photograph (Fotografia)」
Antonio Carlos Jobimのカヴァー。当ブログでは以前にNara Leaoのカヴァーも紹介済みです。ここではDaniela Procopi(vo)、Roberto Menescal(g)をフィーチャーし、ゆったりとしたボッサ・チューンで聴かせてくれます。Daniela Procopiの女性ヴォーカルに惹かれます。

「Parabens Ao Meu Amigo」
Adam Dunning作。Rodrigo Shaのフルートをフィーチャー。Adamの甘い歌声を堪能できるソフト・サンバです。

「'S Wonderful」
Ira Gershwin/George Gershwin作のスタンダードをカヴァー。スウィンギーなジャズが似合うイメージが強い楽曲ですが、ボッサな「'S Wonderful」も悪くないですね。英語で歌うAdamに続いて、Manuel Guignardがフランス語で歌ってくれます。

「With You」
Ronaldo Cotrim/Matthew VanFossan作。Laura Lagub(vo)、Max Viana(el-g)をフィーチャー。時間がゆっくり流れるのどかな雰囲気がいいですね。

「Nunca Fui」
Adam Dunning作。ラストは洗練されたメロウ・サウンドがグッとくる小粋なボッサ・チューンで締め括ってくれます。

サッカーではバイエルンの宇佐美が遂にブンデスリーガ・デビューしましたね。
またアーセナルのセスクはバルサ移籍がほぼ決まったようですね。残念!
posted by ez at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする