発表年:2002年
ez的ジャンル:ライト・ブリージン系UKブラジリアン・グルーヴ/クラブジャズ
気分は... :南半球へ飛んで行きたい!
今日は真冬に全く似つかわしくない、バカンス・モードのライト・ブリージンなアルバムPaprika Soul『Into The Light』(2002年)です。
全然正月休みを満喫できなかった反動で、今が真夏の南半球へ飛んで行きたい気分なのかも(笑)
Paprika Soulは、マンチェスター出身のソウル/ジャズのDJであるAlan Barnesとキーボード奏者/エンジニアAndy Spillerの2人によるUKのクラブジャズ・ユニット。
1993年にSeawindのメロウ・クラシック「He Loves You」のカヴァーでデビューし、続いてTania Mariaのカヴァー「Come With Me」をリリースしています。
1999年には1stアルバム『Paprika Soul』をリリース。前述の「He Loves You」に加え、Viva Brasilのオリジナル、Alive!のカヴァーでお馴染みの大人気クラシック「Skindo Le Le」、ジャズ・サックス奏者Gene Ammonsのカヴァー「Jungle Strut」、ラテン・ジャズ・ユニットQuartette Tres Bienのカヴァー「Boss Tres Bien」等も収録されています。
Paprika Soul「He Loves You」
http://www.youtube.com/watch?v=XnkWiJxQzfg
Paprika Soul「Come With Me」
http://www.youtube.com/watch?v=xAVED2ne23U
Paprika Soul「Jungle Strut」
http://www.youtube.com/watch?v=akuvPGw8F-E
これらのカヴァーがクラブ・シーンでも人気となり、その流れで制作された2ndアルバムが本作『Into The Light』(2002年)です。
全11曲(ボーナス・トラックを除く)中6曲が女性ヴォーカル入りであり、Christine Glen、Jackie Hicks、Gayle Spillerという3名のヴォーカリストがフィーチャーされています。
以前に紹介したUKのブラジリアン・ジャズ・ユニットSirius Bあたりと同じく、クラブジャズ世代のブラジリアン・フュージョンといった趣が僕の嗜好にフィットしています。
本作でもGloria Scott「Too Much Love Makin'」、Airto Moreira「Xiababa」、Tamba 4「Slick」、Antonio Carlos Jobim「Dindi」といったカヴァー4曲がハイライトですが、オリジナルもなかなか粒揃いでこの手の音が好きな人には捨て曲ナシの1枚に仕上がっていると思います。
年末の『ezが選ぶ2011年の10枚』でも次世代ボッサ作品2枚を真っ先に挙げましたが、ブラジル+クラブジャズというのは今の僕の音楽嗜好に最もフィットするのかもしれません。
今となっては忘れられがちな作品ですが、かなり充実の1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Too Much Love Makin'」
フリーソウル好きにはお馴染み、Gloria Scottの人気曲「(A Case of) Too Much Lovemakin'」(Barry Whiteプロデュース、Tom Brock作)のカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『What am I Gonna Do』に収録されています。爽快メロウ・グルーヴのオリジナルの魅力を受け継ぎつつ、本作らしいライト・ブリージンなフュージョン感覚で聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=XJuLrExyJ1E
本曲は90年代にLisa Stansfieldもカヴァーしています。3ヴァージョン聴き比べてみるのも楽しいのでは?
Gloria Scott「(A Case of) Too Much Lovemakin'」
http://www.youtube.com/watch?v=RXV9obOq7qY
Lisa Stansfield「 (A Case Of) Too Much Love Makin」
http://www.youtube.com/watch?v=tJzfA4r1-Ck'
「Xiababa」
Donald Byrd、Duke Pearson等もカヴァーしたAirto Moreira作品をカヴァー。当ブログではCal Tjaderのカヴァー(アルバム『Amazonas』収録)を紹介済みです。オリジナルは結構エキサイティングですが、ここでも心地好さを損なわない程度にそういった雰囲気を出しています。
「Ginza Day」
日本のリスナー向けの楽曲でしょうか(笑)。真夜中の疾走感があるクラブ・テイストのクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。
「Flight of the Condor」
クラブジャズ世代のフュージョンという表現がマッチする1曲。音色は70〜80年代フュージョン、リズムは2000年代クラブジャズといったところでしょうか。
「Music of Life」
オリジナルではこの曲が一番好き!僕のような次世代ボッサ好きにはジャスト・フィットするブラジリアン・メロウ・グルーヴです。今日僕が本作をセレクトしたのもこの手のタイプの曲を聴きたかったからです。Christine Glenのヴォーカルもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=qG3iOLNwo6s
「Rio Sunset」
セクシーな女性スキャットとプログラミングによるアフロ・ブラジリアン・ビートが心地好い1曲。Paprika Soulらしい1曲なのでは?
「Slick」
Herb Alpert & The Tijuana Brassのカヴァー(Herb Alpert/John Pisano作)。ただし、ここでのカヴァーは当ブログでも紹介したTamba 4『Samba Blim』ヴァージョンを意識したものだと思います。サンバ・ビートに乗ってTamba 4ヴァージョン同様にミステリアスな音世界が展開されます。
「My Baby and Me」
アルバムの中でも最もソウルフルな仕上がり。Gayle Spillerのヴォーカルをフィーチャーした素敵なアーバン・ソウルです。
「Samba Recife」
タイトルの通り、パーカッション奏者Mark Claydonが参加したサンバのリズム全開のパーカッシヴ・フュージョンです。
http://www.youtube.com/watch?v=ZVDWWBiOgk0
「Dindi」
Aloysio de Oliveira作詞、Antonio Carlos Jobim作曲の名曲カヴァー。当ブログではFlora Purimのカヴァーを紹介済みです。本作に収録されたカヴァー4曲はどれも強力ですが、その中でも僕のイチオシは本曲です。軽快なリズムとJackie Hicksのセクシー・ヴォーカルを聴くと、一瞬にしてバカンス気分に浸ることができるブラジリアン・グルーヴです。Andy Spillerによるメロウなキーボード・サウンドもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=DrjEoC8-Zks
「Song for Herve」
ラストはIan Ellisのサックスをフィーチャーしたインスト。心地好いフュージョンで締め括ってくれます。
国内盤にはボーナス・トラックとして「Dindi (Wave Remix)」が収録されています。クール&ダンサブルなリミックスはオリジナルとは別の魅力があり、本曲がお気に入りの僕にとってはかなり嬉しいボートラです。
1st『Paprika Soul』(1999年)もチェックを!
『Paprika Soul』(1999年) ※ジャケは2001年再発時のもの