2012年01月20日

Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven『Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven』

フレンチ・ボッサ・ギターの最高峰!☆Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven『Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven』
claude ciari batucada's seven.jpg
発表年:1970年
ez的ジャンル:イージーリスニング系フレンチ・ボッサ
気分は... :TVタレント?ギタリスト?

今回は現在は日本人の智有蔵上人さんが、フランス人Claude Ciariであった頃にClaude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven名義でレコーディングしたフレンチ・ボッサ・アルバム『Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven』(1970年)です。

Claude Ciariは1944年フランス、ニース生まれのギタリスト。

1960年にフレンチ・ロック・バンドLes Championsを結成し、人気を博しました。その後独立してギタリストして活動するようになり、1964年に「La Playa(夜霧のしのび逢い)」を世界的に大ヒットさせ、注目を浴びます。

1975年に日本人と白系ロシア人とのハーフの元モデルのジェーン矢田と結婚し、日本に永住するようになります。さらに1985年には日本に帰化し、名前も智有蔵上人に改名しています。

記憶が定かではありませんが、子供の頃から「クロード・チアリ」という名前に馴染みがあった気がします。ギタリストとして認識していたのか、TVタレントとして認識していたのか曖昧ですが・・・山城新伍が司会のクイズ番組『アイ・アイゲーム』に出演している彼を観たことがありますが、それ以前から知っていたような気がします。

今回紹介する『Claude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's Seven』(1970年)は、映画音楽で知られるフランス人作曲家/アレンジャーBernard Gerardとのコラボによるフレンチ・ボッサ作品です。さらにバックの演奏メンバーはThe Batucada's Sevenと名付けられています。

具体的にはstrong>Claude Ciari(g)、Bernard Gerard(p)、Jean Musy(org)、Maick Miguel(bongos、ds)、Guy Pedersen(b)、Jean-Marc Hauser(ds)、Raymond Guiot(fl)、Anne Germain(vo)というメンバーがレコーディングに参加しています。バック陣の数が7名にならないのですが???

特に本作の魅力アップに大きく貢献しているのが、セクシーな女性スキャットを聴かせてくれるAnne Germain(vo)です。彼女の名前にピンと来た方はかなりのサントラ通!Anne Germainは、巨匠Michel Legrandが音楽を担当したフランス映画『Les Demoiselles De Rochefort(ロシュフォールの恋人たち)』(1967年)のサントラで主人公の双子の美人姉妹の一人、Catherine Deneuve演じるDelphine(デルフィーヌ)のヴォーカル・パートを務めていました。

全10曲、ボサノヴァ名曲、ポピュラー/ジャズのスタンダード、Claude Ciari/Bernard Gerard作のオリジナルがバランス良く配されています。意外にオリジナル楽曲が侮れない出来栄えでグッときます。

「夜霧のしのび逢い」やTVタレントのイメージに囚われずに聴いて欲しいですね。
これぞフレンチ・ボッサ・ギターの最高峰!

全曲紹介しときやす。

「Felicidad」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作のボッサ名曲のカヴァー。哀愁モードのCiariのギターにフルートや女性スキャットが絡み、気分はサウダージ・モードへ・・・

本曲について、当ブログではRamsey Lewis TrioKenny DrewMilton NascimentoSirius Bのカヴァーも紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。

「Raindrops Keep Fallin' On My Head」
映画『明日に向って撃て!』の挿入歌としてお馴染みB.J.Thomasによる全米No.1ヒット「雨にぬれても」のカヴァー(Hal David/Burt Bacharach作)。当ブログではFree Designのカヴァーも紹介済みです。ここではイージーリスニング風の親しみやすいカヴァーに仕上がっています。

「Holiday's Trail」
Claude Ciari/Bernard Gerard作。穏やかなイージーリスニング風サウンドとグルーヴィーなお色気ラウンジ・サウンドが交互に登場します。

「Yesterdays」
Jerome Kern/Otto Harbachによる1933年のミュージカル『Roberta』挿入歌。当ブログではClifford BrownJack Marshall & Shelly Manneの演奏も紹介済みです。ここでは哀愁のメロディからAnne Germainのスキャットが導くフレンチ・ボッサへと展開します。

「The Shadow Of Your Smile」
アカデミー賞歌曲賞も受賞した映画『いそしぎ』の主題歌(Paul Francis Webster/Johnny Mandel作品)をカヴァー。お馴染みの名曲を軽快なボッサ・チューンで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Hu1i9fGTnWY

本曲について、当ブログではJohn PattonLou DonaldsonJohnny LytleThe Oscar Peterson Trio + The Singers UnlimitedAnn BurtonPucho & The Latin Soul BrothersAstrud GilbertoOs Tres BrasileirosPauline Londonのカヴァーを紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。

「Funky Beat」
Claude Ciari/Bernard Gerard作。個人的には本作のハイライト。名曲カヴァーに負けない強力オリジナルです。ボンゴがパカポコするファンキー・ビートにのって、Ciariのギター、ピアノ、フルートが心地好く響きます。Anne Germainのセクシー・スキャットもサイコー!ラウンジ・ボッサ好きにはたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=swmF6S2n5G4

「Moonlight In Vermont」
John Blackburn/Karl Suessdo作のスタンダードをカヴァー。透明感のある演奏が心を浄化してくれます。

「Bahia Style」
Claude Ciari/Bernard Gerard作。「Funky Beat」と双璧をなす強力オリジナル。Anne Germainのダバダバ・スキャットがセクシーに響き渡る軽快なブラジリアン・グルーヴです。

「Manha De Carnaval」
Luiz Bonfa作のボサノヴァ名曲「カーニバルの朝」のカヴァー。Ciariの哀愁ギターを堪能しましょう。

本曲について、当ブログではDexter GordonGerry MulliganBalancoAstrud GilbertoJack Marshall & Shelly ManneSteen Rasmussen Feat. Josefine CronholmOscar PetersonAkua Allrichのカヴァーも紹介済みです。ご興味のある方はそれらの記事もご参照下さい。

「Sunrise」
Claude Ciari/Bernard Gerard作。ラストは少し寂しげなメロディがグッとくる哀愁ボッサ。聴いていると何故か一人でさすらいたくなります。

他のフレンチ・ボッサ作品の過去記事もご参照下さい。

Jeanne Moreau『Jeanne Chante Jeanne』
ジャンヌ・シャント・ジャンヌ

Les Masques『Brasilian Sound』
les masques brasilian sound.jpg

また、本作で妖艶なスキャットを聴かせてくれるAnne Germainも参加している、フランス映画のサントラ名盤『Les Demoiselles De Rochefort(ロシュフォールの恋人たち)』もチェックを!

O.S.T.(Michel Legrand)『『Les Demoiselles De Rochefort』
Bof Les Demoiselles De Rochefo
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2012年01月19日

Duke Pearson『Wahoo!』

Pearsonらしいサウンド・センスを満喫できる1枚!☆Duke Pearson『Wahoo!』
ワフー
録音年:1964年
ez的ジャンル:名作曲家/アレンジャー系ジャズ
気分は... :Wahoo? 和風?

Stop SOPA and PIPAということで、今日は著作権保護などを目的とした法案「SOPA(Stop Online Piracy Act)」、「PIPA(Protect Intellectual Property Act)」に対する抗議でWikipedia等が閲覧できないので、調べものがしづらく記事が書きづらいです(泣)

そんな事情で今日は書き溜めておいた仕掛り素材の中からセレクト!
(僕の場合、時間がある時に集中的に記事用素材を書き溜めたりしています。)

セレクトしたのは、ジャズ・ピアニスト/作曲家/アレンジャーDuke Pearson『Wahoo!』(1964年)です。

これまで当ブログで紹介してきたDuke Pearsonのリーダー作は以下の4枚。

 『Sweet Honey Bee』(1966年)
 『The Right Touch』(1967年)
 『The Phantom』(1968年)
 『How Insensitive』(1969年)

今回紹介する『Wahoo!』は、Blue Noteでの3枚目のリーダー作です。

作曲家/アレンジャーとして高い評価を得ているPearsonですが、本作『Wahoo!』も彼の小粋なサウンド・センスを満喫できるアルバムです。

レコーディング・メンバーは、Duke Pearson(p)以下、Donald Byrd(tp)、James Spaulding(as、fl)、Joe Henderson(ts)、Bob Cranshaw(b)、Mickey Roker(ds)の6名。

やはり、Donald Byrd、James Spaulding、Joe Hendersonという3管が気になりますね。この3管を巧みに配するPearsonの手腕にも注目です。

"永遠のジャズ初心者"である僕の場合、各プレイヤーの演奏の良し悪し以上に、演奏全体のトーンに惹かれてしまいます。その意味ではプロデューサー的感覚のジャズ・ミュージシャンDuke Pearsonとの相性は良いのかもしれません。本アルバムでも各曲の表情がはっきりしていると同時に、Pearsonの小粋なセンスが散りばめられています。

Donald Byrd作の「Fly Little Bird Fly」以外は全てPearsonのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Amanda」
ジャズ・ロック調の軽快なリズムに個性的な3管が絡むオープニング。変化球なSpauldingアルト、豪快なByrdのトランペット、ここぞとキメてくれるHendersonのテナーというコントラストが楽しい1曲なのでは?きっと名アレンジャーPearsonはそのあたりも計算していたのでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=5M7LdviC2IQ

「Bedouin」
ミステリアスなオリエンタル・テイストが印象的です。ブロウするHendersonのテナー、曲調にマッチしているSpauldingのフルート、シブく枯れたByrdのミュートと3管が続き、最後はPearsonのピアノがミステリアスに響きわたります。
http://www.youtube.com/watch?v=LXqbaKvjXKg

「Farewell Machelle」
Pearsonのしっとり美しいピアノを満喫できる小曲。名残惜しい気分に浸りたい時にはピッタリ!
http://www.youtube.com/watch?v=NmjqHJh7lvA

「Wahoo」
タイトル曲はブルージーな中にエキゾチックなスパイスが効いたスケールの大きな演奏です。各プレイヤーの演奏を見事に統合し、壮大な音絵巻を完成させてしまうPearsonの手腕に脱帽です。
http://www.youtube.com/watch?v=9XFSA4V3nSo

「ESP (Extrasensory Perception) 」
Pearsonのピアノにリードされ、小粋なアンサンブルを聴かせてくれる1曲。先発Hendersonが魅惑のソロを聴かせてくれます。Byrdも明快なプレイで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Tbi3_HIzpfo

「Fly Little Bird Fly」
この曲のみDonald Byrd作品。作者Byrdのリーダー作ではアルバム『Mustang』(1966年)に収録されています。超高速のスリリング感が魅力の『Mustang』ヴァージョンと比較すると、本ヴァージョンはスピーディーな中にもエレガントな雰囲気を満喫できる演奏です。3管のソロもサイコー!先陣をきるHendersonの格好良さに触発され、それを引き継いだByrd、Spauldingもバシッとしたトーンでキメてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=F3247r3h4sw

Donald Byrd『Mustang』ヴァージョンも格好良いですよ!『Mustang』のそのうち紹介しますね!
「Fly Little Bird Fly」(From 『Mustang』)
 http://www.youtube.com/watch?v=B8kJ43O1-0U

Duke Pearsonの過去記事もご参照下さい。

『Sweet Honey Bee』(1966年)
Sweet Honey Bee

『The Right Touch』(1967年)
Right Touch

『The Phantom』(1968年)
ザ・ファントム

『How Insensitive』(1969年)
ハウ・インセンシティヴ
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2012年01月18日

Hil St. Soul『Copasetik And Cool』

UKソウル・ユニットの"万事快調"な2nd☆Hil St. Soul『Copasetik And Cool』
Copasetik & Cool
発表年:2002年
ez的ジャンル:全方位系UKソウル
気分は... :万事快調?

今回はUKのソウル・ユニットHil St. Soulの2ndアルバム『Copasetic & Cool』(2002年)です。

Hil St. Soulは、ザンビア出身ロンドン育ちの女性シンガーHilary MwelwaとUK Hip-Hopの大物Blak Twangとも活動していたプロデューサーVictor Redwood-Sawyer(VRS)の2人によるUKソウル・ユニット。

Hilary MwelwaがIncognitoのリーダーJean-Paul "Bluey" Maunickに見出され、Bluey関連の仕事を介してVRSと出会った模様です。

意気投合した2人は、Hilary Mwelwa名義のシングル「It's OK」を制作し、1996年にリリースしています。Blak Twangも客演した同シングルが評判となり、これがHil St. Soul結成につながりました。

1999年にDomeからデビュー・シングル「Strictly A Vibe Thang」およびデビュー・アルバム『Soul Organic』をリリースし、シーンで高い評価を得ました。

その後、『Copasetic & Cool』(2002年)、『Soulidified』(2006年)、『Black Rose』(2008年)といったアルバムをリリースしています。

派手さはありませんが、良質なアルバムをリリースし続けているUKソウル・ユニットというイメージですね。

今日紹介する『Copasetic & Cool』(2002年)は好評だったデビュー作『Soul Organic』に続く2ndアルバムです。

デビュー作のタイトルにもあるようにHilaryの歌唱力を前面に押し出したUKならではのオーガニック・ソウルというイメージが強いかもしれませんが、それだけではない点がこのユニットの魅力だと思います。

特に本作『Copasetic & Cool』では、USのR&B/Hip-Hopシーンを意識したような楽曲や90年代R&Bへのリスペクトが感じられる楽曲が多く収録されています。このあたりはBad Boy Entertainmentの作品を数多く手掛けたEd Rasoがミックスを担当している影響があるかもしれません。

それ以外に僕が本作を気に入っている点が2つあります。

ますはカヴァー曲。前作ではAretha Franklinのヒット作で知られる「Until You Come Back to Me」(Stevie Wonder作)をカヴァーしていましたが、本作では大好きなThe Isley Brothersの名曲「For The Love Of You」をカヴァーしています。

次はソングライティング。基本はメンバー2人が手掛けていますが、当ブログでもお馴染み、僕の大好きなUS男性R&Bシンガー/ソングライターGordon Chambersが2曲でソングライティングに参加しています。

R&BからHip-Hop Soul、ソウルまでアルバム1枚を通じて飽きのこない1枚に仕上がっています。

全曲紹介しときやす。

「Intro」
疑似ライヴ風のイントロ。

「Copasetik & Cool」
オススメその1。UKラッパーRoots Manuvaをフィーチャー。オーガニック感覚のHip-Hop Soulといった雰囲気の1曲。リラックスしたグルーヴ感がいいですね。

「All That (+ A Bag O' Chips)[Mushtaq Refix]」
Iceberg Slimmをフィーチャー。Mushtaq Refixがバングラ・ビート風のリミックスを施したHip-Hopチューン。この時期はこの手のサウンドが流行りましたね。Missy Elliottあたりと一緒に聴きたくなる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=NwcBW6RtIVI

「Reach As One」
オススメその2。Gordon Chambersがソングライティングが参加した1曲目。90年代R&Bの香りがするGordon Chambersらしいメロディにのって、Hilaryが素晴らしいリード・ヴォーカル&コーラスを聴かせてくれます。

「Alright」
オススメその3。80年代後半から90年代初めに活躍したUSのR&BユニットThe Family StandのメンバーPeter Lord、Jeffrey Smithの2人がソングライティングで参加。US R&B調のアップ・チューンに仕上がっています。歯切れの良い躍動感がグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=UAViU-xF7HY

「Shine」
ファンク・グルーヴで迫る妖艶なR&Bチューン。90年代女性R&Bがお好きな人は気に入る1曲だと思います。

「Blue Tears」
オススメその4。幻想的に駆け抜けていくクールなR&Bグルーヴ。込み上げてくる哀愁モードを何とか振り切ろうとするHilaryのクール・ヴォーカルがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=-OwRnG4rpZk

「What's Goin' Down?」
オススメその5。ハモンド・オルガン入りのソウル・チューン。Hilaryの素晴らしいソウルフル・ヴォーカルを楽しみましょう!

「Mad Love」
オススメその6。僕の一番のお気に入り。90年代女性R&B好きにはたまらない美メロ・グルーヴ。僕はやっぱりこういうグルーヴ感が大好き!
http://www.youtube.com/watch?v=PVmjU822PLI

「Pieces」
オススメその7。切ない恋心を歌ったバラード。美しいメロディと切ない歌詞が胸の奥が締め付けられます。
http://www.youtube.com/watch?v=xV8mo537vu8

「For The Love Of You」
オススメその8。前述のようにThe Isley Brothersの名曲カヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『The Heat Is On』に収録されています。本曲のカヴァーと言えば、Joss Stoneヴァージョンが絶品ですが、オリジナルに近い雰囲気の本カヴァーもオーガニック感があってグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=DHf5kD9PaZU

「Lonely Road」
Hil St. Soulのソウル魂を堪能できる1曲。R&B調ばかりではなく、本格ソウル・チューンもイケることを証明してくれます。

「Think Again」
ロック・テイストの1曲。アルバムの中では異質ですが、それ程悪くありません。

「All That (+ A Bag O' Chips) [Strings Mix]」
「All That (+ A Bag O' Chips)」のリミックス。こちらはHip-Hop Soul調の仕上がり。

「I've Got Me」
オススメその9。Gordon Chambersがソングライティングが参加した2曲目。オーガニックなゴスペル調のソウルフル・チューンです。

「I've Got Me」の後にバングラ・ビート調の隠れトラックが収録されています。

他のHil St. Soul作品もチェックを!

『Soul Organic』(1999年)
Soul organic

『Soulidified』(2006年)
Soulidified

『Black Rose』(2008年)
Black Rose
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2012年01月17日

Edgar Winter's White Trash『Edgar Winter's White Trash』

R&B/ゴスペルのエッセンスを取り入れた黒いサウンドにサプライズ!☆Edgar Winter's White Trash『Edgar Winter's White Trash』
ホワイト・トラッシュ(紙ジャケット仕様)
発表年:1971年
ez的ジャンル:R&B/ゴスペル/ブルース調ロック
気分は... :こんなに黒いサウンドとは・・・

今回は70年代ロック・ファンには懐かしい名前Edgar Winterが、自身のグループEdgar Winter's White Trashを率いた最初のアルバム『Edgar Winter's White Trash』(1971年)です。

Edgar Winterは1946年テキサス州ボーモント生まれのキーボード奏者/サックス奏者。

兄であるギタリスト/シンガーJohnny Winter(1944年生まれ)と同様にアルビノ(先天性色素欠乏症)でした。少年期から兄Johnnyとのコンビで音楽活動を行い、1962年にはJohnnyらとJohnny & The Jammersを結成しています。

1969年にJohnnyがCBSと契約し、その契約金から「100万ドルのギタリスト」として話題となったアルバム『Johnny Winter』に参加、続くアルバム『Second Winter』(1970年)でもJohnnyのバックを務めています。1970年にはEdgar自身の1stソロ『Entrance』をリリースし、さらには自身のバンドEdgar Winter's White Trashを結成し、兄から独立します。

ブルース/ロックのイメージが強かった兄Johnnyと比較すると、弟Edgarはブルース/ロックをベースにジャズ、R&B、ゴスペルのエッセンスも取り入れたスタイルを志向していました。

Edgar Winter's White Trash名義で『Edgar Winter's White Trash』(1971年)、『Roadwork』(1972年)、『Recycled』(1977年)といったアルバムをリリースしています。

さらに1972年に Dan Hartman、Ronnie Montrose、Chuck Ruffと結成したThe Edgar Winter Group名義で『They Only Come Out at Night』(1972年)、『Shock Treatment』(1974年)、『The Edgar Winter Group with Rick Derringer 』(1976年)といったアルバムをリリースしています。特に『They Only Come Out at Night』からのシングル「Frankenstein」は全米チャートNo.1の大ヒットとなり、グループの人気を決定付けました。

また、兄Johnnyとの共演アルバム『Together』(1976年)やソロ名義での『Jasmine Nightdreams』(1975年)、『Edgar Winter Album』(1979年)、『Standing on Rock』(1981年)等のアルバムもリリースしています。

僕の場合、Johnny WinterおよびEdgar Winterって、ロックを聴き始めた頃から名前や顔は馴染みがありましたが、全くスルーしてきたアーティストです。2人のアルバムについてもおぼろげにインプットされているものの、どれがJohnnyのアルバム・ジャケで、どれがEdgarのアルバム・ジャケかとなると曖昧です(泣)

きちんと作品を聴いたことがないのに、古めかしいブルース・ロック/ロックン・ロールという勝手なイメージが僕の中にあり、それが僕を彼らの作品から遠ざけてきたのかもしれません。

そんな感じでWinter兄弟と全く縁遠かった僕が、数年前に激安中古セールで大して期待もせずに購入したアルバムが『Edgar Winter's White Trash』です。ジャケの持つ独特の雰囲気に思わず手が伸びてしまったという感じです。

『Edgar Winter's White Trash』Edgar Winter's White Trashとしての第1作アルバムです。プロデュースは兄Johnnyとの親交も深く、後の作品も手掛けることになる人気ギタリストRick Derringerが務めています。

グループのメンバーはEdgar Winter(vo、p、org、celeste、as)、Jerry Lacroix(vo、ts、harp)、Jon Smith(ts、vo)、Mike McClellan(tp、vo)、Bobby Ramire(ds)、George Sheck(b)、Floyd Radford(g)という7名。Edgarも含めてホーン奏者が4名というのが特徴ですね。

それ以外にもRick Derringer(g)、Johnny Winter(g)、Ray Barretto(conga)が参加しています。また、Tasha ThomasJanice BellCarl HullMaretha StewartAlbertine RobinsonEileen Gilbertというソウルフルなバック・コーラス陣も充実しています。

R&B/ゴスペルのエッセンスを取り入れた黒いサウンドは、僕が勝手に描いていたEdgar Winterに対するイメージと全く異なり、正直かなり驚かされました。もっとブルース色が強い音を想像していたので、ここまで徹底的に黒くて、ファンキーで、ソウルフルだとは思いませんでした。もちろん、ベースにはブルース/ロックのフィーリングがありますが。

また、個人的にはラテン・グルーヴの帝王Ray Barrettoが参加したラテン・グルーヴ全開の1曲、「Let's Get It On」にノックアウトされてしまいました。

まさか本作が近年の僕の音楽嗜好にこれほどフィットする1枚になるとは思いませんでした。

先入観による聴かず嫌いを猛省した次第です。
未聴の方はぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Give It Everything You Got」
本作らしいロックとR&Bの融合を満喫できるオープニング。ワウワウギターとファンキーなホーン隊、そこに歪んだベースが絡みご機嫌なサウンドを聴かせてくれます。初めて聴いた時、Edgar Winterってこんなに黒いサウンドなんだ!と驚きました。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
http://www.youtube.com/watch?v=ka8fJbDK95M

「Fly Away」
Jerry Lacroixの素晴らしいソウルフル・ヴォーカルを満喫できるゴスペル調バラード。素晴らしいバック・コーラス隊も含めて感動的な1曲に仕上がっています。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
http://www.youtube.com/watch?v=2PYj2BzE1dc

「Where Would I Be」
ファンキー・ホーン隊の魅力を満喫できるR&Bチューン。ここまでの3曲を聴いていると、ロック・アルバムを聴いているのか、R&Bアルバムを聴いているのかわからなくなってきます。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。

「Let's Get It On」
僕の一番のお気に入り。ラテン・グルーヴの帝王"ハード・ハンズ"Ray Barrettoのコンガをフィーチャーしたラテン・グルーヴなファンキー・ロック。Floyd Radfordのギター・ソロやJerry Lacroixのブルース・ハープなども加わり盛り上げてくれます。レア・グルーヴ/フリーソウル好きの人は相当グッとくるハイ・テンションな1曲だと思います。個人的にはManassasのラテン・チューンあたりと一緒に聴きたくなりますね。サイコー!Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
http://www.youtube.com/watch?v=-uPB_VVRXDA

「I've Got News for You」
Ray Charlesのヒットで知られる楽曲をカヴァー(Ray Alfred作)。Johnny Winterもギターで参加したブルージーな仕上りです。5曲目にしてようやくブルース・チューン登場といった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=NFUSqX8DWtg

「Save the Planet」
Edgarのファンキー・ピアノ、Edgar & Jerryのツイン・ヴォーカルにソウルフルなコーラス隊が絡むゴスペル調の1曲。緩急の使い分けも見事です。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。

「Dying to Live」
Edgar Winter作。Edgar渾身の名バラード。聴いていると、自ずといろいろな思いが込み上げてきます。ストリングスも感動を盛り上げてくれます。Hip-HopファンにはEminemがプロデュースした2Pac feat. The Notorious B.I.G. 「Runnin' (Dying to Live)」の元ネタとしてもお馴染みですね。
http://www.youtube.com/watch?v=opGVGKw_lDU

「Keep Playin' That Rock & Roll」
Edgar Winter作。タイトルの通り、軽快なロックン・ロールです。ファンキー・ホーン隊がよく似合うご機嫌な1曲です。ここでのギター・ソロはRick Derringer。
http://www.youtube.com/watch?v=ElQdOTrvzBA

「You Were My Light」
Edgar Winter作。ソウルフルなバラード。Edgarのリード・ヴォーカルが少し弱い気もしますが、味わい深い1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=T3MkoFdyBIQ

「Good Morning Music」
タイトルの通り、音楽愛に満ちた1曲でアルバムはフィナーレを迎えます。中盤以降のファンキーなノリが大好きです。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。

ここ数日書いているNFLのディビジョナル・プレイオフでは、パッカーズがジャイアンツにまさかの敗戦を喫してしまいました。

個人的にはパッカーズがかなりの確率でスーパーボウル連覇すると予想していたのでサプライズでしたね。昨日も書いたように、やはりターンオーバーが勝敗を左右しましたね。

これで49ersが久々にスーパーボウル進出する可能性が高まった気がします。
そうなるとレイブンズとのHC兄弟対決"ハーボー・ボウル"を観たいですね。
posted by ez at 06:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月16日

Al Hudson & One Way『A New Beginning』

ラスト・アルバム!路線は異なりますが嫌いじゃありません。☆Al Hudson & One Way『A New Beginning』
A New Beginning
発表年:1988年
ez的ジャンル:B級エレクトリック・ファンク
気分は... :ターンオーバーが勝敗を左右する・・・

NFLのディビジョナル・プレイオフの「テキサンズ対レイブンズ」がたった今試合終了。

試合内容ではレイブンズの方が強力なディフェンス力を武器に試合を終始優位に運びましたが、意外にテキサンズも盛り返してスコア的には接戦でした。エースQB不在でこれだけ戦えたテキサンズは善戦したのでは?特にRBフォスターを中心にしたラン攻撃は素晴らしい!ただし、この試合で言えばターンオーバーの多さが悔やまれますね。来シーズンのテキサンズはかなりの強豪チームに化ける予感がします。

個人的にはレイブンズにスーパーボウル進出を果たして欲しいですが、試合終盤のSエド・リードの負傷が気がかりです。

昨日のセインツもそうですが、ポストシーズンはターンオーバーが勝敗を左右しますね。

今回は80年代ファンクからAl Hudson & One Way『A New Beginning』(1988年)です。One Way名義のラスト・アルバムとなったアルバムです。

Al Hudsonを中心としたデトロイト出身のファンク・グループOne Wayの紹介は、『Fancy Dancer』(1981年)に続き2回目となります。

One Wayのアルバムと言えば、Al Hudson & The Soul PartnersからOne Wayへグループ名を改めた『One Way featuring Al Hudson』(1979年)、前回紹介した『Fancy Dancer』(1981年)、全米R&Bチャート第4位のヒットとなった人気曲「Cutie Pie」を含む『Who's Foolin' Who』(1982年)など70年代後半〜80年代前半の作品が人気だと思います。

一方、僕が初めてリアルタイムで聴いたOne Way作品は人気プロデューサーEumir Deodatoがプロデュースしたものの、あまり評判が芳しくないアルバム『IX 』(1986年)でした(僕自身は昔も今もそれ程悪いアルバムだとは思っていませんが・・・)。

そして、CD時代になって最初に購入したアルバムがグループの最終作『A New Beginning』(1988年)です。本作も『IX 』同様、話題になることの少ないアルバムですが、LPからCDに切り換えたばかりで、まだ手元に数えるほどしかCDが無い頃に購入した作品であったため、個人的には結構愛着のあるアルバムです。

本作におけるメンバーは、Al Hudson(vo)、Jeanette Mack(vo)、Lorrie Tice(vo)、Dave Roberson(g)、Valdez Brantley(key)、Jonathan Meadows(key)という6名。

プロデュースはAl Hudson、Dave Roberson、Valdez Brantleyというメンバー3名とOne Way作品ではお馴染みIrene Perkinsが務めています。

One Wayらしい作品かと問われると、なかなか返答に困るB級アルバムですが、アルバム全体としてはアップからスロウまでそれなりにバランス良く仕上がっていると思います。

過度の期待をしなければ楽しめる1枚です。
僕にとっては聴いていると懐かしさが込み上げてくる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Driving Me Crazy」
オススメその1。オープニングはアルバムからの先行シングルにもなりました。従来のOne Wayらしさという点ではビミョーかもしれませんが、80年代後半らしいダンサブル感にグッとくるアーバン・ナイトなミッド・ファンク。イントロのサックス・ソロ、セクシーな女性コーラス陣がAl Hudsonのヴォーカルを盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=TZwuvZzIOD0

「Weekend Lover」
オススメその2。ヴォコーダー入りのエレクトリック・ファンク。リード・ヴォーカルはAl Hudson & Lorrie Tice。エレクトリックなスペイシー感を上手くアーバン・ナイトなテイストにまとめているところが好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=0UzYBa3M9fE

「Let's Talk」
Al Hudson & Lorrie Ticeがリード・ヴォーカルをとるスロウ・チューン。Lorrie TiceがAl Hudsonに負けないパンチのあるヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=mV5b2KJsU7o

「Get Up Off It」
オススメその3。従来からのOne Wayファンはヴォコーダー使いのファンク・チューンである本曲が一番しっくりくるのでは?ヴォコーダー大好きな僕もお気に入りの1曲。

「Say You Will」
オススメその4。Al Hudson & Jeanette Mackがリード・ヴォーカルをとるスロウ・チューン。シングルにもなりました。ロマンティックなメロディ&ヴォーカルに魅了される素敵なラブ・バラードです。サックスの盛り上げ方もいい感じ!
http://www.youtube.com/watch?v=4VgtHoOUH_M

「Love At The Count Of 3」
80年代後半らしい打ち込み系アップ・チューン。B級感丸出しなんですが、決して嫌いじゃありません(笑)

「Pleasure Seeker」
セクシー・モードのダンサブル・チューン。パンチにやや欠けるのが残念ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Mkg8NUAlX1c

「U, Me & The Other Guy」
オススメその5。80年代ブラコン気分を満喫できるミディアム・スロウ。Jam & Lewisあたりにも通じるスペイシーなアーバン感が好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=Paryvyr4Qcc

「You're Not My Problem」
Al Hudsonのヴォーカルを堪能できるスロウ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=TdYrNQ9fqdo

「Must'a Been Crazy」
ラストは80年代後半らしい打ち込みリズムのファンク・チューン。今となってはこうしたサウンドはビミョーかもしれませんが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=h3bP8pcrwHE

まだまだ未CD化も多いOne Way作品ですが、AmazonでCD入手可能なものを挙げておきます。

『One Way featuring Al Hudson』(1979年)
One Way

『Fancy Dancer』(1981年)
ファンシー・ダンサー

『Who's Foolin' Who』(1982年)
フーズ・フーリン・フー

『Wild Night』(1982年)
ワイルド・ナイト

『Lady』(1984年)
レイデイ

『Wrap Your Body』(1985年)
Wrap Your Body
posted by ez at 06:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする