
発表年:1974年
ez的ジャンル:ニューオリンズ・ファンクの覇者
気分は... :ゴリゴリといきませっせ!
今週は曜日感覚がおかしくなりますね。
金曜なのに、すっかり土曜の気分でいます。
今回は"ニューオリンズ・ファンクの覇者"The Metersの5thアルバム『Rejuvenation』(1974年)です。
The Metersの前身は、1965年にNeville兄弟の長男Artを中心に結成したArt Neville & The Soundsです。メンバーはArt Neville、Charles Neville、Aaron NevilleというNeville3兄弟とLeo Nocentelli、George Porter, Jr.。
翌年にはAllen ToussaintとMarshall E. Sehornが経営するレーベルSansu Enterprisesと契約し、スタジオ・セッション・バンドとして活動するようになります。その後、Charles Nevilleはかつての活動拠点のN.Y.へ戻り、Aaron Nevilleはソロで再デビューします。その結果、Art Neville(key)、George Porter, Jr.(b)、Leo Nocentelli(g)の3人が残ったグループは、新たにJoseph "Zigaboo" Modeliste(Ziggy Modeliste)(ds)を加え、グループ名をThe Metersへ改めました。
The Metersは1968年にシングル「Sophisticated Cissy」でデビュー。1969年にはファンク・クラシック「Cissy Strut」を含む1stアルバム『The Meters』(1969年)をリリースします。
その後、Dr. John『In the Right Place』(1973年)、Robert Palmer『Sneakin' Sally Through the Alley Island』(1974年)といったアルバムへの参加でThe Metersは評価を高めていきます。
そんなThe Metersに注目したのが、Paul McCartney、The Rolling Stonesといったロック界の大物アーティストでした。
Paul McCartneyはWingsのアルバム『Venus And Mars』の発売パーティーでThe Metersに演奏を依頼しています。そして、そのパーティーに参加していたMick Jaggerは、The Rolling Stonesの1975年全米ツアー、1976年欧州ツアーのオープニング・アクトにThe Metersを起用しました。
こうしてThe Metersと彼らが演奏するセカンドライン・ファンクと呼ばれるニューオーリンズ・ファンク・サウンドが広く知られていくようになります。
The Meters自身は1st以降、『Look-Ka Py Py』(1969年)、『Struttin'』(1970年)、『Cabbage Alley』(1972年)、『Rejuvenation』(1974年)、『Fire On The Bayou』(1975年)、『Trick Bag』(1976年)、『New Directions』(1977年)といったアルバムをリリースしています。
『Fire On The Bayou』以降は、Neville兄弟の四男Cyril Neville(per、vo)もグループに参加しています。
しかし、1977年にグループは解散し、ArtとCyrilは、Charles、Aaronの兄弟と共にThe Neville Brothersを結成することになります。
1989年には再結成され、その後はメンバー交代を経てThe Funky Metersの名で活動しています。
僕がThe Metersを知ったきっかけは、当ブログでも紹介したLittle Feat『Dixie Chicken』(1973年)でした。後追いですが高校生の時に『Dixie Chicken』を聴き、同作に大きな影響を与えたニューオリンズ・サウンド、Allen Toussaint、The Metersに興味を持つようになりました。
ただし、実際にThe Meters作品を聴くようになったのはかなり後年です。
今日紹介する5thアルバム『Rejuvenation』(1974年)は、次作『Fire On The Bayou』(1975年)と共に一番ノッていた頃のThe Metersを満喫できるアルバムなのでは?
ファンク/R%B好きのみならず、ロック好き、Hip-Hop好き、クラブ・ミュージック好きも楽しめる間口の広いアルバムだと思います。
プロデュースはAllen ToussaintとThe Meters。
写真が小さくてわかりづらいかもしれませんが、ジャケでレコードを手にした女性の両隣にはAllen Toussaint『Life, Love And Faith』、彼らの前作『Cabbage Alley』(1972年)のジャケも写っています。
The Metersならではのコクのあるファンク・グルーヴを堪能しましょう!
全曲紹介しときやす。
「People Say」
オープニングはダイレクトにThe Metersのグルーヴを満喫できるファンキー・チューン。UKではシングルもリリースされました。イントロのギターのカッティングを聴いただけでグッときまし、全体のゴリゴリ感がいいですね。ホーン隊も大いに盛り上げてくれます。Ice-T「Fried Chicken」、Ministère A.M.E.R「Le Savoir」等のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=xcExxrf9zl4
「Love Is for Me」
さすらいモードのメロディアス・バラード。ソウルフルな女性コーラス隊が盛り上げてくれます。メロディアス・バラードですが、彼ららしいリズムで独特のコクを味わえます。
「Just Kissed My Baby」
ニューオリンズらしいファンキー・ビートを満喫できるミッド・ファンク。猥雑なファンキーさがいいですね。Little FeatのLowell Georgeもギターで参加しています。ファンキーなギター・イントロはPublic Enemy「Timebomb」、EZD feat. DJ Evil Dee「Time Bomb」 、EPMD「Never Seen Before」等のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=xSoyaOVYk0E
「What'cha Say」
哀愁メロウなイントロに続き、ロッキン・ファンクで突進します。Isley Brothersあたりと一緒に聴きたくなりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=_6_9IXIMURo
「Jungle Man」
Mad Flava「Whats a Dog 2 Do」でサンプリングされたドラムブレイクでスタートする土臭いファンキー・チューン。少しユルい感じがいいですね。
「Hey Pocky A-Way」
セカンドライン・ファンクを満喫できる1曲。シングル・カットもされました。この独特のビートがだんだんクセになってきますねぇ!Beastie BoysDropping Names、Boogie Down Productions「Homeless」等の元ネタです。また、Houseband、Herbie Mann、ニューエストモデル、Soul Bossa Trio、Lefties Soul Connection等がカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=EEtXT9w9AYU
「It Ain't No Use」
11分40秒超の長尺曲。"ロフト・クラシック"としてクラブ・ミュージック好きからも注目の1曲。と言ってもモロにダンス・ミュージックではなく、哀愁モードのグルーヴィー・ロックという感じです。その意味ではフリーソウル好きの人向けかも?
http://www.youtube.com/watch?v=9gP0Qklifpw
「Loving You Is on My Mind」
シティ・ミュージック・テイストのインスト・チューン。他の収録曲とは多少雰囲気が異なりますが、アルバムのいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=gbowWMln96w
「Africa」
ラストは重量感のあるファンク・チューン。Red Hot Chili Peppersが「Hollywood」のタイトルでカヴァーしたことでも知られていますね。ここでもThe Metersらしいゴリゴリとしたグルーヴを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=LCnknBl7Ihg
CDには「Hey Pocky A-Way」、「People Say」のシングル・ヴァージョンがボーナス・トラックとして収録されています。
The Metersの他作品もチェックを!
『The Meters』(1969年)

『Look-Ka Py Py』(1969年)

『Struttin'』(1970年)

『Cabbage Alley』(1972年)

『Fire On The Bayou』(1975年)

『Trick Bag』(1976年)

『New Directions』(1977年)
