発表年:1971年
ez的ジャンル:R&B/ゴスペル/ブルース調ロック
気分は... :こんなに黒いサウンドとは・・・
今回は70年代ロック・ファンには懐かしい名前Edgar Winterが、自身のグループEdgar Winter's White Trashを率いた最初のアルバム『Edgar Winter's White Trash』(1971年)です。
Edgar Winterは1946年テキサス州ボーモント生まれのキーボード奏者/サックス奏者。
兄であるギタリスト/シンガーJohnny Winter(1944年生まれ)と同様にアルビノ(先天性色素欠乏症)でした。少年期から兄Johnnyとのコンビで音楽活動を行い、1962年にはJohnnyらとJohnny & The Jammersを結成しています。
1969年にJohnnyがCBSと契約し、その契約金から「100万ドルのギタリスト」として話題となったアルバム『Johnny Winter』に参加、続くアルバム『Second Winter』(1970年)でもJohnnyのバックを務めています。1970年にはEdgar自身の1stソロ『Entrance』をリリースし、さらには自身のバンドEdgar Winter's White Trashを結成し、兄から独立します。
ブルース/ロックのイメージが強かった兄Johnnyと比較すると、弟Edgarはブルース/ロックをベースにジャズ、R&B、ゴスペルのエッセンスも取り入れたスタイルを志向していました。
Edgar Winter's White Trash名義で『Edgar Winter's White Trash』(1971年)、『Roadwork』(1972年)、『Recycled』(1977年)といったアルバムをリリースしています。
さらに1972年に Dan Hartman、Ronnie Montrose、Chuck Ruffと結成したThe Edgar Winter Group名義で『They Only Come Out at Night』(1972年)、『Shock Treatment』(1974年)、『The Edgar Winter Group with Rick Derringer 』(1976年)といったアルバムをリリースしています。特に『They Only Come Out at Night』からのシングル「Frankenstein」は全米チャートNo.1の大ヒットとなり、グループの人気を決定付けました。
また、兄Johnnyとの共演アルバム『Together』(1976年)やソロ名義での『Jasmine Nightdreams』(1975年)、『Edgar Winter Album』(1979年)、『Standing on Rock』(1981年)等のアルバムもリリースしています。
僕の場合、Johnny WinterおよびEdgar Winterって、ロックを聴き始めた頃から名前や顔は馴染みがありましたが、全くスルーしてきたアーティストです。2人のアルバムについてもおぼろげにインプットされているものの、どれがJohnnyのアルバム・ジャケで、どれがEdgarのアルバム・ジャケかとなると曖昧です(泣)
きちんと作品を聴いたことがないのに、古めかしいブルース・ロック/ロックン・ロールという勝手なイメージが僕の中にあり、それが僕を彼らの作品から遠ざけてきたのかもしれません。
そんな感じでWinter兄弟と全く縁遠かった僕が、数年前に激安中古セールで大して期待もせずに購入したアルバムが『Edgar Winter's White Trash』です。ジャケの持つ独特の雰囲気に思わず手が伸びてしまったという感じです。
『Edgar Winter's White Trash』はEdgar Winter's White Trashとしての第1作アルバムです。プロデュースは兄Johnnyとの親交も深く、後の作品も手掛けることになる人気ギタリストRick Derringerが務めています。
グループのメンバーはEdgar Winter(vo、p、org、celeste、as)、Jerry Lacroix(vo、ts、harp)、Jon Smith(ts、vo)、Mike McClellan(tp、vo)、Bobby Ramire(ds)、George Sheck(b)、Floyd Radford(g)という7名。Edgarも含めてホーン奏者が4名というのが特徴ですね。
それ以外にもRick Derringer(g)、Johnny Winter(g)、Ray Barretto(conga)が参加しています。また、Tasha Thomas、Janice Bell、Carl Hull、Maretha Stewart、Albertine Robinson、Eileen Gilbertというソウルフルなバック・コーラス陣も充実しています。
R&B/ゴスペルのエッセンスを取り入れた黒いサウンドは、僕が勝手に描いていたEdgar Winterに対するイメージと全く異なり、正直かなり驚かされました。もっとブルース色が強い音を想像していたので、ここまで徹底的に黒くて、ファンキーで、ソウルフルだとは思いませんでした。もちろん、ベースにはブルース/ロックのフィーリングがありますが。
また、個人的にはラテン・グルーヴの帝王Ray Barrettoが参加したラテン・グルーヴ全開の1曲、「Let's Get It On」にノックアウトされてしまいました。
まさか本作が近年の僕の音楽嗜好にこれほどフィットする1枚になるとは思いませんでした。
先入観による聴かず嫌いを猛省した次第です。
未聴の方はぜひ!
全曲紹介しときやす。
「Give It Everything You Got」
本作らしいロックとR&Bの融合を満喫できるオープニング。ワウワウギターとファンキーなホーン隊、そこに歪んだベースが絡みご機嫌なサウンドを聴かせてくれます。初めて聴いた時、Edgar Winterってこんなに黒いサウンドなんだ!と驚きました。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
http://www.youtube.com/watch?v=ka8fJbDK95M
「Fly Away」
Jerry Lacroixの素晴らしいソウルフル・ヴォーカルを満喫できるゴスペル調バラード。素晴らしいバック・コーラス隊も含めて感動的な1曲に仕上がっています。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
http://www.youtube.com/watch?v=2PYj2BzE1dc
「Where Would I Be」
ファンキー・ホーン隊の魅力を満喫できるR&Bチューン。ここまでの3曲を聴いていると、ロック・アルバムを聴いているのか、R&Bアルバムを聴いているのかわからなくなってきます。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
「Let's Get It On」
僕の一番のお気に入り。ラテン・グルーヴの帝王"ハード・ハンズ"Ray Barrettoのコンガをフィーチャーしたラテン・グルーヴなファンキー・ロック。Floyd Radfordのギター・ソロやJerry Lacroixのブルース・ハープなども加わり盛り上げてくれます。レア・グルーヴ/フリーソウル好きの人は相当グッとくるハイ・テンションな1曲だと思います。個人的にはManassasのラテン・チューンあたりと一緒に聴きたくなりますね。サイコー!Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
http://www.youtube.com/watch?v=-uPB_VVRXDA
「I've Got News for You」
Ray Charlesのヒットで知られる楽曲をカヴァー(Ray Alfred作)。Johnny Winterもギターで参加したブルージーな仕上りです。5曲目にしてようやくブルース・チューン登場といった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=NFUSqX8DWtg
「Save the Planet」
Edgarのファンキー・ピアノ、Edgar & Jerryのツイン・ヴォーカルにソウルフルなコーラス隊が絡むゴスペル調の1曲。緩急の使い分けも見事です。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
「Dying to Live」
Edgar Winter作。Edgar渾身の名バラード。聴いていると、自ずといろいろな思いが込み上げてきます。ストリングスも感動を盛り上げてくれます。Hip-HopファンにはEminemがプロデュースした2Pac feat. The Notorious B.I.G. 「Runnin' (Dying to Live)」の元ネタとしてもお馴染みですね。
http://www.youtube.com/watch?v=opGVGKw_lDU
「Keep Playin' That Rock & Roll」
Edgar Winter作。タイトルの通り、軽快なロックン・ロールです。ファンキー・ホーン隊がよく似合うご機嫌な1曲です。ここでのギター・ソロはRick Derringer。
http://www.youtube.com/watch?v=ElQdOTrvzBA
「You Were My Light」
Edgar Winter作。ソウルフルなバラード。Edgarのリード・ヴォーカルが少し弱い気もしますが、味わい深い1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=T3MkoFdyBIQ
「Good Morning Music」
タイトルの通り、音楽愛に満ちた1曲でアルバムはフィナーレを迎えます。中盤以降のファンキーなノリが大好きです。Jerry Lacroix/Edgar Winter作。
ここ数日書いているNFLのディビジョナル・プレイオフでは、パッカーズがジャイアンツにまさかの敗戦を喫してしまいました。
個人的にはパッカーズがかなりの確率でスーパーボウル連覇すると予想していたのでサプライズでしたね。昨日も書いたように、やはりターンオーバーが勝敗を左右しましたね。
これで49ersが久々にスーパーボウル進出する可能性が高まった気がします。
そうなるとレイブンズとのHC兄弟対決"ハーボー・ボウル"を観たいですね。