2012年01月15日

Marisa Monte『O Que Voce Quer Saber De Verdade』

5年ぶりの新作は期待以上の出来栄え!☆Marisa Monte『O Que Voce Quer Saber De Verdade』
あなたが本当に知りたいこと
発表年:2011年
ez的ジャンル:MPBの歌姫
気分は... :僕が本当に知りたいこと・・・

NFLのディビジョナル・プレイオフ4試合のうち、2試合が本日行われ、49ers、ペイトリオッツが勝利しました。「49ers対セインツ」はセインツ圧勝を予想していたので、意外な結果となりました。セインツはターンオーバーで自滅した感がありますが・・・。ペイトリオッツは貫録の完勝でしたね。ブロンコスは明らかに力不足でしたね。

明日行われる「テキサンズ対レイブンズ」、「ジャイアンツ対パッカーズ」はレイブンズ、パッカーズの圧勝を予想しています。結果は如何に・・・

今回はMPBの歌姫Marisa Monteの最新作『O Que Voce Quer Saber De Verdade(邦題:あなたが本当に知りたいこと)』(2011年)です。

昨年12月に購入したものの、聴き込みが足りなかったので年明けの紹介となりました。

これまで当ブログで紹介したMarisa Monte作品は以下の4枚。

 『Marisa Monte(MM)』(1989年)
 『Mais』(1991年)
 『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao』(1994年)
 『Universo Ao Meu Redor』(2006年)

2006年に2枚同時リリースされた『Universo Ao Meu Redor』/『Infinito Particular』以来の新作となった『O Que Voce Quer Saber De Verdade』は、Marisa Monte本人と長年彼女をサポートしてきたDadiがプロデュースしています。

レコーディングには、Dadiをはじめ、リオ出身の人気ロックバンドLos Hermanosの元メンバーRodrigo Amarante(g、b、key、per、drum machine)、ミクスチャー・バンドNacao ZumbiのメンバーLucio Maia(g)、Alexandre Djengue(b)、Pupilo(ds)、さまざまなジャンルで活躍する先鋭的な弦楽器奏者Miguel Atwood-Ferguson(当ブログで最近紹介した作品で言えば、Mark De Clive-Lowe『Renegades』にも参加)、日本でも人気のベテラン男性シンガー/ギタリストVinicius Cantuaria(per)、Domenico+2やOs Ritmistasの活動でも知られるブラジル新世代を代表するドラム/パーカッション奏者Domenico(Domenico Lancellotti)、何故かMarisa作品でお馴染みのP-Funkキーボード奏者Bernie Worrell(key)、Beastie Boys等でお馴染みのキーボード奏者Money Marc、映画音楽でもお馴染みのアルゼンチン人プロデューサー/コンポーザー/ミュージシャンGustavo SantaolallaAntonio Carlos Jobimの孫Daniel Jobim(p)、L.A.のベーシストGreg Cohen(arr)等が参加しています。

内容としては、伝統的なブラジル音楽にモダン&コスモポリタンなエッセンスを融合させたMPBの歌姫らしいMarisa Monte1枚に仕上がっています。さらに本作ではアルゼンチン・タンゴをカヴァーするなどの新境地も聴かせてくれます。

僕の場合、年末の『ezが選ぶ2011年の10枚』でもTamySabrina Malheirosをセレクトしたように次世代ボッサ系の音がど真ん中なのですが、本作『O Que Voce Quer Saber De Verdade』を聴くと、やはり本物のブラジル音楽はコレだなと納得してしまいます。

先週紹介したCommon『The Dreamer, The Believer』同様、もう少しリリースが早く、しっかり聴き込んでいたら『ezが選ぶ2011年の10枚』にセレクトしていたかもしれません。

5年も待たされた甲斐のある素晴らしい1枚です。

全曲紹介しときやす。

「O Que Voce Quer Saber de Verdade」
タイトル曲はArnaldo Antunes/Carlinhos Brown/Marisa MonteというTribalistasトリオの共作です。Arnaldo Antunesも自身のアルバム『Qualquer』(2006年)で取り上げているので、聴き比べてみても楽しいのでは?本ヴァージョンはノスタルジックな佇まいながらもエレガントな香りがするのがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=v1sigYjNQFA

Arnaldo Antunes「O Que Voce Quer Saber de Verdade」
 http://www.youtube.com/watch?v=qHO_ghFoX3A

「Descalco no Parque」
Jorge Ben作品のカヴァー。オリジナルは『Ben e Samba Bom』(1964年)に収録されています。Miguel Atwood-Fergusonが参加し、演奏のみならずアレンジも担当しています。さらにトVinicius Cantuaria(per)、Domenico(ds)、Bernie Worrell(key)も参加し、コスモポリタンな匂いのする僕好みの1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=9Su6iOuI_Es

「Depois」
Arnaldo Antunes/Carlinhos Brown/Marisa MonteというTribalistasトリオの共作2曲目。ブラジル北東部レシフェ出身、マンギ・ビートでお馴染みのミクスチャー・バンドNacao ZumbiのメンバーLucio Maia(g)、Alexandre Djengue(b)、Pupilo(ds)が参加しています。その割にはオーソドックスな演奏による感動的な仕上がりです(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=-mAhw7zQ36s

「Amar Alguem」
Arnaldo Antunes/Dadi/Marisa Monte作。Norah Jonesの大ヒット「Don't Know Why」の作者としても知られる米国人SSW、Jesse Harrisがギターで参加。JesseはMarisaの大ファンなのだとか。Marisaらしい、しっとり感の中にも凛とした歌声を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=WE42O78ZYbI

「O Que Se Quer」
Rodrigo Amarante/Marisa Monte作。リオ出身の人気ロックバンドLos Hermanosの元メンバーRodrigo Amaranteとの共演で話題の1曲。
Maria Rita好きの僕は、Los Hermanosのメンバーと言えば、Marcelo Cameloの名前を思い浮かべてしまいますが、Rodrigo Amaranteという素晴らしい才能も忘れてはいけませんね。そんなRodrigoとの初共演曲は、さり気なさの中にもRodrigoのサウンド・センスを感じ取ることができる1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=7qRDCUMo6GE

「Nada Tudo」
Dadiの次男Andre Carvalhoの作品。Andreのオリジナルは初リーダー作『Tempodotanto』(2010年)に収録されています。本作らしいノスタルジックなエレガント感を満喫できる1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=RTCYO5shnFA

「Verdade, Uma Ilusao」
Arnaldo Antunes/Carlinhos Brown/Marisa MonteというTribalistasトリオの共作3曲目。Cezar Mendes(g)、Miguel Atwood-Ferguson(violin)、 Pupillo(ds)、Robby Marshall(cla)も参加した、マッタリしたエレガント感がたまりません。午後のお昼寝のBGMにサイコーかも?Carlinhos Brownのヴァージョンがアルバム『Diminuto』(2010年)に収録されています。本ヴァージョンとかなり雰囲気が違うので聴き比べると面白いですよ。
http://www.youtube.com/watch?v=qBWBZhsN1vs

Carlinhos Brown「Verdade, Uma Ilusao」
 http://www.youtube.com/watch?v=78bADA4VGhQ

「Lencinho Querido (El Panuelito)」
アルゼンチン・タンゴ「El Panuelito」(Frederico Esposito/Versao de Haroldo Barbosa作)のポルトガル語カヴァーとして話題の1曲。バンドワゴンの調べをバックにMarisaが妖艶な哀愁ヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=adfvmilCdeA

「Ainda Bem」
Marisa Monte/Arnaldo Antunes作。Nacao ZumbiのメンバーLucio Maia(g)、Alexandre Djengue(b)、Pupilo(ds)やアルゼンチン人ミュージシャンGustavo Santaolallaが参加した哀愁チューン。Gustavo Santaolallaが参加しているせいか、前曲に続きアルゼンチンの香りがほんのりします。
http://www.youtube.com/watch?v=t7M89YJAPhM

「Aquela Velha Cancao」
Carlinhos Brown/Marisa Monte作。Nacao Zumbiのメンバー3名やMoney Marc(key)が参加しています。MPBファン以外も親しみやすい美しいメロディのフォーキー・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=feq1F6uiBRg

「Era Obvio」
Marisa Monte/Arnaldo Antunes作。前曲に続きNacao Zumbiのメンバー3名やMoney Marc(key)が参加しています。楽曲が素晴らしい!しみじみと心に奥に沁み渡ってくる1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=b59_Ry2AGtU

「Hoje Eu Nao Saio Nao」
Arnaldo Antunes/Marcelo Jeneci/Betao/Chico Salem作。ブラジル北東部らしい大衆リズムを満喫できる楽しげな1曲。開放的な気分になりたいときにどうぞ!
http://www.youtube.com/watch?v=SSOJfdSMPng

「Seja Feliz」
Dadi/Marisa Monte/Arnaldo Antunes作。MarisaやDadiもドラム/パーカッションを演奏する僕好みのパーカッシヴな1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=DRRQTxrS4aM

「Bem Aqui」
Dadi/Arnaldo Antunes作。ラストはDadiの2ndソロ『Bem Aqui』(2008年)のタイトル曲をカヴァー。当ブログではSpinetti/Dadi/Ceccarelli/Petreniのヴァージョンも紹介済みです(アルバム『InventaRio』収録)。本ヴァージョンはエレガントなしっとり感が印象的です。Daniel Jobim(p)やGustavo Santaolallaも参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=XxQFI_MmJ5E

Marisa Monte作品の過去記事もご参照下さい。

『Marisa Monte(MM)』(1989年)
マリーザ・モンチ

『Mais』(1991年)
Mais

『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(Rose and Charcoal)』(1994年)
ローズ・アンド・チャコール

『Universo Ao Meu Redor』(2006年)
Universo ao Meu Redor
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2012年01月14日

『今の気分は...2012年1月14日編』

今日は時間がないので困った時のお決まりパターン(笑)、過去記事から10曲セレクトするシリーズです。

今回は70年代メロウ・チューンをセレクトしました。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

Pages「Let It Go」
http://www.youtube.com/watch?v=2bxe17439IQ
From 『Pages』(1978年)
ファースト・ペイジズ

SpaceArk「Phantom Lover」
http://www.youtube.com/watch?v=W74laSCvrkk
From 『SpaceArk Is』(1978年)
Spaceark Is

Stylus「World of Make Believe」
http://www.youtube.com/watch?v=ngcwW-cv4l0
From 『Where In The World』(1976年)
ホェア・イン・ザ・ワールド

The Voices Of East Harlem「Cashing In」
http://www.youtube.com/watch?v=hAuiyH1KJTw
From 『The Voices Of East Harlem』(1973年)
the voices of east harlem.jpg

Faze-O「Riding High」
http://www.youtube.com/watch?v=hNuCYzqiuBk
From 『Riding High』(1977年)
RIDING HIGH

Delegation「Oh Honey」
http://www.youtube.com/watch?v=BbMzoSVKp1Q
From 『The Promise Of Love』(1977年)
Promise of Love +2

Greg Perry「I'll Always Be In Love With Love」
http://www.youtube.com/watch?v=2nwa5CrBnQI
From 『Smokin'』(1977年)
Smokin

Michael Franks「A Robinsong」
http://www.youtube.com/watch?v=qJ6_h1UoqZ0
From 『Burchfield Nines』(1978年)
Burchfield Nines

Nicolette Larson & Michael McDonald「Let Me Go, Love」
http://www.youtube.com/watch?v=Zs_tmnDUBj0
From 『In The Nick Of Time(1979年)
In the Nick of Time

Cortex「Pauvre Star」
http://www.youtube.com/watch?v=nKO0oYKZpPU
From 『Pourquoi』(1978年)
POURQUOI
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2012年01月12日

Swing Out Sister『The Living Return』

Ray Haydenプロデュース。バンド・サウンドを重視した4thアルバム☆Swing Out Sister『The Living Return』
Living Return
発表年:1994年
ez的ジャンル:ソウル/ジャズ・ファンク系UKポップス
気分は... :SOSを侮るなかれ!

今回はCorinne DreweryAndy ConnellのデュオSwing Out Sisterが1994年にリリースした『The Living Return』です。

Swing Out Sister(SOS)の紹介は、『Shapes And Patterns』(1997年)、『Kaleidoscope World』(1989年)に続き3回目となります。

前作『Get in Touch with Yourself』(1992年)以来のスタジオ・アルバムとなる本作『The Living Return』ですが、その間にグループはライブ・アルバム『Live at the Jazz cafe』(1993年)をリリースするなど勢力的にライブ活動を行っていました。

その影響からか本作ではバンド・サウンドを重視したアルバムになっています。また、『It's Better to Travel』(1987年)、『Kaleidoscope World』(1989年)、『Get in Touch with Yourself』(1992年)という過去のスタジオ3作でプロデュースを担当してきたPaul O'Duffyに代わり、Ray Haydenをプロデューサーに起用しているのも本作の話題ですね。

リアルタイムでUKアシッド・ジャズを聴いていた方ならば、当時のRay Haydenの売れっ子ぶりはご存知かと思います。

レコーディングにはMatt Backer(g)、Tim Cansfield(g)、Derick Johnson(b)、Myke Wilson(ds、timbales)、Chris Manis(per)、Gary Plumley(sax、fl)、John Thirkell(tp、flh)、Richard Edwards(tb)、Derek Green(back vo)、Erica Harrold,(back vo)、Sylvia Mason-James(back vo)といったメンバーが参加しています。

「La La (Means I Love You)」「O Pesadelo Dos Autores」以外はSOSおよびレコーディング・メンバーによるオリジナルです。

全体としてはSOSのソウルフルな側面が反映されているアルバムという気がします。また、Ray Haydenプロデュースおよびバンド・サウンド重視ということでジャズ・ファンク的な演奏も目立ちます。さらにブラジル音楽からの影響も垣間見ることができます。

大ヒット「Breakout」のイメージのみで捉えられがちなSOSですが、例えば名曲メドレー「O Pesadelo Dos Autores」の選曲センス1つとっても、彼らを薄っぺらなイメージで捉えることが誤りであることがわかると思います。

進化するSOSを実感できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Better Make It Better」
シングルにもなったオープニング。誰でもいつかは死ぬのだから、生きている間は素敵な人生を過ごしましょ!という運命論的な歌詞を歌ったおのです。重くなりがちなテーマを歌ったものですが、そこをサラっと聴かせてしまうのがSOS風なのでは。
http://www.youtube.com/watch?v=gaBbuhI_xl8

「Don't Let Yourself Down」
Corinne本人はN.Y.のHip-Hopを意識した曲と称していますが、アーバンなブルーアイド・ソウルといった趣の仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=-PczbnpKw_8

「Ordinary People」
ソウルフルなファンキー・チューンをSOSらしい洗練されたセンスでまとめ上げたといった感じです。このあたり、プロデューサーRay Haydenのセンスかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=5MKnL4p_Bn0

「Mama Didn't Rise A Fool」
SOSらしいソフィスティケイトされたサウンドを満喫できる1曲。歌詞は母子家庭で前向きに生きる母親への応援ソングになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=E6ZV18R1AhY

「Don't Give Up On A Good Thing」
70年代ソウルへのリスペクトを感じる爽快グルーヴ。"バンド・サウンド"という本作の狙いが上手く反映された演奏だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=HQVSmuXhFkQ

「Making The Right Move」
オリジナル曲の中で最もソウルを感じる1曲。10分超の長尺ですが、演奏のテンションが高かったのでヴォーカル・パートが終わったのちも演奏を続けた模様です。それだけ素晴らしいセッションであったという証でしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=sRiAXrPvk5c

「La La (Means I Love You)」
Delfonicsの名曲カヴァー(Thom Bell/William Hart作)。シングルにもなりました。また、Hugh Grant、Andie MacDowell主演の映画『Four Weddings and a Funeral(邦題:フォー・ウェディング)』のサントラにも収録されてます。オリジナルがあまりにも偉大な名曲ですが、ちゃんとSOSならではのカヴァーに仕上げているのは流石だと思います。先入観なしに聴くと、かなり良いですよ!
http://www.youtube.com/watch?v=5n0up9BNK2w

「Feel Free」
ジャズ・ファンクな仕上がり。この時期のUKはアシッド・ジャズ後期だったので、バンド・サウンドを重視すればこういう演奏は何曲か入ってくるでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=kqSL6tC5F5c

「Stop And Think It Over」
Andyの一番のお気に入り曲なのだとか。派手さはありませんが、じわじわ伝わってくるソウルフルなミッド・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=eoA2GezkgYI

「That's The Way It Goes」
僕の一番のお気に入りはコレ。パーカッシヴなブラジリアン・フュージョンに仕上がっています。流れとしても次曲「O Pesadelo Dos Autores」の伏線になっていてグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=Iqgs5smH34A

「All In Your Mind/O Pesadelo Dos Autores」
オリジナル曲「All In Your Mind」と名曲メドレー「O Pesadelo Dos Autores」のメドレー(メドレーの入れ子構造でややこしいですが)。「All In Your Mind」は少しレイジーなブラジリアン・メロウ。諭すようなCorinneのヴォーカルが印象的です。

「O Pesadelo Dos Autores」は、Airto Moreira「Tombo in 7/4」EW&F「Brazilian Rhyme」Tania Maria「Come With Me」Stevie Wonder「My Cherie Amour」Ivan Lins「Abre Alas」Herbie Hancock「Butterfly」のメドレーです。全体としてブラジリアン・フレイヴァー全開のエレガント・メロウに仕上がっています。ブラジル音楽好きの僕にはかなりツボです。

このうち、Ivan Lins「Abre Alas」「The Smiling Hour」のタイトルによる英語カヴァーでもお馴染みですね。Sarah Vaughan ヴァージョンが有名ですが、Andy Connellがかつて参加していたバンドKalimaでもカヴァーしていました。今回の選曲もその影響かもしれません。

「All In Your Mind」
http://www.youtube.com/watch?v=Z-rc5acX49Q
「O Pesadelo Dos Autores」
http://www.youtube.com/watch?v=LgvQpnEbMX4
Kalima「The Smiling Hour」(1984年)
http://www.youtube.com/watch?v=LW-jPb8ELgE

「Low Down Dirty Business」
ラストはインストというのが本作らしいですね。本演奏はSons Of Samacand名義(同じSOSですが)でアシッド・ジャズの代表レーベルTalkin' Loudからアナログ盤もリリースされています。当然のことながら、この時期のUKらしいジャズ・ファンク・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=FnjhDHOTDzo

Swing Out Sister(SOS)の過去記事もご参照下さい。

『Kaleidoscope World』(1989年)
Kaleidoscope World

『Shapes And Patterns』(1997年)
Shapes and Patterns
posted by ez at 05:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月11日

Erykah Badu『Worldwide Underground』

"クラブミュージック"をテーマに制作された3rdアルバム☆Erykah Badu『Worldwide Underground』
Worldwide Underground
発表年:2003年
ez的ジャンル:進化形ネオ・ソウル
気分は... :Erykah様は立ち止まらない・・・

今回はネオ・ソウルの女王Erykah Baduのスタジオ・アルバム第3弾『Worldwide Underground』(2003年)です。

これまで当ブログで紹介したErykah Badu作品は以下の3枚(発売順)。

 『Mama's Gun』(2000年)
 『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)
 『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』(2010年)

本作は"クラブミュージック"をテーマに制作されたアルバムです。
アルバム・タイトルにも、そのあたりを意識したものになっています。

内容以前に、トップ・アーティストとして守りに入らず、自分の感性に従い攻めの姿勢でアルバム制作に取り組んでいる点が好きです。

僕の場合、ネオ・ソウルとクラブミュージックを融合させたアルバム言うと、以前に当ブログでも紹介したVikter Duplaix『International Affairs』(2002年)あたりをイメージしてしまいます(VikterもErykah様の作品にも裏方として関与していましたね)。それと比較すれば、本作はモロにクラブミュージックな楽曲が収録されている訳ではありません。あくまで基本はR&Bであり、そこにクラブミュージックのエッセンスを採り入れているといった仕上がりです。

その意味でタイトルほどにはアンダーグラウンドな内容にはなっていません。
R&BとHip-Hopとクロスオーヴァーがいい塩梅でバランスした作品になっているところが気に入っています。

制作に際してはErykah様、James PoyserRashad SmithR.C. Williamsによるプロデュース・ユニットFreakquencyが全面プロデュースしています。

また、Queen Latifah、Bahamadia、Angie Stone、Dead Prez、Roy Hargrove、Lenny KravitzCaron Wheeler、Zap Mama等がレコーディングに参加しています。

コンセプトとしてはアンダーグラウンドな印象を受ける作品ですが、アルバムは全米アルバム・チャート第3位、同R&Bアルバム・チャート第2位となり、商業的にも成功を収めました。

アーティストとしてのクリエイティビティ発揮と商業的成功を両立させてしまうところがErykah様の凄いところですね!

全曲紹介しときやす。

「Intro - World Keeps Turnin'」
アルバムのイントロ。

「Bump It」
ネオ・ソウル・ミーツ・クロスオーヴァーといった趣の夢想グルーヴ。ネオ・ソウルらしいメロウな浮遊感にスペイシーな味付けがなされています。Caron Wheeler、Zap Mamaという僕のお気に入り女性シンガー2名がバック・コーラスを務めています。
http://www.youtube.com/watch?v=TRsPNYFVODc

「Back In The Day (Puff)」
シングルにもなったミッド・グルーヴ。クロスオーヴァー・テイストのR&Bチューンです。James PoyserのエレピとDoc Gibbsのパーカッションが心地好く響きます。さらにLenny Kravitzがらしくない(?)ギター・プレイで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=w4bhKB1E6iY

「I Want You」
本作を象徴する10分超の"クラブミュージック"なクロスオーヴァー・チューン。呪文のようなErykah様のヴォーカルが印象的です。R&Bリスナーは戸惑うかもしれませんが、クロスオーヴァー好きの人には受け入れられる1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=y0ovBRwT49E

「Woo」
ジャジーHip-Hopなトラックにのって、Erykah様のヴォーカルが浮遊する1曲。夢の中で彷徨うような音世界が好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=7NcwfCXn0vY

「The Grind」
M1とStic ManによるN.Y.のHip-HopユニットDead Prezをフィーチャー(プロデュースにも参加)。ここでのErykah様は一歩引いてDead Prezのラップを前面に押し出しています。哀愁トラックが沁みてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=ncIA0rbbfnc

「Danger」
アルバムのリード・シングル。デンジャーな空気が漂うダークな浮遊感が印象的なR&Bチューン。隠し味程度にラテン・フレイヴァーがほんのり効いているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ir76XCs-P_k

「Think Twice」
サンプリング・ソース定番としてもお馴染み、Donald Byrdの人気曲をカヴァー。ここではRoy Hargroveがトランペット&ヴォーカルで参加しています。オリジナルをもっとソウル仕立てにしたカヴァーです。疑似ライブ風の臨場感のある作りがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=PN-fR5Kd3iw

「Love Of My Life Worldwide」
Queen Latifah, Bahamadia & Angie Stoneをフィーチャー。この豪華な顔ぶれだけでも惹かれますが、内容も申し分ありません。Angie Stoneがかつて在籍していた女性ラップ・グループThe Sequenceによるオールド・スクール・クラシック「Funk You Up」を下敷きにした、姉御ビーム炸裂のファンキーR&Bに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=r018MvLKzuY

「Outro - World Keeps Turnin'」
アルバムのアウトロ。

「Love Of My Life (An Ode To Hip Hop)」
僕の持つCD(EU盤)のボーナス・トラック。映画『Brown Sugar』(2002年)のサントラ収録曲です。Commonをフィーチャーし、Raphael Saadiqがプロデューサーで参加した本曲はシングル・カットされ、全米チャート第9位、同R&Bチャート第1位のヒットとなりました。この頃はプライベートでもラブラブであった二人の共演は今聴くとさらに興味深いですね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=4b7kWf6nXkc

日本盤やUK盤には「Love Of My Life (An Ode To Hip Hop)」に加え、「Hollywood」もボーナス・トラックとして収録されています。

Erykah Badu作品の過去記事もご参照下さい。

『Mama's Gun』(2000年)
Mama's Gun

『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)
New Amerykah, Pt. 1: 4th World War

『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』(2010年)
New Amerykah Part Two: Return of the Ankh
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2012年01月10日

Weldon Irvine『Spirit Man』

レア・グルーヴ人気曲「We Gettin' Down」収録!☆Weldon Irvine『Spirit Man』
スピリット・マン
発表年:1975年
ez的ジャンル:コズミック・ジャズ・ファンク
気分は... :まさかスティーラーズが敗れるとは...

いよいよNFLはポストシーズン・ゲームが始まりました。まずはワイルカード・プレーオフ4試合が行われましたが、AFCではスティーラーズがブロンコスに敗れる波乱がありました。個人的にスティーラーズはチャンピオンシップまで勝ち上がると予想していたので意外な結果でした。

これでAFCチャンピオンシップはペイトリオッツ対レイブンズになりそうですね。NFCの方はパッカーズ対セインツで落ち着くのでは?

一方、NCAAカレッジ・フットボールの全米王者決定戦「LSU対アラバマ」は現在試合中ですが、これまで全勝のLSUがアラバマに苦戦していますね。結果はいかに・・・

レア・グルーヴ・ファンに人気の鍵盤奏者Weldon Irvineの3回目の紹介です。

『Sinbad』(1976年)、『Time Capsule』(1973年)に続き紹介するのは『Spirit Man』(1975年)です。

コズミック&スピリチュアルなイメージが強いWeldon Irvineですが、本作『Spirit Man』はまさにそんなイメージにフィットするアルバム・タイトルおよびジャケですよね。

プロデュースはWeldon Irvine自身。レコーディングには、Henry Grate, Jr.(g)、Cleveland Freeman(b)、Wesley 'Gator' Watson(ds)、Napoleon Revels(per)、Sonny Fortune(sax)、Charles Sullivan(tp)、Everett 'Blood' Hollins(tp)といったミュージシャンが参加しています。

本作と言えば、レア・グルーヴ・ファンに人気のコズミック・ジャズ・ファンク「We Gettin' Down」が目玉となります。

正直、アルバム全体としての統一感に欠ける気がしますが、逆にそのバラツキ感が面白いアルバムだったりします。

さまざまなスタイルで聴かせてくれるWeldonのジャズ・スピリッツを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「We Gettin' Down」
オススメその1。前述のように本作ハイライト。A Tribe Called Quest「Award Tour」のサンプリング・ソースやフリーソウル・クラシックとしてもお馴染みの1曲ですね。スペイシー&ソウルフルなコズミック・ファンクです。バック・ヴォーカルを務めるFloyd Butler、Harry ElstonはThe Friends Of Distinctionのメンバーです。
http://www.youtube.com/watch?v=diHmwOD8vnY

「Softly」
コズミックなインタールード。

「Pogo Stick」
開放的な雰囲気を持ったスウィンギーなクロスオーヴァー・チューン。Weldonの小粋なジャズ・スピリッツを楽しみましょう。

「Blast Off」
オススメその2。スペイシーな高速ジャズ・ファンク。何の予備知識もなく聴くと、最近のNu Jazzだと錯覚しそうです。電子パルスのブラストといった雰囲気のハイパー感がいいですね。

「Jungle Juice」
オススメその3。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。コズミックなシンセ・サウンドと重くうねるグルーヴにグッときます。Fela Kutiあたりのアフロ・ビートと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=2C3OGQ84IEU

「Yasmin」
ストリングスと鍵盤が織り成すエレガント・ワールドです。ラブ・ロマンス映画のサントラのようです。

「The Power And The Glory」
オススメその4。ホーン・アンサンブルが心地好いクロスオーヴァー・ジャズ。結構きちんとジャズしています。Weldonをはじめ各プレイヤーの演奏を満喫できるという意味ではこの曲が一番では?
http://www.youtube.com/watch?v=iJagEVmRUxM

「Softly」
ラストは再び「Softly」です。ここではWeldonのソロ・ピアノで聴かせてくれます。余韻を残したままアルバムは幕を閉じます。

Weldon Irvineの過去記事もご参照下さい。

『Time Capsule』(1973年)
タイム・カプセル

『Sinbad』(1976年)
Sinbad
posted by ez at 12:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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