発表年:1991年
ez的ジャンル:ハイブリッド系90年代R&B
気分は... :なかなか興味深い参加メンバー!
今回はChicファンには馴染み深い2人、Raymond Jones、Norma Jean WrightによるR&BユニットState Of Artの唯一のアルバム『Community』(1991年)です。
Raymond JonesはChicには欠かせないキーボード奏者、Norma Jean WrightはChicの初代リード・ヴォーカリストとしてお馴染みですね。
先月エントリーしたNile Rodgers『Adventures In The Land Of The Good Groove』の記事を書く際に関連情報をググっていたら、Raymond Jonesが今年亡くなったことを知り、自宅のCD棚からすっかり忘却していた本作を引っ張り出してきました。
State Of Artの唯一のアルバムである『Community』(1991年)は、昔も今もマイナーなアルバムだと思います。
リアルタイムで本作を購入しましたが、Chic関連メンバーによるユニットだと知ったのは購入後でした。記憶にありませんが、CDショップで試聴して衝動買いしたのだと思います。
久々に聴いてみると、派手さはありませんが、なかなか洗練されたR&B作品に仕上がっていると思います。ハウス/クラブ・ミュージック、Hip-Hop、ジャズ、ファンク、ワールド・ミュージック等のエッセンスを上手くR&Bと融合させているのが印象的です。
改めて参加ミュージシャンをチェックしてみると、多彩なメンバーが参加しており、実に興味深いですね。
主な参加ミュージシャンを紹介すると、当時の売れっ子ハウス・プロデューサーRoger S.、Ice-Tを筆頭とした西海岸のHip-HopファミリーRhyme Syndicateの一員Bilal Bashir、P-Funkの大物ミュージシャンBootsy Collins、Bernie Worrell、1980年代にジャズ/ソウル分野で活躍していた男性シンガー/ギタリスト/プロデューサーRandy Hall、当ブログでもお馴染み大物ジャズ・サックス奏者Joe Henderson、Miles Davisの甥っ子であるドラマーVincent Wilburn、南アフリカのコーラス・グループLadysmith Black Mambaz、ブラジル人シンガー/ギタリスト/コンポーザーDori Caymmiといったところです。
Chicのイメージで聴くと、かなりギャップのある作品かもしれません。
しかしながら、さまざまな音楽ジャンルの距離が近かった、90年代初頭の作品の楽しさを満喫できる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Unity」
オープニングはRoger S.が参加したハウス調の仕上がり。ソウルフルなNormaのヴォーカルとスウィートなRaymondのヴォーカルがハウス・サウンドと意外にマッチしています。
「Understanding」
シングルにもなった曲。メンバー2人と共にBilal Bashirがプロデュースで参加しています。Bilal Bashirによるクールなリズム・トラックをバックにNormaが艷やかなヴォーカルを聴かせてくれます。R&B好きよりもクラブ・ミュージック好きの人が気にいるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=dzsv0E8pNcs
「Laughing At The Tears」
Normaのヴォーカルを前面に打ち出したオーセンティックなバラード。悪くはありませんが、面白みに欠けるかも?
「Police State」
Ladysmith Black MambazoのコーラスとJoe Hendersonとテナー・サックスをフィーチャー。全体的にはアフリカン・テイストのクールなR&Bチューンに仕上がっています。
「I Like」
メンバー2人と共にRandy Hallがプロデュース。Bernie Worrellも参加しています。ブラコン・テイストのアーバン・チューンに仕上がっています。Randy Hallのギター・ソロがいい感じ。
「Beating Heart」
哀愁モードのR&Bチューン。ジャジーなフリューゲルホーンが盛り上げてくれます。
「The Healing」
当時のUKソウル/クラブ・ミュージック寄りのクールな仕上がり。
「Know Who You Are」
Bootsy Collinsがギター/ベースで参加。ホーン・セクションも盛り上げてくれるファンキー・チューンです。ラップやサンプリング・ループも用いており、90年代初頭らしいダンサブルなHip-Hopチューンがお好きな人はグッとくると思います。
「27 Years」
前曲から一転して正統派のバラード。Raymondがリード・ヴォーカルです。Dori Caymmiがストリングス・アレンジを手掛けています。
「Mother」
メンバー2人と共にBert Priceがプロデュース。Normaが切々と歌います。
「Heaven」
メンバー2人と共にRandy Hallがプロデュース。この曲はプログラミングなしの生演奏です。少しヒネりが欲しい気がします。
ご興味がある方はNormaのソロもチェックを!
Norma Jean『Norma Jean』(1978年)