2012年01月26日

4Hero『Creating Patterns』

新境地に入った4Heroの2001年作品☆4Hero『Creating Patterns』
Creating Patterns
発表年:2001年
ez的ジャンル:UKフューチャー・ジャズ&ソウル
気分は... :喉元すぎれば熱さを忘れる?

最近、いろいろな面で裏切られた思いをしたことがかあります。

僕の場合、(実際は違いますが)温厚そうな外見が災いしているのかもしれません。
相手からすると、「まぁ、アイツだったら多少ぞんざいに扱っても大丈夫だろう・・・」という調子なのでしょう。

人は「喉元すぎれば熱さを忘れる」なんですね・・・

ただし、そこで人を恨んでも自分の人生に全くプラスにならないので、忍耐強く、粘り強く対処するように心掛けていますが・・・自分の限界も近いような???

こんな下げモードを救ってくれる特効薬はやはり音楽ですね。
ということで今日は飛び切りクリエイティヴな1枚を聴きたい気分です。

セレクトしたのは、DegoMarc Macの2人による人気ユニット4Heroが2001年にリリースした『Creating Patterns』です。

当ブログで紹介した4HeroおよびDego関連の作品は以下の3枚です。

 『Parallel Universe』(1994年)
 Tek 9『Simply』(1999年)
 2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
 Dego『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)

1st『In Rough Territory』(1991年)をリリース。2nd『Parallel Universe』(1994年)、3rd『Two Pages』(1998年)に続く4thアルバムとなる本作『Creating Patterns』は、ドラムンベースの雄として名を馳せた4Heroがドラムンベースの枠を飛び越え、新境地へ向かった作品として評価の高い1枚ですね。

『Parallel Universe』(1994年)でドラムンベースのトップランナーとしての地位を確立し、2枚組の大作となった3rd『Two Pages』(1998年)ではより音楽性の幅を広げや完成度の高いサウンドを聴かせてくれたUKクラブミュージックの雄4Heroが、次にどこへ向かうのかというのは多くの音楽ファンが注目していたと思います。

そして、彼らが辿り着いた先はフューチャー・ジャズ&ソウル/ブロークンビーツでした・・・と書きながら、僕はこの時期の彼らをリアルタイムでフォローすることができていませんでした。「4Hero=ドラムンベース」という固定観念が邪魔をして、『Two Pages』までで彼らに一区切りつけてしまった感がありました。そもそもこの時期はUKクラブミュージック全般から離れており、6年半前に当ブログ開設した後、さまざまな佳作をスルーしていたことに気付き、遅ればせながらチェックしてきた次第です。

21世紀スタイルのソウル&ジャズを聴かせてくれる本作には、Ursula RuckerBembe SegueJill ScotLady AlmaPatricia MarxFaceMark Murphy、Carina Andersonといった多彩なヴォーカリストがフィーチャーされています。このメンバーだけでも本作は買いという気がしますよね。

また、Bugz In The AtticのSeiji、Kaidi Tatham等もレコーディングに参加しています。

改めて聴くと、西ロンドン系クラブミュージックのエッセンスが見事に凝縮された1枚に仕上がっていますね。ブラジル、ラテン、アフロ等のエッセンスを違和感なく取り入れているあたりも現在の僕の音楽嗜好とフィットしています。唯一オリエンタルのエッセンスは違和感有り×2ですが(笑)

後追いでもフォローすべき歴史的名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Conceptions」
ジャジー・ビートにストリングスが絡むエレガントなオープニング。シタールやタブラでインド・テイストのスパイスを効かせています。
http://www.youtube.com/watch?v=4_MOeEIRC6o

「Time」
Ursula Ruckerのポエトリー・リーディングをフィーチャー。ジャジー&オーガニックな序盤から中盤はドラムンベース調へテンポアップしていきます。ネオ・フィリー系のシンガー/ラッパー/詩人Ursula Ruckerは前作『Two Pages』のオープニング「Loveless」でもフィーチャーされていました。他にも当ブログで紹介した作品で言えば、The Roots作品やRichard Earnshaw『In Time』でフィーチャーされています。
http://www.youtube.com/watch?v=f6IUBrTmC7M

「Golden Solitude」
西ロンドンの歌姫Bembe Segueをフィーチャー。ダークなスペイシー感にグッとくるフューチャー・ディスコ。Bembe Segueの個性的なヴォーカルが栄えます。Bembe SegueはMark De Clive-LoweJazzanovaNicola Conte等クラブ・ミュージックの重要作品には欠かせない女性シンガーですね。

「Twothesme」
不気味なコズミック感を醸し出すインスト。アフロな前半から後半はフリーキー・ジャズな表情も加わっていきます。

「Another Day」
人気ネオ・ソウル・シンガーJill Scotをフィーチャーして話題となった1曲。4Heroらしからぬネオ・ソウル・チューンと思いきや中盤から本作らしいリズムを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=SzP8bVMaRCs

「Hold It Down」
US女性シンガーLady Almaをフィーチャーした人気曲。爽快に疾走するブロークンビーツは実に心地好いです。当ブログではBah Sambaのリード・シンガーAlice RussellをフィーチャーしたThe Quantic Soul Orchestraのカヴァーも紹介済みです。多方面で活躍するディーヴァLady Almaは2000Black作品でもフィーチャーされています。他にも当ブログで紹介した作品で言えば、Zo!『SunStorm』に参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=1gYi7Yp3n-Y

「Unique」
クラブミュージック好きに人気の高いブラジル人シンガーPatricia Marxをフィーチャーしたブラジリアン・ブロークンビーツ。Bebel GilbertoSabrina Malheirosが大好きな僕にとってはど真ん中な1曲です。

「Something Nothing」
UKの女性シンガーFaceとLady Almaをフィーチャー。Roger Beaujolaisのヴァイヴの音色が心地好いラテン・フレイヴァーの効いたクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。西ロンドンというよりもニューヨリカンな香りがします。

「Ways Of Thought」
Faceをフィーチャー。西ロンドンらしいリズムを満喫できるフューチャー・ジャズな1曲。心地好いパーカッシヴな疾走感がたまりません!実に完成度の高い1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=c1qRydEDUFc

「Eight」
トライバル&エレクトリックなインスト・チューン。Degoの最新作『A Wha' Him Deh Pon?』を聴いた後に聴くと、こういう曲もDegoらしいのかなという気がします。

「Twelve Tribes」
ベテラン男性ジャズ・シンガーMark Murphyのスポークン・ワードをフィーチャー。前半のオリエンタル情緒な展開は???ですが、中盤からハードバップなリズムが加わり安堵します(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=2LIgFf5gWb0

「2-BS-74638」
Degoの実験室!といった趣のフューチャー・ジャズなインスト。

「Les Fleur」
ラストはMinnie Ripertonの名曲カヴァー(Charles Stepney/Richard Rudolph作)。オリジナルはアルバム『Come to My Garden』に収録されています。ここではCarina Andersonをフィーチャーし、オリジナルと同様に重厚なコーラスと壮大なオーケストレーションによるカヴァーを聴かせてくれます。あえて忠実にカヴァーしたあたりに本作のねらいを紐解くヒントがあるのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=GgyEEf-0tfo

国内盤には「The Day of The Greys」(feat. Terry Callier)、「2000 Black」(feat. Roy Ayers)、「B-Side Track」の3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

他の4Hero作品もチェックを!

『Parallel Universe』(1994年)
Parallel Universe

『Two Pages』(1998年)
トゥ・ペイジズ

『Play with the Changes』(2007年)
Play With the Changes (Dig)

Dego関連の過去記事もご参照下さい。

Tek 9『Simply』(1999年)
Simply (+ Bonus Tracks)

2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
ア・ネクスト・セット・ア・ロッカーズ

Dego『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)
A Wha Him Deh Pon ?
posted by ez at 03:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月25日

The Isley Brothers『Live It Up』

3+3体制を強化したIsleysが全盛期へ向かう1枚☆The Isley Brothers『Live It Up』
リヴ・イット・アップ(紙ジャケット仕様)
発表年:1974年
ez的ジャンル:ロック&ソウル系ファンク
気分は... :70年代Isleysはどれもサイコー!

久々にThe Isley Brothersの登場です。

これまで当ブログで紹介したIsleys作品は以下の9枚(発表年順)。

 『Givin' It Back』(1971年)
 『The Isleys Live』(1973年)
 『3+3』(1973年)
 『The Heat Is On』(1975年)
 『Harvest For The World』(1976年)
 『Go For Your Guns』(1977年)
 『Winner Takes All』(1979年)
 『Between The Sheets』(1983年)
 『Baby Makin' Music』(2006年)

10枚目に紹介するアルバムは1974年リリースの『Live It Up』です。

基本的には70年代Isleysのアルバムは全て大好きな僕ですが、本作もIsleys好きには鉄板な1枚という気がします。

前作『3+3』(1973年)からO'Kelly Isley、Rudolph Isley、Roland Isleyのヴォーカル隊にErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperの楽器隊3名が正式にメンバーに加わり「3+3」体制となりましたが、本作ではその「3+3」体制がさらに強化された印象を受けます。

特にErnieとChris Jasperが存在感を増し始めている印象を受けます。Ernieは例のJimi Hendrixばりのギターに加えて、本作ではドラムも演奏し、Isleys流ファンク・サウンドの確立に貢献しています。Chris Jasperのクラヴィネットやムーグも楽曲にいいアクセントを加えていて目立っています。

レコーディングにはメンバー以外にGeorge Moreland(ds)、Karl Potter(congas)、Truman Thomas(org)が参加しています。

本作はグループ初の全米R&Bアルバム・チャート第1位アルバムとなりました。以降『The Heat Is On』(1975年)、『Harvest For The World』(1976年)、『Go For Your Guns』(1977年)、『Showdown』(1978年)まで5作連続で同チャート第1位を獲得することになります。

全盛期へ向かっていくIsleysの勢いを感じる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Live It Up, Pt. 1 & 2」
オープニングを飾るタイトル曲は推進力のあるグルーヴが魅力のファンク・チューン。シングルとして全米R&Bチャート第4位となりました。いきなりErnieのドラムを満喫できます。そのErnieのドラムにChris Jasperのクラヴィネットが絡むファンク・グルーヴに体を揺らされます。
http://www.youtube.com/watch?v=Bv5PA1-RXr4

「Brown Eyed Girl」
僕の一番のお気に入り!メロディアスなメロウ・ソウル。親しみやすいメロディがRonaldのヴォーカルと良くマッチしています。全体を爽快な雰囲気にするアコースティック・ギターの質感が好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=_8lPoKPmokE

「Need a Little Taste of Love」
Ernieのエレクトリック&アコースティック・ギターを満喫できるグルーヴィー・ソウル。グルーヴィーなロック・チューンとセットで聴くとマッチすると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Yj3pF3ocfs0

「Lover's Eve」
美しくも悲しいラブ・バラード。哀愁メロディを情感たっぷりに歌うRonaldのヴォーカルを堪能しましょう。Chris Jasperのムーグがいい雰囲気を醸し出します。
http://www.youtube.com/watch?v=aSMw4cy-A2o

「Midnight Sky, Pt. 1 & 2」
前作『3+3』からのシングル・ヒット「That Lady」と同路線のセクシーなファンキー・グルーヴに仕上がっています。シングルとして全米R&Bチャート第8位となりました。後半はErnieのギターが火を噴くIsleys好きにはたまらない1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=ox-dz3C1H6g

「Hello It's Me」
Todd Rundgrenの名曲のカヴァー。オリジナルは名盤『Something/Anything』に収録されています。また、当ブログではNazz時代のヴァージョンも紹介済みです。黒人ファンク・グループがToddをカヴァーするというセンスにヤラれます。Isleysというグループの特徴を物語っていますね。さらに、この名曲をまるでオリジナルのように自分たちの色に馴染ませてしまうところがIsleysの凄さです。
http://www.youtube.com/watch?v=Cj-obJq7Wh8

本曲に関しては、当ブログでも紹介した90年代R&BユニットGroove Theoryがカヴァーしています。聴けば一発でわかるようにGroove Theoryヴァージョンは明らかにIsleysヴァージョンを手本にしたものです。

その他にも本ヴァージョンはQueen Latifah「Black Hand Side」、T.I. feat. Governor「Hello」のサンプリング・ソースとなっています。

Groove Theory「Hello It's Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=o5Iw1Syl9X0
Queen Latifah「Black Hand Side」
 http://www.youtube.com/watch?v=n07gr4rMAVg
T.I. feat. Governor「Hello」
 http://www.youtube.com/watch?v=YZgX3l1nGdE

「Ain't I Been Good to You, Pt. 1 & 2」
ラストはブルージーな大作。Part1はへヴィなファンキー・ビートでジワジワとヒートアップさせます。続くPart2ではRonaldのソウルフル・ヴォーカルとErnieの泣きのギターによる哀愁ワールドを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=bp6g0vJb7xg

本曲はBoss「Recipe Of A Hoe」、Chuck D「Free Big Willie」、Public Enemy「Shut Em Down (Pete Rock Remix) 」、Ashanti「Then Ya Gone」、Jemini the Gifted One「Funk Soul Sensation」、UGK feat. Ronnie Spencer「One Day」、Chamillionaire「Picture Perfect」等のサンプリング・ソースにもなっています。

Boss「Recipe Of A Hoe」
 http://www.youtube.com/watch?v=8BM79wOCxG4
Chuck D「Free Big Willie」
 http://www.youtube.com/watch?v=xMGLe3HYx6w
Public Enemy「Shut Em Down (Pete Rock Remix) 」
 http://www.youtube.com/watch?v=bQ7gE7seeOA
Ashanti「Then Ya Gone」
 http://www.youtube.com/watch?v=9Gyd6IVIa_w

Isleysの過去記事もご参照下さい。

『Givin' It Back』(1971年)
Givin' It Back

『The Isleys Live』(1973年)
The Isleys Live

『3+3』(1973年)
3+3

『The Heat Is On』(1975年)
The Heat Is On

『Harvest For The World』(1976年)
ハーヴェスト・フォー・ザ・ワールド

『Go For Your Guns』(1977年)
Go for Your Guns

『Winner Takes All』(1979年)
Winner Takes All

『Between The Sheets』(1983年)
Between the Sheets

『Baby Makin' Music』(2006年)
Baby Makin' Music
posted by ez at 04:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月24日

Courtney Pine『Destiny's Song and The Image Of Pursuance』

まだストレート・アヘッドなジャズを演奏していた2nd☆Courtney Pine『Destiny's Song and The Image Of Pursuance』
courtney pine destiny's song.jpg
発表年:1988年
ez的ジャンル:正統派UKジャズ
気分は... :予想大外れ!

今日は早朝からNFLのチャンピオンシップ・ゲーム「ペイトリオッツ対レイブンズ」、「49ers対ジャイアンツ」の2試合が行われ、ペイトリオッツとジャイアンツが勝利し、見事にスーパーボウル進出を果たしました。個人的にはレイブンズ、49ersを応援していたので実に後味が悪いですね。

AFCの「ペイトリオッツ対レイブンズ」は完全にレイブンズがモメンタムを握っているように思えたのですが、終了間際にKカンディフがまさかのFG失敗で敗れ去りました。個人的にはFGの直前のプレーでWRエバンスが逆転TDパスをキャッチできなかったことが悔やまれます。NFCの「49ers対ジャイアンツ」はパント・リターン・ファンブルからのターンオーバーで、49ersが自滅してしまいました。

4年前の再現となったペイトリオッツ対ジャイアンツのスーパーボウルですが、普通に考えればペイトリオッツが圧倒的に有利ですが、4年前と同じでジャイアンツがチャレンジャーの気持ちで開き直ったプレーをすれば十分勝機があるように思えます。

NFLと言えば、我がドルフィンズの新HCに前パッカーズOCのジョー・フィルビン氏が就任しました。個人的にはその人脈でFAとなるパッカーズの控えQBフリンを獲得し、ドルフィンズの新エースQBに指名して欲しいですね。期待しちゃいます。

アメフト・ファンにとっては、ペンシルバニア州立大学の名HCジョー・パターノが亡くなったのは寂しいですね。最後はコーチスタッフの不祥事により昨年11月に解任されるという不本意なキャリアの終わり方をしたパターノでしたが、カレッジ・フットボールHCの代名詞のような存在でしたからね・・・ご冥福をお祈り致します。

今回はUKを代表するジャズ・サックス奏者Courtney Pineの2ndアルバム『Destiny's Song and The Image Of Pursuance』(1988年)です。

1964年ロンドンのジャマイカ地区生まれのジャズ・ミュージシャンCourtney Pineの紹介は、『Modern Day Jazz Stories』(1995年)に続き2回目となります。

『Destiny's Song and The Image Of Pursuance』(1988年)はデビュー作『Journey to the Urge Within』(1986年)に続く2ndアルバムとなります。

90年代に入り、レゲエ、ヒップ・ホップ、アシッド・ジャズ、ドラムン・ベースなど幅広いジャンルの要素を取り入れた独自のジャズ・ワールドを展開し、人気を博していくCourtney Pineですが、2ndアルバムとなる本作『Destiny's Song and The Image Of Pursuance』の頃はストレート・アヘッドなジャズを演奏しています。

僕がCourtney Pineのことを最初に知ったアルバムです。ただし、当時は音は聴かずジャケの印象のみがインプットされたのですが・・・そのせいか実際の音を聴く前から親近感があった作品です。

レコーディングにはCourtney Pine(ss、ts)以下、Gary Crosby(b)、Paul Hunt (b)、Mark Mondesir(ds)、Joe Bashorun(p)、Julian Joseph(p)が参加しています。

プロデュースはトロンボーン奏者のDelfeayo Marsalis。父がEllis Marsalis, Jr.(p)、兄がBranford Marsalis(s)、Wynton Marsalis(tp)、弟がJason Marsalis(ds)という名門ジャズ・ファミリーMarsalis一家の一員です。

ストレート・アヘッドな演奏ながらも、ジャズ・ファン以外にも訴える何かが詰まっている作品のような気がします。UKジャズだからでしょうか?その意味では、アシッド・ジャズ前夜のUKジャズ作品という意味でも興味深いアルバムかもしれません。

Thelonious Monkの名曲「'Round Midnight」以外はCourtney Pineのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Beyond The Thought Of My Last Reckoning」
ストレート・アヘッドな中にスリリングな緊張感が駆け抜けていくオープニング。クラブジャズとは異なる感覚の格好良さがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=rG44sOHh5u8

「In Pursuance」
Courtney Pineの情熱的なフレーズに魅了されるバラード。後半はJulian Josephが美しいピアノで楽しませてくれます。

「The Vision」
ストレート・アヘッドながらもコンテンポラリーな感覚で聴かせてくれます。Courtneyのソプラノ・サックスをはじめバンド全体が小粋なアンサンブルを聴かせてくれます。

「Guardian Of The Flame」
ハイスピード&フリーキーな演奏が格好良いですね。Courtneyのテナー・サックスとMark Mondesirのドラムの激しいバトルにテンションが上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=AwIoQlMyr0k

「'Round Midnight」
Thelonious Monkの名曲カヴァー。ここではCourtneyのテナー・ソロで聴かせてくれます。プロデューサーDelfeayo Marsaliのアイデアでワンテイク・レコーディングしたものらしいです。ジャズ・ミュージシャンCourtney Pineの本質が見えてくるのでは?

「Sacrifice」
個人的には本作のハイライト。格好良すぎる1曲です。冒頭のCourtneyのテナーのフレーズを聴いただけでグッときてしまいます。フツーにクラブジャズと一緒に聴いてもすんなり聴けると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=aW0TGTHUcrE

「Prismic Omnipotence」
エジプトのピラミッドからインスパイアされた曲のようです。そのせいか快調に飛ばしていく中にもミステリアスな雰囲気が漂います。

「Alone」
美しいバラード。アルバム全編に渡り激しいフレーズを聴かせてくれるCourtneyですが、ここでは穏やかなテナーを堪能できます。

「A Raggamuffin's Tale」
ジャマイカ地区生まれでレゲエにも慣れ親しんでいるCourtneyらしいタイトルですね。しかしながら、演奏自体は本作らしいハイスピードのジャズ・チューンです。

「Mark Of Time」
タイトルの通り、ドラマーMark Mondesirのエキサイティングなプレイを満喫できます。90年代以降のCourtneyを予感させるクロスオーヴァーな感覚も僅かに垣間見ることができます。

『Modern Day Jazz Stories』(1995年)
Modern Day Jazz Stories
posted by ez at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月22日

Gordon Chambers『Sincere』

実力派男性R&Bソングライター/プロデューサーの3rdアルバム☆Gordon Chambers『Sincere』
シンシア
発表年:2011年
ez的ジャンル:実力派ソングライター系男性R&B
気分は... :脳の休息日

昨日、頭脳をフル回転させる必要がある仕事を長時間していたせいで脳ミソがガス欠状態です。一応、フル回転させただけの成果はあったので、心地好い疲労ですが。

ということで今日は脳の休息日となってしまい、かなり遅い時間でのエントリーとなってしまいました。

今回はソングライターとして確かな手腕を発揮してきた男性R&BアーティストGordon Chambersの3rdアルバム『Sincere』(2011年)です。

Gordon Chambersの紹介は、1stアルバム『Introducing Gordon Chambers』(2005年)に続き2回目となります。

数日前にエントリーしたHil St. Soul『Copasetik And Cool』の記事の中で、"大好きなUS男性R&Bシンガー/ソングライターGordon Chambers"なんて書いておきながら、彼の最新作をエントリーしていないことに気付き、慌ててエントリーした次第です。

90年代以降のR&Bを聴いてきた人であれば、数多くの有名アーティストに楽曲を提供してきたGordon Chambersの実力はご存知だと思います。当ブログで取り上げた作品からいくつかピックアップしただけでも、以下のような名曲がズラリ!

Brownstone「If You Love Me」
 (1994年、From 『From The Bottom Up』)
 http://www.youtube.com/watch?v=0C5Nb_BJC88
Faith Evans「Fallin' In Love」
 (1995年、From 『Faith』)
 http://www.youtube.com/watch?v=1VuKLGjrrRI
Brownstone「In The Game Of Love」
 (1997年、From 『Still Climbing』)
 http://www.youtube.com/watch?v=6LaRggNKPHA
Angie Stone「No More Rain (In This Cloud)」
 (1999年、From 『Black Diamond』)
 http://www.youtube.com/watch?v=POUdVUlWpXM
The Isley Brothers「Just Came Here to Chill」
 (2006年、From 『Baby Makin' Music』)
 http://www.youtube.com/watch?v=3SOCNqLeydQ

また、前回紹介した1st『Introducing Gordon Chambers』(2005年)も大好きな楽曲が数多く収録された佳作でした。

「Touch You There」(From 『Introducing Gordon Chambers』)
 http://www.youtube.com/watch?v=egSAeN4EgQM
「Slippin' Away」(From 『Introducing Gordon Chambers』)
 http://www.youtube.com/watch?v=yqofCMzz_Cc
「Be Happy」(From 『Introducing Gordon Chambers』)
 http://www.youtube.com/watch?v=smlUS7vdRfc

今回紹介する最新作『Sincere』(2011年)は、『Introducing Gordon Chambers』(2005年)、『Love Stories』(2007年)に続く3rdアルバムになります。

今回メイン・プロデューサーを務めているのはDarien Dorsey。正直、派手なアルバムではありませんが、実力派ソングライター/シンガーらしいバラード中心の確かな1枚に仕上がっています。彼らしい美しく、ちょっぴり切ないメロディを満喫できます。

また、Donny HathawayPhyllis HymanGerald Levertへのトリビュートが含まれている点も興味深いです。

大人のラブ・ソング好きの人はぜひ!

全曲を紹介しときやす。

「In The Band」
Garrett "Blake Melodius" Smithプロデュース。慌しい生活を送るミュージシャンの心情を歌った大人のアップ・チューン。

「Sincere」
The BeatBanggahzプロデュース。Ne-Yoあたりを思い出す美メロ曲。現行R&Bにも配慮しているのが窺えるタイトル曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=fLXxbtKtSv4

「Coming Back」
Jermaine Mobleyプロデュース。僕の一番のお気に入り曲。別れた恋人へのラブソングですが、切ない男心にピッタリなメロディにグッときてしまいます。前作にも関与していたJermaine Mobleyは男性R&BシンガーEric Robersonのハワード大学時代からの友人であり、Musiq Soulchildを手掛けたこともあるプロデューサーです。当ブログで最近紹介した作品で言えば、ワシントンDC出身の女性ヴォーカリストAkua Allrichのデビュー・アルバム『A Peace of Mine』(2011年)をプロデュースしていました。

「Love You Better」
Darien Dorseyプロデュース。ワシントンDC出身の女性シンガーCandace Colesをフィーチャー。♪
Al Greenが言っていたように、Let's Stay Together♪なんて一節も飛び出す素敵なラブ・ソングです。
http://www.youtube.com/watch?v=X9czMtUO3CQ

「Moody Love」
Darien Dorseyプロデュース。素敵なストリングス・アレンジとチェロのソロが盛り上げてくれるラブ・ソングです。

「In The Light」
Darien Dorseyプロデュース。軽快なアップ・チューン。アップものではアルバムで一番好きです。現行R&Bに配慮しつつも、やり過ぎず大人のR&Bに仕上げているところがいいですね。

「In My Room」
Gordon Chambersプロデュース。"21世紀のDonny Hathaway"ことFrank McCombあたりと一緒に聴くとピッタリな荘厳なラブ・バラード。

「I Can’t Love You (If You Don’t Love You)」
Darien Dorseyプロデュース。哀愁グルーヴが胸に沁みるキャッチーなミディアム・スロウ。Gordon Chambersらしいメロディ・ラインを満喫できる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=K1GSrsxKTyY

「A Song For You (Tribute To Donny Hathaway)」
Gordon Chambersプロデュース。Donny Hathawayへのトリビュートとして、Leon Russell作の名曲「A Song For You」をカヴァー。Donnyヴァージョンはアルバム『Donny Hathaway』(1971年)に収録されています。本カヴァーは基本的にはDonnyヴァージョンを受け継いだものですが、2曲前の「In My Room」とセットで聴くとかなりいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=PeDok04c0Wo

「Lead Me (The Ocean)」
Mike Seversonプロデュース。男の哀愁が漂うバラードです。

「Missing You (Tribute To Phyllis Hyman & Gerald Levert)」
Gordon Chambersプロデュース。Gordon Chambers/Barry Eastmond作。Phyllis Hyman(1995年没)とGerald Levert(2006年没)という2人のソウル/R&Bシンガーに捧げた1曲。2人ともGordonも制作に関わったことがあるシンガーです。本曲自体はQueen Latifaらが主演した映画『Set It Off』のサントラ収録曲のセルフ・カヴァーです。オリジナルはBrandy,Gladys Knight,Chaka Khan,Tamiaが歌い、グラミーのBest Pop Vocal Performance By A Duo Or Groupにノミネートされました。ドラマティックであったオリジナルと比較すると、セルフ・ヴァージョンは派手さはありませんが自然に込み上げてくる哀悼の意が伝わってくる感動的な仕上がりです。

Brandy,Tamia,Chaka Khan & Gladys Knight「Missing You」
 http://www.youtube.com/watch?v=Ho75t8nTquM

「Walk With Me (Live at The Blue Note)」
ラストはThomas Whitfield作のゴスペル・スタンダードをライブ・カヴァー。N.Y.のBlue Noteのライブを収録したものです。『Introducing Gordon Chambers』でも「Still In Love」をデュエットしたSara Devineをフィーチャーしています。

国内盤にはボーナス・トラックとして、「Sincere (Soft Lipa Remix)」「Coming Back (Young Souljaz Remix)」「Love You Better (COMA* Remix)」「In The Light (MAKOTO 4x4 Refix)」「Missing You (M-Swift Remix)」「In The Band (DJ KAWASAKI Black Disco Mix)」という6曲が追加収録されています。クラブ仕様のリミックスはR&Bファン向けではありませんが、クラブミュージック好きの人であればチェックすると楽しいと思います。

他のGordon Chambers作品もチェックを!

『Introducing Gordon Chambers』(2005年)
Introducing Gordon Chambers

『Love Stories』(2007年)
Love Stories
posted by ez at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月21日

Komeda『The Genius of Komeda』

近未来レトロなモンド・ラウンジ感が魅力の2nd☆Komeda『The Genius of Komeda』
Genius of
発表年:1996年
ez的ジャンル:モンド・ラウンジ系スウェディッシュ・ポップ
気分は... :近未来レトロ・・・

今日はスウェディッシュ・ポップのグループKomedaの2ndアルバム『The Genius of Komeda』(1996年)です。

スウェーデン北部の大学街ウメオで1991年に結成されたモンド・ラウンジなポップ・グループKomedaの紹介は、3rdアルバム『What Makes It Go?』(1998年)に続き2回目です。

前にも書きましたが、Stereolab好きは気に入るグループだと思います。

モンド・ラウンジなポップ感覚をストレンジ&スタイリッシュに昇華させた『What Makes It Go?』と比較すると、本作『The Genius of Komeda』は近未来レトロなモンド・ラウンジ感が魅力のアルバムです。何処となく70〜80年代ニューウェイヴを彷彿させる点も気に入っています。

レトロな近未来像といった雰囲気のアルバム・ジャケをそのままサウンドにしたような1枚です。

本作におけるメンバーはLena Karlsson(vo)、Mattias Norlander(g)、Marcus Holmberg(b)、Jonas Holmberg(ds)の4名。紅一点Lena Karlssonのクール・ヴォーカルが、近未来レトロなモンド・ラウンジ・サウンドをさらに際立たせています。

楽曲は全てグループのオリジナルです。

ジャケに惹かれたならば、ぜひチェックを!

全曲を紹介しときやす。

「More Is More」
近未来レトロなモンド・ポップ。ジャケのイメージそのままのレトロな近未来像をそのまま音にしたようなポップ感覚に彼らのセンスを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=tOsESjzgGhI

「Fire」
Lenaのクール・ヴォーカルが引き立つラウンジ・ポップ。ダークなカフェ・ミュージックといった感じでしょうか(何じゃそりゃ?)。

「Rocket Plane (Music On The Moon)」
シングルにもなった曲。近未来的なノスタルジーでまとめたラウンジ・ポップ。ジャズのエッセンス上手く採り入れている点が巧みです。
http://www.youtube.com/watch?v=c-6stBqU4Mg

「Boogie Woogie/Rock'N'Roll」
この曲もシングルになりました。チープな疾走感がニューウェイヴっぽくて好きです!
http://www.youtube.com/watch?v=OcXD97vUla4

「Disko」
モンド・ラウンジなポップ感がたまりません。ピコピコ・ノイズもグッド!この頃のStereolabがお好きな人であれば気に入る1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Q7nstltc_pY

「Top Star」
ポップに疾走するギター・ポップ。このタイプの曲はLenaのクール・ヴォーカルが栄えます。終盤のストリングスも効果的です。
http://www.youtube.com/watch?v=wF2m_F9I88A

「Light O' My Life」
レトロ感を逆手にとったジャジー・ポップ・チューン。このあたりのセンスも心憎いですな。
http://www.youtube.com/watch?v=k_iLy6YphfY

「If」
この曲もノスタルジックな哀愁感を巧みに演出したポップ・チューンに仕上がっています。

「Frolic」
近未来ポップ感覚に魅了されます。この曲もStereolab好きな人向けの仕上がり。

「In Orbit」
スピーディーなアルバムのアウトロ。

僕の所有しているCDはここまでの10曲ですが、「Arbogast」「New New No」の2曲が追加収録されているものもあります。

他のKomeda作品もチェックを!

『Pop Pa Svenska + Plan 714 till Komeda』
※デビュー・アルバム+1995年作のEP
Pop På Svenska + Plan 714 Till

『What Makes It Go?』
What Makes It Go?

『Kokomemedada』
Kokomemedada
posted by ez at 05:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする