2012年02月09日

Madonna『Music』

Mirwaisをメイン・プロデューサーに迎えた快心作☆Madonna『Music』
ミュージック
発表年:2000年
ez的ジャンル:ポップ&アヴァンギャルド・ダンス・アルバム
気分は... :SBのハーフタイム・ショー最高!

今回は先日のNFLスーパーボウルのハーフタイム・ショーでも話題をさらったMadonnaが2000年にリリースしたヒット・アルバム『Music』です。

これまで当ブログで紹介したMadonna作品は以下の3枚。

 『Like a Prayer』(1989年)
 『Erotica』(1992年)
 『Confessions On A Dance Floor』(2005年)

Madonnaのようなポップ・フィールドの超メジャー・アーティストを取り上げるのは久しぶりかもしれませんね。

ここ数年はこうしたアーティストの作品を取り上げる機会がめっきり減ってしまい、少し気になっていました。

作品に関して、ヒット作か否かということには全く興味がない今の僕ですが、一方で大ヒット・アルバムというだけで"売れ線狙い"と否定するつもりも毛頭ありません。例えば最近の作品で言えば、大ヒットしているAdele『21』には全く興味がない僕ですが、それは試聴して僕の音楽嗜好とフィットしないと感じたためです。

さて話題を戻すと、LMFAONicki MinajM.I.A.Cee-Loを従え、スーパーボウルのハーフタイム・ショー史上最高と呼びたくなる素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたMadonnaですが、新作『MDNA』のリリースも控え、53歳となった今でもその勢いはとどまるところを知りませんね。

『MDNA』
MDNA

そのMadonnaが先日のハーフタイム・ショーでも披露した大ヒット曲「Music」を収録したアルバムが本作『Music』です。

前作『Ray of Light』(1998年)ではWilliam Orbitをメイン・プロデューサーに迎え、テクノ/アンビエント路線でアプローチしたMadonnaでしたが、本作でメイン・プロデューサーに起用したのはフランスを拠点とする新鋭プロデューサーで元Taxi GirlのMirwais Ahmadzaiです。

MirwaisのデモをMadonnaが気に入り、一気に起用が決まった模様です。このあたりのプロデューサーに対する目利き能力に関して、Madonnaはスバ抜けたセンスを持っていますよね。

その意味では本作を深く聴きたい方は、同時期にリリースされたMirwaisのソロ『Production』あたりをチェックしておくと楽しいと思います。きっと、Madonnaも惚れ込んだであろう「Disco Science」あたりは要チェックだと思います。また、Madonnaも参加した「Paradise (Not for Me)」は本作にも収録されています。

Mirwais「Disco Science」
http://www.youtube.com/watch?v=fwunrXYqg20

Mirwais『Production』(2000年)
プロダクション

そんなMirwaisを迎え、アヴァンギャルドかつキャッチーなダンス・サウンドを目指したアルバムが本作『Music』です。Mirwais以外にも前作に続くWilliam OrbitやGuy Sigsworth、Spike Stent、Talvin Singh(ボーナス・トラック)がプロデューサーに起用されています。

テンガロンハットにウエスタンシャツというカントリーなアルバム・ジャケも印象的ですね。それに呼応するようにカントリー・テイストの楽曲が収録されているのも本作の特徴です。

アルバムは『Like a Prayer』(1989年)以来の全米アルバム・チャートNo.1となり、シングル「Music」も久々の全米チャートNo.1となりました。

2000年代も音楽シーンの自身がトップランナーであることを示した意欲作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Music」
タイトル曲はアルバムからの1stシングルとして、1994年の「Take A Bow」以来の全米チャートNo.1に輝きました。Mirwaisとのタッグが見事にハマった大ヒット・シングルですが、アルバムの狙い通り、実験的サウンドと売れ線サウンドを絶妙にバランスさせた、アヴァンギャルドかつキャッチーな1曲に仕上がっています。キャッチーになりすぎないエレクトロ感がサイコーです。前述のように先日のスーパーボウルのハーフタイム・ショーでも演奏されましたが、本曲と LMFAOを従えた「Party Rock Anthem」「Sexy and I Know It」がメドレーになっていたあたりに時代が一回りした感がありますね。同時に、Madonnaの一歩先を読む確かな感性を再認識させられます。
http://www.youtube.com/watch?v=Sdz2oW0NMFk&ob=av2e

「Impressive Instant」
フレンチ・エレクトロ感がいい感じの1曲。意外にレトロ・フューチャー風のSFサウンドって好きなんですよね。今聴いてもフツーに最近のダンス・チューンとセットで聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=Jn9pzAxIH8M

「Runaway Lover」
Madonna/William Orbitプロデュース曲。Mirwaisに負けじとWilliam Orbitもキャッチーかつエレクトリックに疾走するなダンス・チューンを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=XDCLtXzg6hU

「I Deserve It」
本作の1つの特徴であるアコースティック・サウンドとエレクトリック・サウンドの融合を聴くことができる1曲。このあたりは、かつてJuliette et Les Independantsとしても活動していたMirwaisのセンスが光る1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=sU5prAZcp0Q

「Amazing」
Madonna/William Orbitプロデュース曲。個人的にはアルバムで最もキャッチーな仕上がりの曲だと思います。僕だったら、この曲をシングル・カットしたくなりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=1jtfX8VsbLc

「Nobody's Perfect」
オートチューン使いのヴォーカルには賛否両論あるかもしれませんね。アルバム全体の流れを考えればアリだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=HM7KHDrMkz8

「Don't Tell Me」
アルバムからの2ndシングルとして全米チャート第4位となりました。テンガロンハットにウエスタンシャツというアルバム・ジャケのイメージが最もフィットする1曲です。Madonnaの義弟であるカントリー・シンガーJoe Henryの楽曲「Stop」をベースに、カントリーとダンス・サウンドを融合させた楽曲です。いろいろな意味で本作を象徴する1曲かもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=vfnLLYU9g7g

Joe Henry「Stop」
 http://www.youtube.com/watch?v=-uaoDLcqo9I

「What It Feels Like for a Girl」
アルバムからの3rdシングル。Madonna/Guy Sigsworth/Spike Stentプロデュース。本作リリース後に正式に結婚することになるGuy Ritchieが手掛けたPVではフロア仕様のリミックスが使われています。ファンはご存知のようにPVは過激な内容であったため、一部の国で放送禁止となりました。アルバム・ヴァージョンは美しいサウンド&メロディに魅了されるアルバム随一の完成度と呼びたくなる1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=VxIw-kPfxio

「What It Feels Like for a Girl」(PV)
http://www.youtube.com/watch?v=qYwgG2oyUbA

「Paradise (Not for Me)」
Mirwaisとの共演曲であり、前述のように彼のソロ・アルバム『Production』にも収録されています。このダウナー・テイストはアーティストMirwaisの色がよく出ていると言えるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=64FqRlvPbAg

「Gone」
Madonna/William Orbit/Spike Stentプロデュース。ラストはアコースティック・サウンドにエレクトロなスパイスを少し効かせたバラードで締め括ってくれます。個人的には他の楽曲に比べて刺激が足りない気が・・・
http://www.youtube.com/watch?v=wxI-FKpuCz8

インターナショナル盤にはボーナス・トラックとして、Madonnaが主演した映画『The Next Best Thing(2番目に幸せなこと)』(2000年)の主題歌「American Pie」が収録されています。オールド・ファンにはお馴染み、Don McLeanによる1971年 全米No.1ヒットのカヴァーです。リアルタイムで聴いた時には、少し安易なカヴァーかなぁ・・・なんて思ったりもしましたが、その後のアメリカの状況を考えると、皮肉にも意味のあるカヴァーになってしまいましたね。

「American Pie」
http://www.youtube.com/watch?v=kOmvYWh9eT8

国内盤にはさらにTalvin Singhプロデュースによる「Cyber-Raga」が追加収録されています。Talvin Singhらしいタブラトロニクスを満喫できるダンス・チューンに仕上がっています。Talvin Singhと言えば、『Anokha – Soundz of the Asian Underground』(1997年)は一時期かなり聴いていました。懐かしいなぁ・・・

「Cyber-Raga」
http://www.youtube.com/watch?v=tb-QL3uEUFs

Madonna作品の過去記事もご参照下さい。

『Like a Prayer』(1989年)
ライク・ア・プレイヤー

『Erotica』(1992年)
Erotica

『Confessions On A Dance Floor』(2005年)
Confessions on a Dance Floor
posted by ez at 08:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする