2011年12月24日

Western Michigan Mass Choir with Walter Hawkins & Edwin Hawkins『Jesus Loves Me』

大御所Walter Hawkins & Edwin Hawkinsをフィーチャーしたゴスペル作品☆Western Michigan Mass Choir with Walter Hawkins & Edwin Hawkins『Jesus Loves Me』
Jesus Loves Me
発表年:1999年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・ゴスペル
気分は... :イブの夜に思うことは・・・

今回はWestern Michigan Mass Choirが大御所Walter Hawkins & Edwin Hawkinsをゲストに迎えて制作されたゴスペル・アルバム『Jesus Loves Me』(1999年)です。

正直、Western Michigan Mass Choirについては全く情報がないので、どのようなグループなのかよくわかりません。まぁ、ミシガン西部のクワイアなのでしょう(笑)

むしろ、ゴスペル・ファンの方が本作に注目するゴスペル界の大御所兄弟Walter Hawkins & Edwin Hawkinsが参加しているためだと思います。

Edwin Hawkins(1943年生まれ)はゴスペル史に残る大ヒット曲「Oh Happy Day」(1969年全米チャート第5位)の作者であり、コンテンポラリー・ゴスペルの開拓者としてグラミー賞も受賞しています。

Walter Hawkins(1949年生まれ)も前述の「Oh Happy Day」をレコーディングしたEdwin Hawkins Singersの一員であり、70年代以降はソロ活動もスタートさせています。

ゴスペル界に確かな軌跡を残したHawkins兄弟でしたが、弟Walterは昨年惜しくも他界しています。

なんて書いてきましたが、当時はHawkins兄弟のことなど全く知らず本作『Jesus Loves Me』を購入しました。何がきっかけで本作を購入したのか全く記憶がありませんが、おそらくCDショップで試聴し、衝動買いしたのだと思います。90年代の頃はクリスマス・シーズンに合わせてゴスペル・アルバムを数枚購入する習慣があったので。

当ブログで紹介する90年代コンテンポラリー・ゴスペル作品は、かなりR&B寄りのものも多いですが、本作はゴスペルらしい1枚に仕上がっていると思います(あくまで過去紹介作品との比較ですが)。

Hawkins兄弟をはじめとするリード・ヴォーカル、躍動するクワイア、小粋なアレンジが相俟ってコンテンポラリー・ゴスペルの醍醐味を堪能できる1枚に仕上がっていると思います。

大震災という大きな試練を突き付けられると同時に、人と人との絆の大切さを痛感させられた特別な年、イブの夜はゴスペルでも聴きながら祈りを捧げるのもいいのでは?

あなたに神の御加護を。

全曲紹介しときやす。

「Jesus Loves Me」
有名な賛美歌をテンポアップしたコンテンポラリー・ゴスペルとして聴かせてくれます。Robin Hodge-Williamsによる女性リード・ヴォーカルと迫力あるクワイアが高らかに歌い上げます♪主われを愛す♪

「I Need You」
Edwin Hawkins作。Edwin Hawkins & Curtis Gulledgeがリード・ヴォーカル。僕の一番のお気に入り。神にまで届きそうな歌声を聴いているだけで勇気と希望とパワーが貰えるような気がします。

「Under the Shelter」
Kevin Bond作。本作にキーボードで参加しているKevin Bondの作品。リード・ヴォーカルはLucille Williams。Western Michigan Mass Choirの素晴らしいクワイアを堪能できます。

「Thank You」
Walter Hawkins作&リード・ヴォーカル。Walter Hawkinsの代表曲「Thank You」のスペシャル・ヴァージョンといったところでしょうか。Walterの熱唱を堪能できます。♪ハレルヤ〜♪

「Until I Found the Lord」
Edwin Hawkins作。リード・ヴォーカルはWalter Hawkins。アップテンポのコンテンポラリー・アレンジが施されています。ソウル/R&Bファンも楽しめる大盛り上がりの仕上りです。中盤以降のエキサイティングな展開には鼻血ブーです。

「You Shall Reap」
Kevin Bond作。リード・ヴォーカルはWalter Hawkins。この曲も僕のお気に入り。小粋なバックと躍動するクワイア、Walterのリードが三位一体となってワンダフルなゴスペル・ワールドを満喫できます。

「By Our Love」
Leroy Williams作。Michael Sandersがリード・ヴォーカル。愛に満ちたメロディと歌声が心を穏やかにしてくれます。コンテンポラリー・ゴスペルらしいアーバン・サウンドもグッド!

「Thank You Lord」
Marquis Egerton作。リード・ヴォーカルはMona Sallie。軽快なテンポで神への感謝を歌い上げます。

「You Can't Get By」
Edwin Hawkins作。リード・ヴォーカルはVincent Manyweather。スケール感の大きな仕上り。

「Don't Forget to Pray」
Edwin Hawkins作。リード・ヴォーカルはEdwin Hawkins & Jenennie Harris。コンテンポラリーなアレンジで聴きやすい1曲に仕上がっています。お祈りは忘れません!

「Just Can't Tell It All」
Marquis Egerton作。リード・ヴォーカルはBrenda Spralls。躍動感のあるクワイアで感動のフィナーレを迎えます。

当ブログで紹介したアルバムの中からクリスマスに相応しい90年代ゴスペル作品を何枚かセレクトしておきます。ご興味のある方はチェックしてみて下さい。

Sounds of Blackness『The Night Before Christmas: A Musical Fantasy』(1992年)
The Night Before Christmas: A Musical Fantasy

Kirk Franklin & The Family『Kirk Franklin & The Family Christmas』(1995年)
クリスマス

Kirk Franklin's Nu Nation『God's Property』(1997年)
ゴッズ・プロパティ・フロム・カーク・フランクリンズ・ニュー・ネイション

Sounds Of Blackness『Time for Healing』(1997年)
Time for Healing

The Brooklyn Tabernacle Choir『High & Lifted Up』(1999年)
High & Lifted Up

CeCe Winans『Alabaster Box』(1999年)
Alabaster Box
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2011年12月23日

Lee Morgan『Lee Morgan(The Last Sessions)』

天才Morganのラスト・アルバム!☆Lee Morgan『Lee Morgan(The Last Sessions)』
The Last Session
録音年:1971年
ez的ジャンル:天才ジャズ・トランペッター
気分は... :進化する天才Morganをもっと聴きたかった・・・

今回は天才ジャズ・トランペッターLee Morgan(1938-1972年)のラスト・アルバム『Lee Morgan(The Last Sessions)』です。

当ブログでこれまで紹介してきたLee Morgan作品は以下の5枚(録音順)。

 『Lee Morgan Vol.3』(1957年)
 『Candy』(1958年)
 『The Rumproller』(1965年)
 『Cornbread』(1965年)
 『Charisma』(1966年)

今回紹介する『Lee Morgan(The Last Sessions)』は1971年9月にレコーディングされました。そして、5ヶ月後の1972年2月18日、N.Y.のクラブSlugs'出演中に内妻Helen Moreに射殺され、その生涯を閉じます。享年34歳。

結果として、本作『Lee Morgan(The Last Sessions)』がMorganのラスト・オリジナル・アルバムになってしまいました。

レコーディングにはLee Morgan(tp、flh)以下、Grachan Moncur III(tb)、Bobbi Humphrey(fl)、Billy Harper(ts、afl)、Harold Mabern(p、el-p)、Reggie Workman(b、per)、Jymie Merritt(el-b)、Freddie Waits(ds)といったメンバーが参加しています。紅一点の存在で自身のリーダー作をレコーディングする直前のBobbi Humphreyの参加が新鮮です。

本作はエレクトリック・サウンド、スピリチュアル、黒人解放運動、民族音楽といったキーワードで説明できる、従来のスタイルに囚われない進化したニュー・スタイルのLee Morganを聴くことができます。それだけに進化の続きを聴くことができなかったのは残念ですね。

全体的に各プレイヤーのソロというよりも、演奏全体のコントロールに重点が置かれたアルバムです。楽曲についても全て参加メンバーのものであり、Morgan自身のオリジナルは1曲もありません。その意味でMorganは全体を統括する音楽ディレクターといった役割に徹したのかもしれませんね。

各プレイヤーの演奏の良し悪しが云々という聴き方ができず、全体の雰囲気や格好良さに惹かれる"永遠のジャズ初心者"である僕には、こうしたアルバムの方がフィットするのかもしれません。

従来スタイルのLee Morganがお好きな人は戸惑う作品かもしれませんが、先入観なしに聴けば1枚で様々なスタイルを楽しめる70年代初期のジャズの魅力が凝縮された1枚だと思います。

Norman Seeff撮影によるジャケがキマりすぎ!
最後まで抜群の格好良さですね!
天才Morganよ永遠なれ!

全曲紹介しときやす。

「Capra Black」
Billy Harper作。壮大なスケール感と黒人としての覚醒を感じるスピリチュアルな演奏が印象的なオープニング。スピリチュアル・ジャズ好きの人はハマる1曲だと思います。Morganも含めて全体の抑えたトーンの中でアヴァンギャルドな演奏も聴こえてくるのがいいですね。ニューソウルの動きとも連動した黒人としての自我の覚醒を感じます。作者であるHarper自身のリーダー作では『Capra Black』(1973年)で本曲を聴くことができます。
※YouTube音源は2分割されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=3kIrYQ5Ic3w ※(Part 1)
http://www.youtube.com/watch?v=XZEKscACnlw ※(Part 2)

「In What Direction Are You Headed?」
Harold Mabern作。作者のMabernがここでは生ピアノではなくエレピを演奏しています。正統派ジャズ・ファンの中にはエレピがお気に召さない方もいるようですが、Pete RockによるBlue Note作品のミックス・アルバム『Diggin´On Blue』でもセレクトされるなど再評価もされています。個人的には70年代らしいクールネスに溢れた演奏が気に入っています。Bobbi Humphreyのフルートが涼しげです。エレクトリック・マイルスあたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=9M3kXccmsq0

「Angela」
Jymie Merritt作。タイトルは1970年代の黒人解放運動の象徴である女性運動家Angela Davisのことです。彼女は1970年にブラックパンサーとの関係を疑われ逮捕されますが、国際的な救援運動により1972年に無罪となっています。本曲はちょうど彼女の救援運動の真っ只中にレコーディングされたものです。ここでのMorganはフリューゲルホルンを吹いています。この曲でもMabernはエレピを演奏しています。全体的にモーダルな雰囲気で貫かれて格好良いです。
http://www.youtube.com/watch?v=v2A16UUbqvo

「Croquet Ballet」
Billy Harper作。本曲をアルバムのハイライトに推す人も多いのでは?作者Harper、主役のMorgan、期待の新星Humphreyと三様のソロにグッときます。アルバム・ジャケの雰囲気そのままに、オシャレなチョイ悪Morganらしい格好良さを満喫できます。Harper自身のリーダーでは『Black Saint』(1975年)で本曲を聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=oGFex6YNjyA

「Inner Passions Out」
Freddie Waits作。民族音楽全開のスピリチュアル・ジャズです。難解な雰囲気と長尺のせいで敬遠されがちな演奏ですが、エスニック&スピリチュアル好きの僕は結構楽しめます。
※YouTube音源は2分割されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=kg8_5xeLwSE ※(Part 1)
http://www.youtube.com/watch?v=ET2rUVxuqcE ※(Part 2)

Lee Morgan作品の過去記事もご参照下さい。

『Lee Morgan Vol.3』(1957年)
リー・モーガン Vol.3

『Candy』(1958年)
Candy

『The Rumproller』(1965年)
ザ・ランプローラー+1

『Cornbread』(1965年)
Cornbread

『Charisma』(1966年)
Charisma
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2011年12月22日

De La Soul『The Grind Date』

J Dilla、Madlib、9th Wonderもプロデュース!☆De La Soul『The Grind Date』
グラインド・デイト
発表年:2004年
ez的ジャンル:Native Tongues系Hop-Hop
気分は... :新作は出ないのかなぁ???

今日はTrugoy、Pos、Maseoの3人組Hip-HopユニットDe La Soulが2004年にリリースした『The Grind Date』です。

これまで当ブログで紹介してきたDe La Soul作品は以下の5枚。

 『3 Feet High And Rising』(1989年)
 『De La Soul Is Dead』(1991年)
 『Buhloone Mindstate』(1993年)
 『Stakes Is High』(1996年)
 『AOI:Bionix』(2001年)

『The Grind Date』のリリースは2004年ですが、それ以降オリジナル・アルバムはリリースされておらず、現時点でのDe La Soulの最新作ということになります。

Tommy BoyではなくSanctuary Recordsからリリースされたこともあり、この頃のDe La Soulに都落ちの印象を持たれている方もいるかもしれませんが、『The Grind Date』はDe La Soul好きであればかなり満足度の高い1枚に仕上がっていると思います。

まずはプロデュース陣が凄いです。
Supa Dave Westがメインですが、それ以外にJ DillaMadlib9th WonderJake Oneが起用されています。特にJ DillaMadlib9th Wonderの3人とDe La Soulの顔合わせは興味深いですね。

また、CommonFlava FlavPublic Enemy)、Carl ThomasSean PaulGhostface KillahMF DOOMYummySpike Lee等のゲスト陣もなかなか豪華です。

そして、これらのプロデューサー、ゲスト陣のサポートを得て、De La Soulのメンバーたちも生き生きとしているのが何よりいいですね。

これだけの充実アルバムをリリースしたのに、これ以降新作がないのはとても残念です。

捨て曲ナシ!De La Soul度200%の充実作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Future」
Switch「Reaching For Tomorrow」ネタのトラックが印象的なオープニング。Supa Dave Westプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=en5zJ2HZiXg

「Verbal Clap」
J Dillaプロデュース。Mountain「Long Red」ネタのビートとRick Wakeman「Catherine Of Aragon」ネタの上モノで構成されたミステリアス・トラックに魅了されます。さすがJ Dillaですね。
http://www.youtube.com/watch?v=NoCLF0Pvhe8

「Much More」
本曲もJ Dillaプロデュース。Yummy(Elizabeth "Yummy" Bingham)をフィーチャー。Yummyのキュートなヴォーカルと早回しネタのソウルフル・トラックが実にキャッチーです。De La Soulにマッチした1曲だと思います。L.T.D.「Love Ballad」、Shuggie Otis「Strawberry Letter 23」 ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=r7znTkgEQaU

「Shopping Bags (She Got From You)」
Madlibプロデュース。シングルにもなりました。MadlibとDe La Soulの共演というだけでワクワクしますね。デ・ラらしいおとぼけ感とMadlibらしいアングラ感がしっかり両立した文句ナシの出来栄えだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=ImBJq-om-DM

「The Grind Date」
タイトル曲はSupa Dave Westプロデュース。Yes「Ritual (Nous Sommes Du Soleil)」ネタのループという意外性のあるトラックをバックにリリックを畳み掛けます。
http://www.youtube.com/watch?v=7GBx4HJKU7s

「Church」
9th Wonderプロデュース。映画監督Spike Leeがイントロダクションを務めています。Pleasure「Reality」ネタのソウルフル・トラックと温もりのあるフロウがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=Z7BgN62Z0Zg

「It's Like That」
Supa Dave Westプロデュース。Carl Thomasをフィーチャーしたアーバン・メロウな歌モノです。なかなか素敵な仕上がりですよ。今の時期に聴くとマッチしているかも?
http://www.youtube.com/watch?v=AA0LKoQkRp0

「He Comes」
Supa Dave Westプロデュース。Ghostface Killahをフィーチャー。Eugene Record「Here Comes The Sun」ネタの高揚感のあるソウルフル・トラックにつられ、歌心のあるフロウで盛り上げてくれます。Ghostface Killahのグッド・アシストがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=-cDEQKl2EWM

「Days Of Our Lives」
Jake Oneプロデュース。Commonをフィーチャー。この共演もたまりませんね。派手さはありませんが実力者たちらしい手応えを感じます。Ohio Players「My Life」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=QCYybYbSvA8

Commonと言えば、新作『Dreamer the Believer』が発売されましたね。既に注文済なので聴くのが楽しみです。

「Come On Down」
Madlibプロデュース。なんとPublic EnemyのFlava Flavをフィーチャーしています。そのFlava Flavが冒頭から煽ってくれます。Esther Williams「Last Night Changed It All」ネタを上手く使いながらも、不穏な空気をプンプン感じるのはMadlibの腕前か?それともFlava Flavの存在感か?
http://www.youtube.com/watch?v=C4r5RB2RJcM

「No」
Supa Dave Westプロデュース。Butta Verses & Yummy Binghamをフィーチャー。Jackson 5「Never Can Say Goodbye」ネタがプリティなDe La Soulらしい雰囲気を楽しめる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=JPSn418RHkQ

「Rock Co.Kane Flow」
Jake Oneプロデュース。MF DOOMをフィーチャーした本曲はシングルにもなりました。個人的には本曲をシングル・カットするならば、他にもシングル向きの曲があるでしょ!なんて思ってしまうのですが・・・それでもJake Oneによるトラックはヒネりが効いていて楽しめます。Space「Deliverance」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=Kn52C7sipeM

「Shoomp」
シングルにもなった本曲はボーナストラック扱いです。Sean Paulをフィーチャーし、J Dillaがプロデュースしています。Tom Tom Club「Genius Of Love」ネタが心地好いラガ調の仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=oeHAReaNTfI

De La Soul作品の過去記事もご参照下さい。

『3 Feet High And Rising』(1989年)
3 Feet High and Rising

『De La Soul Is Dead』(1991年)
De La Soul Is Dead

『Buhloone Mindstate』(1993年)
Buhloone Mindstate

『Stakes Is High』(1996年)
Stakes Is High

『AOI:Bionix』(2001年)
AOI: Bionix
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2011年12月21日

Agustin Pereyra Lucena Quartet『La Rana』

円熟味を増したAgustinのビューティフル・ワールド!☆Agustin Pereyra Lucena Quartet『La Rana』
La Rana
発表年:1980年
ez的ジャンル:ブラジリアン系アルゼンチン・ジャズ
気分は... :ミタさんはサンタさん???

大人気ドラマ『家政婦のミタ』が最終回を迎えましたね。
意外とラストは当たり前でヒネリが足りなかったような???

今回はアルゼンチン人ギタリストAgustin Pereyra LucenaAgustin Pereyra Lucena Quartet名義でリリースしたノルウェー録音アルバム『La Rana』(1980年)です。

北欧レコーディングということもあり、真冬がよく似合うアルゼンチン・ジャズ/ボッサ作品だと思います。

当ブログで紹介したAgustin Pereyra Lucena関連作品は以下の3枚(発売順)。

 『Agustin Pereyra Lucena』(1970年)
 『Ese Dia Va A Llegar』(1975年)
 Candeias『Sambaiana』(1976年)

「私のルーツはアルゼンチンにあって、憧れはブラジルにある」と、アルゼンチン人ながらもブラジル音楽に大きく影響を受けたギタリストAgustin Pereyra Lucenaの作品は、どのアルバムも彼の美学で貫かれたピュアな魅力がありますね。

本作は前述のようにAgustin Pereyra Lucena Quartet名義でのノルウェー録音作品であり、Agustin Pereyra Lucena(g、vo、per)、Guillermo Reuter(el-b、p、vo、per)、Ruben Izarrualde(fl、vo、per)、Finn Sletten(ds、vo、per)という4名の息に合った演奏を満喫できます。

北欧という土地柄がAgustinのピュア&ビューティフルな音世界の魅力を見事に引き出してくれている気がします。

他のAgustin作品に比べて、取り上げられることが少ないアルバムですが、円熟味を増したAgustinのビューティフル・ワールドを満喫できる必聴アルバムだと思います。

この坂を上ったら・・・
承知しました・・・

全曲紹介しときやす。

「Tres Horas da Manha (At 3 a.m.)」
邦題「午前3時」。Ivan Lins/Waldemar Correia作。当ブログでも紹介したTamba Trioのヴァージョン(アルバム『Tamba Trio』(青タンバ)収録)が人気のIvan Lins作品をカヴァー。Ruben IzarrualdeのフルートとAgustinのギターがそよ風を運んでくれる爽快チューン。

「Samba do Aviao (Airplane Samba)」
『Agustin Pereyra Lucena』(1970年)でも演奏していたAntonio Carlos Jobim作品を再演。アフロ・ブラジリアンなテイストでミステリアスに迫る序盤から一気にテンポアップし、小気味良いギターで魅了してくれます。

「Tema Medieval (Medieval Theme)」
Agustin Pereyra Lucena作。Agustinのソングライティング能力を示した美しい1曲。哀愁メロディと情感たっぷりのギターに泣けてきます!

「Despues de las Seis (After Six)」
Agustin Pereyra Lucena/Guillermo Reuter作。僕の一番のお気に入り曲。これぞAgustin というギターを満喫できます。美しすぎるギターの響きが心を癒してくれます。

「Tema Barroco (Barroque Theme)」
Guillermo Reuter作。タイトルが示すようにバロックとボサノヴァが融合した気品溢れる1曲。懐の深さを感じさせる演奏です。

「La Rana (The Frog)」
タイトル曲はJoao Donatoの名曲カヴァー。当ブログでもJoao Donato自身のヴァージョンをはじめ、Sergio Mendes & Brasil '66Joao GilbertoGal CostaJoyceのカヴァーを紹介済みです。オリジナルの持つ個性的な雰囲気を受け継ぎつつも、Agustinらしい美しい演奏でまとめ上げているのがいいですね。Ruben IzarrualdeのフルートやGuillermo Reuterのエレピがいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=yfO_OEh9TGI

「Pra Que Chorar (What to Cry for...)」
Agustinが敬愛するギタリストBaden Powell作品のカヴァー。ただただ美しいとしか譬えようのないギターの響きに酔いしれましょう。

「Encuentro de Sombras (Encounter of Shadows)」
Agustin Pereyra Lucena作。ラストは以下の5曲からなる15分超の壮大な組曲となっています。Agustinの美しい音世界が凝縮された一大サウンドスケープを満喫できます。目を閉じてアルゼンチンやノルウェーの大自然を思い描きながら聴くと感動が倍増してきます。

 「Vals de las Aguas (Water's Waltz)」
 「Casi-Numbe (Casi-Numbe)」
 「Presencia de Sombras (Presence of Shadows)」
 「Primeros Colores ? Canto del Dia (First Shades ? Song of the Day)」
 「Vals de las Aguas II (Water's Waltz II)」

他のAgustin Pereyra Lucena作品もチェックを!

Agustin Pereyra Lucena『Agustin Pereyra Lucena』(1970年)
Agustin Pereyra Lucena

Agustin Pereyra Lucena『Climas』(1973年)
CLIMAS~友との語らい

Agustin Pereyra Lucena『Ese Dia Va A Llegar』(1975年)
Ese dia va a llegar

Candeias『Sambaiana』(1976年)
Sambaiana

Agustin Pereyra Lucena『42:53』(2009年)
42:53
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2011年12月20日

Ohio Players『Jass-Ay-Lay-Dee』

Mercuryでの最終作。僕は意外に好きです!☆Ohio Players『Jass-Ay-Lay-Dee』
Jass Ay La Dee
発表年:1977年
ez的ジャンル:重鎮Funk
気分は... :芳しくない評価のアルバムですが・・・

70年代を代表するFunkグループOhio Players『Jass-Ay-Lay-Dee』(1978年)です。

これまで当ブログで紹介したOhio Players作品は以下の3枚(発売順)

 『Fire』(1974年)
 『Honey』(1975年)
 『Angel』(1977年)

前回『Angel』(1977年)を紹介したのが2007年7月でしたので、約4年ぶりの紹介となります。

Mercuryへ移籍後、『Skin Tight』(1974年)、『Fire』(1974年)、『Honey』(1975年)、『Contradiction』(1976年)とアルバムをリリースする度に全米R&Bアルバム・チャート第1位を獲得してきたOhio Playersですが、『Angel』(1977年)で同第1位を逃してしまいます(最高位同9位)。

『Mr. Mean』(1977年)は最高位同11位、そして本作『Jass-Ay-Lay-Dee』(1978年)も最高位同15位と再浮上することができす、グループは栄光のMercury時代に終止符を打つことになります。

ということで、Mercury最終作となる本作『Jass-Ay-Lay-Dee』に対する評価は、下降期の作品という評価が多いのではないかと思います。しかしながら、個人的には昔から意外に好きなアルバムだったります。

きっとOhio Players好きの方にはパワー不足や軽さが目立つ点が不満の作品なのかもしれませんが、僕のように特にOhio Players好きという訳ではない、いい加減リスナーにとっては本作のライト感が聴きやすいのかもしれません。実は内容以上にセクシー・ジャケが好きなのかもしれませんが・・・

本作においてはLeroy "Sugarfoot" Bonner(g、vo)、Clarence "Satch" Satchell(sax、fl)、Robert "Rumba" Jones(b)、Ralph "Pee Wee" Middlebrooks(tp)、James "Diamond" Williams(ds)、Billy Beck(key)、Mervin Pierce(tp、tb、flh)といったレギュラー7名に加えて、Clarence "Chet" Willis(g、vo)、Robert "C.D." Jones(congas)の2人もメンバーとしてクレジットされ、9人編成となっています。

シングル曲は「Funk-O-Nots」「Time Slips Away」の2曲です。

まずはMercury前期の絶好調なOhio Playersを聴くべきだと思いますが、それらをチェックした後であれば楽しめるアルバムだと思います。

最近は、『Angel』との2in1CDがあるので、そちらがおトクかもしれませんね。

『Angel/Jass-Ay-Lay-Dee』 ※2in1CD
Angel / Jass-Ay-Lay-Dee

B級好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Funk-O-Nots」
アルバムからの1stシングル。Ohio Players meets P-Funkといった趣のスペイシー感はこの時代ならではかもしれないですね。でも大好き!
http://www.youtube.com/watch?v=0YpZi-3aWCk

「Sleepwalkin'」
Ohio Playersらしいスウィートなスロウ。インパクトは弱いですが悪くないですよ!

「Jass-Ay-Lay-Dee」
タイトル曲は軽快なファンク・チューン。ファンキーなホーン隊も聴かれますが、良くも悪くもライトで聴きやすいですね。そのあたりが軟弱に聴こえるのかもしれませんが・・・

「Nott Enuff」
スムージーなファンク・チューン。フュージョンのようなライト感に不満を感じる方もいるかもしれませんが、それが逆に魅力という気もします。
http://www.youtube.com/watch?v=pzgnbB7NY_8

「Time Slips Away/Shoot Yer Shot」
メドレー曲ですが、前半の「Time Slips Away」はシングルにもなった曲であり、ある意味で本作のハイライトかもしれませんね。先入観なしに聴けば、モロにEW&Fですが(笑)。でもなかなかグッとくるメロウなミディアム・チューンです。後半の「Shoot Yer Shot」はインストのファンク・チューンです。

「Dance (If Ya Wanta)」
ラストはアッパーなダンス・チューン。重さに欠けますが、この軽さこそが本作らしいのでは?

Ohio Players作品の過去記事もご参照下さい。

『Fire』(1974年)
Fire

『Honey』(1975年)
Honey

『Angel』(1977年)
Angel
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