2011年08月13日

Faith Pillow『Live 1981』

ソウルフルでエモーションな女性ジャズ・ヴォーカリストのライブ作品☆Faith Pillow『Live 1981』
Live 1981
発表年:1981年
ez的ジャンル:ソウルフル女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :ライブならではの感動!

今回はソウルフルな女性ジャズ・ヴォーカリストFaith Pillowのライブ・アルバム『Live 1981』(1981年)です。

マイナーな自主制作盤でしたが、サバービアで紹介されるなど再評価が高まり、2001年にめでたく世界初CD化が実現したアルバムです。

Faith Pillowはケンタッキー州ルイヴィル出身の女性シンガー。

1981年に今日紹介する『Live 1981』をリリース。90年代に入るとオランダのアムステルダムへ渡り、『Sanity』(1995年)、『Run in the Sunshine』(1998年)という2枚のアルバムをリリースしています。

『Live 1981』はシカゴでのライブを収録した作品です。

ジャズとソウルのフィーリングを併せ持った素晴らしい女性ヴォーカル作品に仕上がっています。ソウルフルなエモーションの中にジャズ・ヴォーカリストらしい小粋なセンスが感じられるのがいいですね。また、そんなFaith Pillowの魅力を上手く引き出しているバックの好サポートも光ります。

全体的にDonny Hathawayの名盤『Live』を彷彿させるライブらしい臨場感に伝わってくるアルバムです。

ジャズ好きもソウル好きも歓喜する素敵なライブ作品です。

全曲紹介しときやす。

「Shady Lady」
MCの紹介、観客の拍手、それに応えるFaith Pillow・・・素敵なやりとりと共にライブが始まります。オープニングはFaith Pillowのソウルフルな魅力を満喫できるグルーヴィーなソウル・チューンです。ニューソウル・テイストですが、シンセ音色が聴こえてくると80年代作品だと感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=2SOn8TbdZqk

「Winston」
僕の一番のお気に入り曲。Donny Hathaway『Live』の雰囲気を持った1曲。バックの演奏も含めて心揺さぶられるエモーションを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZhqHSlOUVOg

「Natural Woman」
Aretha Franklinのヒットでお馴染みの名曲をカヴァー(Carole King/Gerry Goffin/Jerry Wexlerの共作)。素晴らしいピアノのバッキングと共に、感動的な「Natural Woman」を堂々と歌い上げます。

「Sanity」
この曲も僕のお気に入り。曲調のせいかもしれませんが、Laura NyroCarole Kingといったソウル・フィーリングを持った白人女性シンガーに通じる魅力を感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=tRQtIt8mF8E

「Love Me Right」
この曲はJoni Mitchellからの影響を感じますね。ソングライターとしてのFaith Pillowは前述のLaura NyroCarole Kingも含めて白人女性SSWからの影響が大きいのでは?

「Songbird」
Jesse Colin Youngのカヴァー。オリジナルは1975年のアルバム『Songbird』に収録されています。爽快なサンシャイン・モードのオリジナルも魅力的ですが、サンセット・モードの本ヴァージョンも感動的です。ジャズとソウルのフィーリングが融合したFaith Pillowらしいヴォーカルを満喫できます。

Jesse Colin Young「Songbird」
 http://www.youtube.com/watch?v=6ex_uKMhBwo

「Wave」
Antonio Carlos Jobimの名曲カヴァー。この選曲はジャズ・ヴォーカリストらしいですね。演奏もジャジーな雰囲気に包まれています。

「Blackbird」
ラストはBeatlesの名曲カヴァー。ただし、注意して聴かないと「Blackbird」だと気づかないかもしれません(笑)。このあたりがジャズ・ヴォーカリストらしいカヴァーに仕上げています。
http://www.youtube.com/watch?v=j4jS_mOMqSQ

女性ジャズ・ヴォーカリストによる「Blackbird」のカヴァーと言えば、プリンセス・オブ・ダークネスCassandra Wilsonも昨年リリースした『Silver Pony』で取り上げていましたね。こちらはFaith Pillowヴァージョンと比較して、かなりわかりやすいカヴァーに仕上がっています。

Cassandra Wilson「Blackbird」
 http://www.youtube.com/watch?v=kIcwLLevmdU

最後にサッカー・ネタをいろいろと・・・

欧州サッカーはイングランド・プレミアリーグが開幕になります。
暴動で「トットナム対エバートン」の開幕戦は延期になりましたが、それ以外の試合は予定通りに開催されるようですね。

何と言ってもアーセナルでの宮市のデビューが待ち遠しいですね(第2週以降になりますが)。
ドイツ・ブンデスリーガのバイエルンに移籍した宇佐美と共に、欧州ビッグクラブで活躍する日本の若手選手を観たいですね。

先日、韓国に完勝した日本代表に宇佐美、宮市も加わり、史上最強メンバーで2014ブラジルW杯へ・・・今からそんな妄想ばかりしてしまいます(笑)

攻撃陣のタレントはかなり揃ったので、あとは守備陣の整備とポスト遠藤の発掘・育成が代表の課題ですかね。

話をアーセナルに戻すと、ガナーズ・ファンとしてはセスクのバルサ移籍が心配ですね。ガナーズ・ファンであると同時にバルサ・ファンでもある僕ですが、セスクはバルサへ移籍してもシャビ、イニエスタとポジションが重なり、出場機会が減るように思えます。セスク自身の未来のためにもアーセナル残留の方が賢い選択に思えます。

セスクからパスでサイドを駆け上がる宮市!なんてシーンを観たいですね。
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2011年08月12日

Seawind『Seawind』

名曲「He Loves You」収録のデビュー作☆Seawind『Seawind』
SEAWIND(紙ジャケット仕様)
発表年:1976年
ez的ジャンル:ハワイ系フュージョン
気分は... :やはり夏はハワイものが聴きたい!

今回はハワイ出身のフュージョン・グループSeawindの3回目の登場です。

『Seawind』(1980年)、『Light the Light』(1979年)に続き紹介するのは、記念すべきデビュー・アルバム『Seawind』(1976年)です。

フリーソウル・クラシック「He Loves You」収録の作品としてお馴染みですね。

A&Mからの第2弾となった4th『Seawind』(1980年)と同じくグループ名がアルバム・タイトルになっており、ややこしいですが混同しないように注意しましょう。

ホノルルでHarvey Masonに見出され、その後CTIとのレコーディング契約を獲得し、Harvey Masonプロデュースの元で制作されたデビュー・アルバム『Seawind』(1976年)です。

メンバーは、Bob Wilson(ds、per)、Pauline Wilson(vo)、Bud Nuanez(g)、Ken Wild(b)、Jerry Hey(tp、flh、frh)、Larry Williams(key、ts、fl)、 Kim Hutchcroft(ss、ts、as、bs)という7人。リーダーBob Wilsonを中心に、Bobの奥方であり紅一点のヴォーカリストPauline Wilson、Seawind Horn Sectionとしてセッションに引っ張りだことなるJerry Hey、Larry William、Kim Hutchcroftの3名も揃っています。

それ以外にHarvey Mason、Paulinho Da Costa(per)、Ralph MacDonald(per)、Ian Underwood(syn)がレコーディングに参加しています。

当時から日本でも話題のフュージョン作品だったようですね。僕の場合、AOR/フュージョンの流れで購入したA&M時代の『Light the Light』『Seawind』(1980年)を先に愛聴しており、その後フリーソウルの流れで「He Loves You」や本作『Seawind』(1976年)に辿りつきました。

フリーソウル好きは、まずはメロウな「He Loves You」ということになりますが、その他の楽曲も充実しており、ファンキー&メロウなSeawindワールドを満喫できます。ハワイのグループらしく、ファンキー・チューンでも爽快感があるのがいいですね!

やはり夏はハワイ系の作品が聴きたくなります。

全曲紹介しときやす。

「We Got A Way」
Seawind作。伸びやかなPaulineのヴォーカル、ファンキーなリズム、軽快なホーンが織り成す開放的なファンキー・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=xWJHgYpZ_S4

「You Gotta Be Willin' To Lose (Part II)」
Bob Wilson作。オープニングからさらにテンションが上がったファンキー・チューン。歌良し、リズム良し、ホーン良し、文句なしの1曲。約2分40秒の演奏ですが、もっと長尺で聴きたいですね。

「He Loves You」
本作のハイライト。フリーソウル・クラシックとしてお馴染みのブラジリアン・フレイヴァーのメロウ・フュージョン。軽やかなブラジリアン・リズムと艶やかPaulineのヴォーカルが爽やかな海風を送り込んでくれます。Bob Wilson作。
http://www.youtube.com/watch?v=lwfLd41mqCI

一緒にJanice Borla、Paprika Soul、Soul Bossa Trio、Genai、Ann Sally等のカヴァーをチェックするのも楽しいのでは?

Paprika Soul「He Loves You」
 http://www.youtube.com/watch?v=XnkWiJxQzfg
Ann Sally「He Loves You」
 http://www.youtube.com/watch?v=39Ko_wDwfRo

「The Devil Is A Liar」
Bob Wilson作。グラミーのBest Arrangement Accompanying Vocalistにもノミネートされた楽曲。ジャケ同様にミステリアスな雰囲気を持った1曲。Paulineのヴォーカルも小悪魔のようですね。グラミー・ノミネートも頷けるセンス抜群の爽快ファンキー・フュージョンに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=yck7gb_qdDI

「A Love Song/Seawind」
Bob Wilson/Bud Nuanez作。Bud Nuanezがリード・ヴォーカルをとるハワイアン・フォーキーな「A Love Song」から、グループ名を冠した雄大なインスト「Seawind」へと展開します。
http://www.youtube.com/watch?v=oUSwCkvDczM

「Make Up Your Mind」
Harvey Mason/Larry Williams作。切れ味鋭いファンキー・チューン。前述のようにグループの魅力である爽快なファンキー感を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=ei1s33mSics

「Praise (Part I)」
Bob Wilson作。Seawind Horn Sectionを満喫できるメロウ・フュージョン。

「Roadways (Parts I & II)」
Bob Wilson作。ラストはスケール感の大きなインスト・チューンでアルバムの幕は閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=Y8ZZra3XtOY

再発CDには「Can't Wait」「Please Say Yes」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

『Window Of A Child』(1977年)
WINDOW OF A CHILD(紙ジャケット仕様)

『Light the Light』(1979年)
ライト・ザ・ライト

『Seawind』(1980年)
海鳥
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2011年08月11日

Bebel Gilberto『Momento』

コスモポリタンBebelによるハイブリッドなブラジル音楽☆Bebel Gilberto『Momento』
モメント
発表年:2007年
ez的ジャンル:ハイブリッド系新世代ブラジリアン・ミュージック
気分は... :涼しげな微風が...

今回はBebel Gilbertoの3rdアルバム『Momento』(2007年)です。

ブラジル音楽界の巨人Joao GilbertoとMiuchaの娘Bebel Gilbertoの紹介は、4thアルバム『All In One』(2009年)、デビュー・アルバム『Tanto Tempo』(2000年)に続き3回目となります。

Joao Gilbertoの娘ということで、どうしても"ブラジル音楽"という枠で捉えられることが多いBebel Gilbertoですが、90年代からN.Y.に在住し、さまざまな国のミュージシャンと交流しながらハイブリッドな音楽をクリエイトしてきたコスモポリタンなアーティストというのが彼女の実態ですよね。

デビュー作『Tanto Tempo』(2000年)、2nd『Bebel Gilberto』(2004年)に続く、3rd『Momento』(2007年)でもコスモポリタン路線をさらに推し進めた音世界を聴かせてくれます。

本作ではBebel本人に加え、Guy SigsworthおよびBrazilian Girlsがプロデューサーとして大きく貢献しています。前作でもプロデューサーを務めていたGuy SigsworthBjorkなども手掛けていますね。

Brazilian GirlsはN.Y.を極点に活動するグループであり、共演した「Bring Back The Love」をはじめ、メンバーのDidi GutmanSabina Sciubbaがプロデュースを手掛けた曲もあります。アルゼンチン出身のキーボード奏者Didi GutmanはBebelのツアー・バンドのメンバーも務めていました。

それ以外にもBebelのバンドメンバーでもあるN.Y.在住の日本人ギタリストMasa Shimizuも3曲でソングライティングを手掛けるなど存在感を示しています。ブラジル音楽ファンにはブラジル新世代オールスターズOrquestra Imperialとの共演にも注目ですね。

さらにレコーディングには、人気ブラジル人ギタリストCelso FonsecaForro In The DarkのメンバーMauro Refosco、Jorge Continentino等も参加しています。

全体としては、N.Y.経由のハイブリッドな新世代ブラジリアン・ミュージック作品という印象ですね。

さきほど中山美穂主演の映画『東京日和』(1997年)を観ていたのですが、大貫妙子が歌う主題歌「ひまわり」を聴いていたら、僕の中でBebel Gilbertoと見事にリンクしてしまいました。大貫妙子とBebel Gilberto・・・ジャンルは全く異なるアーティストですが、心の中に涼しげな微風を届けてくれる点では共通していませんか?

全曲紹介しときやす。

「Momento」
Guy Sigsworth/Bebel Gilbertoプロデュース。Bebelの持つコスモポリタンな感性をGuy Sigsworthが上手く引き出したタイトル曲。BebelとMasa Shimiz、Mauro Refoscoの共作曲です。エレクトロ・サウンドと生音が違和感なく融合しています。
http://www.youtube.com/watch?v=yMWfV4sGZFY

「Bring Back The Love」
Brazilian Girlsとの共演作。クールな疾走感が心地好いブラジリアン・エレクトロニカ・チューン。僕の一番のお気に入り曲です。暑さを凌ぐクールダウンに最適な1曲!
http://www.youtube.com/watch?v=CNo9UrbFJX4

「Close To You」
Guy Sigsworth/Bebel Gilbertoプロデュース。コスモポリタン感覚の新世代ブラジリアン・サウンドを満喫できます。う〜ん、クールネス!
http://www.youtube.com/watch?v=ul53qyo6olI

「Os Novos Yorkinos」
Bebel Gilberto/Didi Gutman/Sabina Sciubbaプロデュース。Brazilian GirlsのメンバーDidi Gutman、Sabina SciubbaがBebelと共にプロデュース/ソングライティングを手掛けています。ニューヨークで出会ったコスモポリタン達が創り上げたブラジル音楽・・・BebelやBrazilian Girlsを象徴するかのような1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=weQxyxFqAk4

「Azul」
Guy Sigsworth/Bebel Gilbertoプロデュース。ミステリアスな"揺らぎ"を持った1曲。21世紀らしいボッサ・サウンドを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=Q4sXaWCZ8Us

「Cacada」
Bebel Gilberto/Didi Gutmanプロデュース。叔父Chico Buarqueの名曲をカヴァー。Bebelの澄み切った歌声が心を晴れやかにしてくれます。Celso Fonsecaも爽快ギターで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=TqPNxVd8JpI

「Night And Day」
Bebel Gilberto/Beco Dranoffプロデュース。ご存知Cole Porter作のスタンダードをカヴァー。ジャジー・テイストのシンプルなアレンジで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=2nSj-6haWuk

「Tranquilo」
Bebel Gilberto/Berna Kappas/Kassinプロデュース。Orquestra Imperialはブラジル新世代オールスターズとも呼べる大所帯ダンスホール・バンドです。トロピカル・ムード満点の開放的かつエレガントな演奏をバックにBebelもリラックスしたヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=lRzfgk8YVFQ

「Um Segundo」
Bebel Gilberto/Didi Gutman/Sabina Sciubba/Masa Shimizuプロデュース。BebelとMasa Shimizuの共作曲。幻想的なアコースティック・チューンがいい感じ!

「Cade Voce?」
Guy Sigsworth/Bebel Gilbertoプロデュース。「Bring Back The Love」と並ぶ僕のお気に入り曲。偉大なブラジル人ミュージシャンを両親に持つサウダージなDNAとBebelの才能を磨き上げたN.Y.の感性が凝縮された美しい1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=kLJaUl3d-kQ

「Words」
ラストはBebelとMasa Shimizuらの共作。Masa Shimizuの美しいギターのみをバックにした、しっとりとしたBebelのヴォーカルでアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=rpveNPWkKwg

国内盤にはボーナス・トラックとして、「Bring Back The Love (Ondular Remix)」「Bring Back The Love (Shrift Remix)」というリミックス2曲が追加収録されています。

『Tanto Tempo』(2000年)
タント・テンポ

『Bebel Gilberto』(2004年)
ベベウ・ジルベルト

『All In One』(2009年)
All in One

興味がある方はBrazilian GirlsForro In The DarkOrquestra Imperialあたりをチェックするのも面白いかも?

Brazilian Girls『Brazilian Girls』(2005年)
ブラジリアン・ガールズ

Brazilian Girls『Talk To La Bomb』(2006年)
Talk to La Bomb

Brazilian Girls『New York City』(2008年)
ニューヨーク・シティ

Forro In The Dark『Bonfires of Sao Joao』(2006年)
Bonfires of Sao Joao

Forro In The Dark『Light A Candle』(2009年)
Light a Candle (Dig)

Orquestra Imperial『Carnaval So Ano que Vem 』(2007年)
カルナヴァル・ソ・アノ・キ・ヴェン
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2011年08月10日

Kenny Dorham『Afro-Cuban』

"動のケニー"はクラブジャズ・シーンでも人気!☆Kenny Dorham『Afro-Cuban』
アフロ・キューバン
録音年:1955年
ez的ジャンル:ジャズ・メッセンジャーズ系アフロ・キューバン・ジャズ
気分は... :1955年の演奏なんてシンジラレナイ・・・

今回はアフロ・キューバン・ジャズ作品Kenny Dorham『Afro-Cuban』(1955年)です。

ジャズ・トランペッターKenny Dorham(1924-1972年)の紹介は、『Quiet Kenny』(1959年)に続き2回目となります。

前回紹介した『Quiet Kenny』(1959年)が"静のケニー"を代表する作品であるのに対して、今回紹介する『Afro-Cuban』(1955年)は"動のケニー"を代表する作品です。

タイトルの通り、本作はDorhamがアフロ・キューバン・ジャズにアプローチした作品です。

1950年代半ばの作品ですが、クラブジャズ・シーンでも評価が高い作品ですね。特にオープニングの「Afrodisia」は、大人気のジャズ・ダンス・クラシックです。

本作はオリジナルLPのA面を占める1955年3月29日録音のセッションとB面を占める1955年1月30日録音のセッションから成ります。

1955年3月29日のセッションは、Kenny Dorham(tp)、 J.J. Johnson (tb)、Hank Mobley(ts)、Cecil Payne(bs)、Horace Silver(p)、Oscar Pettiford(b)、Art Blakey(ds)、Patato Valdes(conga)、Richie Goldberg(cowbell)というメンバーです。

1955年1月30日のセッションは、Kenny Dorham(tp)、Hank Mobley(ts)、Cecil Payne(bs)、Horace Silver(p)、Percy Heath(b)、Art Blakey(ds)というメンバーです。

Art BlakeyHorace SilverHank MobleyKenny DorhamというJazz Messengersのメンバーが揃っているのも注目ですね。

2つのセッションのうち、1955年3月29日録音のセッションがアフロ・キューバンな演奏を満喫できます。

とても50年代半ばとは思えない、洗練された演奏に驚かされる1枚です。

Gigi Gryce作「Basheer's Dream」以外はKenny Dorhamのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Afrodisia」
クラブジャズ・シーンで大人気のジャズ・ダンス・クラシック。日本を代表するクラブジャズ・バンドquasimodeもカヴァーしていますね。50年代半ばにこんなにヒップなジャズが演奏されていたことが驚きですね。特にリズム隊が完璧にクラブジャズしています!文句なしのオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=7myLXPUBB_w

「Lotus Flower」
『Quiet Kenny』に収録の「Lotus Blossom」と曲名が似ていてややこしいですが、こちらはライトなラテン・リズムが心地好い素敵なバラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=AueNA-2sZ0c

「Minor's Holiday」
「Afrodisia」と並びクラブジャズ・ファンを歓喜させる1曲。突き抜けるリズムと4管の魅力が上手く融合したヒップな仕上がりです。ジャズ・ファンは『The Jazz Messengers at the Cafe Bohemia, Vol. 1』(1955年)での演奏もお馴染みかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=zwPU-LZi7F4

「Basheer's Dream」
ラテンの熱気が伝わってくる演奏です。アフロ・キューバン・ジャズの魅力を存分に満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=ppy-k9HFzSE

ここまでが1955年3月29日のセッションです。

「K.D.'s Motion」
ここからは1955年1月30日録音です。本曲はそれまでの熱いラテンから一転し、スウィンギーで小粋な演奏を楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=4DTd6Sqjrns

「The Villa」
Art Blakeyのドラム・ソロと共にスタートする小気味良い1曲。疾走感のある演奏はなかなかグッときます。Dorhamの快調なソロにもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=kjBSy2iDp7A

「Venita's Dance」
ラストは小粋なホーン・アンサンブルを満喫できます。

『Quiet Kenny』(1959年)
Quiet Kenny
posted by ez at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1950年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月09日

S-Tone Inc.『Love Unlimited』

デビュー・アルバムはスタイリッシュなクラブミュージック☆S-Tone Inc.『Love Unlimited』
Love Unlimited
発表年:1996年
ez的ジャンル:ミラノ系クラブミュージック
気分は... :You're my guiding star!

今回はイタリア人プロデューサーStefano Tironeのソロ・ユニットS-Tone Inc.のデビュー・アルバム『Love Unlimited』(1996年)です。

S-Tone Inc.の紹介は、クラブジャズの人気レーベルSchemaからの第一弾アルバム『Sobrenatural』(2002年)に続き2回目となります。

Schemaでの生音とプログラミングを程良くバランスさせ、セクシーな女声ヴォーカルを配した至極のクラブジャズ/ブラジリアン・グルーヴの印象が強いS-Tone Inc.ですが、デビュー・アルバムとなる本作はクラブジャズというよりもクラブミュージックと呼んだ方が相応しい作品に仕上がっています。特に英語のヴォーカル曲が多いせいか、何の予備知識もなく聴くと、UKクラブミュージック作品だと錯覚しそうです。

全ての曲にヴォーカルが配されており、Angie Brown、Julia St.Louis、Manuela Ravaglioliといった女性ヴォーカリストがフィーチャーされています。特に6曲でリード・ヴォーカルをとるUKの黒人シンガーAngie Brownが目立っており、そのために前述のようなUKクラブミュージック作品のような印象を受けるのだと思います。

チル・アウトあり、ドラムン・ベースあり、アコースティック・グルーヴあり、クロスオーヴァーあり、ソウルありとバラエティに富んだ内容です。また、Schemaでの活躍を予感させるクラブジャズな楽曲もあります。

S-Tone Inc.やSchema好きの人もそうですが、UKクラブミュージック好きの人が聴くと、一番フィットするような感じがします。

全曲紹介しときやす。

「A New Beginning」
オススメその1。Angie Brownをフィーチャー。オープニングはシタールとタブラが鳴り響くインド・テイスト満載の仕上がり。気分はチル・アウト・・・
http://www.youtube.com/watch?v=sWfCl1fV7PU

「Message Of Love」
オススメその2。Angie Brownをフィーチャー。ドラムン・ベース調トラックとAngie Brownのエモーショナル・ヴォーカルによるスタイリッシュなダンス・チューン。ドラムン・ベースをソウルフルに聴かせるのが素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=QzOLc5NsOA4

「The Sweetest Thing」
オススメその3。Angie Brownをフィーチャー。ビターな味わいがグッとくるエレクトロなジャジー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=vTtHb7D4bEE

「Time」
オススメその4。Angie Brownをフィーチャー。アコースティック・ギターの響きが爽快なクラブミュージック。Des'reeあたりが好きな人はグッときそうな仕上がりです。

「Groove On」
Julia St.Louisをフィーチャー。何の情報もなければUKソウルを聴いている気分の仕上がり。Julia St.Louisの哀愁ヴォーカルが印象的です。この曲からクラブジャズなS-Tone Inc.は想像できないですね。

「Solaris」
オススメその5。Marlon Marinoniのサックス、フルートをフィーチャー。エレクトロなフレイヴァーが程好い軽快なクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=g0Y6FH3XfT0

「Ainda Sonhar」
オススメその6。Manuela Ravaglioliをフィーチャー。Schemaでの活動を予感させるクラブジャズな仕上がり。Manuela Ravaglioliの妖艶なヴォーカルがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=MFIl2EakAg4

「Deeper Love」
オススメその7。Angie Brownをフィーチャー。Angie Brownのソウルフル・ヴォーカルと切ないメロディにグッとくるUKソウル・テイストの仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=HwwlLTinJOk

「I Don't Know」
Angie Brownをフィーチャー。哀愁モードのクラブジャズ・チューン。

「Energy」
Julia St.Louisをフィーチャー。少しダビーなダウンテンポ。

「Time (The Bassociation Mix)」
ラストは「Time」のリミックスです。
http://www.youtube.com/watch?v=42_RsIlauYY

S-Tone Inc.の他作品もチェックを!

『Free Spirit』(1999年)
Free Spirit

『Sobrenatural』(2002年)
Sobrenatural

『Luz y Sombra』(2005年)
Luz y Sombra

『Moon in Libra』(2009年)
moon in libra
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