2011年09月24日

Francoise Hardy『Gin Tonic』

メロウ・サウンドと哀愁メロディによる魅惑のフレンチ・ポップ☆Francoise Hardy『Gin Tonic』
Gin Tonic
発表年:1981年
ez的ジャンル:メロウ・フレンチ・ポップ
気分は... :伝説のセクシーポーズ(笑)

先程、タモリ倶楽部で「伝説のセクシーポーズBEST10」という、くだらないけどエロ面白い企画を観ていたら、Jane BirkinBrigitte Bardotのセクシーポーズが出てきたので、その影響でフランス人女性シンガーの作品が聴きたくなりました(笑)

そこで、フランス人女性シンガー・ソングライターFrancoise Hardyが1980年にリリースした『Gin Tonic』をセレクト。

Francoise Hardyは1944年生まれのパリ・ジェンヌ。

1962年にリリースしたデビュー・シングル『Tous Les Garcons Et Les Filles(男の子女の子)』が大ヒットし、一躍人気アイドルとなります。その活動は音楽に止まらず、モデル、映画女優としても活躍するようになります。

その後も「Ma Jeunesse Fout Le Camp(もう森へなんか行かない)」(1967年)、「Comment Te Dire Adieu(さよならを教えて)」(1968年)などのヒット曲をリリースし、人気を不動のものにしていきます。

1988年には歌手引退を宣言しましたが、90年代にはカムバックしています。

ニューミュージック好きには、ユーミンの名曲「私のフランソワーズ」の"フランソワーズ"としてもお馴染みですね。

正直、Francoise Hardyのディスコグラフィはちゃんと把握できていません。

とりあえず僕が保有しているHardyのアルバムは、『Ma Jeunesse Fout Le Camp』(1967年)、『Soleil』(1970年)、『Et Si Je M'En Vais Avant Toi』(1972年)、『Gin Tonic』(1980年)の4枚です。あと『Francoise Hardy』(1962年)、『Comment Te Dire Adieu』(1968年)あたりはマイ・コレクションに加えたいと思っています。

今日紹介する『Gin Tonic』(1980年)はサバービアにも掲載された再評価の高い1枚です。

わかりづらいですが、ジャケに写るHardyが腰掛けているのは冷蔵庫の中・・・

大半の曲がMichel Jonasz、Gabriel Yaredの作品です(両者の共作も含む)。Michel Jonaszはハイファイセットでお馴染み「海辺の避暑地」の原曲の作者として知られていますね。

サウンド的にはジャズ/フュージョン系メロウ・サウンドが目立ちます。
メロウ・サウンドとフレンチ・ポップらしい哀愁メロディが上手く融合しているのが魅力です。

フレンチ・ポップらしい曲とフレンチ・ポップの枠を超えた曲のバランスもいいですね。

秋の夜にジントニックでも飲みながら、聴いて欲しい1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Jazzy Retro Satanas」
オススメその1。Bernard Ilous/Gabriel Yared作。某ショップのサイトで本曲を"ヤサグレ・キャバレー・スウィング・ディスコ"と評していましたが、まさにそんな仕上がりです。Elbow Bones & The Racketeersなんかとセットで聴くと良いのでは?

「Branche Cassee」
Jean-Claude Vannier作。秋らしい哀愁バラード。折れた小枝に例えて 些細なことで亀裂が生じた二人の関係を歌っています。

「Ame S'Trame Drame」
邦題「自作自演のドラマ」。Alain Goldstein作。派手さはありませんが、パリの秋といった雰囲気があるアレンジが好きです。

「Si C'Est Vraiment Vraiment Vrai」
オススメその2。Michel Jonasz作。本作らしいエレピ・サウンドが印象的な哀愁メロウ・チューン。切ない女心を歌うHardyの抑えたヴォーカルもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=4dxz-ZhI64c

「Bosse Bossez Bossa」
オススメその3。Michel Jonasz/Gabriel Yared作。本作のハイライト。サバービアでも人気のボッサ・テイストのアーバン・メロウ。エレピが実に心地好く響きます。AOR作品とセットで聴くのもいいですね。

「Gin Tonic」
Francoise Hardy/Gabriel Yared作。タイトル曲はHardy自身の作詞。まさに深夜にジントニックでも飲みながら聴きたいバラードです。

「Juke Box」
オススメその4。Michel Jonasz/Gabriel Yared作。♪Stevie Wonderのように歌ってみたい〜♪と歌われるStevie賛歌。サウンドも曲調も「Superstition」風です!

「Seule Comme Une Pomme」
オススメその5。邦題「林檎のような孤独」。Alain Goldstein作。マンドリンを巧みに取り入れたフレンチ・ポップらしいアレンジがいいですね。やはり秋には哀愁フレンチ・サウンドがマッチします。

「Chanson Ouverte」
オススメその6。邦題「まだ見ぬ人へのシャンソン」。Alain Goldstein/Gabriel Yared作。個人的には一番のお気に入り曲。メロウで小粋なジャズ・サウンドと哀愁ヴォーカルが実にマッチしています。

「Minuit Minuit」
オススメその7。邦題「午前0時の女」。Michel Jonasz/Gabriel Yared作。ファンキーなエッセンスを取り入れた軽快なグルーヴ感が魅力です。

「Que Tu M'Enterres」
邦題「でも明日」。ラストはジャジーな哀愁バラードでしっとり締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=IyDQsd3w0gM

他のFrancoise Hardy作品もチェックを!

『Francoise Hardy』(1962年)
Tous Les Garcons Et Les Filles

『Ma Jeunesse Fout Le Camp』(1967年)
Ma Jeunesse Fout Le Camp

『Comment Te Dire Adieu』(1968年)
Comment te dire adieu

『Soleil』(1970年)
Soleil

『Et Si Je M'En Vais Avant Toi』(1972年)
Et Si Je M'En Vais Avant Toi
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2011年09月23日

The Meters『Rejuvenation』

ニューオリンズ・ファンクの覇者の代表作☆The Meters『Rejuvenation』
リジュヴェネイション
発表年:1974年
ez的ジャンル:ニューオリンズ・ファンクの覇者
気分は... :ゴリゴリといきませっせ!

今週は曜日感覚がおかしくなりますね。
金曜なのに、すっかり土曜の気分でいます。

今回は"ニューオリンズ・ファンクの覇者"The Metersの5thアルバム『Rejuvenation』(1974年)です。

The Metersの前身は、1965年にNeville兄弟の長男Artを中心に結成したArt Neville & The Soundsです。メンバーはArt NevilleCharles NevilleAaron NevilleというNeville3兄弟とLeo NocentelliGeorge Porter, Jr.

翌年にはAllen ToussaintとMarshall E. Sehornが経営するレーベルSansu Enterprisesと契約し、スタジオ・セッション・バンドとして活動するようになります。その後、Charles Nevilleはかつての活動拠点のN.Y.へ戻り、Aaron Nevilleはソロで再デビューします。その結果、Art Neville(key)、George Porter, Jr.(b)、Leo Nocentelli(g)の3人が残ったグループは、新たにJoseph "Zigaboo" Modeliste(Ziggy Modeliste)(ds)を加え、グループ名をThe Metersへ改めました。

The Metersは1968年にシングル「Sophisticated Cissy」でデビュー。1969年にはファンク・クラシック「Cissy Strut」を含む1stアルバム『The Meters』(1969年)をリリースします。

その後、Dr. John『In the Right Place』(1973年)、Robert Palmer『Sneakin' Sally Through the Alley Island』(1974年)といったアルバムへの参加でThe Metersは評価を高めていきます。

そんなThe Metersに注目したのが、Paul McCartneyThe Rolling Stonesといったロック界の大物アーティストでした。

Paul McCartneyはWingsのアルバム『Venus And Mars』の発売パーティーでThe Metersに演奏を依頼しています。そして、そのパーティーに参加していたMick Jaggerは、The Rolling Stonesの1975年全米ツアー、1976年欧州ツアーのオープニング・アクトにThe Metersを起用しました。

こうしてThe Metersと彼らが演奏するセカンドライン・ファンクと呼ばれるニューオーリンズ・ファンク・サウンドが広く知られていくようになります。

The Meters自身は1st以降、『Look-Ka Py Py』(1969年)、『Struttin'』(1970年)、『Cabbage Alley』(1972年)、『Rejuvenation』(1974年)、『Fire On The Bayou』(1975年)、『Trick Bag』(1976年)、『New Directions』(1977年)といったアルバムをリリースしています。

『Fire On The Bayou』以降は、Neville兄弟の四男Cyril Neville(per、vo)もグループに参加しています。

しかし、1977年にグループは解散し、ArtとCyrilは、Charles、Aaronの兄弟と共にThe Neville Brothersを結成することになります。

1989年には再結成され、その後はメンバー交代を経てThe Funky Metersの名で活動しています。

僕がThe Metersを知ったきっかけは、当ブログでも紹介したLittle Feat『Dixie Chicken』(1973年)でした。後追いですが高校生の時に『Dixie Chicken』を聴き、同作に大きな影響を与えたニューオリンズ・サウンド、Allen Toussaint、The Metersに興味を持つようになりました。

ただし、実際にThe Meters作品を聴くようになったのはかなり後年です。

今日紹介する5thアルバム『Rejuvenation』(1974年)は、次作『Fire On The Bayou』(1975年)と共に一番ノッていた頃のThe Metersを満喫できるアルバムなのでは?

ファンク/R%B好きのみならず、ロック好き、Hip-Hop好き、クラブ・ミュージック好きも楽しめる間口の広いアルバムだと思います。

プロデュースはAllen ToussaintThe Meters

写真が小さくてわかりづらいかもしれませんが、ジャケでレコードを手にした女性の両隣にはAllen Toussaint『Life, Love And Faith』、彼らの前作『Cabbage Alley』(1972年)のジャケも写っています。

The Metersならではのコクのあるファンク・グルーヴを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「People Say」
オープニングはダイレクトにThe Metersのグルーヴを満喫できるファンキー・チューン。UKではシングルもリリースされました。イントロのギターのカッティングを聴いただけでグッときまし、全体のゴリゴリ感がいいですね。ホーン隊も大いに盛り上げてくれます。Ice-T「Fried Chicken」、Ministère A.M.E.R「Le Savoir」等のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=xcExxrf9zl4

「Love Is for Me」
さすらいモードのメロディアス・バラード。ソウルフルな女性コーラス隊が盛り上げてくれます。メロディアス・バラードですが、彼ららしいリズムで独特のコクを味わえます。

「Just Kissed My Baby」
ニューオリンズらしいファンキー・ビートを満喫できるミッド・ファンク。猥雑なファンキーさがいいですね。Little FeatLowell Georgeもギターで参加しています。ファンキーなギター・イントロはPublic Enemy「Timebomb」、EZD feat. DJ Evil Dee「Time Bomb」 、EPMD「Never Seen Before」等のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=xSoyaOVYk0E

「What'cha Say」
哀愁メロウなイントロに続き、ロッキン・ファンクで突進します。Isley Brothersあたりと一緒に聴きたくなりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=_6_9IXIMURo

「Jungle Man」
Mad Flava「Whats a Dog 2 Do」でサンプリングされたドラムブレイクでスタートする土臭いファンキー・チューン。少しユルい感じがいいですね。

「Hey Pocky A-Way」
セカンドライン・ファンクを満喫できる1曲。シングル・カットもされました。この独特のビートがだんだんクセになってきますねぇ!Beastie BoysDropping Names、Boogie Down Productions「Homeless」等の元ネタです。また、Houseband、Herbie Mann、ニューエストモデル、Soul Bossa Trio、Lefties Soul Connection等がカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=EEtXT9w9AYU

「It Ain't No Use」
11分40秒超の長尺曲。"ロフト・クラシック"としてクラブ・ミュージック好きからも注目の1曲。と言ってもモロにダンス・ミュージックではなく、哀愁モードのグルーヴィー・ロックという感じです。その意味ではフリーソウル好きの人向けかも?
http://www.youtube.com/watch?v=9gP0Qklifpw

「Loving You Is on My Mind」
シティ・ミュージック・テイストのインスト・チューン。他の収録曲とは多少雰囲気が異なりますが、アルバムのいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=gbowWMln96w

「Africa」
ラストは重量感のあるファンク・チューン。Red Hot Chili Peppersが「Hollywood」のタイトルでカヴァーしたことでも知られていますね。ここでもThe Metersらしいゴリゴリとしたグルーヴを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=LCnknBl7Ihg

CDには「Hey Pocky A-Way」「People Say」のシングル・ヴァージョンがボーナス・トラックとして収録されています。

The Metersの他作品もチェックを!

『The Meters』(1969年)
ザ・ミーターズ

『Look-Ka Py Py』(1969年)
ルッカ・パイ・パイ

『Struttin'』(1970年)
ストラッティン

『Cabbage Alley』(1972年)
キャベージ・アレイ

『Fire On The Bayou』(1975年)
ファイヤー・オン・ザ・バイユー

『Trick Bag』(1976年)
Trick Bag

『New Directions』(1977年)
New Directions
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2011年09月22日

Isabelle Antena『Carpe Diem』

秋の訪れを感じさせるフレンチ・ポップ☆Isabelle Antena『Carpe Diem』
Carpe Diem
発表年:1992年
ez的ジャンル:フレンチ・ジャジー・ポップ/ボッサ
気分は...:ピーターパン・シンドローム

男子サッカーのロンドン五輪最終予選「日本対マレーシア」は日本が2対0で勝利しました。優勢に試合を進めていた割には得点が入りませんでしたね。
課題もさらけ出しましたが、さらなる成長の可能性も感じられた試合だった気がします。

海外サッカーでは、長友所属のインテルが森本所属のノヴァーラに敗れ、ガスペリーニ監督が解任されました。現在、ザック・ジャパンでは攻撃のオプションとして3-4-3システムを模索しており、その1つの比較対象としてガスペリーニが取り組んでいた3-4-3システムを興味深く見ていたので残念です。今季はバルサも試合によって3-4-3システムを用いており、3-4-3システムの威力と落とし穴に着目しています。

他のスポーツではラグビーW杯がNZで開催されていますが、日本ではイマイチ盛り上がっていませんね。ラグビーは強豪国とその他の国の実力差がありすぎて、予選プールがワンサイド・ゲームになりがちなのが見ていてつまらないです。あとは日本代表の試合を観ていても、外国出身の選手ばかりで日本代表に見えないですね(笑)

今回はIsabelle Antena『Carpe Diem』(1992年)です。

このジャケが今日の僕の気分にピッタリです。秋の訪れっぽくていいでしょ!

フランス出身の女性シンガーIsabelle Antena(Antena)の紹介は、『En Cavalle』(1986年)に続き2回目となります。

本作でもIsabelle Antenaらしい小粋でオシャレなジャジー・ポップ/ボッサ・ポップを聴くことができます。ただし、Isabelleの恋人であったベルギー人ミュージシャンDirk Schoufs(Vaya Con Diosのメンバー)が急死した後に制作されたアルバムということで、亡き恋人への想いを連想される楽曲も多く収録されています。少し憂いのある表情のジャケには、そんな事情があったんですね・・・

Isabelle Antenaは、ClementineSwing Out Sister等と同じく、コアな音楽ファンからは敬遠されがちなアーティストかもしれません。

それでもたまにこういう作品が聴きたくなります。
基本的に僕も含めて日本人は、こういうサウンド、作品が好きなんでしょうね(笑)

先入観なしで素直に楽しみたいと思います。

全曲紹介しときやす。

「Le Syndrome De Peter Pan」
邦題「ピーターパン・シンドローム」。小粋なラテン・ジャズ・チューン。ピーターパン・シンドロームを題材に、思い出にしがみつきたいIsabelleの気持ちを歌ったのかもしれませんね。♪忘れてはいけないレッスン♪それは大人になるのを忘れること♪・・・ピーターパンおやじの僕にはグッとくる歌詞です(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=2OSozY9pjfY

「Instant De Trac」
邦題「とまどいの瞬間」。しっとりとした大人のジャジー・ポップ。フレンチの語感がジャジー・サウンドとよくマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=PBuCSN6rBgQ

「L'Amour Eternel」
妖しく迫るジャジー・ポップ。Isabelleのセクシー・ヴォーカルにヤラれてしまいます。あえてフェイク・ジャズっぽさが漂う感じもいいですね。

「Sous Les Baobabs」
邦題「バオバブの樹の下で」。エレガントな雰囲気にグッとくるワルツ調のジャズ・チューン。Isabelle Antenaにオシャレな音を求める人であれば気に入ると思います。

「Deux Enfants」
邦題「子供たちへ」。しっとりとしたボッサ調のフレンチ・ジャズ。終盤には子供たちの声を聞こえる微笑ましいコーラスが入っています。

「Calife Blues」
ブルージーな哀愁ポップ。当時のIsabelleの心情を重ね合わせると、情熱的な愛の歌詞も少し痛々しい気がしてきます。

「No Puedo Sin Ti」
ラテン・ハウス調のダンス・チューン。アルバムの中では異質な曲ですが、クラブ・ミューシック好きの人であれば楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=F5gOyh76-Io

「E Preciso Perdoar」
Carlos Coqueijo & Alcivando Luz作のボサノヴァ名曲。ブラジル音楽ファンの方は、Joao Gilbertoのヴァージョンでお馴染みですね。当ブログではAmbitious LoversAdam Dunningのカヴァーも紹介済みです。Isabelleの憂いを持ったヴォーカルがこの曲にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=kixKqj08e8A

「Corto Prend Le Large」
邦題「コルトの出航」。秋の訪れを感じさせる哀愁フレンチ・ポップ。見事なオーケストレーションが切ない思いを募らせます。

「Inspire-moi」
エキゾチック・ポップ。途中レゲエ調のリズムも飛び出します。

「L'Inconnu Vers L'Infini」
邦題「時の彼方の異邦人」。この曲だけはサウンドがイマイチ。チープなシンセ・ポップに聴こえてしまいます。

「Quand Les Amants...」
恋人たちの時。寂しい思いがひしひしと伝わってくるバラード。

「Corto Tu Te Vas」
「Corto Prend Le Large」のスペイン語ヴァージョン。フレンチ・ヴァージョンとは異なる味わいがあります。

『En Cavalle』(1986年)
En Cavalle
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2011年09月21日

Lupe Fiasco『Lupe Fiasco's Food & Liquor』

Hip-Hop界の救世主Lupeのデビュー作☆Lupe Fiasco『Lupe Fiasco's Food & Liquor』
フード&リカー(初回限定盤)
発表年:2006年
ez的ジャンル:Hip-Hop界の救世主
気分は... :とっ散らかった状態ですが・・・

今週は火曜〜木曜の3日間で仕事の区切りをつけなければならないので何か慌しいですね。
こういう時に限って、対外調整することが多かったりするし(泣)
まぁ、いざとなれば開き直るしかありませんが・・・

今回は人気ラッパーLupe Fiascoのデビュー・アルバム『Lupe Fiasco's Food & Liquor』(2006年)です。

Lupe Fiascoの紹介は、2nd『Lupe Fiasco's The Cool』(2007年)、最新作となる3rd『Lasers』(2011年)に続き3回目となります。

2nd『Lupe Fiasco's The Cool』、3rd『Lasers』も素晴らしい作品ですが、デビュー作の『Lupe Fiasco's Food & Liquor』(2006年)の鮮烈な印象は格別ですね。

『Lupe Fiasco's Food & Liquor』はポップ・アルバム・チャート第8位、R&B/Hip-Hopアルバム・チャート第2位という成功を収め、2007年のグラミー賞のBest Rap Song、Best Rap Solo Performance、Best Rap Albumの3部門にノミネートされ、2008年のグラミー賞でもBest Urban/Alternative Performanceにノミネートされています。

その意味で、この1stのみ未紹介にあっていたのが気になっていたので今回取り上げました。今年に入ってHip-Hop作品の紹介も少ないですし・・・

新人ラッパーのデビュー作にも関わらず、Jay-Zがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、Kanye WestThe Neptunesがプロデューサーに名を連ねるというだけでもLupeの大物ぶりが窺えましたよね。

僕の場合、Hip-Hopに関してはアングラなジャジーHip-Hopを好み、メジャーな人気アーティストの作品でも全く耳が受け付けないこともあるので、作品を聴くまでは半信半疑だったところもあります。

しかし、実際に本作を聴いてみて大物アーティストたちが絶賛する才能の持ち主であることを実感できました。普段着モードの自然体な雰囲気に好感が持てました。シリアスでダークな曲も、軽やかでキャッチーな曲も全てLupeらしく仕上がっているのがいいですね。90年代Hip-Hop好きの人が聴いてもスンナリ聴くことができる気がします。メジャーなHip-Hopアーティストの作品で、こうした印象を受けることは少ないのですが・・・

シングルにもなった「Kick, Push」「I Gotcha」「Daydreamin'」をはじめ、印象的な楽曲が多く収録されています。「Kick, Push」「Daydreamin'」はグラミーにもノミネートされました。

改めて、Hip-Hop界の救世主のデビュー作を満喫したいと思います。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
アルバムのイントロ。

「Real」
Sarah Greenをフィーチャー。Harvey Mason「How Does It Feel」のネタのロッキンなトラックがリアルな緊張感を感じさせます。Soundtrakkプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=8iRkItVrRPc

「Just Might Be OK」
Geminiをフィーチャー。Paul Humphrey「Humphrey's Overture」ネタのドラマチック&パワフルなトラックがグッド!そんな壮大なトラックをバックに、♪俺達は大丈夫!今日は太陽が輝いている!と力強いメッセージが歌われます。Prolyficプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=DrePDWn-JqI

「Kick, Push」
アルバムからの1stシングル。49回グラミーのBest Rap Solo Performance、Best Rap Songにもノミネートされました。Celeste Legaspi「Magtaksil Man Ikaw (Bolero Medley)」ネタの哀愁トラックにのって、♪キック!プッシュ!♪キック!プッシュ!♪キック!プッシュ!♪と歌われるスケーター・アンセムです。Lupe Fiascoらしい1曲なのでは?Soundtrakkプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=_5ZiB3HDuBE

「I Gotcha」
The Neptunesプロデュース。Pharrellをフィーチャー。アルバムからの2nシングルです。印象的にはピアノのループとLupeのキャッチーなフロウは、De La SoulA Tribe Called Questあたりに通じる魅力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=64EwEc96Y24&ob=av2e

「The Instrumental」
Linkin ParkのMike Shinodaプロデュース。Far、New End Original、Gratitudeといったバンドでの活動でも知られるSSWのJonah Matrangaをフィーチャー。彼のバンドFar「Nestle」ネタの哀愁メロディが切なく響きます。奴は決して嘘をつかない・・・
http://www.youtube.com/watch?v=dsZUSP1p20s

「He Say She Say」
Gemini & Sarah Greenをフィーチャー。Burt Bacharach「The Last One to Be Loved」ネタの美しくも切ないメロディのトラックをバックに母親と息子の葛藤が歌われます。Soundtrakkプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=byV0GUg7w4U

「Sunshine」
Soundtrakkプロデュース。♪君は俺のサンシャイン♪君は俺のムーンライト♪と死ぬほどフレッシュな彼女を口説きます!Diana Ross「Friend to Friend」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=ecAR_zVAvUE

「Daydreamin'」
Jill Scottをフィーチャー。アルバムからの3rdシングルであり、50回グラミーのBest Urban/Alternative Performanceにもノミネートされました。The Gunter Kallmann Chorus「Daydream」ネタの哀愁トラックとJill Scottの白日夢のような儚いヴォーカルの組み合わせはPortisheadを思い起こすところもあります。Lupeの哀愁フロウも印象的です。Craig Kallmanプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=0GQjYPWDcmg&ob=av2e

「The Cool」
Kanye Westプロデュース。Dexter Wansel「Life on Mars」のシンセ・ネタ、James Brown「Funky Drummer」のリズムにのって、人生の儚さを哀愁ラップで嘆きます。
http://www.youtube.com/watch?v=7pqFu4Mk4G8

「Hurt Me Soul」
Sawyer Needlzプロデュース。Cecil Holmesのスウィート・ソウル「Stay With Me」をループさせたメロウ・トラックがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=EI6iZJOntY8

「Pressure」
Jay-Zをフィーチャーした話題曲。Thelma Houston「Pressure Cooker」をサンプリングした、ロッキン・トラックが印象的です。まさにプレッシャーなトラックです(笑)。Prolyficプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=eUTvAJiXwFM

「American Terrorist」
白人SSWのMatthew Santosをフィーチャー。 Matthew Santosは2nd『Lupe Fiasco's The Cool』からのヒット・シングル「Superstar」での共演でお馴染みですね。タイトルからも想像できるように、9.11絡みの痛烈なリリックをReturn to Forever「The Romantic Warrior」ネタのトラックにのせて叩きつけます。Prolyficプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=HTULR-WS5Yw

「The Emperor's Soundtrack」
Soundtrakkプロデュース。 UFO「Between the Walls」をサンプリングしたダークなトラックをバックに、Lupeのダークなリリックがズッシリときます。
http://www.youtube.com/watch?v=6t_Y6-qYp3c

「Kick, Push II」
「Kick, Push」のパート2。こちらはよりダークな仕上がりです。Brandon Howardプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=IBLZtFK2D7c

「Outro」
アルバムのアウトロ。

僕の保有する国内盤には「Tilted」がボーナス・トラックとして収録されています。

2nd『Lupe Fiasco's The Cool』(2007年)、3rd『Lasers』(2011年)の過去記事もご参照下さい。

『Lupe Fiasco's The Cool』(2007年)
The Cool

『Lasers』(2011年)
Lasers
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2011年09月20日

Pharoah Sanders『Karma』

静寂と狂騒が交錯するスピリチュアル・ジャズ名盤☆Pharoah Sanders『Karma』
カーマ
録音年:1969年
ez的ジャンル:静寂&狂騒のスピリチュアル・ジャズ
気分は... :瞑想するとそこには・・・

今夜はスピリチュアル・ジャズを聴きながら、瞑想に入りたい気分です。
そこでCD棚から手に取った1枚、Pharoah Sanders『Karma』(1969年)をセレクト!

大好きなジャズ・サックス奏者Pharoah Sanders
これまで紹介してきたPharoah作品は以下の6枚です。

 『Izipho Zam』(1969年)
 『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』(1970年)
 『Thembi』(1970年)
 『Elevation』(1973年)
 『Love In Us All』(1975年)
 『Rejoice』(1981年)

『Karma』(1969年)は、Pharoah Sandersを代表する1枚であると同時に、スピリチュアル・ジャズを語る上で絶対に外せない1枚ですね。

特に「The Creator Has A Master Plan」はPharoah Sandersを代表する名曲・名演です。静寂と狂騒が交錯するスピリチュアル・ジャズの持つエネルギーに驚愕します。これほど生命力を感じさせる音世界には滅多に出会えないと思います。

レコーディング・メンバーは、Pharoah Sanders(ts)、Leon Thomas(vo、per)、Julius Watkins(french horn)、James Spaulding(fl)、Lonnie Liston Smith(p)、Reggie Workman(b)、Richard Davis(b)、Ron Carter(b)、Billy Hart(ds)、Freddie Waits(ds)、Nathaniel Bettis(per)です。本作でもLeon Thomasがヨーデル唱法で盛り上げてくれます。

上手く説明できませんが、僕の中で本作を聴いた時のインパクトは、全くジャンルが異なりますがPink Floyd『Dark Side Of The Moon』を聴いた時に感じたものと似ています。静寂と狂騒が交錯する圧倒的な音世界がそんな印象を与えるのかもしれません。

また、「The Creator Has A Master Plan」の狂騒的な演奏を聴いていると、普段は難解に思える後期John Coltraneを聴きたい気分になります。人間のDNAには狂騒的な部分があり、それを音に託したフリーな演奏もアリかなと・・・

静寂と狂騒が交錯するスピリチュアル・ワールドから感じるものは何だろう・・・

全曲紹介しときやす。

「The Creator Has A Master Plan」
Pharoah Sanders/Leon Thomas作。前述のようにPharoah Sandersの1つの到達点とも呼べる名曲です。オリジナルLPでは、A面とB面でPart 1、Part 2に分かれていました。まさに心の奥にあるスピリチュアル・ワールドへ誘う崇高な音世界です。時に優しく、時に激しく天からの啓示を待つかの如く壮大な音絵巻が展開されます。この静と動が交錯するトランス感はPharoah Sanders作品でしか味わえないものですね。Pharoah Sandersの1つの到達点とも呼べる名演だと思います。特に後半のLeon Thomasのヨーデル唱法は人間の原始的な部分が剥き出しで凄まじいです!

30分超の大作ですが、YouTubeにあった3分割した音源を紹介しておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=13L6sjk080c 1/3
http://www.youtube.com/watch?v=EO9N9TU4uKk 2/3
http://www.youtube.com/watch?v=kHZyxpOAx-Q 3/3

Jef Gilson、Norman Connors、Louis Armstrong、Don Cherry、King Crimson、Zephyr、Natural Calamity 、The Souljazz Orchestra、Kindred Spirits Ensemble等数多くのアーティストがカヴァーしています。

「Colors」
Pharoah Sanders/Leon Thomas作。凄まじすぎる「The Creator Has A Master Plan」の余韻を楽しむかのような演奏です。(ヨーデル唱法ではない)Leon Thomasのヴォーカルに先導され、祈りを捧げるようなスピリチュアル・ワールドが展開されます。
http://www.youtube.com/watch?v=et5LOTWpxwY

Pharoah Sandersの過去記事もご参照下さい。

『Izipho Zam』(1969年)
Izipho Zam

『Deaf Dumb Blind (Summun Bukmun Umyun)』(1970年)
SUMMUM BUKMUM UMYUM(紙ジャケット仕様)

『Thembi』(1970年)
Thembi

『Elevation』(1973年)
Elevation (Reis)

『Love In Us All』(1975年)
ラヴ・イン・アス・オール(紙ジャケット仕様)

『Rejoice』(1981年)
リジョイス
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