2011年09月30日

Slave『Just A Touch of Love』

ダンス・クラシック「Just A Touch Of Love」収録☆Slave『Just a Touch of Love』
JUST A TOUCH OF LOVE
発表年:1979年
ez的ジャンル:オハイオ系アーバン・ファンク
気分は... :やはりこのベースは凄い!

オハイオ出身のファンク・グループSlaveの3回目の紹介です。

『Stone Jam』(1980年)、『Slave』(1977年)に続き紹介するのは、4thアルバム『Just a Touch of Love』(1979年)です。

先日紹介した期待のUKソウル・シンガーDahiqiのデビュー・アルバム『Dahiqi』に収録の大人気ダンス・クラシックのカヴァー「Just A Touch Of Love」を繰り返し聴いていたら、本家Slaveのオリジナルが収録された『Just a Touch of Love』を未紹介であったことを思い出し、取り上げた次第です。

本作では、Steve Washington(tp)、Tom Lockett(ts、as)、Floyd Miller(tp、tb)、Danny Webster(g、vo)、Mark Hicks(g)、Mark Adams(b)、Raye Turner(key)といったメンバーに加え、後にSlaveの別プロジェクト的なグループとして結成したソウル/ファンクグループAurra に参加するSteve Arrington(vo、ds)、Starlena Young(vo)、Curt Jones(vo)も参加しています。Starlena Young、Curt Jonesの二人はAurraに続き、Dejaというデュオも組んでいました。

そんな体制で制作された本作『Just a Touch of Love』は、従来の重量級ファンク路線にアーバンなテイストが加わり、より洗練されたファンク・グループへと進化したアルバムです。

人気曲「Just A Touch Of Love」が出色の出来栄えであることは間違いありませんが、他の楽曲もなかなか楽しめます。

そう言えば、本作でも圧巻のベース・プレイを聴かせてくれているMark Adamsが今年亡くなりました。残念な限りです。

Mark Adamsを偲びつつ、アーバンなテイストが加わったSlaveのファンク・サウンドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Just A Touch Of Love」
アルバムのハイライトは大人気ダンス・クラシックのタイトル曲ですね。Mark Adamsのうねるベースが生み出すグルーヴ、粘着系のSteve ArringtonとキュートなStarlena Youngの男女ヴォーカルが絡み、至極のアーバン・ファンクを聴かせてくれます。グループを代表する永遠のファンク名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=5kIruyYi8w0

Keith Sweat「Just A Touch」のタイトルでカヴァーしましたが、粘りのあるヴォーカルがSteve Arringtonっぽいですよね。また、前述のように先日紹介した期待のUKソウル・シンガーDahiqiもカヴァーしています。

さらにHip-Hopファンは、De La Soul「Keepin' the Faith」、Kris Kross「Alright」、Das EFX「Shine」、Isis「The Power Of Myself Is Moving」等のサンプリング・ソースにもなっています。本作で紹介した作品で言えば、Estelle「Wait A Minute (Just a Touch)」も「Just A Touch Of Love」ネタですね。

Keith Sweat「Just A Touch」
 http://www.youtube.com/watch?v=gUMHCIOJZOk
De La Soul「Keepin' the Faith」
 http://www.youtube.com/watch?v=SSOxle8AsHU
Kris Kross「Alright」
 http://www.youtube.com/watch?v=x7-bI8dj_sk
Das EFX「Shine」
 http://www.youtube.com/watch?v=1LDYsPr-TB0

「Are You Ready For Love?」
ポップな味わいのダンス・チューン。ロック調のギター・サウンドも聴かれますが、全体的にはアーバンな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=j0OEKcdrwxU

「Funky Lady (Foxy Lady)」
妖しげな雰囲気が漂う哀愁モードのミッド・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=FamUUFu-Htg

「Roots」
開放的でキャッチーなダンス・チューン。軽くラテン・フレイヴァーの効いた感じがいいですね。

「Painted Pictures」
インタールード。

「Thank You」
本作唯一のスロウ。素晴らしい出来栄えだけに、こうしたアーバン系のスロウがあと1、2曲あっても良かったような気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=YfjtBw16XEI

「Shine」
仰々しいイントロに続き、Mark Adamsのベースが暴れまくるディスコ・チューンが展開されます。
http://www.youtube.com/watch?v=QLtbRReQgk0

「Warning」
ラストはP-Funk調のコミカルなSF感のあるファンク・チューン。Parliamentと一緒に聴くと良いのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=_jpd9OVsEi4

Slaveの過去記事もご参照下さい。

『Slave』(1977年)
Slave

『Stone Jam』(1980年)
Stone Jam

ご興味がある方はAurraの作品もチェックを!

Aurra『Aurra』(1980年)
Aurra

Aurra『Send Your Love』(1981年)
Send Your Love

Aurra『A Little Love』(1982年)
A Little Love

Aurra『Live and Let Live』(1983年)
Live and Let Live
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2011年09月28日

Till Bronner『Blue Eyed Soul』

ドイツ人イケメン・ジャズ・トランペッターの意欲作☆Till Bronner『Blue Eyed Soul』
Blue Eyed Soul
発表年:2002年
ez的ジャンル:ターンテーブル系クール・ジャズ
気分は... :クールな世界・・・

今回は"現代のChet Baker"と呼ばれる、ドイツ人イケメン・ジャズ・トランペッターTill Bronnerが2002年にリリースした『Blue Eyed Soul』です。

Till Bronnerは1971年ドイツ、フィーアゼン生まれのジャズ・トランペット奏者。
ドイツ生まれながら、育ったのはイタリアのローマでした。
音楽一家に生まれたTillは9歳からトランペットを吹き始め、クラシックやジャズを演奏するようになります。

21歳の時にはベルリンを拠点に活動するHorst Jankowskiのビッグバンド・メンバーになります。1993年にはRay Brownらをゲストに迎えた初リーダー・アルバム『Generations of Jazz』をリリースします。3rdアルバム『German Songs』(1996年)では、トランペットのみならずヴォーカルも披露しています。

1998年にはメジャー第一弾アルバム『Love』をリリースし、ワールドワイドで彼の名が知られるようになります。2000年にはChet Bakerへのトリビュート作品『Chattin with Chet』をリリースし、"現代のChet Baker"と呼ばれるようになります。

2001年には映画『Jazz Seen(邦題:カメラが聴いたジャズ)』のサントラを手掛け、2002年にはファンクやターンテーブル・サウンドも取り入れた意欲作『Blue Eyed Soul』をリリース。ジャズ・ファンに止まらない支持を獲得しました。また、ブラジル人ミュージシャンをゲストに迎え、ボサノヴァへアプローチしたアルバム『Rio』(2008年)もリリースしています。

このように、さまざまなミュージシャンとの交流を深め、音楽の幅を広げながらコンスタントに作品をリリースし、人気ジャズ・トランペッターの地位を不動のものとしています。

当ブログで紹介した言えば、クラブジャズ界のマイスターNicola Conte『Other Directions』(2004年)、『Rituals』(2008年)、『Love & Revolution』(2011年)といった作品にTill Bronnerが参加しています。

先日、WOWOWの人気音楽番組『Jazz File』でTill Bronnerの2008年スイス、バーゼルでのライブを放送していました。映像で観ると余計に格好良いですね。

今日紹介する『Blue Eyed Soul』は、ファンクやターンテーブル・サウンドを取り入れた作品です。スクラッチ音などが入っていることに正統派ジャズ・ファンは違和感を感じるかもしれませんね。その意味ではジャズ・ファン以上にクラブ世代向けのジャズ作品と言えるでしょう。

Billy Joelの名曲「Just The Way You Are」のカヴァーや、人気男性ジャズ・ヴォーカリストMark Murphyが参加した曲もあります。

本作最大の特徴であるターンテーブル・サウンドの導入において大きな役割を果たしているのが、Till Bronnerと共に共同プロデュースを務めるのがSamon Kawamura。ベルリンを拠点とする日系ドイツ人のビートメイカー/ターンテーブリストです。当ブログで紹介した言えば、Joy Denalane『Born & Raised』(2006年)に参加しています。

ジャジーHip-Hopやネオ・ソウルのジャジー・グルーヴ好きの人が聴くとグッとくる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
トランペット・ソロによるアルバムのイントロ。

「Track One」
ジャジーなHip-HopビートにTillのミュート・トランペットが絡みます。ここにはMiles Davisのようなクールネスがあります。

「Diavolo」
ネオ・ソウル的なジャジー・グルーヴ感にグッとくる仕上がり。キーボード・サウンドがいい感じの浮遊する音空間をTillのミュートが駆け巡ります。

「Blue Eyed Soul」
タイトル曲は、Samon Kawamuraの巧みなトラックと擦りを満喫できる仕上がり。ジャジーHip-Hopファンは存分に楽しめると思います。

「No Fusion Generation」
GuruJazzmatazzあたりを思い出すジャジー・グルーヴ。浮遊するグルーヴとクールなジャズ・サウンドの相性は抜群えす。

「42nd & 6th」
アルバムの中では比較的オーソドックスな演奏かもしれません。
アルバム音源が無かったので、2009年のライブ音源を!
http://www.youtube.com/watch?v=HlGA5u65tX0

「Tub Of Love」
Mark Murphy作品。"現代のChet Baker"と称されるTillがChetばりのその甘く中性的なヴォーカルを聴かせてくれます。

「Just The Way You Are」
Billy Joelの名曲「素顔のままで」のインスト・カヴァー。ここでのTillは激シブのフリューゲルホーンを聴かせてくれます。

「Love Somebody」
クラビネット入りファンク・サウンド。パーカッシヴなリズムも僕好み。雰囲気的にはエレクトリック・マイルス+ターンテーブルといったサウンドです。

「Trash (Interlude)」
インタールード。

「Jazz Muician」
21世紀らしいクール・ジャズ。アコースティック・ベースとターンテーブルが違和感なくリズムを刻みます。

「Oscar Said」
David Friedmanのヴァイヴをフィーチャー。Tillのトランペット、浮遊するリズム、スクラッチ音、ヴァイヴの響きが相俟ってクールな大人のミッドナイトを演出してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=luReIHsqINo

「Reverand Henry (Interlude)」
インタールード。

「Dim The Lights」
Mark Murphyがヴォーカルで参加。楽曲Mark Murphyのものです。Murphyがシブい枯れたヴォーカルを聴かせてくれます。

「Banizm (Outro)」
アウトロ。

他のTill Bronner作品もチェックを!

『Generations of Jazz』(1993年)
Generations of Jazz

『My Secret Love』(1995年)
My Secret Love

『German Songs』(1996年)
German Songs

『Midnight』(1997年)
Midnight

『Love』(1998年)
Love

『Chattin with Chet』(2000年)
チャッティン・ウィズ・チェット

『Jazz Seen』(2001年)
Music from 'jazz Seen'/Vrv

『That Summer』(2004年)
ザット・サマー

『Oceana』(2006年)
Oceana - New Edition

『Rio』(2008年)
リオ~ボサ・ノヴァの誘惑

『At The End Of The Day』(2010年)
At the End of the Day
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2011年09月27日

Elis Regina『Elis Especial』

新旧コンポーザーの名曲を歌ったスペシャルな1枚☆Elis Regina『Elis Especial』
エリス・エスペシアル
発表年:1968年
ez的ジャンル:国民的歌手系MPB
気分は... :ドルフィンズ開幕3連敗(泣)

NFLでは我が愛するドルフィンズが開幕3連敗。
今季もやはりダメなのか・・・と既に諦めモードです。

ドルフィンズがいるAFC東地区では、今季もペイトリオッツとジェッツの2強だと予想していたのですが、意外にもビルズが開幕3連勝、しかも今週はペイトリオッツに勝利しました。3強1弱でドルフィンズのみ蚊帳の外という状況にならなければいいのですが・・・

あとはコルツの開幕3連敗も目立ちますね。エースQBマニング不在の影響は大きく、逆にマニングの偉大さを認めざるを得ない状況ですね。

今年のNFLは各地区の勢力図がかなり変わりそうな予感がします。

さて、今回はElis Reginaの1968年作品『Elis Especial』です。

これまで当ブログで紹介してきたブラジルの国民的歌手Elis Reginaの作品は以下の7枚。

 『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
 『Aquarela Do Brasil』(1969年) ※Toots Thielemansとの共演
 『Elis Regina in London』(1969年)
 『Em Pleno Verao』(1970年)
 『Ela』(1971年)
 『Elis』(1974年)
 『Essa Mulher』(1978年)

本作はElisがヨーロッパに進出した1968年にレコーディングされた作品であり、Elisが新しいステージに入っていったことを確認できる1枚です。本作を契機に、『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)、『Aquarela Do Brasil』(1969年)、『Elis Regina in London』(1969年)、『Em Pleno Verao』(1970年)と素晴らしいアルバムを連発していくことになります。

本作『Elis Especial』では、Baden Powell、Antonio Carlos Jobim、Dori Caymmi、Chico Buarque、Bororo、Edu LoboRoberto MenescalGilberto Gilといった新旧コンポーザーの作品が取り上げられています。

「Corrida De Jangada」「Upa, Neguinho」といった曲は、本作以降のアルバムでも取り上げられ、Elisを代表する人気曲となっていきます。

この時期のElis作品の中では目立たないアルバムですが、『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』『Elis Regina in London』『Em Pleno Verao』あたりがお好きな人であれば、ぜひチェックして欲しい1枚です。

ジャケは地味ですが、内容はスペシャル仕様ですよ!

全曲紹介しときやす。

「Samba Do Perdao」
Paulo Cesar Pinheiro/Baden Powell作。オープニングは悲しみを乗り越えようとする哀愁のジャズ・サンバ。ここでのElisは少し抑えたトーンのヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=9uXJiwcI01k

「Tributo A Tom Jobim:Vou Te Contar/Fotografia/Outra Vez/Vou Te Contar」
Tom Jobim(Antonio Carlos Jobim)作品のメドレー。最初の「Vou Te Contar」は「Wave」のことです。さまざまなテンポでJobim作品を歌ってくれます。この時期のElisはJobimとの不仲も伝えられていたにも関わらず、こうしたメドレーを扱っているのが興味深いですね(笑)

「De Onde Vens」
Nelson Motta/Dori Caymmi作。恋の悲しみを嘆く、憂いのあるボサノヴァに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=YHPzskFDBlA

「Bom Tempo」
Chico Buarque作。サッカー好きにはリオの名門クラブ、フルミネンセを応援する掛け声も聴くことができます。

「Da Cor Do Pecado」
Bororo作。ブラジル歌謡の古典作品だそうです。哀愁バラードをしっとりと聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=oWxc9_S4beU

「Corrida De Jangada」
Edu Lobo/Capinan作。この時期のElisを代表する1曲。本作のみならず、『Aquarela Do Brasil』『Elis Regina in London』でも取り上げられています。この曲を聴くと、"元気一杯のElisを聴いているなぁ"という気分にどっぷり浸れます。Elisの歌唱スタイルにマッチした名曲ですね。当ブログではTatiana Parra & Andres Beeuwsaertのカヴァーも紹介済みです。
http://www.youtube.com/watch?v=EvlfUQtRHeU

「Carta Ao Mar」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作。美しいピアノとオーケストレーションをバックに、情感たっぷりの素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=xnoxwvVXx-g

「Vira-Mundo」
Gilberto Gil/Capinan作。Sergio Mendes & Brasil '66のカヴァーでも知られていますね。Elisヴァージョンは1分30秒強ですが、も少し長尺で聴きたいですね。

「Upa, Neguinho」
Edu Lobo/Gianfrancesco Guarnieri作。クラブ世代からの支持も高いEdu Loboの人気曲をカヴァー。当ブログではEdu Lobo & Maria Bethaniaヴァージョンや、Elisの『Elis Regina in London』ヴァージョンも紹介済みです。リズムを変幻自在に操るElisのヴォーカルがサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=KFkunCDNxs0

「Tributo A Mangueira:Mangueira/Fala, Mangueira/Exaltacao a Magueira/Levanta, Mangueira/Despedida De Mangueira/Pra Machucar Meu Coracao」
ラストはリオの老舗サンバ・チームであるマンゲイラを歌った楽曲のメドレー。サンバ・リズムにのってElisがエネルギッシュなヴォーカルを聴かせてくれます。

Elis Regina作品の過去記事もご参照下さい。

『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』(1969年)
コモ・イ・ポルケ+4

『Aquarela Do Brasil』(1969年)
ブラジルの水彩画

『Elis Regina in London』(1969年)
イン・ロンドン

『Em Pleno Verao』(1970年)
エン・プレノ・ヴァラオン

『Ela』(1971年)
エラ 1971

『Elis』(1974年)
人生のバトゥカーダ

『Essa Mulher』(1978年)
或る女(紙ジャケット仕様)
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2011年09月26日

Talking Heads『More Songs About Buildings And Food』

Brian Enoをプロデューサーに迎えた2nd☆Talking Heads『More Songs About Buildings And Food』
モア・ソングス
発表年:1978年
ez的ジャンル:N.Y.ニューウェイヴ
気分は... :やっぱりこのヘンテコ感がいいね!

最近、中古CDショップにてUltravox『Systems Of Romance』を125円で購入したのをきっかけに、家のCD棚からニューウェイヴ作品を引っぱりだして集中的に聴いています。

そんな流れでN.Y.ニューウェイヴを代表するグループTalking Headsの5回目の登場です。

これまで当ブログで紹介してきたTalking Heads作品は以下の4枚。

 『Talking Heads: 77』(1977年)
 『Fear Of Music』(1979年)
 『Remain in Light』(1980年)
 『True Stories』(1986年)

5枚目に紹介するのは、2ndアルバム『More Songs About Buildings And Food』(1978年)です。

David Byrne(vo、g)、Jerry Harrison(g、key、vo)、Tina Weymouth(b)、Chris Frantz(ds)の4人が放った知的かつユニークなデビュー作『Talking Heads: 77』(1977年)で、一躍N.Y.ニューウェイヴの最重要バンドとなったTalking Heads。

そんな彼らがBrian Enoをプロデューサーに迎えて制作したアルバムが2nd『More Songs About Buildings And Food』(1978年)です。

Brian Enoとのコラボで『Fear Of Music』(1979年)、『Remain in Light』(1980年)とハイブリッドなリズムを取り入れた独自ファンク・サウンドを追求していくTalking Headsですが、本作『More Songs About Buildings And Food』はその試金石となった作品です。

未完成感のあった『Talking Heads: 77』と比較すると、かなりサウンドの完成度が増してきた気がします。どこかヘンテコなのにセンス抜群なTalking Headsサウンドを満喫できます。

彼らのヘンテコ・サウンドは30年以上が経った今聴いても中毒性があるのが素晴らしいですね。

528枚のポラロイド写真をつなぎ合わせたジャケのセンスにも脱帽です。

全曲紹介しときやす。

「Thank You For Sending Me An Angel」
ドタバタしたリズムにTalking Headsらしい知的なヘンテコ感が漂います。元Galaxie 500のDean Warehamが結成したグループLunaがカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=W888EzZ0lrk

「With Our Love」
オススメその1。僕のイメージするTalking Headsらしい1曲。知的で変態チックなニューウェイヴといった感じがたまりません。今聴いても格好良い曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=PMHA4UeWXE8

「The Good Thing」
ほんわかムードなのに、どこか冷めているTalking Headsらしい仕上がりの曲。オリエンタル風のメロディやハンド・クラップも聴こえてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=kMCMudxTTQE

「Warning Sign」
ミステリアスな雰囲気の仕上がり。エコーのかかったサウンドが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=0rpYo4GFt2k

「The Girls Want To Be With The Girls」
オススメその2。Talking Headsならではのポップ感を楽しめます。このあたりの音のカラフルさは本作らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=AF866xp-tag

「Found A Job」
オススメその3。この曲も大好き!無機質なダンサブル・サウンドとDavid Byrneのクネクネ・ヴォーカルがよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=i6ZVEMzvZIY

「Artists Only」
オススメその4。印象的なシンセ・サウンドのせいか、The Cars的なエッセンスを感じます。一方でパンクっぽさもあったりして聴き所の多い1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=yfYZFS7JvT0

「I'm Not In Love」
オススメその5。パンキッシュな仕上がり。Talking Headsらしからぬクセのない演奏ですが、これはこれで新鮮です。
http://www.youtube.com/watch?v=ms94bEkYm4o

「Stay Hungry」
オススメその6。ダンサブル・サウンドとヘンテコ・メロディによるTalking Headsらしさを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=x_o_2P6TYAk

「Take Me To The River」
オススメその7。本作のハイライト。シングル・カットもされたAl Greenのカヴァー。オリジナルは『Al Green Explores Your Mind』(1974年)に収録されています。全然ソウルフルではないのがTalking Headsらしくていいですね。何処となく退廃的なサウンドはThe Cars「Good Times Roll」あたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=FXYB-1KTeh4

「The Big Country」
ラストはほんわかカントリー・テイスト。でもDavid Byrneのヴォーカルが加わると、一気にTalking Headsワールドになってしまうので不思議です。
http://www.youtube.com/watch?v=dErdvJrv8JE
 
Talking Headsの過去記事もご参照下さい。
 
『Talking Heads: 77』(1977年)
Talking Heads: 77

『Fear Of Music』(1979年)
Fear of Music

『Remain in Light』(1980年)
Remain in Light

『True Stories』(1986年)
True Stories

Tom Tom Club『Tom Tom Club』(1981年)
Tom Tom Club
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2011年09月25日

Dahiqi『Dahiqi』

Victor Davies全面バックアップによる女性R&Bシンガーのデビュー作☆Dahiqi『Dahiqi』
Victor Davies Presents Dahiqi
発表年:2011年
ez的ジャンル:アーバン・メロウ・ファンク系UKソウル
気分は... :想像とは異なりましたが・・・

今回は新作R&Bの中から、UKの黒人シンガー・ソングライターVictor Daviesが全面バックアップした期待の女性シンガーDahiqiのデビュー・アルバム『Dahiqi』です。

勿論、Victor Daviesが主宰するレーベルAfro Gigolo Recordsからのリリースです。

クラブ・ミュージック好きから高い人気を誇るVictor Daviesですが、最近リリースされた新作『Stop』は評判はイマイチですね。

その理由は明らかで、『Stop』では殆どの楽曲が60年代モータウンへのオマージュといった雰囲気で、それまでのクラブ・テイスト&ブラジリアン・フレイヴァーのアコースティック・ソウルが全く影を潜めてしまったためだと思われます。

そんな流れの中で、Victor Daviesが全面バックアップした本作『Dahiqi』を知りました。

僕が本作に興味を持ったのは、Victor Davies関連ということに加え、"ニューAOR"や"Linda LewisMinnie Riperton的なテイスト"という謳い文句があったためです。

上記の謳い文句から、僕は勝手にVictor Daviesらしいアコースティック・テイストのキュートなオーガニック・ソウルをイメージしたのですが・・・

実際に聴いてみると、80年代エッセンスを上手く取り入れたアーバン・メロウ・ファンク作品という印象です。数曲アコースティック・ソウルも含まれていますが、"ニューAOR"や"Linda LewisMinnie Riperton的なテイスト"という印象が受けませんでした。

想像していたサウンドとは異なりましたが、結果として本作のアーバン・メロウなファンク・サウンドを結構気に入っています。Victor本人の新作も、60年代モータウン路線にするくらいであれば、本作のような80年代アーバン・ファンク路線にすれば良かったのに・・・と思ってしまいます。本音では従来のブラジリアン・フレイヴァーのアコースティック・ソウルが一番好きですが・・・

主役のDahiqiに殆ど触れていませんが、彼女のキュート&セクシーなヴォーカルはアーバン・メロウなファンク・サウンドと相性バッチリだと思います。

プロデュース&ソングライティング(2曲のカヴァーを除く)は全てVictor Daviesが務め、ホーン・セクション以外の全ての楽器も彼が演奏しています。

Slaveの人気ダンス・クラシック「Just A Touch Of Love」のカヴァーもあります。

Amazonのカスタマー・レビューでは叩かれたいますが、僕はかなり楽しんでいます。まずはご自身の耳でチェックしてみて下さい。

全曲紹介しときやす。

「Alibi」
オープニングは、Dahiqiのヴォーカルが微風のような爽快感をもたらすアコースティック・ソウルです。

「Lost In Your Mind」
オススメその1。Victor Daviesプロデュースらしいアコースティック・グルーヴを満喫できます。キュート&セクシーなDahiqiのヴォーカルもグッド!「Alibi」、「Lost In Your Mind」の冒頭2曲は従来からのVictor Daviesファンも納得する仕上がりだと思います。

「Give It All You Got」
重くうねるリズムとファンキー・ホーン、さらにはスクラッチも入ったファンク・チューン。

「Do What You Do」
80年代テイストのエレクトリック・ファンク。ポップな味わいもあるキャッチーな仕上がりです。エレクトリック・サウンドの中にアコースティックな味わいを隠し味で効かせているのはVictor Daviesらしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=176GafBGTX0

「Promise」
オススメその2。都会的なサウンドと艶やかなDahiqiのヴォーカルがマッチした80年代テイストのアーバン・メロウ。サウンド的にJeff Hendrickあたりと一緒に聴きたくなりますね。

「Just A Touch Of Love」
オススメその3。Slaveの人気ダンス・クラシックをカヴァー。キュート&セクシーなDahiqiのヴォーカルを活かしたアーバン・ダンサーに仕上がっています。

「I'll Be Loving You」
オススメその4。疾走するメロウ・ダンサー。Victor Daviesのサウンド・センスが光ります。80年代テイスト+αって感じがいいですね。最近のiPodヘビロテ曲です。

「Angie Baby」
Helen Reddyが大ヒットさせたAlan O'Day作品をカヴァー。オリジナル自体をそれ程良い曲だとは思わないのでビミョーなカヴァーなのですが・・・

「Sweet Love」
スウィート・メロディとファンキー・リズムの組み合わせが印象的です。

「Ease The Clutch」
オススメその5。妖しくセクシーな雰囲気が漂うアーバン・ファンク。80年代ブラコン的なテイストにグッときます。

「High Rollin'」
ラストもアーバン・ナイトなファンク・チューンで押し切ります。

未聴の方は、これを機にVictor Davies作品もチェックを!

Victor Davies『Victor Davies』(2001年)
Victor Davies

Victor Davies『Hoxton Popstars』(2003年)
Hoxton Popstars

Victor Davies『Hear The Sound』(2006年)
HEAR THE SOUND

Victor Davies『Stop』(2011年)
ストップ!
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