2012年03月26日

Gal Costa『Gal Canta Caymmi』

Galが名コンポーザーDorival Caymmiの作品を歌った快心作☆Gal Costa『Gal Canta Caymmi』
Gal Canta Caymmi
発表年:1976年
ez的ジャンル:MPBの歌姫
気分は... :風邪ですが・・・

本格的に風邪になってしまったようです。
年度末で寝込んでもいられないので何とかせねば・・・

こんな時は風邪薬のような音楽を・・・こんな時にはGal Costaにしよう!

今回はMPBの歌姫Gal Costa『Gal Canta Caymmi』(1976年)です。

これまで当ブログで紹介したGal Costa作品は以下の4枚。

 『Gal Costa』(1969年)
 『Cantar』(1974年)
 『Minha Voz』(1982年)
 『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)

今日紹介する『Gal Canta Caymmi』(1976年)は、タイトルの通りGalがアルバム全編にわたりブラジル音楽界の至宝Dorival Caymmiの作品を歌ったアルバムです。

Dorival Caymmi(1914-2008年)は、バイーア州サルバドール出身の偉大なコンポーザー。ボサノヴァ誕生以前から数多くの作品を送り出し、ブラジル音楽界に多大な影響を与えたバイーアの巨匠です。Dori CaymmiDanilo CaymmiNana Caymmiという3人の子供たちもミュージシャンとして活躍しています。

当ブログで紹介したアルバムのなかにもDorival Caymmi作品が収録されたものは2桁以上あるはずです。

Joao DonatoPerinho Albuquerqueの2人がアレンジを手掛けています。Perinho Albuquerqueはこの時期のGal作品やCaetano Veloso作品でお馴染みの名前ですね。

さらにレコーディングは上記2人に加え、Roberto Menescal(g)、Antonio Adolfo(p)、Dominguinhos(accordion)、Chiquito Braga(g)、Fernando Leporace(b)、Eneas Costa(ds)、Paulinho Braga(ds)、Ze Roberto(org)、Aladim(per)、Bira da Silva(per)等が参加しています。

アルバム全体としては、Gal Costa好きであれば間違いない1枚だと思います。開放的、爽快、楽しげ・・・そんな言葉が似合う親しみやすいアルバムに仕上がっています。

険しい表情のジャケに惑わされないでくださいね。

全曲紹介しときやす。

「Vatapa」
陽気で軽快なオープニング。ジャケの険しい表情とは正反対の楽しげに歌うのGalの表情が目に浮かんできます。Joao Donatoの小粋なアレンジも冴え渡ります。
http://www.youtube.com/watch?v=9Mxpztqnl6I

「Festa De Rua」
爽快モードから一気に高揚します。序盤の抑えた表現と終盤のスパークしたヴォーカルの落差がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=TFk5WkqI7og

「Nem Eu」
しっとりと歌い上げる至極のバラード。Galの艶っぽい大人のヴォーカルにウットリです。

「Pescaria (Canoeiro)」
楽しげなアレンジが印象的です。早口で捲し立てるようなヴォーカルが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=KwYqs9ZCqQA

「O Vento」
パーカッションのリズムが妖しげに響くサウンドはバイーアの巨匠Dorival Caymmiのカヴァー集に相応しい雰囲気なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=4jH9N_5HztM

「Rainha Do Mar」
当ブログでは以前にMariana Meleroのカヴァーを紹介したことがある名曲です。爽快かつ小気味よいアコースティック・グルーヴ感が僕好み。

「So Louco」
「Nem Eu」と並ぶロマンティック・バラード。ムーディーな大人の魅力で聴く者を魅了します。
http://www.youtube.com/watch?v=SzcyQCQ6XWs

「Sao Salvador」
ブラジルらしいメロウ気分を満喫できる至福の1曲。アルバムで一番のお気に入りです。詳しい歌詞はわかりませんが、おそらくDorivalの故郷サルバドールについて歌っているのでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=X_jT0rwPXh4

「Peguei Um "Ita" No Norte」
開放的なエレガント感が心地好い1曲。寛ぎながらリラックス・モードで聴きたい1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=ScqQKAvG--U

「Dois De Fevereiro」
ラストはファンキー・サンバ。アルバムで最もダンサブルな仕上がり。ホーン隊もファンキー気分を盛り上げてくれます。

Gal Costaの過去記事もご参照下さい。

『Gal Costa』(1969年)
Gal Costa

『Cantar』(1974年)
カンタール

『Minha Voz』(1982年)
Minha Voz

『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)
Lua De Mel Como O Diabo Gosta
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2012年03月25日

Esperanza Spalding『Radio Music Society』

グラミー受賞の才女ジャズ・べーシスト/ヴォーカリストの最新作☆Esperanza Spalding『Radio Music Society』
Radio Music Society
発表年:2012年
ez的ジャンル:才女系ジャズ・べーシスト/ヴォーカリスト
気分は... :ピープル・ツリーが興味深い!

今日は昨年のグラミーで最優秀新人賞を受賞した女性ジャズ・べーシスト/ヴォーカリストEsperanza Spaldingの新作『Radio Music Society』です。

弱冠20歳のときに名門バークリー音楽学院の教壇に立ち、かのPat Methenyの持っていた講師の学院最年少記録を塗り替えた才女Esperanza Spaldingの紹介は、『Esperanza』(2008年)に続き2回目です。

昨年のグラミー受賞をきっかけに一気に知名度が上がったEsperanza Spaldingですが、Justin BieberやDrakeを差し置き、彼女が最優秀新人賞を受賞したとき、「誰この人?」と思った人も多かったのではないかと思います。受賞対象となった作品は3rdアルバム『Chamber Music Society』(2010年)でしたが、僕自身は2nd『Esperanza』(2008年)で彼女のファンになっており、"3rdアルバムまで出している彼女が何故新人賞なんだろう?"という別の疑問が湧いていましたが。

個人的には、ブラジリアン・フレイヴァーの効いた『Esperanza』をとても気に入っていたので、そうした色合いが薄れ、室内楽のエッセンスを強く取り入れた『Chamber Music Society』はお上品すぎる印象を持ち、多少の物足りなさを感じたものです。

本作『Radio Music Society』は、『Junjo』(2006年)、『Esperanza』『Chamber Music Society』に続く4thアルバムとなります。

前作と対をなすようなアルバム・タイトルですが、ジャケからして前作とは異なるストリート(?)な雰囲気であり、さらに僕も大好きなHip-HopアーティストQ-Tipが2曲で共同プロデュースしていることからR&B/Hip-Hop路線を期待した人も多かったのでは?

ただし、実際に音を聴いてみると、ネオソウル的な雰囲気も一部にはありますが、正直R&B/Hip-Hop路線を期待するとギャップがある作品だと思います。

"ジャズの枠に収まらないものの、基本はしっかりジャズしている作品"というのが僕の印象です。また、全曲ヴォーカル入りであり、Blossom DearieばりのEsperanzaのキュートなヴォーカルを楽しめます。その意味ではサウンドと同時にメッセージを大切にしている楽曲が目立つのも事実です。

レコーディングには、長年の仕事仲間Leo Genovese(key)、Terri Lyne Carrington(ds)をはじめ、Q-Tip(prod、vo)、Jack DeJohnette(ds)、Billy Hart(ds)、Jef Lee Johnson(g)、Lionel Loueke(g)、Ricardo Vogt(g)Joe Lovano(ts)、Daniel Blake(sax、fl)、James Weidman(org)、Jamey Haddad(per)、Gretchen Parlato(back vo)、Lalah Hathaway(vo)、Algebra Blessett(back vo)、Leni Stern(back vo)、Becca Stevens(back vo)、Alan Hampton(back vo)等の新旧ミュージシャンが参加しています。

個人的には昨年リリースした最新作『The Lost And Found』を当ブログでも大絶賛したGretchen Parlatoの参加に注目しています。実際、EsperanzaはGretchenから影響を受けているようですね。また、本作に参加している天才ギタリストLionel Louekeも元々はGretchenの盟友ですし・・・

さらにGretchenを介して、先日衝撃の新作『Black Radio』を当ブログで紹介したRobert Glasperまでピープル・ツリーを拡げていくと、最近のジャズの新潮流が見えてくるのでは?
Robert Glasperは前述の『The Lost And Found』をGretchenと共同プロデュース

細かく触れることができませんが、Gretchen以外の参加メンバーもチェックしていくと、なかなか興味深いピープル・ツリーを描けると思います。個人的には昨年デビュー・アルバム『Weightless』をリリースしたBecca Stevensあたりも要チェックだと思います。Norah Jones好きはグッとくると思います。

話を『Radio Music Society』に戻せば、必ずしもインパクトの大きな作品ではありませんが、今どきのジャズを堪能するという意味では楽しめる1枚だと思います。特にヴォーカリストとしてのEsperanzaの魅力に触れることができるのでは?

全曲のクリップが収録されたDVD付のヴァージョンもあります。

Esperanza Spalding『Radio Music Society』 ※CD+DVD
Radio Music Society

Michael Jackson「I Can't Help It」Wayne Shorter「Endangered Species」のカヴァー以外はEsperanzaのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Radio Song」
キュートなEsperanzaのヴォーカルと流麗なエレクトリック・ベースが音空間を楽しげに駆け巡る開放的なオープニング。ジャズをベースにさまざまな音楽のエッセンスを取り込む自由なEsperanzaの音楽性がよく表れた1曲なのでは?個人的にはJamey Haddadのパーカッションによるラテン・フレイヴァーがいいアクセントになっていると思います。Alan Hamptonがバック・ヴォーカルで参加。
http://www.youtube.com/watch?v=ew-wc1CINZ8

「Cinnamon Tree」
バイオリン、チェロも配したエレガントかつコンテンポラリーな仕上がり。幼馴染みとのプラトニックな愛情を描いた歌であり、そんなピュア・テイストがサウンドにも反映されています。つい数日前にスウェディッシュ・ポップ・グループCinnamonを紹介したばかりなので、このタイトルにも反応してしまいます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=nv4uby-aGKo

「Crowned & Kissed」
Q-Tip共同プロデュース曲その1。ただし、Hip-Hop的なテイストが強調されているわけではなく、Qちゃんの復帰作『The Renaissance』(2008年)で聴かれた感覚に近い雰囲気の軽快ジャズ・チューンに仕上がっています。緩急自在な感じがいいですね。Jeff Galindoのトロンボーンがいい味出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=OgrmWSnklkY

「Land Of The Free」
EsperanzaのヴォーカルとJames Weidmanのオルガンのみの演奏です。冤罪の被害者について歌ったものです。

「Black Gold」
ネオソウル系女性シンガーAlgebra Blessettをフィーチャー。アフリカン・アメリカンなグルーヴにグッとくるネオソウル調の仕上り。ソウル/R&B好きの人が聴くのであれば、この曲のフィーリングが一番合うのでは?Lionel Louekeの堅実なギター・プレイで好サポートしています。
http://www.youtube.com/watch?v=Nppb01xhfe0

「I Can't Help It」
Michael Jacksonの人気曲をカヴァー(Stevie Wonder/Susaye Coton Greene作)。この曲のジャズ・カヴァーと言えば、真っ先にGretchen Parlatoヴァージョンを思い浮かべてしまいます。Robert Glasper Experimentも本曲を演奏していますね。ということで、現在注目のジャズ・アーティスト3組がいずれも「I Can't Help It」を取り上げているというのは実に興味深いですね。

Esperanzaのカヴァーは、本人も語っているようにGretchen Parlatoヴァージョンの影響を受けており、Gretchen Parlatoもバック・コーラスで参加しています。軽やかな中にもどこかミステリアスな雰囲気が漂うのがいいですね。Gretchen以外にBecca Stevens、Justin Brownもバック・コーラスで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=8FqAzMnUTcI

Gretchen Parlatoヴァージョンは『In a Dream』(2009年)に収録されています。
Gretchen Parlato「I Can't Help It」
 http://www.youtube.com/watch?v=D69aT-IFelQ
『In a Dream』(2009年)
In a Dream

「Hold On Me」
ベテラン・ドラマーBilly Hartも参加したノスタルジックな雰囲気のジャズ・ヴォーカル・チューンに仕上がっています。The American Music Programのビッグ・バンドが盛り上げてくれます。

「Vague Suspicions」
戦争による無差別殺人をテーマにした社会派ソング。Esperanzaの切ない叫びが美しくも切ないメロディにのって響いてきます。

「Endangered Species」
Wayne Shorter作品に歌詞をつけたもの。Shorterのオリジナルは『Atlantis』(1985年)に収録されています。Gretchen ParlatoもShorter作品を盛んにカヴァーしていますし、改めてWayne Shorterの名コンポーザーぶりを確認できます。ここではLalah Hathawayのヴォーカルをフィーチャーし、ミステリアスなコンテンポラリー・ジャズに仕上がっています。キュートなEsperanzaとソウルフルなLalahのヴォーカルのコントラストが楽しいです。

「Let Her」
派手さはありませんが、小粋なヒネリの効いた1曲。

「City Of Roses」
Q-Tip共同プロデュース曲その2。Esperanzaの故郷、オレゴン州ポートランドのことを歌ったジャジー・チューン。故郷への愛情がキュートな歌声で歌われます。Qちゃんもヴォーカルで参加。

「Smile Like That」
ラストは恋の終わりを歌ったもの。しかし、湿っぽくなくカラっとした雰囲気のヴォーカル&サウンドが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=jpf3AwpTfOg

僕が保有するのは輸入盤ですが、国内盤にはボーナストラック「Jazz Ain't Nothin' But Soul」gが収録されています。

Esperanza Spaldingの他作品もチェックを!特にブラジリアン・フレイヴァーな2nd『Esperanza』(2008年)が超オススメです。

『Junjo』(2006年)
JUNJO

『Esperanza』(2008年)
Esperanza

『Chamber Music Society』(2010年)
Chamber Music Society
posted by ez at 03:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月24日

Passage『Passage』

ファンキー兄弟Louis Johnsonのゴスペル・ユニット☆Passage『Passage』
Passage
発表年:1981年
ez的ジャンル:アーバン・メロウ系コンテンポラリー・ゴスペル
気分は... :ゴスペルですがメロウです!

今回はGeorgeLouisのファンキー兄弟The Brothers Johnsonの弟、Louis Johnsonらによるコンテンポラリーなゴスペル・ユニットPassage唯一のアルバム『Passage』です。

CCM(Contemporary Christian Music)の名盤として、ブラコン・ファンのみならずAORファンからも人気のアルバムですね。

Passageは、Louis JohnsonValerie Johnson(Louisの奥方)、Richard Heathの3名によるユニットです。

スラップ・ベースのパイオニアとしてファンキー・ベーシストとのイメージが強いLouis Johnsonですが、本作ではそうしたファンキーな色合いはやや抑えたゴスペル作品に仕上がっています。ただし、音自体は都会的なメロウ・サウンドが中心であり、ライト感覚ながらもLouisのスラップ・ベースを楽しめる曲やヴォコーダーを配した曲などもあり、歌詞以外はそれ程ゴスペルを意識せずに聴くことができると思います。

レコーディングには、Roy Ayers Ubiquity等にも参加していたRicky Lawson(ds)、Angela Winbushとの男女デュオRene & Angelaでお馴染みのRene Moore(key)、RufusのDavid "Hawk" Wolinski(key)、Nolen & Crossleyとしての活動でも知られるCurtis Anthony Nolen(g)とRaymond Crossley(key)、ペダル・スティールの名手Al Perkins(g)等が参加しています。また、アルバム全編を通じて、ストリングス・アレンジが秀逸ですね。

Amy Grant「Faith Walkin' People」Jaime Owen Collins「Love Eyes」の2曲以外はメンバーらによるオリジナルです。CCM系女性シンガーの作品2曲をカヴァーするあたりは本作らしいですね。

AOR/アーバン・メロウ好きの人であれば、結構ハマる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Have You Heard The Word」
エレガントなストリングスとライト・グルーヴな疾走感が印象的なオープニング。ここではLouis Johnsonのスラップも堪能できます。歌詞を気にしなければ、爽快ダンサーとして楽しめると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=kQF9OfDhh-U

「You Can't Be Livin'」
AOR好きには本作がハイライトでしょう。サンセット系のメロウ・チューンです。ちょっぴり切ないメロディと雄大なメロウ・サウンドにグッときます。3人のヴォーカル・ワークも素晴らしいですね。アコギの響きがいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=yxLhkZPlqDg

「Faith Walking People」
ポップ好きにもお馴染みの女性シンガー・ソングライターAmy Grantのカヴァー。オリジナルはAmyの『My Father's Eyes』(1979年)に収録」されています。Valerieのピュアなヴォーカルを全面にフィーチャーしたメロウ&ドリーミーな1曲に仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=8D-hOXwirks

Amy Grant「Faith Walkin' People」
 http://www.youtube.com/watch?v=916Z79piwv4

「I See The Light」
ライト感覚のアーバン・メロウ・ファンク。ブラコン好きの人であれば、かなりグッとくるのでは?ライトながらもLouis Johnsonのベースも楽しめます。Michael Perkinsのサックスや終盤のヴォコーダーも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=eByjVqoutVA

「The Great Flood」
レゲエ調のトロピカル・リズムとめくるめくストリングスが印象的な1曲です。サウンドだけ聴いていると、甘く危険なサマー・ナイトといった雰囲気です(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=MqLJEQMILzk

「Open Up Your Heart」
メンバーと共にNolen & CrossleyのRaymond Crossleyがソングライティングに参加しています。AOR/アーバン・メロウ好きにはグッとくるメロウ・チューン。ラブリーな高揚感に包まれます。いいなぁ。
http://www.youtube.com/watch?v=I2GLVJ3Z084

「Power」
この曲は80年代ファンクしてます。シンセ・サウンドが印象的なダンサブルなファンク・グルーヴはとてもゴスペル作品とは思えません。
http://www.youtube.com/watch?v=myPkwC49vpo

「Love Eyes」
Jaime Owen Collins作品のカヴァー。オリジナルは『Love Eyes』(1978年)に収録されています。前曲のダンサブルなファンクから一転し、オリジナルの雰囲気を受け継いだカントリー・ポップ調の仕上がりです。名手Al Perkinsのペダル・スティールがさらにムードを高めてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=uB1vcEKtgFY

Jaime Owen Collins「Love Eyes」
 http://www.youtube.com/watch?v=sS3Dlf_SjCk

「The Son Will Come Again」
ラストはアコースティック・ギター&ストリングスを巧みに配したビューティフルなゴスペル・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=o7hPbQNq7Ew

ファンキー好きの方はThe Brothers Johnsonの過去記事をご参照下さい。

『Look Out For #1』
Look out for #1

『Light Up The Night』(1980年)
Light Up the Night
posted by ez at 09:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月22日

Guru『Jazzmatazz, Vol. 4』

最後のJazzmatazzシリーズ!Back To The Future!☆Guru『Jazzmatazz, Vol. 4』
Jazzmatazz 4: Hip Hop Jazz Messenger Back to the
発表年:2007年
ez的ジャンル:他流試合系Hip-Hop
気分は... :Back To The Future!

今日は故GuruによるHip-Hop JazzプロジェクトJazzmatazzの第4弾『Jazzmatazz, Vol. 4』(2007年)です。結果として、本作がJazzmatazzシリーズの最終作となってしまいました。

Jazzmatazzシリーズの紹介は、『Jazzmatazz』(1993年)、『Jazzmatazz Vol II:The New Reality』(1995年)に続き3回目となります。

Guruが亡くなったのが2010年4月ですから、もうすぐ2年が経つんですね。熱狂的なHip-Hopリスナーではない僕ですが、それでもGuruのあの独特のドープなフロウがたまに聴きたくなります。

DJ Premierとの最強ユニットGang Starrでの活動とともに、Guruのキャリアを語るうえで欠かせないプロジェクトがJazzmatazzです。

Hip-HopとJazzの融合を試みるための他流試合(?)プロジェクトJazzmatazzは、リアルタイムで90年代Acid JazzやHip-Hopを聴いていた僕にかなりのインパクトを与えてくれました。そのせいか、どうしてもJazzmatazzと言えば、最初の2枚への思い入れが強くなってしまい、Guruの生前には第3弾、第4弾を軽視していた面があります。

それがGuruの逝去を契機に遅まきながら、『Jazzmatazz (Streetsoul) 』(2000年)、『Jazzmatazz, Vol. 4』(2007年)にもちゃんと向き合った次第です。

特に今日紹介する『Jazzmatazz, Vol. 4』(2007年)は、先入観がなければ、かなり楽しめる1枚だと思います。

晩年のGuruの右腕とも呼べる存在であったSolarがプロデュース&ミックスを担当しています。

お楽しみの豪快ゲスト陣は、Slum VillageCommonBob JamesDamian MarleyKemVivian GreenRaheem DevaughnBobby ValentinoRonnie LawsDionne FarrisOmarShelley HarlandBrownmanBlackaliciousCaron WheelerDavid Sanbornという多様な顔ぶれです。

従来からのJazzmatazzファンを喜ばせてくれる曲から、新機軸を聴かせてくれた曲まで充実の全16曲です。

特に、Caron Wheelerをフィーチャーした「Kissed The World」、Damian Marleyをフィーチャーした「Stand Up (Some Things'll Never Change)」Omarをフィーチャーした「The Jazz Style」の3曲がサイコーだと思います。

Guruが逝去しても、彼のドープなラップはこれからも多くの人をHip-Hop Jazzワールドへ誘ってくれるでしょう。

全曲紹介しときやす。

「Cuz I'm Jazzy」
Slum Villageをフィーチャーしたオープニング。タイトル通り、ジャジー感たっぷりのトラックをバックにGuruがドープなライムを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=L1cDLLwotYM

「State Of Clarity」
CommonBob Jamesをフィーチャー。Bob James「Night Crawler」ネタをバックに、GuruとCommonという大物2人が落ち着いた語り口のフロウを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=BrXZpSVUY3k

「Stand Up (Some Things'll Never Change)」
Bob Marleyの息子Damian Marleyをフィーチャー。アルバムの中でも屈指の格好良さ持った1曲。定番ブレイクIncredible Bongo Band「Apache」をバックにGuruのラップとDamianのラガ調ヴォーカルが疾走します。インド調のエスニック・フレイヴァーも効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=tliHWf64rkY

「Look To The Sun (Solar)」
この曲は以前のJazzmatazzっぽいジャジー感を満喫できる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=wCPUbcq4r3A

「Connection」
Kemをフィーチャー。オートチューン・ヴォーカルを配したエレクトロな雰囲気はJazzmatazzらしからぬ雰囲気ですが、アルバムのいいアクセントになっているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=jIQTydqKa_A

「Fine And Free」
女性R&BシンガーVivian Greenをフィーチャー。Seals & Crofts「Summer Breeze」のメロディを前面に押し出したVivianの艶やかなヴォーカルが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=Sn1iX26XhDI

「Wait On Me」
お馴染みの男性R&BシンガーRaheem Devaughnをフィーチャー。Raheemが歌い上げる哀愁メロディとGuruの淡々としたフロウが哀愁ソウル・モードを盛り上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=YPwetcMF_sU

「International」
人気男性R&BシンガーBobby Valentinoをフィーチャー。ラテン・フレイヴァーのムーディーなバックに、Bobby Valentinoのセクシー・ヴォーカルとGuruの捲し立て気味のフロウが危険な香りを漂わせます。全然Jazzmatazzらしくありませんが結構好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=Y6qNjFQArsA

「This Is Art」
Hubert Lawsの弟、Ronnie Lawsのサックスをフィーチャー。70年代ジャズ/フュージョンへのリスペクトに満ちたジャズ・ファンク・サウンドを聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=a4K95EQjzTM

「Fly Magnetic」
Arrested Developmentでの活動で知られる女性シンガーDionne Farrisをフィーチャー。アーシーな味わいも感じられるソウルフルな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=po3bm1GS13s

「The Jazz Style」
当ブログでもお馴染みUKの男性ソウル・シンガーOmarをフィーチャー。これぞJazzmatazz!といった雰囲気のソウル/ジャズ/Hip-Hopの融合を満喫できます。ネオソウル好きの人もグッとくるはず!Joe Williams「Get Out of My Life」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=icJVAX6bFPs

「Follow The Signs」
UKの女性シンガーShelley Harlandをフィーチャー。アルバムの中でも最もUKっぽい雰囲気のミステリアスな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=hCbXasPhYRQ

「Universal Struggle」
カナダ人ジャズ・トランぺッターBrownmanをフィーチャー。Jazzmatazzらしいコラボを楽しめます。やはり、ミュート・トランペットとGuruのラップの相性は抜群ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=lN7C-i9PezE

「Infinite」
Blackaliciousをフィーチャー。最近だとThe Funk League『Funky As Usual』への客演が印象的でした。Kool & The Gang「Summer Madness」ネタのメロディとスクラッチ音がGift of GabやGuruのフロウを盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Izys2akNows

「Kissed The World」
Caron Wheelerをフィーチャー。本曲を本作のハイライトに挙げる人は多いのでは?Caron Wheeler大好き!の僕も一番のお気に入りです。Toto「Georgy Porgy」のメロディを引用したトラックをバックにしたCaronのヴィヴィッドなヴォーカルが最高です!Guruのラップとの相性も抜群です。
http://www.youtube.com/watch?v=Sii3rd4IHiU

「Living Legend」
ラストは大物サックス奏者David Sanbornをフィーチャー。僕の中のJazzmatazzのイメージにDavid Sanbornはマッチしないのですが、なかなか気合いの入ったプレイを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=c43dfj3Jzmk

未聴の方は他のJazzmatazz作品もチェックを!

『Jazzmatazz』(1993年)
Jazzmatazz, Vol. 1

『Jazzmatazz Vol II:The New Reality』(1995年)
Jazzmatazz, Vol. 2: The New Reality

『Jazzmatazz (Streetsoul) 』(2000年)
STREETSOUL
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2012年03月21日

Cinnamon『Vertigo』

ウィスパー・ヴォイスが魅力のスウェディッシュ・ポップ☆Cinnamon『Vertigo』
Vertigo
発表年:1999年
ez的ジャンル:ウィスパー・ヴォイス系スウェディッシュ・ポップ
気分は... :シナモンロールにウィスパー・ヴォイス...

今回は90年代に活動していたスウェディッシュ・ポップ・グループCinnamonの2ndアルバム『Vertigo』(1999年)です。

Cinnamonは、リーダーのJiri Novak、女性ヴォーカリストFrida Diesenを中心に、スウェーデン、ストックホルムで結成されたグループ。

デビュー・アルバム『Summer Meditation』(1995年)、2nd『Vertigo』(1999年)という2枚のアルバムをリリースしています。それ以外に『Vox』(1995年)、『A Northwest Passage』(1996年)という2枚のミニ・アルバムもリリースしています。さらに、『The Courier』(1997年)、『The Many Moods of Cinnamon』(1999年)といった編集アルバムもリリースされています。

流れとしては、The Cardigansをはじめとする90年代スウェディッシュ・ポップ・ブームの中で出てきたグループということになると思います。グループの売りは紅一点の女性ヴォーカルFrida Diesenのロリータ・ウィスパー・ヴォイスだと思います。その系統の嗜好性で好き/嫌いがハッキリ分かれると思います。

あと本作『Vertigo』(1999年)で注目すべきは、Novakと共にBertrand Burgalatがプロデュースを務め、さらにLouis Philippeがストリングス&ブラス・アレンジを担当しています。

Bertrand Burgalat、Louis Philippe・・・90年代ポップ好きであれば、この2人のフランス人アーティストにグッとくるのでは?

僕の場合、Bertrand Burgalatは当ブログでもチラっと紹介した日本が誇るロリータ・ウィスパー・ヴォイスKahimi Karie(カヒミ・カリィ)の作品の印象が強いですね。また、Louis Philippeの名を聞くと、Crepusculeやelといったレーベル(懐かしい名前ですな!)を思い出します。

そんな2人のフランス人ポップ職人が、Frida Diesenというロリータ・ウィスパー・ヴォイス素材を上手に調理したアルバムが本作『Vertigo』という気がします。

このポップ感はSaint Etienneあたりがお好きな人も気に入るのでは?

思わずカフェでシナモンロールが食べたくなる1枚です(本当かなぁ???)

全曲を紹介しときやす。

「I Used To Be Your Loneliness」
僕の一番のお気に入り曲。スウェディッシュ・ポップらしい爽快なキャッチーさに、Louis Philippeによる素晴らしいストリングス&ブラス・アレンジが施された至極のポップ・チューン。

「Nothing」
ウィスパー・ヴォイス好きにはグッとくるワルツ調の哀愁ポップ。ウィスパー・ヴォイスで歌い上げる込み上げ感にグッときてしまいます。

「Did You Think I Would Ever Let You Go?」
派手さはありませんが、そつのない1曲に仕上がっています。ヴァイヴやオルガンの音色が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=CUE5T8hkhz0

「Take Your Time」
スウェディッシュ・ポップらしい1曲。ノスタルジックな雰囲気が漂う哀愁ギター・ポップです。

「Stars Collide」
キュートなウィスパー・ヴォイスでシニカルな歌詞を歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=WECFp4jV2so

「World Of Crime」
キュート&キャッチーなギター・ポップ・チューン。Frida Diesenのウィスパー・ヴォイスにはこういうベタな曲がマッチしているのかもしれませんね。2人のフレンチ・ポップ職人が技が冴えます。
http://www.youtube.com/watch?v=NNsM0txJClA

「A Few Grains Of Sand For Working Your Whole Life」
ヴァイヴの音色をはじめとするジャジー感と一気に盛り上がるストリング・アレンジにグッときます。

「Averon」
インタールード。

「Maybe In The Next Life」
「I Used To Be Your Loneliness」と並ぶお気に入り。本作ならではの完成度を誇る至極のポップ・チューン。この1曲を聴けば、Bertrand Burgala & Louis Philippeの素晴らしい仕事ぶりがわかるはず!
http://www.youtube.com/watch?v=lznsGHAzizg

「March Of The Cinnamons」
ピアノ・ソロによるインタールード的なインスト。

「More Than You Bargained For」
切ないメロディとFrida Diesenのウィスパー・ヴォイスにグッとくる哀愁ポップ・バラード。

「Angel Eyes」
7分を超えるギター・ポップ大作です。個人的には多少冗長にも感じますが・・・

僕が保有する国内盤にはボーナス・トラック「Spring Time Of My Life」が収録されています。今の時期にぴったりのポップ・チューン。本編に負けないくらい秀逸な1曲です。

興味がある方は他のCinnamon作品もチェックを!

『Summer Meditation』(1995年)
Summer Meditation

『A Northwest Passage』(1996年)
ノースウエスト・パッセージ

『The Courier』(1997年)
The Courier

『The Many Moods of Cinnamon』(1999年)
Many Moods of Cinnamon

ちなみに『The Many Moods of Cinnamon』は、タイトル、ジャケからおわかりのように、The Beach BoysのWilson三兄弟の父親Murry Wilsonのアルバム『The Many Moods of Murry Wilson』(1967年)を模したものですね。ジャケ好きには気になってしまいますね(笑)

Murry Wilson『The Many Moods of Murry Wilson』(1967年)
Many Moods of (Dig)
posted by ez at 05:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする