2011年10月17日

Tom Scott With The California Dreamers『The Honeysuckle Breeze』

人気サックス奏者のデビュー作はサイケ&ソフトロックな1枚☆Tom Scott With The California Dreamers『The Honeysuckle Breeze』
HONEYSUCKLE BREEZE
発表年:1968年
ez的ジャンル:サイケ&ソフトロック系ジャズ
気分は... :何だかねぇ・・・

今回はウェスト・コーストを代表する人気サックス奏者Tom Scottのデビュー作Tom Scott With The California Dreamers『The Honeysuckle Breeze』(1968年)です。

ジャズ・ファンと言うよりも、レア・グルーヴ方面から再評価の高い作品ですね。

Tom Scottは1948年L.A.生まれのジャズ・サックス奏者。作曲家/編曲家Nathan Scottを父に持ち、9歳でクラリネット、12歳でサックスを演奏するようになります。

1968年に今回紹介する初リーダー作『Honeysuckle Breeze』をリリースします。1970年代に入ると、自身のリーダー作をコンスタントにリリースすると同時に、ロック/ポップスのヒット・アルバムのセッションに数多く参加し、ウェスト・コーストを代表する人気サックス奏者となっています。グラミーにも何度もノミネートされ、3度受賞しています。

僕の場合、Wingsのヒット・シングル「Listen to What the Man Said」でのサックス・ソロなどスタジオ・ミュージシャンの印象が強く、正直リーダー作はあまり聴いたことがありません。

それだけに今日紹介する『Honeysuckle Breeze』を初めて聴いた時には、僕のイメージするTom Scott像とかなりのギャップを感じました。

Tom Scottの初リーダー作となる本作『Honeysuckle Breeze』(1968年)は、コーラス・グループThe California Dreamersを迎え、60年代後半らしいサイケ&ソフトロック作品に仕上がっています。ジャケからしてサイケですからね!

The California Dreamersは、Gabor Szaboとのコラボ作品『Wind, Sky And Diamonds』(1967年)もリリースしています。

レコーディングには、Tom Scott(ts、ss、fl)、Mike Melvoin(p、org、harpsichord)、Lincoln Mayorga(p、harpsichord)、Bill Plummer(sitar)、Dennis Budimir(g)、Glen Campbell(g)、Louis Morell(g)、Max Bennett(b)、Carol Kaye(b)、Jim Gordon(ds)、Gene Estes(per)、Emil Richards(per)、The California Dreamers(vo)といったメンバーが参加しております。

正直、ジャズ・アルバムとして聴くよりも、サイケ&ソフトロック系作品として聴いた方が楽しめると思います。

The Beatles、The Association、John ColtraneDonovanAretha FranklinJefferson Airplane、Joan Baez、The Everly Brothersなどのヒット曲を、60年代後半らしいサイケ&ソフトロック・サウンドで聴かせてくれます。

Hip-Hopの定番サンプリング・ソースも多く、そうした方面からも楽しめます。

全曲紹介しときやす。

「The Honeysuckle Breeze」
Ian Freebairn-Smith作。シタールも入ったサイケ&ポップな仕上がりです。Tom Scottのサックスも絶好調!People Under The Stairs「Youth Explosion」のネタにもなっています。

「Never My Love」
The Associationのシングルとしてお馴染みの曲です。作者はAddrisi Brothers。基本的にはThe Associationヴァージョンを受け継いだサイケ&ソフトロックな仕上がりに、Tom Scottのブロウが絡みます。
http://www.youtube.com/watch?v=Y2ZWd4IHbOw

Pete Rock & C.L. Smooth「It's On You」、Ed O.G. & Da Bulldogs「Skinny Dip (Got It Goin' Down) 」のサンプリング・ソースとなっています。

Pete Rock & C.L.Smooth「It's On You」
 http://www.youtube.com/watch?v=8zakQu4HbH8
Ed O.G. & Da Bulldogs「Skinny Dip (Got It Goin' Down) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=6xSDsiOH-l4

「She's Leaving Home」
The Beatlesの名盤『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の有名曲。
当ブログではSyreetaのカヴァーも紹介済みです。ここでのTomはフルートを演奏しています。

「Naima」
John Coltraneが前妻Naimaに捧げた名曲。 『Giant Steps』(1959年)が初演ですが、当ブログでは『Live At The Village Vanguard Again!』のヴァージョンを紹介済みです。また、Gene HarrisPucho & His Latin Soul BrothersDoug Carnのカヴァーを紹介済みです。ここでは男女コーラス入りのロマンティックな「Naima」を聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=u3jlgGE7SEk

Lord Finesse「Speak Ya Peace」のサンプリング・ソースとなっています。
Lord Finesse「Speak Ya Peace」
 http://www.youtube.com/watch?v=4OrLdAO_nN4

「Mellow Yellow」
Donovanのヒット曲をカヴァー。オリジナルは『Mellow Yellow』(1967年)に収録されています。The California DreamersのコーラスとTom Scottのサックスの掛け合いがいい感じです。

「Baby, I Love You」
Aretha Franklinの大ヒット曲をカヴァー(Ronny Shannon作)。オリジナルは『Aretha Arrives』(1967年)収録されています。シタールのサイケな響きに先導され、サイケ&ポップ&ソウルな音世界が展開されます。個人的にはアルバムで一番好きです。

「Today」
Jefferson Airplaneのフォーク・ロック・バラードをカヴァー(Marty Balin/Paul Kantner作)。Jefferson Airplaneヴァージョンは当ブログで紹介した『Surrealistic Pillow』(1967年)および『Bless It's Pointed Little Head』(1969年)で聴くことができます。ここではThe California Dreamersが活躍するソフトロック調の仕上がりです。Tom Scottのサックスでは何処かで聴いたことのあるフレーズが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=KYKPc-DooNo

Pete Rock & C.L.Smooth「They Reminisce over You (T.R.O.Y.) 」Black Sheep「Similak Child」、Down South「Open Sesame」、Raazda Rukkuz「Da Chronic Asthmatics」、Slick Rick「It's A Boy(Remix)」等 のサンプリング・ソースとなっています。

Pete Rock & C.L.Smooth「They Reminisce over You (T.R.O.Y.) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=BONgL61snlM
Black Sheep「Similak Child」
 http://www.youtube.com/watch?v=Hvz0tELNH4w
Down South「Open Sesame」
 http://www.youtube.com/watch?v=0n2ZnTYPXEg
Raazda Rukkuz「Da Chronic Asthmatics」
 http://www.youtube.com/watch?v=xSYFvHKUibA

「North」
Joan Baezのカヴァー。The California Dreamersのドリーミー・コーラスも交えたサイケ&フォーキーな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=5-UpnE2O-uM

「Blues For Hari」
本作唯一のTom Scottのオリジナル。ノリの良さで言えば、アルバム随一なのでは・
http://www.youtube.com/watch?v=kdnzxVztCQg

「Deliver Me」
The Everly Brothersでお馴染みの曲(Danny Moore作)。ラストは軽快に締め括ってくれます。Justice System「Dedicated To Bambaataa (Diamond D Reminisce Mix) 」のサンプリング・ソースとなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=O4myBnB7XX8

週末は体調不良・・・
こりゃアカン!何とかせねば・・・
posted by ez at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする