発表年:2009年
ez的ジャンル:伊達男系男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :長い間待っていました・・・
今回はイタリア人男性ジャズ・シンガーMario Biondiの最新作『If』です。
ヨーロッパでは2009年にリリースされたアルバムですが、日本では入手しづらい状況が続いていました。2年の歳月を経て、ようやく国内盤CDが発売されることとなり、多くのクラブジャズ・ファンが歓喜していることと思います。
そんな経緯で、2009年の作品ですが新作扱いで紹介させてもらいます。
2メートルを超えるイタリア人の巨漢シンガーMario Biondiの紹介は、話題となった前作『Handful Of Soul』(2006年)に続き2回目となります。
僕がクラブジャスを聴く比重が高まったのは、ここ4〜5年のことですが、そのきっかけとなった1枚がMario Biondiのデビュー・アルバム『Handful Of Soul』(2006年)でした。
人気トランぺッターFabrizio BossoをはじめとするHigh Five Quintetをバックに従えた『Handful Of Soul』は、クラブジャズの人気レーベルSchemaからのリリースということもあり、スタイリッシュなイタリア・クラブジャズの魅力を存分に伝えてくれました。
何よりMario Biondiのチョイちょい悪オヤジ系の伊達男な風貌と、彼の武骨かつ激シブの低音ヴォーカルに魅了されてしまいました。
2ndアルバムとなる本作『If』は、レーベルをSchemaからTatticaへ移ってのリリースとなりました。
Schemaらしいクラブジャズ作品に仕上がっていた『Handful Of Soul』と比較すると、もう少し幅を広げたエレガントなジャズ・ヴォーカル作品に仕上がっています。
もちろん、『Handful Of Soul』からのキラー・チューン「This Is What You Are」のような疾走感のあるクラブジャズ・チューンもありますが・・・
相変わらずの伊達男らしい武骨な激シブ・ヴォーカルに加え、優しく語り掛けるようなジェントル・ヴォーカルも楽しめます。
ジャズ・シンガーとして成熟していくBiondiの男臭いヴォーカルを満喫しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Serenity」
オススメその1。このオープニングが僕の一番のお気に入り。ジャズ・サックス奏者Herb Gellerの作品のカヴァーです。オリジナルは『Rhyme and Reason』(1975年)に収録された「Sudden Senility」であり、Mark Murphyがヴォーカルをとっていました。Biondiに"低音ヴォーカルのMark Murphy"といったイメージを抱いていたので、まさにハマりまくりのカヴァーだと思います。軽快なホーンが爽快に鳴り響く都会的サウンドもBiondiの激シブ・ヴォーカルとマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=YUNGgTMTgx0
Herb Geller feat. Mark Murphy「Sudden Senility」
http://www.youtube.com/watch?v=LV9ddV0R5hA
「Something That Was Beautiful」
オススメその2。Burt Bacharach作品。Biondiの低音ヴォーカルが優しく胸に染み渡ってくる感動的な仕上がり。Bacharachらしい美しいメロディがBiondiの激シブ・ヴォーカルにマイルドな味わいをもたらしているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=9jI3cK9mfxg
「Be Lonely」
オススメその3。ビューティフルに疾走します。軽快なリズムとエレガントなストリングスが感動的かつ温かみのあるBiondiの激シブ・ヴォーカルを引き立ててくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=8a7DBXlK8S0
「Love Dreamer」
オススメその4。クラブ・ジャズらしいクールな仕上がり。Biondiらしいビター・スウィートな味わいを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=iwqAh6NtqEM
「Blackshop」
ジャズ・ヴォーカル然としたエレガントな仕上がりが印象的です。切々と歌う低音ヴォーカルが腹に響いてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=xB2PNpovC74
「If」
タイトル曲はいつもにも増して低音ヴォーカルを響かせるバラード。伊達男らしからぬナチュラルな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=RhrKNVu9yME
「I Wanna Make It」
優しく語りかけるようにBiondiが歌うバラード。ジャズ・ヴォーカリストとしての成熟を感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=L2NVCgOnhR8
「No Mo' Trouble」
ハモンド・オルガンも聴こえてくるファンキー・サウンドをバックにしたソウルフルな仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=29wYNjvgOds
クラブジャズ・ファンはIncognitoによるリミックスも要チェックです。
「No Mo' Trouble (Incognito Remix) 」
http://www.youtube.com/watch?v=YO3MhcgTd0s
「Ecstasy」
バックにゴスペル・コーラス隊も配した感動バラード。Biondiの熱唱は体格同様にパワフルです。
http://www.youtube.com/watch?v=Zzxwbt4m1M4
「I Know It's Over」
Carlo Alberto Rossi/Alberto Rossi/Antonina Armato作。イタリアの巨匠コンポーザーCarlo Alberto Rossiの作品。ノスタルジックかつ開放的な空気感がリラックスさせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=U
「Winter In America」
オススメその5。故Gil Scott-Heronの名曲をカヴァー。オリジナルは『The First Minute of a New Day』(1975年)に収録されています。BiondiがGil Scott-Heron をカヴァーするのって何となくわかる気がします。Gil Scott-Heronの意志を受け継ぎ、その鋭いメッセージを再び投げ掛けます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZXhWC7CiqWw
「Everlasting Harmony」
Biondiらしい激シブ・チューン。酒場で一杯煽りながら聴きたい雰囲気です。
http://www.youtube.com/watch?v=Gb5oVJ2-E2U
「Cry Anymore」
ジェントルなバラード。女性バック・ヴォーカル隊が感動的なコーラスで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=bO1hqZ-ZF28
「Little B's Poem」
オススメその6。Bobby Hutcherson作の人気曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Components』(1965年)に収録されています。Doug CarnやDee Dee Bredgewater等のカヴァーでもお馴染みですね。オリジナル同様のワルツ調サウンドと伊達男らしい激シブ・ヴォーカルがよくマッチしたエレガントな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=fWzTWckrrJY
「Bom De Doer」
ラストはポルトガル語で歌われるバラード。低音ヴォーカルでしっとりと聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=BejvOWYiXQQ
未チェックの方はデビュー作『Handful Of Soul』(2006年)やリミックス&リワーク集アルバム『Change of Scenes』もチェックを!
『Handful Of Soul』(2006年)
『Change of Scenes』(2011年)