2012年05月25日

Howdy Moon『Howdy Moon』

Valerie Carterがソロ・デビュー前に組んでいたメロウ・フォーキー・トリオ☆Howdy Moon『Howdy Moon』
ハウディ・ムーン(紙ジャケット仕様)
発表年:1974年
ez的ジャンル:メロウ・フォーキー・トリオ
気分は... :フォーキー・サウンドで一息・・・

今週、来週とタイト・スケジュールで披露困憊です。
土日も休みなしで働きづめ状態のため、かなりガス欠状態・・・

こんな時には、フォーキーな音楽が聴きたいですね。

今回はValerie Carterがソロ・デビュー前に組んでいたメロウ・フォーキー・トリオHowdy Moon唯一のアルバム『Howdy Moon』(1974年)です。

Howdy Moonは、Valerie Carter(vo)、元Fifth Avenue BandJon Lind(vo、g)、Richard Hovey(vo、g)の3名が結成したフォーキー・トリオです。

フリーソウル方面からも人気が高い女性シンガーValerie Carterについては、当ブログでも1stアルバム『Just A Stone's Throw Away』(1977年)、2ndアルバム『Wild Child』(1978年)を紹介済みです。いずれもキュートなValerieの歌声に魅了される素晴らしいアルバムです。

そんなValerieがソロ・デビュー前に組んでいたHowdy Moon唯一のアルバムが本作です。

全10曲8曲をLittle FeatLowell Georgeがプロデュースしています。

レコーディングにはLowell George(g、key、fl)をはじめ、Bill Payne(key)、Sam Clayton(per)、Roy Estrada(b)といったLittle Feat勢が参加しています。それ以外にもEric Eisner(g)、Dennis Budimir(g)、Andrew Gold(g)、Arthur Adams(g)、Sneaky Pete(pedal steel)、Chuck Rainey(b)、Wilton Felder(b)、Van Dyke Parks(p)、EW&FFred White(ds)、Jim Keltner(ds)、Bobbye Hall(per)、John Sebastian(hca)、David Paich(strings arr)等の豪華メンバーが参加しています。

内容充実、メンバーも豪華でしたが、商業的には不発に終わり、グループは本作のみで解散しています。

その後Valerie Carterは前述のようにソロ・アーティストとして活動するようになります。また、Jon LindFifth Avenue Bandの同僚Kenny Altman、イギリス人SSW、Billy NichollsとWhite Horseを結成し、アルバムを1枚リリースしています。その後はソングライターとして活躍し、Earth, Wind & Fire「Boogie Wonderland」Madonna「Crazy for You」Vanessa Williams「Save the Best for Last」等のヒット曲を送り出しています。Ramsey Lewis‎「Sun Goddess」もJon Lind作ですね(Maurice Whiteとの共作)。

メロウ・フォーキーなフィーリングが僕好みですね。派手さはありませんが、3人のリード・ヴォーカルも含め、全体の構成にメリハリが効いていてアルバム1枚を楽しめる作品です。

特にValerie Carterのソロ作がお好きな方は、彼女の原点を楽しめる1枚だと思います。

垢抜けないジャケは、純粋に自分たちの音楽に向き合っている証なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Lovelight」
Richard Hovey作。本曲はRobert Appereプロデュース。Richard Hoveyがリード・ヴォーカルをとるレイドバック・フィーリングの仕上り。3人のハーモニーがいい感じです。Lowell GeorgeのスライドやJohn Sebastianのハーモニカが盛り上げてくれます。

「Cheyenne Autumn」
Jon Lind作。エレピやムーグ・サウンドも聴かれ、イナたさの中に都会的なフィーリングも織り込まれています。

「I'm Alone」
Valerie Cater/Richard Hovey作。Valerie Caterが切々と歌い上げるバラード。Sneaky Peteのペダル・スティールが味わい深いです。

「Nora Lee」
Eric Eisner作。Jon Lindがリード・ヴォーカルをとるメロウ・フォーキー。僕の一番のお気に入り曲。ソフト&メロウなヴォーカル、サウンドにグッときます。タイトルはWoody Guthrieの娘、Nora Guthrieのことらしいです。

「Runnaway」
Richard Hovey作。タブラの音も聴こえてくる、ミステリアスなムードのフォーキー・チューン。UKフォークっぽいですね。

「And You Never Knew」
Valerie Carter/Ed Brandon作。人気コンピ『Cafe Apres-midi Rouge』にも収録されていた人気メロウ・フォーキー。キュートなValerie Carterのヴォーカルを満喫できる1曲です。メロウなエレピの音色が心地好いですね。

「Machine」
Richard Hovey作。Richard Hoveyのヴォーカル&ギター、Lowell Georgeのギター&ムーグのみのシンプルなフォーキー・チューン。

「Cook with Honey」
Valerie Carter作。Michael J. Jackson(アノMJではありません)プロデュース。Judy Collinsが取り上げ、全米チャート第32位となった楽曲のセルフ・ヴァージョンです。一般には本作のハイライト曲ですね。Valerie Carterのピュアなヴォーカルに魅了されるビューティフル・ソングに仕上がっています。David Paichアレンジのストリングスが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Jge668g6QAQ

「For Tonight」
Richard Hovey作。「Nora Lee」と並ぶ僕のお気に入り。Richard HoveyとValerie Carterのコーラスが素晴らしいです。ソウル・フィーリングのサウンドがいいですね。Sneaky Peteのペダル・スティールも盛り上げてくれます。

「Millstream」
Jon Lind/Francine Tacker作。ラストは3人のコーラスワークが素晴らしい、味わい深いフォーキー・チューンで締め括ってくれます。

Valerie Carter『Just A Stone's Throw Away』(1977年)
Just a Stone's Throw Away

『Wild Child』(1978年)
ワイルド・チャイルド(紙ジャケット仕様)
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2012年05月24日

Ben Westbeech『Welcome To The Best Years Of Your Life』

UKクロスオーヴァー・ソウルの人気作。人気曲「So Good Today」、「Get Closer」収録!☆Ben Westbeech『Welcome To The Best Years Of Your Life』
Welcome to the Best Years of Your Life(ウェルカム・トゥ・ザ・ベスト・イヤーズ・オブ・ユア・ライフ)
発表年:2007年
ez的ジャンル:UKクロスオーヴァー・ソウル
気分は... :フレッシュ!

サッカーは昨晩にA代表の親善試合、未明にU23代表のトゥーロン国際大会の初戦がありました。A代表は勝利、U23代表は敗戦という結果でしたが、個人的には2試合ともに何処か物足りなさを感じました。特にU23代表は脆さを露呈した結果に終わりましたね。A代表戦のマスコミの論調は勝利という結果を受けて、好意的なものが多いようですが、手放しで喜べる内容では無かったと思います。A代表での本田が復活、U23代表は指宿がその片鱗を見せてくれたあたりは見所がありましたが・・・

今回はクロスオーヴァー/クラブミュージック好きにはお馴染み、Ben Westbeechのデビュー・アルバム『Welcome To The Best Years Of Your Life』(2007年)です。

ブリストル出身の男性シンガー/プロデューサー/DJであるBen Westbeechの紹介は、2ndアルバム『There's More To Life Than This』(2011年)に続き2回目となります。

Gilles Petersonにその才能を見出され、彼が主宰するBrownswood Recordsの第一弾アーティストとして、2006年のデビュー・シングル「So Good Today」で注目され、それに続いて2007年にリリースされた1stアルバムが本作『Welcome To The Best Years Of Your Life』です。

以前に紹介した2nd『There's More To Life Than This』(2011年)は、『ezが選ぶ2011年の10枚』でセレクトしたお気に入り作でしたが、やはりBen Westbeechと言えば、本作『Welcome To The Best Years Of Your Life』のイメージが強いですね。

「So Good Today」「Get Closer」をはじめ、クラブミュージック/クロスオーヴァー経由のブルーアイド・ソウルを満喫できます。

手の込んだサウンドではありませんが、クラブミュージック、ソウル/ファンク、ジャズ、Hip-Hop、ラテン/ブラジルなど様々な音楽のエッセンスを独自のセンスで採りこんだ音世界は、新感覚アーティストと聴く者に強いインパクトを与えてくれました。

リリースから5年が経ちますが、今聴いてもフレッシュな印象を与えてくれます。

全曲紹介しときやす。

「Welcome」
意外にもアルバムはブルージーな雰囲気でスタートします。アルバムのプロローグ的な位置づけの曲です。

「So Good Today」
オススメその1。Ben Westbeechの名をエッジーな音楽ファンに知らしめた記念すべきデビュー・シングル。爽快ギターとソウルフル・ヴォーカルが心地好い、シンプルながらも軽やかでポップな味わいのクロスオーヴァー・ソウル。ポジティブな歌詞も含めて気分爽快にさせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=7vhd1pDS5dM

「Get Silly」
オススメその2。Ray Barretto「Pastime Paradise」Stevie Wonderのカヴァー)をサンプリングしたファンキー&ラテン・フレイヴァーのクロスオーヴァー・ソウルに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=s9XHScq5e78

「Get Closer」
オススメその3。DJ Dieをフィーチャーし、シングルにもなった人気曲。Linda Williams「Elevate Your Mind」ネタのピアノ・ループが印象的なドラムンベース・チューンです。気分を盛り上げて自分を奮い立たせたい時によく聴いていました。
http://www.youtube.com/watch?v=Q3FXuFz3Yrg

「Bright Future」
Brian Valentinoのサックスをフィーチャーしたジャジーなクロスオーヴァー・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=xHytkdH5gPo

「Nothing Else」
ジャジー・トラックにのったソウルフル・ヴォーカルがなかなか小粋です。派手さはありませんがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=jVG_xebI_ro

「Gotta Keep On」
メロウな鍵盤の響きとクロスオーヴァーな疾走感にグッときます。

「Taken Away From」
哀愁モードの仕上り。切々と歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=Zz9r0Rg44zo

「Grey Skies」
美しいピアノの音色に惹かれるインスト。インタールード的な1曲です。

「Stop What You're Doing」
オススメその4。Dionne Warwick「Wives And Lovers」をサンプリングしたスウィンギーな味わいのジャジー・ソウル。
http://www.youtube.com/watch?v=oVKRx9SEQ3Y

「Dance With Me」
オススメその5疾走感が魅力のダンサブルなクロスオーヴァー・ソウル。クールに煽られていく感じが好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=poduAVPau_g

「Hang Around」
オススメその6。哀愁モードの疾走感にグッとくるソウルフル・ブロークンビーツ。クロスオーヴァー好きの人であれば心地好く聴くことができる1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=0SwBBYFCpgk

「Pusherman」
オススメその7。Bob Cunningham「Lover's Theme」をサンプリングしたアコースティック・ベースのループが印象的です。クラブジャズ好きの人も気に入る仕上りなのでは?

「In/Out」
エスニックな味わいとヴォーカルワークにヒネりの効いた小品。

「Beauty」
美しくも何処か切ない雰囲気のインストで本編は幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=gLxRMU9R_cg

国内盤には、「I Want To Be Around You」「So Good Today (Yoruba Soul Mix)」の2曲がボーナス・トラックとして収録されています。特に「So Good Today」のリミックスはオリジナルが好きな人にはグッとくるはずです。

「So Good Today (Yoruba Soul Mix)」
http://www.youtube.com/watch?v=50R4y_Qat0c

『There's More To Life Than This』(2011年)
ゼア・イズ・モア・トゥ・ライフ・ザン・ディス [ボーナストラック付]
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2012年05月23日

Heatwave『Candles』

Rod Tempertonはソングライティングで尽力!80年リリースの4th☆Heatwave『Candles』
キャンドルズ(紙ジャケット仕様)
発表年:1980年
ez的ジャンル:メロウ・ディスコ/ファンク
気分は... :やはりRodはいい曲書きます!

さて、今回はかつてRod Tempertonが在籍していたことで知られるファンク・グループHeatwaveが1980年にリリースした『Candles』(1980年)

これまで当ブログではRod Temperton在籍時のアルバム、1st『Too Hot To Handle』(1976年)、2nd『Central Heating』(1978年)を紹介してきましたが、本作『Candles』の時点で既にRod Tempertonはグループを巣立っています。

ご存知の通り、この頃のRod TempertonはQuincy Jonesの元でMichael Jackson「Off The Wall」、「Rock With You」のソングライティングを手掛けた後であり、売れっ子ソングライターとして引っ張りだこでした。

本作がリリースされた1980年当時もGeorge Benson「Give Me The Night」The Brothers Johnson「Stomp!」などのヒット曲を書き上げています。

一方、Heatwaveの方は、Rod Temperton脱退後の1979年にPhil Ramoneをプロデューサーに迎え3rdアルバム『Hot Property』をリリースしています。脱退後もTempertonのHeatwaveに対する思いは変わらず、アルバムの殆どの曲のソングライティングを手掛けています。

今日紹介する『Candles』(1980年)は『Hot Property』に続く4thアルバムです。本作時点のメンバーは、Johnnie Wilder Jr.(vo)、Keith Wilder(vo)、Ernest Berger(ds)というオリジナル・メンバー3名に、J.D. Nicholas(vo)、Derek Bramble(b)、Calvin Duke(key)、William L. Jones(g、back vo)という4名を加えた7名。

本作ではメンバーのJohnnie Wilder Jr.がJames Guthrieと共にプロデュースを手掛けています。本作でもRod Tempertonがソングライティングで全面バックアップし、全9曲中6曲がTemperton作品です。

その意味で、Temperton作の充実した楽曲とKeithとJohnnieのWilder兄弟の魅惑のヴォーカルというグループの魅力は担保されています。

正直、それまでの作品ほどには商業的成果を上げることはできませんでした、アルバムの中身自体は期待を裏切らない充実ぶりだと思います。

Jerry Hey率いるSeawind Horns、Michael Boddicker(syn)、Paulinho Da Costa(per)等がゲスト参加しています。

ポップ&メロウなディスコ/ファンクを楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Gangsters of the Groove」
Rod Temperton作。アルバムからの1stシングルとして全米R&Bチャート第21位、全英シングル・チャート第19位となりました。Michael Jackson『Off The Wall』からの影響が顕著なメロウ・ディスコ・チューンです。彼ららしい爽快ファルセット・コーラスが栄えます。
http://www.youtube.com/watch?v=-URRnglc6kI

「Jitterbuggin'」
Rod Temperton作。この曲はシングルとして全英シングル・チャート第34位となっています。ファンキー・メロウなディスコ・チューン。本作と同時期にヒットしていたRod Temperton作のディスコ・クラシックThe Brothers Johnson「Stomp!」あたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=l1J7-SBgpu0

「Party Suite」
Rod Temperton作。スピード感とヴォコーダーが印象的な1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=lrsDE-31X-Q

「Turn Around」
Linda Phillips Wilder/Johnnie Wilder Jr.作。哀愁メロディとキャッチーなコーラス、ソリッド・グルーヴ、Jerry Heyらのホーン隊、ストリングスが相俟った魅惑の哀愁メロウ・グルーヴ。
http://www.youtube.com/watch?v=mevJBQV1KpI

「Posin' til Closin'」
Rod Temperton作。メロウなファルセット・ヴォイスがよく似合う爽快ライト・グルーヴ。個人的にはこの位のライトタッチな感じが好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=7JubpFYhDFo

「All I Am」
Lynsey De Paul/Sue Sheridan作。アコースティックな響きと甘いファルセット・ヴォーカルがロマンティック・ムードを演出する素敵なスロウ。
http://www.youtube.com/watch?v=ZbQBIaKxOnA

「Dreamin' You」
Rod Temperton作。この曲も大好き。ポップな味わいのメロウ・ファンク・チューン。ソングライターとしてのRod Tempertonの充実ぶりがうかがえます。ファンク/ディスコ好き以外の人も楽しめる1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=gZvc7hFGrdU

「Goin' Crazy」
Rod Temperton作。軽快なリズムのディスコ・チューン。Michael Boddickerのシンセ、Paulinho Da Costaのパーカッションといったゲスト陣の演奏を印象的です。DJ Clue feat. DMX「It's On」のサンプリングソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=k3RK9wWJJJQ

「Where Did I Go Wrong」
Tommy Gilliard/Linda Phillips Wilder/Johnnie Wilder Jr.作。シングルにもなりました。ラストはスウィートなスロウ・バラードで締め括ってくれます。素敵なコーラスワークを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=oorZgO1IB1A

僕の保有するCDにはボーナス・トラックとして「Wack That Axe」が追加収録されています。

未聴の方は他のHeatwave作品もチェックを!

『Too Hot To Handle』(1976年)
トゥー・ホット・トゥ・ハンドル(紙ジャケット仕様)

『Central Heating』(1978年)
Central Heating

『Hot Property』(1979年)
ホット・プロパティ(紙ジャケット仕様)

『Current』(1982年)
Current
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2012年05月22日

Airto Moreira『Fingers』

大人気サンバ・グルーヴ「Tombo In 7/4」収録!☆Airto Moreira『Fingers』
フィンガーズ
発表年:1973年
ez的ジャンル:南米/ブラジリアン・フュージョン
気分は... :サンバ・グルーヴでハイテンション!

今回はブラジル人ドラマー/パーカッション奏者Airto Moreiraが1973年にリリースした『Fingers』です。

世代を超えて人気のサンバ・グルーヴ「Tombo In 7/4」のオリジナル収録アルバムとしてお馴染みの1枚ですね。

これまで当ブログで紹介したAirto Moreira作品は以下の3枚。

 『Samba de Flora』(1988年)
 『Identity』(1975年)
 『I'm Fine, How Are You?』(1977年)

本作は『Free』(1972年)に続くCTI第2弾アルバムとなります。

Chick Corea、Stanley Clarke、Joe FarrellといったReturn To Foreverのメンバー等とレコーディングした『Free』は、必ずしもAirtoの創りたい音ではなかったようです。Airto自身はもっとブラジル/南米色の強い作品を望み、その意向に沿って制作されたアルバムが本作『Fingers』です。

プロデュースはCreed Taylor。レコーディング・メンバーは、Airto Moreira(per、ds、vo)、Flora Purim(vo、per)、Hugo Fattoruso(key、hca、vo)、Jorge Fattoruso(ds、vo)、Ringo Thielmann(b、vo)、David Amaro(g)の6名。

Hugo Fattoruso、Jorge Fattoruso、Ringo Thielmannの3名は、ウルグアイのフュージョン・グループOPAのメンバーです。特にキーボード奏者Hugo Fattorusoは有名ですね。当ブログでもAirto MoreiraFlora Purimをはじめ、Toninho HortaFlorencia Ruizの記事に彼の名前が登場します。

ギタリストのDavid Amaroは、Airto MoreiraFlora Purimをはじめ、Sergio MendesGeorge Duke等の作品でお馴染みですね。

そんなメンバーで制作された本作ですが、3曲を楽曲提供したHugo FattorusoをはじめOPAメンバーの貢献が大きいせいか、ブラジリアン・フュージョンというよりも南米フュージョンという印象を受ける作品です。タイトル曲が『I'm Fine, How Are You?』に参加していたウルグアイ人ミュージシャンRuben Radaの作品であることも含めてウルグアイ・パワーを感じます。

どうしても「Tombo In 7/4」に注目が集まってしまう作品ですが、それ以外の楽曲にも本作ならではの魅力が詰まっています。

これぞAirto Moreiraならではのフュージョンといった1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Fingers」
Ruben Rada/Eduardo Uzeta作。男気のあるブラジリアン・ジャズ・ファンク。David Amaroのロック・テイストのギターが目立っています。ラテンのりのファンキー感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=ZZef4NnCr28

「Romance Of Death」
Hugo Fattoruso作。軽快なブラジリアン・ジャズ。Airtoのパーカッションを満喫できます。南米ミュージシャンたちのセッションならではグルーヴといった雰囲気がいいですね。前曲から一転してDavid Amaroがフュージョンらしいギターを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=hgorl7Tq3ME

「Merry-Go-Round」
Airto Moreira作。ライトなインストながらも南米らしいエッセンスが楽しむことができます。

「Wind Chant」
Hugo Fattoruso作。トリッキーなFlora Purimのスキャットも含めてミステリアスな雰囲気の漂うフュージョン・チューン。南米の神秘といった感じです。

「Parana」
Hugo Fattoruso作。Hugo Fattorusoの才能を満喫できるラテン/ブラジリアン・フュージョン。フォーキー感覚のフュージョンといった趣ののどかな雰囲気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=miij-2rH5ZQ

「San Francisco River」
Flora Purim作。サンセット・モードのメロウ・フュージョン。Hugo Fattorusoのハーモニカがいいアクセントになっています。終盤のFlora Purimのスキャットが素敵です。
http://www.youtube.com/watch?v=wmBBjPi0lBw

「Tombo In 7/4」
Airto Moreira作。ラストは本作のハイライト。問答不要のサンバ・グルーヴです。Bellini「Samba de Janeiro」、The Heartists「Belo Horizonti」の元ネタとしてもお馴染みですね。ジワジワと盛り上がり、散々じらしにじらした上で、例のお馴染みのフレーズが飛び出します。否が応でもハイテンションとなり、盛り上がりますね。本曲の応用編として、「Celebration Suite」もセットでチェックしましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=tKxposkFaQY

当ブログではクラブミュージック好きに人気のA Bossa Eletricaのカヴァーも紹介済みです。Michel Camilo等もカヴァーしています。

A Bossa Eletrica「Tombo In 7/4」
 http://www.youtube.com/watch?v=Rpi0WSmRb2Y

Airto Moreiraの過去記事もご参照下さい。

『Identity』(1975年)
アイデンティティー

『I'm Fine, How Are You?』(1977年)
アイム・ファイン、ハウ・アー・ユー?(紙ジャケット仕様)

『Samba de Flora』(1988年)
Samba de Flora
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2012年05月21日

Changing Faces『Changing Faces』

90年代女性R&Bグループの魅力が凝縮されたデビュー作☆Changing Faces『Changing Faces』
チェンジング・フェイシス
発表年:1994年
ez的ジャンル:90年代女性R&Bデュオ
気分は... :この胸キュン感がたまりません!

サッカーのUEFAチャンピオンズリーグの決勝「バイエルン・ミュンヘン対チェルシー」は、僕の予想通りチェルシーがビッグイヤーを勝ち取りました。

試合内容は全体的に物足りなさを感じましたが、明らかにバイエルン優勢の試合展開でした。そんな中でチェルシーを救ったのGKチェフ!ロッペンのPK阻止とPK戦のセーブの大当たり具合は神がかっていましたね。

今回は90年代女性R&B好きには忘れられない女性R&BデュオChanging Facesのデビュー・アルバム『Changing Faces』(1994年)です。

Changing Facesは、高校の同級生であったCassandra LucasCharisse Roseの2人がN.Y.で結成した女性R&Bデュオ。

「Stroke You Up」(1994年、全米チャート第3位、同チャート第2位)、「Foolin' Around」(1995年、全米チャート第38位、同チャート第9位)、「G.H.E.T.T.O.U.T.」(1997年、全米チャート第8位、同チャート第1位)といったヒットを放っています。

アルバムとしては、『Changing Faces』(1994年)、『All Day, All Night』(1997年)、『Visit Me』(2000年)という3作品をリリースしています。

デュオは2001年に解散しますが、2011年に再結成ライブを行い、ニュー・シングル・リリースの話もあるようです。

デビュー・アルバムとなる本作は、エグゼクティブ・プロデューサーも務める
Kenny Kornegayをはじめ、R. KellyJodeciのDeVante Swing、Trackmasters(Poke & Tone)、Heavy D.、The UntouchablesのDave "Jam" Hal、 Nevelle Hodge等がプロデュースを務めています。

今聴いても色褪せない、90年代女性R&Bグループの良質な部分が凝縮された佳作という気がします。

フレッシュ・ヴォーカルと胸キュンのメロディは、SWVZhaneあたりがお好きな方ならば気に入ると思います。

90年代女性R&Bグループならではの胸キュンの感動を満喫しましょう。
この胸が締め付けられる感じが90年代女性R&Bグループの魅力だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Stroke You Up」
R. Kellyプロデュースのデビュー・ヒット曲。全米チャート第3位、同R&Bチャート第2位の大ヒットとなりました。美しいメロディにのったピュアなヴォーカルが胸に響くミディアム・チューンです。胸が締め付けられる感じがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=n6GU6HN-M6k

「Foolin' Around」
この曲もR. Kellyプロデュース。アルバムからの2ndシングルであり、前述のように全米チャート第38位、同R&Bチャート第9位となりました。切々と歌い上げるミディアム・スロウも胸キュン指数かなり高いです!
http://www.youtube.com/watch?v=T1tyYAySMDk

本曲はBoo Rossini「Foolin' Around」、Lil Phat feat. Lady Kim「That's My Baby」といった曲のサンプリング・ソースにもなっています。

Boo Rossini「Foolin' Around」
http://www.youtube.com/watch?v=-cQle-0MWA8
Lil Phat feat. Lady Kim「That's My Baby」
http://www.youtube.com/watch?v=u7lIH0A7iOM

「Lovin' Ya Boy」
Kenny Kornegayプロデュース。90年代女性R&Bグループらしいグルーヴを満喫できます。フレッシュ感のあるヴォーカルにグッときます。

「One Of Those Things」
Kenny Kornegayプロデュース。僕の密かなお気に入り曲。美しいメロディ、爽快なグルーヴ、透明感のあるヴォーカルが相俟って、彼女たちの魅力を存分に味わうことができます。

「Keep It Right There」
JodeciのDeVante Swingプロデュース。アルバムからの3rdシングルにもなりました。しっとりとしたミディアム・スロウです。ピコピコ音は必要なのでしょうか?
http://www.youtube.com/watch?v=NUsUCyEByms

「Am I Wasting My Time」
The UntouchablesのDave "Jam" Halプロデュース。この曲も大好き!哀愁モードで疾走するミッドナイト・グルーヴです。
http://www.youtube.com/watch?v=FxraYrerCdg

「Feeling All This Love」
Kenny Kornegay/Darryl Youngプロデュース。切ないメロディをセクシーに歌い上げる哀愁グルーヴ。

「Thoughts Of You」
Darin Whittingtonプロデュース。ピュアで美しいミディアム・スロウです。

「Come Closer」
The UntouchablesのNevelle Hodgeプロデュース。セクシー・モードのミッドナイト・バラード。
http://www.youtube.com/watch?v=o07q3tPfdOU

「Baby Your Love」
Heavy D./Trackmasters(Poke & Tone)プロデュース。ちょっぴり切ないメロディにグッとくるダンサブル・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=M15Fd5xGj7U

「Movin' On」
Kenny Kornegayプロデュース。この曲も僕のお気に入り。胸が奥が締め付けられるような美メロ・グルーヴ。この感じが90年代女性R&Bグループなんですよね!
http://www.youtube.com/watch?v=dMPG4V_SJg4

「Good Thing」
CoDee/Dinky Binghamプロデュース。切々と歌い上げる感動的なミディアム・スロウ。2人の美しいヴォーカル・ワークを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=qM5owBQ7hkE

「All Is Not Gone」
R. Kellyプロデュース。ラストはR. Kelly作の至極のバラードで締め括ってくれます。今聴いても感動で涙腺がユルユルになる名バラードです。
http://www.youtube.com/watch?v=lFjNj_eKyp8

興味のある方は他のChanging Faces作品もチェックを!

『All Day, All Night』(1997年)
All Day All Night

『Visit Me』(2000年)
Visit Me
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