2012年01月09日

Delaney & Bonnie『Accept No Substitute』

夫婦デュオによるスワンプ・ロックの先駆的アルバム☆Delaney & Bonnie『Accept No Substitute』
Original Delaney & Bonnie: Accept No Substitute
発表年:1969年
ez的ジャンル:元祖スワンプ・ロック
気分は... :Claptonがご執心だったのがわかる!

今回はスワンプ・ロックの先駆者としてロック・ファンから高い支持を得ているデュオDelaney & Bonnie『Accept No Substitute』(1969年)です。

Delaney & Bonnieは、1939年ミシシッピ州生まれのミュージシャンDelaney Bramlettと1944年イリノイ州生まれの女性シンガーBonnie Bramlettによる夫婦デュオ。

Delaney Bramlettは1950年代末よりL.A.でセッション・ミュージシャンとして活動し、60年代半ばにはLeon Russellらと共にABCのTVシリーズ『Shindig!』のハウスバンドThe Shindogsのメンバーとして活動していました。

一方のBonnie Bramlett(本名Bonnie Lynn O'Farrell)は10代からバック・シンガーとして活動するようになり、一時はIke & Tina Turnerのバック・ヴォーカル・グループIketteのメンバーとして活動していました(Ikette初の白人メンバー)。

二人はL.A.で出会い、結婚することになります。そして、夫婦デュオDelaney & Bonnieが結成されました。

1968年にStaxと契約し、Donald "Duck" Dunn、Steve Cropper、Booker T. JonesIsaac Hayes等も参加した1stアルバム『Home』をレコーディングします。参考までに『Home』以前の音源として、1967-68年にDelaney Bramlettが録音した音源を後にDelaney & Bonnie名義のアルバム『Genesis』としてリリースしています。

そして、1969年にデビュー・シングル「It's Been a Long Time Coming」をリリースします。同曲はR&B専門ラジオでも好意的に受け入れられますが、白人デュオであることが判明すると敬遠されてしまいます。この事態を憂慮したStax側は『Home』の発売を見合わせることになります(同作はデュオが注目された後に発売されました)。

そうした事情からStaxを離れ、Elektraと契約したデュオは2ndとなる『Accept No Substitute』(1969年)をレコーディングし、リリースにこぎ着けます。

同年にはEric ClaptonSteve Winwood擁する当時のスーパー・ロック・ユニット
Blind Faithのアメリカ・ツアーのオープニング・アクトを担当します。そこで彼らに惚れ込んだEric Claptonは、そのままDelaney & Bonnieのサポート・メンバーとなり、Blind Faithは解散することになります。

1969年にはAtcoと契約し、シングル「Coming Home/Groupie (Superstar)」をリリースします。「Coming Home」はDelaneyとClaptonの共作、「Groupie (Superstar)」はBonnieとLeon Russellの共作です。後者はご存知のようにCarpentersが1971年に「Superstar」のタイトルで大ヒットさせています。

さらに1969年末に行われたイギリス・ツアーはEric ClaptonDave Masonらも参加した大所帯ツアーとなり、この模様はDelaney & Bonnie & Friends名義のライブ・アルバム『On Tour With Eric Clapton』(1970年)として発売されました。また、このツアーを契機にEric Claptonは同ツアーの参加メンバーであったBobby WhitlockCarl RadleJim GordonDerek & The Dominosを結成することになります。

そのAtcoから『To Bonnie From Delaney』(1970年)、『Motel Shot』(1971年)という2枚のアルバムをリリースしています。これらのアルバムにはThe Allman Brothers BandDuane Allmanが参加しています。

1972年にColumbiaからリリースした『D&B Together』を最後にデュオは解消、私生活でも夫婦生活にピリオドを打ちます。

その後の二人はソロ・アーティストとして活動するようになります。2008年にDelaney Bramlettは死去しています。

どうしてもEric ClaptonDerek & The Dominos絡みで語られることが多い夫婦デュオですよね。僕もそんな影響でClaptonのアルバムの1枚として捉えていた『On Tour With Eric Clapton』(1970年)は10代の頃に聴きましたが、それ以外の彼らのアルバムに注目するようになったのは30代後半過ぎてからですね。

