2012年03月20日

Milt Jackson & Wes Montgomery『Bags Meets Wes』

バグス&ウエス、2人の巨人によるヴァイヴ&ギターのブルージーな傑作☆Milt Jackson & Wes Montgomery『Bags Meets Wes』
Bags Meets Wes
録音年:1961年
ez的ジャンル:ブルージー・ヴァイヴ&ギター
気分は... :祝日ですが仕事全開モード!

世間的には祝日ですが、個人的には仕事全開モードの1日になりそうです。
年度末フィニッシュに向けてフル稼働の日々が続きます・・・

今回はMilt JacksonWes Montgomeryという大物ジャズ・ミュージシャンン2人の共演作品『Bags Meets Wes』(1961年)です。

Modern Jazz Quartet(MJQ)のメンバーとしても活躍したヴァイヴ奏者Milt Jackson(1923-1999年)の紹介は、『Sunflower』(1972年)に続き2回目となります。

一方、オクターブ奏法で知られるギタリストWes Montgomery(1923-1968年)の紹介は、『Full House』(1962年)、『Smokin' At The Half Note』(1965年、Wynton Kellyとの共演盤)、Wes Montgomery『A Day In The Life』(1967年)に続き4回目となります。

共に1923年生まれの2人が共演した『Bags Meets Wes』は、ジャケからして男臭いですね(笑)

レコーディング・メンバーは、Milt Jackson(vib)、Wes Montgomery(g)、Wynton Kelly(p)、Sam Jones(b)、Philly Joe Jones(ds)という5名。バグス&ウエスの共演をWynton Kellyのピアノ・トリオがサポートしたかたちです。

アルバム全編にブルージーな魅力が漂います。
Miltの鮮やかなマレットさばき、Wesのオクターブ奏法を満喫できるのは勿論のこと、Kelly、Sam Jones & Philly Joeも素晴らしい演奏で盛り上げてくれます。かなりこの5人の組み合わせは相性良いのでは?

ジャケに満面の笑みで写るバグス&ウエスの表情に本作の充実度が反映されていると思います。

全曲紹介しときやす。

「S.K.J.」
Milt Jackson作。Miltの奥方のイニシャルをタイトルにしたブルージーなオープニング。慌てず騒がずブルージーに・・・みたいな感じがいいですね。Wes→Kelly→Miltの順でソロが展開されます。Wesのオクターブ奏法を堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=LtREnA5OfvU

「Stablemates」
Benny Golson作。ヴァイヴ&ギターの共演らしい演奏を楽しめます。Philly Joeのドラム・ソロで景気よくスタートします。全体的に疾走感のあるのがいいですね。WesからMiltへ軽快なソロが引き継がれるのもグッド!さらに続くKellyの小躍りするようなピアノも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=7ErvkbQ6XeY

「Stairway to the Stars」
Mitchell Parish/Matty Malneck/Frank Signorelli作のスタンダード。当ブログではBill Evans & Jim HallDexter Gordonのカヴァーも紹介済みです。美しいバラードにおけるMiltのヴァイヴの音色には相当グッときます。

「Blue Roz」
Wes Montgomery作。本作らしいブルージー感を満喫できる演奏です。ジャケに写るバグス&ウエスのように男臭さが漂います。

「Sam Sack」
Milt Jackson作。タイトルはベースのSam Jonesに捧げられたものです。そんなわけでSam Jones & Philly Joeのリズム隊の活躍が目立つ格好良いブルースです。特にSam Jonesのウォーキング・ベースが演奏全体の推進力になっています。そんな2人につられ、Milt、Wes、Kellyのソロも快調です。特にKellyのピアノのコロコロ感がいいですね。仕上げにPhilly JoeとSam Jonesがソロを存分に聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=-fcpSPJ25IY

「Jingles」
Wes Montgomery作。『The Wes Montgomery Trio』(1959年)、『The Montgomery Brothers』(1960年)にも収録されているWesファンにはお馴染みの1曲。ハードバップな格好良さを満喫できます。特にMiltの鮮やかなマレットさばきにウットリします。続くWesも負けじとエキサイティングなソロを聴かせています。そんな主役2人を煽るかのようなSam Jones & Philly Joeのリズム隊にもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=I62zJy7RWPA

「Delilah」
映画『Samson and Delilah(サムソンとデリラ)』(1949年)のために書かれたVictor Young作品。当ブログではClifford Brown & Max Roachのカヴァーも紹介済みです。ここでもデリラの妖気が漂うかのような演奏を楽しめます。Miltの小粋なソロとWesのダイナミックなソロの対比がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=oPBqjfA6Kcw

僕の所有するCDには「Stairway to the Stars」「Jingles」「Delilah」の別テイクが収録されています。

Milt JacksonWes MontgomeryWynton Kellyの過去記事もご参照下さい。

Milt Jackson『Sunflower』(1972年)
Sunflower

Modern Jazz Quartet『Django』(1956年)
Django

Wes Montgomery『Full House』(1962年)
Full House

Wes Montgomery『A Day In The Life』(1967年)
ア・デイ・イン・ザ・ライフ

Wynton Kelly Trio with Wes Montgomery『Smokin' At The Half Note』(1965年)
ハーフ・ノートのウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリー・トリオ (紙ジャケット仕様)

Wynton Kelly『Kelly Blue』(1959年)
Kelly Blue
posted by ez at 07:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月19日

Van Morrison『His Band And The Street Choir』

ウッドストックに移住してレコーディングしたソウルフル・アルバム☆Van Morrison『His Band And The Street Choir』
ストリート・クワイア
発表年:1970年
ez的ジャンル:孤高の男性シンガー。
気分は... :腹の奥まで響きます....

今日はVan Morrisonの激シブ・ヴォーカルを聴きたい気分!
セレクトしたのは『His Band And The Street Choir』(1970年)です。

これまで当ブログで紹介してきたVan Morrison作品は以下の6枚(発売年順)。

 『Astral Weeks』(1968年)
 『Tupelo Honey』(1971年)
 『Saint Dominic's Preview』(1972年)
 『Veedon Fleece』(1974年)
 『A Period Of Transition』(1977年)
 『Avalon Sunset』(1989年)

『His Band And The Street Choir』(1970年)は、前作『Moondance』(1970年)の後にウッドストックに移住し、そこで交流を持ったミュージシャンたちと創り上げた作品です。そんな流れはアルバム・タイトルにも反映されているのは?

全体的にはソウル&ブルージーな味わいにグッとくるブルーアイド・ソウル作品に仕上がっていると思います。また、孤高/内省的なイメージが強いVanですが、本作ではあまりそういったイメージはなく、気心しれたミュージシャンと共にリラックスした雰囲気が伝わってきます。

レコーディングの中心となっているのは、John Platania(g、mandolin)、John Klingberg(b)、Alan Hand(p、org)、Keith Johnson(tp、org)、Dahaud Shaar(David Shaw)(ds、per、bcla)といったバンド・メンバーとThe Street Choirと名付けられたコーラス隊です。

本作からは全米チャート第9位となったヒット・シングル(Van Morrisonに似合わない言葉ですね)「Domino」が生まれています。そのあたりも含めて、数あるVan Morrisonの中でもわりと入りやすい1枚ではないかと思います。

全12曲Van Morrisonのオリジナルです。

本作発表後、Vanはイーストコーストからウエストコーストのマリン・カウンティへ移り、『Tupelo Honey』(1971年)、『Saint Dominic's Preview』(1972年)などの“カレドニア・ソウル”作品をリリースすることになります。

いつ聴いても彼の歌声は腹の奥まで響きますなぁ・・・最高!

全曲紹介しときやす。

「Domino」
オススメその1。前述のように全米チャート第9位となったヒット・シングル。軽快なグルーヴィー・ソウル・チューンです。タイトルはニューオリンズR&Bの偉大なシンガー/ピアニストFats Dominoに捧げられたものです。曲自体はOtis Reddingのようなノリです。
http://www.youtube.com/watch?v=rKZ9CmsjLFE

「Crazy Face」
Van Morrisonらしい激シブのしみじみとした味わいを満喫できる1曲。また、彼のテナー・サックスも咽び泣きます。
http://www.youtube.com/watch?v=q1CZ6INGCXs

「Give Me a Kiss (Just One Sweet Kiss)」
軽快なシャッフル感にグッとくる1曲。ブルージーながらもカラっとした明るさは本作らしい仕上りかもしれません。

「I've Been Working」
オススメその2。僕の一番のお気に入り!静かなるファンキー・ソウル・チューン!派手さはありませんが、黒いグルーヴが格好良すぎます。Bob Seger、Bo Diddley等もカヴァーする隠れた名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=Fqd1mv0Gsaw

「Call Me Up in Dreamland」
シングルにもなった曲です。Van Morrisonらしい少しぶっきらぼうなヴォーカルとThe Street Choirのコーラスの絡みがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=Yql73yseJGU

「I'll Be Your Lover, Too」
オススメその3。「I've Been Working」と並ぶ僕のお気に入り。絶品のアコギ弾き語り。一人で酒でも飲みながら、しみじみ聴きたくなりますな。
http://www.youtube.com/watch?v=aeo9AXn7stg

「Blue Money」
「Domino」に続くシングルとして全米チャート第23位となりました。一歩間違えると僕が苦手なタイプの曲ですが、軽快かつ少しユルめなノリで救われています。The Flying Picketsもカヴァーしていました。
http://www.youtube.com/watch?v=rtn0pvg1F10

「Virgo Clowns」
オススメその4。カントリー調ですが、カントリー苦手の僕でもハンドクラップしてしまう格好良さです。やはりVan Morrisonのビター・ヴォーカルの魔力は凄い!
http://www.youtube.com/watch?v=Wp4dXOK3lmU

「Gypsy Queen」
オススメその5。この曲も大好き!ファルセット・ヴォーカルで迫るソウル・チューン。多分、The Impressions、Curtis Mayfieldあたりを意識しているものと思います。腹の奥までしみ渡ってくる感じがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=7bOFCM6fxWI

「Sweet Jannie」
ノリの良いブルース・チューン。このあたりはVan Morrisonのお手の物といった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=eUu6bPVC5i0

「If I Ever Needed Someone」
オススメその6。ゴスペル調バラード。ここではThe Sweet InspirationsのCissy Houston、Judy Clay、さらにはThe Davis SistersのJackie Verdellといった女性ソウル・シンガー3名がバック・コーラスで参加しています。バック・コーラスも含めてコクが違います!
http://www.youtube.com/watch?v=6NVYHkl8gGY

「Street Choir」
オススメその7。ラストはVan Morriso節が炸裂する感動バラード。The Street Choirのコーラスも含めて素晴らしすぎます!感動で胸一杯となりアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=6ROLEcBW1Vc

Van Morrisonの過去記事もご参照下さい。

『Astral Weeks』(1968年)
アストラル・ウィークス

『Tupelo Honey』(1971年)
Tupelo Honey (Exp)

『Saint Dominic's Preview』(1972年)
Saint Dominic's Preview

『Veedon Fleece』(1974年)
Veedon Fleece (Reis)

『A Period Of Transition』(1977年)
A Period of Transition

『Avalon Sunset』(1989年)
Avalon Sunset
posted by ez at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月18日

Estelle『All Of Me』

スケールアップした3rdアルバム☆Estelle『All Of Me』
All of Me
発表年:2012年
ez的ジャンル:UK女性R&Bシンガー/ラッパー
気分は... :僕好みということは・・・

UK女性R&Bシンガー/ラッパーEstelleの新作『All Of Me』です。

彼女の紹介は2ndアルバム『Shine』(2008年)に続き2回目となります。

John Legendが立ち上げたレーベルHomeschool Recordsの第1弾アーティストとして迎えられ、彼がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、Kanye WestCee-Lo等の豪華ゲストを迎えた『Shine』はR&B好きからは高い支持を得た1枚でした。Kanye Westとデュエットしたシングル「American Boy」もヒットしましたね。アルバム自体はそれ程の大ヒットにはなりませんでしたが・・・

個人的にも『Shine』は大好きなアルバムでした。シンガー&ラッパーというスタイル、R&B/ソウル、Hip-Hopに止まらず、レゲエ/ラガ、カリブ等も取り入れた構成に、FugeesLauryn Hillに通じるものを感じ、気に入りました。

その『Shine』に続く3rdアルバムとなる本作『All Of Me』ですが、本作もJohn Legendがエグゼクティブ・プロデューサーを務めています。

当初は2010年にリリースした「Freak」「Fall in Love」という2曲のシングルをアルバムのリードにする予定でした。「Freak」David Guettaがプロデュースし、Kardinal Offishallをフィーチャーしたアッパーなダンス・チューン。「Fall in Love」NasJohn LegendをフィーチャーしたエレクトロなR&Bチューン。

Estelle feat. Kardinal Offishall「Freak」
 http://www.youtube.com/watch?v=9rN5XmvRuK0
Estelle feat. Nas「Fall in Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=XeqKm66Ge8c
Estelle feat. John Legend「Fall in Love」
 http://www.youtube.com/watch?v=gGGOHFoAkKs

なかなかキャッチーな2曲ですが、結局これらはアルバムには収録されませんでした。
「Freak」は、サントラ『Step Up 3D』David Guetta『One More Love』のDeluxe Editionに収録されています。

そんな経緯で当初プランからの変更も余儀なくされた『All Of Me』に収録されたのは全15曲。そのうち5曲が?uestlove(The Roots)プロデュースのインタールードなので、実質は10曲構成です。

プロデューサーには、Carvin & Ivan、Isra "Wizzy Wow" Lohata、David Banner、Kadis & Seanv、Book & Bronze、Don Cannon、Jerry Wonder、Arden "Keyz" Altino、Akene "The Champ" Dunkley、Wyclef Jean、Tha Bizness、Ne-Yo等が起用されています。

さらにゲストとして、Trey SongzChris BrownRick RossJanelle Monaeをフィーチャーしています。

前作よりはスケールアップしている印象です。その分、少しUSマーケットを意識している感じはありますが。

アルバム全体の構成としてはよく出来ていると思います。
楽曲・サウンドのバランスが僕好みです。

僕好みのアルバムということは、大ヒットしないのでしょうか(笑)

全曲紹介しときやす。

「The Life」
Carvin & Ivan、Isra "Wizzy Wow" Lohataプロデュース。メジャー感のあるエレクトロなR&BながらもEstelleらしいレゲエ・フレイヴァーも聴けるのが嬉しいところ。
http://www.youtube.com/watch?v=g76Yn457_Vg

「International (Serious)」
Trey Songz、Chris Brownをフィーチャー。大物2人を迎えたキャッチーな仕上がり。個人的にはこのタイプの曲にはそれ程グッときませんが・・・。David Banner、THXプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=z49-_a06JNA

「You And I」
?uestloveプロデュースのインタールードその1。

「Love The Way We Used To」
Kadis & Seanvプロデュース。キュート&メロディアスなポップ感にグッとくる1曲。アルバムの中にこういう曲があるとホッとしますね。
http://www.youtube.com/watch?v=Zq4hLSCrn5I

「Cold Crush」
Book & Bronzeプロデュース。70〜80年代ダンス・チューンを今日的なエレクトロ・サウンドで再現した感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bb44YSMKJjQ

「Don't Break It」
?uestloveプロデュースのインタールードその2。

「Break My Heart」
Rick Rossをフィーチャーしたアルバムからのリード・シングル。哀愁モードの疾走感にグッとくる大人のR&Bチューン。MJBの新作でもそうでしたが、この手のメロディアスなR&BチューンにRick Rossの客演は不思議とマッチしますね。Montana「Warp Factor II」をサンプリング。Don Cannonプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=RJ5zgVlh6uY

アルバム・ヴァージョンもグッドですが、Swizz Beatz,Jadakiss & Busta Rhymesをフィーチャーし、Zhane「Sending My Love」EPMD「You're A Customer」、Audio Two「Top Billin'」をサンプリングしたリミックスもグッときます。
Estelle feat. Swizz Beatz,Jadakiss & Busta Rhymes「Break My Heart (Remix Pt.1)」
http://www.youtube.com/watch?v=XqREk4Y6I-4

「Thank You」
Jerry Wonder、Arden "Keyz" Altino、Akene "The Champ" Dunkleyプロデュース。Akonがバック・コーラスで参加しています。哀愁のメロディをEstelleが歌い上げます。Creative Source「Wild Flower」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=yUuEYM9vjlw

「Who We Are」
?uestloveプロデュースのインタールードその3。

「Wonderful Life」
Jerry Wonder、Arden "Keyz" Altino、Akene "The Champ" Dunkleyプロデュース。ヒューマン・タッチな雰囲気にグッとくる美メロ・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=UHt5tig5-4M

「Found My Way...」
?uestloveプロデュースのインタールードその4。

「Back To Love」
Jerry Wonder、Wyclef Jeanプロデュース。前作に続き、Wyclefがプロデュースで参加しています。ソングライティングはEstelle/Wyclef/John Legendですが、この曲は完全にJohn Legend調のメロディですね。個人的にはこういう曲好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=xEmsBpLvVcU

「Blue Skies」
?uestloveプロデュースのインタールードその5。

「Speak Ya Mind」
Tha Biznessプロデュース。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。シンガー&ラッパー、R&B/Hip-Hop+レゲエ/ラガというEstelleらしいスタイルを最も満喫できる1曲だと思います。Adina Howard「Freak Like Me」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=IMxL5PLr0Z8

「Do My Thing」
Janelle Monaeをフィーチャー。Ne-Yo、Tyler Reynolds、Warren Zavalaプロデュース。Janelle Monaeのエキセントリックなキャラにマッチしたエレクトロなサイバー・ダンス・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=430t7somR2k

『Shine』(2008年)
Shine
posted by ez at 02:12| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月17日

Gil Scott-Heron & Brian Jackson『1980』

双頭コンビの最終作はシンセを多用☆Gil Scott-Heron & Brian Jackson『1980』
1980(直輸入盤・帯・ライナー付き)
発表年:1980年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系ジャズ・ファンク
気分は... :これからも聴き続けます!

今回はGil Scott-Heron & Brian Jackson『1980』(1980年)です。

これまで当ブログで紹介したGil Scott-Heron作品(Brian Jacksonとの連名作を含む)は以下の5枚。

 『Pieces Of A Man』(1971年)
 『Winter In America』(1974年)
 『It's Your World』(1976年)
 『Bridges』(1977年)
 『Secrets』(1978年)

昨年惜しくも逝去したGil Scott-Heron
決して商業的に成功を収めた人ではありませんが、その鋭いメッセージと存在感は世代を超えて支持されていましたね。

当ブログでは特に追悼記事はエントリーしませんでしたが、彼の死を知った直後は追悼の意味で我が家のCD棚にある彼の作品を一通り聴いていました。どの作品を聴いても、低音ヴォイスでの彼の語り口に改めて惹き込まれてしまいました。彼が亡くなっても彼の残した作品の数々は今後も多くの人を勇気づけてくれるでしょう。

本作『1980』(1980年)は、『Winter In America』(1974年)以来、双頭コンビを組んできたBrian Jacksonとの連名によるラスト・アルバムです。

前作『Secrets』(1978年)に続き、Stevie Wonder三部作でお馴染みのMalcolm Cecilを共同プロデューサーに迎え、シンセを多用したファンク・サウンドをさらに推し進めています。ジャケにも写っているMalcolm Cecilのシンセサイザー・システム”TONTO”が大活躍しています。

とは言いつつ、それほどシンセ・サウンドが突出しているわけではなく、ジャズ・ファンク・サウンドの中に巧みにシンセを取り込み、効果的にサウンドに表情をつけているという印象を受けます。

傑出したキラー・チューンはありませんが、アルバム1枚を通じて楽しめます。

淡々とした語り口のヴォーカル&クールなジャズ・ファンク・サウンドは全体的に控えめな印象を受けますが、それが逆に心地好さにつながっている気がします。グルーヴィーなのに落ち着けるという不思議な感覚にさせてくれます。

Gil Scott-Heron & Brian Jacksonの双頭コンビの集大成に相応しい1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Shut 'Um Down」
シングルにもなったファンキー・ブギー!『Bridges』あたりのグルーヴィーなノリがお好きな人は気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=I9ci7XJKRdw

「Alien (Hold On To Your Dreams)」
クールなミッド・グルーヴ。シンセの控えめな使い方が成功していると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=LQxrOTKwDp0

「Willing」
メロウな味わいが心地好いグルーヴィー・チューン。本作らしいシンセ・サウンドを楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=7Y-6nGxRd28

「Corners」
クールなジャズ・ファンク・チューン。淡々としたGil Scott-Heronの語り口とスペイシーなシンセ・ファンク・サウンドの組み合わせが本作らしいです。Brian Jacksonのフルートも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=n3IQPfopgJE

「1980」
タイトル曲はメロウなジャズ・ファンク・チューンです。イントロはスペイシー感が漂いますが、本編はメロウ&ソウルフルな味わいです。男女コーラス隊やサックスもそんなムードを盛り上げてくれます。2Pac「Ready 4 Whatever」、Street Military「S*** Get Wild in the City」、Fat Jon「Space Man」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=-ZxeclJEFkY

「Push Comes To Shove」
淡々とした中にもGil Scott-Heronの熱い語り口にグッとくるミッド・グルーヴ。シンセの音色を上手く使っているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=fvlU7VPI3Q0

「Shah Mot (The Shah Is Dead/Checkmate)」
小粋なピアノを配したジャズ・ヴァイヴにグッとくる1曲。アルバムの中でいいアクセントになっていると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=r6TtJMBMT_I

「Late Last Night」
ラストは本作らしいシンセ・サウンドで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=HLINfHNhRa8

Gil Scott-Heronの過去記事もご参照下さい。

『Pieces Of A Man』(1971年)
Pieces of a Man

『Winter In America』(1974年)
Winter in America

『It's Your World』(1976年)
It's Your World

『Bridges』(1977年)
Bridges

『Secrets』(1978年)
Secrets
posted by ez at 08:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

Tribalistas『Tribalistas』

Marisa Monte、Carlinhos Brown、Arnaldo Antunesによるスーパー・トリオ☆Tribalistas『Tribalistas』
Tribalistas
発表年:2002年
ez的ジャンル:MPBスーパー・トリオ
気分は... :小技が効いています!

今回はMPBの3つの才能、Marisa MonteCarlinhos BrownArnaldo Antunesによるスーパー・トリオTribalistasのアルバム『Tribalistas』(2002年)です。

当ブログでもお馴染みのMPBの歌姫Marisa Monteの主導により、あらゆる面でインパクトのある天才パーカッション奏者Carlinhos Brown、人気ロックバンドTitasの元メンバーであるArnaldo Antunesという3人の人気ブラジル人ミュージシャンが結集したTribalistas。ブラジル音楽好きの人であれば、相当グッときたユニットですよね。

2ヶ月前に紹介したMarisa Monteの最新作『O Que Voce Quer Saber De Verdade』にも3名の共作曲やCarlinhos Brown、Arnaldo Antunesとの共作が多数収録され、このトリオの存在感を改めて示してくれました。

そんな強力トリオの化学反応を存分に堪能できるアルバムが『Tribalistas』(2002年)です。リリース直後から各方面で絶賛され、10年経った今日でもMPBの名盤として高い人気を誇る1枚ではないかと思います。

実際には、3人に準レギュラー的な存在でアルバムに全面に参加しているDadiとCezar Mendesも加えた5人による素晴らしい演奏を満喫できます。長年MarisaをサポートしてきたDadiは、『O Que Voce Quer Saber De Verdade』でもMarisaと共同プロデュースを務めていました。Cezar MendesもMarisa作品ではお馴染みのギタリストです。

とにかく全曲素晴らしい!
聴くたびに素晴らしすぎてニンマリしてしまいます。

まず楽曲(全てオリジナル)自体が粒揃いですね。
また、淡々としたArnaldoと艶やかなMarisaのヴォーカルの組み合わせが思った以上にマッチしています。さらにCarlinhosを中心とした様々な音の演出が心憎いばかりです。そして何より3人がこのコラボを力まず自然体で楽しんでいるのが歌や音に反映されている感じがいいですね。

曲良し!歌良し!サウンド良し!文句のつけようがない傑作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Carnavalia」
本作の確かな手応えを実感できるオープニング。生命感のあるヴォーカル&リズムが聴く者を虜にします。
http://www.youtube.com/watch?v=t88Lm2F8-8U

「Um A Um」
小粋なセンスと遊び心に散りばめられた1曲。トイ・トランペットを吹くMarisaがお茶目ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=aHUNr4V5WBY

「Velha Infancia」
聴き重ねる度に惹き込まれる1曲。楽曲およびヴォーカルが素晴らしいのは勿論のこと、Carlinhosによるさまざまなリズムの小技、控えめながらも効果的なDadiのピアノなど練り込まれたサウンド・センスに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=S9uIYPUyZQ0

「Passe Em Casa」
個人的には一番のお気に入り。躍動するリズムにバックに歌う、淡々としたArnaldoと艶やかなMarisaのヴォーカルの組み合わせは抜群です。ここでもCarlinhos Brownのリズム・センスには脱帽です。Marisaのハーモニカも効果的です。
http://www.youtube.com/watch?v=muQl9gMHNkM

「O Amor E Feio」
ミステリアスな魅力に溢れた1曲。ここでもピアノ、おもちゃ楽器をはじめとするCarlinhosによる音世界の演出が冴え渡っています。
http://www.youtube.com/watch?v=8p8Sk1KOkxI

「E Voce」
ロマンティック気分にさせてくれる素敵な1曲。Marisaのヴォーカルにメロメロです。楽曲自体も最高です!
http://www.youtube.com/watch?v=dfmzWDODJ44

「Carnalismo」
雨音ともスタートするセンチメンタルな1曲。ちょっぴり切なく美しいヴォーカル&メロディに魅了されます。Dadiのアコーディオンがムードを盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Nv6HLtNLhVo

「Mary Cristo」
オルゴール?のイントロが心憎いクリスマス・ソング。聴く者を優しく包み込んでくれる素敵な1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=upPWB_-foZI

「Anjo Da Guarda」
子供の声と共に始まる童心に戻ってしまう1曲。Marisaのアコーディオン& トイ・トランペット、Dadiのウクレレ、Carlinhosの各種パーカッションによる楽しい演出が聴く者を笑顔にしてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=GqYyCrO-ROg

「La De Longe」
しみじみとした味わいにグッとくる1曲。Arnaldoの淡々としたヴォーカルがよくマッチする1曲だと思います。Carlinhosのビリンバウの隠し味もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=ucyKvmAsjis

「Pecado E Lhe Deixar De Molho」
Marisaのヴォーカル&美しいメロデにうっとりしてしまう1曲。誰もいない浜辺で一人佇みたくなります・・・
http://www.youtube.com/watch?v=lbW9zl4WFac

「Ja Sei Namorar」
クラブ・ミュージック好きをも虜にするであろうダンサブル・チューン。ダンサブルなのにブラジル音楽の魅力も保たれているところが素晴らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=smwj7ISnwXM

「Tribalistas」
タイトル曲は軽快なリズムが心地好いです。3つの個性の融合がもたらした目覚ましい成果に歓喜しつつアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=TFIWDHaYP00

Marisa Monteの過去記事もご参照ください。振り返ると、Carlinhos Brownのアルバムが未紹介なので、そのうち取り上げたいと思います。

『Marisa Monte(MM)』(1989年)
マリーザ・モンチ

『Mais』(1991年)
Mais

『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(Rose and Charcoal)』(1994年)
ローズ・アンド・チャコール

『Universo Ao Meu Redor』(2006年)
Universo ao Meu Redor

『O Que Voce Quer Saber De Verdade』(2011年)
あなたが本当に知りたいこと
posted by ez at 08:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする