発表年:1983年
ez的ジャンル:Power Station系N.Y.ファンク
気分は... :頑張れ!Nile Rodgers!
今日(10月21日)放送するWOWOWのドキュメンタリー番組『ノンフィクションW』でNile Rodgersが特集されます。昨年、突然の癌宣告を受け、今年1月に手術を受けたNile Rodgersの現在に密着する内容のようです。
それに関連して今回はNile Rodgersの初ソロ・アルバム『Adventures In The Land Of The Good Groove』(1983年)です。長い間、未CD化であった作品でしたが数年前にCD化が実現しました。
Nile Rodgersと言えば、1970年代後半〜80年代に世界中のダンスフロアを熱狂させたChicの主要メンバーであり、David Bowie、Madonnaらの大ヒット作を手掛けた売れっ子プロデューサーとしてお馴染みですね。
Nile Rodgers、Bernard Edwards、Tony Thompsonの3人が生み出すディスコ・サウンドで「Le Freak」、「Good Times」といった大ヒットを生み出し、一世を風靡したChicでしたが、80年代に入るとその勢いに翳りが見え始めます。
そんな中でリリースされたのが、Nile Rodgersの初ソロ・アルバム『Adventures In The Land Of The Good Groove』(1983年)でした。同年にBernard Edwardsも唯一のソロ・アルバム『Glad to Be Here』をリリースしています。いずれにしても従来のChicサウンドを新たなステージへ進化させるべき時期だったのでしょう。
同時に1983年はNile RodgersがDavid Bowieの大ヒット・アルバム『Let's Dance』をプロデュースした年でもあります。当時のテクノロジーを駆使したデジタル・サウンドにミキシング担当のBob Clearmountainが独特の音の広がりを与えたサウンドは、拠点スタジオであったN.Y.のPower Stationに因んで"パワー・ステーション・サウンド"と呼ばれ、その後の音楽シーンを席巻することになります。
本作『Adventures In The Land Of The Good Groove』もPower Stationでレコーディングされています(Bob Clearmountainは関与していませんが)。
レコーディングには、Chicの盟友Bernard Edwards(b)、Tony Thompson(ds)をはじめ、Fonzi Thornton(back vo)、Raymond Jones(key)、Rob Sabino(key)等のChicファミリーと呼べるミュージシャンも参加しています。しかし、Chicの延長線というよりも、テクノロジーを駆使した新たなグッド・グルーヴの確立に向けた冒険の場という位置づけのアルバムと言えるでしょう。
そのため、Chicサウンドを想像して聴くと多少肩透かしを食うかもしれません。それでもNile Rodgersらしいカッティング・ギターを随所で聴くことができます。
リアルタイムで本作のLPを購入しましたが、当時高校生の僕にはキャッチーさに欠ける気がしてピンと来ない面もありました。しかし、今聴くとパワー・ステーション仕様のNile Rodgersサウンドは、なかなか興味深く楽しめます。
『ノンフィクションW』が楽しみです。
再始動したたNile Rodgersを応援しましょう!
全曲紹介しときやす。
「The Land Of The Good Groove」
タイトル曲は本作らしい硬質なドラム・パターン&シンセ・サウンドにNileのカッティング・ギターが絡むファンク・チューン。シングルにもなりました。Chic的サウンドを期待していた当時は、このオープニングを聴いて多少戸惑ったものです。
http://www.youtube.com/watch?v=p3F7QA0E1-A
「Yum-Yum」
この曲もシングルになりました。マッチョな掛け声が印象的なダンス・チューン。無機質なリズムと少し悲しげなシンセの音色が本作らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Y4m9hpaRKeU
「Beet」
この曲はエクササイズのBGMにピッタリなのでは(笑)。昔から好きかどうかはよくわかないけど、とても気になる曲という感じすね。
「Get Her Crazy」
今回聴き直して、こんなに格好良い曲だったったけ?と魅力を再確認したのがこの曲です。Nileのギターが音空間を駆け巡ります。
http://www.youtube.com/watch?v=tifsBX0zfmE
「It's All In Your Hands」
今日、人気が高いのは本曲かもしれません。哀愁を帯びたミッド・グルーヴはN.Y.の夜らしいエレガントな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=Od7PG4CZ3SM
「Rock Bottom」
一番のお気に入り曲。Bernard Edwards、Tony Thompsonをバックに、Nileの格好良いギターを満喫できるのがいいですね。Nileのソロ・アルバムを聴いている満足感に浸れます。
http://www.youtube.com/watch?v=76XyG7U2TD8
「My Love Song For You」
元LabelleのSarah Dashとのデュエットによる本作唯一のバラード。昔からアルバムで最も多く聴いているのは本曲かもしれません。この曲がNile Rodgersらしいのかはビミョーかもしれませんが、素敵な大人のラブ・バラードにうっとりします。
http://www.youtube.com/watch?v=ZsEOxNVJb2U
「Most Down」
昔は少し退屈な曲に感じたミッド・グルーヴですが、今聴くとそんなに悪くないですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DKjxluLfg6E
CDには「The Land Of The Good Groove」、「Yum-Yum」のExtended Versionが追加収録されています。
本作に続き、1985年にソロ第2弾アルバム『B-Movie Matinee』をリリースしています。
『B-Movie Matinee』(1985年)
Nile Rodgers関連の過去記事もご参照下さい。
Chic『Chic』(1977年)
Chic『C'est Chic』(1978年)
Chic『Risque』(1979年)
Bernard Edwards『Glad to Be Here』(1983年)