今日紹介する『Accept No Substitute』(1969年)は、前述のように1st『Home』が当初お蔵入りになっていたことから、Delaney & Bonnieという夫婦デュオの存在が知られるようになった最初のアルバムということになります。

商業的成功には縁遠かったものの、ミュージシャンズ・ミュージシャンとして音楽シーンに影響をもたらした彼らですが、本作で提示されたブルース、ゴスペル、カントリーといったアメリカ南部に起源を持つルーツ・ミュージックを消化した土臭いロック・サウンドは、前述のようにイギリスのミュージシャンにも多大な影響を与え、スワンプ・ロック・ブームの到来に一役買うことになります。

レコーディングはスタジオ・ライブ録音というかたちで行われ、レコーディングには、Bonnie Bramlett(vo)、Delaney Bramlett(g、vo)をはじめ、Leon Russell(g、p)、Jerry McGee(g)、Carl Radle(b)、Bobby Whitlock(org、key、vo)、Bobby Keys(sax)、Jim Price(tb、tp)、Rita Coolidge(vo)、Jim Keltner(ds、per)の8名がFriendsとして参加しています。いずれのメンバーも今日ではお馴染みの顔ぶれですね。

本作を聴いてからDerek & The Dominos『Layla & Other Assorted Love Songs』を聴くと、Eric Claptonがいかに彼らにご執心であったかが実感できると思います。

60年代後半から70年代前半のスワンプ・ブームを語る上で欠かせない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Get Ourselves Together」
Delaney Bramlett/Bonnie Bramlett/Carl Radle作。『Home』のセッションでもレコーディングされていた楽曲です(今日ではボーナス・トラックとして『Home』に追加収録)。R&B感覚のソウルフルな夫婦ヴォーカルと土臭いカントリー・サウンドは、深いコクがあっていいですね。

「Someday」
Delaney Bramlett/Jerry Allison/Bonnie Bramlett/Doug Gilmore作。息の合った夫婦ヴォーカルのスワンプ・ロック。後半はシャッフル・ビートで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=B93vUYfhDRk

「Ghetto」
Delaney Bramlett/Bettye Crutcher/Homer Banks/Bonnie Bramlett作。ストリングスも入ったゴスペル調の仕上がり。Delaneyのヴォーカルがシブくてグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=IiPAFCJmTiU

「When the Battle is Over」
Mac Rebennack(Dr. John)/Jessie Hill作。メンバーが一体となったアーシー&ソウルフルなロック・サウンドの格好良さにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=FJpAP1aV69k

「Dirty Old Man」
Delaney Bramlett/Mac Davis作。Delaneyを前面に打ち出したソウルフル・チューン。バック・コーラスのRita Coolidgeとの息もピッタリです。

「Love Me a Little Longer」
Delaney Bramlett/Bonnie Bramlett作。聴いていると、Derek & The Dominosの某曲を思い出してしまいます(笑)。Claptonがいかに彼らから影響を受けたかを実感できる1曲です。ホーン隊が大いに盛り上げてくれます。

「I Can't Take It Much Longer」
Delaney Bramlett/Joey Coopers作。開放的なブルージー感にグッとくる1曲。適度にユルい感じがいいですね。

「Do Right Woman, Do Right Man」
Aretha Franklinヴァージョンでお馴染みのDan Penn/Chips Moman作品。Arethaヴァージョンは当ブログでも紹介した『I Never Loved a Man the Way I Love You』(1967年)に収録されています。ストリングスとカントリー・フレイヴァーの効いたソウルフル・チューンに仕上がっています。

「Soldiers of the Cross」
トラッディショナルのカヴァー。ハイテンションな演奏で盛り上げてくれます。

「Gift of Love」
Delaney Bramlett/Mac Davis作。アーシーな賑わい感が心に沁みてくる演奏で締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=MC3qvySk3IM

ご興味のある方はDelaney & Bonnieの他作品もチェックを!

『Home』(1969年)
Home

Delaney & Bonnie & Friends『On Tour With Eric Clapton』(1970年)
Delaney & Bonnie On Tour With Eric Clapton

『To Bonnie From Delaney』(1970年)
デラニーよりボニーへ

『Motel Shot』(1971年)
モーテル・ショット(SHM-CD)

『D&B Together』(1972年)
D&B Together
posted by ez at 04:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする