発表年:2005年
ez的ジャンル:イタリアン・ジャズ・ルネッサンス系クラブジャズ
気分は... :これぞ至宝の演奏!
今回はイタリア・ジャズ界の仕掛人Paolo Scottiが"イタリアン・ジャズ・ルネッサンス"を目指し、結集したプロジェクトidea6の第1弾アルバム『Metropoli』(2005年)です。
Paolo Scottiの呼び掛けに呼応したのは、Gianni Basso(sax)、Dino Piana(tb)、Guido Pistocchi(tp)、Andrea Pozza(p)、Luciano Milanese(b)、 Stefano Bagnoli(ds)という6名。
当ブログで紹介した6名絡みの作品を挙げると、Gianni Basso、Dino Pianaというイタリアン・ジャズの至宝とも呼べるの大ベテラン2人についてはBasso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet Plus Dino Piana』(1960年)で紹介しています。また、Andrea PozzaはStefania Rava『The Sweetest Sound』(2010年)にて、自身トリオを率い、バックアップしていました。
この6名で生み出したイタリアン・ジャズ・ルネッサンス作品が『Metropoli』(2005年)です。さらに一部メンバーを変更し、プロジェクト第2弾『Steppin' Out』(2007年)もリリースしています。
このプロジェクトで改めて存在感を示してくれたGianni Bassoは惜しくも2009年に他界しています。
『Steppin' Out』にはヴォーカル曲も収録されていますが、本作『Metropoli』はインストのみで、まさに"イタリアン・ジャズ・ルネッサンス"なアルバムに仕上がっています。
50〜70年代ジャズとクラブジャズの架け橋のような演奏を満喫できる1枚です。落ち着きのあるクラブジャズとでも呼びたくなりますね。
年輪を感じつつも、変に枯れすぎていない演奏に好感が持てます。
スマート&コンパクトにジャズの魅力を伝えてくれるアルバムなので、普段あまりジャズを聴かない方でも楽しめる1枚なのでは?
イタリアン・ジャズの至宝の素晴らしい演奏に耳を傾けましょう。
全曲紹介しときやす。
「Metropoli」
Gianni Ferrio作。タイトル曲はイタリア人フルート/サックス奏者Gino Marinacciの演奏でお馴染みの曲のカヴァー。Gino Marinacciヴァージョンはアルバム『..... idea』(1971年)に収録されており、Dino Pianaもレコーディングに参加しています。おそらくidea6というプロジェクト名もこのあたりに由来しているのでしょう。Dino Pianaのトロンボーン、Pistocchiのミュート、Bassoのサックスが実に小粋でスマートです。優雅な大人のイタリアン・ジャズといった趣ですね。本作の魅了が凝縮された演奏だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=-7IWSRPXlTg
クラブジャズ好きの方はGino Marinacci『..... idea』も要チェックですね。
Gino Marinacci「Metropoli」
http://www.youtube.com/watch?v=tNwS_36mVdU
Gino Marinacci『..... idea』(1971年)
「New Born」
Franco Piana作。FrancoはDino Pianaの息子です。ラテン・フレイヴァーながらも熱くなりすぎず、余裕のある演奏に思わずニンマリしてしまいます。Bassoの衰えぬサックスを堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=mNHkTSQ5wyk
「Minor Mood」
Franco Piana作。思わず体を揺らしてしまう軽快なテンポでモーダルに疾走します。派手さはありませんが、各プレイヤーのソロも含めてコンパクトで聴きやすいと思います。
「Pittura」
イタリア人のピアニストEnrico Intraの作品をカヴァー。そんな曲なのでAndrea Pozzaの小粋なピアノを中心としたトリオでの演奏になっています。
「Train Up」
Sandro Brugnolini作。Gato Baribieriために書かれた曲なのだとか。ラテン・フレイヴァーのモーダル・チューン。アンサンブルに続き、Andrea Pozzaのピアノソロ、Bassoののサックス、Pistocchiのミュートなど素晴らしいソロが続きます。
「Windy Coast」
Renato Pistocchi作。開放的なバップ・チューン。晴れやかな3管のソロの響きにグッときます。ジャズ・ルネッサンス感のある演奏ですね。
「Vivacita'」
Franco Piana/Enrico Valdambrini作。Sestetto Dino Piana & Oscar Valdambrini『Sestetto Dino Piana & Oscar Valdambrini』(1973年)でも演奏されていた曲です。クラブジャズ好き向けのカッチョ良さを持った演奏がいいですね。3管を支えるリズム隊がいい仕事しています。
「Marmaris」
Renato Pistocchi作。寛いだスウィンギー感がリラックス気分にさせてくれます。野暮ったくならず、あくまでスタイリッシュなのがいいですね。
「Autumn In Milano」
Gianni Basso作。少しコーヒーブレイクといった趣の落ち着いた演奏を聴かせてくれます。酸いも甘いも知った大人のジャズを堪能しましょう。
「Tokyo Lullaby」
Renato Pistocchi作。ラストは日本人にはグッとくるタイトルのバラード。日本人の琴線に触れる、ただただ美しい演奏を聴いていると、胸一杯に感動が込み上げてきます。素晴らしすぎる!
ご興味のある方は第2弾アルバム『Steppin' Out』(2007年)もチェックを!
『Steppin' Out』(2007年)
また、これを機にBasso/Valdambrini作品をチェックしてみてはいかがですか。
Basso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet』(1959年)
Basso Valdambrini Quintet『Basso Valdambrini Quintet Plus Dino Piana』(1960年)
Basso Valdambrini Quintet『Walking in the Night』(1960年)
Sestetto Basso Valdambrini『The Best Modern Jazz in Italy 1962』(1962年)