2012年04月14日

Barbara Keith『Barbara Keith』

再評価の高まった女性SSWの2nd☆Barbara Keith『Barbara Keith』
バーバラ・キース
発表年:1972年
ez的ジャンル:スワンプ系女性SSW
気分は... :謎は解けた????

今回は再評価の高い女性SSWBarbara Keithの2ndアルバム『Barbara Keith』(1972年)です。

後にOrleansで活躍するJohn Hallらと結成したグループKangarooを経て、『Barbara Keith』(1969年)、『Barbara Keith』(1972年)という2枚のソロ・アルバムを残した後にシーンから姿を消した謎多き女性シンガー・ソングライターBarbara Keith

90年代に入り、2nd『Barbara Keith』のオープニングを飾るBob Dylanの名曲カヴァー「All Along the WatchtowerがDJによりプレイされるようになり、彼女への再評価が高まりました。

そんなことが影響してか、Barbaraは夫John Tibbles、息子Doug TibblesとThe Stone Coyotesを結成し、アルバム『Church of the Falling Rain』(1999年)で突如シーンに復帰します。その後、The Stone Coyotesはコンスタントにアルバムをリリースし、ファンに元気な姿を見せてくれています。

かつては謎多く女性SSWでしたが、The Stone Coyote結成以後はそんなイメージも一変してしまいました(笑)

やはりBarbara Keithの1枚と言えば、2nd『Barbara Keith』(1972年)ですよね。

前述のようにファンキー・ロック「All Along the Watchtower」が有名になってしまいましたが、アルバム全体としてはスワンプ・テイストの味わい深い女性SSW作品に仕上がっています。

1st『Barbara Keith』(1969年)ではPeter Asherがプロデュースしていましたが、本作ではカントリー・ロック系でお馴染みLarry Marksがプロデュースしています。

レコーディングには、Barbara Keith(vo、g、p)以下、Lowell George(g)、Danny Kortchmar(g)、John Brennan(g)、Tony Peluso(g)、David Cohen(g)、Sneaky Pete Kleinow(pedal steel)、Richard Bennett(pedal steel)、Craig Doerge(p)、Clarence McDonald(p)、Spooner Oldham(p)、Mike Utley(org)、Leland Sklar(b)、Max Bennett(b)、Emory Gordy(b)、Russ Kunkel(ds)、Jim Keltner(ds)、Jim Gordon(ds)、Dennis St. John(ds)、Ron Tutt(ds)、Milt Holland(per)、Nick DeCaro(strings arr)という錚々たるメンバーが名前を連ねています。

前述の「All Along the Watchtower以外は彼女のオリジナルです(共作含む)。

まずは彼女が作る楽曲が素晴らしいです。その証拠に本作に収録された多くの楽曲が他のアーティストによりカヴァーされています。また、彼女自身の思いがひしひしと伝わってくる歌力に感心してしまいます。さらに、名うてのミュージシャンによる堅実なバッキングが彼女の楽曲&ヴォーカルの素晴らしさを際立たせてくれます。

アルバム全体を通して充実感のある1枚に仕上がっています。

全曲紹介しときやす。

「All Along the Watchtower」
オススメその1。オープニングはBob Dylanの名曲カヴァー。フリーソウル好きにはフリーソウルのコンピ『Free Soul Garden』にも収録されている人気曲である本曲がハイライトでしょう。オリジナルではありませんが、彼女の再評価のきっかけを作った重要曲です。Dylanのオリジナルは『John Wesley Harding』(1967年)に収録されています。当ブログでは本曲を有名にしたJimi HendrixのカヴァーやXTCのカヴァーも紹介済みです。他にもDave MasonU2等数多くのアーティストがカヴァーしていましたね。本ヴァージョンはDJが絶大な支持を受けたのも頷けるグルーヴィーなファンキー・ロックに仕上がっています。Ellen McIlwaineあたりとセットで聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=hYL9DOifo04

「Rolling Water」
オススメその2。切ない恋心にグッと胸を締め付けられます。「All Along the Watchtower」を除けば一番好きかもしれません。Danny Kortchmar、Leland Sklar、Russ Kunkel、Craig Doergeというバック陣が洗練されたサウンドで好サポートしています。
http://www.youtube.com/watch?v=wWARyhtstWk

「Bramble and the Rose」
カントリー調の作品。カントリー苦手の僕もBarbaraの瑞々しい歌声に魅了されます。Mary McCaslin & Jim Ringer等もカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=BIDycPLqTmE

「Burn the Midnight Oil No More」
Barbara自身のピアノによる弾き語りが感動的な1曲。Nick DeCaroアレンジによるストリングスが盛り上げてくれます。

「Free the People」
オススメその3。数多くのアーティストが取り上げたソングライターとしてのBarbaraの出世作。本作以前にDelaney & Bonnieが『To Bonnie From Delaney』(1970年)、
Barbra Streisandが『Stoney End』(1971年)で取り上げています。それ以外にEllen Nikolaysen、Olivia Newton-John等もカヴァーしています。Barbara自身のヴァージョンはソウルフルな女声コーラスも加わったゴスペル・テイストのスワンプ・チューンに仕上がっています。

「Detroit or Buffalo」
オススメその4。味わい深いカントリー・ロック。こういう土臭いカントリー・ロックは大好きです。Lowell Georgeのスライド、Sneaky Peteのペダル・スティールが盛り上げてくれます。Melanie、Neal Casal、Amanda Shires等がカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=MFL_K-LKK7s

「The Road I Took to You」
オススメその5。切なる願いが込められた歌が感動的なピアノ弾き語り。シンプルな曲だからこそ、Barbaraのシンガー・ソングライターとしての実力が伝わってきます。Joey Heathertonがカヴァーしています。

「Shining All Along」
オススメその6。聴いているとパワーがじわじわと漲ってくるスワンプ・チューン。Lowell Georgeのスライドがいい雰囲気を演出してくれます。

「Rainy Night Are All」
SSWらしいカントリー調の弾き語り。シンプルな演奏ですが、曲の良さとBarbaraの歌力で聴く者を引き寄せます。

「A Stone's Throw Away」
オススメその7。夫Doug Tibblesとの共作。当ブログでも取り上げたValerie Carterの人気作『Just A Stone's Throw Away』のタイトル曲としてもお馴染みですね。ValerieヴァージョンはLowell Georgeが共同プロデュースしており、彼が強くプッシュして本曲をカヴァーしたのではないかと思います。開放的なスワンプ・チューンは聴いていて爽快な気分になります。
http://www.youtube.com/watch?v=--wvqNegppk

興味のある方は1st『Barbara Keith』(1969年)やKangarooもチェックを!

『Barbara Keith』(1969年)
バーバラ・キース(紙ジャケット仕様)

Kangaroo『Kangaroo』(1968年)
Kangaroo

posted by ez at 13:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする