2011年11月08日

State Of Art『Community』

Raymond JonesとNorma Jean WrightによるR&Bユニット☆State Of Art『Community』
state of art community.jpg
発表年:1991年
ez的ジャンル:ハイブリッド系90年代R&B
気分は... :なかなか興味深い参加メンバー!

今回はChicファンには馴染み深い2人、Raymond JonesNorma Jean WrightによるR&BユニットState Of Artの唯一のアルバム『Community』(1991年)です。

Raymond JonesChicには欠かせないキーボード奏者、Norma Jean WrightChicの初代リード・ヴォーカリストとしてお馴染みですね。

先月エントリーしたNile Rodgers『Adventures In The Land Of The Good Groove』の記事を書く際に関連情報をググっていたら、Raymond Jonesが今年亡くなったことを知り、自宅のCD棚からすっかり忘却していた本作を引っ張り出してきました。

State Of Artの唯一のアルバムである『Community』(1991年)は、昔も今もマイナーなアルバムだと思います。

リアルタイムで本作を購入しましたが、Chic関連メンバーによるユニットだと知ったのは購入後でした。記憶にありませんが、CDショップで試聴して衝動買いしたのだと思います。

久々に聴いてみると、派手さはありませんが、なかなか洗練されたR&B作品に仕上がっていると思います。ハウス/クラブ・ミュージック、Hip-Hop、ジャズ、ファンク、ワールド・ミュージック等のエッセンスを上手くR&Bと融合させているのが印象的です。

改めて参加ミュージシャンをチェックしてみると、多彩なメンバーが参加しており、実に興味深いですね。

主な参加ミュージシャンを紹介すると、当時の売れっ子ハウス・プロデューサーRoger S.、Ice-Tを筆頭とした西海岸のHip-HopファミリーRhyme Syndicateの一員Bilal Bashir、P-Funkの大物ミュージシャンBootsy Collins、Bernie Worrell、1980年代にジャズ/ソウル分野で活躍していた男性シンガー/ギタリスト/プロデューサーRandy Hall、当ブログでもお馴染み大物ジャズ・サックス奏者Joe HendersonMiles Davisの甥っ子であるドラマーVincent Wilburn、南アフリカのコーラス・グループLadysmith Black Mambaz、ブラジル人シンガー/ギタリスト/コンポーザーDori Caymmiといったところです。

Chicのイメージで聴くと、かなりギャップのある作品かもしれません。
しかしながら、さまざまな音楽ジャンルの距離が近かった、90年代初頭の作品の楽しさを満喫できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Unity」
オープニングはRoger S.が参加したハウス調の仕上がり。ソウルフルなNormaのヴォーカルとスウィートなRaymondのヴォーカルがハウス・サウンドと意外にマッチしています。

「Understanding」
シングルにもなった曲。メンバー2人と共にBilal Bashirがプロデュースで参加しています。Bilal Bashirによるクールなリズム・トラックをバックにNormaが艷やかなヴォーカルを聴かせてくれます。R&B好きよりもクラブ・ミュージック好きの人が気にいるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=dzsv0E8pNcs

「Laughing At The Tears」
Normaのヴォーカルを前面に打ち出したオーセンティックなバラード。悪くはありませんが、面白みに欠けるかも?

「Police State」
Ladysmith Black MambazoのコーラスとJoe Hendersonとテナー・サックスをフィーチャー。全体的にはアフリカン・テイストのクールなR&Bチューンに仕上がっています。

「I Like」
メンバー2人と共にRandy Hallがプロデュース。Bernie Worrellも参加しています。ブラコン・テイストのアーバン・チューンに仕上がっています。Randy Hallのギター・ソロがいい感じ。

「Beating Heart」
哀愁モードのR&Bチューン。ジャジーなフリューゲルホーンが盛り上げてくれます。

「The Healing」
当時のUKソウル/クラブ・ミュージック寄りのクールな仕上がり。

「Know Who You Are」
Bootsy Collinsがギター/ベースで参加。ホーン・セクションも盛り上げてくれるファンキー・チューンです。ラップやサンプリング・ループも用いており、90年代初頭らしいダンサブルなHip-Hopチューンがお好きな人はグッとくると思います。

「27 Years」
前曲から一転して正統派のバラード。Raymondがリード・ヴォーカルです。Dori Caymmiがストリングス・アレンジを手掛けています。

「Mother」
メンバー2人と共にBert Priceがプロデュース。Normaが切々と歌います。

「Heaven」
メンバー2人と共にRandy Hallがプロデュース。この曲はプログラミングなしの生演奏です。少しヒネりが欲しい気がします。

ご興味がある方はNormaのソロもチェックを!

Norma Jean『Norma Jean』(1978年)
Norma Jean
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2011年11月06日

Mario Biondi『If』

イタリアの伊達男巨漢シンガーの最新作が遂に国内CD化☆Mario Biondi『If』
IF
発表年:2009年
ez的ジャンル:伊達男系男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :長い間待っていました・・・

今回はイタリア人男性ジャズ・シンガーMario Biondiの最新作『If』です。

ヨーロッパでは2009年にリリースされたアルバムですが、日本では入手しづらい状況が続いていました。2年の歳月を経て、ようやく国内盤CDが発売されることとなり、多くのクラブジャズ・ファンが歓喜していることと思います。

そんな経緯で、2009年の作品ですが新作扱いで紹介させてもらいます。

2メートルを超えるイタリア人の巨漢シンガーMario Biondiの紹介は、話題となった前作『Handful Of Soul』(2006年)に続き2回目となります。

僕がクラブジャスを聴く比重が高まったのは、ここ4〜5年のことですが、そのきっかけとなった1枚がMario Biondiのデビュー・アルバム『Handful Of Soul』(2006年)でした。

人気トランぺッターFabrizio BossoをはじめとするHigh Five Quintetをバックに従えた『Handful Of Soul』は、クラブジャズの人気レーベルSchemaからのリリースということもあり、スタイリッシュなイタリア・クラブジャズの魅力を存分に伝えてくれました。

何よりMario Biondiのチョイちょい悪オヤジ系の伊達男な風貌と、彼の武骨かつ激シブの低音ヴォーカルに魅了されてしまいました。

2ndアルバムとなる本作『If』は、レーベルをSchemaからTatticaへ移ってのリリースとなりました。

Schemaらしいクラブジャズ作品に仕上がっていた『Handful Of Soul』と比較すると、もう少し幅を広げたエレガントなジャズ・ヴォーカル作品に仕上がっています。

もちろん、『Handful Of Soul』からのキラー・チューン「This Is What You Are」のような疾走感のあるクラブジャズ・チューンもありますが・・・
相変わらずの伊達男らしい武骨な激シブ・ヴォーカルに加え、優しく語り掛けるようなジェントル・ヴォーカルも楽しめます。

ジャズ・シンガーとして成熟していくBiondiの男臭いヴォーカルを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Serenity」
オススメその1。このオープニングが僕の一番のお気に入り。ジャズ・サックス奏者Herb Gellerの作品のカヴァーです。オリジナルは『Rhyme and Reason』(1975年)に収録された「Sudden Senility」であり、Mark Murphyがヴォーカルをとっていました。Biondiに"低音ヴォーカルのMark Murphy"といったイメージを抱いていたので、まさにハマりまくりのカヴァーだと思います。軽快なホーンが爽快に鳴り響く都会的サウンドもBiondiの激シブ・ヴォーカルとマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=YUNGgTMTgx0

Herb Geller feat. Mark Murphy「Sudden Senility」
 http://www.youtube.com/watch?v=LV9ddV0R5hA

「Something That Was Beautiful」
オススメその2。Burt Bacharach作品。Biondiの低音ヴォーカルが優しく胸に染み渡ってくる感動的な仕上がり。Bacharachらしい美しいメロディがBiondiの激シブ・ヴォーカルにマイルドな味わいをもたらしているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=9jI3cK9mfxg

「Be Lonely」
オススメその3。ビューティフルに疾走します。軽快なリズムとエレガントなストリングスが感動的かつ温かみのあるBiondiの激シブ・ヴォーカルを引き立ててくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=8a7DBXlK8S0

「Love Dreamer」
オススメその4。クラブ・ジャズらしいクールな仕上がり。Biondiらしいビター・スウィートな味わいを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=iwqAh6NtqEM

「Blackshop」
ジャズ・ヴォーカル然としたエレガントな仕上がりが印象的です。切々と歌う低音ヴォーカルが腹に響いてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=xB2PNpovC74

「If」
タイトル曲はいつもにも増して低音ヴォーカルを響かせるバラード。伊達男らしからぬナチュラルな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=RhrKNVu9yME

「I Wanna Make It」
優しく語りかけるようにBiondiが歌うバラード。ジャズ・ヴォーカリストとしての成熟を感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=L2NVCgOnhR8

「No Mo' Trouble」
ハモンド・オルガンも聴こえてくるファンキー・サウンドをバックにしたソウルフルな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=29wYNjvgOds

クラブジャズ・ファンはIncognitoによるリミックスも要チェックです。

「No Mo' Trouble (Incognito Remix) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=YO3MhcgTd0s

「Ecstasy」
バックにゴスペル・コーラス隊も配した感動バラード。Biondiの熱唱は体格同様にパワフルです。
http://www.youtube.com/watch?v=Zzxwbt4m1M4

「I Know It's Over」
Carlo Alberto Rossi/Alberto Rossi/Antonina Armato作。イタリアの巨匠コンポーザーCarlo Alberto Rossiの作品。ノスタルジックかつ開放的な空気感がリラックスさせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=U

「Winter In America」
オススメその5。故Gil Scott-Heronの名曲をカヴァー。オリジナルは『The First Minute of a New Day』(1975年)に収録されています。BiondiがGil Scott-Heron をカヴァーするのって何となくわかる気がします。Gil Scott-Heronの意志を受け継ぎ、その鋭いメッセージを再び投げ掛けます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZXhWC7CiqWw

「Everlasting Harmony」
Biondiらしい激シブ・チューン。酒場で一杯煽りながら聴きたい雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=Gb5oVJ2-E2U

「Cry Anymore」
ジェントルなバラード。女性バック・ヴォーカル隊が感動的なコーラスで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=bO1hqZ-ZF28

「Little B's Poem」
オススメその6。Bobby Hutcherson作の人気曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Components』(1965年)に収録されています。Doug CarnやDee Dee Bredgewater等のカヴァーでもお馴染みですね。オリジナル同様のワルツ調サウンドと伊達男らしい激シブ・ヴォーカルがよくマッチしたエレガントな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=fWzTWckrrJY

「Bom De Doer」
ラストはポルトガル語で歌われるバラード。低音ヴォーカルでしっとりと聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=BejvOWYiXQQ

未チェックの方はデビュー作『Handful Of Soul』(2006年)やリミックス&リワーク集アルバム『Change of Scenes』もチェックを!

『Handful Of Soul』(2006年)
ハンドフル・オブ・ソウル

『Change of Scenes』(2011年)
Change of Scenes
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2011年11月05日

Esther Williams『Let Me Show You』

至福のダンス・クラシック「Last Night Changed It All (I Really Had A Ball) 」収録☆Esther Williams『Let Me Show You』
レット・ミー・ショウ・ユー
発表年:1976年
ez的ジャンル:N.Y.ディスコ/ソウル
気分は... :目立つぞブルース!悪い意味で・・・

今回はレア・グルーヴ/フリーソウル・ファンに大人気のアルバム、Esther Williams『Let Me Show You』(1976年)です。

Esther Williamsの詳しいプロフィールについてはわかりませんが、『Let Me Show You』(1976年)、『Bustin' Out』(1978年)、『Inside Of Me』(1981年)といったアルバムをリリースしているようです。

Esther Williamsへの再評価が高まったのは、本作に収録された「Last Night Changed It All (I Really Had A Ball) 」がHip-Hopのサンプリング・ソースやディスコ・クラシックとして注目を集めるようになったためです。

その意味では、何はともあれ「Last Night Changed It All (I Really Had A Ball) 」を聴くべきだと思います。

本作『Let Me Show You』(1976年)はN.Y.のレーベルFriends & Coからリリースされ、同レーベル所属のEddie Drennon & The B.B.S. Unlimitedがバックを務めています。Eddie Drennon & The B.B.S. Unlimitedはディスコ・チューン「Let's Do The Latin Hustle」でも知られています。

Eddie Drennon & The B.B.S. Unlimited「Let's Do The Latin Hustle」
 http://www.youtube.com/watch?v=QXoevHyOF_o

彼らのファンキーな演奏が生み出すディスコ・サウンドも本作の大きな魅力です。さらにリーダーEddie Drennonは、「Last Night Changed It All (I Really Had A Ball) 」をはじめ4曲のプロデュースを手掛けています。それ以外にRoy Normanが3曲、ディスコ系プロデューサーのGreg Carmichaelが2曲をプロデュースしています。。

全体としては、Esther Williamsのキュートで開放的な歌声が響く、華やかなディスコ/ダンス・アルバムに仕上がっています。ハイライトは「Last Night Changed It All (I Really Had A Ball) 」ですが、それ以外にも「You Gotta Let Me Show You」「Every Dog Has His Day」「It Feels Real Good」といった至福のディスコ/ダンス・チューンが揃っています。

また、本作のミックス担当はN.Y.ディスコの大物プロデューサーTom Moultonです。そのTom Moultonが本作を全曲リミックスした音源集『Let Me Show You(A Tom Moulton Mix)』も2009年にリリースされています。

『Let Me Show You(A Tom Moulton Mix)』
レット・ミー・ショウ・ユー“

レア・グルーヴ/フリーソウル好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「You Gotta Let Me Show You」
オススメその1。タイトなリズムと美しいストリングスが印象的なダンス・チューン。Estherのレディ・ソウルなヴォーカルもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=4Bc1IS72nr4

「Every Dog Has His Day」
オススメその2。個人的には「Last Night Changed It All (I Really Had A Ball) 」と並びお気に入りのダンス・チューン。この躍動するグルーヴ感はフリーソウル系の音がお好きな人にはど真ん中なのでは?

「It Feels Real Good」
オススメその3。Greg Carmichaelプロデュース曲。冒頭のドラム・ブレイクでKOされてしまうファンキー・ダンス・チューン。週末の夜遊びモードにピッタリな1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=2xooXWxAQr4

「Love Train」
ソウル・トレインな雰囲気がよく似合うダンス・チューン。エレガントなストリングスで盛り上げてくれます。

「The Very Thought Of You」
美しくも切ないEstherのヴォーカルにグッとくる哀愁バラード。

「Its All In The Way You Dance」
フィリー・ソウル好きの人が気に入りそうなダンス・チューン。キュートなEstherのヴォーカルが爽やかに響き渡ります。
http://www.youtube.com/watch?v=g56Vm62Jw8c

「Never Say Never」
哀愁モードのミッド・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=9sxhgIONzQs

「Last Night Changed It All (I Really Had A Ball) 」
オススメその4。前述のように本作のハイライト。問答無用のダンス・クラシック。電話の音と共に始まるブレイクからして心を奪われてしまいます。聴いているだけで心トキメキますな。皆んなで聴けば盛り上がること間違いナシですね。
http://www.youtube.com/watch?v=2yc-oP5OzoY

本曲は定番サンプリング・ソースとしてもお馴染みですね。Eric B. & Rakim「I Know You Got Soul (Richie Rich Mega Mix)」、Kid 'N Play「Last Night」、TLC「Bad by Myself」Public Enemy「Anti-Nigger Machine」、Kriss Kross「Can't Stop the Bum Rush」、Ultramagnetic MC's「Stop Jockin Me 」 、Guru(Jazzmatazz)「When You're Near」、De La Soul「Come On Down」、Ghostface Killah「Last Night (Skit) 」等でサンプリングされています。

「Searching For Somebody Else」
オススメその5。ラストはGreg Carmichaelプロデュース。キュートなEstherのヴォーカルとマッチしたエレガントなダンス・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=W6WWXfL_hcY

CDにはボーナス・トラックとして、「Last Night Changed It All (I Really Had A Ball) 」の45'ヴァージョンが収録されています。

興味がある方は、Esther Williamsのメジャー作品『Inside Of Me』(1981年)やEddie Drennon & The B.B.S. Unlimitedのアルバム『Collage』(1975年)もチェックを!

『Inside Of Me』(1981年)
INSIDE OF ME

Eddie Drennon & The B.B.S. Unlimited『Collage』(1975年)
Collage
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2011年11月04日

Sergio Mendes & Brasil '66『Fool On The Hill』

人気絶頂を極めたBrasil '66最大のヒット・アルバム☆Sergio Mendes & Brasil '66『Fool On The Hill』
フール・オン・ザ・ヒル
発表年:1968年
ez的ジャンル:魅惑のブラジリアン・ポップ
気分は... :心をポップ・モードに!

今回はSergio Mendes & Brasil '66『Fool On The Hill』(1968年)です。
セルメンを聴いて心の中をポップ・モードにしたい気分っす!

これまで紹介してきたSergio Mendes作品は以下の6枚。

 『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66』(1966年)
 『Equinox』(1967年)
 『Look Around』(1968年)
 『Crystal Illusions』(1969年)
 『Vintage 74』(1974年)
 『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)

『Fool On The Hill』は、第2期Brasil '66の幕開けとなるアルバムです。

本作からSergio Mendes(p、vo)、Lani Hall(vo)以外のメンバーを一新し、Karen Philipp(vo)、Sebastiao Neto(b)、Dom Um Romao(ds)、Rubens Bassini(per)の4名が新メンバーとして加わっています。メンバー全員がブラジル人ミュージシャンで固められているのが、第2期Brasil '66の特徴かもしれません。

さらに本作ではGracinha Leporace(vo)、Oscar Castro-Neves(g)がレコーディングに参加しています。Gracinha Leporaceは後にBossa Rioのメンバーとなり、さらにSergio Mendesと結婚することになります。

メンバー・チェンジをした効果があったのか、アルバムは全米チャート第3位となり、「Fool On The Hill」(全米チャート第6位)、「Scarborough Fair」(同第16位)といったヒット・シングルも生まれ、商業的に大成功を収めました。

第1期Brasil '66同様に魅惑のブラジリアン・ポップを満喫できますが、アレンジ・センスに磨きが掛かった印象を受けます。

本作で特徴的なのは、人気ブラジル人シンガー・ソングライターEdu Loboの作品を4曲も取り上げている点です。また、The Beatles、Simon & Garfunkelといった当時の有名アーティストの超有名曲をフレッシュなアレンジで聴けるのもポイント高いです。

プロデュース&アレンジはSergio Mendes、さらにDave Grusinがオーケストレーションを担当しています。

人気絶頂期のセルメンを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Fool on the Hill」
オススメその1。タイトル曲はお馴染みThe Beatlesの名曲カヴァー(Lennon-McCartney作)。小粋なアレンジでThe Beatlesのオリジナルとは異なる雰囲気の「Fool on the Hill」を聴かせてくれます。かなりの名カヴァーなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=Cm9EwchY4ys

「Festa」
Dori Caymmi/Paulo Cesar Pinheiro作品にLani Hallが英詞をつけたもの。軽快パートとロマンティック・パートが繰り返されるドラマティックな仕上がり。

「Casa Forte」
オススメその2。Edu Loboの人気曲。当ブログではEdu Loboのオリジナル、Elis Reginaのカヴァーを紹介済みです。本曲と言えば、魅惑のスキャット・パートがお馴染みですが、本ヴァージョンでも存分に満喫できます。いつ聴いても名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=cE4xFov8HX0

「Canto Triste」
Edu Lobo/Vinícius de Moraes作品にLani Hallが英詞をつけたもの。ムーディーなストリングスをバックにした哀愁バラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=79hgeNAeQfY

「Upa, Neguinho」
Edu Lobo/Gianfrancesco Guarnieri作。クラブ世代からの支持も高い人気曲ですが、当ブログではEdu Lobo & Maria Bethaniaヴァージョンや、Elis Reginaの『Elis Especial』ヴァージョン、『Elis Regina in London』ヴァージョンを紹介です。セルメン・ヴァージョンではポップで親しみやすい「Upa, Neguinho」を楽しむことができます。

「Lapinha」
オススメその3。Baden Powell/Paulo Cesar Pinheiro作。Baden Powellによるサンバ・チューンをミステリアス&エレガントに聴かせてくれます。ここではGracinha Leporaceがヴォーカル、Oscar Castro-Nevesがギターで加わり、盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=hO0upi9pUAs

「Scarborough Fair」
オススメその4。Simon & Garfunkelでお馴染みの名曲。「Fool on the Hill」同様、抜群のアレンジ・センスで一味違った「Scarborough Fair」を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=WMcHP2mnZKw

「When Summer Turns To Snow」
Dave Grusin/Alan Bergman/Marilyn Bergman作。Mendes自身のヴォーカルも楽しめるバラード。しっとりと聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=V8ejZtZKjI0

「Laia Ladaia (Reza)」
オススメその5。Edu Lobo/Ruy Guerra作。ラストもEdu Lobo作品で締め括ってくれます。当ブログではLennie Dale & Sambalanco TrioTamba 4The Carnivalのヴァージョンも紹介済みです。セルメンはBrasil '65時代も本曲をカヴァーしていますね。本ヴァージョンはエレガントな躍動感がグッとくる仕上がりです。

Sergio Mendes作品の過去記事もご参照下さい。

『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)
マシュ・ケ・ナーダ

『Equinox』(1967年)
分岐点~コンスタント・レイン

『Look Around』(1968年)
Look Around

『Crystal Illusions』(1969年)
Crystal Illusions

『Vintage 74』(1974年)
Vintage '74

『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)
Sergio Mendes & the New Brasil '77
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2011年11月03日

Beady Belle『Home』

デビュー作はフューチャー・ジャズな仕上がり☆Beady Belle『Home』
ホーム
発表年:2001年
ez的ジャンル:ノルディック・フューチャー・ジャズ
気分は... :やっとの思いで・・・

今日は週前半の精神的・肉体的疲労でガス欠状態・・・ぐったりして何もやる気がしません。
やっとの思いでエントリーしている次第です。

今回はノルウェー出身のジャズ・ユニットBeady Belleのデビュー・アルバム『Home』(2001年)です。

これまで、スウェーデン、デンマーク、フィンランドのアーティストは紹介してきましたが、もしかしたらノルウェーのアーティストを紹介するのは初めてかもしれませんね。

Beady Belleは、1999年にノルウェー、オスロで結成された女性シンガーBeate Slettevold Lechとマルチ・ミュージシャンMarius Reksjoから成るユニット。実質的にはフロントのBeate S. Lech = Beady Belleという感じだと思います。

ノルウェー人ジャズ・ピアニストBugge Wesseltoftが主宰するジャズ・レーベルJazzlandに所属しています。

今日紹介する『Home』(2001年)を皮切りに、『Cewbeagappic』(2003年)、『Closer』(2005年)、『Belvedere』(2008年)、『At Welding Bridge 』(2010年)という5枚のアルバムをリリースしています。

Beate S. Lech(1974年生まれ)の両親はジャズ・ミュージシャンであり、彼女のベースには常にジャズがあるのだと思います。そこにフューチャー・ジャズ、ジャズ・ファンク、ダウンテンポなどのエッセンスが加わっていったの

2nd『Cewbeagappic』以降は、よりBeateの歌を重視したダウンテンポな作品へシフトしていきますが、デビュー作である本作『Home』ではフューチャー・ジャズ作品に仕上がっており、ポップなクラブ・ミュージックとして楽しむことができます。

その意味では、本作においてアーティストBeate S. Lechの本来の姿は希薄なのかもしれません。それでも北欧のフューチャー・ジャズ/クラブ・ミュージックに興味がある方は十分楽しめる1枚だと思います。

プロデュース(1曲を除く)&ソングライティング(共作含む)はメンバー自身で手掛けています。

全曲を紹介しときやす。

「Ghosts」
オススメその1。オープニングはドラムンベース調のフューチャー・ジャズ。シングルにもなりました。ドラムンベースのリズムをバックに、Beateの憂いを帯びたヴォーカルが切なく響きます。
http://www.youtube.com/watch?v=iI9lxW8FTYs

「Moderation」
オススメその2。ハウシーなフューチャー・ジャズ。聴いていて心地好い爽快なダンス・チューンに仕上がっています。歌モノ・ハウスがお好きな人であれば気に入ると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=QMSYs0X0qxY ※ライブ映像

「Lose & Win」
この曲もシングルになりました。ミッド・グルーヴの落ち着いたソウル・チューンです。キュートで切ないBeateのヴォーカルにグッときます。

「On The Radio (Interlude)」
ラジオ調の短いインタールード。

「Drawback」
オススメその3。クラブジャズ・テイストのダンス・チューン。Marius Reksjoのベースに先導されたクール&ダンサブルなサウンドがたまりません。エレクトリック・シタールの響きも僕好み。

「Waiting (Interlude)」
幻想的なインタールード。

「In A Good Way」
2nd以降の流れを予感させる少しダウンテンポ調の仕上がりです。

「Game」
オススメその4。ジャジー&ミステリアスといった趣の幻想的な仕上がり。ヴァイヴの音色が心地好いです。

「Mobile Bubble」
オススメその5。「Ghosts」と同じくドラムンベース調の仕上がり。少し抑えたBeateのキュート・ヴォーカルとポップ&ドリーミーなダンス・サウンドがよくマッチしています。

「Pantile」
ジャジー&ダウンテンポな仕上がり。2nd以降の流れから振り返ると、Beateらしい仕上がりと言えるのかもしれません。

「Consolatory Dance」
オススメその6。本曲のみレーベル総帥Bugge Wesseltoftがプロデュース。ラストはポップ&ハウシー&フュージョンなダンス・チューンで締め括ってくれます。♪エヴリバディ・ダンス・ダンス・ダンス♪

国内盤にはボーナストラックとして「Aim To Please」が追加収録されています。

本作とは路線が異なりますが、2nd以降の作品もチェックを!

『Cewbeagappic』(2003年)
キュービーガピック

『Closer』(2005年)
クローサー

『Belvedere』(2008年)
ベルヴェデール

『At Welding Bridge 』(2010年)
At Welding Bridge
posted by ez at 15:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする