録音年:1964年
ez的ジャンル:新主流派Jazz
気分は... :キスマークにご注意を!
今回は人気ジャズ・サックス奏者Wayne Shorterの『Speak No Evil』(1964年)です。
これまで当ブログで紹介したWayne Shorter作品は以下の3枚です。
『Night Dreamer』(1964年)、
『Adam's Apple』(1966年)
『Schizophrenia』(1967年)
今回紹介する『Speak No Evil』は、『Night Dreamer』、『Juju』に続くBlue Note第3弾アルバムです。Wayne Shorterの最高傑作に挙げる人も多いアルバムですね。
第二期黄金クインテットの最後の1ピースとして、1964年半ばに帝王Miles Davisのグループに加わったWayne Shorterですが、本作はMilesのクインテット加入後にレコーディングされた作品です。
レコーディング・メンバーは、Wayne Shorter(ts)、Freddie Hubbard(tp)、Herbie Hancock(p) 、Ron Carter(b)、Elvin Jones(ds)というクインテット編成です。
黄金クインテットの同僚HancockとCarter、Art Blakey & the Jazz Messengers時代の同僚Hubbard、そしてJohn Coltraneのカルテットのドラマーであり、『Night Dreamer』、『Juju』にも参加していたElvinという強力布陣です。このメンバーを見ただけで名盤という気がしますよね。個人的にはElvinの存在がいいアクセントになっていると思います。
決して派手さのあるアルバムではありませんが、ミステリアスかつエレガントなShorterの妖しい美意識を満喫できる1枚になっています。
キスマーク付のジャケも印象的です。ちなみにジャケに写る東洋系女性はShorterの最初の奥さんTeruka Nakagamiです。
全6曲、全てWayne Shorterのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「Witch Hunt」
オープニングのタイトルは「魔女狩り」。Shorterらしいタイトルですね。クールな中にも不穏な緊張感が漂います。ShorterとHubbardの絡みにグッとくるテーマに続き、Shorter〜Hubbard〜Hancockの順でソロが展開されます。全体を支配する張り詰めた空気はElvinのドラムに拠るところが大きいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=njo1zvr216s
「Fee-Fi-Fo-Fum」
タイトルは童話『ジャックと豆の木』に出てくる人食い巨人がジャックのにおいを嗅ぎつけるときに発する言葉らしいっす。全体としてはブルージーな演奏を楽しめます。人食い巨人がのっしのっしと歩く様子を音にしたのでしょうが、小粋な感じで仕上げるのがこのメンツらしいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=clGrqjuZI3M
「Dance Cadaverous」
このタイトルも不気味ですね。演奏自体はクールネスに満ちたワルツ・チューンです。Hancockの美しいソロが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=VLdCV5t5tb8
「Speak No Evil」
タイトル曲が僕の一番のお気に入り。このメンツの美意識が凝縮された新主流派らしい演奏を満喫できます。特にShorterとHubbardの2管にHancockのピアノが絡むテーマ部分が格好良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=fvRkGglLe-U
「Infant Eyes」
名コンポーザーShorterの才能を実感できる美しいバラード。ここではShorterのワン・ホーンで聴かせてくれます。Shorterのリリカルなテナーを堪能しましょう。バラード好きの方であれば要チェックの演奏だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=NfkdV6ZaEuM
「Wild Flower」
ラストはエレガントなワルツ・チューン。密かに好きな演奏です。全体的に軽やかな感じがいいですね。Shorter〜Hubbard〜Hancockのソロも絶好調です。
http://www.youtube.com/watch?v=WmDo-jMBV1s
Wayne Shorterの過去記事もご参照下さい。
『Night Dreamer』(1964年)
『Adam's Apple』(1966年)
『Schizophrenia』(1967年)