2012年05月16日

idea6『Metropoli』

イタリアン・ジャズ・ルネッサンスを目指したプロジェクトの第1弾☆idea6『Metropoli』
Metropoli
発表年:2005年
ez的ジャンル:イタリアン・ジャズ・ルネッサンス系クラブジャズ
気分は... :これぞ至宝の演奏!

今回はイタリア・ジャズ界の仕掛人Paolo Scottiが"イタリアン・ジャズ・ルネッサンス"を目指し、結集したプロジェクトidea6の第1弾アルバム『Metropoli』(2005年)です。

Paolo Scottiの呼び掛けに呼応したのは、Gianni Basso(sax)、Dino Piana(tb)、Guido Pistocchi(tp)、Andrea Pozza(p)、Luciano Milanese(b)、 Stefano Bagnoli(ds)という6名。

当ブログで紹介した6名絡みの作品を挙げると、Gianni BassoDino Pianaというイタリアン・ジャズの至宝とも呼べるの大ベテラン2人についてはBasso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet Plus Dino Piana』(1960年)で紹介しています。また、Andrea PozzaStefania Rava『The Sweetest Sound』(2010年)にて、自身トリオを率い、バックアップしていました。

この6名で生み出したイタリアン・ジャズ・ルネッサンス作品が『Metropoli』(2005年)です。さらに一部メンバーを変更し、プロジェクト第2弾『Steppin' Out』(2007年)もリリースしています。

このプロジェクトで改めて存在感を示してくれたGianni Bassoは惜しくも2009年に他界しています。

『Steppin' Out』にはヴォーカル曲も収録されていますが、本作『Metropoli』はインストのみで、まさに"イタリアン・ジャズ・ルネッサンス"なアルバムに仕上がっています。

50〜70年代ジャズとクラブジャズの架け橋のような演奏を満喫できる1枚です。落ち着きのあるクラブジャズとでも呼びたくなりますね。

年輪を感じつつも、変に枯れすぎていない演奏に好感が持てます。

スマート&コンパクトにジャズの魅力を伝えてくれるアルバムなので、普段あまりジャズを聴かない方でも楽しめる1枚なのでは?

イタリアン・ジャズの至宝の素晴らしい演奏に耳を傾けましょう。

全曲紹介しときやす。

「Metropoli」
Gianni Ferrio作。タイトル曲はイタリア人フルート/サックス奏者Gino Marinacciの演奏でお馴染みの曲のカヴァー。Gino Marinacciヴァージョンはアルバム『..... idea』(1971年)に収録されており、Dino Pianaもレコーディングに参加しています。おそらくidea6というプロジェクト名もこのあたりに由来しているのでしょう。Dino Pianaのトロンボーン、Pistocchiのミュート、Bassoのサックスが実に小粋でスマートです。優雅な大人のイタリアン・ジャズといった趣ですね。本作の魅了が凝縮された演奏だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=-7IWSRPXlTg

クラブジャズ好きの方はGino Marinacci『..... idea』も要チェックですね。

Gino Marinacci「Metropoli」
http://www.youtube.com/watch?v=tNwS_36mVdU

Gino Marinacci『..... idea』(1971年)
Idea

「New Born」
Franco Piana作。FrancoはDino Pianaの息子です。ラテン・フレイヴァーながらも熱くなりすぎず、余裕のある演奏に思わずニンマリしてしまいます。Bassoの衰えぬサックスを堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=mNHkTSQ5wyk

「Minor Mood」
Franco Piana作。思わず体を揺らしてしまう軽快なテンポでモーダルに疾走します。派手さはありませんが、各プレイヤーのソロも含めてコンパクトで聴きやすいと思います。

「Pittura」
イタリア人のピアニストEnrico Intraの作品をカヴァー。そんな曲なのでAndrea Pozzaの小粋なピアノを中心としたトリオでの演奏になっています。

「Train Up」
Sandro Brugnolini作。Gato Baribieriために書かれた曲なのだとか。ラテン・フレイヴァーのモーダル・チューン。アンサンブルに続き、Andrea Pozzaのピアノソロ、Bassoののサックス、Pistocchiのミュートなど素晴らしいソロが続きます。

「Windy Coast」
Renato Pistocchi作。開放的なバップ・チューン。晴れやかな3管のソロの響きにグッときます。ジャズ・ルネッサンス感のある演奏ですね。

「Vivacita'」
Franco Piana/Enrico Valdambrini作。Sestetto Dino Piana & Oscar Valdambrini『Sestetto Dino Piana & Oscar Valdambrini』(1973年)でも演奏されていた曲です。クラブジャズ好き向けのカッチョ良さを持った演奏がいいですね。3管を支えるリズム隊がいい仕事しています。

「Marmaris」
Renato Pistocchi作。寛いだスウィンギー感がリラックス気分にさせてくれます。野暮ったくならず、あくまでスタイリッシュなのがいいですね。

「Autumn In Milano」
Gianni Basso作。少しコーヒーブレイクといった趣の落ち着いた演奏を聴かせてくれます。酸いも甘いも知った大人のジャズを堪能しましょう。

「Tokyo Lullaby」
Renato Pistocchi作。ラストは日本人にはグッとくるタイトルのバラード。日本人の琴線に触れる、ただただ美しい演奏を聴いていると、胸一杯に感動が込み上げてきます。素晴らしすぎる!

ご興味のある方は第2弾アルバム『Steppin' Out』(2007年)もチェックを!

『Steppin' Out』(2007年)
Steppin' Out

また、これを機にBasso/Valdambrini作品をチェックしてみてはいかがですか。

Basso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet』(1959年)
Basso Valdambrini Quintet

Basso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet Plus Dino Piana』(1960年)
Plus Dino Piana

Basso Valdambrini Quintet『Walking in the Night』(1960年)
ウォーキング・イン・ザ・ナイト(紙ジャケット仕様)

Sestetto Basso Valdambrini『The Best Modern Jazz in Italy 1962』(1962年)
バッソ=ヴァルダンブリーニ・セクステット(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 05:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする