2012年05月20日

ArtOfficial『Vitamins & Minerals』

マイアミ産Hip-Hopバンド、待望の2ndアルバム☆ArtOfficial『Vitamins & Minerals』
ヴィタミンズ・アンド・ミネラルズ
発表年:2011年
ez的ジャンル:マイアミ産Hip-Hopバンド
気分は... :ジャジーHip-Hopでビタミン&ミネラル補給!

今回はマイアミのHip-HopバンドArtOfficialの2ndアルバム『Vitamins & Minerals』です。昨年末デジタル配信でリリースされたアルバムが先月ようやくCDリリースされました。

ジャジーHip-Hopファン注目のHip-HopバンドArtOfficialの紹介は、1stアルバム『Fist Fights And Foot Races』(2008年)以来2回目となります。

『Fist Fights And Foot Races』は、生音バンドならではのダイナミック・サウンドと2MCのラップが一体化したジャジーHip-Hopが素晴らしい1枚でした。

"The Roots+Soulive"という紹介のされ方が多い彼らですが、OthelloHocus Pocusあたりの生音ジャジーHip-Hop好きの人が一番フィットするのではないかと思います。

2ndとなる本作『Vitamins & Minerals』でも、Logics(MC)、Newsense(MC)、Keith Cooper(sax、fl)、Ralf Valencia(b)、Danny Perez(key)というメンバー5名に、準メンバー扱いのManny Patino(ds)を加えた6名でレコーディングが行われています。さらにAmanda Diva等がゲスト参加しています。

ジャケからしてアートな雰囲気の2nd『Vitamins & Minerals』ですが、サウンド面でも直球勝負のみならず、自分たちの音楽性の幅を広げようとするアートなアプローチを聴くことができます。

昨年はアングラ・ジャジーHip-Hopのお気に入り作品が少なく嘆いていた僕ですが、今年はThe Funk League『Funky As Usual』Othello Plus The Pocket Change Band『Translation Please』、それに本作と当たり作品に恵まれてハッピー気分です。

全曲紹介しときやす。

「Low Level」
ArtOfficialらしい抜けのいい生音ジャジー・グルーヴと2MCのスムーズ・フロウを満喫できるオープニング。この躍動するジャジー・グルーヴこそがArtOfficialの魅力です。
http://www.youtube.com/watch?v=Mq0byuqj_-4

「Bags Packed」
Amanda Divaをフィーチャー。彼女はQ-Tip『The Renaissance』でもフィーチャーされていましたね。ミステリアスに浮遊するジャジーHip-Hopチューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=dmJXUlkntCw

「All In All」
Michelle Forman & Asuka Bardenをフィーチャー。ソウルフルかつドラマチックな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=Qx6vH5G2TcU

「Migraine」
少しダークな雰囲気な仕上がりはThe Rootsあたりにも通じるものがありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=ywWDFqWEYkE

「Rooftop」
ジャジーHip-Hopバンドらしいジャム・セッションが楽しめる1曲。その軽快なジャジー・グルーヴにのってLogics & Newsenseも快調なフロウを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=vAQSd8imWwk

「Black Birds」
イントロのKeith Cooperの多重録音による一人ホーン・アンサンブルが素晴らしいですね。本編はメロウなフェンダー・ローズの音色が心地好いジャジーHip-Hopらしいグルーヴを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=S6SZZGETQec

「AO Cadence」
多くのゲスト陣がセッションに参加したインスト。アフリカ&ラテンのエッセンスを取り入れた演奏が印象的です。個人的には思い切りクロスオーヴァーな作りにしても面白かった気が・・・
http://www.youtube.com/watch?v=E2yGCeblRPU

「Rumor Says」
Anita Wilson & Don Loweをフィーチャー。ジャケにある中世の雰囲気を醸し出すミステリアスなサウンドと哀愁ヴォーカルが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=sHhi-7wF3IQ

「Three Four」
Rory Cooperをフィーチャー。直球勝負の生音ジャジーHip-Hopチューン。やはり、生音ならではの躍動感が感じられる曲が僕のど真ん中です。終盤のRory Cooperのミュートがシブくていいです。
http://www.youtube.com/watch?v=k5LfjsFBRsU

「8785」
インタールード的な短いインスト。
http://www.youtube.com/watch?v=K8Q_PIPROfw

「Can't Keep Running In Place」
Wrekonize & DJ Fuseをフィーチャー。小粋なジャズ感のある演奏にWrekonizeのヴォーカルとDJ Fuseのスクラッチがいいアクセントをつけています。
http://www.youtube.com/watch?v=3tpAOYCKk8k

「Vitamins & Minerals」
タイトル曲は、ジャジーHip-Hop好きには間違いないジャジー・メロウ・グルーヴを満喫できる1曲。Danny Perezがピアノのみならず、ヴァイヴの演奏も披露してくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=RrL5B8N8UL4

「Pound For Pound」
マイアミ産Hip-Hopバンドらしい躍動感がたまらない1曲。ラテン・フレイヴァーのスパイスが僕好みです。
http://www.youtube.com/watch?v=70LFmTt_M8A

「Don't Hold Your Breath」
ラストはMiami Symphonic Stringsのストリングスが入ったアーティスティックな演奏で締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=qZNRG7J9D-g

未聴の方は1st『Fist Fights And Foot Races』(2008年)もチェックを!

『Fist Fights And Foot Races』(2008年)
フィスト・ファイツ・アンド・フット・レーシズ
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2012年05月19日

Edu Lobo『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』

Tamba Trioとレコーディングしたデビュー作。至宝の名曲がズラリ☆Edu Lobo『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』
エドゥ・ロボによるエドゥ・ロボ、タンバ・トリオと共に
発表年:1965年
ez的ジャンル:ノルデスチ系MPB
気分は... :CL決勝はいかに!

いよいよサッカーのUEFAチャンピオンズリーグの決勝「バイエルン・ミュンヘン対チェルシー」ですね。

前評判では本拠地で決勝を迎えることができるバイエルンが有利という予想が多いようですが、僕はチェルシーが勝利を予想しています。ホームスタジアムで何としても優勝しなければならない、ということがバイエルンにプレッシャーとなるのでは?逆にチェルシーはある種開き直ってプレーできる気がします。

欠場者の多さもチェルシー不利の大きな要因となっているようですが、それはバイエルンも同じであり、むしろバイエルンの方がその穴が大きいような気がします。心情的にもドログバにビッグイヤーを掲げさせてあげたいですね。

今回はブラジルを代表する名シンガー・ソングライターEdu Loboの記念すべきデビュー作『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』です。ブラジル音楽好きにはど定番の1枚ですね。

Edu Loboの紹介は、Maria Bethaniaとの共演した『Edu E Bethania』(1967年)および『Cantiga de Longe』(1970年)に続き3回目となります。

デビュー作となる本作の正式な名義はEdu Lobo Com a Participacao do Tamba Trioであり、ジャズ・サンバの最高峰フループTamba Trioが全面バックアップしています。本作時のメンバーは、Luiz Eca(p)、Bebeto(b、fl)、Ohana(ds)の3名。

Luiz Ecaがアレンジも手掛けており、その見事なサウンド・センスも本作の魅力となっています。

Edu Loboの作る歌は暗めのものも多く、必ずしも聴きやすいものばかりではありません。しかしながら、聴く者を惹きつけてしまう不思議な魅力を持っていますよね。また、そんなEdu Loboの歌、メロディとTamba Trioの小粋な演奏がバッチリとハマっているのもいいですね。

「Boranda」「Reza」「Arrastao」等名曲の数々のオリジナル・ヴァージョンを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Boranda」
Edu Lobo作。ノルデスチの人々のことを歌った哀愁の名曲。人々の苦しみをテーマとした曲ですが、Luiz Ecaの名アレンジが演奏全体をエレガントなものに仕上げています。『Edu E Bethania』で再演されています。
http://www.youtube.com/watch?v=dTyKdPa9Y7Y

「Resolucao」
Edu Lobo/Lula Freire作。Tamba Trioの小粋なジャズ・サンバ・サウンドに魅了される1曲。Luiz Ecaのピアノが素晴らしいです。

「As Mesmas Historias」
Edu Lobo作。ストリングス・アレンジが印象的なボッサ・チューン。やや暗めのEdu Loboのヴォーカルとエレガントなストリングスが意外にマッチしています。

「Aleluia」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。叙情モードたっぷりのヴォーカル&メロディを聴いていると、逆にホッと一息つける感じで落ち着きます。

「Cancao Da Terra」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。Edu Loboらしい不安げなメロディ(悪い意味ではありません)を聴くことができます。この少しダークな感じが彼の魅力ですよね。当ブログではNara Leaoのカヴァーも紹介済みです。

「Zambi」
Edu Lobo/Vinicius de Moraes作。この曲Edu Loboの弾き語りで聴かせてくれます。ノルデスチらしいメロディを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=CzRfUUJelcg

「Reza」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。本作の中で最も有名な曲かもしれませんね。例の♪Laia, ladaia, sabatana, Ave Maria♪のフレーズが何といっても印象的ですね。当ブログでもLennie Dale & Sambalanco TrioTamba 4The CarnivalSergio Mendes & Brasil '66のカヴァーを紹介済みです。本家ヴァージョンはさり気なさの中にエレガントな雰囲気が漂います。
http://www.youtube.com/watch?v=csV2w74WpLY

「Arrastao」
Edu Lobo/Vinicius de Moraes作。Elis Reginaの熱唱でも知られる1曲。ノルデスチ・モードのリズミック・パートとテンポを落としたエレガント・パートの緩急のつけ方が見事です。Luiz Ecaの手腕が光ります。

「Requiem Por Um Amor」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。短い哀愁モードのバラード。当ブログではNara Leaoのカヴァーも紹介済みです。

「Cheganca」
Edu Lobo/Odulvaldo Vianna Filho作。土着モードの出だしが印象的です。淡々とした曲ですが不思議な魅力があります。

「Cancao Do Amanhecer」
Edu Lobo/Vinicius de Moraes作。Luiz Ecaのエレガントなアレンジ・センスに魅了される1曲。

「Em Tempo De Adeus」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。ラストは別れの歌。ア・カペラで歌いだし、その後悲しげなバイオリンとピアノの伴奏が入ってきます。

Edu Loboの過去記事もご参照下さい。

『Edu E Bethania』(1967年)
エドゥ・ロボ&マリア・ベターニア

『Cantiga de Longe』(1970年)
Cantiga De Longe: Serie Elenco

披露が蓄積しているのか、今日は昼まで寝ていました。
それでもまだグッタリ・・・何かスタミナのつくものでも食べようっと・・・
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2012年05月18日

Natural Four『Natural Four』

Leroy Hutsonプロデュース、Curtomからの第1弾アルバム☆Natural Four『Natural Four』
Natural Four
発表年:1974年
ez的ジャンル:カートム系メロウ・ソウル
気分は... :自然体がいいね♪

今回はソウル・ヴォーカル・グループNatural Fourが1974年にリリースした『Natural Four』です。

ファルセット・ヴォイスのメロウ・ソウルが魅力のグループNatural Fourの紹介は、『Heaven Right Here on Earth』(1975年)に続き2回目となります。

1967年にサンフランシスコで結成されたNatural Fourでしたが、1970年にアルバム『Good Vibes!』をリリースするものの、グループは解散状態となってしまいます。そこで、オリジナル・メンバーのChris Jamesが、Steve Striplin、Darryl Cannady、Delmos Whitleyという3人の新メンバーを迎え、新生Natural Fourとして再スタートを切ります。

グループは1972年にCurtis Mayfieldの主宰レーベルCurtomと契約し、同レーベルで『Natural Four』(1974年)、『Heaven Right Here on Earth』(1975年)、『Nightchaser』(1976年)という3枚のアルバムをリリースしています。

本作『Natural Four』(1974年)はCurtom第1弾となるアルバムです。
Leroy Hutsonをメインに、Rich TufoLowrell SimonJoseph ScottといったCurtomでお馴染みのメンバーがプロデュース&アレンジを担当しています。彼らの素晴らしい仕事ぶりがアルバムを魅力的なものにしています。

アルバムの完成度という点では『Heaven Right Here on Earth』の方が上だと思いますが、Curtomで再出発した新生Natural Fourのはつらつとしたメロウ・ソウルを満喫できる本作も素晴らしい1枚だと思います。

彼らのソフトなヴォーカル・スタイルとCurtomサウンドの相性は抜群だと思います。Leroy Hutson風のメロウ・ソウルやCurtis Mayfield風のグルーヴィー・ソウルを楽しむことができます。

ディープよりもライト&メロウが好みの僕にフィットする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Can This Be Real?」
Leroy Hutson/Janice Hutson/Michael Hawkins作。オープニングはアルバムからの1stシングルにもなり、全米R&Bチャート第10位、全米チャート第31位のヒットとなりました。グループの代表曲と呼べるメロウ・バラード。グループ名のとおり自然体のあっさりした感じが好きです。ムーディーなサックスが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=u4_4OZmf30M

「You Bring Out The Best In Me」
Leroy Hutson/Michael Hawkins作。この曲もシングルになりました(全米R&Bチャート第20位)。フリーソウル人気曲としてもお馴染みですね。ファルセット・ヴォーカルと爽快サウンドが心地好いグルーヴィー・ソウルです。Leroy Hutsonプロデュース曲らしくて大好きです。
http://www.youtube.com/watch?v=SSKDLBvbgV4

「Try Love Again」
Leroy Hutson/Michael Hawkins/Joe Reaves/John Brooks作。Curtis Mayfieldテイストのグルーヴが心地好く響く1曲。ストリングスの雰囲気もCurtisですよね。その意味ではCurtomらしいグルーヴィー・ソウルかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=_YpiKryfhDU

本曲はPete Rock feat. C.L. Smooth & Denosh「It's A Love Thing」、O.C.「Story to Tell」、UGK feat. Big Gipp「Purse Come First」、Soulja Boy「Lil Dre」等のサンプリング・ソースとしても人気です。

Pete Rock feat. C.L. Smooth & Denosh「It's A Love Thing」
 http://www.youtube.com/watch?v=2XpMo7f3fLY
O.C.「Story to Tell」
 http://www.youtube.com/watch?v=SDgSTNSQbTo
Soulja Boy「Lil Dre」
 http://www.youtube.com/watch?v=GzivMrEwWxE

「You Can't Keep Running Away」
Leroy Hutson/Michael Hawkins作。フリーソウル好きならばグッとくるであろう、ひたすら爽快で軽やかなメロウ・ソウルです。
http://www.youtube.com/watch?v=o4xpQ-vLP48

「This Is What's Happening Now」
G.Davis/A.J.Tribble作。フリーソウル人気曲としてお馴染みですね。哀愁モードで疾走します。彼ららしいソフトなコーラスワークを堪能できるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=_Tyo4HOw2kM

「Love That Really Counts」
Leroy Hutson/Michael Hawkins/Joe Reaves作。この曲もシングルになりました(全米R&Bチャート第23位)。切ないメロディのバラードです。このタイプの曲は線の細さが少し目立ってしまうかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=R3TRKQ8HSCY

「Try To Smile」
Lowrell Simon/Larry Brownlee作。密かな僕のお気に入り曲。爽快かつポジティブなメロウ・ソウルは、落ち込んだ後、ポジティヴ・モードになりたい時にはピッタリの1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=JEYBX9ak094

「Love's Society」
Joseph Scott/Leroy Hutson/Roger Anfinsen作。哀愁モードのアレンジが素晴らしいバラード。AZ feat. Rapper Big Pooh & Phonte「Rise & Fall」のサンプリング・ソースにもなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=bHzgxQrEWX0

AZ feat. Rapper Big Pooh & Phonte「Rise & Fall」
 http://www.youtube.com/watch?v=36tlxiYiei0

「Things Will Be Better Tomorrow」
Rich Tufo作。ラストはCurtis作品でお馴染みRich Tufoの手腕が冴え渡ります。Curtis Mayfield風の危険な香りのするニュー・ソウル・グルーヴはなかなかエキサイティングです。

『Heaven Right Here on Earth』(1975年)
ヘヴン・ライト・ヒア・オン・アース

現在では『Natural Four』『Heaven Right Here on Earth』がセットになったお得な2in1CDがあります。

『Natural Four/Heaven Right Here on Earth』
ナチュラル・フォー/ヘヴン・ライト・ヒア・オン・アース

『Nightchaser』(1976年)
Night Chaser
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2012年05月17日

Ebo Taylor『Appia Kwa Bridge』

ガーナのレジェンドによる最新ハイライフ・サウンド☆Ebo Taylor『Appia Kwa Bridge』
APPIA KWA BRIDGE
発表年:2012年
ez的ジャンル:最新ハイライフ・サウンド
気分は... :“BEAT ROYAL RECORDS”応援してください!

知人がダンス系レーベルを立ち上げたので、告知させてもらいます。

BEAT ROYAL RECORDS
beatroyal_pc_banner_1.jpg

以下、レーベル・サイトからの引用です。

“BEAT ROYAL RECORDS”は、国内外のDJ/トラックメイカー/クリエイターが集まり、あらゆるジャンルのDance/Club Musicを配信するインデペンデントレーベルです。

インストオンリーですが、エッジーなダンス・ミュージックに興味がある方はぜひチェックしてみて下さい。

さて、今回はガーナの巨匠アーティストEbo Taylorの最新作『Appia Kwa Bridge』 (2012年)です。

Ebo Taylorは1936年、ガーナ、ケープ・コースト生まれ。1950年代より、ガーナ発祥の音楽"ハイライフ(Highlife)"のイノヴェーターとして活動を続けている巨匠アーティスト。

2010年にUKレーベルStrutからリリースされた20年ぶりの新作『Love and Death』(2010年)で注目を浴び、勢いに乗り70〜80年代の音源を集めたベスト盤『Life Stories: Highlife & Afrobeat Classics 1973-1980』(2011年)をリリースするなど老いて絶好調なレジェンドEbo Taylor。

最新作となる『Appia Kwa Bridge』 はベルリンでレコーディングで行われ、アフロビートの創始者Fela KutiのバンドAfrica 70のドラマー兼音楽監督を務めたレジェンドTony Allen、Africa 70のオリジナル・ギタリストギタリストOghene Kologbo、コンガ・マエストロAddo Nettey a.k.a. Pax Nicholas、同じくガーナのレジェンドA.K. Yeboahの息子であるキーボード奏者Kwame Yeboah、ベルリンで活動する現行アフロビート・バンドAfrobeat Academy等がレコーディングに参加しています。

ガーナのハイライフ・サウンドの最新形と言われてもピンと来ない方も多いと思いますが、Fela Kutiなどのアフロビートやアフリカン・リズムがお好きな人であれば楽しめる1枚だと思います。

躍動するアフリカン・リズム、高らかに鳴り響くホーン・サウンド、軽快なギター、覚醒するオルガン、鼓舞するようなヴォーカルが相俟った、生命の息吹を感じるアフリカン・ミュージックを満喫できます。

普段アフリカ音楽を聴かない方でも、生音ダンス・ミュージック好きの人であれば、ぜひトライしてみてください。

全曲紹介しときやす。

「Ayesama」
オープニングは勝利の歌。『Love and Death』のセッションでもレコーディングされた近年のライブ人気曲の再録です(結局、『Love and Death』には未収録)。躍動するアフリカン・リズム、軽快なホーン隊、覚醒的なKwame Yeboahのオルガン・サウンドが勝利の雄叫びのようなヴォーカルを盛り上げてくれます。Fela Kuti好きの人であれば、気に入るはずのアフロ・ダンス・チューンだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=JpdyFTCDjuw

「Abonsam」
タイトルは悪魔を意味しているようです。悪魔を払いのけてくれるように神の御加護を祈る歌のようです。Tony Allenが叩く呪術的リズムとギター・サウンドが印象的です。

「Nsu Na Kwan」
雄大な中にもハイライフらしいギター・サウンドが楽しめます。人々の歴史を見続けてきた古い川について歌ったもののようです。
http://www.youtube.com/watch?v=iTAUi2TLrrg

「Yaa Amponsah」
Ebo Taylorの歌とギターのみの弾き語り。最も初期のハイライフの楽曲の1つなのだとか。
http://www.youtube.com/watch?v=nmuwrg6ip1A

「Assom Dwee」
軽快なギター・サウンドにのって儀式の掛け声のようなEbo Taylorのヴォーカルが雄叫びを上げます。

「Kruman Dey」
「Ayesama」と並ぶ僕のお気に入り。Eboの息子Henry Taylorがヴォーカルをとっています。1970年代に別タイトルでレコーディングした楽曲のリメイクのようです。アフロビート好きの人であれば気に入るであろう、ダンス・ミュージックとしての格好良さを持った1曲だと思います。

「Appia Kwa Bridge」
タイトル曲は地元の待ち合わせ場所となっている橋の名前を冠しています。軽快なアフリカン・リズムで疾走するダンス・チューンとして楽しむことができます。覚醒的オルガン・サウンドがここでもアクセントになっています。

「Barrima」
ラストは昨年逝去した最初妻に捧げられた弾き語り。

興味がある方は、Ebo Taylorの他作品もチェックを!

『Twer Nyame』(1977年)
ツゥェ・ニャメ

『Love and Death』(2010年)
Love and Death

『Life Stories: Highlife & Afrobeat Classics 1973-1980』(2011年)
Life Stories
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2012年05月16日

idea6『Metropoli』

イタリアン・ジャズ・ルネッサンスを目指したプロジェクトの第1弾☆idea6『Metropoli』
Metropoli
発表年:2005年
ez的ジャンル:イタリアン・ジャズ・ルネッサンス系クラブジャズ
気分は... :これぞ至宝の演奏!

今回はイタリア・ジャズ界の仕掛人Paolo Scottiが"イタリアン・ジャズ・ルネッサンス"を目指し、結集したプロジェクトidea6の第1弾アルバム『Metropoli』(2005年)です。

Paolo Scottiの呼び掛けに呼応したのは、Gianni Basso(sax)、Dino Piana(tb)、Guido Pistocchi(tp)、Andrea Pozza(p)、Luciano Milanese(b)、 Stefano Bagnoli(ds)という6名。

当ブログで紹介した6名絡みの作品を挙げると、Gianni BassoDino Pianaというイタリアン・ジャズの至宝とも呼べるの大ベテラン2人についてはBasso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet Plus Dino Piana』(1960年)で紹介しています。また、Andrea PozzaStefania Rava『The Sweetest Sound』(2010年)にて、自身トリオを率い、バックアップしていました。

この6名で生み出したイタリアン・ジャズ・ルネッサンス作品が『Metropoli』(2005年)です。さらに一部メンバーを変更し、プロジェクト第2弾『Steppin' Out』(2007年)もリリースしています。

このプロジェクトで改めて存在感を示してくれたGianni Bassoは惜しくも2009年に他界しています。

『Steppin' Out』にはヴォーカル曲も収録されていますが、本作『Metropoli』はインストのみで、まさに"イタリアン・ジャズ・ルネッサンス"なアルバムに仕上がっています。

50〜70年代ジャズとクラブジャズの架け橋のような演奏を満喫できる1枚です。落ち着きのあるクラブジャズとでも呼びたくなりますね。

年輪を感じつつも、変に枯れすぎていない演奏に好感が持てます。

スマート&コンパクトにジャズの魅力を伝えてくれるアルバムなので、普段あまりジャズを聴かない方でも楽しめる1枚なのでは?

イタリアン・ジャズの至宝の素晴らしい演奏に耳を傾けましょう。

全曲紹介しときやす。

「Metropoli」
Gianni Ferrio作。タイトル曲はイタリア人フルート/サックス奏者Gino Marinacciの演奏でお馴染みの曲のカヴァー。Gino Marinacciヴァージョンはアルバム『..... idea』(1971年)に収録されており、Dino Pianaもレコーディングに参加しています。おそらくidea6というプロジェクト名もこのあたりに由来しているのでしょう。Dino Pianaのトロンボーン、Pistocchiのミュート、Bassoのサックスが実に小粋でスマートです。優雅な大人のイタリアン・ジャズといった趣ですね。本作の魅了が凝縮された演奏だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=-7IWSRPXlTg

クラブジャズ好きの方はGino Marinacci『..... idea』も要チェックですね。

Gino Marinacci「Metropoli」
http://www.youtube.com/watch?v=tNwS_36mVdU

Gino Marinacci『..... idea』(1971年)
Idea

「New Born」
Franco Piana作。FrancoはDino Pianaの息子です。ラテン・フレイヴァーながらも熱くなりすぎず、余裕のある演奏に思わずニンマリしてしまいます。Bassoの衰えぬサックスを堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=mNHkTSQ5wyk

「Minor Mood」
Franco Piana作。思わず体を揺らしてしまう軽快なテンポでモーダルに疾走します。派手さはありませんが、各プレイヤーのソロも含めてコンパクトで聴きやすいと思います。

「Pittura」
イタリア人のピアニストEnrico Intraの作品をカヴァー。そんな曲なのでAndrea Pozzaの小粋なピアノを中心としたトリオでの演奏になっています。

「Train Up」
Sandro Brugnolini作。Gato Baribieriために書かれた曲なのだとか。ラテン・フレイヴァーのモーダル・チューン。アンサンブルに続き、Andrea Pozzaのピアノソロ、Bassoののサックス、Pistocchiのミュートなど素晴らしいソロが続きます。

「Windy Coast」
Renato Pistocchi作。開放的なバップ・チューン。晴れやかな3管のソロの響きにグッときます。ジャズ・ルネッサンス感のある演奏ですね。

「Vivacita'」
Franco Piana/Enrico Valdambrini作。Sestetto Dino Piana & Oscar Valdambrini『Sestetto Dino Piana & Oscar Valdambrini』(1973年)でも演奏されていた曲です。クラブジャズ好き向けのカッチョ良さを持った演奏がいいですね。3管を支えるリズム隊がいい仕事しています。

「Marmaris」
Renato Pistocchi作。寛いだスウィンギー感がリラックス気分にさせてくれます。野暮ったくならず、あくまでスタイリッシュなのがいいですね。

「Autumn In Milano」
Gianni Basso作。少しコーヒーブレイクといった趣の落ち着いた演奏を聴かせてくれます。酸いも甘いも知った大人のジャズを堪能しましょう。

「Tokyo Lullaby」
Renato Pistocchi作。ラストは日本人にはグッとくるタイトルのバラード。日本人の琴線に触れる、ただただ美しい演奏を聴いていると、胸一杯に感動が込み上げてきます。素晴らしすぎる!

ご興味のある方は第2弾アルバム『Steppin' Out』(2007年)もチェックを!

『Steppin' Out』(2007年)
Steppin' Out

また、これを機にBasso/Valdambrini作品をチェックしてみてはいかがですか。

Basso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet』(1959年)
Basso Valdambrini Quintet

Basso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet Plus Dino Piana』(1960年)
Plus Dino Piana

Basso Valdambrini Quintet『Walking in the Night』(1960年)
ウォーキング・イン・ザ・ナイト(紙ジャケット仕様)

Sestetto Basso Valdambrini『The Best Modern Jazz in Italy 1962』(1962年)
バッソ=ヴァルダンブリーニ・セクステット(紙ジャケット仕様)
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