2011年12月15日

Andres Beeuwsaert『Dos Rios』

Aca Seca Trioでお馴染み、Andres Beeuwsaertのソロ作☆Andres Beeuwsaert『Dos Rios』
Dos Rios
発表年:2009年
ez的ジャンル:アルゼンチン・ネオ・フォルクローレ
気分は... :メッシ or ネイマール?

クラブW杯準決勝「サントス対柏レイソル」はなかなか見応えがありましたね。
柏は善戦したと思いますが、それ以上にサントスのサッカーは観ていて面白かったですね。ネイマールばかりが注目されがちですが、その他にもタレント揃いで欧州のクラブ・チームにはない南米クラブ・チームならではの魅力を満喫できました。

絶好調のレアル・マドリーも退けたバルセロナですが、サントスには苦戦しそうな予感がします。

そんな流れで今日はブラジル人アーティストの作品を・・・なんて思っていたのですが、結局セレクトしたのはアルゼンチン人アーティストでした(笑)

今回はアルゼンチン・ネオ・フォルクローレの重要グループAca Seca Trioの鍵盤奏者Andres Beeuwsaertの初ソロ・アルバム『Dos Rios』(2009年)です。

Andres Beeuwsaertの紹介は、ブラジル人女性シンガーTatiana Parraとの共演作『Aqui』(2011年)に続き2回目です。さらに当ブログで紹介した作品で言えば、Tatiana Parraのデビュー・アルバム『Inteira』(2010年)にも参加しています。

ここ数年日本でも大注目のアルゼンチン音楽ですが、その中でAndres Beeuwsaertはアルゼンチン・ネオ・フォルクローレの重要グループAca Seca Trioのメンバーとして注目の存在ですね。

Juan QuinteroMariano Canteroと組んだAca Seca Trioとしては、これまで『Aca Seca Trio』(2003年)、『Avenido』(2006年)、『Ventanas』(2009年)という3枚のアルバムをリリースしています。最近になって入手しづらかった3rd『Ventanas』がジャケを一新したかたちで再発され、CDショップでプッシュされていますね。

さて、今日紹介するAndres Beeuwsaertの初ソロ『Dos Rios』(2009年)ですが、アルゼンチン音楽の予備知識がない方でも、その美しく透明感のある音世界に魅了される1枚だと思います。鍵盤奏者とギタリストの違いはありますが、Pat MethenyToninho Hortaのアルバムを聴いた時と同じような感動を覚えます。

レコーディングには、Juan QuinteroMariano CanteroというAca Seca Trioの2人やTatiana Parraといったお馴染みのメンバーも参加しています。

楽曲の大半はAndresのオリジナルですが、ウルグアイを代表する偉大なギタリスト/作曲家であった故Eduardo Mateoの作品を2曲カヴァーしています。当ブログでも名盤『Ineditas』を紹介したEduardo Mateoですが、アルゼンチンでも高い評価を得ていたアーティストでしたかね。それ以外にポルトガル出身のピアニストMrrio Laginhaの作品もカヴァーしています。

約2か月前に紹介したFlorencia Ruiz『Luz De La Noche』もそうですが、未体験の人に静かなるインパクトを与えてくれるのがアルゼンチン音楽の魅力だと思います。

美しくピュアな音世界が生きる勇気とパワーを与えてくれます。
メッシ級の凄さを持ったアルゼンチン産の静かなる傑作です!

全曲紹介しときやす。

「Incio」
Andres Beeuwsaert作。静寂の中で響き渡る透明感のあるピアノが無の境地へと誘ってくれます。Loli Molinaの楽器のようなコーラスのほんのり感もグッド!

「Dos Rios」
Andres Beeuwsaert作。タイトル曲はJuan Quintero(g)、Mariano Cantero(per)というAca Seca Trioのメンバー2人が参加しています。Dana Najlisのクラリネット、Fernando Silvaのチェロなども加わり室内楽的な優雅さもあありますが、でも最終的には思い浮かべるにはジャケに映るような果てしない大自然です。

「Madrugada」
Andres Beeuwsaert作。ゆっくりと風景が移り変わっていく映像が脳裏に流れていく美しく感動的な演奏です。こんな美しい演奏を聴けば、さっきまで心を支配していた嫌なことも一発で吹き飛んでしまうはず・・・・

「Tras De Ti」
Eduardo Mateo作品のカヴァーその1。本作で初めて歌詞のある歌モノです。ここではAndres自身がヴォーカルをとっています。このヴォーカルの繊細な感じがまたいいんです!サウンド的にも音の表情が次第に豊かになっていく感じがたまりません。音響派らしい音空間も満喫できるこの1曲を聴いただけでも本作の素晴らしさがわかるはずです。

「Caracol」
Andres Beeuwsaert作。Silvia Perez Cruzの女性ヴォーカルが入った瑞々しい仕上がり。Andresの美しいピアノの調べが心の奥まで響き渡ります。エレクトリック・ベースも入り、ネオ・フォルクローレらしさも堪能できます。。
http://www.youtube.com/watch?v=UTB4eKDJx6o

「Nazuk」
ポルトガル出身のピアニストMario Laginhaの作品をカヴァー。Tatiana Parraがヴォーカルで参加しています。美しく癒されるサウンドと母の温もりのようなTatianaのヴォーカルは、まるで子守唄を聴いているかのような気分になります。

「A.M.」
Andres Beeuwsaert作。AndresのピアノとFernando Silvaのチェロのみによる演奏の小曲。酔っ払って午前様で帰宅した後の反省タイムにいいかも(笑)

「La Mama Vieja」
Eduardo Mateo作品のカヴァーその2。前曲からシームレスに続く本曲がアルバムのハイライトなのでは?美しく透明で生命感に溢れる演奏は大感動の洪水です。 Pat Methenyの音世界が好きの人であれば絶対気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=qVAmWZx9Y3I

「Nocturna」
Andres Beeuwsaert作。タイトルの通りノクターン(夜想曲)です。Andresのピアノが生み出す表情に耳を傾けましょう。

「Umbral」
Andres Beeuwsaert作。Andresのピアノ、Fernando Silvaのチェロ、Aline Goncalvesのフルートが室内楽的な音世界をクリエイトします。

「Encuentro」
Andres Beeuwsaert作。Tatiana Parraがヴォーカルで参加しています。Andresのピアノ、Fernando Silvaのチェロが紡ぎ出す音色にTatianaのヴォーカルが華を添えて、ただただ美しい音世界を堪能できます。誰かに優しく抱きしめられている気分になる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=d2U6WyKA59w

「Adagio」
Andres Beeuwsaert作。ラストはタイトルの通り、アダージョな音像を味わうことができます。一音一音の響きの残像が伝わってきます。

ご興味がある方はAca Seca Trioの作品もチェックを!

Aca Seca Trio『Aca Seca Trio』(2003年)
Aca Seca Trio

Aca Seca Trio『Avenido』(2006年)
アベニード

Aca Seca Trio『Ventanas』(2009年)
aca seca trio ventanas.jpg

Tatiana Parra & Andres Beeuwsaert『Aqui』(2011年)
aqui.jpg
posted by ez at 02:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする