発表年:2011年
ez的ジャンル:西ロンドン経由L.A.クロスオーヴァー
気分は... :今回は歌モノ重視です!
今回はクロスオーヴァー好きに人気のアーティストMark De Clive-Loweの最新作『Renegades』です。
ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、"新世代のHerbie Hancock"の異名を持つプロデューサー/キーボード奏者/DJMark De Clive-Lowe(MdCL)の紹介は、3rd『Journey 2 The Light』(2007年)、1st『Six Degrees』(2000年)に続き3回目となります。
Degoらと共に西ロンドンのブロークン・ビーツ/クロスオーヴァー・シーンを牽引してきたMark De Clive-Loweですが、最新作『Renegades』はL.A.に拠点を移してのリリースとなりました。
アルバムにはL.A.の女性ヴォーカリストNia Andrewsをはじめ、UKのベテラン・ソウル・シンガーOmar、懐かしのSheila E、MdCL作品ではお馴染みの西ロンドン系女性シンガーBembe Segue、同じく西ロン系の女性シンガーTawiah、L.A.の男性シンガーOversoul7といった多彩なアーティストがフィーチャーされています。
また、さまざまなジャンルで活躍するベテラン・ベーシストPino Palladino、 Build An ArkやFlying Lotusをはじめ、さまざまな作品へ参加している弦楽器奏者Miguel Atwood-Ferguson、Lil John Roberts(ds)、Richard Spaven(ds)、Mike Feingold(g)等がレコーディングに参加しています。
相変わらずジャンルレスで電子サウンドとオーガニック・サウンドが程良く融合したMdCLらしいクロスオーヴァー・サウンドを聴かせてくれます。また、インタルード作品以外はヴォーカル曲で占められており、従来の作品よりも幅広い層のリスナーが楽しめるアルバムになっているのが特徴です。特に、Nia Andrewsをフィーチャーしたエレクトリック・ソウル作品は、L.A.拠点ならではの作風なのかもしれませんね。一方で、西ロンドンらしい楽曲もしっかり収録されているので従来からのファンはご安心を!
Dego『A Wha' Him Deh Pon?』、Ben Westbeech『There's More To Life Than This』と3点セットで揃えたい、今年のクラブ・ミュージックを代表するアルバムだと思います。
Dego『A Wha' Him Deh Pon?』
Ben Westbeech『There's More To Life Than This』
クラブ・ミュージック好き以外の人も楽しめる作品なので、ぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Alabi (Prelude)」
タイトルの通り、アラビック・テイストなイントロダクション。
「Get Started」
OmarとSheila Eをフィーチャー。Tru Thoughtsのレーベル・メイトであるUKを代表するソウル・シンガーOmarと、かつてはPrince殿下のバックアップで人気者となったパーカッション奏者Sheila Eというゲスト陣だけでもワクワクする1曲ですね。内容的にも申し分のないクール&パーカッシヴなクロスオーヴァー・ソウルに仕上がっています。クールな音空間を切り裂くSheila Eのティンバレスがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=IPosyrlqOIE
「The Why」
Nia Andrewsをフィーチャー。L.A.の女性ヴォーカリストNia Andrewsについて、CDショップの説明ではCommon、Janelle Monaeとの共演歴が強調されていますが、最近ではDego『A Wha' Him Deh Pon?』にも参加していましたね。クラブ・テイストながらもメロウ&ウォーミーなキーボード・サウンドが印象的なエレクトリック・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=6b1PRdEHpuQ
「(Just Wanna)」
インタールード。
「Under Orders」
西ロンドン系の女性シンガーTawiahをフィーチャー。MdCLとDegoの共作曲であり、クレジットにもわざわざspecial thanksが書かれています。ということで西ロンドン系サウンドがお好きな人であれば西ロンらしい疾走感を満喫できる鉄板の仕上りです。最初にアルバムを通しで聴いた時、一番キャッチーな印象を受けたダンス・トラックです。
「We Renegades」
Nia Andrewsをフィーチャー。タイトル曲は西ロンドン経由のL.A.エレクトリック・ソウルといった雰囲気です。これが現在のMdCLサウンドなのかもしれませんね。Pino Palladinoのベースの下支えも演奏をパワフルなものにしています。
「Interlude I」
MdCLとLil John Robertsのドラムによるクロスオーヴァー・ジャズなインタールード。
「Hooligan」
Nia Andrewsをフィーチャー。これまでNia Andrewsをフィーチャーした2曲はエレクトリック・ソウル色が強かったですが、ここではクラブジャズ・テイストのサウンドを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=5hI0lHeSR1A
「Just Wanna Lil' More」
「(Just Wanna)」の続編といった雰囲気のインタールード。
「Push」
Bembe SegueとNia Andrewsをフィーチャー。僕の一番のお気に入り曲。クラブ・ミュージック経由の最新エレクトリック・ファンクといった雰囲気がサイコー!当ブログで紹介した作品で言えば、MdCL『Journey 2 The Light』をはじめ、Jazzanova『Of All The Things』、Nicola Conte『Other Directions』といったクラブ・ミュージックの重要作品で個性的なヴォーカルを披露してきた西ロンドンの歌姫Bembe Segueですが、ここでもNia Andrewsと一緒に素晴らしいヴォーカルを聴かせてくれます。
「Emergency」
Nia Andrewsをフィーチャー。「We Renegades」路線で再び畳み掛けてくるエレクトリック・ソウル。繰り返しこのパターンを聴かされていくうちにクセになりそうです(笑)
「Everything」
L.A.在住の男性ヴォーカリストOversoul7をフィーチャー。落ち着いた中にもセクシーな魅力が漂うクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。
「Interlude ll」
「Interlude I」に続き、MdCLとLil John Robertsによるクロスオーヴァー・ジャズなインタールード。
「Alabi」
ラストはカメルーン系フランス人女性シンガーSandra Nkakeをフィーチャー。アルバムの冒頭を飾った「Alabi (Prelude)」の本編なのでしょうが、こちらはかなりアフリカン・テイストが強い仕上りです。
国内盤には「The Why (instrumental)」、「Get Started (original demo mix)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。また、CD購入特典として『4649 Nippon! Mixtape』というタイトルの60分強のミックスCDが貰えました。
『Six Degrees』(2000年)
『Tide's Arising』(2004年)
『Journey 2 The Light』(2007年)