2011年10月14日

Sambacana『IV Sambacana』

70年代ブラジリアン・メロウの名作が遂に世界初CD化!☆Sambacana『IV Sambacana』
IV SAMBACANA (サンバカーナ4)
発表年:1976年
ez的ジャンル:ミナス系ブラジリアン・メロウ
気分は... :今日から出直し・・・

昨日は悔しいことがありました。
でも気分は何故かスッキリ!というか新たな闘志が湧いてきました・・・

今回は遂に世界初CD化したSambacanaの4thアルバム『IV Sambacana』(1976年)です。

Sambacanaは、ブラジル、ミナス・ジェライス出身の作曲家Pacifico Mascarenhas(1935年生まれ)が率いるグループ。多少名義は変わっていますが、『Sambacana』(1964年)、『Muito Pra Frente』(1965年)、『Conjunto Sambacana Vol.3』(1969年)、『IV Sambacana』(1976年)、『Sambacana』(1981年)、『VI Sambacana/Canto e Musicas』(1988年)といったアルバムをリリースしているようです。

1st『Sambacana』(1964年)には、JoyceRoberto Menescalが参加し、2nd『Muito Pra Frente』(1965年)にはMilton Nascimentoが参加しています。

4thとなる本作は、3rd『Conjunto Sambacana Vol.3』でプロデビューしたBob Tostes(vo)、Suzana Tostes(vo)の兄妹がリード・ヴォーカルを担当しています。

それ以外にもWagner Tiso(p)、Toninho Horta(g)、Novelli(b)、Nivaldo Ornelas(sax、fl)といったミナス系ミュージシャンがレコーディングに参加しています。

全体としては、Bob & Suzanaの美しいコーラスとWagner Tisoがアレンジしたメロウ・サウンドが冴え渡る、至極のブラジリアン・メロウ作品となっています。

全曲Pacifico Mascarenhasのオリジナルです(共作1曲含む)。

ブラジリアン・メロウ好きはぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Num Desses Dias」
朝のお目覚めにピッタリな雰囲気のオープニング。Bob & SuzanaのコーラスとWagner TisoのエレピとNivaldo Ornelasのフルートで爽快モード×3といった感じです。

「O Vento Que Soprou」
ロマンティック・ムード満点のメロウ・チューン。こちらはサンセット・モードでどうぞ!

「Tardinha」
ワルツ調のメロウ・サウンドとBob Tostesのジェントル・ヴォーカルはよくマッチしています。

「Minha Ex-Namorada」
気分は夏に逆戻りといった雰囲気です。ハワイアンAORなんかと一緒に聴きたくなりますね。Toninho Hortaが素敵なギターで盛り上げてくれます。

「Via」
エレガント・サウンドをバックにSuzana Tostesの素敵なヴォーカルを満喫できます。

「Programa De Domingo」
本作らしいメロウネスを満喫できる1曲。Wagner TisoのエレピとBob & Suzanaによる息の合った兄妹コーラスが晴れやかな気分にさせてくれます。

「Pouca Duracao」
小粋なコーラス&アレンジ・センスにグッときます。こんな曲を聴きながら、のんびりと過ごしたい!

「Amar Pra Que」
ビューティフル&エレガントなメロウ・チューン。Nivaldo Ornelasのサックス・ソロで盛り上げてくれます。

「Saudade Da Rua」
Bob & Suzanaのコーラスワークが絶妙です。美しいコーラスを聴きながらサウダージ・モードへ・・・

「Tom De Cancao」
聴いていると和んできます。Nivaldo Ornelasのフルートが涼しげ・・・

「Prezada Amada」
このあたりになってくると、少しワンパターンの感もありますが、それでも心地好いです。

「Minha Cidade」
ラストはジャズ・テイストで小粋に締め括ってくれます。

ご興味がある方は他のSambacana作品もチェックを!

『Sambacana』(1964年)
SAMBACANA (サンバカーナ)

『Muito Pra Frente』(1965年)
ムイト・プラ・フレンチ(ずっと先に)

『Conjunto Sambacana Vol.3』(1969年)
Sambacana 3
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2011年10月13日

L.E.D.『Life Emission Display』

Funky Juiceからリリースされたラウンジ感覚のクラブジャズ☆L.E.D.『Life Emission Display』
ライフ・エミッション・ディスプレイ!
発表年:2005年
ez的ジャンル:ラウンジ&エレクトロ感覚イタリアン・クラブジャズ
気分は... :発光ダイオードではありません(笑)

今回はイタリアのクラブジャズ作品L.E.D.『Life Emission Display』(2005年)です。

L.E.D.(Life Emission Display)は、ギタリスト/キーボード奏者として活躍するイタリア人ミュージシャンSebastiano Forteによるクラブジャズ・ユニット。

今回紹介する『Life Emission Display』(2005年)は、イタリアのクラブジャズ・レーベルFunky Juiceからリリースされたものです。Funky Juiceと言えば、当ブログで昨年大プッシュしていたBarrio Jazz GangのメンバーRoby Colellaが主宰するレーベルです。僕が大好きな女性ジャズ・シンガーPauline Londonのデビュー作『Quiet Skies』(2004年)もFunky Juiceからのリリースです。

全14曲。特に前半の構成が素晴らしいです。
プロデュースはSebastiano Forte本人。さらにRoby Colellaが半数の曲を共同プロデュースしています。Barrio Jazz Gang同様、生音とエレクトロ・サウンドを巧みにブレンドしたクラブジャズを堪能できます。

また、約半数の曲でCarla Mancinelli、Liliana Gimenez等の女性ヴォーカルをフィーチャーしており、キュート&セクシーなラウンジ感覚も楽しめます。

Schemaなどイタリアのクラブジャズ作品に興味がある方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「You Turn」
オススメその1。Carla Mancinelliの女性ヴォーカルをフィーチャー。ラウンジ・テイストのリラックスした仕上がり。Forteの軽快なピアノとTony Cattanoのトロンボーンが印象的です。エレクトロなスパイスも忘れていません。

「Bossa De Saudade」
オススメその2。Liliana Gimenezの女性ヴォーカルをフィーチャー。エレクトロ・サウンドを前面に押し出したボッサ・テイストの哀愁ダンス・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=5yq7Xkjt6RE

「Taormina Chase」
オススメその3。Carla Mancinelliの女性ヴォーカルをフィーチャー。Funky Juiceレーベルのコンピ『Funky Juice Collection vol.1』にも収録されていました。本作の魅力が凝縮されたラウンジ・テイストのクラブジャズです。とにかくセンス抜群の仕上がりです。

「Oh! Let Me Know Your Love」
70年代ジャズ・ファンクを思わせる仕上がり。エレピとシンセの響きが印象的です。

「A Clave」
オススメその4。Liliana Gimenezの女性ヴォーカルをフィーチャー。エレクトロな哀愁モードのダンス・チューン。Barrio Jazz Gangが好きな人であれば気に入ると思います。

「Triste-Alegre」
オススメその5。Carla Mancinelliの女性ヴォーカルをフィーチャー。Forteのメロウなギターを満喫できるボッサ・ジャズ。サンセット・モードにぴったりなロマンティックな仕上がりです。

「Central Funk Park」
オススメその6。Carla Mancinelliの女性ヴォーカルをフィーチャー。ラウンジ+ファンキー・ジャズ+エレクトロな仕上がり。レトロなのにフューチャーなフィーリングがたまりません!

「Let Me True In Love」
オートチューン使いのヴォーカルも入ったエレクトロ・ダンス・チューン。悪くはありませんが、他の曲と比べると少し芸がないかも?

「Inside」
Forte自らがヴォーカルもとるメロウ・チューン。

「Rolling Box」
オススメその7。クールなインスト・チューン。エレクトロ・サウンドと生音を上手く融合させたFunky Juiceらしい仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=E2sIisHPlkY

「Walkin Sofa」
妖しい魅力が漂うインスト・チューン。甘き危険な香りが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=bPXoveBXfSY

「Street Cooking」
オススメその8。Clara Forteの女性ヴォーカルをフィーチャー。Barrio Jazz Gangあたりに通じる魅力を持ったスタイリッシュな仕上がりです。

「Frisco Party」
前述のFunky Juiceのコンピ『Funky Juice Collection vol.1』収録曲。過ぎ行く季節を懐かしむかのような切ない雰囲気にグッときます。

「Let Me Shine」
Carla Mancinelliの女性ヴォーカルをフィーチャー。Forteのギターを満喫できる哀愁エレクトロな仕上がり。

Barrio Jazz GangPauline Londonといった他のFunky Juice作品もチェックを!

Barrio Jazz Gang『Spectrum』(2002年)
Spectrum

Barrio Jazz Gang『2』(2010年)
2

Pauline London『Quiet Skies』(2004年)
Quiet Skies

Bungalove『Samba Natural』(2007年)
Samba Naturel
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2011年10月12日

Sheila Landis『Singer/Songwriter』

ブラジリアン&AORテイストのメロウな女性ジャズ・ヴォーカル☆Sheila Landis『Singer/Songwriter』
Singer/Songwriter
発表年:1983年
ez的ジャンル:ブラジリアン&AOR系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :ハーフナーやったね!

サッカーW杯アジア3次予選「日本対タジキスタン」は日本代表の完勝でした。
あまりに相手が弱かったと言えども、W杯予選で8得点は評価すべきと思います。

特にハーフナーの先制点を含む2得点が目立ちました。このままレギュラー定着を願うばかりです。個人的には、代表のFWはハーフナー&森本の2人を主軸で使って欲しいですね。

今回はデトロイト出身の女性ジャズ・シンガーSheila Landisの4thアルバム『Singer/Songwriter』(1983年)です。

Sheila Landisの紹介は、2nd『Guess I'll Call It Love』(1981年)に続き2回目となります。

本作でSheilaは、"Techno-pop/Jazz ensemble"と名付けた新バンドを結成し、レコーディングに臨んでいます。メンバーはSheila Landis(vo)、Gary“Synth”Schunk(key、syn)、Alex Rogowski(g、b)、George Bennett(ds、per)の4名。

ただし、バンド名にあるようなテクノ・ポップなサウンドではなく、基本はSheilaらしいブラジリアン&AORテイストのメロウな女性ジャズ・ヴォーカル作品に仕上がっています。

楽曲は全てSheila Landisのオリジナルです。

『Singer/Songwriter』というタイトルのように、Sheilaのシンガー&ソングライターとしての魅力を満喫できる1枚です。彼女がリスペクトするアーティストの影響が見え隠れするのも興味深いです。その意味では、あまりジャズ・ヴォーカル作品と意識しすぎないで聴いた方が楽しめると思います。

ピュアな魅力が伝わってくる女性ジャズ・ヴォーカル作品です。

全曲紹介しときやす。

「Smiles in the Dark」
オススメその1。ラブリー&スマイリーなオープニング。Sheilaのフレッシュなジャズ・ヴォーカルとAORテイストのジャジー・サウンドがよくマッチしています。終盤の小粋なジャズ・フィーリングもグッド!

「A Certain Way」
ライト・タッチのジャズ・ファンク・チューン。SheilaのスキャットはAl Jarreauを意識したもののようです。

「Angel Says」
オススメその2。しっとりとした味わいにグッとくるエレガントな大人のメロウ・ボッサ。Gary Schunkの美しいピアノも雰囲気があっていいですね。

「Once Again」
本作のタイトル通り、シンガー・ソングライターらしい仕上がり。Sheilaのアイドルの一人がLaura Nyroらしいですが、そんな雰囲気も感じさせる1曲です。

「Jeff's Bossa」
本作唯一のインスト。タイトルの通り、ボッサ・テイストのフュージョンです。

「Terry Do You Understand?」
オススメその3。Deniece Williamsのジャズ・ヴォーカル版といった趣のソウルフルなメロウ・チューン。Sheilaのキュートなヴォーカルがいいですね。

「In a Place in My Heart」
オススメその4。「Souviens-Toi」と並ぶ本作の人気曲。フェンダー・ローズのメロウな響きとサンバ・リズムが心地好い軽快なサンバ・フュージョンです。

「Holly Would」
本作唯一の共作曲(Eric Harabadian作詞)。レゲエ調サウンドとスウィンギー・サウンドがブレンドしたユニークな仕上がり。

「Souviens-Toi」
オススメその5。本作のハイライト。AORファンもグッとくるアーバン・ナイトなボッサ・グルーヴ。やはり、Sheilaにはこういう曲が一番似合いますね。
http://www.youtube.com/watch?v=HGBkrq5eoWA

「My Brief Career as Countess」
オススメその6。CD化に際してのボーナス・トラック。次作『G-Gosh!』(1985年)収録されていた楽曲です。聴いていると、励まされている気分になる小粋なジャズ・グルーヴです。

『Guess I'll Call It Love』(1981年)
Guess I’ll Call It Love

『Bebop Angel』(1982年)
Bebop Angel

『Colors Of Brazil』(2001年)
Colors of Brazil
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2011年10月10日

Strutt『Time Moves On』

レア・グルーヴ/フリーソウル・ファンに人気のファンキー・ソウル作品☆Strutt『Time Moves On』
タイム・ムーヴス・オン
発表年:1975年
ez的ジャンル:Brunswick系ファンキー・ソウル
気分は... :熱血ファンキーでアドレナリン増量!

この3連休は大してゆっくりできずフツーに仕事をしていますが、仕事中のBGMはエレクトリック・マイルス!先日『Dark Magus』を紹介したばかりですが・・・

正直、秋向けのジャズではありませんが、聴いていると頭の中が覚醒してきて仕事の生産性がアップしてきます(笑)

さて、今回はレア・グルーヴ/フリーソウル・ファンに人気のファンキー・ソウル作品Strutt『Time Moves On』(1975年)です。

Struttはニュージャージー出身の8人組ヴォーカル&インストゥルメンタル・グループ。メンバーは、Frank Portolana(org)、Carmen Cosentino(g)、Roger Zumbo(ds)、Edward Walker(b)、Jim Mecke(as、fl)、Joe Escobar(tb)、Ronald T. Jones(vo)、Dickie Herman(vo)という構成です。

ソウル・ファンにはお馴染みの名門レーベルBrunswickからリリースされた本作『Time Moves On』(1975年)がグループ唯一のアルバムです。

アルバムの魅力は、「Time Moves On」「Front Row Romeo」に代表されるディスコ・ファンク・チューンと、「Said You Didn't Love Him」「Funky Sign」といったグルーヴィー・ソウルにあると思います。特に、レア・グルーヴ/フリーソウル・ファンにとって後者の2曲はグッとくると思います。

いかにもB級なジャケも逆に好きだったりします(笑)

全曲紹介しときやす。

「Time Moves On」
オススメその1。オープニングは、ファンキーに疾走するディスコ・ファンク・チューン。グルーヴィーなオルガン・サウンドやファンキーなホーン隊もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=2MUcI0OnP8Y

「Said You Didn't Love Him」
オススメその2。本作のハイライト。フリーソウル好きにはグッとくるヤング・ソウルです。決してヴォーカルが上手いわけではありませんが、何処か惹かれるものがあります。中間のブレイクも格好良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=9qYMKn8a9Mo

「Front Row Romeo (Instrumental)」
後述する「Front Row Romeo」のインスト・ヴァージョン。

「We've Come Long Way Baby」
ロマンティックなバラード。Dickie Hermanの甘いバリトン・ヴォーカルとファルセット・ヴォーカルが交互に迫ってきます。

「Funky Sign」
オススメその3。フリーソウルのコンピにも収録されている爽快グルーヴィー・ソウル。個人的には一番のお気に入り曲。聴いていると気分が晴れやかになります。
http://www.youtube.com/watch?v=fyAxhQIIMt8

「Front Row Romeo」
オススメその4。カッチョよく疾走するファンキー・チューン。ひたすらファンキーなリズム隊とホーン・セクションが大活躍です。
http://www.youtube.com/watch?v=1vuybEbrXAU

「If Wishing Made It So」
味わい深いミディアム・ソウル。同じスロウ〜ミディアムでも前述の「We've Come Long Way Baby」はイマイチな感じがしますが、コチラはなかなかグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=nl4fsv1ol84

「Funky Baby Feet」
ファンキー一直線といった趣のファンキー・チューン。Carmen Cosentinoのギターが冴え渡ります。

「Said You Didn't Love Her (Instrumental) 」
「Said You Didn't Love Him」のインスト・ヴァージョン。こちらのタイトルは"Him"ではなく"Her"になっていますが。

ご興味のある方は、この時期の他のBrunswick作品もチェックを!

The Eliminators『Loving Explosion』(1974年)
Loving Explosion

Maryann Farra & Satin Soul『Never Gonna Leave You』(1975年)
Never Gonna Leave You

Directions『Directions』(1975年)
ダイレクションズ(紙ジャケット仕様)

Exit 9『Straight Up』(1975年)
ストレイト・アップ(紙ジャケット仕様)

Step by Step『I Always Wanted to Be in the Band』(1976年)
アイ・オールウェイズ・ウォンテッド・トゥ・ビー・イン・ザ・バンド(紙ジャケット仕様)
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2011年10月09日

Florencia Ruiz『Luz De La Noche』

アルゼンチン・エクスペリメンタル・ポップの歌姫の最新作☆Florencia Ruiz『Luz De La Noche』
ルス・デ・ラ・ノーチェ~夜の光
発表年:2011年
ez的ジャンル:アルゼンチン・エクスペリメンタル・ポップ
気分は... :静かなる衝撃!

今回はアルゼンチン・エクスペリメンタル・ポップの歌姫Florencia Ruizの最新作『Luz De La Noche』です。

インパクトという点では、今年の新作の中で最も僕に衝撃を与えた1枚かもしれません。

近年、アルゼンチン音楽シーンへの注目は高まるばかりですね。
お隣のブラジルとは異なる独特の音世界を展開する新作が続々とリリースされており、CDショップでの売場の広がりを見ても勢いを感じます。

ただし、僕の嗜好としてはブラジルものをまず優先してしまうので、なかなかアルゼンチンものまで手が伸ばせないというのが実情です。CDショップで小まめに試聴はしていますが・・・

そんな中、CDショップで試聴し、"何だ!この作品は"という衝撃を受けて購入したのがFlorencia Ruiz『Luz De La Noche』です。

Florencia Ruizは1977年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれの女性シンガー・ソングライター。

2000年に6曲入りデビュー・ミニ・アルバム『Centro』(2000年)をリリース。その後、『Cuerpo』(2003年)、『Correr』(2005年)、『Mayo』(2007年)といったフル・アルバムをリリースしています。それ以外にもリミックス盤『Fogon』(2006年)、Ariel Minimalとの共演盤『Ese Impulso Superiorshortcut』(2008年)といったアルバムもリリースしています。

アルゼンチン・エクスペリメンタル・ポップの歌姫として、日本でも注目が高く、2008年と今年5月にもプロモーションで来日しています。

さて、最新作となる『Luz De La Noche』はアルゼンチン・メキシコ・アメリカ・日本の共同制作であり、2年以上の歳月をかけて制作されたのだとか。

そんな気合いの入った作品だけあって、レコーディングには多彩なミュージシャンが参加しています。まず、Florencia自身が参加を熱望したのが、ブラジル人チェロ奏者Jaques Morelenbaumとウルグアイ人キーボード奏者Hugo Fattorusoの2人。

2人共、当ブログでも度々登場しているミュージシャンです。Jaques Morelenbaumの名は、DadiCelso Fonseca等の記事で彼の名前が見られます。ウルグアイのフュージョン・グループOPAのメンバーとしても知られているHugo Fattorusoの名は、Flora PurimAirto MoreiraToninho Hortaの記事で登場します。

それ以外にもJuan Quintero(g、vo)、会田桃子(violin)、Pablo Agri(violin)、Mono Hurtado(contrabass)、Juampi di Leone(fl)、Marcos Cabezaz(per)、Facundo Guevara(per)等のミュージシャンが参加しています。

Juan Quinteroは、当ブログでも紹介したAndres Beeuwsaertらと共に、アルゼンチン・ネオ・フォルクローレ・シーンの重要グループAca Seca Trioのメンバーとしても活動しています。

また、日本人、会田桃子さんは日本のタンゴ・ヴァイオリン最高峰なのだそうです。勉強不足で全く知りませんでした。

プロデュース&アレンジはCarlos Villavicencio

まず惹かれるのがFlorenciaの透明感のある歌声です。Bjorkを初めて聴いた時と同じようなインパクトがありました。そして、ミニマルでエクスペリメンタルで美しいサウンドも素晴らしいの一言です。

また、Florenciaの書く歌詞も、諦めと希望という心の中で交錯する2つの思いが綴られ、さまざまな心情を重ね合わせながら聴くことができます。

数ヶ月前に紹介したTatiana Parra & Andres Beeuwsaert『Aqui』あたりにも共通する、純度の高い音楽という印象を強く受けます。

この静かなる衝撃作は、一人でも多くの人に聴いて欲しいですね。

全曲紹介しときやす。

「Alumbraremos」
邦題「私たちは輝くだろう」。Bjorkを連想させるFlorenciaのピュアな歌声と、雄大な音空間に惹き込まれてしまうオープニング。
http://www.youtube.com/watch?v=AFAX_M9Y6nM

「Estuve Asi」
邦題「私はこんな風だった」。僕が本作の購入を決めた一番のお気に入り曲。これぞアルゼンチン・エクスペリメンタル・ポップといった雰囲気の夢の音世界へ誘ってくれます。素晴らしい!
http://www.youtube.com/watch?v=cIiTR28tfJs

「No Esta」
邦題「そこにはいない」。エレピと弦楽器をバックに揺れ動く心模様を見事に歌い上げます。心が折れそうな時に聴くと、ホッと一息つけそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=SRkE9DrPAjQ

「Por Ahi」
邦題「その辺に」。短い曲ですが、Florenciaの歌&ギターが傷ついた心を優しく包み込んでくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=3w9hTjF7SM0

「Hacia El Final」
邦題「終わりに向けて」。パーカッシヴな仕上がりが僕好み。会田桃子さんの美しいヴァイオリンにも魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=ScJDJamDzbw

「iQue Pena!」
邦題「残念だ!」。1分半にも満たない曲ながらも実に知的な仕上がりに感心してしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=VX9WQQNDSXE

「Todo Dolor」
邦題「すべての痛み」。Florenciaが切望したJaques Morelenbaum、Hugo Fattorusoとの共演曲です。その意味では本作のハイライトの1つと言えるのでは?心の葛藤を歌うFlorenciaを、MorelenbaumのチェロとFattorusoのピアノが美しい音色で励ましてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=JuqPfcQriBg

「Nada De Vos」
邦題「あなたのことなど何も」。アルバムの中では一番ロック的で力強いサウンドを聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=vchrG-Q6NIA

「Invierno」
邦題「冬」。幻想的な雰囲気に包まれていく感じがいいですね!

「Una Condicion」
邦題「条件」。絶望からの呼びかけをロックなバッキングで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZkuDRKaRFu0

「Lo Perpetuo」
邦題「永遠なるもの」。命をテーマにした歌ですが、美しい前半と明るく開放的な後半のコントラストが印象的です。実に完成度の高いエクスペリメンタル・ポップに仕上がっていると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=D0jZHCUXzLM

「Ninez」
邦題「子供時代」。子供のピュアで無邪気な様子がサウンドから伝わってきます。途中、子供時代の悪夢も登場します。アルゼンチン版「みんなのうた」といった趣です(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=7nauQIBCVzQ

「El Futuro, Flor」
邦題「未来よ、フロール」。ダイナミックなサウンドで未来を歌います。しかし、Florenciaの歌う未来は必ずも明るいものばかりではないようです。

「Luz De La Noche」
邦題「夜の光」。タイトル曲は静寂の夜をそのまま音にしたようです。今夜は全てを忘れて眠りたい・・・
http://www.youtube.com/watch?v=zjviOL3xleg

国内盤にはボーナス・トラックとして「Mio」(邦題「私のもの」)が追加収録されています。

『Cuerpo/Centro』 ※『Centro』と『Cuerpo』の2in1
クエルポ/セントロ
posted by ez at 04:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする