2012年02月08日

Eddi Reader with The Patron Saints of Imperfection『Mirmana』

Fairground Attraction解散後の初ソロ☆Eddi Reader with The Patron Saints of Imperfection『Mirmana』
Mirmama
発表年:1992年
ez的ジャンル:プリミティブ・フォーキー
気分は... :トラッド苦手な僕ですが・・・

今回はFairground Attractionの紅一点Eddi Readerの1stソロ『Mirmama』(1992年)です。

日本では『エディ・リーダー』のタイトルで、ジャケも異なり、ボーナス・トラック4曲を追加されるかたちで国内盤がリリースされています。2ndソロ『Eddi Reader』(1994年)と混同しやすいのでお気を付け下さい。

『エディ・リーダー』(1992年) ※『Mirmama』の国内盤
エディ・リーダー

Eddi Readerは1959年、スコットランド、グラスゴー生まれ。

何と言っても、Fairground Attractionのリード・ヴォーカリストとして、UKシングル・チャートNo.1となった大ヒット・シングル「Perfect」、UKアルバム・チャートNo.1となったデビュー・アルバム『The First Of A Million Kisses』(1988年)でお馴染みですよね。

Fairground Attraction「Perfect」
http://www.youtube.com/watch?v=U0hk94WFP44

Fairground Attraction『The First Of A Million Kisses』(1988年)
The First of a Million Kisses

しかし、この大成功がグループを音楽ビジネスの世界に巻き込む結果となり、それに嫌気がさしたメンバーは1990年にグループを解散させてしまいます。特に、Eddi Readerは失意のどん底に突き落とされ、隠遁生活を送っていた模様です。

そんなEddiにFairground Attraction時代の同僚Ray Doddsが手をさしのべ、1991年に再び音楽活動を再開します。そして、Roy Dodds(ds、per)、Phil Steriopulos(b)、Neill MacColl(g)と共にThe Patron Saints of Imperfectionを結成します。

こうして制作されたアルバムが今日紹介する『Mirmama』(1992年)です。最初に1stソロという紹介をしてしまいましたが、厳密には、Eddi Reader with The Patron Saints of Imperfection名義のアルバムです。本当はThe Patron Saints of Imperfectionとしてリリースしたかったのでしょうが、それではレコード会社が首を縦に振らなかったのでしょうね。そのあたり意図は、強引にセルフ・タイトルにし、ジャケも一新してしまった国内盤を見れば、さらに明確ですね。

結果として、本作自体はさほど大きな成功を収めることはありませんでしたが、次作となる2nd『Eddi Reader』(1994年)がヒット・シングル「Patience of Angels」の後押しもあり、UKアルバム・チャート第4位のヒットとなりました。

こうしてソロ・アーティストとしての地位を確立したEddiは、その後『Candyfloss and Medicine』(1996年)、『Angels & Electricity』(1998年)、『Simple Soul』(2001年)、『Driftwood』(2001年)、『Sings the Songs of Robert Burns』(2003年)、『Peacetime』(2007年)、『Love is the Way』(2009年)とコンスタントにアルバムをリリースしています。

きっと多くのFairground Attractionファンは、グループやEddi Readerに都会的で洗練されたポップなアコースティック・サウンドを期待していたのでしょうね。当時の日本で言えば、いわゆる"渋谷系"の音ですよね。僕自身もそんな音を求めていた気がします。

そうした音を期待して本作を聴くと、『The First Of A Million Kisses』で聴かれたようなお洒落なジャジー感はなく、トラッド色も交えたフォーキー・サウンドにギャップを感じるかもしれません。でも、これこそがEddi Readerというアーティストのプリミティブな音楽性なのだと思います。

むしろ、Fairground Attractionファンは、よりポップな2nd『Eddi Reader』(1994年)の方がフィットするのかもしれませんね。

僕の今の音楽嗜好にフィットするのは、『Eddi Reader』よりも『Mirmama』の方ですね。僕は正直トラッドは古めかしいイメージがあって苦手なのですが、そんな僕をも虜にする魅力があります。シンプルですが、今聴いても古めかしさを感じないフォーキー感があります。変にポップになっていないので、鮮度が保たれている気がします。

レコーディングには、前述のThe Patron Saints of Imperfectionのメンバー以外に、Aly Bain(fiddle)、Kim Burton(accordion、org)、Jools Holland※元Squeeze(org、p)、Dominic Miller(g)、Huw Warren(accordion、cello、p、vib)、Colum MacColl(dulcimer、penny whistle、zither)が参加しています。

熱心なEddi Readerファンではない僕ですが、たまに聴くとホッとした気分になる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「What You Do with What You've Got」
Si Khan作。オープニング曲はシングルにもなった。本曲はThomas Dolbyがミックスしています。深いエコーがEddiのピュアで美しいヴォーカルの魅力を高めています。Aly Bainのフィドルも美しい音世界創りに一役買っています。
http://www.youtube.com/watch?v=AHVAj4MCwmg

「Honeychild」
Roy Dodds/Neill MacColl/Eddi Reader/Phil Steriopulos作。素朴な中にも幻想的な音世界が展開されます。
http://www.youtube.com/watch?v=RKq0VT6gD88

「All or Nothing」
Eddi Reader作。この曲もシングルになりました。アルバムで一番のお気に入り曲です。トラッドな味わいと爽快なアコースティック感が上手くバランスしています。ペニー・ホイッスルの音色がいいアクセントになっています。心の中の自分と対話する歌詞は女性が聴くとグッとくるのでは?

「Hello in There」
フォーク・シンガーJohn Prineの作品をカヴァー。オリジナルは『John Prine』(1971年)に収録されています。オリジナルを受け継いだシンプルな演奏ですが、その分Eddiのヴォーカルの魅力が引き立っています。

「Dolphins」
カリスマ・フォーク・シンガーFred Neilの名曲をカヴァー。当ブログでは以前にCyrus Faryarのカヴァーを紹介しています。ここではEddiのピュア・ヴォーカルで清々しい「Dolphins」を聴くことができます。

「The Blacksmith」
有名なイングランドのトラディショナル・ソングをカヴァー。淡々とした演奏ながらも適度にリズミック&ミステリアスで僕好みの仕上がりです。トラッドというだけで敬遠ですにチェックしてみて下さい。なかなかグッとくるフォーキー・グルーヴですよ。

「That's Fair」
Eddi Reader作。シンプルながらも小技の効いたフォーキー・チューン。さり気なさに惹かれます。

「Cinderellas Downfall」
Eddi Reader作。アルバムの中でも抜群の美しさを誇るアコースティック・ワルツ。センチメンタル・モードになりたい時にぴったりな1曲です。

「Pay No Mind」
Roy Dodds/Eddi Reader作。素朴な演奏でスタートしますが、徐々に音が重なり、気付けば感動にビューティフル・サウンドを堪能しています。

「The Swimming Song」
Loudon Wainwright III作品をカヴァー。Rufus Wainwrightのお父さんの作品ですね。The Patron Saints of Imperfectionの一体感を感じる小気味良い演奏が印象的です。

「My Old Friend the Blues」
同世代の男性シンガー・ソングライターSteve Earleをカヴァー。オリジナルは『Guitar Town』(1986年)に収録されています。ラストはブルージーにしみじみと締め括ってくれます。

前述のように国内盤『エディ・リーダー』(1992年)には、「Broken Vows」「Ole Buttermilk Sky」「I Wish You Were My Boyfriend」「Girl With the Weight of the World in Her Hands」の4曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

ご興味がある方は他のEddi Reader作品もチェックを!

『Eddi Reader』(1994年)
Eddi Reader

『Candyfloss and Medicine』(1996年)
キャンディフロス・アンド・メディスン

『Angels & Electricity』(1998年)
エンジェルズ&エレクトリシティ

『Simple Soul』(2001年)
シンプル・ソウル

『Driftwood』(2001年)
Driftwood

『Sings the Songs of Robert Burns』(2003年)
ロバート・バーンズを想う

『Peacetime』(2007年)
Peacetime

『Love is the Way』(2009年)
ラヴ・イズ・ザ・ウェイ
posted by ez at 02:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする