2012年01月31日

Ananda Shankar『Ananda Shankar』

シタールとムーグが織り成すコズミックな音世界☆Ananda Shankar『Ananda Shankar』
Ananda Shankar
発表年:1970年
ez的ジャンル:インド音楽+ロック
気分は... :コズミックな音世界は今聴いても刺激的!

今回はインド人シタール奏者Ananda Shankarの1stアルバム『Ananda Shankar』(1970年)です。

Ananda Shankarは1942年、インド北部のウッタル・プラデーシュ州アルモラ生まれ。

父Uday、母Amalaというを両親はインドの人気ダンサーであり、叔父Ravi Shankarは世界中にシタール演奏の魅力を広めたミュージシャンとしてあまりに有名ですね。しかしながら、Anandaは叔父のRaviからシタールを習ったことは無いそうです。意外ですねぇ。

このように書いていて初めて気づきましたが、Ananda ShankarとRavi Shankarの娘Norah Jonesは従兄妹の関係になるんですね。

1960年代後半にL.A.に渡り、Jimi HendrixらとセッションしたAnandaはReprise Recordsと契約し、1970年に今日紹介する1stアルバム『Ananda Shankar』をリリースします。

その後、『Ananda Shankar and His Music』(1975年)、『A Musical Discovery of India』(1978年)、『Sa-re-ga Machan』(1981年)、『2001』(1984年)といったアルバムをリリースしますが、1999年に死去しています。

Ananda Shankarのアルバムを聴いたことがない人の中には、"Ravi Shankarの二番煎じだろ!"というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんね。

しかしながら、同じシタール奏者であり、親族であってもRavi ShankarAnanda Shankarでは方向性が大きく異なります。叔父Ravi Shankarがあくまでインド音楽の伝統を守りながら、西洋ミュージシャンとの交流を深めていったのに対して、甥Ananda Shankarは積極的にインド音楽と西洋音楽の融合を推進していきました。実際に音を聴けば一発でわかりますが、ロック等に慣れ親しんでいる人であれば、Ananda Shankarの作品の方が明らかにしっくりくると思います。

我が家のマイ・コレクションにもRavi ShankarとAnanda Shankarのアルバムは並んで置いていますが、僕が聴く頻度は明らかにAnanda作品が多いですね。というか、Raviのアルバムは何度か聴けば、"これがアノRavi Shankarの音ね!"と完結してしまいます。まぁ、真剣にインド音楽に興味を持てば、それはそれで面白いのでしょうが・・・。ちなみに僕も90年代前半のワールド・ミュージック・ブームの頃にはインド人アーティストの作品を結構購入したりもしていたのですが、三日坊主で終わってしまいました(泣)

さて、今日紹介する1stアルバム『Ananda Shankar』(1970年)は、前述のAnanda Shankarというアーティストの志向が明確に実感できる1枚だと思います。今日の知名度では2nd『Ananda Shankar and His Music』(1975年)の方が高いと思いますが、Ananda Shankarに興味を持った人であれば、ぜひ押さえて欲しい1枚です。

本作の参加ミュージシャンは、Ananda Shankar(sitar)、Paul Lewinson(syn、key)、Dick Rosmini(g)、Drake Levin(g)、Jerry Scheff(b)、Mark Tulin(b)、Joe Pollard(ds)、Michael Botts(ds)、Pranish Khan(tabla)という構成です。Michael Bottsは後にアメリカン・ロック/ポップス好きにはお馴染みのグループBreadに参加しているのでご存知の方もいるのでは?

本作で大きく貢献しているのがシンセ等を担当するPaul Lewinsonです。多くの楽曲をAnandaと共作し、アレンジも担当しています。

改めて聴いてみると、シタールとムーグ・シンセを強調した音世界は当時として、かなりエッジの効いたサウンドであったような気がします。

「Jumpin' Jack Flash」「Light My Fire」というロック・クラシックのカヴァー2曲が強烈ですが、オリジナルやトラディショナルのカヴァーも聴きどころ満載です。

サイケでコズミックでメディテーショナルでグルーヴィーなサウンドは今聴いても実に刺激的です。

全曲紹介しときやす。

「Jumpin' Jack Flash」
The Rolling Stonesの大ヒット曲をカヴァー(Mick Jagger/Keith Richards作)。シタールとムーグ・シンセが織り成すコズミック・サウンドに女性コーラスが絡む音世界は、数十年後のクラブミュージックを予見していたかのような斬新さがありますね!この1曲を聴いただけでヤラれてしまう人も多いはず!
http://www.youtube.com/watch?v=GnFci5UQKuU

「Snow Flower」
Paul Lewinson/Ananda Shankar作。オリエンタルなシタールにシンセが絡むチル・アウトな音世界に惹きこまれます。
http://www.youtube.com/watch?v=VTZ9ICy1Zkk

「Light My Fire」
ご存知Doorsの大ヒット曲「ハートに火をつけて」をカヴァー。シタールが醸し出すサイケ感にスペイシーなシンセが加わり、アシッド・ワールドへ一気にトリップしてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=9K37e9i_98M

「Mamata (Affection)」
Paul Lewinson/Ananda Shankar作。シタールによるボッサ・サウンドという意外な展開です。ブラジル音楽好きの僕にとっては意表を突かれたシタール・ボッサに鼻血ブーです。

「Metamorphosis」
Paul Lewinson/Ananda Shankar作。瞑想の中でサウンドがウネリまくるメディテーション・グルーヴ。タブラが絡む中盤のドラム・ブレイクにもグッときます。

「Sagar (The Ocean)」
Paul Lewinson/Ananda Shankar作。13分超の大作です。きっとテクノ系のクラブミュージック好きは興味深く聴くことができる1曲なのでは?今から40年以上前にこんなコズミックな音楽が演奏されていたんですね!
http://www.youtube.com/watch?v=UjKZCzqMmRE

「Dance Indra」
トラディショナル作品ですが、いきなりシンセ・サウンドでトリップさせられてしまいます。インド音楽とシンセが出会った音世界は当時としてかなりブッ飛んだサウンドであったのでは?

「Raghupati」
ラストは子供達のコーラスも加わったヴォーカル・チューン。インド音楽にフォーキー・サウンドとピースフルなコーラスな加わり、Ananda Shankarならではの音楽が展開されます。
http://www.youtube.com/watch?v=fWsLZfDrChE

ご興味がある方は他のAnanda Shankar作品もチェックを!

『Ananda Shankar and His Music』(1975年)
Ananda Shankar and his Music

『Missing You/A Musical Discovery of India』
※『Missing You』(1977年)と『A Musical Discovery of India』(1978年)の2in1CD
Missing You/a Musical Discovery of India

『Sa-Re-Ga Machan』(1981年)
Sa-Re-Ga Machan

『2001』(1984年)
2001
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2012年01月30日

Q-Tip『Amplified』

Jay Dee(J Dilla)とタッグを組んだQちゃんの1stソロ☆Q-Tip『Amplified』
Amplified
発表年:1999年
ez的ジャンル:The Ummah系Hip-Hop
気分は... :最強タッグ作品も当時は賛否両論!

今回はA Tribe Called Quest(ATCQ)の中心人物Q-Tipの1stソロ『Amplified』(1999年)です。

これまで当ブログで紹介したATCQおよびQ-Tip作品は以下のとおりです。

 『The Renaissance』(2008年)
 『Kamaal The Abstract』(2009年)

 A Tribe Called Quest『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』(1990年)
 A Tribe Called Quest『The Low End Theory』(1991年)
 A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)
 A Tribe Called Quest『Beats Rhymes & Life』(1996年)

アルバム『The Love Movement』(1998年)を最後にATCQでの活動にピリオドを打ったQ-Tipが、The Ummahの盟友である故Jay Dee(J Dilla)とタッグを組んで制作した1stソロが『Amplified』です。

昨年秋にLittle BrotherThe Foreign Exchangeでお馴染みの男性ラッパー/シンガーPhonteの初ソロ・アルバム『Charity Starts At Home』(2011年)を紹介しましたが、同作のリリースに際してPhonte本人が盟友9th Wonderとの共同作業を、『Amplified』におけるQ-TipJ Dillaの関係になぞっていました。

このように優れたHip-Hopアーティストの共同作業の代表例として挙げられる本作ですが、当時は後期ATCQのアルバムやJ Dillaの才能が全面的に支持されていた訳ではなく、賛否両論のあったアルバムでした。ATCQファンは初期作品のような感触の音を求めがちだったのかもしれませんね。

当時の僕はJ Dillaの存在の大きさについては正しく認識できていませんでしたが、ATCQ大好き、Q-Tip大好きだったので無条件に本作を受け入れていた気がします。

改めて聴いてみると、シンプルかつ無機質なビートがQ-Tipのフロウを際立たせているのが印象的ですね。そして、Q-TipやJ Dillaがネクスト・レベルのHip-Hopを模索している姿勢を確認できます。

全12曲のうち、2曲のみDJ Scratchがプロデュースしています。

Q-Tipファンは勿論のこと、J Dillaファンも必聴のアルバムです。

久々に聴き直して惚れ直してしまいました。

全曲紹介しときやす。

「Wait Up」
無機質な電子音とファンキーなピアノ・ループが絡むオープニング。シンプルなトラックがQ-Tipのライムを引き立てます。
http://www.youtube.com/watch?v=x4Z-PUOoHAg

「Higher」
淡々としたリズムのループを繰り返し聞いていると、知らぬ間にユルい高揚感が・・・。Roy Haynes「Wonderin'」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=G1ENnGJmql4

「Breathe And Stop」
シングルにもなった人気曲。定番ドラム・ブレイクKool & The Gang 「N.T.」ネタのビートにEmmett Chapman「Gypsy」ネタの上ものが絡み、Urszula Dudziak「By Myself」の声ネタがアクセントをつけるプログレッシヴなトラックが秀逸です。
http://www.youtube.com/watch?v=n8omE8XPeYE

「Moving With U」
本作らしい無機質かつレトロ感のある電子音が支配する音空間をQ-Tipのシンギング・ラップが駆け抜けます。
http://www.youtube.com/watch?v=ziBZfy4yrrM

「Let's Ride」
この曲も人気ですね。Joe Pass「Giant Steps」ネタのギター・ループが心地好い1曲。定番ブレイクThe Vibrettes「The Humpty Dump」やESG「UFO」ネタもサンプリングされています。Q-Tipのフロウも含めて、アルバムで一番ATCQっぽい雰囲気の曲かもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=O459U_VtDK0

「Things U Do」
浮遊するジャジーなグルーヴ感はQ-TipやJay Deeも属していたSoulquarians絡みの諸作とリンクしてきますね。
http://www.youtube.com/watch?v=txr6LNbkPiQ

「All In」
小刻みなスクラッチがいい感じ!The Cannonball Adderley Quintet「Leo: Rosebud」ネタのループが激シブです。Meda Leacockの女性ヴォーカルがアクセントをつけてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=AVNU8p3nsmg

「Go Hard」
Mandre「M3000 (Opus VI)」ネタのスペイシー・サウンドをサンプリング。レトロなゲーム音を思わせる無機質なピコピコ・ビートをバックにQ-Tipのフロウとセクシー女性コーラスが浮遊します。
http://www.youtube.com/watch?v=jN9nf_SB3Nk

「Do It」
DJ Scratchプロデュース1曲目。Kali「La Biguine Des Enfants Du Bon Dieu」をサンプリングしたトラックに、Jessica Riveraの女性ヴォーカルが絡むカリビアン・フレイヴァーな仕上がり。The Ummahコンビのプロデュース作とはかなり趣を異にします。僕の場合、ワールド・ミュージック・ブームの際、Kaliを愛聴していましたが、まさかHip-Hopトラックにサンプリングされるとは意外ですね・・・
http://www.youtube.com/watch?v=ocT_i5zjstU

「Vivrant Thing」
アルバムからのシングル・ヒット。やはり本曲がアルバムで一番キャッチーかつシングル向きですね。Love Unlimited Orchestra「I Wanna Stay」をサンプリングしたトラックが格好良すぎです。PVもいろいろな意味で実にヒップです(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=dl6aECuKsdU

「N.T.」
DJ Scratchプロデュース2曲目。Busta Rhymesをフィーチャー。Mike DiNapoli「Theme From A Night Of Love」をサンプリング。軽やかなジャジー・トラックがQ-Tipのフロウにマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=TQuxPS1yzFs

「End Of Time」
ラストはUSメタル・バンドKornをフィーチャー。異色のコラボですが、どうせならばもっとパンチを効かせても良かった気もします。
http://www.youtube.com/watch?v=4kwg2eGNHBM

さらに「End Of Time」に続き、隠れトラック「Do It, See It, Be It」が収録されています。

本作を経て、Q-Tipは2001年に衝撃作『Kamaal The Abstract』を制作しますが、正規リリースされることなく2009年までお蔵入りすることになってしまいます。

Q-Tip作品やATCQ作品の過去記事をご参照下さい。

『The Renaissance』(2008年)
The Renaissance

『Kamaal The Abstract』(2009年)
カマール・ジ・アブストラクト

A Tribe Called Quest『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』(1990年)
People's Instinctive Travels and the Paths of Rhythm

A Tribe Called Quest『The Low End Theory』(1991年)
The Low End Theory

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)
Midnight Marauders

A Tribe Called Quest『Beats Rhymes & Life』(1996年)
ビーツ,ライムズ&ライフ
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2012年01月29日

Paulo Muniz『Your Love』

4年ぶりの新作でもソフト&メロウ・ワールドは健在!☆Paulo Muniz『Your Love』
paulo muniz your love.jpg
発表年:2012年
ez的ジャンル:ブラジリアン男性シンガー・ソングライター
気分は... :ソフト&メロウ・ワールド!

今回はブラジリアン男性シンガー・ソングライターPaulo Munizの約4年ぶりの新作『Your Love』です。

1976年リオ・デ・ジャネイロ生まれのブラジル人SSW、Paulo Munizの紹介は『Trying To Fool Destiny』(2007年 ※国内盤)に続き2回目となります。

Paulo Munizと言えば、2007年に国内盤がリリースされた『Trying To Fool Destiny』で日本のブラジル音楽ファンを魅了しました。

同作は2006年にリリースされたものでしたが、新しいアートワーク+ボーナス・トラック3曲を追加した新装国内盤がプロダクション・デシネからリリースされ、ソフト&ジェントルな歌声と爽快メロウ・サウンドが日本の音楽ファンの間でも高い支持を得ました。さらに、その勢いに乗って新作『Sine Qua Non』(2007年)もリリースされました。

『Trying To Fool Destiny』(2007年 ※国内盤)
トライング・トゥ・フール・デスティニィ(ジャパニーズ・エディション・デジパック仕様)

『Trying To Fool Destiny』(2006年 ※輸入盤)
Trying to Fool Destiny

『Sine Qua Non』(2007年)
シネ・クァ・ノン

特に全曲英語(ボーナス・トラックはポルトガル語)で歌われた『Trying To Fool Destiny』は、ブラジル音楽ファンのみならず、AOR/ジャズ/フュージョン好きの人にも広くアピールした1枚でしたね。僕も2007年の夏に最も多く聴いたアルバムだったかもしれません。

個人的には当時人気だった北欧ボッサ作品Johan Christher Schutz『Passion』(2004年)あたりとセットで聴いていました。Paulo Munizの親しみやすいメロディは、同じブラジル人アーティストよりもブラジル志向の北欧アーティストと相性が良い気がします。

さて、『Sine Qua Non』から約4年ぶりの新作となる『Your Love』ですが、タイトル曲のみ英語で残りは全てポルトガル語で歌われています。

レコーディング・メンバーはPaulo Muniz(vo、g)以下、Erivelton Silva(ds)、Ney Conceicao(b)、Hamleto Stamato(p)、Thiago Ferte(ts)、Val Oliveira(fl、ss)、Paulinho Trompete(flh)、Rodrigo Eberienos(harmonica)Firmino(per)という、いずれも前作にも参加していたミュージシャンで固められています。

本作でもPaulo Munizらしいソフト&メロウな音世界を満喫できます。
この親しみやすさはブラジル音楽初心者の方も違和感なく入ることができると思います。

優しい歌声と爽快メロウなボッサ・サウンドを求めている方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Antes De Dormir」
Pauloらしいジェントルなメロウ・チューンでアルバムの幕を開けます。ホーン隊が開放的な雰囲気を演出してくれるのもグッド!アルバムのつかみはOK!といったところでしょう。本作のみPaulo MunizとGustavo Saianiの共作です。

「Deixar De Viver」
Rodrigo Eberienosのハーモニカの響きと共にスタートする爽快ボッサ・チューン。のんびりとまどろみながら聴きたい1曲ですね。

「Your Love」
タイトル曲はロマンティックなメロウ・チューン。英詞なのでAOR好きの人あたりにもフィットすると思います。涼しげなフルートやエレガントなピアノの響きが雰囲気を盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=AT8aSA8uY-M ※プロモ用

「Sonhando Em Vao」
ジャジー・テイストの大人のボッサ・チューン。サンセット気分にフィットする仕上がりです。Thiago Ferteのテナー・サックスが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=EYNCJzqbYUc ※プロモ用

「O Resto Da Minha Vida」
ブラジル人SSWらしいメロディが満喫できる1曲。メロディ・メイカーとしてのPaulo Munizの才能を実感できます。

「Minha Menina」
そよ風のようなアコースティック・サウンドの質感がジェントルなPauloの歌声とマッチして心地好さが倍増しています。ここでもVal OliveiraのフルートとHamleto Stamatoのピアノがいいアクセントになっています。

「O Tempo Virou」
大人のジャジー・テイストにグッとくるボッサ・チューン。小粋な男性ジャズ・ヴォーカル作品とセットで聴きたくなる1曲ですね。

「Nova Era」
美しいメロディと清らかな歌声に魅了されるロマンティック・チューン。素敵なムードを演出したい時にはピッタリ!

「Pelo Visto」
ボッサな疾走感にグッとくる1曲。Pauloの憂いを帯びたヴォーカルがサウダージ気分を盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=yNspHFHuLmk ※プロモ用

「Acorda, Amor...」
しっとりと聴かせてくれるボッサ・バラード。目を閉じると、そこはサンセット・モード・・・

「Verdes Olhos」
ラストはスウィンギー・テイストで締め括ってくれます。小粋なジャジー・サウンドを楽しみましょう。

今ならばアルバムを購入すると、「O Resto da Minha Vida」「Samba do Doente」「Ate O Final」「Viagem」というデモ4曲を収録した8cmCDが付いています。

興味がある方は、記事内にも出てきたスウェーデン人SSW、Johan Christher Schutzによる北欧ボッサ作品もチェックを!

Johan Christher Schutz『Passion』(2004年)
パッション(紙ジャケ仕様)

Johan Christher Schutz『Blissa Nova』(2007年)
ブリサ・ノウ゛ァ

Johan Christher Schutz『C'est La Vie』(2008年)
セラヴィ
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2012年01月28日

Cold Blood『Lydia』

Steve Cropperプロデュース!Lydia Penseを前面にフィーチャーした5thアルバム☆Cold Blood『Lydia』
リディア
発表年:1974年
ez的ジャンル:ベイエリア・ファンク系ファンキー・ソウル
気分は... :グループ作品? or ソロ作品?

今回はTower Of Powerと並ぶベイエリア・ファンクを代表するグループCold Bloodの5thアルバム『Lydia』(1974年)です。

紅一点の女性リード・ヴォーカルLydia Penseを中心とした白人/ラテン系のメンバーが結成したオークランド出身のファンク・グループCold Bloodの紹介は、3rd『First Taste Of Sin』(1972年)に続き2回目となります。

Janis Joplinを彷彿させるLydia Penseの圧倒的なヴォーカルとベイエリア・ファンクらしい迫力のホーン・サウンドが特徴のCold Bloodですが、5thアルバムとなる本作『Lydia』の頃はグループの様相もかなり変化していたようです。

本作でプロデュースするのはメンフィスの重鎮ギタリストSteve Cropper。レコーディングはメンフィスとL.A.の2箇所で行われました。

本作に参加しているCold Bloodのメンバーは、Lydia Pense(vo)、Raul Matute(org、cla)、Michael Sasaki(g)、Rod Ellicott(b)、Gaylord Birch(ds)、Max Haskett(tp)の6名。

このうち、「Considerations」「I Only Wanted Someone To Hear Me」「You're Free Lovin' Me」の3曲がレコーディングされたメンフィスでのセッションに参加しているのは、Raul MatuteMichael Sasakiの2名のみ。それ以外に、Tommy Cathey(b)、Joe Williams(ds)、Paul Cannon(g)、Steve Cropper(g)、The Memphis Hornsといったミュージシャンが参加しています。

一方、上記3曲以外のレコーディングが行われたL.A.でのセッションにはメンバーに加え、Smith Dobson(p、el-p)、Danny Kootch(g)、Bobbye Hall(congas、per)、David Luell(as、ts、bs)、Chuck Bennett(tb)、Bobby Shew(tp)、Paul Hubinon(tp)、Chuck Findley(tp)、Jim Horn(ts、fl)、Don Menza(ts、fl、piccolo)、Peter Christlie(ts、fl、piccolo)といったミュージシャンが参加しています。

また、バック・ヴォーカルとして、Brenda RussellBrooks HunnicuttGwen Edwards等が参加しています。

アルバム・タイトルやレコーディングの状況が示すように、グループとしてのCold Bloodよりもリード・ヴォーカルLydia Penseを前面に打ち出した作品です。グループよりもフロントの女性ヴォーカルを大きくフィーチャーして売り出すという意味では、Chaka KhanRufusと同じような状況だったのかもしれませんね。

アルバム全体としては、ファンキーながらも落ち着きのあるアルバムという印象を受けます。主役であるLydiaも押し引きを巧みに使い分けた成熟のエモーショナル・ヴォーカルを聴かせてくれます。

白人女性シンガーによる大人のファンキー・ソウルを満喫しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Ready To Live」
オススメその1。Lonnie Hewitt/Paul Edward Smith作。個人的にはアルバムのハイライト。西海岸らしいアーバン・テイストがいい感じのファンキー・チューン。カッティング・ギター&ホーン隊が大人のファンキー・サウンドを演出してくれます。主役のLydiaのヴォーカルも快調です!
http://www.youtube.com/watch?v=t_U6ZXFWOnY

「Simple Love Life」
Paul Edward Smith/R. Smith作。ブルージーながらも親しみやすいメロディが印象的です。Lydiaの抑えたヴォーカルに彼女の成長を感じます。

「Under Pressure」
Fred Gowdy/Larry Wilkins作。L.A.録音らしい雰囲気の大人のファンキー・チューン。全体的に力みのない感じがいいですね。

「When My Love Hand Comes Down」
オススメその2。Gloria Jones/Pam Sawyer。Lydiaのドスの利いた(?)ヴォーカルを満喫できるブラック・フィーリング溢れたソウルフル・チューン。

「When It's Over」
A. Wayne作。タイトルが示すとおりの哀愁チューン。まるでLydiaの嘆き節といったところでしょうか。泣きのギター・ソロも印象的です。

「Considerations」
メンフィス録音1曲目。Steve Cropper作。それまでの雰囲気から一変し、いかにもメンフィスといった趣のアーシーなソウル・チューン。でも親しみやすいメロディで意外に聴きやすいです。The Memphis Hornsも盛り上げてくれます。

「I Only Wanted Someone To Hear Me」
メンフィス録音2曲目。Allan Rush/Dee Presley作。感動的なLydiaのヴォーカルに出会うことができます。曲自体は悪くありませんが、このタイプの曲をCold Blood名義でリリースする必要があったのかなぁ?と思ってしまいます。

「You're Free Lovin' Me」
オススメその3。メンフィス録音3曲目。Carl Marsh/Steve Cropper作。洗練されたファンキー・ソウル。情報が無ければ、メンフィス録音ではなくL.A.録音だと勘違いしてしまうかもしれません。

「Come Back Into My Life Again」
オススメその4。B. R. Charles作。L.A.録音らしい明るく開放的な雰囲気が好きです。ウエスト・コースト・サウンドがお好きな方は気に入る1曲だと思います。

「Just Like Sunshine」
オススメその5。Paul Edward Smith/Raul Matute作。ラストはフルートが妖しく先導するファンキー・チューン。ミステリアス&ポップ&ソウルフルなバランスがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=QaGjuNcxjPw

Cold Bloodの他作品もチェックを!

『Cold Blood』(1969年)
コールド・ブラッド

『Sisyphus』(1971年)
シシファス

『First Taste Of Sin』(1972年)
ファースト・テイスト・オブ・シン

『Thriller』(1973年)
Thriller!
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2012年01月27日

Free Design『You Could Be Born Again』

妹Ellenも加わり、4声ハーモニーとなった2nd☆Free Design『You Could Be Born Again』
ユー・クッド・ビー・ボーン・アゲイン
発表年:1968年
ez的ジャンル:ミラクル兄弟コーラス系ソフトロック
気分は... :ボーン・アゲイン!

今回はソフトロック好きにはお馴染みの兄弟コーラス・グループFree Designの2ndアルバム『You Could Be Born Again』(1968年)です。

次男Chris Dedrickを中心にしたDedrick兄弟のグループFree Designに関して、当ブログでは以下の3枚のアルバムを紹介済みです。

 『Kites Are Fun』(1967年)
 『Heaven/Earth』(1969年)
 『Stars/Time/Bubbles/Love』(1970年)

今日の人気で言えば、『Kites Are Fun』もしくは『Stars/Time/Bubbles/Love』ということになるでしょうが。Free Designのさまざまな側面を楽しむという点では、本作『You Could Be Born Again』も捨て難い魅力があります。でも、個人的にはジャズ色の強い『Heaven/Earth』を聴く頻度が高かったりするのですが(笑)

デビュー・アルバムとなった前作『Kites Are Fun』時点のメンバーは、次男Chris、長男Bruce、長女Sandy(Sandra)の3人でしたが、本作『You Could Be Born Again』から妹Ellenが加わり、3声から4声へハーモニーが強化されました。

プロデューサーは発売元Project 3のオーナーEnoch Light、エンジニアはPhil Ramone、さらに後のCBSレコード社長のTony Mottola(g)等がレコーディングに参加しています。アレンジはグループの中心Chris Dedrickが手掛けています。

前作はFrancis LaiThe Beatles、Simon & Garfunkelのカヴァー3曲にオリジナル曲という構成でしたが、本作ではThe Mamas & The Papas、Burt Bacharach、The Beatles、Duke Ellington、The Turtlesのカヴァー5曲にオリジナル曲という構成です。

カヴァーでは「California Dreamin'」、オリジナルでは「You Could Be Born Again」「Quartet No. 6 In D Minor」「I Found Love」あたりが僕のお気に入りです。必ずしもFree Designらしい美しいハーモニーを満喫する楽曲ばかりではありませんが、逆にそのあたりが本作の魅力でもあると思います。

ミラクルな兄弟コーラスが魅惑のソフトロック・ワールドへ誘います。

全曲紹介しときやす。

「You Could Be Born Again」
4人が織り成す緻密で美しい魔法のコーラスを満喫できるオープニング。清々しいハーモニーを聴いていると心の中の霧が晴れ、気分もポジティブになります。今回本アルバムをセレクトしたのも、今の僕の心境にジャスト・フィットする本曲が聴きたかったからかも?コーラスのみならずサウンド・アレンジもお見事!
http://www.youtube.com/watch?v=Yx8DXUPazcg

「A Leaf Has Veins」
4人のスキャット・ハーモニーを堪能できる小粋なドリーミー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=MUw8bxYgyTE

「California Dreamin'」
The Mamas & The Papasの大ヒット曲(John Phillips作)をカヴァー。躍動感のあるパーカッシヴ&グルーヴィーな仕上りはFree Designらしからぬ仕上がりですが、今日のDJユースにピッタリなのでは?

「The Windows Of The World」
Hal David/Burt Bacharach作。オリジナルはDionne Warwickのヒット・シングルです。落ち着きのあるエレガントなカヴァーに仕上がっています。

「Eleanor Rigby」
前作の「Michelle」に続くThe Beatlesカヴァーです。当ブログでは以前にBossa RioThird Waveのカヴァーも紹介していますが、ソフトロック系のグループは美しいハーモニーを合わせやすい本曲がお気に入りなのかもしれませんね。ここでも素晴らしいハーモニーを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=i5Z0uw_Ov_A

「Quartet No. 6 In D Minor」
サイケ・フォークなオリジナル作品。ストレンジなハーモニー&音世界が僕好みです。こういう楽曲ばかりを集めたプレイリストが無性に聴きたくなる日があるんですよね・・・現実逃避したいのかも(笑)

「I Like The Sunrise」
Duke Ellington作品のカヴァー。きっと元々はジャズ・ミュージシャンでジャズをこよなく愛した父親の影響によるセレクトなのでしょうね。モロにジャズ・スタンダードな雰囲気にしていないところがいいですね。

「I Found Love」
本作のハイライトはこの曲かもしれませんね。子供から大人まで楽しめる親しみやすいメロディが印象的なラブリー・チューン。当ブログでは以前にChris Dedrick本人がプロデュース&コーラス参加したLori Cullenのカヴァー(アルバム『Buttercup Bugle』収録)も紹介済みです。オリジナルと聴き比べてみるのも楽しいですよ。

Lori Cullen「I Found Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=ndarNNoDnjk

「Daniel Dolphin」
Free Designらしい美しくエレガントな仕上がりに魅了されます。バロック調の味わいがいいアクセントになっていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=XtXtV-hDPcM

「Happy Together」
The Turtlesの大ヒット曲(Alan Gordon/Garry Bonner作)をカヴァー。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、美しいハーモニーでアクセントをつけたといったところでしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=3eHU9Mmu_kA

「Ivy On A Windy Day」
幻影のようなコーラス、サンセット・モードのコーラス、アコースティック・グルーヴとさまざまな表情が堪能できる1曲。

「An Elegy」
ラストはタイトルの通りエレジーです。ベトナム戦争で戦死した従兄に捧げた1曲とのこと。兄弟の強い想いが込められた1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=2xO2YnH1QUQ

Free Designの過去記事もご参照下さい。

『Kites Are Fun』(1967年)
Kites Are Fun

『Heaven/Earth』(1969年)
ヘヴン・アース

『Stars/Time/Bubbles/Love』(1970年)
スターズ・タイム・バブルズ・ラヴ
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