2012年01月04日

Paprika Soul『Into The Light』

ライト・ブリージンなUKブラジリアン・グルーヴ☆Paprika Soul『Into The Light』
イントゥ・ザ・ライト
発表年:2002年
ez的ジャンル:ライト・ブリージン系UKブラジリアン・グルーヴ/クラブジャズ
気分は... :南半球へ飛んで行きたい!

今日は真冬に全く似つかわしくない、バカンス・モードのライト・ブリージンなアルバムPaprika Soul『Into The Light』(2002年)です。

全然正月休みを満喫できなかった反動で、今が真夏の南半球へ飛んで行きたい気分なのかも(笑)

Paprika Soulは、マンチェスター出身のソウル/ジャズのDJであるAlan Barnesとキーボード奏者/エンジニアAndy Spillerの2人によるUKのクラブジャズ・ユニット。

1993年にSeawindのメロウ・クラシック「He Loves You」のカヴァーでデビューし、続いてTania Mariaのカヴァー「Come With Me」をリリースしています。

1999年には1stアルバム『Paprika Soul』をリリース。前述の「He Loves You」に加え、Viva Brasilのオリジナル、Alive!のカヴァーでお馴染みの大人気クラシック「Skindo Le Le」、ジャズ・サックス奏者Gene Ammonsのカヴァー「Jungle Strut」、ラテン・ジャズ・ユニットQuartette Tres Bienのカヴァー「Boss Tres Bien」等も収録されています。

Paprika Soul「He Loves You」
 http://www.youtube.com/watch?v=XnkWiJxQzfg
Paprika Soul「Come With Me」
 http://www.youtube.com/watch?v=xAVED2ne23U
Paprika Soul「Jungle Strut」
 http://www.youtube.com/watch?v=akuvPGw8F-E

これらのカヴァーがクラブ・シーンでも人気となり、その流れで制作された2ndアルバムが本作『Into The Light』(2002年)です。

全11曲(ボーナス・トラックを除く)中6曲が女性ヴォーカル入りであり、Christine Glen、Jackie Hicks、Gayle Spillerという3名のヴォーカリストがフィーチャーされています。

以前に紹介したUKのブラジリアン・ジャズ・ユニットSirius Bあたりと同じく、クラブジャズ世代のブラジリアン・フュージョンといった趣が僕の嗜好にフィットしています。

本作でもGloria Scott「Too Much Love Makin'」Airto Moreira「Xiababa」Tamba 4「Slick」Antonio Carlos Jobim「Dindi」といったカヴァー4曲がハイライトですが、オリジナルもなかなか粒揃いでこの手の音が好きな人には捨て曲ナシの1枚に仕上がっていると思います。

年末の『ezが選ぶ2011年の10枚』でも次世代ボッサ作品2枚を真っ先に挙げましたが、ブラジル+クラブジャズというのは今の僕の音楽嗜好に最もフィットするのかもしれません。

今となっては忘れられがちな作品ですが、かなり充実の1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Too Much Love Makin'」
フリーソウル好きにはお馴染み、Gloria Scottの人気曲「(A Case of) Too Much Lovemakin'」(Barry Whiteプロデュース、Tom Brock作)のカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『What am I Gonna Do』に収録されています。爽快メロウ・グルーヴのオリジナルの魅力を受け継ぎつつ、本作らしいライト・ブリージンなフュージョン感覚で聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=XJuLrExyJ1E

本曲は90年代にLisa Stansfieldもカヴァーしています。3ヴァージョン聴き比べてみるのも楽しいのでは?

Gloria Scott「(A Case of) Too Much Lovemakin'」
 http://www.youtube.com/watch?v=RXV9obOq7qY
Lisa Stansfield「 (A Case Of) Too Much Love Makin」
 http://www.youtube.com/watch?v=tJzfA4r1-Ck'

「Xiababa」
Donald ByrdDuke Pearson等もカヴァーしたAirto Moreira作品をカヴァー。当ブログではCal Tjaderのカヴァー(アルバム『Amazonas』収録)を紹介済みです。オリジナルは結構エキサイティングですが、ここでも心地好さを損なわない程度にそういった雰囲気を出しています。

「Ginza Day」
日本のリスナー向けの楽曲でしょうか(笑)。真夜中の疾走感があるクラブ・テイストのクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。

「Flight of the Condor」
クラブジャズ世代のフュージョンという表現がマッチする1曲。音色は70〜80年代フュージョン、リズムは2000年代クラブジャズといったところでしょうか。

「Music of Life」
オリジナルではこの曲が一番好き!僕のような次世代ボッサ好きにはジャスト・フィットするブラジリアン・メロウ・グルーヴです。今日僕が本作をセレクトしたのもこの手のタイプの曲を聴きたかったからです。Christine Glenのヴォーカルもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=qG3iOLNwo6s

「Rio Sunset」
セクシーな女性スキャットとプログラミングによるアフロ・ブラジリアン・ビートが心地好い1曲。Paprika Soulらしい1曲なのでは?

「Slick」
Herb Alpert & The Tijuana Brassのカヴァー(Herb Alpert/John Pisano作)。ただし、ここでのカヴァーは当ブログでも紹介したTamba 4『Samba Blim』ヴァージョンを意識したものだと思います。サンバ・ビートに乗ってTamba 4ヴァージョン同様にミステリアスな音世界が展開されます。

「My Baby and Me」
アルバムの中でも最もソウルフルな仕上がり。Gayle Spillerのヴォーカルをフィーチャーした素敵なアーバン・ソウルです。

「Samba Recife」
タイトルの通り、パーカッション奏者Mark Claydonが参加したサンバのリズム全開のパーカッシヴ・フュージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=ZVDWWBiOgk0

「Dindi」
Aloysio de Oliveira作詞、Antonio Carlos Jobim作曲の名曲カヴァー。当ブログではFlora Purimのカヴァーを紹介済みです。本作に収録されたカヴァー4曲はどれも強力ですが、その中でも僕のイチオシは本曲です。軽快なリズムとJackie Hicksのセクシー・ヴォーカルを聴くと、一瞬にしてバカンス気分に浸ることができるブラジリアン・グルーヴです。Andy Spillerによるメロウなキーボード・サウンドもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=DrjEoC8-Zks

「Song for Herve」
ラストはIan Ellisのサックスをフィーチャーしたインスト。心地好いフュージョンで締め括ってくれます。

国内盤にはボーナス・トラックとして「Dindi (Wave Remix)」が収録されています。クール&ダンサブルなリミックスはオリジナルとは別の魅力があり、本曲がお気に入りの僕にとってはかなり嬉しいボートラです。

1st『Paprika Soul』(1999年)もチェックを!

『Paprika Soul』(1999年) ※ジャケは2001年再発時のもの
Paprika Soul
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2012年01月03日

The Gap Band『The Gap Band II』

3兄弟ファンク躍進の契機となった作品☆The Gap Band『The Gap Band II』
ギャップ・バンドII
発表年:1979年
ez的ジャンル:3兄弟ファンク
気分は... :今年最初の1枚は...

今年は個人的な事情や曜日の巡り合わせもあり、正月モードにどっぷり浸れません。
なんかモヤモヤした年明けになっています。

今年最初に紹介する作品はThe Gap Band『The Gap Band II』(1979年)です。

今年もジャンル・年代問わずという基本方針は変えずにセレクトしていきたいと思います。

毎年、年の最初に紹介する作品で悩むのですが、今年は深く考えずCD棚を眺めてしばらく聴いていなかった作品を何枚かピックアップし、その中から本作『The Gap Band II』を選びました。

CharlieRonnieRobert、のWilson兄弟から成るファンク・グループThe Gap Bandの紹介は、『Gap Band IV』(1982年)、『The Gap Band III』(1980年)に続き3回目となります。

前回、『The Gap Band III』を紹介したのは2009年でしたが、その間にRobert Wilsonが2010年8月、心臓発作で帰らぬ人となってしまいました(享年53歳)。

今日紹介する『The Gap Band II』(1979年)はMercuryからの第2弾アルバムです。タイトルから2ndアルバムと誤解しそうですが、『Magicians Holiday』(1974年)、『The Gap Band』(1977年)、『The Gap Band』(1979年)に続く4thアルバムとなります。

本作は全米R&Bアルバム・チャート第3位となり、ゴールド・ディスクに輝いています。大成功を収める『The Gap Band III』『Gap Band IV』の布石となる作品として位置づけられると思います。

プロデュースはThe Gap Band作品ではお馴染みのLonnie Simmonsが務めています。

レコーディングにはCharlie Wilson(vo、key、syn、per)、Ronnie Wilson(tp、key、vo)、Robert Wilson(b、vo)というメンバー以外に、Greg Phillinganes(key、syn、per)をはじめ、Emzie Parker III(g)、Glenn Nightingale(g)、James Macon(g)、John Black(key)、Louie Cabaza(key)、後にSunfireのメンバーとなるRaymond Calhoun(ds、per)、Ronnie Kaufman(ds)等のミュージシャンが参加しています。

また、バック・ヴォーカルには後にYarbrough & Peoplesとして「Don't Stop the Music」のヒットを放つCavin YarbroughとAlisa Peoples、80年代にKliqueのメンバーとして活動するHoward Huntsberry、80年代にGoodie名義でアルバムをリリースするRobert Whitfield等の名がクレジットされています。

『The Gap Band III』『Gap Band IV』あたりを先に聴いていると、多少物足りない感じもするアルバムですが、ファンク・グループとしての立ち位置を確立しようとしている手探り感を楽しめる1枚のような気がします。

全曲紹介しときやす。

「Steppin' (Out)」
シングルにもなったオープニング。全米R&Bチャート第10位となりました。EW&F風の軽快なポップ感のあるダンス・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=9NXswtmExqw

「No Hiding Place」
美しいミディアム・スロウ。Charlieのリード・ヴォーカルに絡むバック・コーラスがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=_5lParjl2Wk

「I Don't Believe You Want to Get up and Dance (Oops!)」
本作のハイライト。シングルとして全米R&Bチャート第4位となりました。Charlie Wilson本人が認めているようにP-Funkからインスパイアされた1曲に仕上がっています。哀愁ラテン風味も加わったP-Funk+哀愁ラテンな雰囲気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qYD4P3NafyM

本曲はSnap!「Ooops Up」、DJ Quik「Mo' P****」、Snoop Dogg「Snoop's Upside Ya Head」、2nd II None「Didn't Mean To Turn You On」、Spice 1「Strap on the Side」、Romanthony「Bring U Up」等のサンプリング・ソースとしてもお馴染みですね、特にCharlie Wilson本人をフィーチャーしたSnoopの「Snoop's Upside Ya Head」は必須チェックの1曲ですね。

Snoop Dogg feat. Charlie Wilson「Snoop's Upside Ya Head」
 http://www.youtube.com/watch?v=B2n_Tkwmt-8
2nd II None「Didn't Mean To Turn You On」
 http://www.youtube.com/watch?v=NrG-SfJQbMQ
Spice 1「Strap on the Side」
 http://www.youtube.com/watch?v=7TNXoH7EYWY

「Who Do You Call」
シングル曲以外では最もキャッチーな仕上がり。シンセ・サウンドが印象的なスペイシー・ディスコ・ファンクです。この曲はGreg Phillinganesの貢献が大きいのではと推察します。Robert Wilsonがリード・ヴォーカル。

「You Are My High」
しみじみ聴かせるスロウ・バラード。Charlieが切々と歌い上げます。2001年にDemon Vs Heartbreakerがハウス・カヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=eFZudY2trGE

Demon Vs Heartbreaker「You Are My High」
 http://www.youtube.com/watch?v=Ru6OSd2tiMY

「Party Lights」
この曲もシングルになりました。パーティー・モードの軽快なファンク・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=dhwGmMs1m7U

「The Boys Are Back in Town」
ラストは感動バラードで締め括ってくれます。少し青臭い感じが逆にグッとくるかも?
http://www.youtube.com/watch?v=9yeiEw5uQx0

The Gap BandCharlie Wilsonの過去記事もご参照下さい。

『The Gap Band III』(1980年)
III

『Gap Band IV』(1982年)
Gap Band IV

Charlie Wilson『Uncle Charlie』(2009年)
Uncle Charlie

Charlie Wilson『Just Charlie』(2010年)
Just Charlie
posted by ez at 04:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月01日

『音楽の園』2011年年間アクセス数Top10

Happy New Year!
今年もよろしくお願い致します。

新年最初は恒例の四半期アクセス数Top10および年間アクセス数Top10です。

まずは2011年10月1日から12月31日までの四半期アクセス数Top10です。

第1位:Jane Birkin『Lolita Go Home』(1975年)
ロリータ・ゴー・ホーム

第2位:Ben Sidran『The Cat And The Hat』(1980年)
ザ・キャット・アンド・ザ・ハット(紙ジャケット仕様)

第3位:Esther Williams『Let Me Show You』(1976年)
レット・ミー・ショウ・ユー

第4位:Sabrina Malheiros『Dreaming』(2011年)
DREAMING

第5位:Serge Gainsbourg Et Brigitte Bardot『Bonnie And Clyde』(1968年)
Bonnie & Clyde

第6位:Phonte『Charity Starts At Home』(2011年)
Charity Starts at Home

第7位:Cheryl Lynn『It's Gonna Be Right』(1985年)
ゴナ・ビー・ライト(紙ジャケット仕様)

第8位:Anthony David『The Red Clay Chronicles』(2006年)
レッド・クレイ・クロニクルズ

第9位:Miles Davis『Dark Magus』(1974年)
ダーク・メイガス

第10位:Florencia Ruiz『Luz De La Noche』(2011年)
ルス・デ・ラ・ノーチェ~夜の光

Jane BirkinにSerge Gainsbourg Et Brigitte Bardotというフレンチものが強さを発揮したTop10となりました。Ben Sidran、Esther WilliamsがTop3に入るあたりは当ブログらしいかもしれませんね。

また、昨日の『ezが選ぶ2011年の10枚』でもセレクトしたSabrina Malheiros、Florencia Ruizのランクインは嬉しいですね。

Top10入り一歩手前だったのが、Alzo『Alzo』The Rolling Stones『The Rolling Stones, Now!』The Roots『Undun』Sheila Landis『Singer/Songwriter』Maria Rita『Elo』です。

引き続き2011年の年間アクセス数Top10です。

第1位:Alzo『Alzo』(1972年)
アルゾ(紙ジャケット仕様)

第2位:Miles Davis『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
Get Up with It

第3位:DeBarge『Ultimate Collection』(1997年)
Ultimate Collection

第4位:Alexia Bomtempo『Astrolabio』(2008年)
Astrolabio

第5位:John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
Wake Up

第6位:Gretchen Parlato『The Lost And Found』 (2011年)
Lost & Found

第7位:Squarepusher『Ultravisitor』(2004年)
Ultravisitor

第8位:Donald Fagen『The Nightfly』(1982年)
The Nightfly

第9位:Marsha Ambrosius『Late Nights & Early Mornings』(2011年)
Late Nights and Early Mornings

第10位:Bo Kaspers Orkester『I Centrum』(1998年)
I Centrum

トップに輝いたAlzoは4月のエントリー以来、コンスタントにアクセス数を確保していました。何が要因なのか不明ですが・・・

第2位Miles Davis『Get Up With It』、第3位DeBarge『Ultimate Collection』、第8位Donald Fagen『The Nightfly』はかなり古いエントリーですが、当ブログでは毎年安定した人気を誇っているアルバムです。帝王Milesは前述の四半期Top10でも『Dark Magus』がランクインしています。エレクトリック・マイルス時代の作品が人気なのでしょうか・・・

ブラジル音楽の佳作Alexia Bomtempo『Astrolabio』のような作品が3年以上前にエントリーにも関わらず上位にランクインするのは嬉しいですね。逆にそれ程明るくもなく、聴き込んでいるわけでもないSquarepusher『Ultravisitor』のランクインは少し気恥ずかしいですね・・・

昨年リリースされた新譜ではGretchen Parlato『The Lost And Found』、Marsha Ambrosius『Late Nights & Early Mornings』の2枚がランクイン。2枚とも昨日の『ezが選ぶ2011年の10枚』で最後まで迷いながら選外とした作品なのが皮肉ですね(笑)

Bo Kaspers Orkester『I Centrum』は、検索エンジンのヒット件数が少ないのでアクセスが多いのでは?と勝手に推察しています。

Top10入り一歩手前だったのが、Jane Birkin『Lolita Go Home』Niteflyte『Niteflyte II』Gal Costa『Cantar』Musiq Soulchild『Musiqinthemagiq』Tenorio Jr.『Embalo』O.S.T.(Michel Legrand)『Les Demoiselles De Rochefort』です。

明日はお休みして、3日から通常のエントリーに戻るつもりです。
posted by ez at 02:34| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする